説明

液状体の描画方法、カラーフィルタの製造方法、有機EL素子の製造方法

【課題】液状体の無駄を省くと共に液滴を位置精度よく着弾させることができる液状体の描画方法、カラーフィルタの製造方法、有機EL素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の液状体の描画方法は、着弾観察用の液滴を吐出する第1吐出工程(ステップS1)と、液滴が吐出された画素領域を観察する着弾観察工程(ステップS2)と、得られた液滴の着弾位置情報を基に各画素領域に液滴をドットとして配置する配置情報を補正する配置情報補正工程(ステップS3)と、補正された配置情報に基づいて液滴を吐出する第2吐出工程(ステップS4)と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出法を用いた機能性材料を含む液状体の描画方法、カラーフィルタの製造方法、有機EL素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出法を用いた液状体の描画方法としては、記録媒体に格納されたデータに基づき、機能液滴吐出ヘッドをワークに対して相対的に移動させながら当該機能液滴吐出ヘッドに列設された複数のノズルから機能液滴を選択的に吐出させることにより、ワーク上の1以上のチップ形成領域に描画を行う描画方法(描画システム)が知られている(特許文献1)。
【0003】
上記描画方法では、記録媒体に格納された各ノズルの吐出パターンデータに基づき、ワークに対して機能液滴を吐出描画する。
【0004】
上記吐出パターンデータは、少なくともワーク上のチップ形成領域の配置に関するチップ情報と、チップ形成領域における画素の配列に関する画素情報と、ワークに対する各ノズルの配置に関するノズル情報と、に基づいて生成される。
【0005】
また、吐出された機能液滴の着弾位置を検出する方法としては、液滴吐出ヘッドのノズルから吐出された液滴が被検査物に着弾して得られたドットの位置ずれを、簡単且つ迅速に検出することができるドットずれ検出方法およびドットずれ検出装置が知られている(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−275650号公報
【特許文献2】特開2006−130383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ワーク上に機能性材料を含む液状体を液滴として吐出して機能性材料からなる膜パターンを形成する場合、ノズルから吐出された液滴を位置精度よくワーク上に着弾させる必要がある。しかしながら、上記描画方法を用いたとしてもワークと機能液滴吐出ヘッドとの相対移動において、複数のノズルとワークとの相対位置に「ずれ」があれば上記吐出パターンデータに基づく所望の位置に液滴が着弾しないおそれがある。
【0008】
このような「ずれ」が発生する要因としては、複数のノズルの配置精度、上記相対移動における移動精度等が挙げられる。
【0009】
このような「ずれ」を修正あるいは補正するために、上記ドットずれ検出方法およびドットずれ検出装置を用いることが考えられる。しかしながら、ワーク以外の被検査物に液滴を吐出するので、液状体の無駄が発生するという課題がある。
【0010】
本発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、液状体の無駄を省くと共に液滴を位置精度よく着弾させることができる液状体の描画方法、カラーフィルタの製造方法、有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の液状体の描画方法は、ワークと複数のノズルとの第1の方向への相対移動に同期して、ワーク上において第1の方向と第1の方向に直交する第2の方向とに隔壁部により区画された複数の画素領域に複数のノズルから機能性材料を含む液状体を液滴として吐出して画素構成要素を形成する液状体の描画方法であって、画素領域ごとに少なくとも1滴の液滴を吐出する第1吐出工程と、液滴が吐出された画素領域を観察して撮像する着弾観察工程と、撮像された画素領域において、隔壁部と液滴の着弾位置との第1の方向の距離および第2の方向の距離とを演算する演算工程と、画素領域ごとに所定数の液滴をドットとして配置する配置情報におけるワークと複数のノズルとの相対位置を、第1の方向の距離および第2の方向の距離に基づいて配置情報を補正する配置情報補正工程と、補正された配置情報に基づいて、液滴を吐出する第2吐出工程と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この方法によれば、演算工程では、第1吐出工程で吐出された液滴の着弾位置と隔壁部との第1の方向の距離と第2の方向の距離とを演算する。したがって、計測結果から複数のノズルからワークに液滴を吐出したときの第1の方向および第2の方向の着弾位置情報を得ることができる。液滴の着弾位置精度は、ワークと複数のノズルとの相対移動における相対位置精度を反映している。よって、配置情報補正工程において、上記第1の方向の距離と上記第2の方向の距離とに基づいてワークと複数のノズルとの相対位置を補正することにより、実際の液滴の着弾状態を反映した配置情報とすることができる。ゆえに、第2吐出工程では、液滴を位置精度よく画素領域内に着弾させることができる。さらには、液滴の着弾位置情報を入手するために、ワーク以外の被吐出物に液滴を吐出する場合に比べて、第1吐出工程ではワークの画素領域に少なくとも1滴の液滴を吐出するので、液状体の無駄を省くことができる。すなわち、液状体の無駄を省くと共に液滴を位置精度よく着弾させることができる液状体の描画方法を提供することができる。
【0013】
上記第1吐出工程では、複数の画素領域において第2の方向に平行な仮想中心線上に少なくとも1滴の液滴を吐出し、演算工程では、撮像された隔壁部に基づいて仮想中心線を求め、求められた仮想中心線と液滴の着弾位置との第1の方向の距離を演算することが好ましい。
【0014】
この方法によれば、演算工程では、第1吐出工程で吐出された液滴の着弾位置と仮想中心線との第1の方向の距離を演算する。したがって、この第1の方向の距離は、所望の着弾位置に対する実際の第1の方向におけるずれ量を演算することになる。よって、演算結果を基に第1の方向におけるワークに対する複数のノズルの相対位置を容易に補正することができる。
【0015】
上記第1吐出工程では、相対移動における往動と復動とに分けて画素領域に少なくとも1滴の液滴を吐出することが好ましい。この方法によれば、第1吐出工程では、相対移動における往動と復動とに分けて液滴を吐出するので、演算工程では、往動と復動とに対応した液滴の着弾位置情報を得ることができる。よって、第2吐出工程では、ワークと複数のノズルとの相対移動における往動と復動とに対応して、液滴を位置精度よく着弾させることができる。
【0016】
また、上記第1吐出工程では、複数のノズルのうち画素領域に掛かる最も離れた2つのノズルを選択して、それぞれ1滴ずつ液滴を吐出するとしてもよい。ワーク上に液滴を吐出する場合、着弾した液滴同士が濡れ広がって接すると表面張力により合体するおそれがある。液滴が合体すれば演算工程において正確な着弾位置を演算することが困難となる。この方法によれば、画素領域内において2つの液滴が離間して着弾するので、液滴の着弾位置情報を安定して得ることができる。
【0017】
上記着弾観察工程では、少なくとも1回の相対移動において複数のノズルが掛かる画素領域を観察することが好ましい。この方法によれば、すべての画素領域に吐出された液滴の着弾位置を観察せずとも効率的に複数のノズルに対応した液滴の着弾位置情報を入手することができる。
【0018】
上記配置情報において、上記所定数が画素領域に付与される必要量の液状体を液滴に換算した数から第1吐出工程において吐出された液滴の数を除いて設定されていることが好ましい。この方法によれば、液状体の無駄をより省いて画素領域に必要量の液状体を液滴として付与することができる。
【0019】
上記複数のノズルが相対移動の方向と交差する方向に配列した複数のノズル列により構成され、配置情報補正工程では、配置情報におけるワークと複数のノズル列との相対位置を上記第1の方向の距離および上記第2の方向の距離に基づいて補正することを特徴とする。この方法によれば、配置情報においてワークに対するノズル列ごとの相対位置を補正することができる。
【0020】
また、上記複数のノズル列が少なくとも1列のノズル列を有する複数の吐出ヘッドにより構成され、配置情報補正工程では、ワークと複数の吐出ヘッドとの相対位置を上記第1の方向の距離および上記第2の方向の距離に基づいて補正するとしてもよい。この方法によれば、配置情報においてワークに対する吐出ヘッドごとの相対位置を補正することができる。
【0021】
上記複数の吐出ヘッドが複数のヘッドユニットに分かれて搭載され、配置情報補正工程では、ワークと複数のヘッドユニットとの相対位置を上記第1の方向の距離および上記第2の方向の距離に基づいて補正するとしてもよい。この方法によれば、配置情報においてワークに対するヘッドユニットごとの相対位置を補正することができる。
【0022】
上記配置情報がノズルから液滴を吐出するエネルギー発生手段の吐出タイミングを含み、配置情報補正工程では、上記第1の方向の距離に基づいて、着弾位置ずれが生ずるノズル列の吐出タイミングを変えて補正することを特徴とする。この方法によれば、第1の方向すなわち相対移動の方向における液滴の着弾位置をエネルギー発生手段の吐出タイミングというソフト的な方法でノズル列ごとに補正することができる。したがって、着弾位置ずれが生ずるノズル列をハード的に位置調整する場合に比べて簡便に調整することができる。
【0023】
