説明

混合容器

【課題】より少ない部品点数で構成される混合容器を提供する。
【解決手段】混合容器は、第1容器体10と、第2容器体20と、第1容器体10の上端部に固定されて第2容器体20を保持する内栓部材30と、この内栓部材30に回転可能に係止されるキャップ部材40とを含む。キャップ部材40は、第2容器体20の開口縁部が当接することで当該第2容器体20の開口を塞ぐとともに、当該当接位置よりも外側の位置にノズル50を有する。第2容器体20は、下方への変位が許容されかつ共に回転するようにキャップ部材40に係合するともに、所定量回転することで、内栓部材30から脱落するように当該内栓部材30に保持されている。ノズル50は、第2容器体20が脱落することで、内栓部材30の内側を通じて第1容器体10の内部と連通する位置に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の収容物、主に液体を分離収容しておき、これら収容物を必要時に容器内で混合して外部に注出することができる混合容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような混合容器として、従来、特許文献1に開示されるものが知られている。
【0003】
この文献1に開示される混合容器は、第1収容物が収容される有底筒状のボトルと、このボトルの開口縁部に固定される筒状の内栓と、この内栓に対して相対回転が可能となる状態で当該内栓に被さるように装着され、かつ中心部に、第2収容物が収容される筒状の収容部を有する外栓と、外側から開閉可能なノズルを備え、上記収容部の開口を塞ぐように当該外栓に装着される外キャップと、前記内栓及び外栓(収容部)の中心を貫通するように両栓の内側に配置され、前記内栓に対して螺着される中キャップとを備える。中キャップは、その先端(上端)で前記ノズルのノズル口を容器内側から塞いでいる。また、中キャップは、前記外栓と一体回転(共回り)が可能でかつ上下方向に相対的に変位可能となるように当該外栓に係合している。
【0004】
このような従来の混合容器において、収容物を混合して使用する際には、内栓に対して外栓を特定方向に回転操作する。このように外栓を回転させると、内栓に螺着されている中キャップが外栓と共回りして弛み、当該内栓からボトル内に脱落する。この中キャップの脱落により、第2収容物が収容部からボトル内に侵入して第1収容物に混入するとともに、容器内側でおいてノズル口が開放される。従って、その後、外キャップを外側から開操作した上で混合容器全体を傾けることで、第1収容物と第2収容物との混合物を前記注出口から外部に注出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−255252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の混合容器では、内栓及び中キャップによりボトルが密閉(閉栓)され、さらに容器内側から中キャップよってノズル口が塞がれているため、収容物を混合する前に誤って外キャップが開操作された場合でも、第1、第2収容物の何れも外部に注出することがない。そのため、誤注出防止の観点からは有利な構造と言える。しかし、このような従来の混合容器は、部品点数が多く、しかも、中キャップ、外栓及び内栓といった3つの部材で液密性を確保する必要があるために各部品それぞれに高い成型精度が要求され、混合容器の製造コストや組立性を考慮すると、未だ改善の余地があると考えられる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、より少ない部品点数で、従来のものと同等の機能を有する混合容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、本発明にかかる混合容器は、二種類の収容物を互いに隔離した状態で収容し、かつ使用時にこれら収容物を混合して注出することが可能な混合容器であって、上向きに開口し、収容物が収容されることが可能な第1容器体と、上向きに開口し、収容物が収容されることが可能で、かつ前記第1容器体の開口を通じて前記第1容器体の内側に挿入されることが可能な形状を有する第2容器体と、筒型の形状を有し、前記第1容器体の上端部に固定されてその内側に前記第2容器体を保持することにより当該第2容器体と協働して前記第1容器体の開口を塞ぐ内栓