説明

液状化対策構造

【課題】多大な費用をかけることなく、非液状化層の上に液状化層が堆積した地盤の液状化を抑制するまたは液状化による地盤変形を抑制する液状化対策構造を提供すること。
【解決手段】非液状化層1の上に液状化層2が堆積した地盤を適用対象とし、液状化層において非液状化層1から離隔した位置に地盤改良体3を構築した液状化対策構造において、非液状化層1に着底または根入れされ、かつ地盤改良体3が側面に当接する着底構造体4を構築したので、地震により非液状化層1が水平方向に変位した場合でも地盤改良体3との水平方向の変位差が小さくなる。したがって、非液状化層1と地盤改良体3との間の残置液状化層2Aのせん断ひずみが抑制され、液状化を抑制または液状化による地盤変形を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非液状化層の上に液状化層が堆積した地盤の液状化の抑制または液状化による地盤変形を抑制する液状化対策構造に関する。
【背景技術】
【0002】
液状化層に繰り返しせん断応力が作用すると、液状化層が液状となり、地盤としての支持機能を失うことになる。このような事態を回避すべく、図1に示すように、全体着底型の地盤改良体103を液状化層102に構築した液状化対策構造が知られている。この全体着底型の地盤改良体103は、非液状化層101に着底または根入れするとともに、液状化層102の垂直方向全体にわたり構築される(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、液状化層102が厚い場合には多大な費用がかかることになる。
【0003】
一方、費用を節減すべく、図2に示すように、液状化層202に浮くように地盤改良体203を構築した液状化対策構造が提案されている。この液状化対策構造は、地盤改良体203下部の未改良部が液状化することを前提に構造物の沈下量が許容値以下となるように、地盤改良体203の厚みを設定するので、地盤改良体203を非液状化層201に着底または根入れする必要もなければ、液状化層202の垂直方向全体にわたり構築する必要もない。このため、液状化層202が厚くても費用を節減できることになる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平4−54004号公報
【特許文献2】特開2005−83174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載された液状化対策構造において、地震が発生すると、液状化対策領域外の液状化層202の影響を受け、構築した地盤改良体203が水平方向に変位する。すると、非液状化層201の水平方向の変位と地盤改良体203の水平方向の変位との変位差が大きくなる。そして、非液状化層201と地盤改良体203との間の液状化層202にせん断応力が作用し、加速度レベルによっては液状化することになる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、多大な費用をかけることなく、非液状化層の上に液状化層が堆積した地盤の液状化の抑制または液状化による地盤変形を抑制できる液状化対策構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、非液状化層の上に液状化層が堆積した地盤を適用対象とし、液状化層において非液状化層から離隔した位置に地盤改良体を構築した液状化対策構造において、非液状化層に着底または根入れされ、かつ前記地盤改良体の側面の一部に当接する着底構造体が構築されたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記液状化対策構造において、前記地盤改良体の厚みを前記液状化層の厚みの3/4以下に設定したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記液状化対策構造において、前記着底構造体の幅を前記液状化層における着底構造体の高さの0.4倍以上に設定したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記液状化対策構造において、前記地盤改良体と前記着底構造体とは、上下方向に相対変位可能に設けられ、前記地盤改良体の外側面に沿って、地盤改良体下方の残置液状化層の地震時の挙動が前記地盤改良体外側の液状化層に伝わる大きさの開放部を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記液状化対策構造において、前記地盤改良体と前記着底構造体とは、上下方向に相対変位可能に設けられ、想定地震時における前記地盤改良体の沈下量が設定沈下量以下になるように、前記着底構造体の幅が設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる液状化対策構造は、非液状化層に着底または根入れされ、かつ、地盤改良体の側面の一部に当接する着底構造体が構築されたので、地震が発生した場合でも地盤改良体の水平方向の変位が抑制され、非液状化層と地盤改良体の水平方向の変位差が小さくてすむ。したがって、非液状化層と地盤改良体との間の液状化層のせん断ひずみが抑制され、多大な費用をかけることなく、地盤の液状化の抑制または液状化しても地盤変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、特許文献1の液状化対策構造の概念を示す図である。
