説明

混合可能で色調再現が自在にできる歯科用着色材組成物とそのセットおよび方法

【課題】混合可能な色調再現が自在にできる歯科用組成物およびそのセットの提供。
【解決手段】組成物が
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料を含み、
その色調が、減法三原色に基づくシアン色である歯科用着色材組成物、
組成物が
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料を含み、
その色調が、減法三原色に基づくマゼンタ色である歯科用着色材組成物および
組成物が
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料を含み、
その色調が、減法三原色に基づくイエロー色である歯科用着色材組成物ならびにそれらを組み合わせた歯科用着色材セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯科用組成物、好ましくはペーストタイプの、歯科用組成物に関するもので、さらに詳しくは、混合可能な色調再現が自在にできる、好ましくはペーストタイプの、歯科用組成物およびそのセットに関する。用途としては、歯科分野において使用可能な多様な材料(例えば、複合材料、樹脂、セラミックスなど)から製造される全ての種類の歯科材料(例えば、充填材料、テンポラリークラウン、義歯、インプラント上部構造体、前装冠など)に用いられる。また、天然歯牙に直接適用することも可能である。
【背景技術】
【0002】
現在の歯科治療においては、審美性は非常に重要な要素の一つであり、修復物の色調が天然歯に類似している、また、美しい白色であるなどの特性が歯科用材料に強く求められる。
【0003】
歯科治療において審美的要素を満たすため、金属に代えてセラミックスおよびレジン材料を使用する幾つかの方法により、歯冠色が再現されている。中でも、レジン材料の開発は著しく、今日では十分な耐摩耗性、曲げ強度、耐水性などを有するものが出現してきた。これらセラミックスおよびレジン材料は、天然歯との色調を合わせるために色見本(シェードガイド)を用いるのが一般的であり、シェードガイドの色調を再現するために事前に着色された材料が提供される。
【0004】
しかし、天然歯の色調は単一ではなく、特定の部位によっては様々な色調を呈している。例えば、喫煙者の歯牙ではヤニによる着色で緑系茶色、赤茶色、黄系茶色などの色調があり、テトラサイクリン系薬の影響を受けた歯牙においては赤紫、青紫などの模様が現れることがある。また、歯牙の発育過程の不均衡により、全体的に色ムラが生じている場合などもある。このような場合は、シェードガイドと基本的色調のレジン材料のみでは色調再現に限界がある。
【0005】
一方で、より高度な審美性、天然歯牙と同一の色調を表現することを目的として、シェードガイドには無い色調を持つ材料として部分着色用材料(ステイン材)が提案されている。ステイン材は、一般的に、先に述べた歯牙の部分的着色を再現するために、種々の茶色や紫色の色調に調整されており、また、修復物に部分的に適用することが容易であるように液状もしくは低粘度のペースト状をしている。また、赤色、青色、オレンジ色など純色系の色調を持つものもあり、これらは主に単独で用いることよりも他の色調と適宜混合して用いられる。
【0006】
歯科医師、歯科技工士ら術者は、これら事前に調色されたステイン材を用いて歯冠修復物の色調調整を行うが、製造業者により事前に調整された色調以外の色が必要な場合は、複数の色調同士を混合することになる。しかし、事前に調整されているステイン材には、既に複数の着色材(顔料、染料)が配合されており、これらの材料同士を混合することは更に複雑な発色構造を持たせてしまうことになるため、術者のイメージする色調を得ることは困難である。また、従来製品にみられる赤色、青色、オレンジ色などの純色系のステイン材においても、色彩学的、減法混色の観点から鑑みて、術者の思い通りの混色を行うには限度があった。
【0007】
ここで色彩理論について言及すると、いわゆる三原色と呼ばれるものには、加法三原色と減法三原色の二種類がある。光の色調の場合は、赤、青および緑の3色による加法三原色が成り立ち、印刷技術に代表される顔料、染料を用いた色調は、減法三原色である、シアン、マゼンタおよびイエローより成り立つ。
【0008】
理論上は、白色の基盤上に減法三原色のシアン、マゼンタおよびイエローを任意の濃度で混合することで全ての色調を表現することが可能である。しかし、現実の印刷技術などでは、現存するシアン、マゼンタおよびイエローの着色材を混合しても完全な黒色にならない場合が多い。このため実用的には、減法三原色に加えて黒色着色材が用いられ、一般にCMYK(Cyan、Magenta、Yellow、Key plate)と呼ばれる。また、減法三原色により色調を表現する際、白色の基盤上に着色できない場合は更に白色着色材が必要となってくる。
【0009】
色の表現方法に関しては、歯科の分野では長い間に渡って製造業者の提供する色見本を中心とした表現方法が主流であったが、近年では一般工業界において多く用いられているL*、a*、b*表色系も併用されてきている。しかし、一方でL*、a*、b*表色系では、人間の色彩感覚と完全に一致していないという主張もあり、マンセル表色系の有用性を唱える説も、例えば、「歯科の色彩 マンセル表色系を用いた歯冠の表現法」(片山伊九右衛門著、日本歯科色彩学会出版、2005年12月号、Vol.11、No.1、P.39-44)に見受けられる。この文献においては、歯冠材料がマンセル表色系と人による評価が一致すると述べてられている。
【0010】
ここで色調の表現方法である表色系について述べておく。本発明においても2種類の表色系を用いて、発明の説明をしている。まず、L*a*b*表色系は、CIE(国際照明委員会)により定義されたものであり、明度指数L*と知覚色度指数a*およびb*により色を表現する。このL*a*b*表色系は、均等知覚色空間として一般工業界に広く活用されている。一方、マンセル表色系は、色票を肉眼で見たときの感覚、いわゆる知覚色による表現方法である。様々な色を系統別に分類し、明度(記号V)、彩度(記号C)、色相(記号H)のそれぞれの属性につき尺度目盛を定義して色を表現する。具体的には、明度(V)は、0〜10の数値で表現され、彩度は色相ごとに異なる尺度目盛が規定される。色相は、基本色相、赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)、紫(P)、およびこれら基本色相の補色となる、青緑(BG)、青紫(BP)、赤紫(RP)、黄赤(YR)、黄緑(GY)、の10色相を360度の円周上に配列し表現される。
【0011】
この様に、現在は歯科分野においても急速に色調表現に対する要求は高まってきており、それに対応する歯科用材料の開発が必要となってきている。
【0012】
特開2004-203865には、(A)マトリックスレジン、(B)フィラー混合物、(C)1種以上の重合開始剤、および(D)微量の1種以上の歯科用顔料、よりなる歯科用被覆材料が開示されている。該発明は、筆により操作可能な、人工歯の色調調整に用いられる被覆材料である。
【0013】
特開2005-112854には、歯科用基本カラー用の光硬化性の補正カラーを塗布することにより義歯または歯表面を色補正する方法、が開示されている。該発明は、歯科領域で多用される基本カラーを調整するため、オレンジ色、青色、白色および黒色の補正カラーを用いる技術であるが、歯の特定の部位に見られる特異な色調には対応できず、また、補正カラーの定義付け自体も色彩学的に不明瞭であり、歯科用修復物に求められる多種多様な色調に対応できるとはいえない。