また、上記配置情報がノズルから液滴を吐出するエネルギー発生手段の吐出タイミングを含み、配置情報補正工程では、上記第1の方向の距離に基づいて、着弾位置ずれが生ずる吐出ヘッドの吐出タイミングを変えて補正するとしてもよい。この方法によれば、第1の方向すなわち相対移動の方向における液滴の着弾位置をエネルギー発生手段の吐出タイミングというソフト的な方法で吐出ヘッドごとに補正することができる。したがって、着弾位置ずれが生ずる吐出ヘッドをハード的に位置調整する場合に比べて簡便に調整することができる。
【0024】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に区画形成された複数の画素領域に少なくとも3色の着色層を有するカラーフィルタの製造方法であって、上記発明の液状体の描画方法を用い、着色層形成材料を含む少なくとも3色の液状体を複数の画素領域に吐出描画する描画工程と、吐出描画された液状体を固化して、少なくとも3色の着色層を形成する固化工程とを備えたことを特徴とする。
【0025】
この方法によれば、液状体の無駄を省くと共に液滴を位置精度よく着弾させることができる液状体の描画方法を用いているので、必要量の液状体を液滴として各画素領域に付与して所望の光学特性を有するカラーフィルタを製造することができる。
【0026】
上記第1吐出工程では、同色の液状体が付与される画素領域において第2の方向に平行な仮想中心線上に1色の液状体の液滴を少なくとも1滴吐出するとしてもよい。この方法によれば、第1吐出工程において1色の液状体を吐出するので、液状体の無駄をより省いてカラーフィルタを製造することができる。
【0027】
本発明の有機EL素子の製造方法は、基板上に区画形成された複数の画素領域に少なくとも発光層を有する有機EL素子の製造方法であって、上記発明の液状体の描画方法を用い、発光層形成材料を含む液状体を複数の画素領域に吐出描画する描画工程と、吐出描画された液状体を固化して、発光層を形成する固化工程とを備えたことを特徴とする。
【0028】
この方法によれば、液状体の無駄を省くと共に液滴を位置精度よく着弾させることができる液状体の描画方法を用いているので、必要量の液状体を液滴として各画素領域に付与して所望の発光特性を有する有機EL素子を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(実施形態1)
本発明の実施形態は、基板上の複数の画素領域としての着色領域に複数色の着色層を有するカラーフィルタの製造方法を例に説明する。着色層は画素構成要素であり、複数のノズルから複数の着色領域に機能性材料としての着色層形成材料を含む液状体を液滴として吐出して形成する。
【0030】
まず、液状体を液滴として吐出描画することができる液滴吐出装置について図1から図6に基づいて説明する。図1は、液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図である。
【0031】
図1に示すように、液滴吐出装置10は、ワークとしてのマザー基板Wを主走査方向(X軸方向)に移動させるワーク移動機構20と、液滴吐出ヘッド50(図2参照)を副走査方向(Y軸方向)に移動させるヘッド移動機構30とを備えている。
【0032】
ワーク移動機構20は、一対のガイドレール21と、一対のガイドレール21に沿って移動する移動台22と、移動台22上に回転機構としてのθテーブル6を介して配設されたマザー基板Wを載置するセットテーブル5とを備えている。移動台22は、ガイドレール21の内部に設けられたエアスライダとリニアモータ(図示せず)により主走査方向に移動する。セットテーブル5はマザー基板Wを吸着固定することが可能であると共に、θテーブル6によってマザー基板W内の基準軸を正確に主走査方向、副走査方向に合わせることが可能となっている。
【0033】
ヘッド移動機構30は、一対のガイドレール31と、一対のガイドレール31に沿って移動する2つの移動台32,33とを備えている。移動台32には、回転機構7を介して吊設されたキャリッジ8が設けられている。キャリッジ8には、複数の液滴吐出ヘッド50が搭載されたヘッドユニット9が取り付けられている。また、液滴吐出ヘッド50に液状体を供給するための液状体供給機構(図示せず)と、複数の液滴吐出ヘッド50の電気的な駆動制御を行うためのヘッドドライバ48(図4参照)とが設けられている。移動台32がキャリッジ8をY軸方向に移動させてヘッドユニット9をマザー基板Wに対して対向配置する。
【0034】
移動台33には、撮像機構としてのカメラ12が搭載されている。カメラ12は、例えばCCD等の撮像素子を備え、移動台33によってY軸方向に移動して、マザー基板Wの表面に着弾した液滴の着弾状態を観察して撮像することができる。必要により被写体を照明する照明装置を移動台33に備えてもよい。
【0035】
液滴吐出装置10は、上記構成の他にも、ヘッドユニット9に搭載された複数の液滴吐出ヘッド50のノズルの目詰まりの解消、ノズル面の異物や汚れの除去などのメンテナンスを行うメンテナンス機構が、複数の液滴吐出ヘッド50を臨む位置に配設されているが図示省略した。
【0036】
図2は液滴吐出ヘッドの構造を示す概略図である。同図(a)は概略分解斜視図、同図(b)はノズル部の構造を示す断面図である。図2(a)および(b)に示すように、液滴吐出ヘッド50は、液滴Dが吐出される複数のノズル52を有するノズルプレート51と、複数のノズル52がそれぞれ連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有するキャビティプレート53と、各キャビティ55に対応するエネルギー発生手段としての振動子59を有する振動板58とが、順に積層され接合された構造となっている。
【0037】
キャビティプレート53は、ノズル52に連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有すると共に、このキャビティ55に液状体を充填するための流路56,57を有している。流路57は、ノズルプレート51と振動板58とによって挟まれ、出来上がった空間が、液状体が貯留されるリザーバの役目を果たす。
【0038】
液状体は、液状体供給機構から配管を通じて供給され、振動板58に設けられた供給孔58aを通じてリザーバに貯留された後に、流路56を通じて各キャビティ55に充填される。
【0039】
図2(b)に示すように、振動子59は、ピエゾ素子59cと、ピエゾ素子59cを挟む一対の電極59a,59bとからなる圧電素子である。外部から一対の電極59a,59bに駆動電圧パルスが印加されることにより接合された振動板58を変形させる。これにより隔壁54で仕切られたキャビティ55の体積が増加して、液状体がリザーバからキャビティ55に吸引される。そして、駆動電圧パルスの印加が終了すると、振動板58は元に戻り充填された液状体を加圧する。これにより、ノズル52から液状体を液滴Dとして吐出できる構造となっている。ピエゾ素子59cへ印加される駆動電圧パルスを制御することにより、それぞれのノズル52に対して液状体の吐出制御を行うことができる。
【0040】
液滴吐出ヘッド50は、圧電素子(ピエゾ素子)を備えたものに限らない。振動板58を静電吸着により変位させる電気機械変換素子を備えたものや、液状体を加熱してノズル52から液滴Dとして吐出させる電気熱変換素子を備えたものでもよい。
【0041】
図3(a)および(b)は、ヘッドユニットにおける液滴吐出ヘッドの配置を示す概略平面図である。詳しくは、同図(a)はセットテーブル5に対向する側から見た図、同図(b)はヘッドユニットを複数配置する場合の概略平面図である。
【0042】
図3(a)に示すように、異なる種類の液状体を吐出する3つの液滴吐出ヘッド50を1つの群として、4つのヘッド群50A,50B,50C,50Dが、第1の方向としての主走査方向(X軸方向)と第2の方向としての副走査方向(Y軸方向)とにそれぞれ2群ずつヘッドプレート9aに配置されている。液滴吐出ヘッド50は、180個のノズル52がほぼ等間隔P1(およそ140μm)で配列した2つのノズル列52a,52bを有している。ノズル列52aとノズル列52bとは副走査方向にほぼ等間隔P1の半分ずれた状態で配設されている。すなわち、主走査方向から見れば360個のノズル52がノズルピッチP2(およそ70μm)で配置された状態となっている。以降、360個のノズル52の列をノズル列60とする。
【0043】
ヘッド群50Aとヘッド群50Bとにおいて、各液滴吐出ヘッド50は、ノズル列60がその全長(P2×360)の3分の1ずつ副走査方向にずれて配置されている。また、主走査方向から見て同一種類の液状体を吐出する液滴吐出ヘッド50(例えばヘッドR1とヘッドR2)は、ノズル列60がノズルピッチP2を置いて副走査方向に連続するように配置されている。ヘッド群50C,50Dにおいても同様な液滴吐出ヘッド50の配置となっている。さらに、ヘッド群50Bとヘッド群50Cとにおいて主走査方向から見て最も近接して位置する同一種類の液状体を吐出する液滴吐出ヘッド50(例えばヘッドR2とヘッドR3)のノズル列60の間隔が、(P2×360)×2+P2となっている。
【0044】
図3(b)に示すように、マザー基板Wの大きさに応じて、複数のヘッドユニット9を副走査方向に配置する場合、隣接する2つのヘッドプレート9aの間隔L1は、主走査方向から見て最も近接して位置する同一種類の液状体を吐出する複数の液滴吐出ヘッド50(例えばヘッドR4とヘッドR5)のノズル列60の間隔が、(P2×360)×2+P2となるように設定されている。
【0045】
このようなヘッドユニット9を用いて、X軸方向への主走査とY軸方向へ(P2×360)×2+P2の間隔で移動させる副走査とを繰り返して行えば、副走査方向に連続した描画範囲に、3種の異なる液状体を吐出することが可能となる。
【0046】
次に液滴吐出装置10の制御系について説明する。図4は、液滴吐出装置の制御系を示すブロック図である。液滴吐出装置10の制御系は、液滴吐出ヘッド50、ワーク移動機構20、ヘッド移動機構30等を駆動する各種ドライバを有する駆動部46と、駆動部46を含め液滴吐出装置10を制御する制御部4とを備えている。また、カメラ12が接続された画像処理部49を備えている。
【0047】