部材と、この内栓部材に対して相対的に回転可能に、かつ前記第2容器体に被さるように当該内栓部材に装着されるキャップ部材と、を備え、前記キャップ部材は、前記第2容器体の開口縁部が当接することで当該第2容器体の開口を塞ぐことが可能な形状を有するとともに、当該第2容器体が当接する位置よりも外側の位置に、混合収容物を注出するための開閉可能な注出口を有し、前記第2容器体は、下方への変位が許容されかつ前記キャップ部材と共に回転することが可能となるように当該キャップ部材に係合するとともに、一定方向への回転により、前記内栓部材による保持状態から開放されて脱落するように前記内栓部材に保持されており、前記注出口は、前記キャップ部材のうち前記内栓部材から前記第2容器体が脱落することで当該内栓部材の内側を通じて前記第1容器体の内部と連通することが可能となる位置に形成されているものである。
【0009】
この混合容器では、収容物は、第1容器体及び第2容器体にそれぞれ収容される。第1容器体は、その開口が内栓部材及び第2容器体により閉栓され(開口部が塞がれ)、第2容器体は、キャップ部材により閉栓される。これにより、混合前、各収容物は、互いに隔離された状態で混合容器内に収容される。この状態では、上記のように第1容器体の開口が内栓部材及び第2容器体により閉栓されており、また、注出口がキャップ部材のうち第2容器体が当接する位置よりも外側の位置に形成されているため、注出口が不意に開操作された場合でも、収容物が注出されることが防止される。他方、収容物を使用する際には、キャップ部材を回転操作し、これにより第2容器体を一定方向に回転させる。このように第2容器体を回転させると、内栓部材による第2容器体の保持状態が解除され、内栓部材から第1容器体内に第2容器体が脱落して収容物が第1容器体内で混合されるとともに、注出口が内栓部材の内側を通じて第1容器体と連通状態となる。これにより収容物同士を混合させた状態で注出口から注出することが可能となる。
【0010】
なお、この混合容器において、前記第2容器体は、当該第2容器体の回転に伴い内栓部材による保持状態が解除されるようにカム及びカム溝を用いた構成によって前記内栓部材に保持される構成であってもよいが、前記一定方向の回転に伴い下方に変位しながら前記内栓部材から脱落するように、当該内栓部材に螺着されているものであるのが好適である。
【0011】
この混合容器の構成によれば、内栓部材による第2容器体の保持状態を、当該第2容器体の回転に伴いスムーズに解除しながら収容物同士を混合させることが可能となる。
【0012】
この場合、前記第2容器体は、前記内栓部材に対する当該第2容器体の挿入量を規制することにより、前記内栓部材に対して当該第2容器体を上下方向に位置決めする規制部を備えるものであるのが好適である。
【0013】
この混合容器の構成によれば、混合容器の組み立ての際、内栓部材に対して第2容器体を最後まで、つまり、規制部によって規制される位置まで螺合、挿入するだけで、内栓部材に対してその上下方向の適切な位置に第2容器体を容易に保持させることが可能となる。そのため、第2容器体の上端部とキャップ部材との当接状態が不完全な当接状態となって第2容器体の収容物が漏れ出すといった不都合を未然に防止することが可能となる。
【0014】
なお、上記の混合容器において、前記キャップ部材は、前記内栓部材を外側から覆うスカート部を備えているのが好適である。この場合、前記第1容器体は、上向きに開口する口頸部とその下側に連続する、前記口頸部よりも外径が大きい本体部とを有し、前記内栓部材が前記口頸部に装着されるものであり、前記スカート部は、前記内栓部材と共に前記口頸部を覆うように当該スカート部の下端部が前記本体部の上端に近接し、かつ少なくとも前記口頸部を覆う部分の外径が前記本体部の外径と略等しくなる形状を有しているのがより好ましい。
【0015】
この混合容器の構成によれば、第1容器体及びキャップ部材の広い範囲をしっかりと掴んで相対回転させることが可能となり、収容物を混合させる際の操作性が良好なものとなる。しかも、キャップ部材のスカート部で内栓部材等が外側から覆われるため、非常に簡素ですっきりとした外観形状となり、包装性など良好なものとなる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の混合容器によれば、収容物を混合する前に不意に注出口が開口された場合でも収容物が注出されることを未然に防止することができる。しかも、この機能を維持しつつ、当該混合容器を、第1容器体、第2容器体、内栓部材及びキャップ部材という、従来よりも少ない数の部品で構成することができる。従って、より安価でかつ組立性の良い混合容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる混合容器の一例を示す半縦断全体側面図である。