【0014】
また、「日本歯技 光重合型硬質レジンの新しいプレイスメントテクニック」(小野寺保夫著、社団法人日本歯科技工士会出版、2006年11月発行、33〜40ページ)には、内部ステインを用いた歯の色の再現を紹介されているが、シェードガイドに則った方法であり、すべての色調再現はできていないという問題があった。
【0015】
【特許文献1】特開2004−203865号公報
【特許文献2】特開2005−112854号公報
【非特許文献1】片山伊九右衛門著、「歯科の色彩 マンセル表色系を用いた歯冠の表現法」、日本歯科色彩学会出版、2005年12月発行、39〜44ページ
【非特許文献2】小野寺保夫著、「日本歯技 光重合型硬質レジンの新しいプレイスメントテクニック」、社団法人日本歯科技工士会出版、2006年11月発行、33〜40ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明者らは、混合可能な、好ましくはペーストタイプで、色調再現が自在にできる歯科用組成物を鋭意研究し、組成物が
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料を含み、
その色調が、減法三原色に基づくシアン、マゼンタまたはイエロー色である歯科用着色材組成物の3色、ことにマンセル表色系で表した特定範囲の3色を基本色とし、必要に応じて白色、黒色および透明色の歯科用着色材組成物を適宜組み合わせて使用することで、自在に色調再現が可能となる事を見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、本発明は、
[1] 組成物が
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料を含み、
その色調が、減法三原色に基づくシアン色である歯科用着色材組成物;
【0018】
[2] 組成物が
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料を含み、
その色調が、減法三原色に基づくマゼンタ色である歯科用着色材組成物;
【0019】
[3] 組成物が
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料を含み、
その色調が、減法三原色に基づくイエロー色である歯科用着色材組成物;
【0020】
[4] シアン色としてマンセル表色系で色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体の白バックでの測色値が色相(H)5PB〜1PB、10B〜1B、10GB〜5GB、明度(V)2〜9、および彩度(C)6〜15となる[1]記載の歯科用着色材組成物;
【0021】
[5] マゼンタ色としてマンセル表色系で色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体の白バックでの測色値が色相(H)1R、10RP〜1RP、10P〜5P、明度(V)2〜9、および彩度(C)6〜17となる[2]記載の歯科用着色材組成物;
【0022】
[6] イエロー色としてマンセル表色系で色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体の白バックでの測色値が色相(H)1Y〜10Y、1GY〜2GY、明度(V)4〜10、および彩度(C)7〜17となる[3]記載の歯科用着色材組成物;
【0023】
[7] シアン色の顔料、および/または染料として、緑色3号(ファーストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカーミン)、青色201号(インジゴ)、青色202号(パテントブルーNA)、青色203号(パテントブルーCA)、青色204号(カルバンスレンブルー)、青色205号(アルファズリンFG)、フタロシアニンブルー、アルミニウムフタロシアニンブルーおよびインダンスレンブルーのうち少なくとも1種以上含有する[1]または[4]記載の歯科用着色材組成物;
【0024】
[8] マゼンタ色の顔料、および/または染料として、赤色2号(アマランス)、赤色104号(フロキシン)、赤色105号(ローズベンガル)、赤色106号(アシドレッド)、赤色201号(リソールルビンB)、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色203号(レーキレッドC)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色205号(リソールレッド)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色213号(ローダミンB)、赤色214号(ローダミンBアセテート)、赤色215号(ローダミンBステアレート)、赤色218号(テトラクロロテトラブロモフルオレセイン)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色221号(トルイジンレッド)、赤色223号(テトラブロモフルオレセイン)、赤色225号(スダンIII)、赤色226号(ヘリンドンピンクCN)、赤色227号(ファストアシッドマゲンタ)、赤色228号(パーマトンレッド)、赤色230号の(1)(エオシンYS)、赤色230号の(2)(エオシンYSK)、赤色231号(フロキシンBK)、赤色232号(ローズベンガルK)、赤色401号(ビオラミンR)、赤色404号(ブリリアントファストスカーレット)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、赤色501(薬用スカーレット)、赤色502(ポンソー3R)、赤色503号(ポンソーR)、赤色504号(ポンソーSX)、赤色505号(オイルレッドXO)、赤色506号(ファストレッドS)、紫色201号(アリズリンパープルレーキSS)、紫色401号(アリズロールパープル)、ナフトールAS(ナフトールルビン、ナフトールレッドFGR、ナフトールカーミンFBB、ナフトールカーミンF3B、ナフトールレッドF5RK、ナフトールレッドHF4B)、BONAレーキ(BONAバリウムレーキ、BONAカルシウムレーキ、BONAストロンチウムレーキ、BONAマンガンレーキ、BONAマグネシウムレーキ)、リソールルビン(ブリリアントカーミン6B)、ジアミノアンスラキノニルレッド、DPPレッドBO、ジケトピロロピロール、ペリレンレッドBL、イミダゾロンレッドHFT、イミダゾロンカーミンHF3C、ベンズイミダゾロンカーミンHF4C、ジアミノアンスラキノニルレッド、ジクロロキナクリドンマゼンタ、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、ジオキサンバイオレット、および縮合アゾスカーレットのうち少なくとも1種以上含有する[2]または[5]記載の歯科用着色材組成物;
【0025】
