説明

液面レベル検出器及び吸収式冷凍機

【課題】液面レベルの調整を、簡単かつ迅速に行うことができる液面レベル検出器及び吸収式冷凍機を提供すること。
【解決手段】内部空間が負圧に設定された高温再生器の中間吸収液溜り5Cに取り付けられて当該高温再生器内の吸収液の液面レベルを検出する液面センサ52を備え、少なくとも一の電極60を上下方向に移動可能に支持する調整支持部70と、この調整支持部70と電極60の操作部80との間に介在されるシール材82とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温再生器のように内部が負圧に設定された貯留層内の液面レベルを検出する液面レベル検出器及び当該液面レベル検出器を備える吸収式冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高温再生器、低温再生器、蒸発器、凝縮器及び吸収器を備える吸収式冷凍機が知られている。この種の吸収式冷凍機では、例えば、高温再生器内の吸収液の液面レベルが上昇すると、高温再生器の吸収液の液滴が冷媒蒸気とともに低温再生器に流入することにより、成績係数(COP:Coefficient of Performance)が低下するため、高温再生器の液面レベルの管理が重要となっている。
このため、従来、長さの異なる複数の電極棒を有し、高温再生器内の吸収液の液面レベルを検知する液面センサ(液面レベル検出器)と、高温再生器から低温再生器に至る吸収液管に設けられた溶液制御弁と、液面センサの検知レベルに基づいて、溶液制御弁の開度を調整する弁開度調整手段とを備え、この弁開度調整手段が、液面センサの検知レベルに基づいて溶液制御弁の開度を調整することにより、簡単な構成で高温再生器から低温再生器へ流れる吸収液の流量が調整し、高温再生器内の吸収液の液面レベルを安定させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−270969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液面センサの各電極の長さは、吸収式冷凍機の能力等に基づいて予め設定されている。しかしながら、実際に吸収式冷凍機の運転を開始すると、例えば、高温再生器内の吸収液が泡立つことにより、実際の液面レベルよりも高く検出してしまうことがあり、能力を十分に発揮できないこともあった。
この場合、従来の構成では、液面センサを取り外し、電極の切断による長さ調整が必要となるが、高温再生器を含めて吸収液の循環経路内は負圧(真空)に保持されているため、液面センサを取り外すには真空破壊を要し、液面レベルの調整に多大な労力及び時間がかかるといった問題があった。
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、液面レベルの調整を、簡単かつ迅速に行うことができる液面レベル検出器及び吸収式冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、長さの異なる複数の電極棒を有し、内部空間が負圧に設定された貯留槽に取り付けられて当該貯留槽の液面レベルを検出する液面レベル検出器において、少なくとも一の電極棒を上下方向に移動可能に支持する支持手段と、この支持手段と前記電極棒との間に介在されるシール手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、貯留槽内の負圧を保持したまま電極棒を上下方向に移動して当該電極棒の下端位置を調整することができるため、液面レベルの調整を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0007】
この構成において、前記支持手段は、最も長さの短い液面高レベル検出用の電極棒に設けられていても良い。また、前記支持手段は、円筒状に形成されて当該支持手段の内周面に雌ねじを形成し、前記電極棒は上端に操作部を備え、この操作部の外周面に前記雌ねじに螺合する雄ねじを形成し、当該操作部を回転して前記電極棒を上下に移動させる構成としても良い。
【0008】
