説明

液滴吐出装置及び液滴吐出装置用のサブタンク

【課題】 着脱可能なメインタンクと吐出ヘッドとの間に気液分離用のサブタンクを備えつつ、メインタンクとサブタンクとの接続部分に形成されたメニスカスを破壊することができる液滴吐出装置の提供。
【解決手段】 液滴吐出装置1が備えるサブタンク23は、その内部空間において液面が所定位置L以下になったときに、液体流入口75a、液体流出口77a、及び第1開口78aの全てが前記内部空間を通じて互いに連通する状態から、液体流入口75a及び液体流出口77aのみが前記内部空間を通じて互いに連通する状態へと切り換える切換手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録体へ液体を吐出する吐出ヘッド、及び液体を貯留するメインタンクに接続したときに該メインタンクから供給された液体を前記吐出ヘッドへ供給するサブタンクを備える液滴吐出装置と、該液滴吐出装置用のサブタンクとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交換式のメインタンク(インクカートリッジともいう)から吐出ヘッドへインクを供給し、該吐出ヘッドからこのインクを吐出することにより、例えば記録用紙などの被記録体に画像を形成するインクジェット記録装置がある。このようなインクジェット記録装置では、メインタンク内のインクを使い切ってから新たなメインタンクに交換すると、吐出ヘッドまでのインク供給路にエアが混入する可能性があるため、メインタンクと吐出ヘッドとの間にサブタンクを介在させ、吐出ヘッドへのインク供給路にエアが侵入しないように構成したものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1,2に開示された構成では、大気開放されたサブタンクにメインタンクが上方から接続されるようになっており、このサブタンクは可撓性チューブを介して吐出ヘッドに接続されている。従って、メインタンク内のインクが使い切られたとしても、サブタンク内にインクが残留しているため、吐出ヘッドへ至るチューブ内にエアが侵入するのを防止することができる。また、メインタンクの交換時にメインタンクとサブタンクとの接続部分にエアが混入する場合もあるが、このエアがサブタンク内へ移動すると、サブタンクが大気開放されているため、浮力によってインクから分離されて外部へ排出されることとなり、チューブ内への侵入を防止することができる。
【特許文献1】特開2002−307711号公報
【特許文献2】特開2005−66906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1,2に開示された構成の場合、特に新たなメインタンクをサブタンクに接続した際に、メインタンクとサブタンクとを連通する流路に混入したエアにより、メニスカスが形成される場合がある。このメニスカスが形成されると、前記流路を通じてメインタンクからサブタンクへインクを供給することが困難となり、メインタンク内のインクを使い切る前にサブタンク内のインクがなくなり、サブタンクから前記チューブへとエアが侵入する可能性がある。
【0005】
より具体的には、吐出ヘッドには圧電素子等から成るアクチュエータが備えられ、吐出ヘッドは、このアクチュエータの駆動によってノズル孔からインクを吐出すると共に、メインタンク及びサブタンクからチューブを介してインクを吸引するようにして補充する。しかしながら、メインタンクとサブタンクとを連通する流路にメニスカスが形成されると、該メニスカスを破ってメインタンク内のインクをサブタンクへ吸引するためにはサブタンク内を負圧にする必要があるが、上述したようにサブタンクは大気開放されているため、メニスカスを破るのは困難である。一方、サブタンクが大気開放されている故に、アクチュエータの駆動によってサブタンク内のインクはチューブを介して吐出ヘッドへ供給される。その結果、メインタンク内のインクは吐出ヘッドへ供給されず、サブタンク内のインクのみが供給されることとなり、サブタンク内のインクを使い切った後にエアがチューブへ侵入する可能性がある。
【0006】
また、このような事態は、記録用紙にインクを吐出して画像形成するインクジェット記録装置に限られず、着脱可能なメインタンクと液滴を吐出する吐出ヘッドとの間に気液分離用のサブタンクを備える液滴吐出装置の全般において共通するものである。
【0007】
そこで本発明は、着脱可能なメインタンクと吐出ヘッドとの間に気液分離用のサブタンクを備えつつ、メインタンクとサブタンクとの接続部分に形成されたメニスカスを破壊することができる液滴吐出装置と、該液滴吐出装置用のサブタンクとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る液滴吐出装置は、被記録体へ液体を吐出する吐出ヘッドと、液体を貯留するメインタンクとの接続部を有して該メインタンクから供給された液体を前記吐出ヘッドへ供給するサブタンクとを備え、該サブタンクは、前記接続部に前記メインタンクが接続されたときに該メインタンクから液体が流入する液体流入口と、前記吐出ヘッドへ供給する液体が流出する液体流出口と、外部に連通して内部空間を大気開放する大気開放口とを有し、更に前記サブタンクは、前記内部空間において液面が所定位置以下になったときに、前記液体流入口、前記液体流出口、及び前記大気開放口の全てが前記内部空間を通じて互いに連通する状態から、前記液体流入口及び前記液体流出口のみが前記内部空間を通じて互いに連通する状態へと切り換える切換手段を有している。
【0009】
即ち、前記切換手段により、サブタンクの内部空間において液面が所定位置以下になったときには、液体流入口、液体流出口、及び大気開放口の全てが前記内部空間を通じて互いに連通する状態から、液体流入口と液体流出口とが前記内部空間を通じて互いに連通すると共に、液体流入口と大気開放口、及び液体流出口と大気開放口とは、互いに連通せずに遮断された状態へと切り換えられるようになっている。
