説明

深さ制御電動工具

【課題】キリで掘られる、穴の深さが、深さ設定器の設定数値になったら、自動で停止する深さ制御電動工具。
【解決手段】先ず、掘りたい深さを、深さ設定器11にセットします、次に、スイッチ3を第1段階にします、この時、深さ設定器11の設定値を制御装置4が読み取ります。スライド装置5は、先端がキリの先端と、同一面に有り、深さ表示器12が、0表示で、キリ先を十字のLED照明がてらします。スイッチ3を第2段階にすると、モーター1が回転を始め、キリが穴を掘り始め、深さ制御電動工具が、前進を始め、スライド装置5がスライドを始め、深さ表示器12の表示が、0から加算して行きます。深さが設定値に達すると、深さ表示器12の、現在値が、深さ設定器11の設定値と一致し、モーター1は、自動で停止します。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち式電動工具の、キリを使った穴掘り作業で、
掘りたい穴の深さが、精度よく、簡単に開けられる方法を提供する
もので有る。
手持ち式電動工具の表面に取り付けられた、深さ設定器で数値を設定
し、手持ち式電動工具を起動すると、キリが、回転を始め、前進して
行き、その都度、手持ち式電動工具の表面に取り付けられた、深さ
表示器に、現在値を表示し、深さが、設定値に成ると、手持ち式電動
工具は、回転を止め、現在値を点滅表示する事で、正確な深さの穴を
掘り、更に、上部に水準器を持ち、キリ先に十字の照明をあてる事で、
正確な位置に、垂直に穴が掘れる、深さ制御電動工具である。
【背景技術】
【0002】
手持ち式電動工具を使用する穴あけ作業は、いろんな材料に対して
行われる。木、金属、コンクリート及び化成品等が代表的なもので
有ります。
【0003】
手持ち式電動工具の種類も、普通のドリルや、可変速ドリル、正転
逆転ドリルや振動ドリル等、用途に応じて、種々有ります。
【0004】
それに併せて、使用するキリも、木工用キリ、鉄工用キリや
コンクリート用キリ等、種々有り、用途に併せて、選択します。
【0005】
手持ち式電動工具を使ってあける穴の大きさは、使用するキリの
大きさで決まるので、キリの選定を間違わなければ、問題はないと
思います。
【0006】
手持ち式電動工具を使ってあなをあける時に、貫通する時と、貫通
しない時が有ります。貫通する孔は、問題ないと思いますが、貫通
しない時が、非常に問題が有ります。
【0007】
貫通しない穴をあける代表が、振動ドリルを使って、コンクリートに
後施工アンカー用の、アンカー穴をあける事です。
【0008】
この場合、穴が、浅すぎるとアンカーが、浮き上がり、深すぎると
アンカーが、入り込みすぎて、いずれも、アンカーの所定の能力が
出ないので、不良工事に成ります。
【0009】
現在、掘る長さを決める為に、ストッパーを取付けたり、キリに
テープを巻いて、そこまで掘る目安を付けたりしますが、いずれも、
数か所孔をあけて行くうちに、少しずつずれてきて、其の侭、気付かず
にあけて、貫通してしまい、不良工事になったりします。
現在、穴をあける時に、けがいた場所から、穴あけ作業中にずれて
穴があいたり、穴が垂直にあかずに、斜めにあいたり、と言う様な作業
不良が、発生しています。
この問題の解決策が、未だなく、アンカー作業の下穴加工の精度の向上
が求められている現状です。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許4108370号
【特許文献2】特開2004-276194号公開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
手持ち式電動工具による穴あけ作業において、必要な深さを誤差
なく、決まった位置に正確に、垂直な穴をあける。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ハウジングに収容されたモーターで、出力軸端のキリを回転させ、
穴を掘る電動工具であって、モーターを起動する為に、人によって操作
される2段階スイッチと深さ設定器を有し、キリで掘られる、穴の深さ
が、深さ設定器の設定数値になったら、自動で停止する