また、本発明は、高温再生器、低温再生器、蒸発器、凝縮器及び吸収器を備え、これらを配管接続して吸収液及び冷媒の循環経路をそれぞれ形成するとともに、長さの異なる複数の電極棒を有し、内部空間が負圧に設定された前記高温再生器に取り付けられて当該高温再生器内の吸収液の液面レベルを検出する液面レベル検出器を備えた吸収式冷凍機において、少なくとも一の電極棒を上下方向に移動可能に支持する支持手段と、この支持手段と前記電極棒との間に介在されるシール手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成において、前記支持手段は、最も長さの短い液面高レベル検出用の電極棒に設けられていても良い。また、前記支持手段は、円筒状に形成されて当該支持手段の内周面に雌ねじを形成し、前記電極棒は上端に操作部を備え、この操作部の外周面に前記雌ねじに螺合する雄ねじを形成し、当該操作部を回転して前記電極棒を上下に移動させる構成としても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、貯留槽内の負圧を保持したまま電極棒を上下方向に移動して当該電極棒の下端位置を調整することができるため、液面レベルの調整を簡単かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態にかかる吸収式冷凍機の概略構成図である。
【図2】液面センサを示す概略構成図である。
【図3】電極が降下した状態の調整支持部の内部構成を示す側断面図である。
【図4】電極が上昇した状態の調整支持部の内部構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態にかかる吸収式冷凍機100の概略構成図である。吸収式冷凍機100は、冷媒に水を、吸収液に臭化リチウム(LiBr)水溶液を使用した二重効用型の吸収式冷凍機である。
吸収式冷凍機100は、図1に示すように、蒸発器1と、この蒸発器1に並設された吸収器2と、これら蒸発器1及び吸収器2を収納した蒸発器吸収器胴(下胴)3と、ガスバーナ4を備えた高温再生器(貯留槽)5と、低温再生器6と、この低温再生器6に並設された凝縮器7と、これら低温再生器6及び凝縮器7を収納した低温再生器凝縮器胴(上胴)8と、低温熱交換器12と、高温熱交換器13と、冷媒ドレン熱交換器16と、稀吸収液ポンプP1と、濃吸収液ポンプP2と、冷媒ポンプP3とを備え、これらの各機器が吸収液管21〜25及び冷媒管31〜35などを介して配管接続されている。
また、符号14は、蒸発器1内で冷媒と熱交換した熱媒又はブライン(以下、ブライン等という)を、図示しない熱負荷(例えば空気調和装置)に循環供給するための冷/温水管であり、この冷/温水管14の一部に形成された伝熱管14Aが蒸発器1内に配置されている。符号15は、吸収器2及び凝縮器7に順次冷却水を流通させるための冷却水管であり、この冷却水管15の一部に形成された各伝熱管15A、15Bがそれぞれ吸収器2及び凝縮器7内に配置されている。符号50は、吸収式冷凍機100全体の制御を司る制御装置である。
【0013】
吸収器2は、蒸発器1で蒸発した冷媒蒸気を吸収液に吸収させ、蒸発器吸収器胴(下胴)3内の圧力を高真空状態に保つ機能を有する。この吸収器2の下部には、冷媒蒸気を吸収して稀釈された稀吸収液が溜る稀吸収液溜り2Aが形成され、この稀吸収液溜り2Aには、インバータ51により周波数可変に制御される稀吸収液ポンプP1が設けられた稀吸収液管21の一端が接続されている。この稀吸収液管21は、稀吸収液ポンプP1の下流側で第1稀吸収液管21Aと第2稀吸収液管21Bとに分岐され、第1稀吸収液管21Aは冷媒ドレン熱交換器16を経由し、第2稀吸収液管21Bは低温熱交換器12を経由した後に再び合流する。稀吸収液管21の他端は、高温熱交換器13を経由した後、高温再生器5内に形成された熱交換部5Aの上方に位置する気層部5Bに開口している。
【0014】
高温再生器5は、ガスバーナ4の火炎を熱源として熱交換部5Aに溜った吸収液を加熱再生するものであり、熱交換部5Aの側方には、この熱交換部5Aで加熱再生された中間吸収液が溜る中間吸収液溜り5Cが形成されている。この中間吸収液溜り5Cには、中間吸収液溜り5C(高温再生器5内)に溜った吸収液の液面レベルを検知する液面センサ(液面レベル検出器)52が設けられている。この液面センサ52は、長さの異なる3本の電極(電極棒)60,61,62を備え、最も長さの長い電極62が共通電極であり、吸収液の液面が上昇して、最も長さの短い液面高レベル検出用の電極60に達したとき、これら電極60と電極62とが導通状態となって、制御装置50が液面高レベルを検出する。
また、吸収液の液面が液面低レベル検出用の電極61よりも低下して電極61と電極62とが非導通状態となれば、制御装置50は液面低レベルを検出する。このため、吸収液の液面レベルが電極62以上であって電極60以下の範囲が吸収液量の正規の状態であり、この状態にあるか否かが制御装置50によって監視されている。