[9] イエロー色の顔料、および/または染料として、黄色4号(タートラジン)、黄色201号(フルオレセイン)、黄色202号の(1)(ウラニン)、黄色202号の(2)(ウラニンK)、黄色203号(キノリンイエローWS)、黄色204号(キノリンイエローSS)、黄色205号(ベンチジンイエローG)、黄色401号(ハンサイエロー)、黄色402号(ポーライエロー5G)、黄色403号の(1)(ナフトールイエローS)、黄色406号(メタニルイエロー)、黄色407号(ファストライトイエロー3G)、ハンザイエロー10G、ジスアゾイエロー(AAMX、AAOT、HR、4G、3A、GR、G)、ベンズイミダゾロンイエロー(H2G、HG)、イソインドリンイエロー(G、R)、ピラゾロンイエローHGR、およびジアリライドイエローAAOAのうち少なくとも1種以上含有する[3]または[6]記載の歯科用着色材組成物;
【0026】
[10]
[1]、[4]または[7]に基づく組成物および[2]、[5]または[8]に基づく組成物および[3]、[6]または[9]に基づく組成物が組み合わされた歯科用着色材セット;
【0027】
[11]
[10]記載の歯科用着色材セットに
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料よりなる
ホワイト色組成物を加えた歯科用着色材セット;
【0028】
[12]
[10]記載の歯科用着色材セットに
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料よりなる
ブラック色組成物を加えた歯科用着色材セット;
【0029】
[13]
[10]記載の歯科用着色材セットに
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料よりなる
(1)ホワイト色組成物と、
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料よりなる
(2)ブラック色組成物とを加えた歯科用着色材セット;
【0030】
[14]
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、および
(b)重合触媒よりなる
透明色の組成物を加えた[10]〜[13]いずれか1に記載の歯科用着色材セット;
【0031】
[15]
[10]〜[14]いずれか1に記載された各セットの構成組成物を混合して任意の色調の組成物を作製し、次いで、その組成物を歯科用着色材として歯科材料に適用することを含む、[10]〜[14]いずれか1記載の歯科用着色材セットを適用する方法;
【0032】
[16]
ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート-プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜20Pa・Sの粘度を有する[1]〜[9]いずれか1記載の歯科用着色材組成物;
【0033】
[17]
ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート-プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜20Pa・Sの粘度を有する[10]〜[14]いずれか1記載の歯科用着色材セット;
【0034】
[18]
ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート-プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜20Pa・Sの粘度を有する[15]記載の方法;
【0035】
[19]
更に(d)粒子径0.001〜0.1μmの充填材を含有し、ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート−プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜15Pa・Sの粘度、および、周波数7〜1Hzにおいて粘度の最小値と最大値の比が1.1以上のチクソトロピー性を有する[1]〜[9]いずれか1記載の歯科用着色材組成物;
【0036】
[20]
更に(d)粒子径0.001〜0.1μmの充填材を含有し、ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート−プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜15Pa・Sの粘度、および、周波数7〜1Hzにおいて粘度の最小値と最大値の比が1.1以上のチクソトロピー性を有する[10]〜[14]いずれか1記載の歯科用着色材セット;
【0037】
[21]
更に(d)粒子径0.001〜0.1μmの充填材を含有し、ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート−プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜15Pa・Sの粘度、および、周波数7〜1Hzにおいて粘度の最小値と最大値の比が1.1以上のチクソトロピー性を有する[15]記載の方法。
【発明の効果】
【0038】
本発明により、混合可能な色調再現が自由にできる、好ましくはペーストタイプの歯科用組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマーとしては公知のものが制限なく使用される。このような化合物として、単官能化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、ノルマルブチル(メタ)アクリレ−ト、イソブチル(メタ)アクリレ−ト、tert−ブチル(メタ)アクリレ−ト、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレ−ト、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコ−ルアセトアセテ−ト(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルハイドロゲンサクシネート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレン(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−N−フェニルグリシン、N−(メタ)アクリロイルグリシン、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物等の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、(メタ)アクリルアルデヒドエチルアセタール等のビニルエーテル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のアルケニルベンゼン;アクリロニトリル、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;(メタ)アクリルアルデヒド、3−シアノ(メタ)アクリルアルデヒド等の(メタ)アクリルアルデヒド;(メタ)アクリルアミド、N−スクシン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸等の(メタ)アクリル酸もしくはそれらの金属塩;アシッドホスホエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル燐酸等の燐酸エステル基を含有する重合性単量体もしくはそれらの金属塩;アリルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、tert−ブチル(メタ)アクリルアミドスルホン酸等のスルホン酸基を含有する重合性単量体もしくはそれらの金属塩が挙げられる。
