説明

添加物入りシラス石鹸

【課題】シラスを皮膚表面の毛穴の隅々まで浸透させて効果的に肌の角質層や肌に付着した油脂を除去し、同時に石鹸添加物が有する肌への効果をシラスにより相乗的に増大させる添加物入りシラス石鹸を提供する。
【解決手段】添加物入りシラス石鹸は、石鹸添加物と、粉砕機により粉砕されて2ミクロンメートル以下に微粒化され、遠心力を利用して粒径を選別する回転式の篩により均一化された多孔質の超微粒シラスとが含有され、超微粒シラスが基質として、例えば、ポリフェノールやペニーロイヤル油などの石鹸添加物の粒子を吸着して皮膚の表面まで運送し、石鹸添加物の粒子は、水中で超微粒シラスが皮膚に接触した際に超微粒シラスから離間して皮膚の表面に定着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加物入りシラス石鹸に係り、特に、シラスが含有された石鹸に更に添加物が添加された石鹸に関する。
【背景技術】
【0002】
「シラス」とは、南九州に広く分布する白色の火山噴出物、及びそれに由来する二次堆積物の総称であり、それらは鹿児島湾周辺で広大な台地を形成している。このシラスは、ガラス質に富むことからガラス質火山砕屑物と称される。
【0003】
このシラスを電気炉で高温加熱して焼成発泡すると30〜600ミクロンメートルの中空ガラス球(バルーン)となることが見出された。この中空ガラス球は、一般的にシラスバルーンと称される。これは、シラスがその内部に水や揮発成分を有しているため、軟化温度内で急加熱するとそれらがガス化して発泡して膨張し、中空体となることによる。
【0004】
このシラスバルーンは、皮膚の角質層の除去、或いは皮膚の表層の油脂の除去に効果があることが認められ、例えば洗顔石鹸などの添加剤に使用され、略70ミクロンメートルから略10ミクロンメートルの粒径の範囲のシラスバルーンが使用される。
【0005】
一方、特許文献1には、流動層式加熱炉に火山ガラス質堆積物の微粒子を供給するまでの処理の複雑化を招くことなく、融着物や未発泡物の発生を減少させる微粒中空ガラス球状体、いわゆるシラスバルーンの製造方法が開示されている。ここでは、火山ガラス質堆積物の微粒子の親水性を減少させる親水性減少剤(シランカップリング剤、シリコーンオイル等)と前記微粒子との混合物を生成し、生成した混合物を、流動層式加熱炉を用いることによって、900℃〜1200℃で熱処理することが記載されている。
【0006】
また、石鹸添加物としてポリフェノールが知られている。ポリフェノールは植物に含まれている成分であり、例えば、緑茶に含まれるカテキン、イチョウ葉に含まれるフラボノイドなどが含まれる。これらのポリフェノールは抗酸化物質であり、例えば殺菌効果、発癌性物質の除去、ストレス抑制などの効果があることが知られている。
【0007】
さらに、植物に由来する天然精油として、例えば、ペニーロイヤル油が知られている。このペニーロイヤル油は、ハーブの一種であるペニーロイヤルの葉、種子、芽などから採取され、人体や環境への悪影響が極めて少ない油性成分である。このペニーロイヤル油は、ペニーロイヤル自身が害虫からの保護のために日常的に発散している有効成分であり、害虫の殺菌効果及び忌避効果を有する。従って、この有効成分を石鹸に添加することで害虫を寄せ付けなくする効果が生じる。その他の石鹸への添加物として、例えばレモングラスなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2562788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
シラスバルーンが洗顔石鹸などの添加剤として使用され、皮膚の角質層の除去、或いは皮膚の表層の油脂の除去に効果があることが知られている。また、シラスが石鹸などに添加された場合、その粒径がより微粒で均一化されたほうがその除去効果が高いことが知られている。しかし、シラスバルーンは、中空ガラス球状体であることから粒径は10ミクロンメートル程度が一般的であり更なる微粒化には限界がある。従って、シラスバルーンを皮膚表面の毛穴の隅々まで浸透させて効果的に肌の角質層や肌に付着した油脂をより効果的に除去することには限界であるという問題がある。
【0010】
また、一般的な石鹸添加物を石鹸に添加することは公知であるが、石鹸に添加された添加物は、単にそれ自体が肌に接触して効果を生じるだけに留まり、石鹸添加物が有する肌への効果をシラスにより相乗的に増大させることは難しいという問題がある。
【0011】
本願の目的は、かかる課題を解決し、シラスを皮膚表面の毛穴の隅々まで浸透させて効果的に肌の角質層や肌に付着した油脂を除去し、同時に石鹸添加物が有する肌への効果をシラスにより相乗的に増大させる添加物入りシラス石鹸を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る添加物入りシラス石鹸は、石鹸添加物と、粉砕機により粉砕されて微粒化し、遠心力を利用して粒径を選別する回転式の篩により均一化された多孔質の超微粒シラスとが含有され、超微粒シラスが基質として石鹸添加物の粒子を吸着して皮膚の表面まで運送し、石鹸添加物の粒子は、水中で超微粒シラスが皮膚に接触した際に超微粒シラスから離間して皮膚の表面に定着することを特徴とする。
【0013】
上記構成により、添加物入りシラス石鹸は、多孔質であることから吸着性を有する超微粒シラスが石鹸に添加された石鹸添加物の粒子をキャリアとして皮膚の表面まで運送し、水分と皮膚が接する皮膚の表面の毛穴の隅々にまで添加物を浸透させことができる。
【0014】
