液面検出センサ
【課題】点滴容器内の点滴溶液を汚してしまうことがない液面検出センサを提供することを目的とする。
【解決手段】立設された絶縁基板11と、この絶縁基板11の一面に上方から下方にわたって設けられた液位検出抵抗層14と、前記絶縁基板11の一面の上方に位置して設けられた気体温度検出抵抗層18と、前記絶縁基板11の一面の下方に位置して設けられた液体温度検出抵抗層20とを備え、前記絶縁基板11をフィルム状に構成したものである。
【解決手段】立設された絶縁基板11と、この絶縁基板11の一面に上方から下方にわたって設けられた液位検出抵抗層14と、前記絶縁基板11の一面の上方に位置して設けられた気体温度検出抵抗層18と、前記絶縁基板11の一面の下方に位置して設けられた液体温度検出抵抗層20とを備え、前記絶縁基板11をフィルム状に構成したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に点滴容器内の液面を検出する液面検出センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液面検出センサは、図5に示すような構成を有していた。
【0003】
図5は従来の液面検出センサの正面図である。
【0004】
図5において、1はAl2O3からなる絶縁基板で、この絶縁基板1は長手方向に略垂直に立設させるとともに、この絶縁基板1の一側面には上側に位置して電源電極2、中間電極3およびGND電極4を並列に設けている。また、絶縁基板1の一側面には、第1の回路パターン5を介してGND電極4と一端が電気的に接続されるように複数のサーミスタ抵抗層6を上側から下側にわたって設けている。そして、このサーミスタ抵抗層6は温度が上昇すると抵抗値が急激に下がる特性を有している。そしてまた、前記絶縁基板1の一側面にはサーミスタ抵抗層6と同じ高さに位置して複数の固定抵抗層7を設けており、この固定抵抗層7は一端を第2の回路パターン8を介して前記電源電極2に電気的に接続している。さらに、前記絶縁基板1の一側面には第3の回路パターン9を設けており、この第3の回路パターン9により、前記サーミスタ抵抗層6の他端と固定抵抗層7の他端を電気的に接続している。
【0005】
以上のように構成された従来の液面検出センサについて、次にその動作を図面を参照しながら説明する。
【0006】
液面検出センサを図6に示すように、液面に対して略垂直に立設して液体10に浸漬し、電源電極2とGND電極4との間に直流電圧を印加する。この場合、液面より上方に位置するサーミスタ抵抗層6は通電によって発熱し、また液面より下方に位置するサーミスタ抵抗層6は液体10によって冷却される。そして、サーミスタ抵抗層6は温度が上昇すると抵抗値が急激に下がる特性を有しているため、液面より上方に位置するサーミスタ抵抗層6の抵抗値は液面より下方に位置するサーミスタ抵抗層6の抵抗値に比べて十分小さな値となり、これにより、液面より上方に位置するサーミスタ抵抗層6に流れる電流は、液面より下方に位置するサーミスタ抵抗層6に流れる電流に比べて十分大きな値となる。従って、電源電極2およびGND電極4に直列に電流計(図示せず)を接続すると、電源電極2とGND電極4との間に流れる電流は液面より上方に位置するサーミスタ抵抗層6の個数に応じ、増加した値となるため、液面の高さを知ることができるものである。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開昭62−102120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来の構成においては、液面検出センサにより、点滴容器の内側の液面を検出する場合、液面検出センサ自体を点滴容器内の点滴溶液に浸さなければならないため、点滴溶液が汚れる可能性があり、これにより、点滴溶液を使用することができなくなるという課題を有していた。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、点滴容器内の点滴溶液を汚してしまうことがない液面検出センサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0011】