【0010】
このような構成とすることにより、液面が所定位置より高い状態ではサブタンクが大気開放され、適切に気液分離することができると共に、液面が所定位置以下となった状態では、大気開放口が内部空間を通じて液体流入口及び液体流出口に連通しなくなるため、メインタンクとサブタンクとの接続部分にメニスカスが形成されたとしても、このメニスカスをサブタンク内へ吸引して破壊することができる。その結果、メインタンク内の液体を最後まで使い切ることができる。
【0011】
また、前記切換手段は、前記大気開放口を有する上室と前記液体流入口及び前記液体流出口を有する下室とに前記内部空間を仕切ると共に、前記上室と前記下室との間を連通する連通孔を有する弁座が形成された仕切部と、前記上室に収容されて前記連通孔を閉鎖可能な外形を有すると共に前記液体より比重の小さいフロートとから構成され、前記フロートが前記連通孔を閉鎖したときに、前記上室と前記下室とが互いに液密的に遮断されるよう構成されていてもよい。このような構成とすることにより、切換手段として電気的な駆動機構など複雑でコスト高な構成を採用せずに簡単な構成によって実現することができる。
【0012】
また、前記サブタンクにおける前記下室には、前記液体流入口から侵入するエアを捕捉可能な捕捉空間が設けられていてもよい。このような構成とすることにより、インクに含まれるエアをサブタンク内にて確実に捕捉することができ、且つ、メインタンクとサブタンクとの接続部分に混入したエアも確実に捕捉することができる。
【0013】
また、前記サブタンクは、前記大気開放口を開閉するバルブを更に備え、該バルブは、前記接続部に前記メインタンクが接続されていないときに前記大気開放口を閉鎖するよう構成されていてもよい。このような構成とすることにより、メインタンクが接続されずにサブタンクの液体流入口が開放された状態となっても、大気開放口が閉鎖されているためにサブタンク内は液体流入口を除いて密封された状態となる。従って、サブタンク内の負圧によって液体流入口を通じて液体が外部へ漏れ出るのを防止することができる。
【0014】
本発明に係るサブタンクは、液体を貯留するメインタンクとの接続部を有して該メインタンクから供給された液体を前記吐出ヘッドへ供給する液滴吐出装置用のサブタンクであって、前記接続部に前記メインタンクが接続したときに該メインタンクから液体が流入する液体流入口と、前記吐出ヘッドへ供給する液体が流出する液体流出口と、外部に連通して内部空間を大気開放する大気開放口とを備え、更に、前記内部空間において液面が所定位置以下になったときに、前記液体流入口、前記液体流出口、及び前記大気開放口の全てが前記内部空間を通じて互いに連通する状態から、前記液体流入口及び前記液体流出口のみが前記内部空間を通じて互いに連通する状態へと切り換える切換手段を備えている。
【0015】
このような構成とすることにより、上述したように、液面が所定位置より高い状態ではサブタンクが大気開放されて適切に気液分離することができると共に、液面が所定位置以下となった状態ではメインタンクとサブタンクとの接続部分のメニスカスをサブタンク内へ吸引して破壊することができ、メインタンク内の液体を最後まで使い切ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る液滴吐出装置によれば、着脱可能なメインタンクと吐出ヘッドとの間に気液分離用のサブタンクを備えつつ、メインタンクとサブタンクとの接続部分に形成されたメニスカスを破壊することができる。また、本発明に係る液滴吐出装置用のサブタンクによれば、インク中のエアを適切に気液分離可能であると共に、メインタンクとサブタンクとの接続部分に形成されたメニスカスを破壊することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る液滴吐出装置の構成と、該液滴吐出装置用のサブタンクの構成とについて、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置1の外観構成を示す斜視図であり、本実施の形態では液滴吐出装置1としてプリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、及びファクシミリ機能等を備える所謂複合機を図示している。図1に示すように液滴吐出装置1は、インクジェット方式によって画像を記録するプリンタ部2を、略直方体形状の筐体1aの下部に備え、且つスキャナ部3を筐体1aの上部に備えて構成されている。
【0019】
液滴吐出装置1のプリンタ部2は、筐体1aの正面(前側)に開口4を有しており、この開口4の内側には、下側の給紙トレイ5と上側の排紙トレイ6とが2段にして設けられている。給紙トレイ5には被記録体として複数枚の記録用紙を収容でき、例えば、A4サイズ以下の各種サイズの記録用紙が複数枚収容できるようになっている。
【0020】
プリンタ部2の正面の右下部分には扉7が開閉自在に設けられ、該扉7の内方にはメインタンク搭載部8(図2参照)が設けられている。従って、扉7が開かれるとメインタンク搭載部8が正面側に露出し、メインタンク(インクカートリッジともいう)9(図2参照)が水平方向から着脱可能になっている。メインタンク搭載部8は、使用されるインク色に対応した収容室が備えられており、本プリンタ部2では、5色のカラーインク、即ち、染料インクであるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)と、顔料インクであるブラック(Bk)とが使用される。したがって、メインタンク搭載部8には5つの収容室が区画されており、各収容室に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)、ブラック(Bk)の各色インクを貯留するメインタンク9が収容される。