【図2】図2は、特許文献2の液状化対策構造の概念を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1にかかる液状化対策構造を示す概念図である。
【図4】図4は、格子壁体においてどのような格子が有効かつ経済的であるかを示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1の変形例にかかる液状化対策構造を示す概念図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2にかかる液状化対策構造を示す概念図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態3にかかる液状化対策構造を示す概念図である。
【図8】図8は、シナリオ波の時間と加速度との関係を示す図である。
【図9】図9は、遠心模型実験の概要を示す図である。
【図10】図10は、遠心模型実験の結果を示す図である。
【図11】図11は、段階加振による下方地盤の過剰間隙水圧比と最大加速度との関係を示す図である。
【図12】図12は、段階加振による表層地盤の沈下量と最大加速度との関係を示す図である。
【図13】図13は、実施の形態1にかかる液状化対策構造の地盤に地震波を作用させた場合に得られるFEM解析結果を示す図である。
【図14】図14は、比較対照となる全体浮き型構造の地盤に地震波を作用させた場合に得られるFEM解析結果を示す図である。
【図15】図15は、段階加振による最終加振後の地盤改良体天端部中央における沈下量と液状化層の厚みに対する地盤改良体の厚みの比との関係を示す図である。
【図16】図16は、地盤改良体と着底構造体との当接部を係合構造とする等、他の実施例を示す平面図である。
【図17】図17は、FEM解析を実施する解析モデルを示す概念図である。
【図18】図18は、図17に示した解析モデルに地震波を作用させてから20秒後の解析結果を示す図である。
【図19】図19は、図18のFEM解析の結果から得られた着底構造体の寸法比と地盤改良体の挙動との関係を示す図である。
【図20】図20は、図18のFEM解析の結果から得られた過剰間隙水圧比を示すコンター図である。
【図21】図21は、図12における各最大加速度での液状化層の沈下量を示す図である。
【図22】図22は、図12における各最大加速度での液状化層の体積ひずみを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる液状化防止構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図3に基づいて、本発明の実施の形態1である液状化対策構造について説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかる液状化対策構造を示す概念図である。実施の形態1にかかる液状化対策構造は、非液状化層1の上に液状化層2が堆積した地盤を適用対象とする。非液状化層1は、液状化することのない、例えば、堅い層であり、液状化層2はゆるい砂質地盤のように、液状化により、支持機能を失う可能性がある層である。
【0016】
液状化とは、地盤としての支持機能を失うことをいい、液状化層2(例えば、地下水で飽和された砂地盤)が地震などの繰り返しせん断応力を受けると液状化することになる。なお、液状化の指標として過剰間隙水圧比ruが用いられる。過剰間隙水圧比ruは、過剰間隙水圧Δuと有効土被り圧σv'との比であり、過剰間隙水圧比ruが理論上1.0の場合に液状化状態にあるとされる。
【0017】
図3に示すように、実施の形態1である液状化対策構造は、片端着底浮き型と称すべき構造であって、地盤改良体3の側面の一部としての一側面に当接するように変位抑制構造体としての着底構造体4が構築されている。
【0018】
地盤改良体3は、液状化層2において非液状化層1から上方に離隔した位置に構築されている。図3に示す例では、液状化層2に浮くように地盤改良体3が構築されている。地盤改良体3は、外形が平面視矩形であって、地震方向(加振方向)(図3において左右方向)と地盤改良体3の長手方向とが一致し、地震方向と交差する方向と地盤改良体3の短手方向とが一致するように構築されている。また、地盤改良体3は、平面視格子状の格子壁体であって、上方が開口するとともに下方も開口している。なお、図3では地盤改良体3を平面視格子状の格子壁体にして経済的な地盤改良体としているが、全面改良型の地盤改良体であってもよい。
【0019】
