説明

混練槽反転排出式密閉加圧型混練機

【課題】混練槽反転排出式密閉加圧型混練機において、混練物の排出動作に時間と手数が掛かるという問題点を解決し、かつ、配合した粉末配合剤の飛散を抑制し、各バッチ毎に混練槽から噴出する該配合剤ほぼ全量を回収可能にする。
【解決手段】混練ローター10を備え、開閉自在の加圧蓋5によって仕込開口部4を閉鎖可能にした混練槽3を、混練物の排出のために反転可能にした混練機において、上記仕込開口部の四周を囲む開口部壁8の前面壁8aを、混練槽の反転時にヒンジ26により混練槽から下方に垂下するように取り付ける。混練槽は、90〜120°の範囲で反転可能にする。また、加圧蓋5と共に仕込開口部4を覆う内圧カバー45を設け、該内圧カバーに捕集装置50のダクト53を連結して、内圧カバー内に噴出した粉末配合剤を捕集させ、該捕集装置のフィルター51に捕集された粉末配合剤を混練槽3に回収可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来から一般的に知られているバッチ式のゴム・プラスチック等の高粘度混練材料の混練機には、開放型のものと密閉加圧型のもの(例えば、特許文献1参照)があり、密閉加圧型の高粘度材料の混練機には、混練槽底開放排出式(ドロップ ドア式)のものと混練槽反転排出式(ティルティング式)のもの(例えば、特許文献2参照)がある。
本発明は、上記混練槽反転排出式で密閉加圧型の混練機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている混練槽反転排出式で上記密閉加圧型の混練機は、混練槽底開放排出式の混練機に比べて設備工事費の経済性等において優位でありながら、(1)混練槽を反転させて混練物を排出する動作に時間と手数が掛かる、(2)加圧蓋による閉蓋時に、投入した粉末配合剤を収容する混練槽の仕込開口部からの該粉末配合剤の噴出が抑止できない、と言う問題点を抱えている。
【0003】
上記問題点について更に具体的に説明すると、まず、上記(1)については、混練りが終わった混練槽内の混練物の排出には、図7(下記実施例との対応部分に該実施例と同一の符号を付している。)に示すように、通常、内部に2本の混練ローター10を備えた混練槽3を、一方の混練ローター10の回転軸11の軸線の周りで140〜160°反転させた状態で、槽内の2本の混練ローター10を適宜正逆回転させ、混練物Aを混練槽3から排出させるが、混練槽3の反転角度が140〜160°では、混練槽の上面仕込開口部4の四周を囲む開口部壁8のうちの反転方向側壁8bがシュートの役目をするにしても、高粘着性のある高分子コンパウンド類の混練物Aは摩擦が大きくて、少なくともその相当量がシュートを滑り落ちないため、作業者がレーキ様の道具で掻き落とす排出補助作業を強いられている。しかも、その作業は混練ローターを回転させての掻き出しであるため、きわめて危険な作業であることから、簡易な手段で人手作業を不要にすることが切望されている。また、作業者は毎バッチ仕込作業と、排出作業を行う混練機の前後を行ったり来たりしなければならず、これらがバッチサイクルを長くして、生産性を損なう原因になっている。
【0004】
このような問題点を回避するためには、混練槽3の反転角度を更に大きくし、例えば、180°反転させれば、混練物Aが上記シュートに触れて排出が阻害されるようなことはなく、滑落に時間や労力が掛かることはないが、混練槽3の高速、広範囲の起転動作には大馬力の駆動装置と、高速化による反転完了時の停止動作の衝撃吸収機構に強固な構造とが要求されるため、反転速度の高速化と反転角度の拡大には設備費と省エネルギー化の観点から限界がある。しかも、上述した混練槽3の140〜160°の反転角度でも、混練槽底開放排出式混練機に比べて反転動作時間が長く、生産性の点で問題がある。
【0005】
また、混練槽3の仕込開口面を180°反転させて混練物Aを排出する構造では、反転した混練槽3の仕込開口面が低くなるため、排出する混練物Aの受取容器37を挿入するスペースを床面に開削する必要がある。床面を開削してピットを設けない場合は、混練機を架台上に設置して高所から受取容器37へ落下排出せしめる配置が欠かせないが、混練機を高所へ設置すれば、混練槽反転排出式の混練機が混練槽底開放排出式のものに比べて優位である初期あるいは移設時の設備工事の経済性を損なうことになる。そのため、140°反転させる反転排出式の混練機における生産性の悪さを抱えたままで、当該混練機を導入せざるを得ないのが現状である。
【0006】
上記問題点の(2)は、密閉型混練機において、ゴム・プラスチック等の高粘度混練材料に対して混練りするために混練槽3へ投入される大量の粉末配合剤が、仕込開口部4への加圧蓋5の下降により混練室7内から押し出される空気に同伴されて、加圧蓋5の四周と混練槽3の四周の開口部壁8との間の隙間から上方へ噴出するのに対する対策を講じる必要があるという問題である。即ち、密閉加圧型混練機では、混練槽3への各種材料の投入直後に、加圧蓋5を急速に混練室へ押し込むために、上記粉末配合剤の噴出現象を避けられない。
【0007】