【0040】
また、二官能重合性単量体としては、例えば、エチレンジオ−ル、プロピレンジオ−ル、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、エイコサンジオール等のジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するビニル単量体とヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフオロンジイソシアネート、メチルビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導されるウレタン系重合性単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するビニル単量体とジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族含有ジイソシアネート化合物との付加物から誘導される芳香族環とウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系重合性単量体;2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシイソプロポキシフェニル)プロパン等の芳香族環とエーテル結合を有する(メタ)アクリレート系重合性単量体、ビスフェノ−ルAもしくは水添ビスフェノ−ルAとグリシジル(メタ)アクリレ−トの1:2反応物、例えば、ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル(メタ)アクリル酸付加物等のビスフェノ−ルAもしくは水添ビスフェノ−ルAとエポキシ基を持つ(メタ)アクリレ−トの1:2付加物等が挙げられる。
【0041】
また、重合性官能基を3個以上有する多官能化合物の例としては、
トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ホスファゼン骨格を持つトリ(メタ)アクリレ−ト、イソシアヌル酸骨格を持つトリ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、またジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフオロンジイソシアネート、メチルビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物とグリシドールジ(メタ)アクリレートのような水酸基を有するビニルモノマーから誘導されるウレタン系重合性単量体、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレートのようなエチレン性不飽和基を5個以上有する重合性単量体、ポリエチレン性不飽和カルバモイルイソシアヌレートを含む重合性多官能アクリレート;フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、フェニルグリシジルエーテルトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマーおよびペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどのウレタン結合を有する重合性多官能アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0042】
本発明の歯科用組成物に用いる(b)重合触媒化合物の例としては、公知の成功触媒が制限なく使用され、光重合触媒として、ベンゾフェノン、ジアセチル、ベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、4,4’−クロルベンジル、カンファーキノン、カンファーキノンカルボン酸、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチル、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸フェニルエステルなどが挙げられる。また化学重合触媒化合物として、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類などが有効である。具体的には、ジアシルパーオキサイド類としてはベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0043】
また、重合開始材の促進材として、公知の促進材が制限なく使用され、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル安息香酸、N,N−ジエチル安息香酸、N,N−ジメチル安息香酸エチル、N,N−ジエチル安息香酸エチル、N,N−ジメチル安息香酸メチル、N,N−ジエチル安息香酸メチル、N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコ−ル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、N−エチルエタノ−ルアミン等が挙げられる。
【0044】
本発明によるシアン色組成物は、マンセル表色系で色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体を作製し白バックでの測色値が色相(H)5PB〜1PB、10B〜1B、10GB〜5GB、明度(V)2〜9、彩度(C)6〜15が良く、好適には(H)3PB〜1PB、10〜1B、10GB〜8GB、(V)3〜8、(C)7〜14が良く、更に好適には(H)1PB、10〜1B、(V)4〜7、(C)8〜13である。
【0045】
本発明におけるシアン色組成物は、L*、a*、b*表色系での色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体を作成した場合の白バックでの測色値が、30≦L*≦100、a*≦0および、-10≦b*≦-100で、さらに1/2a*≧b*になることが望ましい。
【0046】
本発明に用いられるシアン色を発現させる顔料および/または染料としては、以下のものが用いられる。
緑色3号(ファーストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカーミン)、青色201号(インジゴ)、青色202号(パテントブルーNA)、青色203号(パテントブルーCA)、青色204号(カルバンスレンブルー)、青色205号(アルファズリンFG)、フタロシアニンブルー、アルミニウムフタロシアニンブルーおよびインダンスレンブルー。この中でもフタロシアニンブルー、アルミニウムフタロシアニンブルーが好適に用いられ、さらにフタロシアニンブルーとしてPigmentBlue15、PigmentBlue15:1、PigmentBlue15:2、PigmentBlue15:3、PigmentBlue15:4、PigmentBlue15:5、PigmentBlue15:6、アルミニウムフタロシアニンブルーとしてPigmentBlue79が特に好ましい。
【0047】