【図2】混合容器の主要部を示す縦断面図である。
【図3】混合容器を示す分解状態の縦断面図である。
【図4】混合容器の組み立て要領を説明するための当該混合容器の半縦断側面図である。
【図5】混合容器の組み立て要領を説明するための当該混合容器の半縦断側面図である。
【図6】収容物を混合させるための操作を行った状態の混合容器を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0019】
図1〜図3は、本発明にかかる混合容器を概略的に示しており、図1は半縦断全体側面図で、図2は主要部を示す縦断面図で、図3は分解状態の縦断面図でそれぞれ混合容器を示している。
【0020】
これらの図に示す混合容器は、収容物として第1液体と第2液体とを互いに隔離した状態で収容し、必要時にこれら液体同士を混合した状態で注出するための容器である。
【0021】
この混合容器は、図3に示すように、第1容器体10、第2容器体20、内栓部材30及びキャップ部材40を含む。これらは、何れも合成樹脂材料からなる成型品である。これらのうち、少なくとも第1容器体10は、透明又は半透明の樹脂材料からなり、外側から内部を透視可能となっている。なお、本発明において、第1容器体10は必ずしも透明又は半透明である必要はなく、不透明なものも適用可能である。
【0022】
前記第1容器体10は、第1液体が収容されるものである。この第1容器体10は、有底円筒状の形状を有している。詳しくは、上向きに開口する口頸部11と、その下側に位置し、前記口頸部よりも径の大きい本体部12と、これら口頸部11及び本体部12を繋ぐ肩部13とを有し、これらが同一の合成樹脂材料により一体に成型されている。前記第1液体は、この第1容器体10のうち主に本体部12に収容される。
【0023】
前記口頸部11のうち上下方向の中間よりやや下側の位置には、当該口頸部11の外周面から外向きに突出し、当該外周面の全周に亘って連続する環状の突起部16が形成されている。この突起部16は、前記内栓部材30を当該第1容器体10に係止するためのものである。
【0024】
また、口頸部11の外周面のうち前記突起部16よりも上側の位置であってかつ周方向の複数の位置には、当該外周面から外向きに突出して上下方向に延びる複数のリブ18が形成されている。これらリブ18は、第1容器体10に対する内栓部材30の相対回転を規制するためのものであり、当例では、90°間隔で周方向に並ぶ合計4個のリブ18が口頸部11に形成されている。
【0025】
前記第2容器体20は、上向きに開口する有底円筒状の本体部21と、この本体部21の外周上に、当該外周面との間に隙間を隔てるように設けられ、かつその上端部で前記本体部21に繋がる筒状の外輪部22とを有する。これら本体部21及び外輪部2は、同一の合成樹脂材料により一体に成型されている。前記第2液体は、この第2容器体20の本体部12に収容される。
【0026】
前記本体部21の外周面のうち、前記外輪部22よりも上側の位置であってかつ周方向の複数の位置には、当該外周面から外向きに突出して上下方向に延びる複数のリブ28が形成されている。これらリブ28は、第2容器体20をキャップ部材40と一体に回転させるためのものであり、当例では、20°間隔で周方向に並ぶ合計18個のリブ28が本体部21に形成されている。
【0027】
前記外輪部22の外周面には、当該第2容器体20を前記内栓部材30に保持させるための雄ねじ24が形成されている。また、この雄ねじ24よりも下側の位置に、当該外周面から外向きに突出して当該外周面の全周に亘って連続する環状の突起部26が形成されている。この突起部26は、内栓部材30に対して第2容器体20が一定量以上挿入されることを規制するためのものである。
【0028】
さらに、外輪部22の外周面のうち前記雄ねじ24と突起部26との間の位置には、当該外周面から外向きにそれぞれ突出して当該外周面の全周に亘って連続し、互いに上下方向に並ぶ複数の環状の突起部からなるシール部25が形成されている。当該シール部25は、第2容器体20とこれを保持する内栓部材30との間をシールするためのものである。