【0021】
液滴吐出装置1の上部に設けられたスキャナ部3は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。即ち、図1に示されるように液滴吐出装置1の上面には、該液滴吐出装置1の天板として開閉自在に設けられた原稿カバー10が備えられている。そして、原稿カバー10の下側に、原稿が載置されるプラテンガラスや原稿の画像を読み取るイメージセンサなどが配設されている。
【0022】
液滴吐出装置1の正面上部には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル11が設けられている。操作パネル11は、各種操作ボタンや液晶ディスプレイから構成されており、液滴吐出装置1は、ユーザによる操作パネル11の操作の結果、該操作パネル11から出力される指示に基づいて動作可能になっている。また、液滴吐出装置1が外部のコンピュータに接続されている場合には、該コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても液滴吐出装置1は動作可能になっている。
【0023】
液滴吐出装置1の正面左上部分にはスロット部12が設けられている。スロット部12には、記憶媒体である各種小型メモリカードが装填可能であり、操作パネル11において所定の操作を行うことにより、スロット部12に装填された小型メモリカードに記憶されたデータが読み出し可能となっている。読み出されたデータは、操作パネル11の液晶ディスプレイに表示させることも可能であり、この表示に基づいて任意に選択された画像をプリンタ部2により記録用紙に記録させることができる。
【0024】
図2は、プリンタ部2の構成を示す模式的断面図である。図2に示すように、液滴吐出装置1の底部近傍には給紙トレイ5が設けられており、該給紙トレイ5の上方には、左右方向に長寸を成す平坦な板状のプラテン14が設けられている。このプラテン14の更に上方には、ノズル孔15aからインクを吐出する吐出ヘッド15等がキャリッジ16に搭載されて成る画像記録ユニット17が設けられている。また、給紙トレイ5の後方からは用紙搬送路18が延設されている。この用紙搬送路18は、給紙トレイ5の後方から上方へ向かい更に前方へ向かうように湾曲した湾曲パス18aと、該湾曲パス18aの終点から更に前方へ延びるストレートパス18bとから成り、画像記録ユニット17の配設箇所以外の部分では、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とで構成されている。
【0025】
給紙トレイ5の直上には、該給紙トレイ5内の記録用紙を用紙搬送路18へ供給する給紙ローラ19が設けられている。また、用紙搬送路18における湾曲パス18aの下流部分近傍には、搬送ローラ20a及びピンチローラ20bから成る一対の搬送ローラ対20が、両ローラ20a,20bによって用紙搬送路18を上下から挟むようにして設けられている。更に、用紙搬送路18におけるストレートパス18bの下流部分近傍には、排紙ローラ21a及びピンチローラ21bから成る一対の排紙ローラ対21が、両ローラ21a,21bによって用紙搬送路18を上下から挟むようにして設けられている。上述した吐出ヘッド15とプラテン14とは、搬送ローラ対20と排紙ローラ対21との間にて、ストレートパス18bを上下から挟むようにして設けられている。
【0026】
また、吐出ヘッド15は、左右方向(プラテン18の長手方向)へ延びる図示しないガイドロッドにより、左右方向へのスライド移動可能なように支持されており、更に吐出ヘッド15は、プーリ及びベルト等から成る図示しないヘッド駆動機構に連結されている。従って、該ヘッド駆動機構が駆動することにより、前記ガイドロッドに沿って左右方向へ所定範囲内で走査可能になっている。
【0027】
このようなプリンタ部2によれば、給紙トレイ5内の記録用紙が、給紙ローラ19によって用紙搬送路18へ供給され、続いて搬送ローラ対20によって用紙搬送路18上を湾曲パス18aからストレートパス18bへと搬送される。ストレートパス18bに到達した記録用紙は、ここで対向配置された吐出ヘッド15から吐出されるインクにより画像が記録され、記録が完了すると排紙ローラ対21によってストレートパス18bから排出されて排紙トレイ6(図1参照)へ収容されるようになっている。
【0028】
また、プリンタ部2が備える吐出ヘッド15へは、液滴吐出装置1の本体に着脱可能に装着されたメインタンク9からインクが供給されるようになっている。より具体的には、図2に示すように、液滴吐出装置1は気液分離用のサブタンク23を備え、メインタンク9がタンク搭載部8に装着されると、メインタンク9と連通して該メインタンク9からインクが供給されるようになっている。また、サブタンク23は、可撓性のインク供給チューブ24を介して、吐出ヘッド15の上部に接続されたバッファタンク25に接続されている。従って、吐出ヘッド15が有する圧電素子等から成るアクチュエータ(図示せず)の駆動によって、吐出ヘッド15内のインクがノズル孔15aから吐出されると共に、サブタンク23内のインクがインク供給チューブ24及びバッファタンク25を通じて吐出ヘッド15へ供給されるようになっている。
【0029】