本発明におけるマゼンタ色組成物をマンセル表色系で色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体を作製した場合白バックでの測色値が色相(H)1R、10RP〜1RP、10P〜5P、明度(V)2〜9、彩度(C)6〜17が良く、好適には(H)10RP〜1RP、10P〜8P、(V)3〜8、(C)7〜16が良く、更に好適には(H)8RP〜1RP、10P、(V)4〜7、(C)8〜15である。
【0048】
本発明におけるマゼンタ色組成物はL*、a*、b*表色系での色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体を作製した場合の白バックでの測色値が、30≦L*≦100、10≦a*≦100かつ10≦b*≦-100になることが望ましい。
【0049】
本発明に用いられるマゼンタ色を発現する顔料、および/または染料としては、以下のものが用いられる。
赤色2号(アマランス)、赤色104号(フロキシン)、赤色105号(ローズベンガル)、赤色106号(アシドレッド)、赤色201号(リソールルビンB)、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色203号(レーキレッドC)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色205号(リソールレッド)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色213号(ローダミンB)、赤色214号(ローダミンBアセテート)、赤色215号(ローダミンBステアレート)、赤色218号(テトラクロロテトラブロモフルオレセイン)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色221号(トルイジンレッド)、赤色223号(テトラブロモフルオレセイン)、赤色225号(スダンIII)、赤色226号(ヘリンドンピンクCN)、赤色227号(ファストアシッドマゲンタ)、赤色228号(パーマトンレッド)、赤色230号の(1)(エオシンYS)、赤色230号の(2)(エオシンYSK)、赤色231号(フロキシンBK)、赤色232号(ローズベンガルK)、赤色401号(ビオラミンR)、赤色404号(ブリリアントファストスカーレット)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、赤色501(薬用スカーレット)、赤色502(ポンソー3R)、赤色503号(ポンソーR)、赤色504号(ポンソーSX)、赤色505号(オイルレッドXO)、赤色506号(ファストレッドS)、紫色201号(アリズリンパープルレーキSS)、紫色401号(アリズロールパープル)、ナフトールAS(ナフトールルビン、ナフトールレッドFGR、ナフトールカーミンFBB、ナフトールカーミンF3B、ナフトールレッドF5RK、ナフトールレッドHF4B)、BONAレーキ(BONAバリウムレーキ、BONAカルシウムレーキ、BONAストロンチウムレーキ、BONAマンガンレーキ、BONAマグネシウムレーキ)、リソールルビン(ブリリアントカーミン6B)、ジアミノアンスラキノニルレッド、DPPレッドBO、ジケトピロロピロール、ペリレンレッドBL、イミダゾロンレッドHFT、イミダゾロンカーミンHF3C、ベンズイミダゾロンカーミンHF4C、ジアミノアンスラキノニルレッド、ジクロロキナクリドンマゼンタ、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、ジオキサンバイオレットおよび縮合アゾスカーレット。
この中でもリソールルビン、ナフトールカーミンFBB、ナフトールルビンF6B、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンスカーレット、ジケトピロロピロール、ジオキサンバイオレット、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレットが好適に用いられ、さらに、リソールルビンとしてPigmentRed57:1、ナフトールカーミンFBBとしてPigmentRed146、ナフトールルビンF6BとしてPigmentRed184、キナクリドンマゼンタとしてPigmentRed122、PigmentRed202、キナクリドンスカーレットとして、PigmentRed209、ジケトピロロピロールとして、PigmentRed264、ジオキサンバイオレットとしてPigmentViolet23、PigmentViolet37、キナクリドンレッドとしてPigmentViolet19γ、キナクリドンバイオレットとしてPigmentViolet19βが特に好ましい。
【0050】
本発明におけるイエロー色組成物をマンセル表色系で色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体を作製した場合の白バックでの測色値が色相(H)1Y〜10Y、1GY〜2GY、明度(V)4〜10、彩度(C)7〜17が良く、好適には(H)2Y〜10Y、(V)5〜10、(C)8〜16が良く、更に好適には(H)3Y〜9Y、(V)6〜10、(C)9〜15である。
【0051】
本発明におけるイエロー色組成物はL*、a*、b*表色系での色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体を作製した場合の白バックでの測色値が、50≦L*≦100、-50≦a*≦50、20≦b*≦100で、a*≦0のとき-a*+20≦b*及びa*≧0のときa*+20≦b*になることが望ましい。
【0052】
本発明に用いられるイエロー色を発現する顔料および/または染料としては、以下のものが用いられる。
黄色4号(タートラジン)、黄色201号(フルオレセイン)、黄色202号の(1)(ウラニン)、黄色202号の(2)(ウラニンK)、黄色203号(キノリンイエローWS)、黄色204号(キノリンイエローSS)、黄色205号(ベンチジンイエローG)、黄色401号(ハンサイエロー)、黄色402号(ポーライエロー5G)、黄色403号の(1)(ナフトールイエローS)、黄色406号(メタニルイエロー)、黄色407号(ファストライトイエロー3G)、ハンザイエロー10G、ジスアゾイエロー(AAMX、AAOT、HR、4G、3A、GR、G)、ベンズイミダゾロンイエロー(H2G、HG)、イソインドリンイエロー(G、R)、ピラゾロンイエローHGR、およびジアリライドイエローAAOA。
この中でもジスアゾイエロー、ジアリライドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、イソインドリンイエローが好適に用いられ、さらに、ジスアゾイエロー3AとしてPigmentYellow12、ジスアゾイエローGRとしてPigmentYellow13、ジスアゾイエローGとしてPigmentYellow14、ジアリライドイエローAAOAとしてPigmentYellow17、ベンズイミダゾロンイエローH2GとしてPigmentYellow120、ベンズイミダゾロンイエローHGとしてPigmentYellow180、イソインドリンイエローとしてPigmentYellow185が特に好ましい。
【0053】
本発明に用いられるホワイト色を発現する顔料および/または染料としては、以下のものが用いられる。
鉛白、酸化亜鉛、酸化チタン、アンチモンホワイト、ジルコニウムホワイト、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、タルク、およびホワイトカーボン。
その中でも酸化チタンが好適に用いられる。
【0054】
