説明

混合・微粒化装置

【課題】キャビテーション効果と衝突エネルギー効果を十分に生かした構成がシンプルな混合・微粒化装置を提供する。
【解決手段】中側構成体20と、その両側に接する外側構成体10a,10bとの3個の構成体を有し、前記外側構成体の中側構成体に接する面に被処理物を誘導するための溝部13を穿設し、中側構成体には、被処理物を混合、粉砕させるための空間部21を設けた混合・微粒化装置であって、前記外側構成体の溝部の前記中側構成体の空間部に面する開口部の位置および形状は、前記2個の外側構成体の溝部を通して被処理物を前記中側構成体の空間部に高速導入して前記中側構成体の空間部で衝突して混合・微粒化するよう形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、食品、繊維、電磁製品、医療品、塗料、トナー、感光材料、磁気記録媒体などの種々な分野において使用される、液相中に固相を混合させたスラリー又は、水に油、又は油に水を混合させた液体において、これらに加圧、減圧、衝突の工程により、又はこれらの工程を繰り返すことにより超微粒子分散体を得るための混合・微粒化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、混合・微粒化装置としては、粒子同士の衝突によるか、或いは圧縮状態から開放状態に移行させるキャビテーションを利用した装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1では、高圧容器内に、高圧容器内の流体の流路に比べて十分小さな貫通孔が形成された厚みの薄い硬度の大きな物質から形成された板状体が設けられており、板状体の貫通孔の中央には、貫通孔に垂直な流出路が板状体の側面へつながっており、板状体の貫通孔の互いに反対の方向から供給された流体は、板状体の中央部において衝突して乳化させることによって乳化させる乳化装置を紹介している。
【0004】
また特許文献2では、入側ブロックAと出側ブロックAを有する密閉容器内に、微粒化すべき物質が分散された被処理流体を入側ブロックAから高速で導入し、その流れを複数の貫通孔X、Y、Z、Vに分岐させた後、再び集合させる向きの高速流として衝突させて物質を微粒化し出側ブロックAから排出する装置であって、高速で送られる被処理流体を、遠心方向に拡散後、拡散方向端部の複数位置から送りこみ方向に流れの向きを変えて分流させ、分流ブロックAの先端部で壁面に衝突させると共に圧力を急降下させた後、送りこみ方向に傾斜した求心方向に流し、その先端部で壁面衝突させ、更に中心方向に集中させ中心位置で衝突合流させた後送りこみ方向と同一方向へ排出させる微粒化装置を紹介している。
【0005】
特許文献3では、ほぼ同一直線上にあって、出口が接近対向するように配置された2つの流路と、該流路のいずれかの位置に設けられた該流路より小さい径の貫通孔とを有し、一方の貫通孔から噴射された液体が他方の貫通孔に届かないように配置したことを特徴とする粒子微粒化装置を紹介している。この装置は流路より小さい径の貫通孔を通過することで瞬間的に超高速に加速され、同時に減圧され、この減圧によって凝集体(粒子)に内部に圧縮された気相は膨張して凝集体の一番弱い部分が破壊され、第1段の粒子の微細化が行なわれ、次いで、貫通孔から噴射された液体は第2段の加圧、減圧による壊食作用によって凝集体が破壊させるのである。この作用は所謂キャビテーションによる微細化である。
【特許文献1】特開平6−47264
【特許文献2】特開平11−42431
【特許文献3】特開2003−1079
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記す装置は、貫通孔内で互いの反対方向からの流体同志を直接衝突させる技術の場合には、粉砕は被処理物同士の衝突に依存し、キャビテーション効果による粉砕は考慮されておらず、まだ粉砕効率が十分でない。また処理目的が乳化である場合は被処理物の流入口の内径を小さくしてもよいが、固形物を含むスラリーの粉砕には目詰まりなどの問題がある。また被処理物を2方向から流入し、T字形の1方向から処理物を排出するなど、形状が複雑である。また被処理物の衝突部はダイヤモンドなどの高価なものを使い、精密な加工が要求される。
【0007】