なお、上述したように本実施の形態に係る液滴吐出装置1は、メインタンク9とサブタンク23が直接接続し、吐出ヘッド15とサブタンク23とが、可撓性のインク供給チューブ24によって互いに接続された構成であって、メインタンク9から吐出ヘッド15に至るインク供給流路が常に確立された所謂チューブ供給方式となっている。但し、本発明に係る液滴吐出装置及びサブタンクは、このようなチューブ方式の構成に適用が限定されるものではなく、他の構成、例えば、インク補給時に限ってメインタンク9から吐出ヘッド15に至るインク供給流路を接続するステーション方式(オンデマンド方式ともいう)の構成にも適用可能であることは言うまでもない。
【0030】
(実施例1)
次に、メインタンク9及びサブタンク23について、実施例1に係る構成を説明する。
【0031】
[メインタンクの構成]
図3は、実施例1に係るメインタンク9及びサブタンク23の構成を示す垂直断面図である。図3に示すように、メインタンク9はサブタンク23の側方に配置され、このメインタンク9はインク100を貯留するインク貯留室43を有している。メインタンク9においてサブタンク23と対向する壁面(図3右側)の下部には、開口部44と、その開口部44に連続する筒状のバルブ収容室45とが設けられている。バルブ収容室45は、開口部44からメインタンク9の内部に向かって延設されており、そこのバルブ収容室45にはインク供給バルブ46が収容されている。バルブ収容室45の奥壁面にはバルブ孔47が形成されており、このバルブ孔47の周囲からメインタンク9の内部に向かって中空円錐状のカバー部48が突設されている。
【0032】
カバー部48の下部には流入孔48aが形成されており、バルブ収容室45はバルブ孔47及び流入孔48aを介してインク貯留室43に連通している。バルブ孔47には逆止弁49が設けられており、この逆止弁49はバルブ収容室45に対してインク貯留室43が正圧となったときにバルブ孔47を開放し、バルブ収容室45に対してインク貯留室43が負圧となったときにバルブ孔47を閉鎖する。また、開口部44には環状のシール部材50が設けられており、シール部材50の中心には無負荷時に弾性により縮径するインク流出孔50aが形成されている。
【0033】
メインタンク9においてサブタンク23と対向する壁面(図3右側)の上部には、開口部60と、その開口部60に連続する筒状のバルブ収容室61とが設けられている。開口部60には環状のシール部材62が設けられており、シール部材62の中心には大気開放孔62aが形成されている。バルブ収容室61は開口部60からメインタンク9の内部に向かって延設されており、そのバルブ収容室61には大気開放バルブ63が収容されている。大気開放バルブ63は、大気開放孔62aを貫通してサブタンク23側に向けて外部へ突出するロッド部63aと、ロッド部63aの奥端部から径方向外側に突出するフランジ部63bとを有している。大気開放バルブ63は、フランジ部63bが大気開放孔62aを封止すべくシール部材62に接触するように付勢されている。ロッド部63aには、その延在方向に沿って溝部63cが設けられており、フランジ部63bがシール部材62から離反した状態では溝部63cを介してバルブ収容室61が大気開放される。バルブ収容室61の奥壁面には連通孔64が形成されており、バルブ収容室61は連通孔64を介してインク貯留室43の上層に形成される空気層に連通している。
【0034】
メインタンク9においてサブタンク23側の内壁面には凹部42が形成され、該凹部42に囲まれた空間はインク貯留室43に連続している。この凹部42の両側壁(図3の紙面奥側と手前側)には、インク貯留室43に貯留されているインクの残量を検出するための半透明材からなる光透過部51が設けられている。また、メインタンク9は、センサーアーム53を揺動可能に支持するための支持部52を有している。センサーアーム53は、支持部52に軸支される連結軸54aを有する連結部54と、連結部54の一方側(図3左側)に延在するフロート部55と、連結部54の他方側(図3右側)に延在するアーム部56とを備えている。
【0035】
フロート部55は、その平均比重がインクの比重よりも軽くなるように中空状に成形されている。アーム部56は、第1アーム56aと、第2アーム56bと、遮蔽部56cとを有している。第1アーム56aは、連結部54からフロート部55に対して略垂直をなす上方に向けて延びており、その先端からはフロート部55から遠ざかる方向へ第2アーム部56bが延びている。第2アーム部56bの先端には、凹部42内に位置するようにして遮蔽部56cが設けられている。
【0036】
アーム部56は、フロート部55よりも重量が小さく、且つインクに浸漬されたときにはフロート部55より作用する浮力が小さくなるように設定されている。従って、インク貯留室43にインクが入っていない状態では、センサーアーム53は連結軸54aを中心にフロート部55が降下する方向に回動し、その際、センサーアーム53の遮蔽部56cは、凹部42内から斜め上方に退くように移動する。一方、インク貯留室43にインクが十分充填された状態では、フロート部55がインクに浸漬され、浮力によってフロート部55とアーム部56との重量の均衡が逆転し、センサーアーム53は連結軸54aを中心にフロート部55が上昇する方向に回動する。その際、センサーアーム53の遮蔽部56cは、凹部42に進入するように斜め下方に移動する。
【0037】
また、メインタンク搭載部8(図2参照)には残量検出センサ30が設けられている。図3に示すように、この残量検出センサ30は、メインタンク9がメインタンク搭載部8に装着されると、メインタンク9の凹部42がこれに対応する位置にくるよう配設されている。残量検出センサ30は、メインタンク9を挟んで対向配置された図示しない発光部及び受光部を備え、発光部から射出された光はメインタンク9の光透過部51を透過して受光部にて受光される。従って、センサーアーム53の遮蔽部56が両側方の光透過部51の間に位置するときには受光部は受光できず、遮蔽部56が回動して光透過部51間から退くと受光可能になり、このような受光の有無によって遮蔽部56の位置、即ち、インク貯留室43内のインク残量が所定量(エンプティに近い少量)以上か否かを検出するようになっている。