本発明に用いられるブラック色を発現する顔料および/または染料としては、以下のものが用いられる。
アニリンブラック、カーボンブラック、グラファイトブラック、黒色酸化鉄、アンスラキノンブラック、およびぺリレンブラック。
その中でもカーボンブラック、黒色酸化鉄が好適に用いられる。
【0055】
本発明の透明色の組成物は顔料および染料を含まないことが望ましい。
【0056】
本発明によるシアン色、マゼンタ色、イエロー色、ホワイト色、およびブラック色に配合する各種顔料および染料の配合量は(複数の顔料および/または染料を含める場合はその合計量)0.002〜4重量部が好ましい。更に好ましくは0.01〜3重量部であり、さらに、0.02〜2重量部が最も好ましい。組成物への顔料および染料の含有量が多すぎると、色が暗くなり、少な過ぎると、色が淡くなり、減法三原色の色彩理論を再現できなくなる。
【0057】
また、本発明の組成物内での顔料および染料の分散性を向上させる目的で、硫酸バリウム(BaSO)を0.002〜4重量部含有することも可能である。
【0058】
さらに、透過率を向上させるために、シアン色、マゼンタ色およびイエロー色において白色顔料である酸化チタンを含まないことが望ましい。
【0059】
本発明における歯科用着色材組成物には、所望によりフィラーを用いることができる。フィラーとして無機物または有機物およびこれらの複合体が用いられ、無機系フィラーの例としてはソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミナムボロシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、結晶石英、溶融シリカ、合成シリカ、アルミナシリケート、無定形シリカ、ガラスセラミックまたはこれらの混合物などが挙げられる。無機系フィラーの粒径は特に制限はないが、組成物の目的とする使用用途により数nm〜数十μmまでの粒子径のフィラーが選定される。上記無機系フィラーは、従来公知の表面処理をしておくのが好ましい。表面処理剤の例としては、シラン化合物、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。有機系フィラーとしては、前述の重合性モノマーの重合体粉末や重合性モノマーに無機フィラーを分散、重合させた複合体の粉末(複合フィラー)も使用することができる。
【0060】
また、所望により蛍光材を添加することができる。天然歯には蛍光性があり、本発明における歯科用着色材組成物に蛍光性を加えることにより、色調を天然歯にさらに近づけることができる。本発明で用いられる蛍光材としては、ピオラントロン系、イソピオラントロン系、ペリレン系、チオキサンテン系、クマリン系、アントラキノン系、ベンゾピラン系、ナフタルイミド系またはナフタル酸系、ベンゾピテリジン系、ピラジン系、シアノピラジン系、スチルベン系、ジアミノジフェニル系、イミダゾール系、イミダゾロン系、トリアゾール系、チアゾール系、オキサゾール系、カルボスチリル系、ナフタールイミド系、ピラゾリン系、ジヒドロピリジン系等の化合物が挙げられる。
【0061】
さらに、本発明における歯科用着色材組成物には、所望により重合禁止剤、紫外線吸収剤などの種々の添加剤、さらに溶剤を添加することができる。
重合禁止剤としてはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ブチル化ヒドロキシトルエンなどが挙げられるが、その中でも、ハイドロキノンモノメチルエーテルおよびブチル化ヒドロキシトルエンが好ましい。
また、溶剤としては、水、エタノール、i−プロパノール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
【0062】
本発明による、シアン色、マゼンタ色およびイエロー色の各組成物を組合せて用いることにより、減法三原色の理論による着色材の混色が可能となる。また更にホワイト色、ブラック色、透明色の組成物を適宜組み合わせることにより、混合した着色材の明度や彩度の調整を自由に行うことができる。すなわち、本発明で示される組成物および方法により、減法三原色で表される顕在色の全てを歯科用材料に適用することが可能となる。
【0063】
本発明の組成物の粘度を調整し、更に適度なチキソトロピー性を付与するため、(d)粒子径0.001〜0.1μmの充填材を配合することが可能である。
【0064】
(d)の配合量は0.001〜100重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜50重量部であり、さらに0.05〜30重量部が最も好ましい。
【0065】
本発明の組成物は混合して用いることを目的としているため、粉液タイプであってもよいが、低粘度ペースト型であることが望ましい。低粘度ペースト組成物は筆やブラシあるいは探針などで操作されるが、これらの操作に適した粘度特性として、23℃におけるコーンプレート−プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1で測定した周波数掃引7〜1Hz時において2〜20Pa・Sの粘度を有するものが好適に用いられ、さらに、2〜15Pa・Sの粘度周波数7〜1Hzにおいて粘度の最小値と最大値の比が1.1以上のチクソトロピー性を有するものが最も好適である。
【実施例】
【0066】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0067】
本発明の実施例に使用した化合物の略号を以下に示す。
CQ:dl−カンファーキノン
APO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド
DMBE:N,N−ジメチル安息香酸エチル
DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
UDMA:ウレタンジアクリレート
BisGMA:ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタアクリレート
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート
R−8200:アエロジルR−8200(日本アエロジル社製)(平均粒子径0.012μm)
R−972:アエロジルR−972(日本アエロジル社製)(平均粒子径0.016μm)
シアン色用顔料:フタロシアニンブルー(P.B 15、P.B 15:3)
マゼンタ色用顔料:キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ
イエロー色用顔料:ベンズイミダゾロンイエローHG、ジスアゾイエローGR
白色用顔料:酸化チタン
黒色用顔料:黒酸化鉄
ソリデックスステイン((株)松風製)
【0068】
本発明の実施例に使用した材料評価方法を下記に示す。
【0069】
(1)L*、a*、b*表色系およびマンセル表色系の色調評価
調製した光硬化性組成物をカバーガラス上に採取し、厚さ0.1mmのスペーサーを介してもう1枚のカバーガラスをのせる。2枚のカバーガラスに挟まれた試料を上下方向から圧接し、光重合器(ソリディライト、株式会社松風社製)で表裏各1分間ずつ光照射した後、カバーガラスを取り除く。作製した試験体を分光測色計CM−2002(コニカミノルタ社製)で測色(L*a*b*表色系、マンセル表色系)した。
【0070】
(2)混合性の判断
各色調組成物を紙練板上に各々の混合比で採取し、スパチュラで混合する。一定の条件で混合したときに、何秒で均一な色調になるかを目視で評価した。