深さ制御電動工具。
【0013】
ハウジング内に、制御装置、スライド装置の一部、スライドレール、
スプリング装置、電磁スケール、及び、検出センサーを有し、
ハウジング表面の操作が出来、確認出来る位置に、深さ設定器、及び、
深さ表示器を有し、ハウジング外部に、スライド装置の残りの部分、
出力軸端の一部、及び、キリ着脱装置を有する深さ制御電動工具。
【0014】
スライドレールは、モーターの出力軸と併行して配置固定され、
スライド装置は、スライドレール上をキリの進度に併せてスライドする
ように設置され、一端部は、スプリング装置に押しあてられ、
スライド装置が、キリの進度に併せてスライドした際に、スプリング
装置内に配置された、スプリングを押し上げて、縮ませ、前記キリが、
後退すると、押されていたスライド装置が、解放され、スプリングが、
元の長さに戻ろうとして、スライド装置を、押し下げ、スライド装置は、
スライドレール上をスライドし、スライドする前の位置に戻る。電磁
スケールは、磁石の正極、負極が、交互に着磁された金属で、スライド
装置の、外側に取り付けられ、その長さは、スライド装置の動ける範囲
と同じ長さとし、検出センサーは、電磁スケールと対面し、電磁
スケールの両端部が、検出出来る固定側に取り付けられ、更に、
スライド装置は、中空構造とし、ファンが回転した時に発生した風を
スプリング装置側でスライド装置内に取り込み、他端部へ導き、他端部
は、キリの先端の同一平面上に、押しあてられ、密閉構造で、側面の
キリの先端方向に風の吹き出し口を有し、吹き出し口は、風圧が有ると
上がり、風圧が無いと下りているフードを有する深さ制御電動工具。
【0015】
操作電源は、制御装置に送られ、モーター、ファン、スイッチ、
深さ設定器、深さ表示器、及び、検出センサーは、各々、個別に制御
装置と電線で接続され、全ての変化の情報は、各々から、電線を通じて、
制御装置に送られ、全ての指示伝達は、電線を通じて、制御装置から、
各々へ送られる深さ制御電動工具。
【0016】
ハウジングの外側で、出力軸の反対上部に、水準器を有し、水準器で、
手持ち式電動工具の4方向の水平が、確認出来る深さ制御電動工具。
ハウジングの内部、出力軸側に、LED照明を有し、ハウジングに、
十字のスリットを有し、前記手持ち式電動工具の4方向の水平が、確認
出来た時、スイッチを第1段階にすると、LED照明が、点灯し、
スリットを通過して、キリ先部に、照射され、十字のラインが、映し
出される深さ制御電動工具。
【0017】
手持ち式電動工具が、既設品で、制御装置、深さ設定器、及び、
深さ表示器を一体の物とし、スライド装置、スプリング装置、
電磁スケール、及び、検出センサーを一体の物とする深さ制御装置。
【0018】
先ず、掘りたい深さを、深さ設定器にセットします、次に、キリ先を
穴を開けたいポイントに併せます。この時、水準器を見て、深さ制御
電動工具を水平にして、スイッチを第1段階にします、この時、深さ
設定器の設定値を制御装置が読み取ります。スライド装置は、先端が
キリの先端と、同一面に有り、深さ表示器が、0表示で、キリ先を
十字のLED照明がてらします。
【0019】
スイッチを第2段階にすると、モーターとファンが回転を始め、
スライド装置のキリの横の吹き出しフードから、風が出始め、同時に
キリが穴を掘り始め、深さ制御電動工具が、前進を始め、スライド装置
がスライドを始め、深さ表示器の表示が、0から加算して行きます。
キリ先の周りのキリカスは、風で排除されます。
【0020】
深さが設定値に達すると、深さ表示器の、現在値が、深さ設定器の
設定値と一致し、モーターは、自動で停止します。深さ表示器は、深さ
設定器の設定値と同じ値を表示し点滅します。深さ制御電動工具を
後退させると、スライド装置は、スプリング装置により元に戻り、
深さ表示器の表示も消灯します。
【発明の効果】
【0021】
キリによって掘り深さの設定が、ワンタッチで出来るので、作業が、
速くなる。
【0022】
設定値に成ったら、スイッチが切れて、止まるので、正確な深さの
穴が掘れて、作業精度が向上する。
【0023】
水準器を見ながら穴が掘れるので、真直ぐ垂直に穴があき、作業精度
が向上する。
【0024】