駆動部46は、ワーク移動機構20およびヘッド移動機構30の各リニアモータをそれぞれ駆動制御する移動用ドライバ47と、液滴吐出ヘッド50を吐出制御するヘッドドライバ48と、メンテナンス機構の各メンテ用ユニットを駆動制御するメンテナンス用ドライバ(図示省略)とを備えている。
【0048】
制御部4は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、P−CON44とを備え、これらは互いにバス45を介して接続されている。P−CON44には、上位コンピュータ11が接続されている。ROM42は、CPU41で処理する制御プログラム等を記憶する制御プログラム領域と、描画動作や機能回復処理等を行うための制御データ等を記憶する制御データ領域とを有している。
【0049】
RAM43は、マザー基板Wに描画を行うための描画データを記憶する描画データ記憶部、マザー基板Wおよび各液滴吐出ヘッド50(実際には、ノズル列52a,52b)の位置データを記憶する位置データ記憶部等の各種記憶部を有し、制御処理のための各種作業領域として使用される。P−CON44には、駆動部46の各種ドライバ等や画像処理部49が接続されており、CPU41の機能を補うと共に、周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が構成され組み込まれている。このため、P−CON44は、上位コンピュータ11からの各種指令等をそのままあるいは加工してバス45に取り込むと共に、CPU41と連動して、CPU41等からバス45に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部46に出力する。
【0050】
そして、CPU41は、ROM42内の制御プログラムに従って、P−CON44を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM43内の各種データ等を処理した後、P−CON44を介して駆動部46等に各種の制御信号を出力することにより、液滴吐出装置10全体を制御している。例えば、CPU41は、液滴吐出ヘッド50、ワーク移動機構20およびヘッド移動機構30を制御して、ヘッドユニット9とマザー基板Wとを対向配置させ、ヘッドユニット9とマザー基板Wとの相対移動に同期して、各液滴吐出ヘッド50の複数のノズル52からマザー基板Wに液状体を液滴Dとして吐出して描画を行う。この場合、X軸方向へのマザー基板Wの移動に同期して液状体を吐出することを主走査と呼び、Y軸方向に複数の液滴吐出ヘッド50が搭載されたヘッドユニット9を移動させることを副走査と呼ぶ。本実施形態の液滴吐出装置10は、主走査と副走査とを組み合わせて複数回繰り返すことにより液状体を吐出描画することができる。主走査は、液滴吐出ヘッド50に対して一方向へのマザー基板Wの移動に限らず、マザー基板Wを往復させて行うこともできる。
【0051】
また、CPU41は、ヘッド移動機構30を駆動して移動台33をY軸方向に移動させ、搭載されたカメラ12をマザー基板Wと対向させる。そして、液滴Dが着弾したマザー基板Wの表面を観察すると共に撮像する。マザー基板Wに対してカメラ12を移動して観察する位置情報は、上位コンピュータ11により生成され観察座標として予めRAM43に入力されている。画像処理部49はP−CON44を介して上位コンピュータ11と接続されている。上位コンピュータ11は、カメラ12が撮像し画像処理部49によって変換された画像情報を表示部(図示省略)に表示することができ、オペレータは、液滴Dの着弾状態を確認することができる。
【0052】
画像処理部49は、撮像された画像を画像情報としてのビットマップデータに変換する。CPU41は、このビットマップデータから液滴Dの着弾位置や着弾径を演算することができる。演算結果は、RAM43に書き込まれる。詳細については後述する液状体の描画方法において説明する。
【0053】
次に、図5、図6を参照して、液滴吐出ヘッドの吐出制御方法について説明する。図5は吐出制御の詳細を示すブロック図である。図5に示すように、制御部4は、CPU41、ROM42、RAM43、P−CON44、バス45の他に、駆動信号(COM)を生成する駆動信号生成回路71と、クロック信号(CK)を生成する発信回路72とを備えている。ヘッドドライバ48は、シフトレジスタ73と、ラッチ回路74と、レベルシフタ75と、スイッチ76とを備え、液滴吐出ヘッド50の各ノズル52に対応する振動子59に選択的に駆動信号(COM)を印加できるように構成されている。
【0054】
上位コンピュータ11は、描画対象面において液滴Dをドットとして配置する制御データとしての配置情報を制御部4に伝送する。配置情報は、マザー基板Wに対する複数のノズル52の相対的な吐出位置、液滴Dを吐出するノズル52の選択、液滴Dの吐出回数、液滴Dを吐出する際の駆動条件を含むものである。そして制御部4は、これらの制御データに基づいて、ノズルデータ信号(SI)や駆動信号(COM)を、ノズル列単位ごとに次のように生成する。
【0055】
すなわち、CPU41は、制御データをデコードしてノズルごとのON/OFF情報を含むノズルデータを生成する。また、駆動信号生成回路71は、CPU41が算出したノズルデータに基づいて駆動信号(COM)の設定および生成を行う。
【0056】
ノズルデータをシリアル信号化したノズルデータ信号(SI)は、クロック信号(CK)に同期してシフトレジスタ73に伝送され、ノズル52ごとのON/OFF情報がそれぞれ記憶される。そして、CPU41で生成されたラッチ信号(LAT)が各ラッチ回路74に入力されることで、ノズルデータがラッチされる。ラッチされたノズルデータはレベルシフタ75によって増幅され、ノズルデータが「ON」の場合には所定の電圧がスイッチ76に供給される。また、ノズルデータが「OFF」の場合には、スイッチ76への電圧供給は行われない。
【0057】
かくして、レベルシフタ75で昇圧された電圧がスイッチ76に供給されている間は、振動子59に駆動信号(COM)が印加され、液滴Dがノズル52から吐出される(図2参照)。
【0058】
このような吐出制御は、ヘッドユニット9とマザー基板Wとの相対移動(主走査)に同期して、図6に示すように周期的に行われる。
【0059】
図6は吐出制御の制御信号を示す図である。図6に示すように、駆動信号(COM)は、放電パルス201、充電パルス202、放電パルス203を有する一連のパルス群200−1,200−2…が中間電位204で接続された構成となっている。そして、一つのパルス群によって、次のように一つの液滴Dを吐出するようになっている。
【0060】
すなわち、放電パルス201によって、電位レベルを上昇させると共に液状体をキャビティ55(図2(b)参照)内に引き込む。次に、急峻な充電パルス202によって、キャビティ55内の液状体を急激に加圧し、液状体をノズル52から押し出して液滴化する(吐出)。最後に放電パルス203によって、降下した電位レベルを中間電位204に戻すと共に、充電パルス202によって生じたキャビティ55内の圧力振動(固有振動)を打ち消す。
【0061】
駆動信号(COM)における電圧成分Vc,Vhや時間成分(パルスの傾きやパルス間の接続間隔など)などは、吐出量や吐出安定性などに大きく関わっているパラメータであり、予め適切な設計を要するものである。この場合、ラッチ信号(LAT)の周期は、液滴吐出ヘッド50の固有周波数特性を考慮して20kHzに設定されている。また、主走査における液滴吐出ヘッド50とマザー基板Wとの相対移動速度(この場合、セットテーブル5をX軸方向に移動させる移動速度)が200mm/秒に設定されている。したがって、吐出分解能が相対移動速度をラッチ周期で除したものとすれば、吐出分解能の単位が10μmとなる。すなわち、吐出分解能の単位でノズル52ごとに吐出タイミングを設定することが可能である。言い換えればマザー基板Wの表面に10μm単位の吐出間隔で液滴Dを配置することができる。なお、ラッチ信号の発生タイミングを移動台22に備えられたエンコーダ(図示省略)が出力するパルスを基準とすれば、移動分解能(この場合およそ1μm)の単位で吐出タイミングを制御することも可能である。
【0062】
液滴吐出装置10によれば、各液滴吐出ヘッド50のノズル52ごとあるいはノズル列52a,52bごとに、吐出量、吐出タイミングを変えて液状体を液滴Dとして吐出することが可能である。例えば、主走査におけるワークと各液滴吐出ヘッド50(実質的にはノズル列52a,52b)との相対位置が設計上の位置からずれると、吐出された液滴Dが所望の着弾位置からずれて着弾する。このような着弾位置のずれのうち、主走査方向へのずれについてノズル列52a,52bごとに吐出タイミングを変えることにより補正することが可能である。言い換えれば液滴吐出ヘッド50ごとに補正することが可能である。液滴吐出装置10の構成に基づく着弾位置ずれの要因としては、ヘッドユニット9における各液滴吐出ヘッド50の配置精度、ヘッドユニット9のキャリッジ8に対する配置精度、キャリッジ8が設けられた移動台32のY軸方向への移動精度、セットテーブル5のX軸方向への移動精度等が考えられる。なお、ノズル52から吐出された液滴Dの飛行曲がりによる着弾位置ずれは、必ずしも一定の方向に定常的に発生するとは限らないので、着弾位置精度を向上させるという観点からは、別の対応が求められる。例えば、複数のノズル52のうち、飛行曲がりが生ずるノズル52を選択せずに吐出する方法が挙げられる。
【0063】
ゆえに、液滴吐出装置10は、ヘッド移動機構30によりヘッドユニット9をマザー基板Wと対向させ、ワーク移動機構20による主走査に同期して、ヘッドユニット9に備えられた合計12個の液滴吐出ヘッド50から液状体を液滴Dとして高い位置精度で吐出することが可能である。
【0064】
次に、本実施形態の液滴吐出装置10を用いたカラーフィルタの製造方法について説明する。まず、カラーフィルタを有する電気光学装置としての液晶表示装置について簡単に説明する。図7は、液晶表示装置の構造を示す概略分解斜視図である。