【0015】
中間吸収液溜り5Cの下端には、中間吸収液管22の一端が接続され、この中間吸収液管22の他端は、高温熱交換器13を介して、低温再生器6内の上部に形成された気層部6Aに開口している。高温熱交換器13は、中間吸収液溜り5Cから流出した高温の吸収液の温熱で稀吸収液管21を流れる吸収液を加熱するものであり、高温再生器5におけるガスバーナ4の燃料消費量の低減を図っている。
また、中間吸収液管22の高温熱交換器13上流側と吸収器2とは開閉弁V1が介在する吸収液管23により接続されている。
【0016】
低温再生器6は、高温再生器5で分離された冷媒蒸気を熱源として、気層部6Aの下方に形成された吸収液溜り6Bに溜った吸収液を加熱再生するものであり、吸収液溜り6Bには、高温再生器5の上端部から凝縮器7の底部への延びる冷媒管31の一部に形成される伝熱管31Aが配置されている。この冷媒管31に冷媒蒸気を流通させることにより、上記伝熱管31Aを介して、冷媒蒸気の温熱が吸収液溜り6Bに溜った吸収液に伝達され、この吸収液が更に濃縮される。
低温再生器6の吸収液溜り6Bの下端には、濃吸収液管24の一端が接続され、この濃吸収液管24の他端は、濃吸収液ポンプP2及び低温熱交換器12を介して、吸収器2の気層部2B上部に設けられる濃液散布器2Cに接続されている。低温熱交換器12は、低温再生器6の吸収液溜り6Bから流出した濃吸収液の温熱で第2稀吸収液管21Bを流れる稀吸収液を加熱するものである。また、濃吸収液ポンプP2の上流側には、この濃吸収液ポンプP2及び低温熱交換器12をバイパスするバイパス管25が設けられており、濃吸収液ポンプP2の運転が停止している場合には、低温再生器6の吸収液溜り6Bから流出した吸収液は、バイパス管25通じて低温熱交換器12を経由することなく吸収器2内に供給される。
【0017】
上述のように、高温再生器5の気層部5Bと凝縮器7の底部とは、低温再生器6の吸収液溜り6Bに配管された伝熱管31A及び冷媒ドレン熱交換器16を経由する冷媒管31により接続され、この冷媒管31の伝熱管31A上流側と吸収器2の気層部2Bとは開閉弁V2が介在する冷媒管32により接続されている。また、凝縮器7の底部と蒸発器1の気層部1AとはUシール手段33Aが介在する冷媒管33により接続されている。また、蒸発器1の下方には、液化した冷媒が溜る冷媒液溜り1Bが形成され、この冷媒液溜り1Bと蒸発器1の気層部1A上部に配置される散布器1Cとは冷媒ポンプP3が介在するに冷媒管34により接続されている。この冷媒管34の冷媒ポンプP3下流側と吸収器2の吸収液溜り2Aとは開閉弁V3が介在する冷媒管35により接続されている。また、冷却水管15の伝熱管15B出口側との冷/温水管14の伝熱管14Aの出口側とは、開閉弁V4が介在する冷/温水管36により接続されている。
【0018】
吸収式冷凍機100は、制御装置50の制御により、冷/温水管14から冷水を取り出す冷房運転と、この冷/温水管14から温水を取り出す暖房運転とに切り替え運転される。
冷房運転時には、冷/温水管14を介して図示しない熱負荷に循環供給されるブライン等(例えば冷水)の蒸発器1出口側温度が所定の設定温度、例えば7℃になるように吸収式冷凍機100に投入される熱量が制御装置50により制御される。具体的には、制御装置50は、すべての開閉弁V1〜V4を閉じ、すべてのポンプP1〜P3を起動し、且つ、ガスバーナ4においてガスを燃焼させ、温度センサS1が計測するブライン等の温度が所定の7℃となるようにガスバーナ4の火力を制御する。
【0019】
吸収器2から稀吸収液管21を介して、稀吸収液ポンプP1により高温再生器5に搬送された稀吸収液は、この高温再生器5でガスバーナ4による火炎および高温の燃焼ガスにより加熱されるため、この稀吸収液中の冷媒が蒸発分離する。高温再生器5で冷媒を蒸発分離して濃度が上昇した中間吸収液は、高温熱交換器13を経由して低温再生器6へ送られる。この低温再生器6において、中間吸収液は、高温再生器5から冷媒管31を介して供給されて伝熱管31Aに流入する高温の冷媒蒸気により加熱され、さらに冷媒が分離して濃度が一段と高くなり、この濃吸収液が濃吸収液ポンプP2及び低温熱交換器12を経由して吸収器2へ送られ、濃液散布器2Cの上方から散布される。
【0020】
一方、低温再生器6で分離生成した冷媒は凝縮器7に入って凝縮する。そして、凝縮器7で生成された冷媒液は冷媒管33を経由して蒸発器1に入り、冷媒ポンプP3の運転により揚液されて散布器1Cから冷/温水管14の伝熱管14Aの上に散布される。
