説明

液滴吐出ヘッド及びそれを用いた液滴吐出装置、画像形成装置

【課題】動作信頼性の高い液滴吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】ノズル開口11を有するノズルプレート10と、共通液体溜まり71の液体をノズル開口11と連通する圧力発生室31に供給する液体流路32と、圧力発生室31に対向する位置に設けられた振動板40とからなる流路基板5と、流路基板5を保持する高剛性部材70と、振動板40を介して複数の振動子81を固着したアクチュエータ80を備え、アクチュエータ80に各振動子81を個別駆動する駆動IC84を有する電気的接続部材83が接続され、駆動IC84からの熱を放散する放熱部材93が固着されて、アクチュエータ80と駆動IC84を有する電気的接続部材83と放熱部材93が高剛性部材70と保護部材95で覆われて密閉されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット記録ヘッドなどの液滴吐出ヘッドに係り、特にアクチュエータに設けられた複数の振動子を個別駆動するための駆動ICを有するFPCなどの電気的接続部材を備えた液滴吐出ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット技術を応用した製品は、写真画質を得るような印刷装置や微細滴を吐出して配線を行うなど、印刷業界から産業、工業用途の製造装置など、あらゆる分野で利用されるようになってきた。そして、それに使用するインクまたは吐出用液体も多種多様になってきている。
【0003】
特に工業用途に用いられるようなインクは、常温状態で高粘度、例えば環境温度23℃で30mPa・s(ミリパスカル秒)のように通常の印刷に用いられるインクの粘度と比べると5〜10倍も高粘度のインクが使用されてきている。このインクを吐出させるためにインクジェット記録ヘッドを加熱し、ヘッド内のインクの粘度を低粘度化する方法が用いられている。
【0004】
また、インクジェット記録ヘッドの各圧電素子を駆動するための駆動ICが、インクジェット記録ヘッドを構成している部材の近傍に実装されている(例えば特許文献1参照)。これにより、インクジェット記録ヘッドを駆動するための回路を画像形成装置(または、印刷装置)本体に設けることがないので、装置が小型化できる。また、駆動ICをインク滴飛翔の際に飛散する微細なインクミストによる故障を防止するようにヘッドカバーを設置することが提案されている。また、環境温度の変化に応じてインクジェット記録ヘッドを構成する部材の応力を抑制する目的で、補強部材を設けることが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2の何れにおいても、インクジェット記録ヘッドをインク微粒子から保護するためにヘッドカバーや駆動IC上部に設置したカートリッジケースで密閉する構成をとっている。しかしながら、インクジェット記録ヘッド単独ではその保護がなされていないため、印刷装置に用いるインクジェット記録ヘッドの数に応じたカバーを設置する必要がある。そのため、看板やポスターの印刷用途に使われるような非常に大型のワイドフォーマット印刷装置などに使用する場合、ヘッドカバーが大きなものとなってしまう。
【0006】
また、特許文献2に示されるように補強部材を設けることで、印刷装置周りの環境の温度変化が生じてもヘッドにダメージを与えないように応力緩和するようにしているが、粘度の高いインクを使用してインクジェット記録ヘッドそのものを加熱することで前記インクを低粘度化する場合には、対応できる温度に限界が生じる。例えば、紫外線硬化型のインクであるUVインクなどは、50℃から80℃にインクを暖めて低粘度する場合がある。このような場合、異種材料であっては応力緩和にも限界が生じる。また、高温で使用する場合、放熱性が考慮されていないので密閉された空間にある駆動ICは冷却効果が殆どなく、場合によっては、インクジェット記録ヘッドを故障させてしまうことになる。そのために、駆動する周波数を下げたり、定期的に印刷中断したりして、温度上昇を抑える必要があり、印刷速度を低下さえざるを得ない。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を鑑みてなされたもので、動作信頼性の高い液滴吐出ヘッド及びそれを用いた液滴吐出装置、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、液滴を吐出する複数のノズル開口を有するノズルプレートと、共通液体溜まりの液体を前記ノズル開口と連通する圧力発生室に供給する液体流路と、前記圧力発生室と液体流路を封止し前記圧力発生室に対向する位置に設けられた振動板とからなる流路基板と、
その流路基板を保持する高剛性部材と、