【0038】
[サブタンクの構成]
次にサブタンク23について説明すると、図3に示すようにサブタンク23は、インクを貯留すべく下部に位置するインク貯留容器70と、該インク貯留容器70内を大気開放すべく上部に位置する大気開放部71とから構成されており、メインタンク9と略同じ高さ寸法となっている。下部のインク貯留容器70内には水平配置された仕切板72が設けられ、これによって下室70aと上室70bとに区分けされている。仕切板72の略中央には弁座72aが設けられており、該弁座72aには、仕切板72を上下方向に貫通して下室70a及び上室70bを連通する丸孔から成る連通孔72bが形成されている。
【0039】
インク貯留容器70の下室70aには、この連通孔72bの開口より大きい径を有する球形のフロート73が収容されている。該フロート73はインクより比重が小さく設計されているため、下室70aがインクで満たされているときには浮力によって上方に位置する一方、インクの液面が低下するにつれて下降し、液面が所定位置L以下になると弁座72aの連通孔72bを閉鎖するようになっている(図3にて二点鎖線で示すフロート73の状態)。
【0040】
また、下室70aにおいてメインタンク9側には流路壁74が垂設されており、該流路壁74とインク貯留容器70の外壁とによってインク流入路74aが形成されている。このインク流入路74aは、仕切板72の上方位置からインク貯留容器70の内底壁近傍に至る下方位置まで延設されており、その下端部にてインク貯留容器70の下室70aと連通している。また、下室70aには、流路壁74において仕切板72より下方へ延設された部分と、該仕切板72と、インク貯留容器70の外壁面とによって、下方へ凹状を成してエアを捕捉することのできるエア捕捉空間70cが形成されている。このエア捕捉空間70cは、その容積が、メインタンク9とサブタンク23とが接続されたときに両者の接続部分に混入する可能性のあるエアの容積より大きくなるように構成されている。
【0041】
サブタンク23においてメインタンク9側の壁部には、メインタンク9側に向かって筒状のニードル部(接続部)75が突設されており、該ニードル部75は、インク貯留容器70のインク流入路74aの上端部に向かって開口する液体流入口75aを有している。そして、ニードル部75がメインタンク9のシール部材50のインク流出孔50aに挿入されることで、サブタンク23のインク貯留容器70の下室70aとメインタンク9のインク貯留室43とが、インク流入路74aを介して連通される構成となっている。
【0042】
更に、サブタンク23の外壁部には、メインタンク9と離反する方向に向かって中空の突出部76が突設されている。この突出部76の内部空間は下室70aの一部を構成するようになっており、この空間に連通する筒状のチューブ取付部77が突出部76の上壁部から上方に向けて突設されている。チューブ取付部77は下室70aに向かって開口する液体流出口77aを有しており、液体流出口77aは液体流入口75aよりも低い位置に設けられている。そして、インク供給チューブ24(図2も参照)の一端がチューブ取付部77に接続されることで、サブタンク23のインク貯留容器70の下室70aが、インク供給チューブ24を介して画像記録ユニット17のバッファタンク25(図2参照)に連通される構成となっている。
【0043】
一方、大気開放部71は、エアの通流方向が上方から下方へ、下方から上方へと交互に切り換わるよう構成された気液分離用のラビリンス流路78を備えている。そして、このラビリンス流路78の一方の第1開口78aは、液体流入口75aより上方であってインク貯留容器70の上室70bの最上端に位置し、該上室70bに向かって開口してインク貯留容器70の大気開放口を成している。また、他方の第2開口78bは、サブタンク23の外部へ向かった開口している。従って、上記インク貯留容器70の上室70bは、ラビリンス流路78を介してサブタンク23の外部と連通している。
【0044】
[サブタンクの機能説明]
上述したような液滴吐出装置1の機能として、特にサブタンク23の機能について以下に詳説する。図4は、サブタンク23の機能を説明するための図面であり、(a)はメインタンク9がメインタンク搭載部8に装着され、メインタンク9とサブタンク23との接続部分にメニスカスが形成された状態を示し、(b)はこのメニスカスが破壊される様子を示している。
【0045】
図4(a)に示すように、メインタンク9がメインタンク搭載部8(図2参照)に装着されると、メインタンク9とサブタンク23との接続部分(図4ではニードル部75におけるメインタンク9側の端部近傍)にエア101が混入し、メニスカスが形成される。この状態で吐出ヘッド15(図2参照)からインクを吐出すると、サブタンク23内のインクはインク供給チューブ24を通じて吐出ヘッド15側へ供給されるが、メインタンク9内のインクはメニスカスに阻止されてサブタンク23へ供給されない。なお、図4(a)ではサブタンク23のインク貯留容器70内に比較的多くのインクが貯留し、その液面は上室70bにおいて所定位置L以上に位置している。従って、フロート73は仕切板72から上方へ離反して浮遊した状態となっている。
【0046】
次に、図4(b)に示すようにサブタンク23内のインクが減少し、その液面が所定位置L未満にまで下降すると、フロート73もこれに伴って下降し、ついには仕切板72の弁座72aに形成された連通孔72bを閉鎖して下室70aと上室70bとが液密的に遮断される。このように、弁座72aを有する仕切板72とフロート73とは、下室70aと上室70bとを互いに連通する状態と液密的に遮断する状態との間で切り換える切換手段90を成している。
【0047】