前述した特許文献2に記す装置は、被処理物を装置の機壁に衝突させることにより被処理物を微粒化することを主にしている。この方法では特に硬度の高い被処理物を有する流体を処理すれば、機壁の磨耗が促進される。また一部に流体同士を衝突させる箇所もあるが、その空間が狭いために、その部分の圧力が高まり、十分な衝突エネルギーを確保することができない。またキャビテーション効果による粉砕は十分生かされていない。また形状が複雑であり、加工難度が高く、機壁の磨耗などの点からメンテナンス費用がかかる。またこの場合も流路の内径が狭ければ固形物の粉砕には目詰まりなどの問題がある。
【0008】
また前記特許文献3に記す粒子微細化装置によれば、貫通孔を通過するときの減圧による粒子にわずかに存在する気相の膨張、キャビテーション効果のみを利用したものであり、衝突エネルギー効果は利用されていない。この場合もキャビテーション効果を上げるためにノズルの内径を狭くすれば固形物の粉砕には目詰まりなどの問題がある。またこの装置の場合、被処理物を2方向に分け、一方の貫通孔から噴射された他方の貫通孔に届かないように十分な長さを必要としているため、パイプ状の流路の強度を必要とし、形状が複雑であり、微細化を複数回行わせる装置にすれば、より形状が複雑となり、メンテナンスにも問題がある。
【0009】
しかし、キャビテーション作用と衝突作用の両方を利用することによって微粒化する装置が提案されている。例えば特許文献4には、少なくとも一対のノズル手段から噴射される高圧流体噴流同士を互いに衝突させることにより乳化分散液体又は/及び微粒子を得る噴流衝合装置において内部チャンバを有するハウジングと、前記チャンバ内に高圧流体を噴射するように前記ハウジングに取り付けられた第1と第2のノズル手段とを備え、前記第1と第2のノズル手段は、互いに噴射流同士が各ノズル出口より先方の一点で角度を有して交差するように夫れ夫れの噴射方向が定められており、前記第1と第2のノズル手段の少なくとも一方の噴射方向を調製するための調整機構を備えていることを特徴とする噴流衝合装置が示されている。
【特許文献4】特開平10−337457号公報 この装置はキャビテーションと衝突の原理を利用しているが、この装置は第1ノズルと第2ノズルとの噴射方向を調製した粒子を衝突させる為の調整手段等を必要とするため装置が複雑である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、キャビテーション効果と衝突エネルギー効果を十分に生かすことができる混合・微粒化装置を提供すること、構成がシンプルであり、加工が容易であり、十分な強度を持ち、目詰まりなどの不具合が起こり難く、メンテナンスが容易な混合・微粒化機構および混合・微粒化装置を提供すること、さらには連続処理することもできる混合・微粒化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の混合・微粒化装置は、中側構成体と、その両側に接する外側構成体との3個の構成体を有し、前記外側構成体の中側構成体に接する面に被処理物を誘導するための溝部を穿設し、中側構成体には、被処理物を混合、粉砕させるための空間部を設けた混合・微粒化装置であって、前記外側構成体の溝部の前記中側構成体の空間部に面する開口部の位置および形状は、前記2個の外側構成体の溝部を通して被処理物を前記中側の構成体の空間部に高速導入して前記中側の構成体の空間部で衝突して混合・微粒化するよう形成されていることを特徴としている。
【0012】
さらに本発明の混合・微粒化装置において、上記構成体が板状体であることが好ましく、また、本発明の混合・微粒化装置は、上記外側板状体に形成された被処理物を誘導するための溝部と、中側板状体に形成された被処理物を混合、粉砕させるための空間部が縦方向に連通して繰り返して形成されていることを特徴としている。
【0013】
さらに本発明の混合・微粒化装置は、上記外側板状体に形成された被処理物を誘導するための溝部と、中側板状体に形成された被処理物を混合、粉砕させるための空間部がさらに横方向に連通して、並列して形成されていることを特徴としている。
【0014】
さらに本発明の混合・微粒化装置は、上記中側板状体に形成された空間部はその上部が凹状に形成されていることを特徴としている。
【0015】