【0065】
図7に示すように、液晶表示装置500は、TFT(Thin Film Transistor)透過型の液晶表示パネル520と、液晶表示パネル520を照明する照明装置516とを備えている。液晶表示パネル520は、着色層を有するカラーフィルタ505を具備する対向基板501と、画素電極510に3端子のうちの1つが接続されたTFT素子511を有する素子基板508と、対向基板501と素子基板508とによって挟持された液晶(図示省略)とを備えている。また、液晶表示パネル520の外面側となる対向基板501と素子基板508の表面には、透過する光を偏向させる上偏光板514と下偏光板515とが配設される。
【0066】
対向基板501は、透明なガラス等の材料からなり、液晶を挟む表面側に複数の画素領域としての着色領域をマトリクス状に区画する隔壁部としてのバンク504と、区画された複数の着色領域にRGB3色の着色層505R,505G,505Bとを備えている。バンク504は、Crなどの遮光性を有する金属あるいはその酸化膜からなるブラックマトリクスと呼ばれる下層バンク502と、下層バンク502の上(図面では下向き)に形成された有機化合物からなる上層バンク503とにより構成されている。また対向基板501は、バンク504とバンク504によって区画された着色層505R,505G,505Bとを覆う平坦化層としてのオーバーコート層(OC層)506と、OC層506を覆うように形成されたITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなる対向電極507とを備えている。カラーフィルタ505は後述するカラーフィルタの製造方法を用いて製造されている。
【0067】
素子基板508は、同じく透明なガラス等の材料からなり、液晶を挟む表面側に絶縁膜509を介してマトリクス状に形成された画素電極510と、各画素電極510に対応して形成された複数のTFT素子511とを備えている。TFT素子511の3端子のうち、画素電極510に接続されない他の2端子は、互いに絶縁された状態で画素電極510を囲むように格子状に配設された走査線512とデータ線513とに接続されている。
【0068】
照明装置516は、光源として白色のLED、EL、冷陰極管等を用い、これらの光源からの光を液晶表示パネル520に向かって出射することができる導光板や拡散板、反射板等の構成を備えたものであれば、どのようなものでもよい。
【0069】
なお、液晶を挟む対向基板501と素子基板508の表面には、液晶の分子を一の方向に配列させるための配向膜がそれぞれ形成されているが、図示省略した。また、上偏光板514と下偏光板515は、視角依存性を改善する目的等で用いられる位相差フィルムなどの光学機能性フィルムと組み合わされたものでもよい。液晶表示パネル520は、アクティブ素子としてTFT素子に限らずTFD(Thin Film Diode)素子を有したものでもよく、さらには、少なくとも一方の基板にカラーフィルタを備えるものであれば、画素を構成する電極が互いに交差するように配置されるパッシブ型の液晶表示装置でもよい。
【0070】
上記液晶表示装置500は、カラーフィルタ505を備えた対向基板501がマトリクス状に複数区画形成されたマザー基板Wと、同じく素子基板508がマトリクス状に複数区画形成されたマザー基板とが液晶を挟んで接合された構造体を所定の位置で切断して取り出すことにより製造される。
【0071】
図8は、マザー基板を示す概略平面図である。図8に示すように、マザー基板Wには、例えば、1つの液晶表示装置500におけるカラーフィルタ505(図7参照)の形成領域を1チップ領域として、9つのチップ領域C1〜C9がマトリクス状に設けられている。各チップ領域C1〜C9には、Y軸方向に同色の着色領域Aがストライプ状に並んでいる。
【0072】
<カラーフィルタの製造方法>
図9(a)〜(e)は、カラーフィルタの製造方法を示す概略断面図である。上記のような3色の着色層505R,505G,505Bを有するカラーフィルタ505の製造方法は、対向基板501の表面にバンク504を形成する工程と、バンク504によって区画された着色領域Aを表面処理する工程とを備えている。また、液滴吐出装置10を用いて表面処理された着色領域Aに着色層形成材料を含む3種(3色)の液状体を液滴Dとして吐出描画する描画工程と、描画された液状体を乾燥して着色層505R,505G,505Bを形成する固化工程としての成膜工程とを備えている。さらにバンク504と着色層505R,505G,505Bとを覆うようにOC層506を形成する工程と、OC層506を覆うようにITOからなる透明な対向電極507を形成する工程とを備えている。
【0073】
バンク504を形成する工程では、図9(a)に示すように、まずブラックマトリクスとしての下層バンク502を対向基板501上に形成する。下層バンク502の材料は、例えば、Cr、Ni、Al等の不透明な金属、あるいはこれらの金属の酸化物等の化合物を用いることができる。下層バンク502の形成方法としては、蒸着法あるいはスパッタ法で上記材料からなる膜を対向基板501上に成膜する。膜厚は、遮光性が保たれる膜厚を選定された材料に応じて設定すればよい。例えば、Crならば、100〜200nmが好ましい。そして、フォトリソグラフィ法により開口部502a(図7参照)に対応する部分以外の膜表面をレジストで覆い、上記材料に対応する酸等のエッチング液を用いて膜をエッチングする。これにより開口部502aを有する下層バンク502が形成される。
【0074】
次に上層バンク503を下層バンク502の上に形成する。上層バンク503の材料としては、アクリル系の感光性樹脂材料を用いることができる。また、感光性樹脂材料は、遮光性を有することが好ましい。上層バンク503の形成方法としては、例えば、下層バンク502が形成された対向基板501の表面に感光性樹脂材料をロールコート法やスピンコート法で塗布し、乾燥させて厚みがおよそ2μmの感光性樹脂層を形成する。そして、着色領域Aに対応した大きさで開口部が設けられたマスクを対向基板501と所定の位置で対向させて露光・現像することにより、上層バンク503を形成する方法が挙げられる。これにより対向基板501上に複数の着色領域Aをマトリクス状に区画するバンク504が形成される。そして表面処理工程へ進む。
【0075】
表面処理工程では、O2を処理ガスとするプラズマ処理とフッソ系ガスを処理ガスとするプラズマ処理とを行う。すなわち、着色領域Aが親液処理され、その後感光性樹脂からなる上層バンク503の表面(壁面を含む)が撥液処理される。そして、描画工程へ進む。
【0076】
描画工程では、図9(b)に示すように、表面処理された各着色領域Aのそれぞれに、対応する液状体80R,80G,80Bを液滴Dとして吐出する。液状体80RはR(赤色)の着色層形成材料を含むものであり、液状体80GはG(緑色)の着色層形成材料を含むものであり、液状体80BはB(青色)の着色層形成材料を含むものである。液滴吐出装置10の液滴吐出ヘッド50に各液状体80R,80G,80Bを充填する。そして、液滴Dをドットとして着色領域Aに配置する配置情報に基づいてヘッドユニット9とマザー基板Wとを相対移動させ、各液滴吐出ヘッド50から各液状体80R,80G,80Bを着色領域Aに向けて吐出する主走査を行う。各液状体80R,80G,80Bは、後述する液状体の描画方法を用いて吐出されるので、着色領域Aの面積に応じて必要量が付与される。
【0077】
次に成膜工程では、図9(c)に示すように、吐出描画された各液状体80R,80G,80Bを一括乾燥し、溶剤成分を除去して各着色層505R,505G,505Bを成膜する。乾燥方法としては、溶剤成分を均質に乾燥可能な減圧乾燥などの方法が望ましい。そして、OC層形成工程へ進む。
【0078】
OC層形成工程では、図9(d)に示すように、着色層505R,505G,505Bと上層バンク503とを覆うようにOC層506を形成する。OC層506の材料としては、透明なアクリル系樹脂材料を用いることができる。形成方法としては、スピンコート法、オフセット印刷などの方法が挙げられる。OC層506は、着色層505R,505G,505Bが形成された対向基板501の表面の凹凸を緩和して、後にこの表面に膜付けされる対向電極507を平担化するために設けられている。また、対向電極507との密着性を確保するために、OC層506の上にさらにSiO2などの薄膜を形成してもよい。そして、透明電極形成工程へ進む。
【0079】
透明電極形成工程では、図9(e)に示すように、スパッタ法や蒸着法を用いてITOなどの透明電極材料を真空中で成膜して、OC層506を覆うように全面に対向電極507を形成する。
【0080】
図10(a)および(b)は、描画工程におけるワークとヘッドユニットとの相対的な配置を示す概略平面図である。マザー基板Wの大きさに対応して2つのヘッドユニット9を配置した場合を示す。なお、図面上の各液滴吐出ヘッド50を示す四角形のY軸方向の幅は、当該液滴吐出ヘッド50の有効なノズル列60の全長に対応した描画幅Iwを示すものである。
【0081】
図10(a)に示すように、制御部4は、ヘッド移動機構30のリニアモータを駆動して、移動台32を移動させヘッドユニット9をマザー基板Wに対向させる。そして主走査に際して、ヘッド群50DのヘッドB4がマザー基板Wの全描画領域のY軸方向の端を描画可能な位置に位置決めする。また、隣合うヘッドユニット9の間隔L1は、(P2×360)×2+P2となるように、ヘッド移動機構30により調整される。
【0082】
制御部4は、ワーク移動機構20のリニアモータを駆動させて、セットテーブル5に載置されたマザー基板WをX軸方向(主走査方向)に移動させ、これに同期して各液滴吐出ヘッド50から異なる種類の液状体を吐出する。これにより、ヘッドB3とヘッドB4が1回目に描画可能な描画幅を幅Eb1とすると、副走査方向に(P2×360)×2+P2の間隔を置いた幅Eb1の分割描画領域において、B列に並ぶ着色領域Aに対応する液状体80Bが吐出される。他の異なる種類の液状体80R,80Gの吐出においても同様である。
