説明

清掃具

【課題】 掃引等の取り扱いが容易であり、部屋の隅部まで清掃可能でありながら、ちりとり等を必要とすることなく、また繊維質の清掃用シートや紙資源を消費することなく、収集した塵埃を容易に排出することができる清掃具を提供する。
【解決手段】 可撓性を有する基体2に傾斜パイルからなる捕塵ブラシ212を設けるとともに、捕塵ブラシ212に当接するよう付勢された傾斜パイルからなる除塵ブラシ391を、基体2に対して相対的に上下に移動可能に構成された筐体3に設ける。捕塵ブラシ212を被清掃面に当接しつつ掃引して塵埃を捕塵ブラシ212に集めた後、筐体3を基体2に対して相対的に上下に動かすことによって、捕塵ブラシ212により集められた塵埃は除塵ブラシ61を経由して収塵室221に収容され、その後塵埃を容易に外部に排出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机、棚、絨毯、畳、フローリング、自動車の車内など特に室内の掃除に適した清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内を清掃するための用具として箒が広く用いられている。箒は安価であり、また軽量であるため持ち運びおよび掃引が容易であり、また部屋の隅部まで隈なく掃引することができるという利点がある。しかし、箒単体では塵埃を一か所に集めることはできても取り除くことはできず、塵埃を除去するためにはちりとりが必須であった。
【0003】
一方、特許文献1に記載されているような、柄の先端に繊維質の清掃用シートが備えられたモップ型の清掃具が知られている。この清掃具は掃引することによって塵埃が清掃用シート吸着されるため、ちりとりが不要であるという利点がある。しかし、一定量の塵埃が吸着されるとそれ以上の塵埃を捕集することはできず、使用し終えた清掃用シートはゴミとして廃棄する必要があることから、ゴミの総量が増えるという問題があった。。
【0004】
また、特許文献2に記載されているような、先端に粘着テープが巻回されて備えられた箒型の清掃具が知られている。この清掃具は掃引することによって塵埃が粘着テープに付着するため、ちりとりが不要であるという利点がある。しかし、塵埃を捕集し終わると粘着テープを一枚一枚剥がして捨てる必要があり、この後処理が使用者への負担となっていた。また、紙資源を多く消費し、捕集した塵埃以上のゴミを清掃具自体が排出するためゴミの総量が増えるという問題があった。また、粘着テープが清掃具の先端に固定されているため、ベッドの下など狭い空間を掃除する場合、粘着テープが周囲の物体に貼着し、スムーズに掃引することができないという問題もあった。
【0005】
また、特許文献3に記載されているような、先端に傾斜パイルからなるブラシ体が着脱可能に備えられた、モップ型の清掃具が知られている。この清掃具を掃引すると塵埃は傾斜パイルの中に集められるため、ちりとりが不要であるという利点がある。しかし、塵埃を保持する部位が傾斜パイルであるため、傾斜パイルから塵埃を取り除くために掻き落とすなどの作業が必要となり、これを頻繁に繰り返さなければならないという問題がある。
【0006】
また一方で、特許文献4に記載されているような、周囲に傾斜パイルが備えられた円筒部材を有する手動清掃具が知られている。この手動清掃具を床に押し当てて前後に動かすと塵埃は傾斜パイルを経由して容器の中に集められるため、ちりとりが不要となるという利点がある。しかし、円筒状のブラシを用いて塵埃をすくい取るため、部屋の隅に溜まる塵埃を除去することができないという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2004−49605号公報
【特許文献2】特開2001−37699号公報
【特許文献3】特開2003−10074号公報
【特許文献4】実公平4−25104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、掃引等の取り扱いが容易であり、部屋の隅部まで清掃可能でありながらも、ちりとり等を必要とすることなく、また繊維質の清掃用シートや紙資源を消費することなく、収集した塵埃を容易に排出することができる清掃具が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、鉛直面上に形成された捕塵面を備える基体と、前記基体を収容するとともに前記基体に対して鉛直方向に上下に移動可能に設けられ、さらに前記基体が出没自在に嵌挿される第1開口を下端部に有する筐体と、前記基体に対して前記筐体を上方向に向けて付勢する付勢手段とを備え、前記捕塵面が面外方向に変形可能となるよう前記基体のうち少なくとも一部が可撓性を有し、上方に向けて傾倒する傾斜パイルからなる捕塵ブラシが前記捕塵面に設けられており、上方に向けて傾倒する傾斜パイルからなる除塵ブラシが、前記筐体に保持されつつ前記捕塵ブラシに当接するよう付勢されていることを特徴とする清掃具である。