変位抑制構造体としての着底構造体4は、非液状化層1に着底または根入れされ、かつ、地盤改良体3が一側面4aに当接することにより、地盤改良体3の水平方向の変位を抑制するようになっている。図3に示す例では、地盤改良体3に隣接するとともに液状化層2の垂直方向全体にわたって構築され、下端が非液状化層1に着底している。着底構造体4は、外形が平面視矩形であって、長手方向の一つの外側面が地盤改良体3の短手方向の一つの外側面に沿って当接するようになっている。また、着底構造体4は、平面視格子状の格子壁体であって、上方が開口するとともに、下方が非液状化層1に着底することにより塞がれている。なお、図3に示す例では、着底構造体4の長手方向の長さが地盤改良体3の短手方向の長さと一致するように、着底構造体4を構築しているが、着底構造体4の長手方向の長さは地盤改良体3の短手方向の長さと一致する必要はない。すなわち、着底構造体4の長手方向の長さが地盤改良体3の短手方向の長さよりも短くてもよいし、地盤改良体3の短手方向の長さよりも長くてもよい。また、地盤改良体3と同様に着底構造体4も平面視格子状の格子壁体に限定されるものではない。
【0020】
上述した地盤改良体3と着底構造体4とを構成する平面視格子状の格子壁体において、どのような格子が有効かつ経済的であるか既存の文献(特許第2568115号公報)により明らかにされている。この文献によれば、図4に示すように、格子の内枠幅Lと液状化層の厚みHとの比(L/H)が0.8以下であることが必要であり、L/H=0.5〜0.8の範囲が設計的に適切であるとされている。
【0021】
上述した地盤改良体3と着底構造体4とは、上下方向変位可能に接しており、地盤改良体3が沈下しても着底構造体4が沈下することはない。また、地盤改良体3と着底構造体4とは、上下方向に変位可能に接しているために、地盤改良体と着底構造体とが剛結である場合のように曲げにより地盤改良体3が実質的に損壊することはない。なお、上下方向に変位可能に当接することであるが、地盤改良体3と着底構造体4との間に緩衝層(後述)を介在させて当接させる場合もあるが、緩衝層を特に設けなくてもよい。例えば、地盤改良体3と着底構造体4との間が施工上の継目となっていて、地盤改良体3の着底構造体4側の当接面側に沿う部分が強度的に弱部になっている場合は、その弱部が実質的に緩衝層の役目を果たし、それが変形して上下方向に変位可能になることが考えられる。要は、実質的に上下方向に変位可能になっていればよい。
【0022】
上述した液状化対策構造において、着底構造体4がない場合を考えると、非液状化層1と地盤改良体3との間となる液状化層2A(以下、残置液状化層という)が液状化すると、地盤改良体3は沈下することになる。例えば、残置液状化層2Aが一様に液状化すれば、残置液状化層2Aの厚みHに比例して地盤改良体が沈下することになる。すなわち、地盤改良体3の沈下量は、液状化層2の厚みHから地盤改良体3の厚みtを除いた残置液状化層2Aの厚みH(=H−t)に比例することになる。
【0023】
しかしながら、上述した液状化対策構造は、地盤改良体3の変位を抑制する着底構造体4が構築される。このため、地震が発生した場合でも地盤改良体3が着底構造体4に当接することにより、地盤改良体3の水平方向の変位が抑制され、非液状化層1と地盤改良体3の水平方向の変位差が小さくてすむ。したがって、残置液状化層2Aのせん断ひずみが抑制される。換言すると、多大な費用をかけることなく、地盤の液状化を抑制できる。
【0024】
上述した液状化対策構造を構築した地盤において、地盤改良体3の上には舗装構造、道路盛土、建物などの構造物を構築できる。
【0025】
上述した液状化対策構造を構築した地盤において、構造物を地盤改良体3の上に構築すれば、地盤改良体3の剛体盤効果により、不同沈下が生じることはない。なお、地盤改良体3が沈下することにより、地盤改良体3と着底構造体4との境界部分にギャップ(段差)が生じる可能性があるので、境界部分を跨いで構造物を構築する場合には考慮する必要がある。
【0026】
なお、上述した液状化対策構造において、地盤改良体3は、その上に平板状のコンクリート板、舗装構造、路床などの盤構造を含んだものとしてもよい。
【0027】
また、上述した液状化対策構造において、着底構造体4は、コンクリートを打設することにより構築してもよい。また、ケーソン護岸ブロックを所定の間隔で設置することにより、着底構造体4としてもよい。また、ケーソン護岸ブロックを連続して設置することにより、着底構造体4としてもよい。
【0028】
さらに、既設のケーソン護岸でケーソン護岸自体の液状化対策が必要な場合には、既設のケーソン護岸ブロックを着底構造体とみなして、既設のケーソン護岸ブロックの側面(水域とは反対側の側面つまり背面)に当接するように地盤改良体3を構築してもよい。このようにすることで結果として着底構造体(ケーソン護岸)自体の変位が抑制できる。
【0029】
上述した液状化対策構造において、地盤改良体3と着底構造体4との間に緩衝層5を設けてもよい。緩衝層5は、地盤改良体3が水平方向に変位した場合に地盤改良体3と着底構造体4との間の上下方向の相対変位を許容するもので、原地盤(液状化層2)を残すことにより緩衝層5としてもよいし、砂、ベントナイトなどで構築してもよい。また、緩衝層5の厚みは液状化しない程度の厚み、例えば、30cm程度が考えられる。
【0030】
