説明

液面レベル計測装置、方法、及びプログラム

【課題】少数のプローブで液面レベルを高分解能で計測することができる液面レベルの計測技術を提供する。
【解決手段】液面レベル計測装置10は、温度センサ13及びその検出点13aの近傍に配置されるヒータ12を封入したプローブ11と、このヒータ12の発熱に伴う温度センサ13の検出温度に基づいてパラメータを導出するパラメータ導出部22と、容器31の保持液32におけるプローブ11の先端部14の浸漬量y及びパラメータの関係情報を保持するデータベース23と、導出したパラメータを関係情報に照らし保持液32の液面レベルを判定するレベル判定部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面レベルの計測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサ及びヒータを封入したプローブを、水深方向に一定の間隔で複数設置して構成される液面レベル計測装置が知られている(例えば、特許文献1,2)。
このような装置において、気相の方が液相よりも熱伝達係数が格段に低いために、プローブが気相に露出している方が液相に浸漬しているよりも、ヒータ発熱に伴う温度センサの検出温度が高くなる。
この原理を利用して、複数設置されたプローブの各々が、気相又は液相のいずれに存在するかを判定し、液面レベルの計測を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭62−26687号公報
【特許文献2】特開平8−220284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の液面レベル計測装置では、計測される液面レベルの分解能は、水深方向に対するプローブの配置間隔に規定される。このために、液面レベルの計測分解能を向上させるためには、数多くのプローブを設置しなければならない。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、少数のプローブで液面レベルを高分解能で計測することができる液面レベルの計測技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
液面レベル計測装置において、温度センサ及びその検出点の近傍に配置されるヒータを封入したプローブと、前記ヒータの発熱に伴う前記温度センサの検出温度に基づいてパラメータを導出するパラメータ導出部と、容器の保持液における前記プローブの先端部の浸漬量及び前記パラメータの関係情報を保持するデータベースと、導出した前記パラメータを前記関係情報に照らし前記保持液の液面レベルを判定するレベル判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、少数のプローブで液面レベルを高分解能で計測することができる液面レベルの計測技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の各実施形態に係る液面レベル計測装置を示すブロック図。
【図2】第1実施形態の液面レベル計測装置におけるプローブ先端部の浸漬量とパラメータ(温度変化量)との関係を示すグラフ。
【図3】(A)は複数のプローブから構成される液面レベル計測装置の実施形態を示すブロック図、(B)は複数の温度センサから構成される液面レベル計測装置の実施形態を示すブロック図。
【図4】第1実施形態に係る液面レベル計測装置の動作を説明するフローチャート。
【図5】第2実施形態に係る液面レベル計測装置におけるパラメータ(温度変化率の極大値)を示すグラフ。
【図6】第2実施形態の液面レベル計測装置におけるプローブ先端部の浸漬量とパラメータ(温度変化率の極大値)との関係を示すグラフ。
【図7】第2実施形態に係る液面レベル計測装置の動作を説明するフローチャート。
【図8】第3実施形態に係る液面レベル計測装置の動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態の液面レベル計測装置10は、温度センサ13及びその検出点13aの近傍に配置されるヒータ12を封入したプローブ11と、このヒータ12の発熱に伴う温度センサ13の検出温度に基づいてパラメータ(温度変化量ΔT;図2)を導出するパラメータ導出部22と、容器31の保持液32におけるプローブ11の先端部14の浸漬量y及びパラメータ(温度変化量ΔT)の関係情報(図2)を保持するデータベース23と、導出したパラメータを関係情報(図2)に照らし保持液32の液面レベル33を判定するレベル判定部24と、を備える。
【0010】
容器31は、多数の蒸気ボイドを含む保持液32と、蒸気が充満して高温多湿な気相とを保持し、高放射線場など苛酷状況に置かれている。
このような容器31としては、沸騰水型原子炉、加圧水型原子炉、又は高速炉の蒸気発生器、もしくは事故時の各種プラントの液槽などが挙げられる。具体例としては、事故時における原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉の使用済み燃料プール等が挙げられるが、特に用途に限定はない。