このような問題に対処し、混練槽3の仕込開口部4からの粉塵をその近辺に設けた外付けの集塵機で吸引して粉塵の拡散を抑止するにしても、投入した配合剤から流出した量も不正確で、集塵機で捕捉したものを混練槽3に戻しても、混練物を正確な配合処方のものにすることができず、しかも、集塵機で回収した粉末配合剤には、多段のバッチの配合処方の粉末配合剤等が混ざってしまうために、集塵したダスト(粉塵)の吸引量並びに配合剤毎の混在割合も定かならず、練りバッチへ配分して混入することはできない。
【0008】
そのため、外付け集塵機で回収した粉末配合剤は、ダストとして廃棄物にするしかないのである。この状況は、資源のロスを発生せしめるばかりでなく、粉末配合剤の一部の飛散によって厳密には配合処方通りでない混練物が出来上がり、設計品質の再現性ある量産は果たされず、品質の信頼性を損なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−313916号公報
【特許文献2】特開2006−305514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の技術的課題は、簡易な手段によって上記(1)の混練物の排出動作に時間と手数が掛かるという問題点を解決した混練槽反転排出式密閉加圧型混練機を提供することにある。
本発明の他の技術的課題は、上記(2)の問題点を解決し、投入した粉末配合剤を収容する混練槽からの粉末配合剤の噴出は抑止できないが、それを各バッチ毎に可及的に正確且つ能率的に回収できるようにした混練槽反転排出式密閉加圧型混練機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明によれば、開閉自在の加圧蓋によって上面の仕込開口部を閉鎖可能にした混練槽内に回転する2本の平行する混練ローターを備え、該混練槽を混練物の排出のために一方の混練ローターの軸線の周りにおいて反転可能にした高粘度混練材料の混練機において、上記混練槽の上部の仕込開口部の四周を囲むように、上記加圧蓋の周辺がその内面に沿って昇降する開口部壁を設け、該開口部壁における混練槽の反転側に位置する前面壁を他側に位置する開口部壁とは別体にして、該混練槽の上記反転時に該前面壁が混練槽から下方に垂下するように、該前面壁の下端を混練槽にヒンジにより回転可能に取り付け、上記混練槽を、仕込開口部が上方を向く位置から90〜120°の範囲で反転可能としていることを特徴とする混練槽反転排出式密閉加圧型混練機が提供される。
【0012】
本発明に係る混練槽反転排出式密閉加圧型混練機の好ましい実施形態においては、上記混練槽が、2本のC型をなす部分円筒を水平に対向配置して連接することにより構成され、該混練槽の上記2本の部分円筒内にそれぞれ混練ローターを配設し、両混練ローターの軸を、上記部分円筒の両端に連結されている一対の端板に軸支させて、それらを回転駆動する駆動源に接続しているものとして構成され、更に、上記開口部壁の前面壁の両側端に、隣接開口部壁を形成する混練槽の端板の前縁に係脱するクランプを備え、上記端板に支持させた駆動機構により、上記開口部壁の前面壁の下端に設けて上記ヒンジを構成する支持軸を回動可能として、上記前面壁を、上記クランプを上記端板の前縁に係合させて混練槽の仕込開口部を囲む混練位置と、上記クランプの係合を解除して混練槽の上記反転による混練物の排出のために下方に垂下する混練物排出位置とに変移可能に形成される。
【0013】
本発明に係る混練槽反転排出式密閉加圧型混練機の他の好ましい実施形態においては、上記前面壁の下端に設けて上記ヒンジを構成する支持軸を、上記端板に設けた軸受によって回転自在に支持させ、端板の軸受を通して外部に突出する支持軸の外端に、該支持軸の軸線方向と直交する方向に突出するアームを連結し、該アームの先端と上記端板に支持させた駆動機構を構成する駆動シリンダーのピストンロッドの先端とをピンにより回転自在に連結し、上記駆動シリンダーにより、上記前面壁を、仕込開口部を囲む混練位置と混練物の排出のための混練物排出位置とに変移可能に構成される。
【0014】
また、本発明に係る混練槽反転排出式密閉加圧型混練機においては、上記仕込開口部の上面を開閉する加圧蓋と共に上記混練槽の仕込開口部を覆い、昇降機構で混練槽の開口部壁周縁に圧接することにより該混練槽の仕込開口部を封止する内圧カバーを設けて、該内圧カバーに、加圧蓋を昇降駆動する支持フレーム上の流体圧シリンダー装置におけるピストンロッドを気密且つ摺動自在に貫通させ、該内圧カバーの内部空間は、該内圧カバーが混練槽の開口部壁周縁に圧接した状態において、少なくとも加圧蓋が開口部壁の上端部に達する中間停止位置まで上動可能なものとし、それにより、上記内圧カバーが混練槽の開口部壁周縁に圧接した状態において、上記加圧蓋を上記中間停止位置から下降させた際に、混練槽内から該加圧蓋の周辺を通して粉末配合剤を同伴して内圧カバー内に噴出する置換空気を、該粉末配合剤と共に内圧カバー内に留める配合剤封止機構を構成させ、上記内圧カバーと加圧蓋との間の空間に堆積した粉末配合剤をエアブローで加圧蓋周辺部に収集し、混練槽の加圧蓋の上昇による加圧蓋下方の該混練槽内の負圧化に伴って収集した粉末配合剤を混練中の混練槽内に吸引回収する回収機構を構成させる。
【0015】