【0071】
本発明の歯科用組成物の実施例および比較例を表1に示す。また、測色結果を表2に示す。
【0072】
【表1】

実施例1〜6、ならびに比較例1〜6いずれもペースト状である。
【0073】
【表2】

【0074】
実施例1〜3は、それぞれ、今回選択した、減法3原色に基づく色調範囲となっている。しかし比較例1および2においては、そのような今回選択した範囲の、減法3原色におけるシアン色(色相(H)5PB〜1PB、10B〜1B、明度(V)2〜9、彩度(C)6〜14)、マゼンタ色(色相(H)1RP、10P〜8P、明度(V)3〜8、彩度(C)7〜16)には当てはまらない。
【0075】
次に実施例1〜6と比較例1〜6の混合を行い、その混合し易さと色調再現性を確認した。表3に測定データを、図1および2にL*、a*、b*表色系のa*、b*のグラフを示す。
【0076】
【表3】

【0077】
表2より、実施例7〜15の混合時間が13〜19秒であるのに対して、比較例7〜15の混合時間は、52〜64秒であった。すなわち、実施例の組成物は比較例の組成物と比べて混合が容易であることが分かる。また、表4および表5より、実施例1〜3、および7〜15は等間隔に並び、規則性があるのに対し、比較例1〜3、および7〜15は規則性がない。すなわち、実施例の組成物では、混合に規則性があり、色調を再現しやすい。
【0078】
さらに、実施例1〜3と実施例4〜6の混合したときの明度および彩度を次の表4に示す。
【0079】
【表4−1】

【0080】
【表4−2】

【0081】
実施例16〜24よりホワイト色を加えることにより明度が上昇し、実施例25〜33よりブラック色を加えることにより明度が下降し、また、実施例34〜42よりクリア色を加えることにより彩度が減少することが分かる。
【0082】
さらに、その他の重合性モノマー、光重合触媒および特定顔料での実施例を次の表5および6に記載する。
【0083】
【表5】

【0084】
【表6】

【0085】
実施例43〜53より、いずれの重合性モノマーや、光重合触媒を用いると目的とするシアン、マゼンタまたはイエロー色になるか分かる。また、好適とされる他の顔料を用いても、シアン、マゼンタまたはイエロー色になることが分かる。
【0086】
ペーストの降伏粘度およびチクソトロピー指数の測定方法では、レオロジカ社製ストレステックレオメーターを使用した。
測定条件を以下に記載する。
1)試料間隙が0.0mmとなるように直径40mm角度4°のコーンプレート−平板治具をセットする。
2)測定環境を温度23℃、大気圧下とする。
3)開始応力は1.00E+1Paで測定する。
4)周波数10〜1[Hz]における粘度を測定する。
5)横軸に周波数、縦軸に粘度を対数プロットし、粘度の最大値を最小値で除したものをチクソトロピー比とし、その比が1.1以上でチクソトロピー性があると判定する。
粘度測定の結果を対数プロットした数値を表7に、グラフを図3に示す。
【0087】
【表7】

【0088】
図3の結果より、本発明よりなる可視光重合性歯科用組成物(実施例1)は、ペースト操作性に優れているチクソトロピー性を持つ低粘度型であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の歯科用組成物、さらに詳しくは、混合可能な、好ましくはペーストタイプで、色調再現が自在にできる歯科用組成物およびそのセットは、用途としては、歯科分野において使用可能な多様な材料(例えば、複合材料、樹脂、セラミックスなど)から製造される全ての種類(例えば、充填材料、テンポラリークラウン、義歯、インプラント上部構造体、前装冠など)に用いることができる。また、天然歯牙に直接適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、実施例1〜6と比較例1〜6の混合を行い、その混合しやすさと色調再現性を確認した際に得られたL*、a*、b*表色系のa*、b*のグラフ示す。
【図2】図2は、実施例1〜6と比較例1〜6の混合を行い、その混合しやすさと色調再現性を確認した際に得られたL*、a*、b*表色系のa*、b*のグラフ示す。
【図3】図3は、ペーストにつき、周波数に対し粘度の対数をプロットしたグラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物が
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料を含み、
その色調が、減法三原色に基づくシアン色である歯科用着色材組成物。
【請求項2】
組成物が
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料を含み、
その色調が、減法三原色に基づくマゼンタ色である歯科用着色材組成物。
【請求項3】
組成物が
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料を含み、
その色調が、減法三原色に基づくイエロー色である歯科用着色材組成物。
【請求項4】
シアン色としてマンセル表色系で色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体の白バックでの測色値が色相(H)5PB〜1PB、10B〜1B、10GB〜5GB、明度(V)2〜9、および彩度(C)6〜15となる請求項1記載の歯科用着色材組成物。
【請求項5】
マゼンタ色としてマンセル表色系で色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体の白バックでの測色値が色相(H)1R、10RP〜1RP、10P〜5P、明度(V)2〜9、および彩度(C)6〜17となる請求項2記載の歯科用着色材組成物。
【請求項6】
イエロー色としてマンセル表色系で色調評価を行った時、厚さ0.1mmの試験体の白バックでの測色値が色相(H)1Y〜10Y、1GY〜2GY、明度(V)4〜10、および彩度(C)7〜17となる請求項3記載の歯科用着色材組成物。
【請求項7】
シアン色の顔料、および/または染料として、緑色3号(ファーストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカーミン)、青色201号(インジゴ)、青色202号(パテントブルーNA)、青色203号(パテントブルーCA)、青色204号(カルバンスレンブルー)、青色205号(アルファズリンFG)、フタロシアニンブルー、アルミニウムフタロシアニンブルーおよびインダンスレンブルーのうち少なくとも1種以上含有する請求項1または4記載の歯科用着色材組成物。
【請求項8】