本発明は、絶縁基板をフィルム状に構成したもので、この構成によれば、絶縁基板をフィルム状に構成しているため、点滴容器の外側面に点滴容器の外形形状に合わせて液面検出センサを設けることができ、これにより、点滴容器の外側面部を介して点滴溶液の液位を検出することができるため、点滴溶液を汚さずに液位を検出できるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明の液面検出センサは、絶縁基板をフィルム状に構成しているため、点滴容器の外側面に点滴容器の外形形状に合わせて液面検出センサを設けることができ、これにより、点滴容器の外側面部を介して点滴溶液の液位を検出することができるため、点滴溶液を汚さずに液位を検出できる液面検出センサを提供することができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、一実施の形態を用いて、本発明の請求項1〜4に記載の発明について説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施の形態における液面検出センサの上面図、図2は同液面検出センサの側断面図である。
【0015】
図1、図2において、11はフィルム状に構成されたポリエチレンテレフタレートからなる直方体形状の絶縁基板で、この絶縁基板11は長手方向に略垂直に立設させるとともに、一側面にエポキシ系樹脂からなる絶縁層12を設けており、さらに、前記絶縁基板11と絶縁層12との間にはAg系樹脂とエポキシ系樹脂との混合物からなる発熱抵抗体層13を設けている。また、前記絶縁基板11における絶縁層12の側面には上方から下方にわたってAg系樹脂とエポキシ系樹脂との混合物からなる樹脂材料をバインダーとするサーミスタで構成した液位検出抵抗層14を設けており、この液位検出抵抗層14の長手方向と垂直な方向の両端には一対の液位測定電極15を設けるとともに、この液位測定電極15は配線パターン16を介して外部電極17と電気的に接続している。そしてまた、前記絶縁基板11における絶縁層12の側面には上方に位置してAg系樹脂とエポキシ系樹脂との混合物からなる樹脂材料をバインダーとするサーミスタで構成した気体温度検出抵抗層18を設けており、この気体温度検出抵抗層18の両端には一対のAgからなる気体温度検出電極19を設けるとともに、この気体温度検出電極19は配線パターン16を介して外部電極17と電気的に接続している。さらに、前記絶縁基板11における絶縁層12の側面には下方に位置してAg系樹脂とエポキシ系樹脂との混合物からなる樹脂材料をバインダーとするサーミスタで構成した液体温度検出抵抗層20を設けており、この液体温度検出抵抗層20の両端には一対のAgからなる液体温度検出電極21を設けるとともに、この液体温度検出電極21は配線パターン16を介して外部電極17と電気的に接続している。そして、前記一対の気体温度検出電極19間の長さと、一対の液体温度検出電極21間の長さは略同一とし、この長さを単位長さと定義する。22はSi系またはアクリル系からなる接着層で、この接着層22は前記絶縁基板11、液位検出抵抗層14、液位測定電極15、気体温度検出抵抗層18、気体温度検出電極19、液体温度検出抵抗層20および液体温度検出電極21の側面に設けている。
【0016】
上記本発明の一実施の形態においては、液位検出抵抗層14、気体温度検出抵抗層18および液体温度検出抵抗層20をAg系樹脂とエポキシ系樹脂との混合物からなる樹脂材料をバインダーとするサーミスタで構成しているため、前記樹脂材料からなるバインダーの焼成温度は比較的低いものとなり、これにより、絶縁基板11を耐熱性の低い材料で構成することができるという効果を有するものである。
【0017】
以上のように構成された本発明の一実施の形態における液面検出センサについて、次に、その製造方法を説明する。
【0018】
まず、ボールミル(図示せず)にMn,Co,Niを50:20:10の原子%比で投入し、粉砕する。
【0019】
次に、粉砕されたMn,Co,Niを焼成炉(図示せず)に投入し、約1240℃で固相反応させて、スピネル構造体を形成する。
【0020】
次に、3本ロール(図示せず)に、Mn,Co,Niのスピネル構造体70wt%と、熱硬化性ポリイミド樹脂22wt%と、カーボン粉末8wt%とを投入し、有機溶剤を添加しながら練り合わせてサーミスタのペーストを形成する。
【0021】