十字の照明を確認しながら、穴を掘るので、穴のずれが無くなり、
作業精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】通常の穴あけ用電動工具
【図2】深さ制御電動工具側面
【図3】深さ制御電動工具正面
【図4】既設電動工具に深さ制御装置を付ける場合
【符号の説明】
【0026】
1 モーター
2 ファン
3 スイッチ(2段階)
4 制御装置
5 スライド装置
6 スライドレール
7 スプリング装置
8 電磁スケール
9 検出センサー
10 フード
11 深さ設定器
12 深さ表示器
13 水準器
14 LED照明
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、通常の穴あけ用電動工具です。
現在、手持ち式電動工具を使った、穴あけ作業で、いくつかの問題が
有る。先ず穴の位置がずれる、穴が垂直にあかず、斜めにあく、穴を
浅くあけたり、深くあけすぎる等があり、いずれも、1度発生すると、
製品不良となるし、穴が、数か所有る時は、それぞれが、バラバラ
だと取り返しがつかない事に成る。
【0028】
先ず穴の位置がずれる事と、穴が斜めにあく原因は、手持ち式
電動工具が垂直に成っていない事と、キリが廻り、発生するキリカス
が、キリ先の回りに集まっていて、あける場所が見えないまま、あけ
続けたりする事等が考えられる。
【0029】
あける穴の深さは、キリにテープを巻いて、目印にしたり、
ストッパーを付けたりして、併せる方法が有りますが、いずれも、
ずれるという、問題を抱えている為に、安全確実な方法とは、
言えません。
【0030】
図2、3は、深さ制御電動工具で、現在の穴あけ作業の問題点を、
全て、解決する為に開発されました。
【0031】
先ず、掘りたい深さを、深さ設定器11にセットします、次に、
キリ先を穴を開けたいポイントに併せます。この時、水準器13を
見て、深さ制御電動工具を水平にして、スイッチ3を第1段階に
します、この時、深さ設定器11の設定値を制御装置4が読み取り
ます。
スライド装置5は、先端がキリの先端と、同一面に有り、深さ
表示器12が、0表示で、キリ先を十字のLED照明14がてらし
ます。
【0032】
スイッチ3を第2段階にすると、モーター1とファン2が回転を
始め、風を送り始め、スライド装置5の中を風が送られて行き、
スライド装置5のキリの横の吹き出しフード10から、風が
出始め、同時にキリが穴を掘り始め、深さ制御電動工具が、前進を
始め、スライド装置5がスライドを始め、深さ表示器12の表示が、
0から加算して行きます。キリの周りのキリカスは、風で排除され
ます。
【0033】
深さが設定値に達すると、深さ表示器12の、現在値が、深さ
設定器11の設定値と一致し、モーター1は、自動で停止します。
深さ表示器12は、深さ設定器11の設定値と同じ値を表示し点滅
します。
深さ制御電動工具を後退させると、スライド装置は、スプリング
装置により元に戻り、深さ表示器の表示も消灯します。
【0034】
深さ制御電動工具の使用により、キリ先のずれもなく、垂直に
深さも指定通りの穴が、短時間で、効率よく加工されます。
【0035】
図4は、既設の電動工具に、深さ制御装置を提供するイメージ
図です。
手持ち式電動工具が、既設品で、制御装置4、深さ設定器11、及び、
深さ表示器12を一体の物とし、スライド装置5、
スプリング装置7、電磁スケール8、及び、検出センサー9を一体
の物とする深さ制御装置です。
【0036】
既設品電動工具への電源送りは、制御装置4から行います。既設
電動工具のスイッチが入れられると、電流が変化します、その変化
を制御装置4が捕まえて、同時に、深さ設定器11の設定値を読み
取ります。スライド装置5がスライドし、電磁スケール8が動き、
検出センサー9が、検出して移動量を制御装置4へ送り、
制御装置4は、移動量データを深さ表示器へ送り表示します。
深さ設定器の設定値と深さ表示器の現在値が一致したら、既設
電動工具は、停止します。
【0037】
電磁スケールと検出センサーと制御装置の検出精度は、分解能を
上げれば、ある程度、高められますが、穴あけの精度ですので、