その場合に、上記内圧カバーの天板に設けた排気孔に、該混練槽内の昇圧時に排出される空気に同伴して内圧カバー内に噴出する粉末配合剤を捕集するためのフィルターを内蔵した捕集装置のダクトを連結して、該内圧カバー内を上記捕集装置におけるフィルターを通して大気に連通させ、上記ダクトを前記昇降機構による内圧カバーの駆動方向に立設して、支持フレームの天板を摺動自在に貫通させ、上記捕集装置には、上記フィルターに捕集された粉末配合剤を該捕集とは逆方向の空気流によりフィルターから払い落とし、上記ダクトを通して内圧カバー内に戻す加圧空気ノズルを設け、また、上記内圧カバー内に堆積した粉末配合剤をエアブローで加圧蓋周辺部に収集するための手段として、上記加圧蓋にその上面をカバーするカバー部材を付設して、該カバー部材の上面をスロープ部とし、上記内圧カバーに、該スロープ部上に堆積した粉末配合剤をスロープ部の下流側に吹き落とす空気ノズルを設けることが望まれる。
【0016】
上記構成を有する本発明の混練槽反転排出式密閉加圧型混練機においては、混練槽からの混練物の排出時に、混練槽前面の開口部壁が下方向に垂下して混練物の落下を阻害する排出シュートとはならず、しかも、反転所要時間は90〜120°の角度範囲の反転であるために短く、バッチサイクルの短縮に寄与するばかりでなく、狹範囲の起転動作であることから大出力の駆動装置を必要とせず、電動回転方式から液圧推進方式の小型の駆動機構を選択でき、反転完了時の停止動作の衝撃吸収機構も小型化、簡素化でき、製造コストを大幅に引き下げられると共に、メンテナンスを容易ににすることができる。
【0017】
また、混練槽へ投入した後に該混練槽から噴出する粉末配合剤を、混練機の周囲の環境を改善するための外付けの集塵機に吸引させることなく、混練槽上に設けた内圧カバー内で捕捉して同一バッチ内へ回収し、そこに練り込むことを可能にした回収機構を装備させているので、品質管理的に異なるバッチの粉末配合剤が混ざることがない。これは、混練物の品質に関わる重要な機能であり、加えて、配合剤の有価回収とダスト廃棄物の低減に果たす効果も大きいものである。
【発明の効果】
【0018】
以上に詳述した本発明の混練槽反転排出式密閉加圧型混練機によれば、簡易な手段によって混練物の排出動作に時間と手数が掛かるという問題点を解決し、また、投入した粉末配合剤を収容する混練槽からの粉末配合剤の噴出は抑止できないが、それを各バッチ毎に可及的に正確且つ能率的に回収できるようにした混練槽反転排出式密閉加圧型混練機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る混練槽反転排出式密閉加圧型混練機の実施例の要部を縦断面で示す側面図である。
【図2】上記実施例における混練槽の反転機構の構成を示す要部拡大側面図である。
【図3】上記混練槽における仕込開口部の開口部前面壁の開閉機構の構成を示す斜視図である。
【図4】上記混練機に装備した内圧カバー上部の集塵フィルターの構成を示す部分断面図である。
【図5】上記混練槽が90°反転して混練槽の開口部前面壁が開放された状態を示す要部側断面図である。
【図6】上記混練槽が110°反転して混練槽の開口部前面壁が開放された状態を示す要部側断面図である。
【図7】従来の混練槽反転排出式混練機における混練槽を140°反転して混練物を排出させる状態を示す要部側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜図6は、本発明に係る混練槽反転排出式密閉加圧型混練機の実施の一例を示している。この実施例の密閉加圧型混練機は、概略的には、ベッド1上に、以下に説明する混練機の必要な要素を支持する支持フレーム2と、混練槽3とを備え、上記支持フレーム2には、混練槽3の上面の四角筒状をなす仕込開口部4を開閉しかつ混練槽3内の混練物を加圧するための加圧蓋5を、蓋加圧機構6を介して支持させている。該混練槽3は、2本のC型をなす部分円筒3aを水平に対向配置して連接し、その内部に混練室7を形成したもので、上記2本の部分円筒3a内にそれぞれ混練ローター10を配設し、それらの混練ローター10の軸11を、図3に示すように、混練槽3における上記C型の部分円筒3aの両端に連結されている一対の端板13に軸支させ、それらを回転駆動する図示省略の駆動源に接続している。
【0021】
該混練室7の上部の仕込開口部4には、その四周を囲む開口部壁8が設けられ、該開口部壁8の内面に沿って昇降することにより混練槽3の仕込開口部4を開閉する上記加圧蓋5を、混練槽3の上方に配設している蓋加圧機構6によって、昇降駆動できるようにしている。上記加圧蓋5は、粉末配合剤の混練時等においては、上記混練槽3における仕込開口部4の周囲の開口部壁8との間を封止すると共に、該混練槽3内の混練物を加圧するためのものである。また、上記加圧蓋5の蓋加圧機構6は、流体圧シリンダー装置14によって構成され、そのピストンロッド15に連結部材16を介して加圧蓋5が取り付けられている。この加圧蓋5は、上記流体圧シリンダー装置14により、図5に示す上昇位置と、図1に実線で示す中間停止位置と、図1に鎖線で示す下限位置(混練位置)とに移動保持可能にしたものである。
【0022】