図5に示すように、上述した液状化対策構造において、地盤改良体3と着底構造体4との間に地盤改良体3と着底構造体4との双方に対して上下方向の相対変位が可能なようにアプローチ構造体6(沈下緩衝帯)を設けてもよい。アプローチ構造体6は、地盤改良体3の沈下によって地盤改良体3と着底構造体4とに生じるギャップ(段差)を緩和するためのものである。アプローチ構造体6は、液状化層2に浮いた構造体の厚みと構造体の沈下量とに相関があることを利用したものであり、その下端部が地盤改良体3よりも深くかつ非液状化層1から上方に離隔している。このアプローチ構造体6は、地盤改良体3よりも沈下が少ないので、着底構造体4と地盤改良体3との間にアプローチ構造体6がない場合に比べ、一度に生じるギャップ(段差)が緩和される。なお、このアプローチ構造体6は、地盤改良体3や着底構造体4のいずれの構造であってもかまわない。
【0031】
(実施の形態2)
図6に基づいて、本発明の実施の形態2である液状化対策構造について説明する。図6は、本発明の実施の形態2にかかる液状化対策構造を示す概念図である。
【0032】
図6に示すように、実施の形態2にかかる液状化対策構造は、両端着底浮き型と称すべき構造であって、地盤改良体3の側面の一部としての両外側面がそれぞれ当接するように一対の着底構造体4が構築されている。具体的には、地盤改良体3の外形が平面視矩形である場合に、一側面3aが当接する着底構造体4と、一側面に平行な他側面3bが当接する着底構造体4とが構築される。なお、地盤改良体3、着底構造体4は、上述した実施の形態1で説明したものと異なるところはないので、説明を省略する。
【0033】
実施の形態2である液状化対策構造は、地盤改良体3の両外側面が当接するように一対の着底構造体4が構築されているので、地盤改良体3の地震方向(加振方向)の変位がさらに抑制され、非液状化層1と地盤改良体3の水平方向の変位差がさらに小さくてすむ。したがって、地盤改良体3の沈下量も少なくてすむ。
【0034】
(実施の形態3)
図7に基づいて、本発明の実施の形態3である液状化対策構造について説明する。図7は、本発明の実施の形態にかかる液状化対策構造を示す概念図である。
【0035】
図7に示すように、実施の形態3である液状化対策構造は、中央着底浮き型と称すべき構造であって、着底構造体4の両外側面が一対の地盤改良体のそれぞれの側面の一部としての一外側面に当接するように構築されている。具体的には、着底構造体4の外形が平面視矩形である場合に、一側面4aが当接する地盤改良体3と、一側面に平行な他側面4bが当接する地盤改良体3とが構築される。なお、地盤改良体、着底構造体は、上述した実施の形態1で説明したものと異なるところはないので、説明を省略する。
【0036】
実施の形態3である液状化対策構造は、着底構造体4の両外側面が当接するように一対の地盤改良体が構築されているので、一対の地盤改良体に対して一つの着底構造体を構築すればよい。したがって、多大な費用をかけなくても広い面積の液状化対策ができる。
【0037】
上述した液状化対策構造の効果を把握するため、相似則から実大規模の対応が取れる遠心模型実験を行った。実験対象となるのは、実施の形態1にかかる液状化対策構造の地盤(以下、片端着底浮き型の地盤という)、実施の形態2にかかる液状化対策構造の地盤(以下、両端着底浮き型の地盤という)のほか、無対策の地盤、特許文献1に示された液状化対策構造の地盤(以下、全体着底型の地盤という)である。
【0038】
地震波は図8に示すシナリオ波(横浜想定波)を使用し、振幅を0.1倍(最大加速度約50gal)、0.3倍(最大加速度約150gal)、0.5倍(最大加速度約260gal)、0.7倍(最大加速度約360gal)、0.7倍(最大加速度約360gal)、0.7倍(最大加速度約360gal)と変化させた加振6回、加速度4レベルの段階加振で実施した。
【0039】
図9は、遠心模型実験を示す図である。この実験は、遠心加速度50Gで行っており、模型寸法の50倍の実物大寸法での地盤の挙動を再現できるものとなっている。そして、図示はしていないが着底型格子改良体と浮き型格子改良体との当接部間には、これらの間での上下方向の相対変位が可能なように緩衝材として珪砂を厚さ5ミリ程度介在させている。図10は、遠心模型実験結果を示す図である。また、図11は、段階加振による下方地盤、具体的には地表面から12cm(実物大で6mに相当)の深さでの中央部における過剰間隙水圧比と最大加速度との関係を示す図であり、図12は、段階加振による表層地盤、具体的には地表面から2cm(実物大では1m)の深さでの中央部における沈下量と最大加速度との関係を示す図である。なお、図11において全体着底型と両端着底浮き型t/H=0.75の過剰間隙水圧比ruは、格子内のものを示している。
【0040】
図11と図12とにおいて、無対策のものと着底構造体を備えた液状化対策済みのものとを比べると、無対策のものは、150galで過剰間隙水圧比1.0に近づいた後、段階加振の進行により過剰間隙水圧比がある程度小さくなる傾向は見られるものの、過剰間隙水圧比は依然として1.0付近であり、また地盤改良体天端部の沈下量δも増加する一方である。しかし、液状化対策済みのものは、150galで過剰間隙水圧比が1.0付近になるが、その後に段階加振が進行しても、過剰間隙水圧比ruは大きくならずに逆に急激に減少する傾向となる。そして、この過剰間隙水圧比ruの減少にともなって、地盤改良体天端の沈下量の増加量も極めて小さくなる傾向となり、また沈下量自体も無対策のものにくらべて非常に小さいものとなっている。