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、取扱いが容易であり、捕集した塵埃が清掃具の内部に収容され、塵埃を排出するのにちりとりを必要とせず、また繊維質の清掃用シートや粘着テープを消費しない清掃具を提供することができる。具体的には、この清掃具の基体に設けられた捕塵ブラシを被清掃面に当接しつつ掃引して塵埃を捕塵ブラシに集め、その後、筐体を基体に対して相対的に上下に動かすことによって、捕塵ブラシに付着した塵埃を除塵ブラシを経由して清掃具の内部に移送し、その後、清掃具の内部に収容された塵埃を外部に排出することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記捕塵面の側に向けて開口する収塵口を有する収塵室が前記基体に設けられており、前記収塵口が前記捕塵面の上部に隣接することを特徴とする請求項1に記載の清掃具である。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、掃引して塵埃を捕塵ブラシに集めた後、筐体を基体に対して相対的に上下に動かすことによって、捕塵ブラシに付着した塵埃を除塵ブラシを経由して全て収塵室に移送することができ、収塵室内の塵埃を外部に排出する際、飛散させることなく容易に捨てることが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記収塵室と連通する排出孔が前記筐体に設けられており、前記排出孔を覆う蓋が前記筐体に開閉自在に備えられていることを特徴とする請求項2に記載の清掃具である。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、基体を筐体から分離して収塵室を露出させることなく、蓋を外して排出孔を開くことによって筐体に収容された塵埃の排出することが可能な清掃具を提供することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記基体に対して前記筐体が上下に移動する行程を規制する規制手段が、前記基体および前記筐体に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の清掃具である。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、筐体を基体に対して相対的に上下に動かす際、捕塵ブラシと除塵ブラシとを確実に当接させることにより、塵埃を清掃具の内部に確実に移送することが可能となる。また、筐体の上下方向のストロークが一定に限定されるため、使用者が格別な注意を払わずとも清掃具内部と外部とが連通するおそれがなく、塵埃の飛散を防止することが可能な清掃具を提供することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記基体の上端から鉛直方向上向きに延びる柄が設けられており、前記柄が摺動可能に貫入する第2開口が前記筐体に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の清掃具である。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、箒と同様に取り扱いが容易でありながら、捕集した塵埃が筐体の中に収容されるために塵埃を排出するのにちりとりを必要とせず、また繊維質の清掃用シートや粘着テープを消費しない清掃具を提供することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記基体に対して前記筐体が上下に移動する行程を規制する規制手段が、前記柄に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の清掃具である。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、筐体を基体に対して相対的に上下に動かす際、捕塵ブラシと除塵ブラシとを確実に当接させることにより、塵埃を清掃具の内部に確実に移送することが可能となる。また、上下方向のストロークが一定に限定されるため、使用者が格別な注意を払わずとも清掃具内部と外部とが連通するおそれがなく、塵埃の飛散を防止することが可能となる。