【0011】
プローブ11は、例えば、SUS316やSUS316L等のステンレス鋼、インコネル、ハステロイ、インバー、チタン、鉄等の耐熱性及び耐食性を持つ金属製の鞘に、温度センサ13、ヒータ12及び充填材17が封入されている。
また、腐食性溶液の保持液32の水位計測を行う場合には、プローブ11の鞘に腐食防止のメッキを施してもよい。
【0012】
充填材17は、例えば、窒化珪素、窒化アルミ、マグネシア、アルミナ、チタン酸アルミニウム、シリカ、ジルコニアセラミック等といった耐熱性、電気的絶縁性及び熱伝導性の優れた材料から構成される。なお、粉末状に加工された充填材17をプローブ11の内部に充填する際に、ヘリウム、ネオン、フッ素、窒素などの熱伝達率の高いガスを封入するとよい。
【0013】
ヒータ12は、例えば、ニッケル−クロム線、鉄−クロム線、カンタル線、白金線等といった通電によってジュール熱を発生する電気抵抗体で構成される。これらヒータ12は、図1に示すように容器31の深さ方向へ直線状に設置される場合の他に、温度センサ13の検出点13aの周りに螺旋状に形成することもできる。
【0014】
通電部15は、第1実施形態において、直流電流又は交流電流を通電し、ヒータ12に一定の電力を供給する。
なおヒータ12は、前記した電気抵抗体に限定されるものではなく、熱エネルギーを正確にコントロールして供給できるものであれば適宜用いることができる。
【0015】
温度センサ13は、熱起電力から温度を求める熱電対又は抵抗値から温度を求める抵抗測温体で構成される。
熱電対としては、日本工業規格(JIS)で規定されているB−Type、R−type、S−type、N−type、K−type、E−type、J−type、T−type等を適用することができる。
【0016】
抵抗測温体としては、白金、ニッケル、銅などが挙げられる。
温度センサ13として抵抗測温体を用いた場合は、熱電対である場合に比べて温度の計測精度が向上するために、液面レベル33の計測精度も向上する。
【0017】
検温部16は、温度センサ13に熱電対を用いる場合は、この熱電対の起電力を検出して温度信号に変換し、コントローラ20に出力する。また、温度センサ13に抵抗測温体を用いる場合は、この抵抗測温体の抵抗値を検出して温度信号に変換し、コントローラ20に出力する。なお、これら起電力又は抵抗値と温度との関係については、予め把握して検温部16に記憶させておく。
【0018】
図1に示すように、検出点13aからプローブ11の末端までを成す先端部14の長さxに対し、この先端部14の浸漬量yとする。
液面レベル33が検出点13aよりも上にある場合(x<y)は、ヒータ12の発熱のほとんどは充填材17を伝導して保持液32にリークする。このために、ヒータ発熱は、温度センサ13による検出温度にほとんど影響を与えず、ほぼ温度変化量ΔT=0となる。
【0019】
これに対し、液面レベル33が検出点13aよりも下にある場合(x>y)、ヒータ12の発熱の一部は充填材17を伝導して保持液32にリークする。しかし、残りの発熱は、熱伝達係数の小さな気相からリークされず、温度センサ13の検出温度の上昇に寄与する。このために、ヒータ発熱に伴い温度変化量ΔT>0となり、先端部14の浸漬量yが小さくなるに従い温度変化量ΔTが大きくなる傾向を示す。
【0020】
図2は、温度変化量ΔT(パラメータ)と、プローブの検出点13aから液面レベル33までの距離h(h=x−y)と、の関係を示すグラフである。
距離h<0のように、先端部14が液面レベル33よりも下位にある場合は、発熱のほとんどは液相にリークするために温度変化量ΔT=0を示す。そして、距離hが広がるにつれて発熱のリーク量が減少し、温度変化量ΔTが増大する。さらに、所定の距離hsに到達したところで、発熱の液相へのリーク量は0となり、これより液面レベル33が低下しても温度変化量ΔTは一定値を示す。
【0021】
コントローラ20は、電子データを処理するプロセッサであり、所定の電流プロファイルを出力するように通電部15に命令する測定モード設定部21と、検温部16から温度信号を取得してパラメータを導出するパラメータ導出部22と、データベース23と、レベル判定部24と、から構成されている。
端末25は、コントローラ20への入力及びコントローラ20の処理結果の表示を実行する。
【0022】
パラメータ導出部22は、ヒータ12の発熱に伴う温度センサ13の検出温度(検温部16から取得した温度信号)に基づいてパラメータを導出する。
第1実施形態におけるパラメータは、ヒータ12の発熱により平衡状態に至った検出温度の温度変化量ΔTである。なお、導出されるパラメータは、測定モード設定部21の設定を変えることにより適宜変更することができる。
【0023】