【0041】
この結果から、着底構造体により、下部の非液状化層地盤と上方の地盤改良体との相対水平変位を抑制すれば、地盤改良体下方の液状化層の過剰間隙水圧比が一時的に大きくなっても、そのことは沈下量の大きさにあまり影響しない、つまり実質的に液状化による沈下量を抑制する効果を奏するようになることが分かる。また、液状化対策済みのものの液状化層の過剰間隙水圧比が、段階加振の進行により急激に減少する傾向が見られるのは、地盤が緩い状態であっても、着底構造体があることによって地盤の相対水平変位の抑制に大きく貢献し、そのことで過剰間隙水圧比が減少すると考えられる。
【0042】
なお、図12を数値で表したものが図21の各最大加速度での液状化層の沈下量(沈下量計測箇所は表層地盤であるが、地盤改良体がある場合は、地盤改良体自体の沈下はないものとし、その下の残置液状化層の沈下量とした。)を示す図であり、その沈下量をひずみに換算したものが図22の各最大加速度での液状化層の体積ひずみを示す図である。図22において、最大加速度150Galは、水平震度kH=0.15に相当し、一般の地震時検討に使用されるものである。この150Galに着目すると、ここでは無対策だと液状化層の体積ひずみは3%以上であるが、着底構造体を設けたものは、地盤改良体下方の残置液状化層の体積ひずみが1%台となっている。これからも着底構造体は液状化抑制に効果があることがわかる。
【0043】
図13は、実施の形態1にかかる液状化対策構造の地盤に地震波(sin波:周波数0.5Hz,最大加速度131gal)を作用させた場合に得られるFEM解析結果を示す図である。図13に示すように、地震発生から25秒が経過しても残置液状化層2Aの過剰間隙水圧比ruが1.0に増大することはない。したがって、残置液状化層2Aが液状化することもない。このことは上述した実験結果とも整合するものであり、実施の形態1である液状化対策構造の効果がFEM解析(有限要素法解析)の結果から検証できたことになる。
【0044】
一方、図14は、図13における着底構造体4をなくし、地盤改良体3を着底構造体位置まで広げて全体浮き型とした場合において、図13と同様の地震波を作用させたFEM解析結果である。時間の経過により、地盤改良体3下方の液状化層2の過剰間隙水圧比が増大し、6秒後には過剰間隙水圧が1.0付近になっていることが分かる。この過剰間隙水圧比は、その後の時間の経過によってもそう小さくならなかったことが分かっている。また、地盤改良体天端の沈下量では、全体浮き型の方は過剰間隙水圧の増大が直接沈下量に影響するため、全体浮き型のほうが図11の片端着底浮き型より大きいことが予想される。
【0045】
図17は、FEM解析を実施する解析モデルを示す概念図である。図18は、図17に示した解析モデルに地震波を作用させてから20秒後の解析結果を示す図である。図19は、FEM解析の結果から得られた着底構造体の寸法比と地盤改良体の挙動との関係を示す図である。図20は、FEM解析の結果から得られた過剰間隙水圧比を示すコンター図である。
【0046】
図17に示すように、FEM解析を実施する解析モデルは、実施の形態1である液状化対策構造と同様に、片端着底浮き型と称すべき構造であって、地盤改良体3の側面の一部としての一側面に当接するように着底構造体4が構築されている。この解析モデルは、非液状化層1の上に12.5mの液状化層2が堆積した地盤を適用対象としており(液状化層厚H=12.5m)、地盤改良体3は、液状化層2において非液状化層1から上方に離隔した位置、より詳細には、液状化層2に浮くように構築されている。地盤改良体3の厚みは液状化層の厚みの3/4以下、具体的には7mである。着底構造体4は、根入れされ、かつ、液状化層2の垂直方向全体にわたり構築されている。着底構造体の全高は14mであり、1.5mが根入れされ、着底構造体4の液状化層2における高さhは、液状化層の厚みHと同じ12.5mである。
【0047】
また、図17において左右方向で示される着底構造体4の加振方向の幅bは、15m、10m、8m、6m、4m、0m(全体浮き型)の6通りについて解析を実施する。また、地盤改良体3と着底構造体4との間には、厚み5cmの緩衝層5を設ける。また、この液状化対策構造の地盤に作用させる地震波は、図13に示したFEM解析と同様の地震波(sin波:周波数0.5Hz,最大加速度131gal)である。
【0048】
図18に示すように、ここでは、着底構造体4の液状化層2における高さhに対する着底構造体4の幅bの比率(以下、「幅・高さ比(b/h)」という)、残置液状化層2Aの高さ方向中央における過剰間隙水圧比、地盤改良体の水平変位比、鉛直変位比に着目した。地盤改良体の水平変位比とは、着底構造体4の加振方向の幅bが4mの場合における地盤改良体3の水平方向の変位量に対する着底構造体4の加振方向の幅bを変更した場合における地盤改良体3の水平方向の変位量の比率である。地盤改良体の鉛直変位比とは、着底構造体4の加振方向の幅bが4mの場合における地盤改良体の鉛直方向の変位量(沈下量)に対する着底構造体4の加振方向の幅bを変更した場合における鉛直方向の変位量(沈下量)の比率である。