上記混練槽3は、混練を完了した混練物Aを反転によりそこから排出するため、ベッド1上において、該混練槽3における一方(反転側)の混練ローター10の軸11における中心軸線の回りで、反転軸12により90〜120°の範囲で回転可能に支持させ、図2に示すように、液圧シリンダー18を駆動源として構成される混練槽反転機構を装備している。上記液圧シリンダー18は、そのピストンロッド19に対して直交する水平軸21により上記ベッド1上に支持させ、上記ピストンロッド19の先端を、混練槽3における上記反転軸12の周りから該軸12に対して直交する方向に突出させた反転レバー23の先端にピン24により回転自在に連結している。従って、上記ピストンロッド19の駆動により、混練槽3をその仕込開口部4が上方を向いた図2の実線位置と、当該位置に対して混練槽3が90°反転した同図の鎖線位置との間で回動させることができる。
【0023】
上記混練槽3の反転角度は、図2,5に示した90°反転の例に限るものではなく、図6に示すような角度範囲を含めて、一般的には、仕込開口部が上方を向く位置から90°〜120°の範囲で回転させることができる。なお、明瞭に図示していないが、混練槽3の反転の範囲はストッパにより設定している。このような角度範囲で上記液圧シリンダー18による液圧駆動の混練槽反転機構で混練槽3を反転させると、従来の電動の回転駆動機による反転機構に比して、比較的小型でありながら、動作時間を8分の1に短縮できることを実験的に確かめている。
【0024】
混練槽3の上部の四周には前記開口部壁8を連接しているが、この開口部壁8は、混練槽3における部分円筒3aの両端に連結されている一対の端板13の各上部と、一対の部分円筒3aの一方の上端から上方に延長するように連接された上部壁、及び他方の該上端から上方に延長するように配設した、ヒンジ26により回転自在の前面壁8aによって、全体として矩形筒状をなすように形成されたものである。特に、上記前面壁8aは、混練槽3の反転側に位置し、他の部位に位置する開口部壁8とは別体の可動のものとして構成し、混練槽3内において混練された混練物Aを容易に排出できるようにするため、上述した混練槽3の反転によって該槽3を図2に鎖線で示すような反転位置まで傾動させたときに、図5及び図6に明瞭に示すように、ヒンジ26において仕込開口部4の下方から下向きに垂下させるように形成している。なお、図6において鎖線で示す前面壁8aは、従来例のように、前面壁8aを垂下させない状態を示している。
【0025】
図3に示すように、上記開口部壁8の一部を形成する混練槽3の前面壁8aの両側端には、該混練槽3が図1の混練位置にある場合に、隣接開口部壁8を形成する混練槽3の端板13の前縁13aに係脱するクランプ35を備えている。また、該前面壁8aの下端に固定して上記ヒンジ26を構成する支持軸27を、上記端板13に設けた軸受28によって回転自在に支持させ、一方の端板13の軸受28を通して外部に突出する支持軸27の軸端に、該支持軸27の軸線方向と直交する方向に突出するアーム29を連結し、該アーム29の先端と、上記端板13に軸33により支持させた駆動機構を構成する駆動シリンダー30のピストンロッド31の先端とを、ピン32により回転自在に連結している。
【0026】
上記駆動シリンダー30は、図示を省略している制御装置により、前記混練槽反転機構を構成する液圧シリンダー18により混練槽3を反転させる動作と同時に、上記ピストンロッド31を推進駆動するように制御されるものであり、その駆動シリンダー30が駆動されると、先ず上記クランプ35の端板13に対する係合が解除され、それに続いて液圧シリンダー18により混練槽3が傾動すると同時に、前面壁8aが図5あるいは図6に示すように、下方に垂下する位置あるいはそれに近い位置である混練物排出位置まで開き、混練槽3内の混練物Aが混練ローター10の回転の力の助けを借りて受取容器37に排出される。
【0027】
上記混練機において、混練が終了した後に混練物Aを排出する操作は、上述したように混練槽3を90〜120°反転させるが、それが反転位置で停止した時には、上記駆動シリンダー30により前面壁8aが開放しており、この状態で混練ローター10を回転すると、混練槽3内の混練物Aが掻き出される態様で、混練槽3から直接槽外へ落ちるように排出される。混練物Aの落下位置には上記受取容器37を待機させるが、混練槽3の開放部分の大半は受取容器37に面し、その前面壁8aを除く開口部壁8が受取容器37を覆うような位置に配置されるため、作業者に混練ローター10の回転による危険性が及ぶことはない。
【0028】
なお、上記反転した混練槽3の仕込開口部4が上向きに復帰するときには、上記液圧シリンダー18及び駆動シリンダー30が上述したところと逆の動作を行うことにより、上記開口部壁8の前面壁8aが他の開口部壁8と同様に直立位置をとるようになり、その両端のクランプ35が、それに隣接して開口部壁8を形成する端板13の前縁13aに自動的に係合することにより、上記前面壁8aが混練槽3の仕込開口部4を囲む混練位置を取り、混練槽3上部が粉漏れのない密な筒形に形成される。
【0029】