データベース23は、実験的にプローブ11の先端部14の浸漬量y(液面までの距離h)を変化させて、得られた温度変化量ΔT(パラメータ)を対応付けて保持している。つまり、図2に示されるように関係情報が、プローブ11の種類、保持液32の種類、雰囲気温度・圧力等の条件に応じて予め作成され、データベース23に保持されている。
【0024】
レベル判定部24は、導出されたパラメータを閾値Aと比較することにより、プローブ11の検出点13aが液相又は気相のいずれに存在するかを判定する。そして、気相判定が得られた場合は、パラメータを閾値Bと比較して、液面レベル33までの距離hを導出することが可能であるか否かを判定する。そして、液面レベル33までの距離hの導出が可能である場合は、データベース23にアクセスし、導出されたパラメータ(温度変化量ΔT)に対応する距離hを導出する(図2参照)。
【0025】
閾値Aは、プローブ11の検出点13aが液相に浸漬した状態で取り得る温度変化量ΔTのバラツキ範囲に基づいて実験的に定められる。
閾値Bは、温度変化量ΔTと液面までの距離hとの関係が許容される誤差範囲内で互いに一意的に決定されるように実験的に定められる。
【0026】
図3(A)は、複数のプローブ111,112,…11nを水深方向に一定の間隔で配置することにより、液面レベル33の計測レンジの拡張を図る実施形態である。なお、プローブ11の配置間隔を閾値Bよりも狭く設定することにより、全水深にわたり液面レベル33の計測を高精度で実施することができる。
【0027】
図3(B)は、計測レンジの拡張を達成することができるプローブ11の他の実施形態である。この実施形態においてプローブ11は、その全長にわたり配置される一つのヒータ12と、水深方向に一定の間隔で配置される複数の温度センサ131,132,…13nと、から構成されている。
【0028】
図4のフローチャートに基づいて、第1実施形態に係る液面レベル計測装置の動作を説明する(適宜、図1、図3(A)参照)。
容器31に配置された複数のプローブ11k(k=1〜n)(図3(A))のうちいずれか一つに着目する(S11)。通電部15からステップ状の直流電流をヒータ12に供給して加熱する(S12)。すると、ヒータ12の発熱の一部は充填材17を熱伝導してプローブ11の表面から気相及び液相へリークする。そして、残りの発熱は、温度センサ13を昇温させ検出温度に温度変化量ΔTを与えて平衡状態を示す(S13)。
【0029】
プローブ11が液相に浸漬している場合は、温度変化量ΔTは閾値Aよりも小さな値(ほぼ0)を示す(S14;Yes、S15)。また、気相に露出している場合は、温度変化量ΔTは閾値A以上の値を示す(S14;No、S17、S20)。
【0030】
さらに、温度変化量ΔTが閾値B以下であれば、データベース23(図2)を参照して検出点13aから液面レベル33までの距離hを導出する(S16;Yes、S18)。そして、温度変化量ΔTが閾値Bよりも大きい場合は(S19)、距離hの導出を行わない。このように、全てのプローブ11(111,112,…11n)について(S11)〜(S20)までの処理を実行し(S21)、液面レベル33を判定する(S22)。
【0031】
(第2実施形態)
第2実施形態の液面レベル計測装置は、図1及び図3に示す構成と大部分が同じであるので、相違する機能のみを説明し、重複する機能の説明は省略する。
第2実施形態において測定モード設定部21は、通電部15に、パルス状の電流を供給させ、ヒータ12から所定量の熱エネルギーを短時間のうちに放出させる。この熱エネルギーの一部は充填材17を伝導して保持液32にリークし、残りの熱エネルギーは温度センサ13の検出温度の上昇に寄与する。
第2実施形態では、パルス状の電流を供給する測定モードを採用しているために消費電力を低減することができる。
【0032】
図5は、第2実施形態において、過渡的に変化する温度センサ13の検出温度の変化率(dT/dt)を示している。
液面レベル33が検出点13aよりも上にある場合(x<y)は、ヒータ12の熱エネルギーのほとんどは充填材17を伝導して保持液32にリークする。このために、ヒータ発熱は、温度センサ13による検出温度にほとんど影響を与えず、温度変化率(dT/dt)=0となる。
【0033】
これに対し、液面レベル33が検出点13aよりも下にある場合(x>y)、ヒータ12の熱エネルギーの一部は充填材17を伝導して保持液32にリークする。しかし、残りの発熱は、熱伝達係数の小さな気相からリークされず、温度センサ13の検出温度の上昇に寄与する。
【0034】
このために、熱エネルギーの供給を受けた温度センサ13の検出温度は、急激な立ち上がりを示した後に、ゆっくりと元の温度に戻る。そして、この検出温度の立ち上がりは、熱エネルギーの供給量が多いほど急激なものである。
よって、図1に示す先端部14の浸漬量yが小さくなるに従って、温度センサ13に対する熱エネルギーの供給量が増加し、図5に示す温度変化率の極大値(dT/dt)maxも大きくなる。
【0035】
パラメータ導出部22は、ヒータ12の発熱に伴う温度センサ13の検出温度(検温部16から取得した温度信号)に基づいてパラメータを導出する。