【0049】
図19に示すように、着底構造体4の加振方向の幅bが大きくなれば、地盤改良体3の水平方向の変位量は小さくなる。また、液状化層2の液状化は、過剰間隙水圧比ru=0.8が目安になることから、過剰間隙水圧比ruが0.8以下となる着底構造体の幅・高さ比(b/h)であれば液状化層2の液状化が抑制される。図19を参照すると、過剰間隙水圧比が0.8以下となる着底構造体の幅・高さ比(b/h)は、0.4以上であればよいことになる。
【0050】
さらに、詳細に考察すると、水平方向の変位量や鉛直方向の変位量においても、幅・高さ比(b/h)=0.5〜0.8の範囲において、大きく変動する。このことから、幅・高さ比(b/h)は、より好ましくは0.5以上であり、経済性を考慮すると、0.8以下で大きくても1.0以下であることが好ましい。
【0051】
なお、上述した着底構造体4の加振方向の幅bは、非液状化層1と液状化層2との境界部分における幅であり、着底構造体4の上部において加振方向の幅がbよりも狭くてもよい。また、現実の地震動の方向は予測できないので、平面視で地盤改良体の側面に着底構造体が当接する当接方向にほぼ直交する方向での着底構造体の厚みを幅bとする。
【0052】
また、上述した解析モデルにおける着底構造体4は地盤改良体3の一側面に当接するように構築してあるが、例えば、地盤改良体3の両側面がそれぞれ当接するように一対の着底構造体を構築した場合に、一方の着底構造体の幅をb1、他方の着底構造体の幅をb2とし、これらを加算して上述した解析モデルにおける着底構造体4の幅bとすればよい。
【0053】
さらに、上述した解析モデルでは、図17の紙面奥方に着底構造体が連続しているが、紙面奥方に間隔をあけて着底構造体を複数配置してもよい。これは、複数の着底構造体を間隔をあけて配置しても、地盤改良体の水平方向の変位が抑制されることによるものである。
【0054】
図15は、段階加振による最終加振後の地盤改良体天端部中央における沈下量と液状化層の厚みに対する地盤改良体の厚みの比との関係を示す図である。図15に示すように、全体浮き型の場合、従来の一様に液状化するという考え方によれば、液状化層2に浮くように構築された地盤改良体3の沈下量は、残置液状化層2Aの厚みH(=H−t)に比例することになる。このため、図12において、無対策の地盤(t/H=0)の沈下量と、全体着底型の地盤(t/H=1)の沈下量とを結ぶ線は、液状化層2に浮くように構築された地盤改良体3の沈下量を示す想定線となる。
【0055】
一方、上述した実施の形態1に示した液状化対策構造(片端着底浮き型)の地盤の沈下量と、実施の形態2に示した液状化対策構造(両端着底浮き型)の地盤の沈下量とは、地盤改良体3のみを構築した液状化対策構造よりもはるかに沈下量δを抑制する。また、地盤改良体3の厚みを液状化層2の厚みの4分の1程度としても従来の液状化対策構造(全体着底構型)の地盤と同程度の沈下量とすることができる。このため、多大な費用をかけることなく、非液状化層1の上に液状化層2が堆積した地盤の液状化を抑制できる。
【0056】
また、図15に示すように、液状化層2の厚みに対する地盤改良体3の厚みの比率(t/H)は、4分の1(0.25)で沈下量δを抑制する。沈下量δは、液状化層2の厚みに対する地盤改良体の厚みの比率(t/H)が4分の1(0.25)〜2分の1(0.5)〜4分の3(0.75)において抑制され、より好ましくは、4分の1(0.25)〜2分の1(0.5)において明確に抑制される。なお、沈下量δは、液状化層2の厚みに対する地盤改良体の厚みの比率(t/H)が4分の1(0.25)以下でも抑制される。ただし、その小さくできる程度は、最低でも地盤改良体3が上方からの荷重を受けても盤状体としてその機能を維持できる厚みを有することを条件とする。
【0057】
上述した実施の形態1〜3に示した液状化対策構造は、着底構造体4が非液状化層1に着底または根入れされ、かつ、地盤改良体3が側面に当接することにより、地盤改良体3の水平方向の変位を抑制するので、地震が発生した場合でも地盤改良体3の水平方向の変位が抑制され、非液状化層1と地盤改良体3の水平方向の変位差が少なくてすむ。したがって、非液状化層1と地盤改良体3との間の残置液状化層2Aのせん断ひずみが抑制され、多大な費用をかけることなく、地盤の液状化を抑制できる。
【0058】
上述した実施の形態1〜3に示した液状化対策構造は、図10に示すように、内枠幅Lと地盤改良体の厚みtとの比(L/t)が2であっても液状化対策の効果を奏する。すなわち、上述した既存の文献(特許第2568115号工法)により明らかにされた制限事項L/t=0.5〜0.8を満たさなくても効果を奏することになる。したがって、経済的で合理的な液状化対策構造の地盤を提供できる。
【0059】
上述した実施の形態1〜3に示した液状化対策構造を例えば空港に適用する場合には、滑走路を地盤改良体3で構築し、その側部の着陸帯を着底構造体4で構築すればよい。また、この液状化対策構造を高速道路などの盛土構造に適用する場合には、盛土下を地盤改良体3で構築し、その両側ののり尻部を千鳥状に着底構造体4で構築すればよい。このように液状化対策構造を適用すれば、多大な費用をかけることなく地盤の液状化を抑制できる。
【0060】