伝熱管14Aの上に散布された冷媒液は、伝熱管14Aの内部を通るブライン等から気化熱を奪って蒸発するので、伝熱管14Aの内部を通るブライン等は冷却され、こうして温度を下げたブライン等が冷/温水管14から熱負荷に供給されて冷房等の冷却運転が行われる。
そして、蒸発器1で蒸発した冷媒は吸収器2へ入り、低温再生器6より供給されて上方から散布される濃吸収液に吸収されて、吸収器2の稀吸収液溜り2Aに溜り、稀吸収液ポンプP1によって高温再生器5に搬送される循環を繰り返す。なお、吸収液が冷媒を吸収する際に発生する熱は、吸収器2内に配置される冷却水管15の伝熱管15Aにより冷却される。
【0021】
暖房運転時には、冷/温水管14を介して熱負荷に循環供給されるブライン等(例えば温水)の蒸発器1出口側温度が所定の設定温度、例えば55℃になるように吸収式冷凍機100に投入される熱量が制御装置50により制御される。具体的には、制御装置50は、開閉弁V1、V2を開き、ポンプP1を起動し、且つ、ガスバーナ4においてガスを燃焼させ、温度センサS1が計測するブライン等の温度が所定の55℃となるようにガスバーナ4の火力を制御する。また、冷却水管15への冷却水の流通が止められる。
この場合、高温再生器5で稀吸収液から蒸発した冷媒は、冷媒管31の途中から主に流路抵抗の小さい冷媒管32を通って吸収器2、蒸発器1に入り、冷/温水管14から供給される水と伝熱管14Aを介して熱交換して凝縮し、このときの凝縮熱によって伝熱管17Aの内部を流れる水が加熱される。こうして温度を上げたブライン等が冷/温水管14から熱負荷に供給されて暖房運転が行われる。
【0022】
蒸発器1で加熱作用を行って凝縮した冷媒は、蒸発器1の底部の冷媒液溜り1Bからオーバーフローして吸収器2に入り、この吸収器2内で、吸収液管23及び開閉弁V1を通って高温再生器5から流入する吸収液と混合され、稀吸収液ポンプP1の運転によって、稀吸収液管21から冷媒ドレン熱交換器16、低温熱交換器12及び高温熱交換器13を経由して高温再生器5へ送られる。
【0023】
ところで、液面センサ52の各電極60〜62の長さは、吸収式冷凍機100の能力等に基づいて予め設定されている。しかしながら、実際に吸収式冷凍機100の運転を開始すると、例えば、高温再生器5の中間吸収液溜り5C内で吸収液が泡立つことにより、液面センサ52が実際の液面レベルよりも高く検出してしまことがある。このため、吸収器2から高温再生器5へと吸収液を送る稀吸収液ポンプP1の運転周波数が低下し、必要な吸収液流量を確保できなくなり、吸収式冷凍機100の能力を十分に発揮できないことがある。吸収式冷凍機100では、吸収液が循環する経路内は負圧(真空)に保持されているため、液面センサ52を中間吸収液溜り5Cから取り外して電極(特に高液面レベル検出用の電極60)の長さを調整するには、真空破壊を要し、液面レベルの調整に多大な労力及び時間がかかるといった問題があった。
このため、本実施形態では、液面センサ52の高液面レベル検出用の電極60の長さ(下端位置)の調整を中間吸収液溜り5Cの外側から簡単にできる構成を有する。
【0024】
次に、液面センサ52の具体的構成について説明する。
液面センサ52は、図2に示すように、高温再生器5の中間吸収液溜り5Cの上面部55に横並びに配置される3本の電極60〜62を備える。これら電極60〜62のうち、低液面レベル検出用の電極61と共通電極62は、中間吸収液溜り5Cの上面部55に設けられた絶縁性を有する支持具63にそれぞれ固定されて支持されており、当該電極の長さ調整はできないようになっている。また、電極61の周囲には、当該電極61の下端部61Aを延出させるように覆う細管状のカバー64が配置されている。このカバー64は、中間吸収液溜り5C内に発生した泡による誤検出を抑制するためのものである。
【0025】
また、液面センサ52は、高液面レベル検出用の電極60を上下方向に移動可能に支持する調整支持部(支持手段)70を備える。この調整支持部70は絶縁性を有し、中間吸収液溜り5Cの上面部55に固定される基部71と、この基部71の上部に連なる本体部72とを備えて構成される。基部71は、上記した支持具63と同形状に形成されているが、電極60を固定して支持するものではなく、この電極60が遊嵌される貫通孔(不図示)が形成される。また、電極60の周囲には、当該電極60の下端部60Aを延出させるように覆う細管状のカバー64が配置されている。