次に、フィルム状に構成されたポリエチレンテレフタレートからなる絶縁基板11を準備した後、絶縁基板11の一面にAg粉とエポキシ樹脂との混合物からなる樹脂ペースト(図示せず)をスクリーン印刷により印刷した後、焼成炉(図示せず)に投入し、約120〜150℃で約30分間焼成し、発熱抵抗体層13を形成する。
【0022】
次に、前記絶縁基板11における発熱抵抗体層13を覆うように、エポキシ樹脂からなる絶縁ペーストをスクリーン印刷した後、UV炉(図示せず)に投入し、光量約2000mj/cm2によって硬化させ、絶縁層12を形成する。
【0023】
次に、絶縁基板11における絶縁層12の一側面にAgの厚膜ペーストをスクリーン印刷した後、焼成炉(図示せず)に投入し、約270℃で約2〜10分間焼成し、液位測定電極15、気体温度検出電極19、液体温度検出電極21、配線パターン16および外部電極17を形成する。
【0024】
次に、絶縁基板11の一側面に、前記液位測定電極15、気体温度検出電極19および液体温度検出電極21の上面に重なるように、サーミスタのペーストをスクリーン印刷した後、約270℃で約2〜3時間焼成し、液位検出抵抗層14、気体温度検出抵抗層18および液体温度検出抵抗層20を形成する。
【0025】
上記本発明の一実施の形態においては、液位検出抵抗層14、液位測定電極15、気体温度検出抵抗層18、気体温度検出電極19、液体温度検出抵抗層20および液体温度検出電極21を厚膜印刷工法により形成しているため、液面検出センサを容易に構成することができるという効果を有するものである。
【0026】
最後に、前記絶縁基板11、液位検出抵抗層14、液位測定電極15、気体温度検出抵抗層18、気体温度検出電極19、液体温度検出抵抗層20および液体温度検出電極の側面を覆うように、Siからなる接着剤を塗布して接着層22を形成する。
【0027】
以上のように構成され、かつ製造された本発明の一実施の形態における液面検出センサについて、次に、その動作を図面を参照しながら説明する。
【0028】
図3、図4に示すように、液面検出センサを点滴溶液23を満たした点滴容器24の外側面に貼り付ける。この場合、気体温度検出抵抗層18は点滴容器24内における気体と対向し、かつ液体温度検出抵抗層20は点滴容器24内における液体と対向し、さらに液位検出抵抗層14は点滴容器24の外側面を介して液面に接する位置になるように、液面検出センサを点滴容器24の外側面に接着層22の接着力により貼り付ける。
【0029】
上記本発明の一実施の形態においては、絶縁基板11をフィルム状に構成しているため、点滴容器24の外側面に点滴容器24の外形形状に合わせて液面検出センサを設けることができ、これにより、点滴容器24の外側面を介して点滴溶液23の液位を検出することができるため、点滴溶液23を汚さずに点滴容器24内の液位を検出できるという効果を有するものである。
【0030】
上記点滴容器24の外側面に液面検出センサを貼り付けた状態において、絶縁基板11に埋設された発熱抵抗体層13に電圧が印加されると、発熱抵抗体層13に流れる電流により発熱抵抗体層13からジュール熱が発生する。このジュール熱は絶縁層12を介して液位検出抵抗層14、気体温度検出抵抗層18および液体温度検出抵抗層20に到達する。このとき、液位検出抵抗層14のうちの液体に対向する部分と気体に対向する部分とでは、熱放散定数の差により単位長さあたりの自己発熱量に差が生じるため、液位検出抵抗層14のうちの気体に対向する部分と液体に対向する部分とでは温度差が生じ、これにより、サーミスタの抵抗−温度特性により単位長さあたりの抵抗値に差が生じる。この抵抗値の差を一対の気体温度検出電極19間に位置する気体温度検出抵抗層18の抵抗値および一対の液体温度検出電極21間に位置する液体温度検出抵抗層20の抵抗値と比較して演算することにより、点滴容器24内の点滴溶液23の液面を検出するものである。
【0031】
上記本発明の一実施の形態においては、絶縁基板11における液位検出抵抗層14、気体温度検出抵抗層18および液体温度検出抵抗層20を設けた箇所の近傍に位置して発熱抵抗層13を埋設しているため、この発熱抵抗体層13から液位検出抵抗層14、気体温度検出抵抗層18および液体温度検出抵抗層20に対して熱を供給することができ、これにより、点滴容器24内の液体より気体がさらに高温になるため、液体温度検出抵抗層20および液位検出抵抗層14のうちの液体に対向する部分は気体温度検出抵抗層18および液位検出抵抗層14のうちの気体に対向する部分より低温となり、これにより、各々の抵抗層の液体に対向する部分と気体に対向する部分の抵抗値の差が大となるため、液面検出センサの感度が向上するという効果を有するものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明にかかる液面検出センサは、点滴容器内の点滴溶液を汚さずに液位を検出できる液面検出センサを提供することができるという効果を有し、点滴容器内の点滴溶液の液面を検出する液面検出センサとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態における液面検出センサの上面図