また本発明の混合・微粒化装置は、断面が角形又は円形の函状体または筒状体をなし、前記箱状体または筒状体内に上記発明の混合・微粒化装置を装着し、前記筒状体の片側に被処理物の導入部を、他の側に処理物の排出部が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、この混合・微粒化装置は3枚の分離可能な構成体より形成されているため、構成がシンプルで加工が容易である。またメンテナンスも容易である。また外側の2個の構成体の中側構成体に面する側に形成させた被処理物を誘導するための溝部を通し、被処理物を高速で流入させると、被処理物は溝部を通過する際、その高速により、瞬間的に減圧され、キャビテーション効果により被処理物が破砕することが出来る。中側構成体の空間部に高速導入された被処理物は衝突して混合微粒化される。そして、本発明を構成する3個の構成体は何れも板状体であるので、シンプルな構成で、加工が容易な混合・微粒化装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明における混合・微粒化の原理はキャビテーション効果と衝突効果による。本発明におけるキャビテーション効果とは、高速で流れる液体の中の圧力の低い部分が気化して、非常に短い時間に蒸気のポケットが生まれ、また非常に短時間でつぶれて消滅する現象のことを言い、このキャビティ崩壊の際に瞬間的に非常に高い圧力が発生し、強い破壊力が生じ、粒子を微粒子化することができる。そして中側構成体に形成された空間部に、中側構成体を挟んで対抗した外側2個の構成体に形成された溝部より被処理物が高速で導入されることにより、被処理物は中側構成体の空間部で衝突する。被処理物はこの衝突エネルギーにより、さらに粉砕される。このように本発明によりキャビテーション効果と衝突エネルギーを効果的に利用することにより、被処理物を混合・微粒化することができる。
【0018】
本発明で混合、微粒化できる対象としては、具体的にはクリーム、乳液などの化粧品原料、乳化剤原料、豆腐等などの食品原料、塗料用原料或いはシリカ、黒鉛、アルミ、酸化鉄などの鉱物質等を挙げることができ、例えば、100〜700μm程度の粒径を有する粒子をその1/10から1/100程度の粒径の粒子とすることができる。
【0019】
本発明において3個の構成体を重ね合わせて形成される被処理物の導入口としては、例えば断面積が0.5〜3.0mm2の大きさで、この中に被処理物を圧入する。圧入された被処理物は中側構成体と外側構成体で形成されている溝部を流下する。中側構成体の末端近傍に該当する溝部末端部分は内側に湾曲した後、空間に放出され、被処理物はこの個所でキャビテーションによる粉砕が行われる。同時にこの個所は内方に湾曲し粒子同士が衝突によって更に粉砕される。中側構成体の下部にある中側構成体と2つの外側構成体によって形成されている空間の大きさとしては0.5〜3.0cm程度である。この空間の下部より目的とする被処理物を取り出す。
【0020】
本発明に係るキャビテーション及び衝突から成る混合・微粒化装置は上述では1段階について説明したが、この装置を縦に連通して数段繰り返すことにより、被処理物をより効果的に混合・微粒化することができる。更にこの装置を横方向に並列にしてもよく、このようにすることによって混合効率を向上させることができる。
【0021】
また、中側構成体又は板状体に形成された空間部の上部を凹状の形状にすることにより、被処理物の飛散による機壁の磨耗を防止することができる。更に、上述の混合・微粒化装置を断面が角形又は円形の函状体または筒状体に装着することにより、構造が複雑でなく、メンテナンスが容易な混合・微粒化装置を提供することができる。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である混合・微粒化装置1の構成を模式的に表した図であり、図1において、(a)は本発明の第1実施形態である混合・微粒化装置1を構成する3枚の重ね合わせた板状体の中心線に沿った断面図であり、(b)は外側板状体10a、10bの中側板状体20に面した側の側面図であり、(c)は中側板状体20の外側板状体10に面した側の側面図であり、(d)は混合・微粒化装置1の上面から見た図、(e)は混合・微粒化装置1の下面から見た図である。(f)は本発明の混合・微粒化装置の斜視部である。そして、図1の上側が被処理物の導入側30であり、下側が処理物の排出側31である。
【0023】
本発明の混合・微粒化装置1は、外側の2枚の板状体10a、10bの間に中側板状体20がサンドイッチ状に挟まれて構成されている。
【0024】
外側の2枚の板状体10a、10bの中側板状体20に面する側には、被処理物を誘導するための溝部11が形成され、その溝部の上部13は被処理物の導入側に、下部12は中側板状体20の空間部21の上部に開口している。溝部11の下部12の幅と深さ、および中側板状体20の空間部21に面する開口部の面積はキャビテーション効果を得るためにできるだけ狭くする必要があるが、目詰まりを防止するために、被処理物に含まれる固体の最大粒径を考慮する必要がある。凹部11の下部12の下端は斜めに形成し、被処理物を高速で導入された場合、中側の板状体20の空間部21の中心の方向に被処理物が突出するように形成する。