また、添加物入りシラス石鹸は、超微粒シラスが、2ミクロンメートル以下の粒径に微粒化され均一化されることが好ましい。これにより、シラス入り石鹸に一般的に用いられるシラスバルーンが10ミクロンメートルであるのに比べてより微粒化された超微粒シラスが、皮膚の表面の毛穴などの隅まで浸透し、効果的に肌の角質層や肌に付着した油脂を除去することができる。
【0015】
また、添加物入りシラス石鹸は、石鹸添加物には、例えば、カテキン又はフラボノイドイドなどのポリフェノールが含まれることが好ましい。これにより、例えば、カテキン又はフラボノイドなどのポリフェノールが超微粒シラスに吸着されて皮膚の表面の毛穴などの隅まで浸透し、これらの粒子が有する肌への効果をシラスにより相乗的に増大させることができる。
【0016】
さらに、添加物入りシラス石鹸は、石鹸添加物には、ペニーロイヤル油が含まれることが好ましい。これにより、例えば、ペニーロイヤル油などの油性成分が超微粒シラスに吸着されて皮膚の表面の毛穴などの隅まで浸透し、これらの油性成分が有する肌への効果をシラスにより相乗的に増大させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係る添加物入りシラス石鹸によれば、シラスを皮膚表面の毛穴の隅々まで浸透させて効果的に肌の角質層や肌に付着した油脂を除去し、同時に石鹸添加物が有する肌への効果をシラスにより相乗的に増大させる添加物入りシラス石鹸を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る添加物入りシラス石鹸の1つの実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、添加物としてポリフェノールの一種であるカテキン入りのシラス石鹸について説明する。
【0019】
石鹸に添加されるシラスは、まず原料である火山ガラス質堆積物(火山灰)を粉砕機により粉砕して2ミクロンメートル以下の粒径に微粒化する。そして、遠心力を利用して粒径を選別する回転式の篩により1ミクロンメートル程度の粒径に均一化する。「微粒シラス」と称される石鹸に添加される一般的なシラスバルーンの粒径が10ミクロンメートルであることから、上記粉砕及び篩による粒径の選別により「超微粒シラス」が得られる。
【0020】
この超微粒シラスはその表面がマイナスイオンに帯電されている。そして、超微粒シラスは、石鹸に添加されて洗顔などに使用されるとプラスイオンを帯びた皮膚表面の垢や油質を引き付け、皮膚の角質層の除去、或いは皮膚の表層の油脂の除去を行なう。
【0021】
また、超微粒シラスは多孔質であり、基質として石鹸に添加されたカテキンの粒子をその微小空孔に吸着する。そして、シラス石鹸が洗顔などに使用されると超微粒シラスはカテキンの粒子を皮膚の表面まで運送する。各超微粒シラスは、1ミクロンメートル程度の粒径であることから皮膚の表面の隅々にまで行き渡るが、同時にカテキンの粒子も超微粒シラスに吸着しながら皮膚の表面の隅々にまで行き渡ることができる。
【0022】
そして、カテキンの粒子は、水中で超微粒シラスが皮膚に接触した際に超微粒シラスから離間する。皮膚の角質層や油脂が超微粒シラスにより除去された皮膚の表面に定着し、その抗酸化作用を発揮する。すなわち、例えば、発癌物質の活性化を抑制する作用、血行を促進する作用、抗ウイルス作用などの効果を生じさせる。
【0023】
このように、2ミクロンメートル以下の粒径に微粒化され均一化された超微粒シラスは、石鹸に添加されて使用されることで皮膚の角質層や油脂の除去を効果的に行なう一方、多孔質であることから吸着性を有する超微粒シラスが石鹸に添加されたカテキンの粒子をキャリアとして皮膚の表面まで運送し、水分と皮膚が接する皮膚の表面の毛穴の隅々にまで添加されたカテキンを浸透させ、その効果を効果的に生じさせる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石鹸添加物と、粉砕機により粉砕されて微粒化し、遠心力を利用して粒径を選別する回転式の篩により均一化された多孔質の超微粒シラスとが含有され、超微粒シラスが基質として石鹸添加物の粒子を吸着して皮膚の表面まで運送し、石鹸添加物の粒子は、水中で超微粒シラスが皮膚に接触した際に超微粒シラスから離間して皮膚の表面に定着することを特徴とする添加物入りシラス石鹸。
【請求項2】
請求項1に記載の添加物入りシラス石鹸であって、超微粒シラスは、2ミクロンメートル以下の粒径に微粒化され均一化されることを特徴とする添加物入りシラス石鹸。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の添加物入りシラス石鹸であって、石鹸添加物には、ポリフェノールが含まれることを特徴とする添加物入りシラス石鹸。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の添加物入りシラス石鹸であって、ポリフェノールには、カテキン又はフラボノイドが含まれることを特徴とする添加物入りシラス石鹸。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1に記載の添加物入りシラス石鹸であって、石鹸添加物には、ペニーロイヤル油が含まれることを特徴とする添加物入りシラス石鹸。

【公開番号】特開2011−105920(P2011−105920A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274935(P2009−274935)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(592139876)株式会社日本衛生センター (15)
【Fターム(参考)】