【図2】同液面検出センサの側断面図
【図3】同液面検出センサを点滴容器に貼り付けた状態を示す斜視図
【図4】同液面検出センサを点滴容器に貼り付けた状態を示す側断面図
【図5】従来の液面検出センサの正面図
【図6】従来の液面検出センサの動作状態を示す部分拡大図
【符号の説明】
【0034】
11 絶縁基板
13 発熱抵抗体層
14 液位検出抵抗層
15 液位測定電極
18 気体温度検出抵抗層
19 気体温度検出電極
20 液体温度検出抵抗層
21 液体温度検出電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に点滴容器内の液面を検出する液面検出センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液面検出センサは、図5に示すような構成を有していた。
【0003】
図5は従来の液面検出センサの正面図である。
【0004】
図5において、1はAl2O3からなる絶縁基板で、この絶縁基板1は長手方向に略垂直に立設させるとともに、この絶縁基板1の一側面には上側に位置して電源電極2、中間電極3およびGND電極4を並列に設けている。また、絶縁基板1の一側面には、第1の回路パターン5を介してGND電極4と一端が電気的に接続されるように複数のサーミスタ抵抗層6を上側から下側にわたって設けている。そして、このサーミスタ抵抗層6は温度が上昇すると抵抗値が急激に下がる特性を有している。そしてまた、前記絶縁基板1の一側面にはサーミスタ抵抗層6と同じ高さに位置して複数の固定抵抗層7を設けており、この固定抵抗層7は一端を第2の回路パターン8を介して前記電源電極2に電気的に接続している。さらに、前記絶縁基板1の一側面には第3の回路パターン9を設けており、この第3の回路パターン9により、前記サーミスタ抵抗層6の他端と固定抵抗層7の他端を電気的に接続している。
【0005】
以上のように構成された従来の液面検出センサについて、次にその動作を図面を参照しながら説明する。
【0006】
液面検出センサを図6に示すように、液面に対して略垂直に立設して液体10に浸漬し、電源電極2とGND電極4との間に直流電圧を印加する。この場合、液面より上方に位置するサーミスタ抵抗層6は通電によって発熱し、また液面より下方に位置するサーミスタ抵抗層6は液体10によって冷却される。そして、サーミスタ抵抗層6は温度が上昇すると抵抗値が急激に下がる特性を有しているため、液面より上方に位置するサーミスタ抵抗層6の抵抗値は液面より下方に位置するサーミスタ抵抗層6の抵抗値に比べて十分小さな値となり、これにより、液面より上方に位置するサーミスタ抵抗層6に流れる電流は、液面より下方に位置するサーミスタ抵抗層6に流れる電流に比べて十分大きな値となる。従って、電源電極2およびGND電極4に直列に電流計(図示せず)を接続すると、電源電極2とGND電極4との間に流れる電流は液面より上方に位置するサーミスタ抵抗層6の個数に応じ、増加した値となるため、液面の高さを知ることができるものである。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開昭62−102120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来の構成においては、液面検出センサにより、点滴容器の内側の液面を検出する場合、液面検出センサ自体を点滴容器内の点滴溶液に浸さなければならないため、点滴溶液が汚れる可能性があり、これにより、点滴溶液を使用することができなくなるという課題を有していた。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、点滴容器内の点滴溶液を汚してしまうことがない液面検出センサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0011】