下室70aと上室70bとが遮断されると、下室70aは大気からも遮断された状態、即ち、大気開放部71を通じて大気開放されない状態となる。そのため、この状態で吐出ヘッド15でのインク吐出によりインク供給チューブ24を通じて吐出ヘッド15側へインクが吸引されると、サブタンク23の下室70aは負圧となるため、メインタンク9内のインクがサブタンク23内へ吸引される。そして、ニードル部75内にてメニスカスを形成していたエア101は、このようにメインタンク9側から吸引されるインクと共に、インク流入路74aを通じてサブタンク23の下室70aへと移動する。その結果、メニスカスは破壊され、以後、メインタンク9からサブタンク23へとインクが供給されることとなる。
【0048】
また、インクと共にサブタンク23の下室70aへ移動したエア101は、下室70aに構成されたエア捕捉空間70cにて一時的に捕捉される。このエア捕捉空間70cは、既に説明したように、エア101より大きな容積を有するよう構成されているため、メニスカスを破壊する際に下室70aへ侵入するエア101を確実に捕捉することができる。
【0049】
更に、メインタンク9からサブタンク23へインクが供給されるようになると、図4(b)にて二点鎖線で示すようにサブタンク23のインク貯留容器70内のインクの液面が上昇し、これに伴ってフロート73も上昇して連通孔72bを開放する。従って、下室70aは上室70bと連通すると共にラビリンス流路78を通じて大気開放され、上記エア101は連通孔72bを通じて上室70bへ向かい、第1開口78aからラビリンス流路78へ侵入し、第2開口78bから外部へと排出される。
【0050】
以上の説明から把握されるように、本実施の形態に係る液滴吐出装置1は、メインタンク9とサブタンク23との接続時にメニスカスが形成されたとしても、このメニスカスを確実に破壊し、メインタンク9からサブタンク23へインクを供給することができる。またその後においては、メインタンク9から供給されるインクに小径のエアが混入していたとしても、従来からのサブタンク23の機能によりこれを気液分離し、大気へ排出することができるため、インク供給チューブ24へのエアの侵入を適切に防止することができる。
【0051】
(実施例2)
次に、実施例2に係る液滴吐出装置1の構成、特に、メインタンク9の構成とサブタンク23の構成とについて説明する。本実施の形態に係るメインタンク9は、上述したようにサブタンク23の側方に配置され、サブタンク23のニードル部75はサブタンク23の側壁部の下方に設けられている。従って、サブタンク23のインク貯留容器70内にインクが残留している状態でメインタンク9が離脱されると、この残留インクがニードル部75を通じて外部へ漏れ出る可能性がある。しかしながら、後述するように、この実施例2に係るサブタンク23は、メインタンク9がメインタンク搭載部8から離脱されたときのインク漏れを防止することができる構成となっている。
【0052】
図5は、実施例2に係るメインタンク9及びサブタンク23の構成を示す垂直断面図である。図5に示すように、実施例2に係るサブタンク23が備えるラビリンス流路78は、メインタンク9側に向けて開口された第2開口80を備えている。この第2開口80の内方にはバルブ機構81が設けられており、該バルブ機構81は弁体81aとコイルバネ等から成る付勢手段81bとから構成されている。この弁体81aは、付勢手段81bによって第2開口80を閉鎖する方向に付勢されている。
【0053】
また、実施例2に係るメインタンク9は、そのサブタンク23側の壁部からサブタンク23側へ突出した大気開放ピン82を備えている。この大気開放ピン82は、メインタンク9がメインタンク搭載部8に装着されたときにサブタンク23の第2開口80へ挿通されるように配設されている。従って、挿通された大気開放ピン82は、付勢手段81bの付勢力に抗って弁体81aを移動させ、サブタンク23のインク貯留容器70内を大気開放させるようになっている。
【0054】
なお、上記以外の実施例2に係るメインタンク9及びサブタンク23の構成は、図3に示した実施例1に係る構成と同様になっているため、ここでの詳説は省略する。
【0055】
次に、このような実施例2に係るサブタンク23の機能について説明する。図6は、サブタンク23からのインク漏れを防止する機能を説明するための図面であり、(a)は、メインタンク9がサブタンク23から若干だけ離反して位置している状態を示し、(b)は、両者が完全に離反した状態を示している。
【0056】
まず、図5に示すようにメインタンク9がメインタンク搭載部8(図2参照)に装着されてサブタンク23と接続された状態から、メインタンク9を離脱させる場合について説明する。図6(a)に示すように、メインタンク9がサブタンク23から若干だけ(より詳しくは、ニードル部75を介して両者が未だに連通状態を維持している程度に)離反させると、第2開口80に挿通されていた大気開放ピン82が後退し、弁体81aがこの第2開口80を閉鎖する。従って、メインタンク9が完全に離脱する直前に、インク貯留容器70へ向けて開口する第1開口78aは大気に対して閉鎖されることとなり、インク貯留容器70は密閉状態となる。
【0057】
なお、図6(a)に示す状態では、サブタンク23のニードル部75は、少なくともその先端部がメインタンク9のインク流出孔50aに挿通されており、ニードル部75とインク流出孔50aとの間にインクが漏れ出る隙間がない状態となっている。但し、メインタンク9とサブタンク23とは、ニードル部75を介して連通していてもよいし、連通していなくてもよい。
【0058】