前記圧力発生室に対向する位置に前記振動板を介して複数の振動子を固着したアクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
前記アクチュエータに前記各振動子を個別駆動するための駆動ICを有する電気的接続部材が接続され、前記駆動ICに発生した熱を放散する放熱部材が固着されて、
前記アクチュエータと駆動ICを有する電気的接続部材と放熱部材が前記高剛性部材と保護部材で覆われて密閉されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記放熱部材は熱伝導性の高い部材で構成され、放熱部材の一部が前記保護部材より外側に突出していることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、前記放熱板と駆動ICは、熱伝導性が高く、かつ非導電性を有する部材を介して固着されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第4の手段は前記第1ないし第3の手段において、前記放熱部材は、外部へ接続されている電気的接続部材に電気的に接続されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第5の手段は前記第1ないし第4の手段において、前記保護部材によって密閉された領域内にヘッド内部の液体を加熱する部材と当該液滴吐出ヘッドの温度を検出する部材が収納されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第6の手段は前記第1ないし第5の手段において、前記保護部材は複数の分割体に分割され、各分割体の接合部に接着剤収容部が設けられ、その接着剤収容部に注入され多接着剤により各分割体の接合部が密閉されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第7の手段は、吐出する液体を貯留する液体タンクと、液滴吐出ヘッドと、前記液体タンクに貯留している液体を液滴吐出ヘッドに供給する液体供給手段を備え、前記液滴吐出ヘッドから吐出した液滴を被着媒体に着弾する液滴吐出装置において、
前記液滴吐出ヘッドが第1ないし第6の手段の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第8の手段は画像形成装置において、前記液体が画像形成用インクであって、前記被着媒体が記録媒体で、前記第7の手段の液滴吐出装置を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は前述のような構成になっており、液滴吐出ヘッドに内部の液体を加熱するヒータなどの加熱部材を設置しても、駆動ICの温度上昇を抑制するための放熱部材を取り付けるとともに、液滴微粉粒子の侵入による駆動IC及び振動子の保護部材を液滴吐出ヘッド単独で設けたため、動作信頼性に優れた液滴吐出録ヘッド及びそれを用いた液滴吐出装置、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例に係るインクジェット記録ヘッドの断面図である。
【図2】そのインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図3】そのインクジェット記録ヘッドにおける保護部材どうしの接合部の拡大断面図である。
【図4】そのインクジェット記録ヘッドにおける高剛性部材と保護部材との接合部の拡大断面図である。
【図5】本発明の実施例に係る画像形成装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図5は、本発明の実施例に係る画像形成装置の斜視図である。本実施例は、卓上型の小型シリアルスキャン印刷方式の例であるが、ポスターなどの大判メディア用の印刷装置であるいわゆるワイドフォーマットプリンタや記録式ヘッドを複数並べて固定してなるライン印刷方式であっても本発明は適用される。
【0019】
同図において、インクジェット記録ヘッド1は、図示されていないタイミングベルトに連結され、駆動モータの正逆転によりフレームから伸びたガイド軸110、111上を往復移動しながら、印刷用紙100上にインク滴を吐出して文字や図形等を印刷する。
【0020】
インクジェット記録ヘッド1へのインクの供給は、メインインクタンク103から供給チューブ104を経由してサブインクタンク101へ送られ、さらに供給チューブ104を介してインクジェット記録ヘッド1へ供給される。
【0021】
ヘッド保全部102は、印刷をしていない時にインクジェット記録ヘッド1のノズルからのインクの乾燥や異物の付着を防止するためにキャップ105、或いは図示していないが、ノズル面に付着したインクなどを除去するためのワイパーブレードなどが配設されている。前記キャップ105は、サブインクタンク101からインクジェット記録ヘッド1内にインクを充填する時や、インクジェット記録ヘッド1内に停滞した気泡等を除去する目的で実施されるパージ動作をする時の吸引キャップとしても活用される。