マゼンタ色の顔料、および/または染料として、赤色2号(アマランス)、赤色104号(フロキシン)、赤色105号(ローズベンガル)、赤色106号(アシドレッド)、赤色201号(リソールルビンB)、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色203号(レーキレッドC)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色205号(リソールレッド)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色213号(ローダミンB)、赤色214号(ローダミンBアセテート)、赤色215号(ローダミンBステアレート)、赤色218号(テトラクロロテトラブロモフルオレセイン)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色221号(トルイジンレッド)、赤色223号(テトラブロモフルオレセイン)、赤色225号(スダンIII)、赤色226号(ヘリンドンピンクCN)、赤色227号(ファストアシッドマゲンタ)、赤色228号(パーマトンレッド)、赤色230号の(1)(エオシンYS)、赤色230号の(2)(エオシンYSK)、赤色231号(フロキシンBK)、赤色232号(ローズベンガルK)、赤色401号(ビオラミンR)、赤色404号(ブリリアントファストスカーレット)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、赤色501(薬用スカーレット)、赤色502(ポンソー3R)、赤色503号(ポンソーR)、赤色504号(ポンソーSX)、赤色505号(オイルレッドXO)、赤色506号(ファストレッドS)、紫色201号(アリズリンパープルレーキSS)、紫色401号(アリズロールパープル)、ナフトールAS(ナフトールルビン、ナフトールレッドFGR、ナフトールカーミンFBB、ナフトールカーミンF3B、ナフトールレッドF5RK、ナフトールレッドHF4B)、BONAレーキ(BONAバリウムレーキ、BONAカルシウムレーキ、BONAストロンチウムレーキ、BONAマンガンレーキ、BONAマグネシウムレーキ)、リソールルビン(ブリリアントカーミン6B)、ジアミノアンスラキノニルレッド、DPPレッドBO、ジケトピロロピロール、ペリレンレッドBL、イミダゾロンレッドHFT、イミダゾロンカーミンHF3C、ベンズイミダゾロンカーミンHF4C、ジアミノアンスラキノニルレッド、ジクロロキナクリドンマゼンタ、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、ジオキサンバイオレットおよび縮合アゾスカーレットのうち少なくとも1種以上含有する請求項2または5記載の歯科用着色材組成物。
【請求項9】
イエロー色の顔料、および/または染料として、黄色4号(タートラジン)、黄色201号(フルオレセイン)、黄色202号の(1)(ウラニン)、黄色202号の(2)(ウラニンK)、黄色203号(キノリンイエローWS)、黄色204号(キノリンイエローSS)、黄色205号(ベンチジンイエローG)、黄色401号(ハンサイエロー)、黄色402号(ポーライエロー5G)、黄色403号の(1)(ナフトールイエローS)、黄色406号(メタニルイエロー)、黄色407号(ファストライトイエロー3G)、ハンザイエロー10G、ジスアゾイエロー(AAMX、AAOT、HR、4G、3A、GR、G)、ベンズイミダゾロンイエロー(H2G、HG)、イソインドリンイエロー(G、R)、ピラゾロンイエローHGR、およびジアリライドイエローAAOAのうち少なくとも1種以上含有する請求項3または6記載の歯科用着色材組成物。
【請求項10】
請求項1、4または7に基づく組成物および請求項2、5または8に基づく組成物および請求項3、6または9に基づく組成物が組み合わされた歯科用着色材セット。
【請求項11】
請求項10記載の歯科用着色材セットに
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料よりなる
ホワイト色組成物を加えた歯科用着色材セット。
【請求項12】
請求項10記載の歯科用着色材セットに
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料よりなる
ブラック色組成物を加えた歯科用着色材セット。
【請求項13】
請求項10記載の歯科用着色材セットに
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料よりなる
(1)ホワイト色組成物と、
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、
(b)重合触媒、および
(c)顔料、および/または染料よりなる
(2)ブラック色組成物とを加えた歯科用着色材セット。
【請求項14】
(a)重合性モノマー、および/またはオリゴマー、および
(b)重合触媒よりなる
透明色の組成物を加えた請求項10〜13いずれか1に記載の歯科用着色材セット。
【請求項15】
請求項10〜14いずれか1に記載された各セットの構成組成物を混合して任意の色調の組成物を作製し、次いで、その組成物を歯科用着色材として歯科材料に適用することを含む、請求項10〜14いずれか1記載の歯科用着色材セットを適用する方法。
【請求項16】
ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート-プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜20Pa・Sの粘度を有する請求項1〜9いずれか1記載の歯科用着色材組成物。
【請求項17】
ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート-プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜20Pa・Sの粘度を有する請求項10〜14いずれか1記載の歯科用着色材セット。
【請求項18】
ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート-プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜20Pa・Sの粘度を有する請求項15記載の方法。
【請求項19】
更に(d)粒子径0.001〜0.1μmの充填材を含有し、ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート−プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜15Pa・Sの粘度、および、周波数7〜1Hzにおいて粘度の最小値と最大値の比が1.1以上のチクソトロピー性を有する請求項1〜9いずれか1記載の歯科用着色材組成物。
【請求項20】
更に(d)粒子径0.001〜0.1μmの充填材を含有し、ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート−プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜15Pa・Sの粘度、および、周波数7〜1Hzにおいて粘度の最小値と最大値の比が1.1以上のチクソトロピー性を有する請求項10〜14いずれか1記載の歯科用着色材セット。
【請求項21】
更に(d)粒子径0.001〜0.1μmの充填材を含有し、ペーストの粘度が23℃におけるコーンプレート−プレート系粘度測定、開始応力1.00E+1Paで測定した周波数掃引7〜1Hz時において1〜15Pa・Sの粘度、および、周波数7〜1Hzにおいて粘度の最小値と最大値の比が1.1以上のチクソトロピー性を有する請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−83833(P2010−83833A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256427(P2008−256427)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(390011143)株式会社松風 (125)
【Fターム(参考)】