【0029】
前記内栓部材30は、前記第2容器体20を保持するとともに、この第2容器体20と協働して前記第1容器体10を閉栓する(開口部を塞ぐ)ものである。この内栓部材30は、上下方向に貫通する筒状をなす。詳しくは、円筒状のホルダ部31と、その下側に位置し、前記ホルダ部31よりも径の大きい円筒状の装着部32と、これらホルダ部31と装着部32とを繋ぐ肩部33とを有し、これらが同一の合成樹脂材料により一体に成型されている。
【0030】
前記ホルダ部31は、前記第2容器体20を保持する部位である。このホルダ部31の内周面のうち、その上端寄りの位置には、第2容器体20の前記雄ねじ24に対応する雌ねじ34が形成されている。つまり、図2に示すように、このホルダ部31に対して前記第2容器体20が下側から螺合、挿入されることにより、当該第2容器体20が内栓部材30に保持される。当例では、第2容器体20を右回しに回転させることで当該第2容器体20が内栓部材30に螺着されるように前記雄ねじ24及び雌ねじ34が形成される。
【0031】
なお、第2容器体20の前記外輪部22に形成される突起部26は、その外径がホルダ部31の内径よりも若干大きく設定されている。従って、ホルダ部31への第2容器体20の挿入の際には、前記突起部26がホルダ部31の下側の開口縁部に当接し、これによりホルダ部31に対して第2容器体20が一定量以上挿入されることが規制され、内栓部材30に対して第2容器体20が上下方向に位置決めされる。詳しくは、第2容器体20の本体部21のうち前記外輪部22よりも上側の部分(主にリブ28が形成されている部分)がホルダ部31の上端から所定寸法だけ上方に突出する位置に位置決めされる(図4参照)。
【0032】
図3に戻って、前記ホルダ部31の外周面には、その下端部近傍の位置に、当該外周面から外向きに突出して当該外周面の全周に亘って連続する円環状のリブ35が形成されている。このリブ35は、キャップ部材40を係止するためのものである。
【0033】
前記装着部32は、内栓部材30を前記第1容器体10に固定するための部位である。この装着部32は、その内径が第1容器体10の口頸部11の外径と同等又は若干大きく形成されている。この装着部32の内周面であってその下端部の近傍位置には、当該内周面から内向きに突出して周方向に断続的に並ぶ複数の突起部38が形成されている。つまり、図2に示すように、内栓部材30の装着部32の内側に第1容器体10の前記口頸部11が挿入され、前記装着部32の突起部38が前記口頸部11の突起部16を乗り越えて互いに上下方向に係合することで、第1容器体10に内栓部材30が係止(固定)される。そして、上記のように第2容器体20を保持した状態で当該内栓部材30が第1容器体10に係止されることで当該第1容器体10が内栓部材30及び第2容器体20によって閉栓される。
【0034】
前記装着部32の内周面のうち、前記突起部38よりも上側の位置であってかつ周方向の複数の位置には、当該内周面から内向きに突出して上下方向に延びる複数のリブ37が形成されている。当例では、15°間隔で周方向に並ぶ合計24個のリブ37が装着部32に形成されている。これらリブ37は、第1容器体10の前記リブ18と協働して、第1容器体10に対する内栓部材30の相対回転を規制するものである。つまり、装着部32の当該リブ37及び前記第1容器体10のリブ18は、上記のように内栓部材30が第1容器体10に係止されると、隣接する37の間にリブ18が介在して互いに周方向に係合するように形成されている。これにより第1容器体10に対する内栓部材30の相対回転が規制される。
【0035】
なお、内栓部材30の内側には、ホルダ部31に続くように前記肩部33の位置から下向きに突出するスリーブ状のリブ36が形成されている。このリブ36は、第1容器体10に内栓部材30が係止されて状態で第1容器体10の前記口頸部11の内側に嵌入されることが可能な形状を有しおり、この嵌入により当該口頸部11の内周面に密接して第1容器体10(口頸部11)と内栓部材30との間をシールする(図2参照)。
【0036】