第2実施形態におけるパラメータは、ヒータ12の発熱により過渡状態にある前記検出温度の温度変化率の極大値(dT/dt)maxである。
【0036】
図6は、温度変化率の極大値(dT/dt)max(パラメータ)と、プローブの検出点13aから液面レベル33までの距離h(h=x−y)と、の関係を示すグラフである。
このように、距離h<0の先端部14が液面レベル33よりも下位にある場合は、熱エネルギーはほとんど液相にリークするために(dT/dt)max=0を示す。そして、距離hが広がるにつれて発熱のリーク量が減少し、(dT/dt)maxが増大する。さらに、所定の距離hsに到達したところで、発熱の液相へのリーク量は0となり、これより液面レベル33が低下しても(dT/dt)maxは一定値を示す。
【0037】
レベル判定部24は、導出されたパラメータを閾値Cと比較することにより、プローブ11の検出点13aが液相又は気相のいずれに存在するかを判定する。そして、気相判定が得られた場合は、パラメータを閾値Dと比較して、液面レベル33までの距離hを導出することが可能であるか否かを判定する。そして、液面レベル33までの距離hの導出が可能である場合は、データベース23にアクセスし、導出されたパラメータ、(dT/dt)maxに対応する距離hを導出する(図6参照)。
【0038】
閾値Cは、プローブ11の検出点13aが液相に浸漬した状態で取り得る温度変化率の極大値(dT/dt)maxのバラツキ範囲に基づいて実験的に定められる。
閾値Dは、温度変化率の極大値(dT/dt)maxと液面までの距離hとの関係が許容される誤差範囲内で互いに一意的に決定されるように実験的に定められる。
【0039】
図7のフローチャートに基づいて、第2実施形態に係る液面レベル計測装置の動作を説明する(適宜、図1、図3(A)参照)。
容器31に配置された複数のプローブ11k(k=1〜n)(図3(A))のうちいずれか一つに着目する(S31)。通電部15からパルス状の電流をヒータ12に供給して所定量の熱エネルギーを放出させる(S32)。すると、この熱エネルギーの一部は充填材17を熱伝導してプローブ11の表面から気相及び液相へリークする。そして、残りの熱エネルギーは、温度センサ13を昇温させ検出温度は過渡状態を示す(S33)。
【0040】
プローブ11が液相に浸漬している場合は、温度変化率の極大値(dT/dt)maxは閾値Cよりも小さな値(ほぼ0)を示す(S34;Yes、S35)。また、気相に露出している場合は、温度変化率の極大値(dT/dt)maxは閾値C以上の値を示す(S34;No、S37、S40)。
【0041】
さらに、温度変化率の極大値(dT/dt)maxが閾値D以下であれば、データベース23(図2)を参照して検出点13aから液面レベル33までの距離hを導出する(S36;Yes、S38)。そして、温度変化量ΔTが閾値Dよりも大きい場合は(S39)、距離hの導出を行わない。このように、全てのプローブ11(111,112,…11n)について(S31)〜(S40)までの処理を実行し(S41)、液面レベル33を判定する(S42)。
【0042】
(第3実施形態)
第3実施形態における液面レベル計測装置の特徴的な機能は、他の実施形態の液面レベル計測装置に対し追加的に実施される機能である。
液面レベル33が検出点13aよりも上方又は下方に位置している場合、パラメータを安定的に導出することができる。しかし、液面レベル33が検出点13aの直近に位置している場合、パラメータの導出が不安定化する場合がある。
そこで、第3実施形態の液面レベル計測装置におけるレベル判定部24(図1)は、導出した複数のパラメータを統計処理することにより保持液32の液面レベルを判定することとした。
【0043】
図8のフローチャートに基づいて、第3実施形態に係る液面レベル計測装置の動作を説明する(適宜、図1、図3(A)参照)。
容器31に配置された複数のプローブ11k(k=1〜n)(図3(A))のうちいずれか一つに着目する(S51)。ヒータ12を発熱させる前に連続的に複数のパラメータを導出し標準偏差σ1を演算する(S52)。そして、ヒータ12を発熱させた後に(S53)、同様に連続的に複数のパラメータを導出し標準偏差σ2を演算する(S54)。
なお、第3実施形態においてパラメータとして温度変化率dT/dtを採用しているが、これに限定されるものではない。
【0044】
プローブ11の検出点13aが液面レベル33の直近に位置している場合は、発熱前後の標準偏差の差|σ2−σ1|は閾値Eよりも大きな値を示す(S55;Yes、S56)。また、気相に露出しているか液相に浸漬している場合、|σ2−σ1|は閾値E以下の値を示す(S55;No、S57)。
ここで閾値Eは、検出点13aが液面レベル33の直近にある場合の標準偏差σ1と、外れている場合の標準偏差σ2との有意差のうち最小値を実験的に求める。
【0045】
このように、全てのプローブ11(111,112,…11n)について、図4の(S11)〜(S20)又は図7の(S31)〜(S40)までの処理に加えて、(S51)〜(S57)までの処理を実行し(S58)、液面レベル33を判定する(S59)。