本発明は、絶縁基板をフィルム状に構成したもので、この構成によれば、絶縁基板をフィルム状に構成しているため、点滴容器の外側面に点滴容器の外形形状に合わせて液面検出センサを設けることができ、これにより、点滴容器の外側面部を介して点滴溶液の液位を検出することができるため、点滴溶液を汚さずに液位を検出できるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明の液面検出センサは、絶縁基板をフィルム状に構成しているため、点滴容器の外側面に点滴容器の外形形状に合わせて液面検出センサを設けることができ、これにより、点滴容器の外側面部を介して点滴溶液の液位を検出することができるため、点滴溶液を汚さずに液位を検出できる液面検出センサを提供することができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、一実施の形態を用いて、本発明の請求項1〜4に記載の発明について説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施の形態における液面検出センサの上面図、図2は同液面検出センサの側断面図である。
【0015】
図1、図2において、11はフィルム状に構成されたポリエチレンテレフタレートからなる直方体形状の絶縁基板で、この絶縁基板11は長手方向に略垂直に立設させるとともに、一側面にエポキシ系樹脂からなる絶縁層12を設けており、さらに、前記絶縁基板11と絶縁層12との間にはAg系樹脂とエポキシ系樹脂との混合物からなる発熱抵抗体層13を設けている。また、前記絶縁基板11における絶縁層12の側面には上方から下方にわたってAg系樹脂とエポキシ系樹脂との混合物からなる樹脂材料をバインダーとするサーミスタで構成した液位検出抵抗層14を設けており、この液位検出抵抗層14の長手方向と垂直な方向の両端には一対の液位測定電極15を設けるとともに、この液位測定電極15は配線パターン16を介して外部電極17と電気的に接続している。そしてまた、前記絶縁基板11における絶縁層12の側面には上方に位置してAg系樹脂とエポキシ系樹脂との混合物からなる樹脂材料をバインダーとするサーミスタで構成した気体温度検出抵抗層18を設けており、この気体温度検出抵抗層18の両端には一対のAgからなる気体温度検出電極19を設けるとともに、この気体温度検出電極19は配線パターン16を介して外部電極17と電気的に接続している。さらに、前記絶縁基板11における絶縁層12の側面には下方に位置してAg系樹脂とエポキシ系樹脂との混合物からなる樹脂材料をバインダーとするサーミスタで構成した液体温度検出抵抗層20を設けており、この液体温度検出抵抗層20の両端には一対のAgからなる液体温度検出電極21を設けるとともに、この液体温度検出電極21は配線パターン16を介して外部電極17と電気的に接続している。そして、前記一対の気体温度検出電極19間の長さと、一対の液体温度検出電極21間の長さは略同一とし、この長さを単位長さと定義する。22はSi系またはアクリル系からなる接着層で、この接着層22は前記絶縁基板11、液位検出抵抗層14、液位測定電極15、気体温度検出抵抗層18、気体温度検出電極19、液体温度検出抵抗層20および液体温度検出電極21の側面に設けている。
【0016】
上記本発明の一実施の形態においては、液位検出抵抗層14、気体温度検出抵抗層18および液体温度検出抵抗層20をAg系樹脂とエポキシ系樹脂との混合物からなる樹脂材料をバインダーとするサーミスタで構成しているため、前記樹脂材料からなるバインダーの焼成温度は比較的低いものとなり、これにより、絶縁基板11を耐熱性の低い材料で構成することができるという効果を有するものである。
【0017】
以上のように構成された本発明の一実施の形態における液面検出センサについて、次に、その製造方法を説明する。
【0018】
まず、ボールミル(図示せず)にMn,Co,Niを50:20:10の原子%比で投入し、粉砕する。
【0019】
次に、粉砕されたMn,Co,Niを焼成炉(図示せず)に投入し、約1240℃で固相反応させて、スピネル構造体を形成する。
【0020】