【0025】
中側板状体20には角形の空間部21を繰り抜いている。その上端部22は斜めに形成し、被処理物を高速で導入された場合、中側の板状体20の空間部21の中心の方向に被処理物が突出するように形成する。
【0026】
被処理物は混合・微粒化装置1の上部の導入側30から圧入される。被処理物は外側の2枚の板状体10a、10bにそれぞれ形成された2本の溝部11に誘導され、その下部12より中側板状体20の空間部21の中心方向に噴出する。被処理物は溝部11に圧入されることにより、剪断力により粉砕される。さらに被処理物の流速は、外側板状体10に形成された溝部11の下部12において最も早く、圧力が最も低くなる。そして被処理物が中側板状体20の空間部21に噴出した途端に圧力が急激に高くなる。この際のキャビテーション効果により被処理物が粉砕される。さらに被処理物は対抗する外側板状体10a、10bの凹部11の下端部12から中側板状体20の空間部21の中心の方向に噴出するため、被処理物は中側板状体20の空間部21の中心で衝突する。この衝突エネルギーにより被処理物がさらに粉砕される。
【0027】
このように粉砕された処理物が排出部31から排出される。
【0028】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態である混合・微粒化装置2の構成を模式的に表した図であり、図2において(a)は本発明の第2実施形態である混合・微粒化装置2を構成する3枚の重ね合わせた板状体の中心線に沿った断面図であり、(b)は外側板状体40a、40bの中側板状体50に面した側の側面図であり、(c)は中側板状体50の外側の板状体40に面した側の側面図であり、図(d)は混合・微粒化装置2の上面から見た図、(e)は混合・微粒化装置2の下面から見た図である。図の上側が被処理物の導入側60であり、下側が処理物の排出側61である。
【0029】
本発明の混合・微粒化装置2は、外側の2枚の板状体40a、40bの間に中側板状体40がサンドイッチ状に挟まれて構成されている。
【0030】
外側の2枚の板状体40a、40bの中側板状体50に面する側には、被処理物を誘導するための溝部41が形成され、その凹部の上部43は被処理物の導入側60に、下部42は中側の板状体50の空間部51の上部に開口している。本実施形態では、図のように、溝部41の上部43の幅を広く、深くし、下部42の幅を狭く、浅く形成している。溝部41の下部42の幅と深さ、および中側板状体50の空間部51に面する開口部の面積はキャビテーション効果を得るためにできるだけ狭くする必要があるが、目詰まりを防止するために、被処理物に含まれる固体の最大粒径を考慮する必要がある。溝部41の下部42の下端は直角に形成し、被処理物を高速で導入された場合、中側板状体50の空間部51で被処理物が真正面から衝突するように形成する。
【0031】
中側板状体50には円形の空間部51を繰り抜いている。さらに空間部51の内側の上部52を円弧状に繰り抜いている。その端部54は外側の板状体40に面した面に直角に形成し、被処理物を高速で導入された場合、中側板状体50の空間部51の中心の方向に被処理物を突出させ、被処理物を高速で導入された場合、中側板状体50の空間部51で被処理物が真正面から衝突するように形成する。空間部51の下側には処理物を誘導するための凹部53を形成している。
【0032】
図2では外側の2枚の板状体40a、40bの中側板状体50に面する側には、被処理物を誘導するための溝部41が上から順に41a、41b、41cと3段に、中側の板状体50には円形の空間部51が上から順に51a、51b、51cと3段に形成され、凹部41aは空間部51aに、空間部51aは溝部41bに、溝部41bは空間部51bに、空間部51bは溝部41cに、溝部41cは空間部51cにそれぞれ連通している。被処理物の材質、目的により、1段でもよく、またはさらに数段増やしてもよい。
【0033】
被処理物は混合・微粒化機構2の上部の間隙60から圧入される。被処理物は外側板状体40に形成された溝部41に誘導され、その下部42より中側板状体50の空間部51の中心方向に噴出する。被処理物は溝部41に圧入されることにより、剪断力により粉砕される。さらに被処理物の流速は、外側板状体40に形成された溝部41の下部42において最も早く、圧力が最も低くなる。そして被処理物が中側板状体50の空間部51に噴出した途端に圧力が急激に高くなる。この際のキャビテーション効果により被処理物が粉砕される。さらに被処理物は対抗する外側板状体40a、40bの溝部41の下端部42から中側板状体50の空間部51の中心方向に噴出するため、被処理物は中側板状体50の空間部51の中心で正面から衝突する。この衝突エネルギーにより被処理物がさらに粉砕される。