【0083】
次に図10(b)に示すように、制御部4は、各ヘッドユニット9を副走査方向に距離(P2×360)×2+P2移動させる改行動作を行う。そして再び主走査による描画動作を行う。ヘッドB3とヘッドB4の液滴吐出ヘッド50が描画可能な描画幅を幅Eb2とすると、幅Eb1=幅Eb2=(P2×360)×2+P2であるため、少なくとも2回の主走査を行えば、マザー基板Wの全描画領域に渡って異なる液状体80R,80G,80Bを吐出することができる。マザー基板Wの全描画領域のY軸方向の端では、ヘッドG4、ヘッドR4で描画できない領域が発生する。制御部4は、ヘッド移動機構30を駆動して、各ヘッドユニット9を移動させる副走査と主走査による描画動作とを繰り返す。これにより複数の液滴吐出ヘッド50の描画幅を最大限に利用して全描画領域の着色領域Aに異なる種類の液状体80R,80G,80Bを偏りなく吐出する。
【0084】
上記描画工程では、3色の液状体80R,80G,80Bをほぼ同時に吐出する。このような描画方法においては、必要量の各液状体80R,80G,80Bを液滴Dとして対応する着色領域Aに高い位置精度で着弾させることが要求される。例えば、ノズル52から吐出された液滴Dが本来着弾すべき着色領域Aに着弾せず、他の異なる液状体が付与されるべき着色領域Aに着弾すると、異種の液状体同士が混じり合って所謂混色が発生する。このような吐出不具合はカラーフィルタ505の製造における歩留りに影響する。また、液晶表示装置500においては、混色となった着色層505R,505G,505Bを有する画素は色ムラなどの不良画素となる。本発明の液状体の描画方法は、このような課題を考慮してなされた。
【0085】
<液状体の描画方法>
次に、本実施形態の液状体の描画方法について、図11から図14に基づいて説明する。図11は液状体の描画方法を示すフローチャートである。
【0086】
図11に示すように、本実施形態の液状体の描画方法は、着弾観察用の液滴Dを吐出する第1吐出工程(ステップS1)と、液滴Dが吐出された着色領域Aを観察する着弾観察工程(ステップS2)と、得られた液滴Dの着弾位置情報を基に各着色領域Aに液滴Dをドットとして配置する配置情報を補正する配置情報補正工程(ステップS3)と、補正された配置情報に基づいて液滴Dを吐出する第2吐出工程(ステップS4)と、を備えている。
【0087】
図12(a)および(b)は、第1吐出工程における液滴の配置を示す概略平面図である。図11のステップS1では、図12(a)に示すように、緑色(G)の各着色領域Aに液状体80Gの液滴Dを1滴吐出する。その際に、同色の着色領域AのY軸方向に平行な仮想中心線CL上に液滴Dが着弾するように吐出制御する。これにより液滴DがX軸方向に偏って着弾しないので、バンク504に接触して着弾形状が崩れることを低減できる。
【0088】
液滴の着弾位置情報を精度よく得るには、主走査における往動と復動とに分けて液滴Dをできるだけ離間して着弾させる方がよい。そこで、隣接する着色領域Aに掛かるノズル列52a,52bのうち最も離れたノズルN1とノズルN8とを選択して、主走査における往動と復動とに分けて液滴D1と液滴D2とを吐出する。この場合、1回の主走査は、ヘッドユニット9を改行動作させないで往復させる。当然ながらバンク504により区画された着色領域Aの大きさやノズル52のノズルピッチにより液滴D1,D2を吐出するノズル52の選択が変わる。これらの液滴D1および液滴D2の配置は、上位コンピュータ11を用いて予めビットマップデータとして生成しておく。
【0089】
また、図12(b)に示すように、同色の着色領域Aごとの仮想中心線CL上に2滴の液滴Dを吐出してもよい。その場合には、隣接する着色領域Aに掛かるノズル列52a,52bのうちそれぞれ離れたノズルN1とノズルN4、ノズルN6とノズルN8を選択して、主走査における往動と復動とに分けて液滴D3、液滴D4、液滴D5、液滴D6を吐出する。これによれば、後の着弾観察工程において少なくとも1つの着色領域Aを観察すれば済む。そして、ステップS2へ進む。
【0090】
図11のステップS2は、着弾観察工程である。ステップS2では、制御部4は、ヘッド移動機構30のリニアモータを駆動して、カメラ12を液滴Dが吐出された着色領域Aと対向するように移動台33を移動させる。図12(a)に示すように液滴D1と液滴D2とが着弾した着色領域Aを少なくとも撮像する。画像処理部49は、撮像された画像をビットマップに変換する。CPU41は、バンク504のビットパップから仮想中心線CLを求める。また、液滴D1の着弾形状を示すビットマップから着弾位置としての着弾中心を求める。求められた仮想中心線CLと着弾中心とのX軸方向の距離x1を演算する。また、液滴D1の着弾中心とバンク504の内壁からの距離y1を演算する。液滴D2の場合も同様にx2とy2を演算して求める。演算結果は、RAM43に記憶される。
【0091】
図12(b)に示すように着色領域Aに2滴の液滴Dを吐出した場合も同様である。液滴D3に対して距離x3と距離y3を求める。液滴D4に対して距離x4と距離y4を求める。液滴D5に対して距離x5と距離y5を求める。液滴D6に対して距離x6と距離y6を求める。
【0092】
図12(a)および(b)における各液滴D1,D2,D3,D4,D5,D6の配置は、言い換えればマザー基板Wに対して各液滴D1,D2,D3,D4,D5,D6を吐出したノズル52の相対的な位置を示すものである。さらには、主走査における往動と復動とに分けて吐出されているので、実際の着弾位置精度を示すものである。なお、実際には、着弾後の液滴は、着色領域A内において平面視ほぼ円形に濡れ広がるので、撮像までに時間が経過していても、画像処理により着弾中心を導くことが可能である。
【0093】
この場合、ステップS1の第1吐出工程では、緑色(G)の着色領域Aに液状体80Gの液滴Dを吐出した。図10に示したように、ヘッドユニット9には、12個の液滴吐出ヘッド50が配置されている。したがって、着弾位置情報を基に主走査における各液滴吐出ヘッド50とマザー基板Wとの相対的な位置を補正するには、少なくとも1回の主走査において吐出描画される幅Eb1の分割描画領域において液滴Dの着弾位置を求めることが望ましい。一方で広範囲に渡って着弾観察すると生産性の低下を招くことになる。そこで、具体的にどの着色領域Aに着弾した液滴Dを観察するのか説明する。図13は、着弾観察の方法を示す概略平面図である。
【0094】
図13に示すように、本実施形態の着弾観察工程では、1つのヘッド群のうち主走査方向において中央に位置する液状体80Gを吐出する液滴吐出ヘッド50が掛かる着色領域Aを観察した。より具体的には、例えばヘッド群50DのヘッドG4において、ノズル列52a,52bのほぼ中央に位置するノズル52が主走査によって掛かる着色領域Aを観察した。これにより、効率的に液滴D1と液滴D2の着弾位置情報を得ることができる。他のヘッド群50A,50B,50Cにおいても同様である。また、複数のヘッドユニット9を用いる場合もそれぞれのヘッド群に対応して着弾観察する着色領域Aの座標を予め決めておく。このような観察座標は、上位コンピュータ11を用いて、主走査における各液滴吐出ヘッド50(実際には、ノズル列52a,52b)の配置情報を基に生成することが可能である。そして、ステップS3へ進む。
【0095】
図11のステップS3は配置情報補正工程である。ステップS3では、ステップS2で求められた距離x,yに基づいて、必要量の液状体を所定数の液滴Dとして着色領域Aにドットとして配置する配置情報におけるマザー基板Wに対する各液滴吐出ヘッド50(ノズル列52a,52b)、ヘッドユニット9の相対位置を補正する。
【0096】
補正方法としては、主走査におけるヘッドユニット9とマザー基板Wとの相対的な吐出開始位置を補正する方法が挙げられる。第2吐出工程では、2つのヘッドユニット9を改行動作させるので、副走査方向において吐出開始位置を補正することも含まれる。これらは、いわゆる吐出開始位置をハード的にワーク移動機構20とヘッド移動機構30とを用いてオフセットする方法である。
【0097】
さらに、上記のようなオフセット方法に加えて、主走査方向の着弾位置ずれの補正については、エネルギー発生手段としての振動子59を駆動する吐出タイミングを変えるソフト的な方法が挙げられる。これによれば、ヘッドユニット9に搭載された液滴吐出ヘッド50ごと、あるいはノズル列52a,52bごとの着弾位置ずれを補正することが可能である。
【0098】
なお、主走査方向のずれは、距離xをそのまま用いて統計処理することにより補正値として用いることができる。副走査方向のずれは、配置情報におけるノズル52の位置情報を基に演算する。したがって、バンク504の内壁からの距離yに限らず、バンク504で区画された着色領域Aの境界線からの距離として画像情報としてのビットマップから求めてもよい。これによれば、バンク504の形成精度に影響され難い。そして、ステップS4へ進む。
【0099】
図11のステップS4は、第2吐出工程である。図14(a)および(b)は、第2吐出工程における液滴の配置を示す概略図である。ステップS4では、まず図14(a)に示すように、ヘッドユニット9とマザー基板Wとの主走査における往動において、例えば、ノズル列52a,52bのうち赤色(R)の着色領域Aに掛かるノズルN1,N2,N3,N4,N6,N7,N8を選択して、それぞれ5回の吐出を行う。そして、図14(b)に示すように、副走査方向にずらしたヘッドユニット9とマザー基板Wとの主走査における復動において、ノズル列52a,52bのうち赤色(R)の着色領域Aに掛かるノズルN1,N2,N3,N5,N6,N7,N8を選択して、それぞれ5回の吐出を行う。これにより同色の着色領域Aに合計35滴の液滴Dを着弾させる。他の緑色(G)の着色領域Aおよび青色(B)の着色領域Aにおいても同様である。このような液滴Dの配置は、ステップS3において補正された配置情報に基づいている。
【0100】