さらに、規制手段が柄に設けられていることによって、上下方向のストロークを二段階で規制するような機能が付与された清掃具を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、取扱いが容易であり、捕集した塵埃が清掃具の内部に収容され、塵埃を排出するのにちりとりを必要とせず、また繊維質の清掃用シートや粘着テープを消費しない清掃具を提供することができる。具体的には、この清掃具の基体に設けられた捕塵ブラシを被清掃面に当接しつつ掃引して塵埃を捕塵ブラシに集め、その後、筐体を基体に対して相対的に上下に動かすことによって、捕塵ブラシに付着した塵埃を除塵ブラシを経由して清掃具の内部に移送し、その後、清掃具の内部に収容された塵埃を外部に排出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、この発明の実施の形態について図面に基づき説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る清掃具を図1〜7に示す。図1は第1の実施形態に係る清掃具を示す斜視図であり、図2は一部の部品を断面図として正面から見た部分断面正面図であり、図3は図2におけるA−A断面を示した断面側面図である。図4は第1の実施形態に係る清掃具であって、除塵ブラシがばねにより付勢され、さらに筐体と基体との摺接部に低摩擦部材が適用されているものを示す断面側面図である。図5は使用状態を示す説明図であり、図6は除塵作業を示す説明図である。また、図7は塵埃の排出作業を示す説明図である。なお以降の説明において、図2における左手を左方、右手を右方とし、図3における右手を前方、左手を後方として記述する。
【0024】
本実施形態にかかる清掃具1は、塵埃を捕集する基体2と、基体2を収容する筐体3と、基体2に対して筐体3を上方に向けて付勢するばね4とを主な構成要素とする。
【0025】
本実施形態において、基体2は下部基体21と上部基体22とからなる。下部基体21は可撓性を有し、また鉛直面上に形成された略平面状の捕塵面211を有する。下部基体21の材質には、被清掃面に沿いやすいよう、また傷めないよう軟質の材料が適しており、エラストマー、天然ゴム、シリコンゴム、ポリウレタンなどが好適に使用される。また、下部基体21は中実とせず、捕塵面211を有する平板の前方に、離散的にリブ213,・・・,213を設けることによって、可撓性とともに復元性を確保している。また、捕塵面211には、上方に向けて傾倒する短毛の傾斜パイルからなる捕塵ブラシ212が設けられている。
【0026】
上部基体22は下部基体21と連接されており、上部基体22および下部基体21それぞれの前後方向の寸法は略同一である。上部基体22は後方に開口した略箱状の形状を有することにより、内部空間として収塵室221を備え、また後方の開口が収塵口222を形成している。収塵口222は捕塵面211の上部に隣接するよう位置している。また、上部基体22の左右両側方から案内突起223が突出して設けられている。なお、上部基体22については硬質プラスチックなどの硬質の材料が好適に使用される。
【0027】
筐体3は、下面側に開口した略箱状の形状を有しており、その内部に基体2が収容されている。筐体3の下部には第1開口31が備えられており、第1開口31は、基体2が上下方向に出没可能な大きさであり、かつ基体2がしっくりと嵌る大きさに形成されている。
【0028】
図示の本実施形態では、筐体3は、上方に備えられた上方壁部36、左右側方に備えられた側方壁部37,37、前方に備えられた前方壁部38および後方に備えられた後方壁部39から構成されている。側方壁部37,37、前方壁部38および後方壁部39はそれぞれ上方壁部36から延出しており、これらの壁部に囲まれる領域が基体2を収容する空間を画成するとともに、それぞれの下端辺が第1開口31を画成している。後方壁部39の下方端部における基体2側の面には、上方に向けて傾倒する短毛の傾斜パイルからなる帯状の除塵ブラシ391が下端辺と略平行に設けられており、除塵ブラシ391は基体2の捕塵ブラシ212と当接している。図示の形態では筐体3は硬質プラスチックなどの硬質の材料によって形成されており、材料の弾性によって後方壁部39は基体2に向けて付勢されており、そのため除塵ブラシ391と捕塵ブラシ212とは所定の圧力で当接する。なお筐体3は一体に形成されていてもよく、また組み立てによって形成されていてもよい。
【0029】