本体部72の上面には、電極60に連結された操作部(後述する)の上端80Aが突出し、この上端80Aの操作に連動して電極60の下端部60Aが実線の位置から二点鎖線の位置まで高さhだけ変位する。これにより、電極60の下端位置を調整することができ、液面レベルの調整が可能となる。なお、本体部72の上方外周部には雄ねじ72Aが形成され、上記した操作部の上端80Aを覆うカバーキャップ73が配置される。
【0026】
図3は、電極60が降下した状態の調整支持部70の内部構成を示す側断面図であり、図4は、電極60が上昇した状態の調整支持部70の内部構成を示す側断面図である。
電極60は、図3に示すように、調整支持部70内を貫通して配置され、この電極60の上端部60Bは、操作部80に挿し込まれている。この操作部80は、電極60よりも拡径した略円柱状に形成された部材であり、上端80Aは、調整支持部70の本体部72の上面から突出して、当該操作部80を操作する操作子として機能する。
また、操作部80の上部側の外周面には雄ねじ81が形成されるとともに、この雄ねじ81の下方の外周面には、互いに独立した2本のシール溝80B,80Bが形成され、このシール溝80Bにシール材(シール手段)82が配置されている。
【0027】
一方、本体部72は、基部71に連なって形成され操作部80と当接する当接部85と、この当接部85から上方に延びて当該操作部80を案内する円筒状の案内部86と、この案内部86の上面に配置される蓋部87とを備え、この蓋部87の中央には、上記操作部80の上端80Aが貫通する孔部87Aが形成されている。
当接部85は、その略中央に上下に貫通して電極60が遊嵌される貫通孔85Aが形成され、この貫通孔85Aに沿って電極60が降下した際に、操作部80と当接して電極60の下端部60Aの下限位置を規定する。
案内部86内には操作部80が収容されており、当該案内部86の内周面86Aは、図3及び図4に示すように、操作部80を上下方向に案内する案内面として機能するとともに、上記したシール材82によって、中間吸収液溜り5C内と外部空間との気密性を確保している。このため、電極60を上下に移動させる構成としつつ、案内部86と操作部80との隙間から外気が中間吸収液溜り5C内に侵入することが防止される。
また、案内部86の内周面86Aの上部には、操作部80の外周面に形成された雄ねじ81と螺合する雌ねじ89が形成されている。このため、本実施形態では、操作部80(の上端80A)を回転操作すると、この操作に伴い、操作部80が案内部86(本体部72)に対して上下動する。これによれば、外側からの操作で簡単に電極60を上下に移動させることができるとともに、回転操作を止めた位置で電極60の高さ位置が保持されるため、従来のように、中間吸収液溜り5C内を真空破壊した後に液面センサの液面レベル調整を行う必要が無く、この液面レベル調整を簡単かつ迅速に行うことができる。
さらに、ねじピッチを変更することにより、例えば、ねじピッチを細かくすることにより、液面レベルを細かく調整することも可能である。
【0028】
以上、説明したように、本実施形態によれば、高温再生器5、低温再生器6、蒸発器1、凝縮器7及び吸収器2を備え、これらを配管接続して吸収液及び冷媒の循環経路をそれぞれ形成するとともに、長さの異なる3本の電極60〜62を有し、内部空間が負圧に設定された高温再生器5の中間吸収液溜り5Cに取り付けられて当該高温再生器5内の吸収液の液面レベルを検出する液面センサ52を備え、少なくとも一の電極60を上下方向に移動可能に支持する調整支持部70と、この調整支持部70と電極60の操作部80との間に介在されるシール材82とを備えるため、高温再生器5内の負圧を保持したまま電極60を上下方向に移動して当該電極60の下端部60Aの高さ位置を調整することができるため、液面レベルの調整を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0029】
また、本実施形態は、調整支持部70は、最も長さの短い高液面レベル検出用の電極60に設けられているため、高温再生器5内の吸収液が泡立つことにより、液面センサ52が液面レベルを実際の液面レベルよりも高く検出してしまう誤検出を簡単に抑制することができ、吸収式冷凍機100の冷却能力を十分に発揮することができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、調整支持部70は、円筒状に形成された案内部86を備え、この案内部86の内周面86Aに雌ねじ89を形成し、電極60は上端に操作部80を備え、この操作部80の外周面に雌ねじ89に螺合する雄ねじ81を形成し、当該操作部を回転して電極60を上下に移動させるため、外側からの操作で簡単に電極60を上下に移動させることができるとともに、回転操作を止めた位置で電極60の高さ位置が保持されるため、従来のように、中間吸収液溜り5C内を真空破壊した後に液面センサの液面レベル調整を行う必要が無く、この液面レベル調整を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0031】