前記キャップ部材40は、前記第2容器体20を閉栓する(本体部21の開口を塞ぐ)とともに、必要に応じて第1液体と第2液体とを混合させて、その混合液を注出する操作を行うためのものである。このキャップ部材40は、キャップ本体41、開閉蓋42、及びこれら開閉蓋42及びキャップ本体41を連結するヒンジ43を含み、これらが同一材料により一体に成型されている。
【0037】
前記キャップ本体41は、天井部44を有した下向きに開く略円筒状の形状を有する。詳しくは、円盤状の天井部44と、その周縁から真っ直ぐに垂下する円筒状の小径部45と、緩やかに拡径する肩部を介して前記小径部4の下側に繋がる円筒状の大径部46と、この大径部46の内側に位置し、前記小径部45の下端部近傍の位置から真っ直ぐに垂下する円筒状の装着部47とを含む。
【0038】
このキャップ本体41は、前記装着部47を介して前記内栓部材30に係止される。具体的には、前記装着部47は、その内径が前記内栓部材30のホルダ部31の外径と同等又は若干大きく形成されている。そして、その内周面の下端部に、当該内周面から内向きに突出して周方向に断続的に並ぶ複数の突起部56が形成されている。これにより、図2に示すように、装着部47の内側に前記内栓部材30(ホルダ部31)が挿入されるとともに、前記装着部47の突起部56がホルダ部31の前記突起部35を乗り越えて互いに上下方向に係合することで、内栓部材30にキャップ部材40が係止される。
【0039】
前記天井部44の中央部には、その内天面から下向きに突出する円環状のリブ48が突設されている。このリブ48は、第2容器体20の本体部21の内側に嵌入されることが可能な形状を有しおり、上記のようにキャップ部材40が前記内栓部材30に装着されると、第2容器体20の上端部が前記天井部44の内天面に当接するとともに、前記リブ48が本体部21の内側に嵌入され、この嵌入により当該本体部21の内周面に密接して第2容器体20(本体部21)と天井部44との間をシールする(図2参照)。
【0040】
また、キャップ本体41の内側には、小径部45に続くように前記小径部45の下端部から下向きに突出するスリーブ状のリブ49が形成されている。このリブ49は内栓部材30のホルダ部31の内側に嵌入されることが可能な形状を有しおり、この嵌入により前記ホルダ部31の内周面に密接して内栓部材30(ホルダ部31)とキャップ本体41との間をシールする(図2参照)。
【0041】
前記天井部44の上面には、当該上面から上向きに突出するように、注出口としてのノズル50が形成されている。このノズル50は、天井部44のうち前記第2容器体20の上端が当接する位置よりも外側の位置であって、当該当接位置を挟んで前記開閉蓋42が連結される位置(ヒンジ43の位置)の反対側に形成されている。
【0042】
また、天井部44の内天面のうち、前記第2容器体20の当接位置よりも外側の位置には、前記小径部45の内周面に沿って周方向に所定間隔で並び、前記内天面から下向きに突出する複数のリブ52が形成されている。当例では、60°間隔で周方向に並ぶ合計6個のリブ52が天井部44に形成されている。これらリブ52は、内栓部材30による第2容器体20の当該保持状態を解除するためのものである。つまり、当該リブ52及び第2容器体20の前記リブ28は、上記のようにキャップ部材40が内栓部材30に係止されると、天井部44のリブ52が第2容器体20のリブ28の間に介在して互いに周方向に係合するように形成されている。これにより、内栓部材30に対してキャップ部材40が一定方向(当例では、内栓部材30に対して第2容器体20を左回りに回転させる方向)に相対回転すると、内栓部材30(ホルダ部31)に螺着された第2容器体20が弛み、内栓部材30による当該第2容器体20の保持状態が解除される。
【0043】
なお、前記各リブ28、52は、上下方向に真っ直ぐに延びる形状であり、従って、第2容器体20は、螺着状態が弛むに伴い下方へ変位することが可能な状態で前記キャップ部材40に係合する。
【0044】
前記キャップ本体41の大径部46(本発明のスカート部に相当する)は、キャップ部材40を回転操作するために把持する部位である。この大径部46は、その下端部が第1容器体10の肩部13(すなわち、本体部12の上端)に近接するように形成されるとともに、当該内栓部材30等を覆う部分の外径が第1容器体10の前記本体部12の外径と略等しくなるように形成されている。
【0045】