筐体3の左右の側方壁部37,37の基体2に近接する面には、上下に延びる案内溝35,35が設けられており、基体2の左右側方から突出する案内突起223,223とそれぞれ係合している。案内突起223は案内溝35に案内され、規定の経路に沿って上下に摺動するため、基体2に対して筐体3を上下に移動させる間、除塵ブラシ391と捕塵ブラシ212との所定の圧力での当接が維持される。また、案内溝35の長さによって、基体2に対する筐体3の上下方向の移動量が規制される。基体2に対して筐体3が最上部に位置した場合でも、収塵口222が第1開口31から外部に露出しないよう、案内溝35の下端の位置が決められる。さらに、案内突起223が案内溝35に係合している間は基体2と筐体3とが分離することがない。
【0030】
基体2の上端23と筐体3の上方壁部36との間にはばね4が備えられ、基体2に対して筐体3が上向きに付勢力を受けるよう設けられている。そのため、筐体3に外部から力を加えていないときは、案内突起223が案内溝35の下端部に接触し、基体2の上端23と筐体3の上方壁部36とが一定の間隔で離れ、第1開口31から下部基体21が突出して捕塵ブラシ212が露出した状態で維持される。なお、本実施形態ではばね4にはコイル圧縮ばねを適用しているが、板ばねなどを使用することも可能である。また、本実施形態ではばね4を左右方向中央位置に一個設けているが、複数設けることも可能である。
【0031】
なお、図4に図示するように、筐体3の後方壁部39にブラシ基台392を回動可能に設け、ブラシ基台392の基体2に対向する面に除塵ブラシ391を設け、さらにブラシ基台392をブラシ付勢ばね393によって基体2に向け付勢することも可能である。これによって、ブラシが使用により摩耗した場合でも、除塵ブラシ391と捕塵ブラシ212との当接を確実にすることができる。ブラシ付勢ばね393にはねじりコイルばねや板ばねなどを適用することができる。また、基体2と筐体3とが摺接する箇所に低摩擦部材381を適用すると、筐体3のスムーズな上下移動を実現することができる。低摩擦部材381の材料としては、テフロン(登録商標)などが好適に用いられる。
【0032】
次に、本実施形態に係る清掃具1の使用状態について説明する。まず、第1開口31から捕塵ブラシ212が露出した状態とし、そして、図5に示すように、基体2の捕塵ブラシ212を被清掃面Sに当接させて、前方から後方へ向けて掃引する。このとき、下部基体21は可撓性を有するため、捕塵面211は面外に変形し、図5に示すように捕塵ブラシ212と被清掃面Sとが面で接触する。そして掃引を継続すると、捕塵ブラシ212によって、被清掃面Sの塵埃Dがすくい上げられて捕集される。
【0033】
捕塵ブラシ212に捕集され、付着した塵埃が一定量を超えると捕塵能力が低下する。そのため、捕塵ブラシ212から塵埃を除去する除塵作業を適宜行う必要がある。以下、図6にしたがって除塵作業について説明する。
【0034】
被清掃面を掃引した直後の清掃具1の捕塵ブラシ212には塵埃Dが付着しているが、除塵ブラシ391には塵埃Dは付着していない(図6(a)参照)。まず、筐体3に下向きの力を加え、捕塵ブラシ212が筐体3の内部に隠れるまで下方に押し下げる。この間、除塵ブラシ391が捕塵ブラシ212に摺接しながら下に移動するが、これらのブラシの間で塵埃Dの移動は起こらない(図6(b)参照)。次に筐体3に加えていた力を除荷し筐体3を上方に上げる。このとき、除塵ブラシ391が捕塵ブラシ212に摺接しながら上に移動するが、捕塵ブラシ212に付着していた塵埃Dは、除塵ブラシ391によってすくい取られ、除塵ブラシ391に付着する(図6(c)参照)。
【0035】
次に再び筐体3に下向きの力を加え、下方に押し下げる。このとき、除塵ブラシ391が捕塵ブラシ212に摺接しながら下に移動するが、除塵ブラシ391に付着していた塵埃Dは、捕塵ブラシ212によってすくい上げられ除塵ブラシ391から離脱し、収塵口222を通り収塵室221の中に収容される(図6(d)参照)。なお、筐体3の上方への移動量は案内突起223および案内溝35により規制されるため、収塵口222が外部に露出することはなく、収塵室221に収容された塵埃Dが外部に飛散することはない。
【0036】
以上のように、清掃具1を被清掃面に当接させながら掃引して、基体2に設けられた捕塵ブラシ212に塵埃を捕集し、その後筐体3を繰り返し上下に移動させることによって捕塵ブラシ212に付着した塵埃を収塵室221に移送することができる。なお、塵埃の移送は、基体2の下端を清掃面に当接させて清掃具1を鉛直に保ち、筐体3を上下に繰り返し動かすだけで、容易に行うことができる。捕塵ブラシ212から塵埃が取り除かれた後は捕塵能力が回復する。
【0037】