上記した実施形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態では、螺合するねじにより電極60を上下に移動させる構成を説明したが、例えば、電極の上部にベローズを設け、このベローズの伸縮により電極を移動させても良い。
また、本実施形態では、大きな効果を奏する理由で、最も長さの短い高液面レベル検出用の電極60に調整支持部70を設けた構成を説明したが、他の電極61、62に調整支持部を設けても良いことは勿論である。
また、本実施形態では、液面センサ52を高温再生器5に配置した構成について説明したが、負圧に保持された内部空間内の液面レベルを検出するものであれば、他の貯留槽に配置しても良い。
また、本実施形態では、吸収式冷凍機100は二重効用型であるが、一重効用型を始め、一重二重効用型及び三重効用型の吸収式冷凍機及び吸収式ヒートポンプ装置に本発明を適用可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
1 蒸発器
5 高温再生器(貯留槽)
5C 中間液溜り
6 低温再生器
7 凝縮器
52 液面センサ(液面レベル検出器)
55 上面部
60 電極(高液面レベル検出用の電極棒)
60A 下端部
61、62 電極
70 調整支持部(支持手段)
80 操作部
80A 上端
82 シール材(シール手段)
100 吸収式冷凍機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さの異なる複数の電極棒を有し、内部空間が負圧に設定された貯留槽に取り付けられて当該貯留槽の液面レベルを検出する液面レベル検出器において、
少なくとも一の電極棒を上下方向に移動可能に支持する支持手段と、この支持手段と前記電極棒との間に介在されるシール手段と、を備えることを特徴とする液面レベル検出器。
【請求項2】
前記支持手段は、最も長さの短い高液面レベル検出用の電極棒に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液面レベル検出器。
【請求項3】
前記支持手段は、円筒状に形成されて当該支持手段の内周面に雌ねじを形成し、前記電極棒は上端に操作部を備え、この操作部の外周面に前記雌ねじに螺合する雄ねじを形成し、当該操作部を回転して前記電極棒を上下に移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の液面レベル検出器。
【請求項4】
高温再生器、低温再生器、蒸発器、凝縮器及び吸収器を備え、これらを配管接続して吸収液及び冷媒の循環経路をそれぞれ形成するとともに、長さの異なる複数の電極棒を有し、内部空間が負圧に設定された前記高温再生器に取り付けられて当該高温再生器内の吸収液の液面レベルを検出する液面レベル検出器を備えた吸収式冷凍機において、
少なくとも一の電極棒を上下方向に移動可能に支持する支持手段と、この支持手段と前記電極棒との間に介在されるシール手段と、を備えることを特徴とする吸収式冷凍機。
【請求項5】
前記支持手段は、最も長さの短い高液面レベル検出用の電極棒に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の吸収式冷凍機。
【請求項6】
前記支持手段は、円筒状に形成されて当該支持手段の内周面に雌ねじを形成し、前記電極棒は上端に操作部を備え、この操作部の外周面に前記雌ねじに螺合する雄ねじを形成し、当該操作部を回転して前記電極棒を上下に移動させることを特徴とする請求項4または5に記載の吸収式冷凍機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−208017(P2012−208017A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73986(P2011−73986)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】