一方、前記開閉蓋42は、キャップ本体41の頂部、具体的には、天井部44と小径部45との境界部分に前記ヒンジ43を介して連結されている。この開閉蓋42は、軸状の栓部42aを備えており、図2に示すように、この栓部42aが前記ノズル50に挿入されてノズル孔を塞ぐ閉止位置と、この閉止位置から天井部44の外側に展開して前記ノズル孔を開く開放位置とに亘って回動可能となっている。なお、開閉蓋42の外周面のうち栓部42aを挟んでヒンジ43と反対側の位置には、開閉蓋42を主に開操作するための操作用鍔部42bが突設されている。
【0046】
次に、この混合容器の組み立て要領について図4及び図5を用いて説明する。
【0047】
この混合容器は、以下の手順(1)〜(3)により容易に組み立てることができる。
【0048】
(1)内栓部材30への第2容器体20の組み付け(図4)
前記第2容器体20を前記内栓部材30の下側からその内側に挿入しつつ、当該第2容器体20をホルダ部31に螺合、挿入する。これにより、図4の上図に示すように、内栓部材30に第2容器体20を組み付ける(保持させる)。この際、内栓部材30に対して第2容器体20を螺合、挿入すると、外輪部22に形成された突起部26がホルダ部31の開口縁部に当接し、これにより内栓部材30に対して第2容器体20が自ずと位置決めされる。
【0049】
このように内栓部材30に第2容器体20を組み付けた状態では、第2容器体20の外輪部22に形成されたシール部25がホルダ部31の内周面に密接し、これにより内栓部材30と第2容器体20との間が水密状態にシールされる。
【0050】
(2)第1容器体10への内栓部材30等の組み付け(図4)
手順(1)で第2容器体20が組み付けられた内栓部材30を、第1容器体10に組み付ける。具体的には、内栓部材30に保持されている第2容器体20を第1容器体10の口頸部11からその内側に挿入しながら、当該口頸部11を内栓部材30の装着部32の内側に差し込み、内栓部材30を第1容器体10側に強く押し込む。このように内栓部材30を押し込むと、内栓部材30(装着部32)側の突起部38が第1容器体10(口頸部11)側の突起部16を乗り越えて互いに係合し、これにより第1容器体10に内栓部材30が係止される。また、内栓部材30の互いに隣接するリブ37の間に第1容器体10側のリブ18が挿入され、これらリブ18、37が互いに周方向に係合することで、第1容器体10に対する内栓部材30の相対回転が規制される。
【0051】
このように内栓部材30等を第1容器体10に組み付けた状態では、内栓部材30のスリーブ上のリブ36が第1容器体10(口頸部11)の内周面に密接し、これにより内栓部材30と第1容器体10との間が水密状態にシールされるとともに、第1容器体10が内栓部材30及び第2容器体20によって閉栓される。
【0052】
(3)内栓部材30等へのキャップ部材40の組み付け(図5)
手順(2)で第1容器体10に組み付けられた内栓部材30に対し、さらにキャップ部材40を組み付ける。具体的には、内栓部材30にキャップ部材40を被せながら、内栓部材30のホルダ部31をキャップ部材40の装着部47の内側に挿入し、キャップ部材40を内栓部材30側に強く押し込む。このようキャップ部材40を押し込むと、キャップ部材40(装着部47)側の突起部56が内栓部材30(ホルダ部31)側の突起部35を乗り越えて互いに係合し、これにより内栓部材30にキャップ部材40が係止される。また、第2容器体20の互いに隣接するリブ28の間にキャップ部材40側のリブ52が挿入される。これにより、リブ28、52が周方向に係合し、キャップ部材40と第2容器体20とが共回り可能な状態となる。
【0053】
このようにキャップ部材40を内栓部材30に組み付けた状態では、キャップ部材40の天井部44に第2容器体20(本体部21)の上端が当接するとともに、当該天井部44のリブ48が本体部21の内周面に密接する。これにより、第2容器体20(本体部21)とキャップ部材40との間が水密状態にシールされた状態で、第2容器体20(本体部21)が当該キャップ部材40により閉栓される。また、キャップ本体41内のスリーブ状のリブ49が内栓部材30のホルダ部31の内周面に密接し、キャップ部材40と内栓部材30との間が水密状態にシールされる。以上により、上記混合容器の組み立てが完了する。
【0054】