【0022】
インクジェット記録ヘッド1の各ノズル開口にはシアン、マゼンタ、イエロー、黒のインクが個別に供給されて吐出され、印刷用紙100上で各色のインクを重ね合わせてカラー画像を形成することができる。
【0023】
この実施例において液滴吐出装置は、吐出する液体を貯留するメインインクタンク103やサブインクタンク101などの液体タンクと、インクジェット記録ヘッド1からなる液滴吐出ヘッドと、前記液体タンクに貯留している液体を液滴吐出ヘッドに供給する供給チューブ104や供給ポンプなどからなる液体供給手段などを備えている。
【0024】
次にインクジェット記録ヘッドの構成について図1ないし図4を用いて説明する。図1は本発明の実施例に係るインクジェット記録ヘッドの断面図、図2はそのインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【0025】
インクジェット記録ヘッド1は、複数のノズル開口11を少なくとも1列を有するノズルプレート10と、前記ノズル開口11へ連通する圧力発生室31とインク供給路32を有する流路板30と、前記圧力発生室31及びインク供給路32を封止する薄板の振動板40とからなる流路基板5と、該流路基板5を保持すると共に外部からのインクを導入し貯留する共通インク溜まり71を有する高剛性部材70と、その高剛性部材70に開けられた開口溝72から複数に分割された圧電振動子81を有する圧電アクチュエータ80とを備えている。前記圧電アクチュエータ80は、前記振動板40に当接固着されている。
【0026】
圧電アクチュエータ80は、各圧電振動子81を駆動するためにFPC(フレキシブルプリントケーブル)83が半田付け等により接続されている。前記FPC83には、圧電振動子81の駆動を選択する駆動IC84が取り付けられている。前記駆動IC84には、外部からの電源や駆動信号を印加するための駆動ケーブル85が接続されている。
【0027】
高剛性部材70の前記圧電アクチュエータ80が挿入される開口溝72の側面には加熱部材であるヒータ90が貼り付けられている。これによって、共通インク溜まり71内のインク及びインクジェット記録ヘッド1全体を加熱することができる。また、インクジェット記録ヘッド1には、温度を制御するためのサーミスタ91が、少なくとも1つ以上付けられている。ここで、ヒータ90は、電気を利用して発熱させる方式であっても温水を循環させて加熱する方式であってもよく、特に加熱手法にはこだわらない。また、同様に前記サーミスタ91も温度を検知する手法は問わない。
【0028】
ノズルプレート10は、インク滴の飛翔直進性を得るために高精度に穴加工され、ニッケルのエレクトフォーミング法やステンレスの薄板を精密プレス法によって穴を加工する方法で成形される。流路板30、圧力発生室31及びインク供給路32の流路となる細長い開口穴が開けられている。図1においては、ノズル開口11が2列に並べられた例であるが、1つの記録ヘッド内にさらに複数列を配置しても、1列のみであっても良い。また、流路板30は、ステンレスの薄板をエッチング法や精密プレス法によって加工成形される。或いは、シリコンウェハーを異方性エチング法やドライエッチング法により形成しても良い。
【0029】
前記圧力発生室31及びインク供給路32を封止する振動板40の圧力発生室31を封止するエリアは、前記圧電振動子81の伸縮によって圧力発生室31の容積を変化させるために稼動するため他のエリアより薄板となっていて、前記圧力発生室31の容積を変化させる機能を有する。そして、圧電振動子81の自由端部が当接する領域には、島状の凸部42が形成されている。その製造成方法としては、ニッケル材をエレクトフォーミング法によって薄板部と厚板部の2層構成で成形されている。或いは、前記薄板部を形成するためにプラスチックフィルムと金属板を積層した後に、薄板部となる領域部の金属板をエッチングして除去して形成しても良い。
【0030】
高剛性部材70は、ステンレスの棒材等を切削加工や熱可塑性樹脂や熱硬化性樹種を成形することで容易に作ることができる。また、前記圧肉部や凸部を有しない1枚の薄板のみで形成しても良い。
【0031】
高剛性部材70は、前記ヒータ90の熱及びやサーミスタ91の感度を効率良くするために熱伝導性が良い材料が使用される。それと同時に、加熱されたときに流路基板5との線膨張差を小さくすることが良く、本実施例の場合、流路基板5がステンレス材料であることから高剛性部材70もステンレス材が使用される。また、液晶ポリマー材(LCP)のような樹脂は、ステンレス材との線膨張差も少なく、熱伝導率も良いことから樹脂成形法(モールド成形法)により形成したものであっても良い。つまり、流路基板5及び高剛性部材70は、線膨張係数がほぼ同じであることが良い。