【0034】
このような粉砕が外側板状体の溝部41a、41b、41cと、中側板状体50の空間部51a、51b、51cで繰り返される。
【0035】
このように粉砕された処理物が排出部61から排出される。
【0036】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態である混合・微粒化装置3の構成を模式的に表した図であり、図3において(a)は本発明の第3実施形態である混合・微粒化装置3を構成する3個の重ね合わせた構成体の中心線に沿った断面図であり、(b)は外側構成体70a、70bの中側構成体80に面した側の側面図であり、(c)は中側構成体80の外側構成体70に面した側の側面図であり、(d)は混合・微粒化装置3の上面から見た図、(e)は混合・微粒化機構3の下面から見た図である。図の上側が被処理物の導入側90であり、下側が処理物の排出側91である。
【0037】
本発明の混合・微粒化装置3は、外側の2枚の構成体70a、70bの間に中側構成体80が包まれるように挟まれて構成されている。
【0038】
外側の2枚の構成体70a、70bは円柱を縦に半分に割った形をしており、その内側は中側の構成体80を包み込めるように矩形に繰り抜いてある。外側の2枚の構成体70a、70bの中側構成体80に面する側には、被処理物を誘導するための溝部71が形成され、その凹部の上部73は被処理物の導入側90に、下部72は中側の構成体80の空間部81の上部に開口している。本実施形態では、図のように、溝部71の上端73と下端72の幅を狭い凹状にしている。溝部71の下部72の幅と深さ、および中側構成体80の空間部81に面する開口部の面積はキャビテーション効果を得るためにできるだけ狭くする必要があるが、目詰まりを防止するために、被処理物に含まれる固体の最大粒径を考慮する必要がある。溝部71の下部72の下端は直角に形成し、被処理物を高速で導入された場合、中側構成体80の空間部81で被処理物が真正面から衝突するように形成する。
【0039】
中側構成体80には両側から断面が円形の空間部81を繰り抜いている。さらに空間部81の内側の上部82を形成するように繰り抜いているが、これは中側構成体80の両側から断面が円状に斜めに繰り抜くことにより形成することができる。その端部84は外側構成体70に面した面に直角に形成し、被処理物を高速で導入された場合、中側構成体80の空間部81の中心の方向に被処理物を噴出させ、被処理物を高速で導入された場合、中側構成体80の空間部81で被処理物が真正面から衝突するように形成する。空間部81の下側には処理物を誘導するための凸部83を形成している。
【0040】
図3では外側の2枚の構成体70a、70bの中側構成体80に面する側には、被処理物を誘導するための溝部71が上から順に71a、71b、71c、71d、71e、71fと6段に、中側構成体80には円形の空間部81が上から順に81a、81b、81c、81d、81eと5段に形成され、溝部71aは空間部81aに、空間部81aは溝部71bに、溝部71bは空間部81bに、空間部81bは溝部71cに、溝部71cは空間部81cに、空間部81cは溝部71dに、溝部71dは空間部81dに、空間部81dは溝部71eに、溝部71eは空間部81eに、空間部81eは溝部71fに、溝部71fは空間部81fにそれぞれ連通している。
【0041】
被処理物は混合・微粒化装置4の上部の間隙90から圧入される。被処理物は外側構成体70に形成された溝部71に誘導され、その下部72より中側構成体80の空間部81の中心の方向に噴出する。被処理物は溝部71に圧入されることにより、剪断力により粉砕される。さらに被処理物の流速は、外側構成体70に形成された溝部71の下部72において最も早く、圧力が最も低くなる。そして被処理物が中側構成体80の空間部81に噴出した途端に圧力が急激に高くなる。この際のキャビテーション効果により被処理物が粉砕される。さらに被処理物は対抗する外側の構成体70a、70bの溝部71の下端部72から中側構成体80の空間部81の中心の方向に噴出するため、被処理物は中側構成体80の空間部81の中心で正面から衝突する。この衝突エネルギーにより被処理物がさらに粉砕される。
【0042】
このような粉砕が外側の構成体の溝部71a、71b、71c、71d、71e、71fと、中側構成体50の空間部81a、81b、81c、81d、81eで繰り返される。