現時点では、1mm単位で十分かと考えています。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに収容されたモーターで、出力軸端のキリを回転させ、
穴を掘り、前記モーターの他端にファンを有する、手持ち式電動工具で
あって、前記モーターを起動する為に、人によって2段階に操作される
スイッチと深さ設定器を有し、前記キリで掘られる、穴の深さが、前記
深さ設定器の設定数値になったら、自動で停止する事を特徴とする
深さ制御電動工具。
【請求項2】
前記ハウジング内に、制御装置、スライド装置の一部、スライド
レール、スプリング装置、電磁スケール、及び、検出センサーを有し、
前記ハウジング表面の操作が出来、確認出来る位置に、深さ設定器、
及び、深さ表示器を有し、前記ハウジング外部に、前記スライド装置
の残りの部分、前記出力軸端の一部、及び、前記キリ着脱装置を有する
事を特徴とする請求項1に記載の深さ制御電動工具。
【請求項3】
前記スライドレールは、前記モーターの出力軸と併行して配置固定
され、前記スライド装置は、前記スライドレール上を前記キリの進度に
併せてスライドするように設置され、一端部は、前記スプリング装置に
押しあてられ、前記電磁スケールは、磁石の正極、負極が、交互に着磁
された金属で、前記スライド装置の、外側に取り付けられ、その長さは、
前記スライド装置の動ける範囲と同じ長さとし、前記検出センサーは、
前記電磁スケールと対面し、前記電磁スケールの両端部が、検出出来る
固定側に取り付けられ、更に、前記スライド装置は、中空構造とし、
前記ファンが回転した時に発生した風を前記スプリング装置側で前記
スライド装置内に取り込み、他端部へ導き、他端部は、前記キリの先端
の同一平面上に、押しあてられ、密閉構造で、側面の前記キリの先端
方向に前記風の吹き出し口を有し、前記吹き出し口は、風圧が有ると上
がり、風圧が無いと下りているフードを有し、前記風を吹き出す事を
特徴とする請求項1.2の何れか一項に記載の深さ制御電動工具。
【請求項4】
操作電源は、前記制御装置に送られ、前記モーター、前記ファン、
前記スイッチ、前記深さ設定器、前記深さ表示器、及び、前記検出
センサーは、各々、個別に前記制御装置と電線で接続され、全ての
変化の情報は、各々から、前記電線を通じて、前記制御装置に送ら
れ、全ての指示伝達は、前記電線を通じて、前記制御装置から、各々
へ送られる事を特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の
深さ制御電動工具。
【請求項5】
前記ハウジングの外側で、前記出力軸の反対上部に、水準器を有し、
前記水準器で、前記手持ち式電動工具の4方向の水平が、確認出来る
事を特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の深さ制御電動工具。
【請求項6】
前記ハウジングの内部、出力軸側に、LED照明を有し、前記
ハウジングケースに、十字のスリットを有し、前記手持ち式電動工具
の4方向の水平が、確認出来た時、前記スイッチを第1段階にすると、
前記LED照明が、点灯し、前記スリットを通過して、前記キリ先部
に、照射され、十字のラインが、映し出される事を特徴とする
請求項1〜5の何れか一項に記載の深さ制御電動工具。
【請求項7】
手持ち式電動工具が、既設品で、前記制御装置、前記深さ設定器、
及び、前記深さ表示器を一体の物とし、前記スライド装置、
前記スプリング装置、前記電磁スケール、及び、前記検出センサーを
一体の物とする事を特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の
深さ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−81546(P2012−81546A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229163(P2010−229163)
【出願日】平成22年10月9日(2010.10.9)
【出願人】(710007397)株式会社オージーエイ (8)
【Fターム(参考)】