次に、3本ロール(図示せず)に、Mn,Co,Niのスピネル構造体70wt%と、熱硬化性ポリイミド樹脂22wt%と、カーボン粉末8wt%とを投入し、有機溶剤を添加しながら練り合わせてサーミスタのペーストを形成する。
【0021】
次に、フィルム状に構成されたポリエチレンテレフタレートからなる絶縁基板11を準備した後、絶縁基板11の一面にAg粉とエポキシ樹脂との混合物からなる樹脂ペースト(図示せず)をスクリーン印刷により印刷した後、焼成炉(図示せず)に投入し、約120〜150℃で約30分間焼成し、発熱抵抗体層13を形成する。
【0022】
次に、前記絶縁基板11における発熱抵抗体層13を覆うように、エポキシ樹脂からなる絶縁ペーストをスクリーン印刷した後、UV炉(図示せず)に投入し、光量約2000mj/cm2によって硬化させ、絶縁層12を形成する。
【0023】
次に、絶縁基板11における絶縁層12の一側面にAgの厚膜ペーストをスクリーン印刷した後、焼成炉(図示せず)に投入し、約270℃で約2〜10分間焼成し、液位測定電極15、気体温度検出電極19、液体温度検出電極21、配線パターン16および外部電極17を形成する。
【0024】
次に、絶縁基板11の一側面に、前記液位測定電極15、気体温度検出電極19および液体温度検出電極21の上面に重なるように、サーミスタのペーストをスクリーン印刷した後、約270℃で約2〜3時間焼成し、液位検出抵抗層14、気体温度検出抵抗層18および液体温度検出抵抗層20を形成する。
【0025】
上記本発明の一実施の形態においては、液位検出抵抗層14、液位測定電極15、気体温度検出抵抗層18、気体温度検出電極19、液体温度検出抵抗層20および液体温度検出電極21を厚膜印刷工法により形成しているため、液面検出センサを容易に構成することができるという効果を有するものである。
【0026】
最後に、前記絶縁基板11、液位検出抵抗層14、液位測定電極15、気体温度検出抵抗層18、気体温度検出電極19、液体温度検出抵抗層20および液体温度検出電極の側面を覆うように、Siからなる接着剤を塗布して接着層22を形成する。
【0027】
以上のように構成され、かつ製造された本発明の一実施の形態における液面検出センサについて、次に、その動作を図面を参照しながら説明する。
【0028】
図3、図4に示すように、液面検出センサを点滴溶液23を満たした点滴容器24の外側面に貼り付ける。この場合、気体温度検出抵抗層18は点滴容器24内における気体と対向し、かつ液体温度検出抵抗層20は点滴容器24内における液体と対向し、さらに液位検出抵抗層14は点滴容器24の外側面を介して液面に接する位置になるように、液面検出センサを点滴容器24の外側面に接着層22の接着力により貼り付ける。
【0029】
上記本発明の一実施の形態においては、絶縁基板11をフィルム状に構成しているため、点滴容器24の外側面に点滴容器24の外形形状に合わせて液面検出センサを設けることができ、これにより、点滴容器24の外側面を介して点滴溶液23の液位を検出することができるため、点滴溶液23を汚さずに点滴容器24内の液位を検出できるという効果を有するものである。
【0030】
上記点滴容器24の外側面に液面検出センサを貼り付けた状態において、絶縁基板11に埋設された発熱抵抗体層13に電圧が印加されると、発熱抵抗体層13に流れる電流により発熱抵抗体層13からジュール熱が発生する。このジュール熱は絶縁層12を介して液位検出抵抗層14、気体温度検出抵抗層18および液体温度検出抵抗層20に到達する。このとき、液位検出抵抗層14のうちの液体に対向する部分と気体に対向する部分とでは、熱放散定数の差により単位長さあたりの自己発熱量に差が生じるため、液位検出抵抗層14のうちの気体に対向する部分と液体に対向する部分とでは温度差が生じ、これにより、サーミスタの抵抗−温度特性により単位長さあたりの抵抗値に差が生じる。この抵抗値の差を一対の気体温度検出電極19間に位置する気体温度検出抵抗層18の抵抗値および一対の液体温度検出電極21間に位置する液体温度検出抵抗層20の抵抗値と比較して演算することにより、点滴容器24内の点滴溶液23の液面を検出するものである。
【0031】