なお、上記の説明では言及していないが、第1容器体10への第1液体の収容、及び第2容器体20への第2液体の収容は、その液体の性状等に応じて上記組立工程の適当な段階で行うことができる。例えば、第1容器体10への第1液体の収容は、第1容器体10への内栓部材30等の組み付け直前に行うことができる。また、第2容器体20への第2液体の収容は、内栓部材30等へのキャップ部材40の組み付け直前に行うことができる。
【0055】
このように各容器体10、20に収容された第1、第2の液体(図1、図2では液面を二点鎖線で示している)は、上記の通り、内栓部材30及び第2容器体20によって第1容器体10が閉栓され、また、キャップ部材40によって第2容器体20(本体部21)が閉栓されることで、互いに隔離された状態で当該混合容器内に収容される。そして、この混合容器では、上記の通り、キャップ部材40(天井部44)のうち第2容器体20(本体部21)が当接する位置よりも外側の位置にノズル50が形成されているため、開閉蓋42が不意に開放位置に操作された場合でも、第1、第2の液体の何れも注出されることが防止される。
【0056】
次に、この混合容器の使用要領、すなわち第1液体と第2液体とを混合して、その混合液を注出する要領について説明する。
【0057】
まず、第1容器体10に収容された第1液体と第2容器体20に収容された第2液体とを混合する。この混合は、第1容器体10の本体部12とキャップ部材40とを把持し、本体部12に対してキャップ部材40を相対的に回転操作することにより行う。つまり、キャップ部材40と第2容器体20とが共回り可能に係合する一方で、内栓部材30が第1容器体10に固定されている(すなわち、相対回転が規制された状態で係止されている)ことで、上記のようにキャップ部材40の大径部46を回転操作すると、これに伴い第2容器体20が内栓部材30に対して回転しながら下方に移動する。そして、キャップ部材40を所定量だけ回転させると、図6に示すように、内栓部材30による第2容器体20の保持状態が解除されて当該第2容器体20が第1容器体10(本体部12)内に脱落し、この脱落により、第2容器体20(本体部21)内の第2液体が第1容器体10内の第1液体に混入し、両収容液が第1容器体10内で混合されることとなる。
【0058】
また、このように第2容器体20が内栓部材30から脱落することで、キャップ部材40の前記ノズル50と第1容器体10の内部とが前記内栓部材30の内側を通じて連通する状態となる。従って、第1液体と第2液体を混合させた後、前記開閉蓋42を開放位置に操作した上で混合容器全体を傾ければ、混合液を注出することが可能となる。
【0059】
以上のような混合容器によれば、第1液体と第2液体との混合前に不意に開閉蓋42が開操作された場合でも、液体が注出されることを確実に防止することができる。
【0060】
しかも、この混合容器は、上記のように、第1容器体10、第2容器体20、内栓部材30及びキャップ部材40の合計4個で構成されており、構成部品として5つの部品を要する従来のこの種の混合容器(背景技術の特許文献1)と比べると、同等の機能を有しながらも、少ない部品数で混合容器を構成することができる。その上、その組み立ては、上述した通り非常に簡単なものである。従って、この混合容器によれば、従来のこの種の混合容器に比べると、より安価でかつ組立性の良い混合容器を提供することができる。
【0061】
また、上記の混合容器によれば、大径部46の下端部が第1容器体10の肩部13に近接するようにキャップ部材40が形成された上で、当該大径部46の外径と第1容器体10の外径と略等しくなるように当該キャップ部材40が形成されているため、使用者は、キャップ部材40及び第1容器体10それぞれの広い範囲をしっかりと掴んでこれらを相対回転させることができる。従って、収容物を混合させる際の操作性が良好なものとなる。
【0062】
加えて、キャップ部材40(大径部46)により内栓部材30等が外側から覆われるため、キャップ部材40と第1容器体10の2つの部品のみが上下に合体したようなシンプルな外観形状となる上、キャップ部材40の外周面と第1容器体10の外周面とが略面一で連続しているため外周面上に殆ど凹凸が無い。従って、混合容器を包装する場合の包装性や、箱詰めする場合のスペース効率も良いものになる、という利点もある。
【0063】