次に収塵室221に収容された塵埃の排出について説明する。案内突起223と案内溝35との係合を解除し、筐体3を上方に上げて収塵口222を第1開口41から露出すると、図7に示すように収塵室221と外部とが連通する。この状態で基体2を振るなどして塵埃を排出することができる。塵埃を排出した後は、基体2を筐体3に挿入し、案内突起223を案内溝35に係合させると、再び清掃作業をすることが可能となる。なお、案内突起223と案内溝35との係合の解除は、第1開口31を押し広げることなどによって行うことができる。
【0038】
ここで、図8に示すように、筐体3の後方壁部39に収塵室221と連通する排出孔33を設け、さらに排出孔33を覆う蓋34が開閉自在に設けられている形態を採用することができる。この場合、基体2と筐体3とを分離することなく、蓋34を開いて収塵室221と外部とを連通させ、収塵室221に収容された塵埃を排出することが可能となる。蓋34の構成として、係合部を設けて筐体3と係合させるもの、スライドさせて筐体3にはめ込むもの、ヒンジを介して筐体3と結合しているものなど、適宜選択することができる。
【0039】
また、基体2の後方だけでなく、前方にも収塵口(図示しない)および捕塵ブラシ(図示しない)を設けるとともに、筐体3の前方にも除塵ブラシ(図示しない)を設けることができる。これによって前後両方向に掃引可能となり、また一度の除塵作業で前後2つの捕塵ブラシから塵埃を除去することができる。さらに、基体2の下端に、下向きに突出する硬毛(図示しない)を設けることができる。これによって、部屋の隅部などに堆積した塵埃を容易に掻き出して捕集することできる。
【0040】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る清掃具を図9および10に示す。図9は第2の実施形態に係る清掃具を示す斜視図であり、図10は図9におけるB−B断面を示した断面側面図である。以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0041】
第1の実施形態は基体2に収塵室221が設けられている形態であったが、第2の実施形態は、図9に示すように、基体2が収塵室221を有さない形態である。基体2の上端23の左右両端から支持部92,92が上方に向けて突出するよう設けられており、さらに支持部92,92のそれぞれに案内突起223が設けられている。さらに、案内突起223が筐体3に設けられた案内溝35に係合しているため、基体2に対して筐体3が上下に移動可能に構成されている。この場合も第1の実施形態と同様に、基体2に対して筐体3を上下に繰り返し移動させることによって捕塵ブラシ212に付着していた塵埃を除去することができるが、塵埃の移送先は、筐体3の上方壁部36と基体2の上端23との間に形成される収塵空間91となる。なお、基体2は第1開口31にしっくりと嵌められていることから、収塵空間91は外部とは連通せず、収塵空間91に収容された塵埃が外部に飛散することはない。収容された塵埃の排出は、案内突起223と案内溝35との係合を解除し、基体2と筐体3とを分離して、収塵空間91と外部とを連通させることによって行われる。また、筐体3に排出孔(図示しない)および当該排出孔を覆う蓋(図示しない)を設けておけば、基体2と筐体3とを分離することなく塵埃を排出することが可能となる。
【0042】
また、基体2の後方だけでなく、前方にも捕塵ブラシ(図示しない)を設けるとともに、筐体3の前方にも除塵ブラシ(図示しない)を設けることができる。これによって前後両方向に掃引可能となり、また一度の除塵作業で前後2つの捕塵ブラシから塵埃を除去することができる。さらに、この実施形態においても、図4で図示されるものと同様に、ブラシ基台392、ブラシ付勢ばね393および低摩擦部材381を適用することが可能である。
【0043】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る清掃具を図11〜13に示す。図11は第3の実施形態に係る清掃具を示す斜視図であり、図12は図11におけるC−C断面を示した断面側面図である。また、図13は塵埃の排出作業を示す説明図である。以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0044】
本実施形態にかかる清掃具1は、塵埃を捕集する基体2と、基体2を収容する筐体3と、基体2に対して筐体3を上方に向けて付勢するばね4と、基体2の上端23から鉛直方向上向きに延びる柄5と、柄5の軸線に垂直方向に回動可能に設けられたストッパー6とを、主な構成要素とする。
【0045】