図1に示すように、上記連結部材16に固定されて流体圧シリンダー装置14のピストンロッド15と平行に延びる2本のガイドロッド40は、支持フレーム2にガイドさせてその上方に突出させ、一方のガイドロッド40内には、上記加圧蓋5の内部に設けた冷却室41に冷却水を送給するための冷却水パイプ42aを挿通し、他方のガイドロッド40内に該冷却水を循環排出させる冷却水排出パイプ42bを挿通して、加圧蓋5を冷却できるようにしている。上記冷却水パイプ42a及び冷却水排出パイプ42bは、それぞれフレキシブルチューブを介して冷却水の供給源に接続されるものである。また、上記混練槽3の外周にも冷却ジャケット43を設け、図示を省略している流路を通して該ジャケット43に冷却水を循環させ、同様に冷却できるようにしている。
【0030】
図1及び図4に示すように、上記フレーム2上には、混練槽3の仕込開口部4の上面を開閉する加圧蓋5と共に上記混練槽3の仕込開口部4を覆うように配設されて、シリンダー等の昇降機構46で昇降可能にした内圧カバー45を設けている。この内圧カバー45は、その下部周縁45aを、混練槽3の開口部壁8の上縁に密着状態に圧接することにより、該混練槽3の仕込開口部4を封止するするように形成したものである。従って、該内圧カバー45が下降したときには、混練槽3の仕込開口部4及びそれを覆う加圧蓋5がカバーされ、混練槽3内に仕込んだ粉末配合剤等が外部に拡散するのを抑止することができる。
【0031】
更に具体的に説明すると、上記内圧カバー45の内部空間は、該内圧カバー45が混練槽3の開口部壁8の周縁に圧接した状態において、少なくとも上記加圧蓋5が開口部壁8の上端部に達する予練りのための中間停止位置(図1の実線位置)まで上動可能なものとし、これにより、上記内圧カバー45が混練槽3の開口部壁8の周縁に圧接した状態において、上記加圧蓋5を上記中間停止位置から下降させた際に、該加圧蓋5の周辺を通して混練槽3内から粉末配合剤を同伴して内圧カバー45内に噴出する置換空気を、該粉末配合剤と共に内圧カバー45内に留める配合剤封止機構を構成させている。
【0032】
上記内圧カバー45の昇降機構46は、図4に示すような流体圧シリンダー装置の必要数を支持フレーム2上に設けることによって構成され、そのピストンロッド46aを内圧カバー45に連結して、図5に示す上動位置と、図1に示す下降位置とに移動可能にしたものであるが、かかる構成に限るものではない。図1に示す符号48は、混練槽3に材料を投入する作業時に内圧カバー45が上限位置にあって、投入する粉末配合剤の飛散を防止できないので、開口部壁8の3方向を囲う防塵カバーである。この防塵カバー48は、支持フレーム2に軸着した防塵カバー昇降アーム48aの支軸を支点とするため、その昇降軌跡は円弧を描き、開口部壁8上の構成部材に接触せずに開閉させるようにしている。
【0033】
また、図1及び図4からわかるように、該内圧カバー45には、上記加圧蓋5を昇降駆動する流体圧シリンダー装置14のピストンロッド15、及び該加圧蓋5の昇降をガイドするガイドロッド40を、気密且つ摺動自在に貫通させている。上記加圧蓋5は、内圧カバー45と干渉しない範囲内では該内圧カバー45とは無関係に昇降させることができるが、必要に応じて、制御回路により内圧カバー45が加圧蓋5の昇降と連動し、また連動が解除できるように構成することができる。
【0034】
更に、上記内圧カバー45には、その天板45bに設けた排気孔45cに、フィルター51を内蔵した捕集装置50のダクト53の下端を連結している。この捕集装置50は、混練室7内の昇圧時に加圧蓋5の周囲から排出されるところの空気に同伴される粉末配合剤を捕集するためのもので、該内圧カバー45内を上記ダクト53により捕集装置50における円筒状フィルター51とその収容部分の外筒55との間の空間56に連通させ、該空間56の上端は円筒状フィルター51の上部を固定した隔壁板57で封鎖し、下端を封鎖した上記円筒状のフィルター51の上端の開放部は、上記隔壁板57の中心孔57a、該隔壁板57上の通気室58、及び図示を省略しているダンパを設けた排気ダクトノズル59を通して大気に開放している。
なお、上記ダクト53は、前記昇降機構46による内圧カバー45の駆動方向に立設して、支持フレーム2の天板2aにおけるシールリング2bを摺動自在に貫通させたものである。
【0035】
また、上記捕集装置50には、上記フィルター51において捕集された粉末配合剤を該捕集とは逆方向の空気流によりフィルター51から払い落とす加圧空気ノズル60を設けている。この加圧空気ノズル60は、フィルター51上に堆積した粉末配合剤を上記ダクト53から内圧カバー45内を通して混練槽3に戻し、混練物を正確な配合処方のものにすることためのものである。特に、混練槽3内における混練りが進み、混練物が昇温してきたときには、混練槽3内の空気も昇温して圧力が上昇するので、該空気が混練槽3内から粉末配合剤を同伴して内圧カバー45側へ噴出し、さらに内圧カバー45の内部圧力の上昇に伴って、その内圧カバー45内のガスが捕集装置50に流入し、そのガスに同伴された粉末配合剤がフィルター51で濾過されるが、上記捕集装置50における加圧空気ノズル60は、主としてこの濾過された粉末配合剤を内圧カバー45内を通して混練槽3に回収するためのものである。
【0036】