なお、以上説明した混合容器は、本発明にかかる混合容器の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、内栓部材30の内周面に雌ねじ34が形成される一方、第2容器体20(外輪部22)に雄ねじ24が形成され、内栓部材30に第2容器体20が螺合、挿入されることにより当該内栓部材30により第2容器体20が保持される構成であるが、例えば、第2容器体20の外周面にカム突起(カム)を突設する一方、内栓部材30の内周面にカム溝を形成し、これらカム突起とカム溝との組合せにより、内栓部材30に対して第2容器体20を係脱可能に保持する構成としてもよい。
【0065】
また、第1容器体10及び第2容器体20の本体部12、21の具体的な大きさや形状も、収容される液体の種類、性状及び量に応じて、両液体を適切に混合させ得るように適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 第1容器体
11 口頸部
12 本体部
13 肩部
20 第2容器体
21 本体部
22 外輪部
24 雄ねじ
30 内栓部材
31 ホルダ部
32 装着部
33 肩部
40 キャップ部材
41 キャップ本体
42 開閉蓋
44 天井部
50 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二種類の収容物を互いに隔離した状態で収容し、かつ使用時にこれら収容物を混合して注出することが可能な混合容器であって、
上向きに開口し、収容物が収容されることが可能な第1容器体と、
上向きに開口し、収容物が収容されることが可能で、かつ前記第1容器体の開口を通じて前記第1容器体の内側に挿入されることが可能な形状を有する第2容器体と、
筒型の形状を有し、前記第1容器体の上端部に固定されてその内側に前記第2容器体を保持することにより当該第2容器体と協働して前記第1容器体の開口を塞ぐ内栓部材と、
この内栓部材に対して相対的に回転可能に、かつ前記第2容器体に被さるように当該内栓部材に装着されるキャップ部材と、を備え、
前記キャップ部材は、前記第2容器体の開口縁部が当接することで当該第2容器体の開口を塞ぐことが可能な形状を有するとともに、当該第2容器体が当接する位置よりも外側の位置に、混合収容物を注出するための開閉可能な注出口を有し、
前記第2容器体は、下方への変位が許容されかつ前記キャップ部材と共に回転することが可能となるように当該キャップ部材に係合するとともに、一定方向への回転により、前記内栓部材による保持状態から開放されて脱落するように前記内栓部材に保持されており、
前記注出口は、前記キャップ部材のうち前記内栓部材から前記第2容器体が脱落することで当該内栓部材の内側を通じて前記第1容器体の内部と連通することが可能となる位置に形成されている、ことを特徴とする混合容器。
【請求項2】
請求項1に記載の混合容器において、
前記第2容器体は、前記一定方向の回転に伴い下方に変位しながら前記内栓部材から脱落するように、当該内栓部材に螺着されていることを特徴とする混合容器。
【請求項3】
請求項2に記載の混合容器において、
前記第2容器体は、前記内栓部材に対する当該第2容器体の挿入量を規制することにより、前記内栓部材に対して当該第2容器体を上下方向に位置決めする規制部を備えることを特徴とする混合容器。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の混合容器において、
前記キャップ部材は、前記内栓部材を外側から覆うスカート部を備えていることを特徴とする混合容器。
【請求項5】
請求項4に記載の混合容器において、
前記第1容器体は、上向きに開口する口頸部とその下側に連続する、前記口頸部よりも外径が大きい本体部とを有し、前記内栓部材が前記口頸部に装着されるものであり、
前記スカート部は、前記内栓部材と共に前記口頸部を覆うように当該スカート部の下端部が前記本体部の上端に近接し、かつ少なくとも前記口頸部を覆う部分の外径が前記本体部の外径と略等しくなる形状を有していることを特徴とする混合容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−103737(P2013−103737A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248377(P2011−248377)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】