【0043】
このように粉砕された処理物が排出部91から排出される。
【0044】
(第4実施形態)
以下では上記実施形態により構成された混合・微粒化装置を載置した混合・微粒化装置について述べる。
【0045】
図4は本発明の第4実施形態である混合・微粒化装置100の構成を模式的に表した図であり、図4において(a)は本発明の第4実施形態である混合・微粒化装置4の中心線に沿った断面図であり、(b)は混合・微粒化装置4の平面図であり、(c)はA−A’線に沿った断面図である。図の左側が被処理物の導入側60であり、右側が処理物の排出側61である。
【0046】
本実施形態では上記第2実施形態での混合・微粒化装置2を函状体101に載置している。函状体101は混合・微粒化装置2を収納する函部102と蓋部103から形成される。函部102には流入側に流入口106を、排出側に排出口107を形成している。函部102の内幅は混合・微粒化装置2を容易に収納できる幅とする。函部102の流入側の内側にはシール材104を設け、混合・微粒化装置2を収納し、被処理物を導入した場合に液漏れが出ないようにする。函部102と蓋部108が重なり合う部分108は段差を設けてある。
【0047】
本実施形態においては、混合・微粒化装置2の中側板状体50の頭部55は被処理物が容易に流入できるように幾分低く形成させてある。
【0048】
混合・微粒化装置2の板状体40a、50、40bを函部102に収納し、蓋部103を嵌合し、ビス105で固定することにより、本実施形態の混合微粒化装置100が形成される。
【0049】
(第5実施形態)
図5は本発明の第5実施形態である混合・微粒化装置110の構成を模式的に表した図であり、混合・微粒化装置110の中心線に沿った断面図である。図の左側が被処理物の導入側90であり、右側が処理物の排出側91である。
【0050】
本実施形態では、上記第3実施形態での混合・微粒化装置3を筒状体111に載置している。筒状体111は筒112と被処理物の流入側の蓋113と処理物の排出側の蓋114から構成される。流入側の蓋113には流入口117が、排出側の蓋114には排出口118が設けられている。筒112の内径は混合・微粒化装置3の外径に等しく、被処理物の流入側の内径が処理物の排出側の内径よりやや大きく形成されている。筒112の両端にはシール材119が設けてある。
【0051】
筒状体111に収納する混合・微粒化装置3は上記第3実施形態に記載したものであるが、その外径は筒112に密に収納すべく、被処理物の流入側の外径が処理物の排出側の外径よりやや大きく形成されている。また混合・微粒化装置3の内側の構成体80の被処理物の流入側83aは被処理物が容易に流入できるように、処理物の排出側84fは処理物が容易に排出できるように形成されている。
【0052】
筒112の外側両端にはネジが切ってあり、流入側の蓋113の内側に切ってあるネジ115と、排出側の蓋114の内側に切ってあるネジ116と密に嵌合するように設けられている。
【0053】
まず排出側の蓋114を筒112の排出側端部に嵌合し、ビス120で固定する。3個の構成体70a、80、70bから構成される混合・微粒化機構3を筒112内に図の左側から収納する。流入側の蓋113を筒112の流入側端部に嵌合し、ビス120で固定することにより、本実施形態の混合・微粒化装置110が完成される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態である混合・微粒化装置1の構成を模式的に表した図であり、(a)はその混合・微粒化装置1を構成する3枚の重ね合わせた板状体の中心線に沿った断面図であり、(b)は外側板状体10a、10bの中側板状体20に面した側の側面図であり、(c)は中側板状体20の外側板状体10に面した側の側面図であり、(d)は混合・微粒化機構1の上面から見た図、(e)は混合・微粒化機構1の下面から見た図である。そして、(f)はその全体の斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態である混合・微粒化装置2の構成を模式的に表した図であり、(a)は本発明の第2実施形態である混合・微粒化装置2を構成する3枚の重ね合わせた板状体の中心線に沿った断面図であり、(b)は外側板状体40a、40bの中側板状体50に面した側の側面図であり、(c)は中側板状体50の外側板状体40に面した側の側面図であり、(d)は混合・微粒化装置2の上面から見た図、(e)は混合・微粒化装置2の下面から見た図である。