【0046】
以上説明した各実施形態において、ヒータ12として電気抵抗体を採用した場合を示したが、抵抗測温体をヒータ12として採用することもできる。
この場合、通電部15から直流電流をヒータ12としての抵抗測温体へ通電し、抵抗測定を行って温度計測を行う。これと同時に温度センサ13により温度計測を行う。そして、二つの温度計側結果から、温度センサ13のキャリブレーションを行うことができる。
【0047】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の液面レベル計測装置によれば、液面レベル33がいずれのプローブ11の間に位置しているか判定されることに加え、その間の正確な位置についても特定することが可能となる。これにより、プローブ11の設置数量を増加させることなく、液面レベル33を高精度に計測することができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
10…液面レベル計測装置、11(111,112,…11n)…プローブ、12…ヒータ、13(131,132,…13n)…温度センサ、13a…検出点、14…先端部、15…通電部、16…検温部、17…充填材、20…コントローラ、21…測定モード設定部、22…パラメータ導出部、23…データベース、24…レベル判定部、25…端末、31…容器、32…保持液、33…液面レベル、x…先端部の長さ、y…浸漬量、h…検出点から液面レベルまでの距離、A,B,C,D…閾値、ΔT…温度変化量、dT/dt…温度変化率、(dT/dt)max…温度変化率の極大値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサ及びその検出点の近傍に配置されるヒータを封入したプローブと、
前記ヒータの発熱に伴う前記温度センサの検出温度に基づいてパラメータを導出するパラメータ導出部と、
容器の保持液における前記プローブの先端部の浸漬量及び前記パラメータの関係情報を保持するデータベースと、
導出した前記パラメータを前記関係情報に照らし前記保持液の液面レベルを判定するレベル判定部と、を備えることを特徴とする液面レベル計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液面レベル計測装置において、
前記パラメータは、前記ヒータの発熱により平衡状態に至った前記検出温度の温度変化量であることを特徴とする液面レベル計測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液面レベル計測装置において、
前記パラメータは、前記ヒータの発熱により過渡状態にある前記検出温度の温度変化率の極大値であることを特徴とする液面レベル計測装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液面レベル計測装置において、
導出した複数の前記パラメータを統計処理することにより前記保持液の液面レベルを判定することを特徴とする液面レベル計測装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液面レベル計測装置において、
前記温度センサは、熱電対又は抵抗測温体であることを特徴とする液面レベル計測装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液面レベル計測装置において、
前記ヒータは、電気抵抗体又は抵抗測温体であることを特徴とする液面レベル計測装置。
【請求項7】
温度センサ及びその検出点の近傍に配置されるヒータを封入したプローブを認識するステップと、
前記ヒータの発熱に伴う前記温度センサの検出温度に基づいてパラメータを導出するステップと、
前記容器の保持液における前記プローブの先端部の浸漬量及び前記パラメータの関係情報を保持するステップと、
導出した前記パラメータを前記関係情報に照らし前記保持液の液面レベルを判定するステップと、を含むことを特徴とする液面レベル計測方法。
【請求項8】
コンピュータに、
温度センサ及びその検出点の近傍に配置されるヒータを封入したプローブを認識するステップ、
前記ヒータの発熱に伴う前記温度センサの検出温度に基づいてパラメータを導出するステップ、
前記容器の保持液における前記プローブの先端部の浸漬量及び前記パラメータの関係情報を保持するステップ、
導出した前記パラメータを前記関係情報に照らし前記保持液の液面レベルを判定するステップ、を実行させることを特徴とする液面レベル計測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113808(P2013−113808A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262765(P2011−262765)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】