次に、図6(b)に示すようにメインタンク9をサブタンク23から完全に離反させると、サブタンク23のニードル部75がメインタンク9のインク流出孔50aから離反し、ニードル部75の先端は大気開放されることとなる。しかしながら、ニードル部75の先端の開口は小径であって、メインタンク9のインク流出孔50aからの離反時にメニスカスが形成される。しかも、サブタンク23のインク貯留容器70内は、第1開口78aが閉鎖された状態となっているため、インクの自重により負圧となる。このようなメニスカスと負圧とによって、サブタンク23内のインクは、ニードル部75を通じて外部へ漏れ出ないようになっている。
【0059】
このように、実施例2に係るメインタンク9及びサブタンク23にあっては、液体流入口74aを通じて両者が連通している状態からメインタンク9を離脱させる場合、まず第2開口80が閉じてサブタンク23内が密閉状態となり、その次にメインタンク9がサブタンク23から完全に離脱されて液体流入口74aが大気開放されるようになっている。従って、サブタンク23内にインクが残留している状態でメインタンク9を離脱させても、液体流入口74aを通じてサブタンク23内の残留インクが外部へ漏れ出ることがない。
【0060】
一方、新品のメインタンク9をメインタンク搭載部8に装着し、サブタンク23と接続させる場合は、上述したのとは逆の順に、図6(b)の状態から図6(a)の状態を経て図5に示す接続状態へと移行する。即ち、メインタンク9がサブタンク23に接続される場合は、まず図6(b)に示すように両者が完全に離反した状態から、図6(b)に示すように、ニードル部75の先端部がメインタンク9のインク流出孔50aに挿通された状態(但し、メインタンク9とサブタンク23とは液体流入口74aを介して連通していてもよいし、連通していなくてもよい)となり、この状態では第2開口80は開放されない。その後、メインタンク9がメインタンク搭載部8(図2参照)に完全に装着されることにより、図5に示すようにニードル部75が更に奥へと挿通され、第2開口80が開放されてサブタンク23のインク貯留容器70内が大気開放されると共に、メインタンク9とサブタンク23とが液体流入口74aを介して連通した状態となる。
【0061】
従って、メインタンク9がメインタンク搭載部8に完全に装着されて、メインタンク9とサブタンク23とが連通したときには、サブタンク23内が大気開放されているため、大気開放後はメインタンク9からサブタンク23へインクが円滑に供給される。また、サブタンク23内が大気開放されるときには、ニードル部75の先端部がメインタンク9のインク流出孔50aに挿通されているため、サブタンク23内のインクが液体流入口74aを通じて外部へ漏れ出ることもない。
【0062】
なお、本実施例2に係る構成においても、実施例1に係るのと同様の切換手段90を備えており、既に説明した実施例1に係る構成の作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
(実施例3)
次に、実施例3に係る液滴吐出装置1の構成、特にサブタンク23の構成について説明する。図7は、実施例3に係るサブタンク23の構成を示す垂直断面図である。図7に示すように、実施例3に係るサブタンク23は、実施例1に係る構成(図3参照)と大部分において同じであるが、ラビリンス流路78の第2開口78bを開閉する電磁弁83が設けられている点で異なっている。
【0064】
更に、メインタンク搭載部8には、これにメインタンク9が装着されたことを検出するためのセンサ85が設けられている。より詳しくは、このセンサ85は、メインタンク9がメインタンク搭載部8から離脱されつつあるか、又はメインタンク搭載部8へ装着されつつあって、メインタンク9のインク供給バルブ46が閉鎖状態(メインタンク9が密閉状態)で、サブタンク23のニードル部75の先端が、メインタンク9のインク流出孔50aに挿通された状態(以下、「弁駆動状態」という)であるか、を検出可能になっている。
【0065】
このような構成を備える実施例3に係るサブタンク23は、メインタンク9が離脱される場合は、センサ85によって弁駆動状態が検出されると、その検出信号は液滴吐出装置1が備える制御部(図示せず)へ入力される。この制御部は、入力信号に基づいて電磁弁83を駆動し、サブタンク23の第2開口78bを開放状態から閉鎖状態へと切り換えさせる。このような電磁弁83による第2開口78bの閉鎖動作は、上述したような弁駆動状態の間に完了され、その後、メインタンク9はサブタンク23から完全に離脱されることとなる。
【0066】
また、メインタンク9がサブタンク23に接続される場合は、両者が接近してセンサ85により弁駆動状態が検出されると、その検出信号は制御部へ入力され、制御部はこれに基づいて駆動信号を出力する。電磁弁83は、この駆動信号に基づいて第2開口78bを閉鎖状態から開放状態へと切り換える。そして、このような電磁弁83による第2開口78bの開放動作は、上述したような弁駆動状態の間に完了され、その後、メインタンク9はサブタンク23に対して完全に接続され、両者はニードル部75を通じて連通される。
【0067】
従って、このような実施例3に係るサブタンク23においても、実施例2において説明したのと同様に、メインタンク9の離脱時にはサブタンク23からの残留インクの漏れを防止でき、メインタンク9の装着時には円滑なインク供給が可能であるという作用効果を奏することができ、且つ、実施例1において説明したのと同様の作用効果を奏することができる。
【0068】
なお、実施例2及び実施例3においては、サブタンク23が有する第2開口78b,80を開閉する構成について説明したが、第1開口78aを開閉する構成としてもよいことはいうまでもなく、また、インク貯留容器70から第2開口78b,80に至るまでの流路途中に、該流路を開放及び閉鎖する機構を設けてもよい。このような場合であっても、上述したのと同様の作用効果を奏する。
【0069】