図12(a)に示したように、ステップS1の第1吐出工程において、緑色(G)の着色領域Aには、1滴の液滴が先行して吐出されているため、合計の液滴数が36滴となるが、吐出ムラにはなり難い。また、図12(b)に示したように着色領域Aに先行して2滴の液滴Dを吐出する場合など、必要量の液状体を厳格に付与したい場合には、第2吐出工程において、各着色領域Aに吐出する液滴Dの所定数から第1吐出工程で吐出した液滴Dの数を予め除くように配置情報における吐出回数を変えておく。
【0101】
このような液状体の描画方法によれば、第2吐出工程では補正された配置情報に基づいて液滴Dが吐出されるので、位置精度よく着色領域Aに着弾させること可能である。また、必要量の液状体を液滴Dとして着色領域Aごとに安定的に付与することが可能である。
【0102】
なお、このような液状体の描画方法は、液滴吐出装置10の稼動開始時や液滴吐出ヘッド50またはヘッドユニット9を交換した後などに実施することが望ましい。配置情報を1度補正すれば、以降、補正された配置情報に基づいて第2吐出工程を繰り返して行ってもよい。
【0103】
さらに、第1吐出工程で着弾観察用の液滴Dを吐出するノズル52において、吐出抜けや飛行曲がりなどの吐出不具合が生ずる場合には、他のノズル52を選択することは言うまでもない。
【0104】
上記実施形態1の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態1の液状体の描画方法は、第1吐出工程で着弾観察用の液滴Dを緑色(G)の着色領域Aの仮想中心線CL上に1滴吐出する。着弾観察工程で得られた着色領域Aの画像情報から液滴Dの着弾中心に対して仮想中心線CLとの距離xとバンク504との距離yとを演算して求める。配置情報補正工程では、距離x,yに基づいて配置情報におけるマザー基板Wと複数のノズルとしてのノズル列52a,52b(ノズル列60)との相対位置を補正する。第2吐出工程では、補正された配置情報に基づいて液滴Dを吐出する。したがって、液滴Dを位置精度よく着色領域Aに着弾させることができる。液滴Dをマザー基板W以外の被吐出物に吐出して着弾位置情報を得る場合に比べて、直接マザー基板Wに吐出するので、液状体を無駄にしない。
【0105】
(2)上記実施形態1の液状体の描画方法において、第1吐出工程では、着弾観察用の液滴Dを主走査の往動と復動とに分けて着色領域Aごとに吐出する。したがって、液滴Dの着弾位置情報を往動と復動とに対応して入手することができる。この着弾位置情報に基づいて配置情報が補正されるので、第2吐出工程では、より高い位置精度で液滴Dを着弾させることができる。
【0106】
(3)上記実施形態1の液状体の描画方法において、第2吐出工程では、第1吐出工程で吐出した液滴Dの数を除いた所定数の液滴Dを対応する着色領域Aに吐出するように配置情報を補正可能なため、必要量の液状体を無駄なく着色領域Aに付与することができる。
【0107】
(4)上記実施形態のカラーフィルタ505の製造方法は、上記実施形態1の液状体の描画方法を用いて、3色の液状体80R,80G,80Bを吐出する。したがって、必要量の液状体を液滴Dとして無駄なく且つ位置精度よく着色領域Aに着弾させて、所望の光学特性を有するカラーフィルタ505を製造することができる。また、このカラーフィルタ505を有する対向基板501を用いれば、見映えのよい表示品質を有する液晶表示装置500を提供することができる。
【0108】
(実施形態2)
次に上記実施形態1の液状体の描画方法を適用した他の実施形態として、発光層を有する有機EL素子の製造方法について説明する。
【0109】
まず、有機EL素子を有する有機EL表示装置について簡単に説明する。図15は、有機EL表示装置の要部構造を示す概略断面図である。図15に示すように、有機EL表示装置600は、有機EL素子としての発光素子部603を有する素子基板601と、素子基板601と空間622を隔てて封着された封止基板620とを備えている。また素子基板601は、素子基板601上に回路素子部602を備えており、発光素子部603は、回路素子部602上に重畳して形成され、回路素子部602により駆動されるものである。発光素子部603には、3色の発光層617R,617G,617Bが画素領域としての発光層形成領域Aに形成され、ストライプ状となっている。素子基板601は、3色の発光層617R,617G,617Bに対応する3つの発光層形成領域Aを1組の絵素とし、この絵素が素子基板601の回路素子部602上にマトリクス状に配置されたものである。有機EL表示装置600は、発光素子部603からの発光が素子基板601側に出射するものである。
【0110】
封止基板620は、ガラスまたは金属からなるもので、封止樹脂を介して素子基板601に接合されており、封止された内側の表面には、ゲッター剤621が貼り付けられている。ゲッター剤621は、素子基板601と封止基板620との間の空間622に侵入した水または酸素を吸収して、発光素子部603が侵入した水または酸素によって劣化することを防ぐものである。なお、このゲッター剤621は省略しても良い。
【0111】
素子基板601は、回路素子部602上に複数の画素領域としての発光層形成領域Aを有するものであって、複数の発光層形成領域Aを区画する隔壁部618と、複数の発光層形成領域Aに形成された電極613と、電極613に積層された正孔注入/輸送層617aとを備えている。また複数の発光層形成領域A内に発光層形成材料を含む3種の液状体を付与して形成された発光層617R,617G,617Bを有する発光素子部603を備えている。隔壁部618は、下層バンク618aと発光層形成領域Aを実質的に区画する上層バンク618bとからなり、下層バンク618aは、発光層形成領域Aの内側に張り出すように設けられて、電極613と各発光層617R,617G,617Bとが直接接触して電気的に短絡することを防止するためにSiO2等の無機絶縁材料により形成されている。
【0112】
素子基板601は、例えばガラス等の透明な基板からなり、素子基板601上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。半導体膜607には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されている。なお、Pイオンが導入されなかった部分がチャネル領域607cとなっている。さらに下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、ゲート絶縁膜608上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極609が形成され、ゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。ゲート電極609は半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置に設けられている。また、第1層間絶縁膜611aおよび第2層間絶縁膜611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ接続されるコンタクトホール612a,612bが形成されている。そして、第2層間絶縁膜611b上に、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明な電極613が所定の形状にパターニングされて配置され(電極形成工程)、一方のコンタクトホール612aがこの電極613に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール612bが電源線614に接続されている。このようにして、回路素子部602には、各電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615が形成されている。なお、回路素子部602には、保持容量とスイッチング用の薄膜トランジスタも形成されているが、図15ではこれらの図示を省略している。
【0113】
発光素子部603は、陽極としての電極613と、電極613上に順次積層された正孔注入/輸送層617aと、各発光層617R,617G,617B(総称して発光層Lu)と、上層バンク618bおよび発光層Luを覆うように積層された陰極604とを備えている。正孔注入/輸送層617aと発光層Luとにより発光が励起される機能層617を構成している。なお、陰極604と封止基板620およびゲッター剤621を透明な材料で構成すれば、封止基板620側から発光する光を出射させることができる。
【0114】
有機EL表示装置600は、ゲート電極609に接続された走査線(図示省略)とソース領域607aに接続された信号線(図示省略)とを有し、走査線に伝わった走査信号によりスイッチング用の薄膜トランジスタ(図示省略)がオンになると、そのときの信号線の電位が保持容量に保持され、該保持容量の状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ615のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ615のチャネル領域607cを介して、電源線614から電極613に電流が流れ、さらに正孔注入/輸送層617aと発光層Luとを介して陰極604に電流が流れる。発光層Luは、これを流れる電流量に応じて発光する。有機EL表示装置600は、このような発光素子部603の発光メカニズムにより、所望の文字や画像などを表示することができる。
【0115】
<有機EL素子の製造方法>
次に本実施形態の有機EL素子としての発光素子部の製造方法について図16に基づいて説明する。図16(a)〜(f)は、有機EL素子としての発光素子部の製造方法を示す概略断面図である。なお、図16(a)〜(f)においては、素子基板601上に形成された回路素子部602は、図示を省略している。
【0116】