また、橋台や高層ビルなどのように、沈下制限が厳格な構造物に対しては、地盤改良体3を構成する格子壁体の格子枠内に基礎杭を打設すればよい。基礎杭を打設すれば、基礎杭の周辺地盤は液状化しないものとして設計できる。また、地盤改良体3は、着底構造体4により水平方向の変位が抑制されるので、基礎杭の曲げ耐力を小さなものにできる。
【0061】
さらに、上述した実施の形態1〜3において、地盤改良体3と着底構造体4との上下方向に相対変位可能な当接部を、図16に示すように、地盤改良体3の側面の一部に着底構造体4を当接させるようにしてもよい。図16の左側図は地盤改良体3の外側面に係合部3cを設けて係合構造にしたものである。図16の中央図は地盤改良体3内部の内側面に嵌合する係合部3cを設けて係合構造にしたものである(図では地盤改良体3内部の着底構造体4が1箇所であるが、複数箇所に設けるようにしてもよい)。このようにすれば2方向の水平変位に対応できる。なお、この平面視凹凸による係合は、どちらが凹であっても、どちらが凸であってもかまわないし、間隔をおいて複数設けるようにしてもよい。また右側図のように着底構造体4の平面視短手方向側面を上下方向に相対変位可能に当接させるいわゆるバットレス形式にしてもよいし、着底構造体が地盤改良体の側面に沿って連続している図2のようにせずに、上側図や右側図のように地盤改良体の側面に沿って間隔をおいて着底構造体4を複数設けてもよい。ちなみに上述の全ての実施例において、緩衝層の有無を含めてそれぞれを適宜組合せて用いることは可能であり、また地盤改良体3や着底構造体4の平面視形状も矩形以外の多角形、円形等、種々の形状が適用できる。いずれにしても実際の地震の振動方向は予測できないので、地盤改良体3が平面視で一方向に長いものであれば、その長手方向にほぼ直角に交差する方向の振動に対応できるように着底構造体4を少なくとも配置し、地盤改良体3が平面視で長短がなく方向性があまり認められない形状であれば、平面視ほぼ直角に交差する2方向の振動に対応できるように着底構造体4を配置するのが望ましい。さらに、図12から分かるように、着底構造体を地盤改良体の両側に対向させて配置したほうがより片側配置よりも効果が認められる。
【0062】
なお、上述した実施の形態1〜3において、側面とは、外側面、内側面を含み、側面の片側は、地盤改良体3の平面視形状が矩形・円形にかかわらず、地盤改良体3の平面視における周部分の長さを適宜の位置で半分に分けたときに、そのうちのどちらか一方に属する周部分の一部または全部を指す。また、片側に対向する部分を含めて両側とする。
【0063】
ところで、地盤改良体3の外周を着底構造体4で完全に囲繞することにより、着底構造体4の内側に位置する液状化層(残置液状化層2A)と、着底構造体の外側に位置する液状化層2とを遮断するとともに、着底構造体4の内側に位置する液状化層(残置液状化層2A)を拘束する液状化対策構造が知られている。この液状化対策構造は、着底構造体4が地盤改良体3の外周を完全に囲繞しなくても、地盤改良体3とともに着底構造体4の内側に位置する液状化層(残置液状化層2A)が拘束状態であれば、液状化を抑制するとされている。すなわち、複数の着底構造体4を間隔を空けて配置しても、地盤改良体3とともに着底構造体4の内側に位置する液状化層(残置液状化層2A)が拘束状態であれば、液状化を抑制するとされている。したがって、この液状化対策構造では、複数の着底構造体4において、着底構造体4と着底構造体4との間の隙間は、着底構造体4の内側に位置する液状化層(残置液状化層2A)を拘束する大きさに制限されるのである。
【0064】
これに対して、本発明の実施の形態である液状化対策構造は、図3、図5、図6、図7、図13、図16に示すように、残置液状化層2Aを拘束しなくても、着底構造体4が地盤改良体3の水平方向の変位を抑制する(地盤改良体3と非液状化層1との相対的な水平変位を抑制する)ので、残置液状化層2Aの液状化を抑制できることに特徴がある。
【0065】
ここで「残置液状化層2Aを拘束しなくても」とは、上記各図のように平面視における地盤改良体3の下方に位置する残置液状化層2Aの想定地震(例えば一般の地震時検討に用いられる水平震度kH=0.15程度の地震)時における液状化時の挙動が地盤改良体3外側の液状化層2に実質的に伝わる大きさ(平面視における長さである)の開放部(図16(a)の矢視位置における図16(b)側面図で示されるように、上方の地盤改良体と下方の非液状化層との間で着底構造体4が配置されていない部分)が地盤改良体3の外周部の外側面に沿って少なくともその一部に設けられていることである。
【0066】