上記内圧カバー45内に堆積する粉末配合剤を容易に収集し、混練槽3内に戻すようにするため、上記内圧カバー45内における加圧蓋5には、その上面の連結部材16等の構造部材の全ての上面をカバーするカバー部材62を付設している。該カバー部材62の上面は、少なくとも加圧蓋5の平面形状の全体を覆うものであり、そのため内圧カバー45内に飛散した粉末配合剤は、該カバー部材62上か加圧蓋5の周辺部のいずれかに堆積することになる。そして、上記カバー部材62の上面は一方側に傾斜するスロープ部62aとし、また、該スロープ部62a上に堆積した粉末配合剤を該スロープ部62aに沿ってその流下側に吹き落とす空気ノズル63を上記内圧カバー45内の上部に設けている。そのため、該空気ノズル63からのエアブローで、内圧カバー45上に堆積した粉末配合剤を加圧蓋5の周辺部に流下させ、該粉末配合剤をそこに収集することができる。
【0037】
図1及び図4において、上記カバー部材62のスロープ部62aは、一方側に傾斜するように形成しているが、このスロープ部62aは複数方向に傾斜したものとすることができ、上記空気ノズル63は、内圧カバー45内において粉末配合剤をスロープ部62aに沿って流下させるのに適した個所に設けることになる。また、上記スロープ部62aの傾斜方向は、捕集装置50のダクト53が開口する内圧カバー45の排気孔45cの位置との関連においても考慮するのが望ましく、例えば、上記排気孔45cがスロープ部62aの流下側に位置するように構成するなど、粉末配合剤の回収を容易にするための手段を講じることができる。
【0038】
上記内圧カバー45と加圧蓋5との間の空間においては、上記空気ノズル63からのエアブローで、カバー部材62のスロープ部62a上に堆積した粉末配合剤が加圧蓋5の周辺部に収集されるが、この収集した粉末配合剤は、混練槽3の加圧蓋5の上昇に伴う該混練槽3内の負圧化に伴って混練槽3内に吸入させるので、上記加圧蓋5を上昇させる機構が加圧蓋周辺部の粉末配合剤を回収するための回収機構を構成することになる。
上記加圧蓋5の周辺部においては、加圧蓋5自体に、あるいはカバー部材62に、上記回収機構によって混練槽3に回収される粉末配合剤が容易に混練槽3に吸入される態様で一時的に収容される空所を設けておくことができる。
【0039】
なお、上記混練機においては、上記捕集装置50とは別に、外付け集塵機を設けることになるが、この集塵機は、内圧カバー45及び加圧蓋5を上昇させて混練槽3の上面の仕込開口部4を開放して粉末配合剤を投入する際に、該粉末配合剤の発塵拡散を防止するために、内圧カバー45の外側に設置される防塵カバー48の内側空間の空気を吸引するのが主目的で設置されるものである。
【0040】
次に、上記密閉加圧型混練機の動作について説明する。
上記密閉加圧型混練機において、混練槽3へ配合材料等を仕込むときには、その仕込開口部4を上方に向けた状態で、防塵カバー48により混練槽3の仕込開口部4の3方面を囲い、加圧蓋5及び内圧カバー45を図5に示す最上位まで上昇させて、混練槽3へゴム・プラスチック等の高粘度混練材料と共に粉末配合剤を投入する。この状態では、混練槽3の混練ローター10から上は配合材料を収容するホッパー部を構成し、該ホッパー部は、その上部周囲を前記開口部壁8により囲まれている。
【0041】
混練槽3へ上記高粘度混練材料と粉末配合剤を投入(仕込み)した後、図1に示すように、流体圧シリンダーからなる昇降機構46の駆動により内圧カバー45を下限位置まで降下させると共に、流体圧シリンダー装置14の駆動により加圧蓋5を中間停止位置まで降下させるが、まず、内圧カバー45の下部周縁45aを混練槽3の上縁に密着させると該内圧カバー45で混練槽3の仕込開口部4がシール部材を介して気密に封止される。更に加圧蓋5を上記中間停止位置まで下降させた状態で混練ローター10の回転を始め、粉末配合剤を予練りする。
【0042】
上記加圧蓋5を下降させると、それが仕込開口部4の開口部壁8内に進入するに伴って該加圧蓋5の進入体積が混練槽3内の空気と置換されるため、混練槽3内の空気の一部が加圧蓋5の周囲の隙間を経て内圧カバー45側に押し出され、そのとき、当然に移動空気に同伴されて粉末配合剤が内圧カバー45側へ高濃度で急速噴流入することになるが、混練槽3及び内圧カバー45内には閉鎖空間が形成されているため、移動空気中に拡散浮遊している粉末配合剤は加圧蓋5の上面側や周辺等に堆積することになる。なお、この空気の移動は、内圧カバー45と混合槽3との間での空気移動のみで、混練槽3内及び内圧カバー45内の圧力に変化はない。そのため、上記移動空気に同伴されて粉末配合剤が内圧カバー45側へ流入しても、大気圧である内圧カバー45内から外部に流出することはない。
【0043】
また、前述したように、混練槽3内における混練りが進んで混練物が昇温してくると、混練槽3内の空気も昇温し、その膨張による圧力の上昇や、混練物中の水分蒸発や有機質材料からの揮発ガスによる気体容積の膨張で、該空気やガスが混練槽3内から粉末配合剤を同伴して内圧カバー45側へ噴出し、内圧カバー45が閉鎖空間を形成していることからそれらが捕集装置50に流入し、そのガスに同伴された粉末配合剤がフィルター51で捕捉される。
【0044】