また、上述した説明では吐出ヘッド20とサブタンク23とが、画像形成時においても連通しているチューブ方式の構成について説明したが、その他にも、例えば所謂ステーション供給方式(オンデマンド方式ともいう)にも適用可能である。また、メインタンク9及びサブタンク23がニードル部75によって直接的に接続される構成にも限定されず、両者間が、例えば可撓性を有する他の管状部材を介して間接的に接続された構成であっても、本発明を適用することができる。更には、インクを吐出するものに限られず、吐出ヘッドへ供給する液体を貯留するサブタンクを備え、該サブタンクに対してメインタンクを連通可能な構成の液滴吐出装置であれば、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、着脱可能なメインタンクと吐出ヘッドとの間に気液分離用のサブタンクを備えつつ、メインタンクとサブタンクとの接続部分に形成されたメニスカスを破壊することができる液滴吐出装置、及びこれに用いるサブタンクに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】プリンタ部の構成を示す模式的断面図である。
【図3】実施例1に係るメインタンク及びサブタンクの構成を示す垂直断面図である。
【図4】サブタンクの機能を説明するための図面であり、(a)はメインタンクがメインタンク搭載部に装着され、メインタンクとサブタンクとの接続部分にメニスカスが形成された状態を示し、(b)はこのメニスカスが破壊される様子を示している。
【図5】実施例2に係るメインタンク及びサブタンクの構成を示す垂直断面図である。
【図6】サブタンクからのインク漏れを防止する機能を説明するための図面であり、(a)は、メインタンクがサブタンクから若干だけ離反して位置している状態を示し、(b)は、両者が完全に離反した状態を示している。
【図7】実施例3に係るサブタンクの構成を示す垂直断面図である
【符号の説明】
【0072】
1 液滴吐出装置
8 メインタンク搭載部
9 メインタンク
23 サブタンク
43 インク貯留室
70 貯留容器
70a 下室
70b 上室
70c 捕捉空間
71 大気開放部
72 仕切板
72a 弁座
72b 連通孔
73 フロート
74 流路壁
74a インク流入路
75 ニードル部(接続部)
75a 液体流入口
77a 液体流出口
78 ラビリンス流路
78a 第1開口(大気開放口)
78b 第2開口
80 第2開口
81 バルブ機構
82 大気開放ピン
83 電磁弁
85 センサ
90 切換手段
101 エア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録体へ液体を吐出する吐出ヘッドと、
液体を貯留するメインタンクとの接続部を有して該メインタンクから供給された液体を前記吐出ヘッドへ供給するサブタンクとを備え、
該サブタンクは、
前記接続部に前記メインタンクが接続されたときに該メインタンクから液体が流入する液体流入口と、前記吐出ヘッドへ供給する液体が流出する液体流出口と、外部に連通して内部空間を大気開放する大気開放口とを有し、
更に前記サブタンクは、前記内部空間において液面が所定位置以下になったときに、前記液体流入口、前記液体流出口、及び前記大気開放口の全てが前記内部空間を通じて互いに連通する状態から、前記液体流入口及び前記液体流出口のみが前記内部空間を通じて互いに連通する状態へと切り換える切換手段を有していることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記切換手段は、
前記大気開放口を有する上室と前記液体流入口及び前記液体流出口を有する下室とに前記内部空間を仕切ると共に、前記上室と前記下室との間を連通する連通孔を有する弁座が形成された仕切部と、
前記上室に収容されて前記連通孔を閉鎖可能な外形を有すると共に前記液体より比重の小さいフロートとから構成され、
前記フロートが前記連通孔を閉鎖したときに、前記上室と前記下室とが互いに液密的に遮断されるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記サブタンクにおける前記下室には、前記液体流入口から侵入するエアを捕捉可能な捕捉空間が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記サブタンクは、前記大気開放口を開閉するバルブを更に備え、該バルブは、前記接続部に前記メインタンクが接続されていないときに前記大気開放口を閉鎖するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
液体を貯留するメインタンクとの接続部を有して該メインタンクから供給された液体を前記吐出ヘッドへ供給する液滴吐出装置用のサブタンクであって、
前記接続部に前記メインタンクが接続したときに該メインタンクから液体が流入する液体流入口と、前記吐出ヘッドへ供給する液体が流出する液体流出口と、外部に連通して内部空間を大気開放する大気開放口とを備え、
更に、前記内部空間において液面が所定位置以下になったときに、前記液体流入口、前記液体流出口、及び前記大気開放口の全てが前記内部空間を通じて互いに連通する状態から、前記液体流入口及び前記液体流出口のみが前記内部空間を通じて互いに連通する状態へと切り換える切換手段を備えていることを特徴とする液滴吐出装置用のサブタンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−230162(P2008−230162A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76152(P2007−76152)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】