本実施形態の発光素子部603の製造方法は、素子基板601の複数の発光層形成領域Aに対応する位置に電極613を形成する工程と、電極613に一部が掛かるように下層バンク618aを形成し、さらに下層バンク618a上に実質的に発光層形成領域Aを区画するように上層バンク618bを形成する隔壁部形成工程とを備えている。また上層バンク618bで区画された発光層形成領域Aの表面処理を行う工程と、表面処理された発光層形成領域Aに正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体を付与して正孔注入/輸送層617aを吐出描画する工程と、吐出された液状体を乾燥して正孔注入/輸送層617aを成膜する工程とを備えている。また、正孔注入/輸送層617aが形成された発光層形成領域Aの表面処理を行う工程と、表面処理された発光層形成領域Aに発光層形成材料を含む3種の液状体を吐出描画する描画工程と、吐出された3種の液状体を乾燥して発光層Luを成膜する固化工程とを備えている。さらに、上層バンク618bと発光層Luを覆うように陰極604を形成する工程を備えている。
【0117】
電極(陽極)形成工程では、図16(a)に示すように、回路素子部602がすでに形成された素子基板601の発光層形成領域Aに対応する位置に電極613を形成する。形成方法としては、例えば、素子基板601の表面にITO等の透明電極材料を用いて真空中でスパッタ法あるいは蒸着法で透明電極膜を形成する。その後、フォトリソグラフィ法にて必要な部分だけを残してエッチングして電極613を形成する方法が挙げられる。また、フォトレジストで素子基板601を先に覆って、電極613を形成する領域が開口するように露光・現像する。そして開口部にITO等の透明電極膜を形成し、残存したフォトレジストを除く方法でもよい。そして隔壁部形成工程へ進む。
【0118】
隔壁部形成工程では、図16(b)に示すように、素子基板601の複数の電極613の一部を覆うように下層バンク618aを形成する。下層バンク618aの材料としては、無機材料である絶縁性のSiO2(酸化珪素)を用いている。下層バンク618aの形成方法としては、例えば、後に形成される発光層Luに対応して、各電極613の表面をレジスト等を用いてマスキングする。そしてマスキングされた素子基板601を真空装置に投入し、SiO2をターゲットあるいは原料としてスパッタリングや真空蒸着することにより下層バンク618aを形成する方法が挙げられる。レジスト等のマスキングは、後に剥離する。なお、下層バンク618aは、SiO2により形成されているため、その膜厚が200nm以下であれば十分な透明性を有しており、後に正孔注入/輸送層617aおよび発光層Luが積層されても発光を阻害することはない。
【0119】
続いて、各発光層形成領域Aを実質的に区画するように下層バンク618aの上に上層バンク618bを形成する。上層バンク618bの材料としては、後述する発光層形成材料を含む3種の液状体100R,100G,100Bの溶媒に対して耐久性を有するものであることが望ましく、さらに、フッソ系ガスを処理ガスとするプラズマ処理により撥液化できること、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミドなどといった有機材料が好ましい。上層バンク618bの形成方法としては、例えば、下層バンク618aが形成された素子基板601の表面に感光性の上記有機材料をロールコート法やスピンコート法で塗布し、乾燥させて厚みがおよそ2μmの感光性樹脂層を形成する。そして、発光層形成領域Aに対応した大きさで開口部が設けられたマスクを素子基板601と所定の位置で対向させて露光・現像することにより、上層バンク618bを形成する方法が挙げられる。これにより下層バンク618aと上層バンク618bとを有する隔壁部618が形成される。そして、表面処理工程へ進む。
【0120】
発光層形成領域Aを表面処理する工程では、隔壁部618が形成された素子基板601の表面を、まずO2ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより電極613の表面、下層バンク618aの張り出し部および上層バンク618bの表面(壁面を含む)を活性化させて親液処理する。次にCF4等のフッ素系ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより有機材料である感光性樹脂からなる上層バンク618bの表面のみにフッ素系ガスが反応して撥液処理される。そして、正孔注入/輸送層形成工程へ進む。
【0121】
正孔注入/輸送層形成工程では、図16(c)に示すように、正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体90を発光層形成領域Aに付与する。液状体90を付与する方法としては、図1の液滴吐出装置10を用いる。液滴吐出ヘッド50から吐出された液状体90は、液滴Dとして素子基板601の電極613に着弾して濡れ拡がる。液状体90は発光層形成領域Aの面積に応じて必要量が液滴Dとして吐出される。そして乾燥・成膜工程へ進む。
【0122】
乾燥・成膜工程では、素子基板601を例えばランプアニール等の方法で加熱することにより、液状体90の溶媒成分を乾燥させて除去し、電極613の下層バンク618aにより区画された領域に正孔注入/輸送層617aが形成される。本実施形態では、正孔注入/輸送層形成材料としてPEDOT(Polyethylene Dioxy Thiophene;ポリエチレンジオキシチオフェン)を用いた。なお、この場合、各発光層形成領域Aに同一材料からなる正孔注入/輸送層617aを形成したが、後に形成される発光層Luに対応して正孔注入/輸送層617aの材料を発光層形成領域Aごとに変えてもよい。そして次の表面処理工程へ進む。
【0123】
次の表面処理工程では、上記の正孔注入/輸送層形成材料を用いて正孔注入/輸送層617aを形成した場合、その表面が、3種の液状体100R,100G,100Bに対して撥液性を有するので、少なくとも発光層形成領域Aの領域内を再び親液性を有するように表面処理を行う。表面処理の方法としては、3種の液状体100R,100G,100Bに用いられる溶媒を塗布して乾燥する。溶媒の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法等の方法が挙げられる。そして発光層Luの描画工程へ進む。
【0124】
発光層Luの描画工程では、図16(d)に示すように、液滴吐出装置10を用いて複数の液滴吐出ヘッド50から複数の発光層形成領域Aに発光層形成材料を含む3種の液状体100R,100G,100Bを付与する。液状体100Rは発光層617R(赤色)を形成する材料を含み、液状体100Gは発光層617G(緑色)を形成する材料を含み、液状体100Bは発光層617B(青色)を形成する材料を含んでいる。各液状体100R,100G,100Bの発光層形成領域Aへの付与は、上記実施形態1の液状体の描画方法を用いて行う。第2吐出工程では、補正された配置情報を用いて各液状体100R,100G,100Bの吐出を行う。よって、必要量の各液状体100R,100G,100Bがそれぞれ対応する発光層形成領域Aに液滴Dとして位置精度よく吐出される。そして、固化工程へ進む。
【0125】
固化工程では、図16(e)に示すように、吐出描画された各液状体100R,100G,100Bの溶媒成分を乾燥させて除去し、各発光層形成領域Aの正孔注入/輸送層617aに各発光層617R,617G,617Bが積層されるように成膜化する。各液状体100R,100G,100Bが吐出描画された素子基板601の乾燥方法としては、溶媒の蒸発速度をほぼ一定とすることが可能な、減圧乾燥が好ましい。そして陰極形成工程へ進む。
【0126】
陰極形成工程では、図16(f)に示すように、素子基板601の各発光層617R,617G,617Bと上層バンク618bの表面とを覆うように陰極604を形成する。陰極604の材料としては、Ca、Ba、Al等の金属やLiF等のフッ化物を組み合わせて用いるのが好ましい。特に発光層617R,617G,617Bに近い側に仕事関数が小さいCa、Ba、LiFの膜を形成し、遠い側に仕事関数が大きいAl等の膜を形成するのが好ましい。また、陰極604の上にSiO2、SiN等の保護層を積層してもよい。このようにすれば、陰極604の酸化を防止することができる。陰極604の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。特に発光層617R,617G,617Bの熱による損傷を防止できるという点では、蒸着法が好ましい。
【0127】
このようにして出来上がった素子基板601は、必要量の液状体100R,100G,100Bが対応する発光層形成領域Aに付与され、成膜化後の膜厚がほぼ一定となった各発光層617R,617G,617Bを有する。
【0128】
上記実施形態2の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態2の発光素子部603の製造方法において、発光層Luの描画工程では、上記実施形態1の液状体の描画方法を用いて素子基板601の発光層形成領域Aに、必要量の各液状体100R,100G,100Bが液滴Dとして吐出される。したがって、成膜化後の膜厚がほぼ一定となった各発光層617R,617G,617Bを有する発光素子部603を製造することができる。
【0129】
(2)上記実施形態2の発光素子部603の製造方法により製造された素子基板601を用いれば、各発光層617R,617G,617Bの膜厚がほぼ一定であるため、各発光層617R,617G,617Bごとの抵抗がほぼ一定となる。よって、回路素子部602により発光素子部603に駆動電圧を印加して発光させると、各発光層617R,617G,617Bごとの抵抗ムラによる発光ムラや輝度ムラ等が低減される。すなわち、発光ムラや輝度ムラ等が少なく、見映えのよい表示品質を有する有機EL表示装置600を提供することができる。
【0130】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
【0131】