そこで、混練が適度に進行して粉末配合剤が練り込まれた段階で、上記フィルター51に捕捉された粉末配合剤を内圧カバー45内を通して混練槽3に回収するが、その回収に当たっては、まず、捕集装置50における通気室58に接続した排気ダクトノズル59におけるダンパを閉じ、ダスト払い落し用の加圧空気ノズル60から一気にパルスエアーをフィルター51の内側へ吹き込んで、フィルターの外側に捕捉されている粉末配合剤を払い落とす。それにより、払い落とされた粉末配合剤はダクト53を経て内圧カバー45内へ落下流入し、やがて沈降して加圧蓋5上のカバー部材62の上面のスロープ部62a等に堆積するので、内圧カバー45内の上部に設けている空気ノズル63からのエアブローで、加圧蓋5の周辺部に流下させてそこに収集することができる。
【0045】
加圧蓋5の周辺部に収集した粉末配合剤は、加圧蓋5を上昇せしめると、混練槽3内が負圧になると同時に内圧カバー45内の空気が圧縮されることから、加圧蓋5の周囲に混練槽3側に向かう気流が発生するので、この気流に同伴されて混練槽3内へ流下して回収され、混練中の混練物に練り込まれる。上記内圧カバー45内の空気ノズル63からのエアブローは、この時点で行ってもよい。
このようにして、混練槽3から噴出する粉末配合剤のほぼ全量を捕集装置50のフィルター51で捕捉させて混練槽3内に回収し、同一バッチへ練り込むことは、正確な配合処方通りの品質の混練物を製造するためにきわめて有効であり、品質の信頼性を高め、材料の有価回収による資源節減と、ダスト廃棄物の低減にも有効である。
【0046】
上述した混練機による混練物を混練槽3から排出する操作は、フレーム2における仕込開口部4の前面側に配置した防塵カバー48を開きつつ、混練りを終了した混練槽3上の内圧カバー45、加圧蓋5を順次上昇させ、加圧蓋5が上限に達した後、2本の混練ローター10を反噛み合い側へ低速回転させつつ、液圧シリンダー18による混練槽3の前傾反転を開始させ、同時に前記駆動シリンダー30による前面壁8aの開放を開始させることにより行われる。混練槽3が90°〜120°反転した時には、前面壁8aは図5または図6に示す垂下位置まで開放しており、この状態で混練ローター10を正及び逆回転させると、混練物Aは作業者の排出補助作業がなくても槽外へ排出される。
【0047】
上述した本発明の混練機についての試作実験では、混練りが終了して内圧カバーを上昇させたとき、加圧蓋5上のカバー部材62の上面スロープ部62aには、加圧空気ノズル60からのパルスエアーでフィルター51から払い落した粉末配合剤の堆積残りはなく、粉末配合剤は混練室内で混練りされたことが確認された。また、捕集装置50の排気ダクトノズル59から大気に放出する排気を外付け集塵機に通したが、そのフィルターや該集塵機に至るダクト内面にも粉末配合剤の捕捉形跡、粉末配合剤の付着は見られず、投入した粉末配合剤のほぼ100%が混練されたことを確認している。なお、投入した粉末配合剤の全重量と混練物重量の比較で粉末配合剤の回収率が判断できるが、混練り中に混練温度が130〜150℃に達するため、揮発成分および水分蒸発があり、0.3%程度の減量が認められた。
【0048】
また、混練物Aを混練槽3から排出する段階において、混練槽3の開口部壁8の前面壁8aを図5に示すように垂下させたとき、混練槽3を90°まで反転させて混練槽3内の2本の混練ローター10が垂直配列になった状態でも、該混練ローター10の回転によって容易に混練物を混練槽3から掻き出し、直接槽外へ落下できることが確認できている。粘調性のある混練物の排出でも、反転角度を例えば100°〜110°程度に大きくすることにより、排出速度をより速くすることができた。
【0049】
上述した本発明の混練機は、軽構造型の混練槽反転排出式混練機の弱点であった生産性の低さを、重構造型の混練槽底開放排出式混練機の能力に近付けることができるばかりでなく、従来の外付け集塵機による飛散粉末配合剤の吸引で該粉末配合剤の粉塵拡散を防止していた防塵方式に比べて、仕込み粉末配合剤を100%近く生産物内に回収して練り込み、設計品質の確保、資源の有価回収、廃棄物の大幅低減を可能にすることができる。
【0050】
また、本発明者が先に開発した特許第3129966号及び特許第4198665号の混練機は、すぐれた省エネルギー性能を備えているが、本発明に上記既特許技術を適用することにより、これからの低炭素時代のゴム・プラスチック工業に多大な貢献が期待できる高機能密閉型混練機を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
2 支持フレーム
3 混練槽
3a 部分円筒
4 仕込開口部
5 加圧蓋
8 開口部壁
8a 前面壁
10 混練ローター
11 軸
13 端板
14 流体圧シリンダー装置
15 ピストンロッド
26 ヒンジ
27 支持軸
28 軸受
29 アーム
30 駆動シリンダー
31 ピストンロッド
32 ピン
35 クランプ
45 内圧カバー
45b 天板
45c 排気孔
46 昇降機構
48 防塵カバー
48a 防塵カバー昇降アーム
50 捕集装置
51 フィルター
53 ダクト
60 加圧空気ノズル
62 カバー部材
62a スロープ部
63 空気ノズル
A 混練物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在の加圧蓋によって上面の仕込開口部を閉鎖可能にした混練槽内に回転する2本の平行する混練ローターを備え、該混練槽を混練物の排出のために一方の混練ローターの軸線の周りにおいて反転可能にした高粘度混練材料の混練機において、