【0032】
93は放熱フィンであって、前記駆動IC84の発熱を放出するように熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウムなどが用いられる。放熱フィン93は、駆動IC84の放熱効果をより高めるために接触させて固着することが良いが、電気的に導通しては故障するので、絶縁性かつ熱伝導性の高い接着剤89で固着することが望ましい。
【0033】
放熱フィン93の保護部材95から突出する長さは、長ければ長いほど良いが、駆動IC84の発熱量に応じて放熱温度がほぼ飽和するような最適な長さを選択すれば良い。これにより、必要最小限の大きさの放熱フィン93となりインクジェット記録ヘッド1の大型化を防止することができる。また、本実施例の場合、放熱フィン93の材料は、アルミニウムを使用しているので帯電防止のため、放熱フィン93を外部で接続される駆動ケーブル85に導通させることで、いわゆる地絡させることができる。これにより、放熱フィン93に帯電した静電気等により駆動IC84を誤動作させることを防止できる。
【0034】
95aと95bは、保護部材95であって、空中に飛散したインク滴が前記圧電アクチュエータ80やヒータ90部へ進入しないように開口溝72を密閉するためのものである。保護部材95a及95bは、互いに向き合うように接合され、接合の上部からは、外部へ接続される駆動ケーブル85と放熱フィン93が飛び出している。保護部材95aおよび95bと駆動ケーブル85及び放熱フィン93との隙間には、接着剤88が塗布されて、密閉するようになっている。また、前記接着剤88が塗布される領域は、接着剤88が保護部材95からこぼれ落ちないように凹部なる接着剤収容部99が形成されている。
【0035】
図3は、前記保護部材95a及び95bの接合部の拡大図を示す。保護部材95aは凹状の溝96が形成され、対向する保護部材95bには凸部の突起97が形成されている。前記凹状の溝96に接着剤88を塗布することで、保護部材95bを接合する際に、前記凹部96に凸部97が嵌合されることで溢れた接着剤88がその隙間を確実に埋めることができ、より確実に密閉固着することができる。
【0036】
図4は、高剛性部材70と保護部材95a及び95bとの接合部拡大図を示す。高剛性部材70の接合部は、階段状になっており、それに対応するように保護部材95a、95b側も階段状になっている。そして、高剛性部材70側の溝部が少し大きめにできている。それにより、保護部材95側の段部に接着剤88を塗布し、高剛性部材70の前記段差部と嵌合するときにはみ出した接着剤88が、その隙間を埋める。また、その後に接着剤88を追加補充することで、より確実に密閉させることができる。
【0037】
ここで、保護部材95は、金属や樹脂材料を機械加工で削り出しても良いが、樹脂材料の成形によって低コスト化を図ることができる。さらに、樹脂材料の場合、インクとの接液耐性を持ち、かつ接着剤との接合性を兼ね備えた材料であることが良く、例えばPEI(ポリエーテルイミド)樹脂などが望ましい。また、前記接着剤88は、飛散したインクや万が一に流出したインクによって、接着剤としての機能が損なわれないような対インク性の強い材料が良い。例えば、DUPONT社製のDP460やDP190などが好適である。
【0038】
本発明は、インクジェット記録ヘッドをキャリッジに搭載し往復移動しながら印刷するシリアル方式の印刷装置、前記インクジェット記録ヘッドをライン上に配置、固定した状態で印刷するラインヘッド型の印刷装置に用いて画像を形成するときのドロップオンデマンド型インクジェット記録装置に適用することができる。
【0039】
本発明の請求項毎の作用効果を示せば下記の通りである。
請求項1に記載の発明によれば、液滴吐出ヘッドに内部の液体を加熱するヒータなどの加熱部材を設置しても、駆動ICの温度上昇抑制するための放熱部材を取り付けるとともに、液滴微粉粒子の侵入による駆動IC及び振動子の保護部材を液滴吐出ヘッド単独で設けたため、動作信頼性に優れた液滴吐出録ヘッドを提供することができる。
【0040】
請求項2に記載の発明によれば、前記放熱部材は熱伝導性の高い部材であって、その一部が前記保護部材より外部に突出した構造とし、また、請求項3に記載の発明によれば、前記放熱板と駆動ICを、熱伝導性が高く、かつ非導電性を有する部材で固着したので、前記駆動ICからの発熱を効率良く、外部への拡散させることができる。そのため画像形成装置においては、印刷デューティーの制限等を加える必要がないので、画像密度の濃い印刷であっても速度を低下させるこことなく印刷できる。
【0041】
請求項4に記載の発明によれば、前記放熱部材は、外部へ接続されている電気的接続部材に電気的に接続するようにしたので、静電気などが発生した時に放熱部材間での放電を防止することができ、誤動作や駆動ICの故障を防止できる。