本実施形態において、基体2、筐体3およびばね4は第1の実施形態と基本的に同様に構成されている。ただし、基体2の上端23からは柄5が鉛直方向上向きに延設されており、また筐体3の上方壁部36には上方に突出する略円柱形の把持部361が設けられており、さらに把持部361には第2開口32が貫通して設けられ柄5が貫通している。また、把持部361の上端には、柄5の軸線に垂直な平面である上端面362が形成されている。基体2および筐体3は図1に図示した案内突起223および案内溝35を有していないが、柄5が第2開口32内を摺動することによって、第1の実施形態と同様に基体2に対して筐体3が上下に移動可能な構成となっている。この構成により、第1の実施形態と同様に、除塵ブラシ391と捕塵ブラシ212との所定の圧力での当接を維持しつつ、筐体3を基体2に対して上下に移動させることが可能となる。また、除塵作業の際には、使用者は把持部36を握って容易に筐体3を上下に動かすことができる。さらに、図示に係る実施形態では、基体2に対して筐体3を上向きに付勢するばね4を、柄5が貫通するように設けられているが、ばね4の位置、数量、および種類は適宜変更することができる。
【0046】
柄5には、柄5の軸線に垂直方向に貫通している回動軸51を中心に回動可能に設けられたストッパー6が備えられている。ストッパー6は、下端に柄5の軸線に垂直な下方当接面61と、下方当接面61を回動軸51まわりに一定の角度で回転した面と平行な上方当接面62とを備えている。下方当接面61と上方当接面62とは断面が略半円筒状の連結部64で連結されており、また連結部64の上方には上方当接面62に対して略垂直に延びる握り部63が延設されている。
【0047】
次に、本実施形態に係る清掃具1の使用状態について説明する。本実施形態に係る清掃具1は、第1の実施形態と同様の手順にて行われる。ただし、被清掃面の清掃および捕塵ブラシ212の除塵作業は、ストッパー6を回動軸51まわりに回動して、下方当接面61を柄5の軸線に垂直とした状態で行う(図12参照)。この状態では、筐体3の上方への移動が、下方当接面61と把持部361の上端面362との当接により制限されるため、使用者が格別の注意を払わずとも収塵室221が外部に露出することがなく、塵埃が飛散しないからである。第1の実施形態と同様の作用により塵埃は収塵室2に移送される(図5参照)。
【0048】
一方、収塵された塵埃を排出する作業は、ストッパー6を回動軸51まわりに回動して、握り部63を柄5の軸線と平行とした状態で可能となる。ストッパー6をこの状態にするには、柄5と握り部63とを共に握るだけでよい。この状態では、上方当接面62が柄5の軸線と垂直となる。このとき、下方当接面61と把持部361の上端面362との当接が解除され、筐体3はばね4の付勢力によりさらに上方に移動し、上端面362が上方当接面62と当接して止まる。このとき、筐体3の第1開口31から基体2の収塵口222が露出するため、塵埃を排出することが可能となる(図13参照)。
【0049】
収塵室221に収容された塵埃を排出した後、再び被清掃面の清掃に移る場合には、筐体3を下に押し下げて収塵口222を筐体3の内部に収め、ストッパー6を回動軸51まわりに回動させて下方当接面61が柄5の軸線と垂直となるようにし、下方当接面61と把持部361の上端面362とを当接させればよい。
【0050】
ここで、ストッパー6に、コイルばねやねじりばねなどの付勢手段(図示しない)を設け、下方当接面61が柄5の軸線と垂直となるように付勢力を与える構成とすれば、ストッパー6に力を加えない状態で下方当接面61が上端面362と当接可能な位置で維持されるため、除塵作業中に不意に筐体3が上方に移動して収塵口222が外部に露出して収塵室221から塵埃が飛散するというおそれがなくなり、好適である。
【0051】
なお、ストッパー6を設けない場合でも、第1の実施形態と同様に、基体2および筐体3に案内突起(図示しない)および案内溝35(図示しない)をそれぞれ設けるなど、別途の規制手段を付与することによって、筐体3の上方への移動を規制することが可能である。また、ストッパー6を設ける代わりに、柄5の中途に増径した膨出部(図示しない)を形成しておいたり、柄5にリング状の部材(図示しない)を着脱自在に設けることなどによっても、ストッパー6と同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、本実施形態についても、第2の実施形態と同様に基体2が収塵室221を有さない形態とすることができる。この場合、捕集された塵埃は基体2の上端23と筐体3の上方壁部36との間に形成された収塵空間(図示しない)に収容されることになる。さらに、この実施形態においても、図4で図示されるものと同様に、ブラシ基台392、ブラシ付勢ばね393および低摩擦部材381を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態における清掃具を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における清掃具を示す部分断面正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における清掃具を示す断面側面図ある。