上記混練槽の上部の仕込開口部の四周を囲むように、上記加圧蓋の周辺がその内面に沿って昇降する開口部壁を設け、該開口部壁における混練槽の反転側に位置する前面壁を他側に位置する開口部壁とは別体にして、該混練槽の上記反転時に該前面壁が混練槽から下方に垂下するように、該前面壁の下端を混練槽にヒンジにより回転可能に取り付け、
上記混練槽を、仕込開口部が上方を向く位置から90〜120°の範囲で反転可能としている、
ことを特徴とする混練槽反転排出式密閉加圧型混練機。
【請求項2】
上記混練槽が、2本のC型をなす部分円筒を水平に対向配置して連接することにより構成され、該混練槽の上記2本の部分円筒内にそれぞれ混練ローターを配設し、両混練ローターの軸を、上記部分円筒の両端に連結されている一対の端板に軸支させて、それらを回転駆動する駆動源に接続している、
ことを特徴とする請求項1に記載の混練槽反転排出式密閉加圧型混練機。
【請求項3】
上記開口部壁の前面壁の両側端に、隣接開口部壁を形成する混練槽の端板の前縁に係脱するクランプを備え、
上記端板に支持させた駆動機構により、上記開口部壁の前面壁の下端に設けて上記ヒンジを構成する支持軸を回動可能として、上記前面壁を、上記クランプを上記端板の前縁に係合させて混練槽の仕込開口部を囲む混練位置と、上記クランプの係合を解除して混練槽の上記反転による混練物の排出のために下方に垂下する混練物排出位置とに変移可能にした、
ことを特徴とする請求項2に記載の混練槽反転排出式密閉加圧型混練機。
【請求項4】
上記前面壁の下端に設けて上記ヒンジを構成する支持軸を、上記端板に設けた軸受によって回転自在に支持させ、端板の軸受を通して外部に突出する支持軸の外端に、該支持軸の軸線方向と直交する方向に突出するアームを連結し、該アームの先端と上記端板に支持させた駆動機構を構成する駆動シリンダーのピストンロッドの先端とをピンにより回転自在に連結し、
上記駆動シリンダーにより、上記前面壁を、仕込開口部を囲む混練位置と混練物の排出のための混練物排出位置とに変移可能にした、
ことを特徴とする請求項3に記載の混練槽反転排出式密閉加圧型混練機。
【請求項5】
上記仕込開口部の上面を開閉する加圧蓋と共に上記混練槽の仕込開口部を覆い、昇降機構で混練槽の開口部壁周縁に圧接することにより該混練槽の仕込開口部を封止する内圧カバーを設けて、該内圧カバーに、加圧蓋を昇降駆動する支持フレーム上の流体圧シリンダー装置におけるピストンロッドを気密且つ摺動自在に貫通させ、
該内圧カバーの内部空間は、該内圧カバーが混練槽の開口部壁周縁に圧接した状態において、少なくとも加圧蓋が開口部壁の上端部に達する中間停止位置まで上動可能なものとし、
それにより、上記内圧カバーが混練槽の開口部壁周縁に圧接した状態において、上記加圧蓋を上記中間停止位置から下降させた際に、混練槽内から該加圧蓋の周辺を通して粉末配合剤を同伴して内圧カバー内に噴出する置換空気を、該粉末配合剤と共に内圧カバー内に留める配合剤封止機構を構成させ、
上記内圧カバーと加圧蓋との間の空間に堆積した粉末配合剤をエアブローで加圧蓋周辺部に収集して、混練槽の加圧蓋の上昇による加圧蓋下方の該混練槽内の負圧化に伴って収集した粉末配合剤を混練中の混練槽内に吸引回収する回収機構を構成させた、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の混練槽反転排出式密閉加圧型混練機。
【請求項6】
上記内圧カバーの天板に設けた排気孔に、該混練槽内の昇圧時に排出される空気に同伴して内圧カバー内に噴出する粉末配合剤を捕集するためのフィルターを内蔵した捕集装置のダクトを連結して、該内圧カバー内を上記捕集装置におけるフィルターを通して大気に連通させ、
上記ダクトを前記昇降機構による内圧カバーの駆動方向に立設して、支持フレームの天板を摺動自在に貫通させ、
上記捕集装置には、上記フィルターに捕集された粉末配合剤を該捕集とは逆方向の空気流によりフィルターから払い落とし、上記ダクトを通して内圧カバー内に戻す加圧空気ノズルを設けた、
ことを特徴とする請求項5に記載の混練槽反転排出式密閉加圧型混練機。
【請求項7】
上記内圧カバー内に堆積した粉末配合剤をエアブローで加圧蓋周辺部に収集するための手段として、上記加圧蓋にその上面をカバーするカバー部材を付設して、該カバー部材の上面をスロープ部とし、上記内圧カバーに、該スロープ部上に堆積した粉末配合剤をスロープ部の下流側に吹き落とす空気ノズルを設けた、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の混練槽反転排出式密閉加圧型混練機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−552(P2011−552A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146699(P2009−146699)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(390040039)鈴鹿エンヂニヤリング株式会社 (6)
【Fターム(参考)】