(変形例1)上記実施形態1の液状体の描画方法において、第1吐出工程では、緑色(G)の着色領域Aに液状体80Gを液滴Dとして吐出したが、これに限定されない。各色の着色領域Aに着弾観察用の液滴Dを吐出してもよい。各液状体80R,80G,80Bを吐出する液滴吐出ヘッド50ごとにより正確な着弾位置の補正が可能である。
【0132】
(変形例2)上記実施形態1の液状体の描画方法において、第1吐出工程では、着色領域AのY軸方向に平行な仮想中心線CL上に液滴Dを吐出したが、これに限定されない。着弾した液滴Dにおいて、バンク504を基準としてX軸方向並びにY軸方向に対する液滴Dの着弾位置との距離を演算すれば着弾位置情報を得ることができる。
【0133】
(変形例3)上記実施形態1の液滴吐出装置10において、ヘッドユニット9における液滴吐出ヘッド50の配置は、これに限定されない。例えば、主走査方向(X軸方向)に対してノズル列60が交差するように配置されていてもよい。
【0134】
(変形例4)上記実施形態1のカラーフィルタ505の製造方法において、着色層は3色に限定されない。例えば、RGB3色に他色を加えた多色のカラーフィルタの製造方法においても上記実施形態1の液状体の描画方法を適用可能である。
【0135】
(変形例5)上記実施形態1のカラーフィルタ505の製造方法および上記実施形態2の有機EL素子としての発光素子部603の製造方法において、画素の配置はこれに限定されない。図17(a)〜(c)は、画素の配置を示す概略平面図である。同図(a)に示すストライプ方式はもちろんのこと、同図(b)のモザイク方式や同図(c)のデルタ方式の配置であっても、上記実施形態1の液状体の描画方法を適用することができる。
【0136】
(変形例6)上記実施形態1の液状体の描画方法を適用可能なデバイスの製造方法は、カラーフィルタや有機EL素子の製造方法に限定されない。例えば、基板上に区画形成された画素領域ごとに形成されるスイッチング素子やその配線部、画素電極等の製造方法についても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】(a)および(b)は液滴吐出ヘッドの構造を示す概略図。
【図3】(a)および(b)ヘッドユニットにおける液滴吐出ヘッドの配置を示す概略平面図。
【図4】液滴吐出装置の制御系を示すブロック図。
【図5】吐出制御の詳細を示すブロック図。
【図6】吐出制御の制御信号を示す図。
【図7】液晶表示装置の構造を示す概略分解斜視図。
【図8】マザー基板を示す概略平面図。
【図9】(a)〜(e)はカラーフィルタの製造方法を示す概略断面図。
【図10】(a)および(b)は描画工程におけるワークとヘッドユニットとの相対的な配置を示す概略平面図。
【図11】液状体の描画方法を示すフローチャート。
【図12】(a)および(b)は、第1吐出工程における液滴の配置を示す概略平面図。
【図13】着弾観察の方法を示す概略平面図。
【図14】(a)および(b)は第2吐出工程における液滴の配置を示す概略図。
【図15】有機EL表示装置の要部構造を示す概略断面図。
【図16】(a)〜(f)は有機EL素子としての発光素子部の製造方法を示す概略断面図。
【図17】(a)〜(c)は画素の配置を示す概略平面図。
【符号の説明】
【0138】
9…ヘッドユニット、50…吐出ヘッドとしての液滴吐出ヘッド、52…ノズル、52a,52b,60…ノズル列、59…エネルギー発生手段としての振動子、80R,80G,80B…着色層形成材料を含む液状体、100R,100G,100B…発光層形成材料を含む液状体、501…基板としての対向基板、505…カラーフィルタ、505R,505G,505B…着色層、601…基板としての素子基板、603…有機EL素子としての発光素子部、617R,617G,617B…発光層、618…隔壁部、A…着色領域および発光層形成領域、CL…仮想中心線、D…液滴、W…ワークとしてのマザー基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークと複数のノズルとの第1の方向への相対移動に同期して、前記ワーク上において前記第1の方向と前記第1の方向に直交する第2の方向とに隔壁部により区画された複数の画素領域に前記複数のノズルから機能性材料を含む液状体を液滴として吐出して画素構成要素を形成する液状体の描画方法であって、
前記画素領域ごとに少なくとも1滴の前記液滴を吐出する第1吐出工程と、
前記液滴が吐出された前記画素領域を観察して撮像する着弾観察工程と、
撮像された前記画素領域において、前記隔壁部と前記液滴の着弾位置との前記第1の方向の距離および前記第2の方向の距離を演算する演算工程と、
前記画素領域ごとに所定数の前記液滴をドットとして配置する配置情報における前記ワークと前記複数のノズルとの相対位置を、前記第1の方向の距離および前記第2の方向の距離に基づいて前記配置情報を補正する配置情報補正工程と、
補正された前記配置情報に基づいて、前記液滴を吐出する第2吐出工程と、を備えたことを特徴とする液状体の描画方法。
【請求項2】
前記第1吐出工程では、前記複数の画素領域において前記第2の方向に平行な仮想中心線上に少なくとも1滴の前記液滴を吐出し、
前記演算工程では、撮像された前記隔壁部に基づいて前記仮想中心線を求め、求められた前記仮想中心線と前記液滴の着弾位置との前記第1の方向の距離を演算することを特徴とする請求項1に記載の液状体の描画方法。
【請求項3】
前記第1吐出工程では、前記相対移動における往動と復動とに分けて前記画素領域に少なくとも1滴の前記液滴を吐出することを特徴とする請求項1または2に記載の液状体の描画方法。
【請求項4】
前記第1吐出工程では、前記複数のノズルのうち前記画素領域に掛かる最も離れた2つのノズルを選択して、それぞれ1滴ずつ前記液滴を吐出することを特徴とする請求項2に記載の液状体の描画方法。
【請求項5】
前記着弾観察工程では、少なくとも1回の前記相対移動において前記複数のノズルが掛かる前記画素領域を観察することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液状体の描画方法。
【請求項6】
前記配置情報において、前記所定数が前記画素領域に付与される必要量の前記液状体を前記液滴に換算した数から前記第1吐出工程において吐出された前記液滴の数を除いて設定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液状体の描画方法。
【請求項7】
前記複数のノズルが前記相対移動の方向と交差する方向に配列した複数のノズル列により構成され、
前記配置情報補正工程では、前記配置情報における前記ワークと前記複数のノズル列との相対位置を前記第1の方向の距離および前記第2の方向の距離に基づいて補正することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液状体の描画方法。
【請求項8】
前記複数のノズル列が少なくとも1列のノズル列を有する複数の吐出ヘッドにより構成され、
前記配置情報補正工程では、前記ワークと前記複数の吐出ヘッドとの相対位置を前記第1の方向の距離および前記第2の方向の距離に基づいて補正することを特徴とする請求項7に記載の液状体の描画方法。
【請求項9】
前記複数の吐出ヘッドが複数のヘッドユニットに分かれて搭載され、
前記配置情報補正工程では、前記ワークと前記複数のヘッドユニットとの相対位置を前記第1の方向の距離および前記第2の方向の距離に基づいて補正することを特徴とする請求項8に記載の液状体の描画方法。
【請求項10】
前記配置情報が前記ノズルから前記液滴を吐出するエネルギー発生手段の吐出タイミングを含み、
前記配置情報補正工程では、前記第1の方向の距離に基づいて、着弾位置ずれが生ずる前記ノズル列の前記吐出タイミングを変えて補正することを特徴とする請求項7に記載の液状体の描画方法。
【請求項11】
前記配置情報が前記ノズルから前記液滴を吐出するエネルギー発生手段の吐出タイミングを含み、
前記配置情報補正工程では、前記第1の方向の距離に基づいて、着弾位置ずれが生ずる前記吐出ヘッドの前記吐出タイミングを変えて補正することを特徴とする請求項8に記載の液状体の描画方法。
【請求項12】
基板上に区画形成された複数の画素領域に少なくとも3色の着色層を有するカラーフィルタの製造方法であって、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の液状体の描画方法を用い、着色層形成材料を含む少なくとも3色の液状体を前記複数の画素領域に吐出描画する描画工程と、
吐出描画された前記液状体を固化して、前記少なくとも3色の着色層を形成する固化工程と、を備えたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項13】
前記第1吐出工程では、同色の前記液状体が付与される前記画素領域において前記第2の方向に平行な仮想中心線上に1色の前記液状体の液滴を少なくとも1滴吐出することを特徴とする請求項12に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項14】
基板上に区画形成された複数の画素領域に少なくとも発光層を有する有機EL素子の製造方法であって、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の液状体の描画方法を用い、発光層形成材料を含む液状体を前記複数の画素領域に吐出描画する描画工程と、
吐出描画された前記液状体を固化して、前記発光層を形成する固化工程と、を備えたことを特徴とする有機EL素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−149292(P2008−149292A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342302(P2006−342302)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】