【図4】本発明の第1の実施形態における清掃具であって、除塵ブラシがばねによって付勢され、筐体と基体との摺接部に低摩擦部材が適用されたものを示す断面側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における清掃具の使用状態を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における清掃具の除塵作業の手順を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における清掃具の塵埃の排出の手順を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における清掃具であって排出孔および蓋をを備えたものを示す断面側面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における清掃具を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における清掃具を示す断面側面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態における清掃具を示す斜視図である。
【図12】本発明の第3の実施形態における清掃具を示す断面側面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態における清掃具の塵埃の排出の手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 清掃具
2 基体
211 捕塵面
212 捕塵ブラシ
221 収塵室
222 収塵口
223 案内突起
3 筐体
31 第1開口
32 第2開口
33 排出孔
34 蓋
35 案内溝
391 除塵ブラシ
4 ばね
5 柄
6 ストッパー
S 被清掃面
D 塵埃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直面上に形成された捕塵面を備える基体と、
前記基体を収容するとともに前記基体に対して鉛直方向に上下に移動可能に設けられ、さらに前記基体が出没自在に嵌挿される第1開口を下端部に有する筐体と、
前記基体に対して前記筐体を上方向に向けて付勢する付勢手段とを備え、
前記捕塵面が面外方向に変形可能となるよう前記基体のうち少なくとも一部が可撓性を有し、
上方に向けて傾倒する傾斜パイルからなる捕塵ブラシが前記捕塵面に設けられており、
上方に向けて傾倒する傾斜パイルからなる除塵ブラシが、前記筐体に保持されつつ前記捕塵ブラシに当接するよう付勢されている
ことを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記捕塵面の側に向けて開口する収塵口を有する収塵室が前記基体に設けられており、
前記収塵口が前記捕塵面の上部に隣接する
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記収塵室と連通する排出孔が前記筐体に設けられており、
前記排出孔を覆う蓋が前記筐体に開閉自在に備えられている
ことを特徴とする請求項2に記載の清掃具。
【請求項4】
前記基体に対して前記筐体が上下に移動する行程を規制する規制手段が、前記基体および前記筐体に設けられている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の清掃具。
【請求項5】
前記基体の上端から鉛直方向上向きに延びる柄が設けられており、
前記柄が摺動可能に貫入する第2開口が前記筐体に設けられている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の清掃具。
【請求項6】
前記基体に対して前記筐体が上下に移動する行程を規制する規制手段が、前記柄に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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