上記開放部としては、例えば、図3、図5、図6、図7、図13、図16(a)に示すようなものであり、具体的には、着底構造体間の一つの開放部の大きさは、1m程度、2mや3mもあれば地震時における残置液状化層の挙動は外側の液状化層に伝わる。この各開放部の大きさを累計すると、平面視における地盤改良体の外周部の総長さに対して1/2以上の大きさとなっている。また、図16(a)における着底構造体4が地盤改良体3の内側面に嵌合する形態であれば、地盤改良体3の外周部総長さに対して開放部は100%となる。このような開放部を有していれば、その開放部においては、残置液状化層2Aの想定地震時における挙動を着底構造体が実質的に拘束しない(残置液状化層2Aの液状化時の挙動が地盤改良体3外側の液状化層2に伝わる)といえる。もちろん、外部制約等の関係で図16(c)の平面図のように図面下側の開放部の大きさが地盤改良体の外周部総長さに対して1/2より小さくなる場合もあるが、地盤改良体の側面の一部(1辺)の開放部は残置液状化層の想定地震時の挙動を着底構造体が拘束しない程度の大きさになっているので、開放部の大きさが地盤改良体外周部の総長さに対して1/2以上に限定されるわけではない。ただし、例えば、平面視正方形の地盤改良体を想定すると、そのうちの一辺を開放部とした場合でも効果があるので、平面視での開放部の累計の大きさを地盤改良体外周部の総延長に対して1/4以上とすることでもよい。
【0067】
そして本発明では、地盤改良体と着底構造体とは上下方向に相対変位可能に当接していることで、これら相互間の上下方向の応力伝達を遮断している。
【0068】
本発明の上記知見を基にさらに発展させた知見を以下に述べる。
図17〜図20に示したFEM解析から、着底構造体の高さと幅との関係において好ましい比率が存在するのが分かる。このことは、例えば、ある比較的薄い浮き型の地盤改良体3を設定するとともに着底構造体の幅を種々異ならせたケースを想定し、その複数ケースでの想定地震における上記解析や上記模型実験を行い、地盤改良体3の沈下や水平変位、過剰間隙水圧比を算出・計測すれば、その結果から、好適な着底構造体の幅が見出せる。つまり、着底構造体と上下方向に相対変位可能に当接している地盤改良体については、その上部の載荷物等の種別毎に想定地震に対しての許容沈下量が設定されるが、想定地震に対して、この地盤改良体が設定沈下量以下に収まるように着底構造体の幅を設定することが可能となる。このようにして着底構造体の幅が設定された液状化対策構造とすることは、上記知見があって初めて可能となり、この構造は、上記の全ての実施の形態に適用できる。なお、上記全ての実施の形態においての地盤改良体3であるが、地盤改良体であることが経済的であるが、例えばコンクリート版であってもよい。要は、その上に構造物等の載荷物があってもその荷重を受けて下方の残置液状化層に伝えられるよう全体として盤状体になっていればよいのである。上記実施の形態の格子状地盤改良体も全体としてみれば盤状体であり、例えばサンドコンパクションパイルのように離散的に打設されるものでも、その周囲地盤を改質するので、全体としては盤状の地盤改良体であるといえる。
【符号の説明】
【0069】
1 非液状化層
2 液状化層
2A 残置液状化層(液状化層)
3 地盤改良体
4 着底構造体
5 緩衝層
6 アプローチ構造体
ru 過剰間隙水圧比
Δu 過剰間隙水圧
σv’ 有効土被り圧
δ 沈下量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非液状化層の上に液状化層が堆積した地盤を適用対象とし、液状化層において非液状化層から離隔した位置に地盤改良体を構築した液状化対策構造において、
非液状化層に着底または根入れされ、かつ前記地盤改良体の側面の一部に当接する着底構造体が構築されたことを特徴とする液状化対策構造。
【請求項2】
前記地盤改良体の厚みを前記液状化層の厚みの3/4以下に設定したことを特徴とする請求項1に記載の液状化対策構造。
【請求項3】
前記着底構造体の幅を前記液状化層における着底構造体の高さの0.4倍以上に設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の液状化対策構造。
【請求項4】
前記地盤改良体と前記着底構造体とは、上下方向に相対変位可能に設けられ、
前記地盤改良体の外側面に沿って、地盤改良体下方の残置液状化層の地震時の挙動が前記地盤改良体外側の液状化層に伝わる大きさの開放部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の液状化対策構造。
【請求項5】
前記地盤改良体と前記着底構造体とは、上下方向に相対変位可能に設けられ、想定地震時における前記地盤改良体の沈下量が設定沈下量以下になるように、前記着底構造体の幅が設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の液状化対策構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−127417(P2011−127417A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160138(P2010−160138)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(501241911)独立行政法人港湾空港技術研究所 (84)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)
【出願人】(000219406)東亜建設工業株式会社 (177)
【出願人】(000222668)東洋建設株式会社 (131)
【出願人】(000236610)株式会社不動テトラ (136)
【Fターム(参考)】