【0042】
請求項5に記載の発明によれば、常温で高粘度の液体(例えばUVインク)を低粘度化して液滴を吐出することができる。これにより、常温で低粘度化した液体を開発する必要がなく、より幅広い粘度範囲の液体を使用することができる。
【0043】
請求項6に記載の発明によれば、前記保護部材による密閉性がより確実となり、飛散した液滴がアクチュエータ部などに侵入するのを確実に防止することができ、信頼性の向上が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
前記実施例ではインクジェット記録ヘッドの場合について説明したが、例えば産業用途等に使われるディスペンサー、インクジェット方式の3次元造形機などに本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1:インクジェット記録ヘッド、5:流路基板、10:ノズルプレート、11:ノズル開口、30:流路板、31:圧力発生室、32:インク供給路、40:振動板、42:凸部、70:高剛性部材、71:共通インク溜まり、72:開口溝、80:圧電アクチェータ、81:圧電振動子、83:FPC、84:駆動IC、85:駆動ケーブル、88:接着剤、89:接着剤、90:ヒータ、91:サーミスタ、93:放熱フィン、95a,95b:保護部材、96:凹部、97:凸部、100:印刷用紙、101:サブインクタンク、102:ヘッド保全部、103:メインインクタンク、104:供給チューブ、105:キャップ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開平2005−96419号公報
【特許文献2】特開平2007−76138号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズル開口を有するノズルプレートと、共通液体溜まりの液体を前記ノズル開口と連通する圧力発生室に供給する液体流路と、前記圧力発生室と液体流路を封止し前記圧力発生室に対向する位置に設けられた振動板とからなる流路基板と、
その流路基板を保持する高剛性部材と、
前記圧力発生室に対向する位置に前記振動板を介して複数の振動子を固着したアクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
前記アクチュエータに前記各振動子を個別駆動するための駆動ICを有する電気的接続部材が接続され、前記駆動ICに発生した熱を放散する放熱部材が固着されて、
前記アクチュエータと駆動ICを有する電気的接続部材と放熱部材が前記高剛性部材と保護部材で覆われて密閉されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記放熱部材は熱伝導性の高い部材で構成され、放熱部材の一部が前記保護部材より外側に突出していることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記放熱板と駆動ICは、熱伝導性が高く、かつ非導電性を有する部材を介して固着されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記放熱部材は、外部へ接続されている電気的接続部材に電気的に接続されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記保護部材によって密閉された領域内にヘッド内部の液体を加熱する部材と当該液滴吐出ヘッドの温度を検出する部材が収納されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記保護部材は複数の分割体に分割され、各分割体の接合部に接着剤収容部が設けられ、その接着剤収容部に注入され多接着剤により各分割体の接合部が密閉されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項7】
吐出する液体を貯留する液体タンクと、液滴吐出ヘッドと、前記液体タンクに貯留している液体を液滴吐出ヘッドに供給する液体供給手段を備え、前記液滴吐出ヘッドから吐出した液滴を被着媒体に着弾する液滴吐出装置において、
前記液滴吐出ヘッドが請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項8】
前記液体が画像形成用インクであって、前記被着媒体が記録媒体で、請求項7に記載の液滴吐出装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−214879(P2010−214879A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66588(P2009−66588)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】