上記本発明の一実施の形態においては、絶縁基板11における液位検出抵抗層14、気体温度検出抵抗層18および液体温度検出抵抗層20を設けた箇所の近傍に位置して発熱抵抗層13を埋設しているため、この発熱抵抗体層13から液位検出抵抗層14、気体温度検出抵抗層18および液体温度検出抵抗層20に対して熱を供給することができ、これにより、点滴容器24内の液体より気体がさらに高温になるため、液体温度検出抵抗層20および液位検出抵抗層14のうちの液体に対向する部分は気体温度検出抵抗層18および液位検出抵抗層14のうちの気体に対向する部分より低温となり、これにより、各々の抵抗層の液体に対向する部分と気体に対向する部分の抵抗値の差が大となるため、液面検出センサの感度が向上するという効果を有するものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明にかかる液面検出センサは、点滴容器内の点滴溶液を汚さずに液位を検出できる液面検出センサを提供することができるという効果を有し、点滴容器内の点滴溶液の液面を検出する液面検出センサとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態における液面検出センサの上面図
【図2】同液面検出センサの側断面図
【図3】同液面検出センサを点滴容器に貼り付けた状態を示す斜視図
【図4】同液面検出センサを点滴容器に貼り付けた状態を示す側断面図
【図5】従来の液面検出センサの正面図
【図6】従来の液面検出センサの動作状態を示す部分拡大図
【符号の説明】
【0034】
11 絶縁基板
13 発熱抵抗体層
14 液位検出抵抗層
15 液位測定電極
18 気体温度検出抵抗層
19 気体温度検出電極
20 液体温度検出抵抗層
21 液体温度検出電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設された絶縁基板と、この絶縁基板の一面に上方から下方にわたって設けられた液位検出抵抗層と、この液位検出抵抗層の両端に設けられた一対の液位測定電極と、前記絶縁基板の一面の上方に位置して設けられた気体温度検出抵抗層と、この気体温度検出抵抗層の両端に設けられた一対の気体温度検出電極と、前記絶縁基板の一面の下方に位置して設けられた液体温度検出抵抗層と、この液体温度検出抵抗層の両端に設けられた一対の液体温度検出電極とを備え、前記絶縁基板をフィルム状に構成した液面検出センサ。
【請求項2】
液位検出抵抗層、液位測定電極、気体温度検出抵抗層、気体温度検出電極、液体温度検出抵抗層および液体温度検出電極を厚膜印刷工法により形成した請求項1記載の液面検出センサ。
【請求項3】
液位検出抵抗層、気体温度検出抵抗層および液体温度検出抵抗層を樹脂材料をバインダーとするサーミスタで構成した請求項1記載の液面検出センサ。
【請求項4】
絶縁基板における液位検出抵抗層、気体温度検出抵抗層および液体温度検出抵抗層を設けた箇所の近傍に位置して発熱抵抗体層を埋設した請求項1記載の液面検出センサ。
【請求項1】
立設された絶縁基板と、この絶縁基板の一面に上方から下方にわたって設けられた液位検出抵抗層と、この液位検出抵抗層の両端に設けられた一対の液位測定電極と、前記絶縁基板の一面の上方に位置して設けられた気体温度検出抵抗層と、この気体温度検出抵抗層の両端に設けられた一対の気体温度検出電極と、前記絶縁基板の一面の下方に位置して設けられた液体温度検出抵抗層と、この液体温度検出抵抗層の両端に設けられた一対の液体温度検出電極とを備え、前記絶縁基板をフィルム状に構成した液面検出センサ。
【請求項2】
液位検出抵抗層、液位測定電極、気体温度検出抵抗層、気体温度検出電極、液体温度検出抵抗層および液体温度検出電極を厚膜印刷工法により形成した請求項1記載の液面検出センサ。
【請求項3】
液位検出抵抗層、気体温度検出抵抗層および液体温度検出抵抗層を樹脂材料をバインダーとするサーミスタで構成した請求項1記載の液面検出センサ。
【請求項4】
絶縁基板における液位検出抵抗層、気体温度検出抵抗層および液体温度検出抵抗層を設けた箇所の近傍に位置して発熱抵抗体層を埋設した請求項1記載の液面検出センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2006−90714(P2006−90714A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272844(P2004−272844)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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