【図3】本発明の第3実施形態である混合・微粒化装置3の構成を模式的に表した図であり、(a)は本発明の第3実施形態である混合・微粒化装置3を構成する3個の重ね合わせた構成体の中心線に沿った断面図であり、(b)は外側構成体70a、70bの中側構成体80に面した側の側面図であり、(c)は中側構成体80の外側構成体70に面した側の側面図であり、(d)は混合・微粒化装置3の上面から見た図、(e)は混合・微粒化装置3の下面から見た図である。
【図4】本発明の第4実施形態である混合・微粒化装置100の構成を模式的に表した図であり、(a)は本発明の第4実施形態である混合・微粒化装置4の中心線に沿った断面図であり、(b)は混合・微粒化装置4の平面図であり、(c)はA−A’線に沿った断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態である混合・微粒化装置110の構成を模式的に表した図であり、混合・微粒化装置110の中心線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 第1実施形態である混合・微粒化装置
10a、10b 外側の2枚の板状体 11 溝部 12 溝部の下部
13 溝部の上部 20 中側の板状体 21 空間部
22 空間部の上端部 30 導入側 31 排出部
2 第2実施形態である混合・微粒化装置 40a、40b 外側の板状体
41、41a、41b、41c 溝部 42 溝部の下部
43 溝部の上部 50 中側の板状体
51、51a、51b、51c 空間部 52 空間部の上部
53 処理物を誘導するための溝部 54 空間部の上端部
60 導入側 61 排出部 3 第3実施形態である混合・微粒化装置 70a、70b 外側の構成体
71、71a、71b、71c、71d、71e、71f 溝部
72 溝部の下部 73 溝部の上部 80 中側の構成体
81、81a、81b、81c、81d、81e 空間部
82 空間部の上部 83 処理物を誘導するための溝部
84 空間部の上端部 90 導入側 91 排出部
100 第4実施形態である混合・微粒化装置 101 函状体
102 函部 103 蓋部 104 シール材 105 ビス
106 流入口 107 排出口
110 第5実施形態である混合・微粒化装置 111 筒状体
112 筒 113 流入側の蓋 114 排出側の蓋
115 流入側のネジ 116 排出側のネジ 117 流入口
118 排出口 119 シール材 120 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中側構成体と、その両側に接する外側構成体との3個の構成体を有し、前記外側構成体の中側構成体に接する面に被処理物を誘導するための溝部を穿設し、中側構成体には、被処理物を混合、粉砕させるための空間部を設けた混合・微粒化装置であって、前記外側構成体の溝部の前記中側構成体の空間部に面する開口部の位置および形状は、前記2個の外側構成体の溝部を通して被処理物を前記中側の構成体の空間部に高速導入して前記中側の構成体の空間部で衝突して混合・微粒化するよう形成されていることを特徴とする混合・微粒化装置。
【請求項2】
上記構成体が板状体であることを特徴とする請求項1に記載の混合・微粒化装置。
【請求項3】
上記外側構成体に形成された被処理物を誘導するための溝部と、中側構成体に形成された被処理物を混合、粉砕させるための空間部が縦方向に連通して繰り返して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の混合・微粒化装置。
【請求項4】
上記外側構成体に形成された被処理物を誘導するための溝部と、中側構成体に形成された被処理物を混合、粉砕させるための空間部がさらに横方向に連通して、並列して形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の混合・微粒化装置。
【請求項5】
上記中側構成体に形成された空間部の上部が凹状の形状をしていることを特徴とする請求項1〜4の何れかの項に記載の混合・微粒化装置。
【請求項6】
断面が角形又は円形の函状体又は筒状体の内部に上記請求項1〜5の何れかの項に記載の混合・微粒化装置を装着し、前記函状体又は筒状体の片側に被処理物の導入部を、他の側に処理物の排出部が形成されていることを特徴とする混合・微粒化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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