説明

清掃構造、画像形成装置

【課題】像保持体の表面から掻き落とされたトナーが帯電器に設けられた放電電極に付着するのを抑制することができる清掃構造、及び画像形成装置を得る。
【解決手段】ロアシール110とサイドシール124との重なり部Kにおけるロアシール110の像保持体62の表面に対する接触圧力が、他の一般部と比べて高くなっている。これにより、この重なり部Kで像保持体62の表面から残留トナーの一部が掻き落とされて下方へ落下する。しかし、遮断壁128の回転軸方向の内側に端部128Aは、重なり部Kよりも回転軸方向の内側に配置されている。これにより、重なり部Kで下方に落下したトナーが、シールドケース116内に浸入するのが抑制されるため、トナーが放電ワイヤ114に付着するのが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃構造、及び画像形成装置着に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置には、帯電器が設けられている。さらに、この帯電器は、長尺状の放電線(放電電極)と、この放電線が内部に配置され像保持体に向いた開口部を有する箱状の筐体と、を備えている。
【0003】
そして、この筐体の開口部には、機内を浮遊したトナーが放電線に付着するのを防止するために、開口部の両側を遮断する遮断部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−30072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、像保持体の表面から掻き落とされたトナーが帯電器に設けられた放電電極に付着するのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る清掃構造は、回転しながら表面にトナー画像が形成される像保持体の表面に端部が当って前記像保持体の表面に残留した残留トナーを掻き落とす清掃部材と、前記清掃部材の下方で前記像保持体の回転軸方向に延びて配置され、先端部が前記像保持体の表面に接触すると共に、基端部が前記清掃部材によって掻き落とされたトナーを回収する第1筐体に支持され、前記清掃部材によって掻き落とされたトナーが下方に落下するのを抑制する接触部材と、前記回転軸方向において、前記接触部材の両端部と重なるように前記板部部材の両端側に設けられ、前記第1筐体と前記接触部材との間から前記清掃部材によって掻き落とされたトナーが漏れ出すのを抑制する弾性変形可能な弾性部材と、前記接触部材の下方に配置され、前記像保持体に向いた開口部を有する箱状の第2筐体を備えると共に、前記第2筐体の内部に配置された放電電極が設けられ、前記放電電極に電圧を印加して前記像保持体の表面の帯電電位を調整する帯電器と、前記帯電器の前記第2筐体に設けられ、前記接触部材と前記弾性部材とが重なる重なり部よりも前記回転軸方向の内側に端部が配置されると共に、前記第2筐体の前記開口部の前記回転軸方向の両端側を閉塞する閉塞部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る清掃構造は、請求項1に記載において、前記帯電器の前記第2筐体の底板には、前記回転軸方向において、前記閉塞部材よりも内側に配置されると共に、前記底板の表裏を貫通する貫通孔が形成され、前記第2筐体の開口部から前記第2筐体の内部に空気を取り入れ、前記放電電極を放電させることで生じた放電生成物を前記貫通孔を通して外部に排出するように空気流を発生させる空気流発生部材が設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る清掃構造は、請求項1又は2に記載において、前記帯電器に設けられた前記放電電極は、前記回転軸方向に延びる長尺状の放電電線であって、前記第2筐体には、前記放電電線の両端側を支持する支持部材が設けられ、前記支持部材によって前記放電電線が支持される支持部は、前記回転軸方向において、前記清掃部材よりも外側に配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載された清掃構造と、回転しながら表面にトナー画像が形成され、前記清掃構造により表面に残留した残留トナーが清掃される像保持体と、を備え、前記清掃構造に設けられた帯電器は、前記清掃構造に設けられた清掃部材に対して、前記像保持体の回転方向の上流側に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1の清掃構造によれば、閉塞部材の端部が接触部材と弾性部材との重なり部よりも回転軸方向の外側に配置される場合と比して、像保持体の表面から掻き落とされたトナーが帯電器に設けられた放電電極に付着するのを抑制することができる。
【0011】
本発明の請求項2の清掃構造によれば、第2筐体に設けられた通過孔が、回転軸方向において、閉塞部材より外側に設けられる場合と比して、像保持体の表面から掻き落とされたトナーが帯電器に設けられた放電電極に付着するのを抑制することができる。
【0012】
本発明の請求項3の清掃構造によれば、放電電線を支持する支持部材が、回転軸方向において、清掃部材よりも内側に配置される場合と比して、像保持体の表面から掻き落とされたトナーが、支持部で支持される部分の放電電線に付着するのを抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項4の画像形成装置によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載された清掃構造を備えていない場合と比して、像保持体の帯電不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る清掃構造を示した正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る清掃構造に採用された調整帯電器の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る清掃構造を示した拡大側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る清掃構造を示した側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る清掃構造に採用された調整帯電器の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る清掃構造に採用された調整帯電器の斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る清掃構造に採用されたクリーニング装置のロアシール及びサイドシール等を示した斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された清掃構造及び現像器等を示した側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態の清掃構造及び画像形成装置の一例について図1〜図9に従って説明する。
【0016】
(全体構成)
図9に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置10は、上下方向(矢印V方向)の下側から上側へ向けて、記録媒体としてのシート部材Pが収容される収容部12と、収容部12の上に設けられ収容部12から供給されるシート部材Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向(矢印V方向)を単に上下方向と、水平方向(図9に示す矢印H方向)を単に水平方向と記載する。
【0017】
収容部12には、サイズの異なるシート部材Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。さらに、第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容されたシート部材Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられている。そして、搬送路28において送り出しロール32に対してシート部材Pの搬送方向の下流側(以下単に搬送方向下流側と言う)には、シート部材Pを一枚ずつ搬送する搬送ロール34及び搬送ロール36がそれぞれ設けられている。また、搬送路28において搬送ロール36に対して搬送方向下流側には、シート部材Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングでシート部材Pを後述する二次転写位置(図8参照)へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0018】
さらに、画像形成部14の下側に設けられた搬送路28の下流側部分は、画像形成装置10の正面視において、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。また、搬送路28には、シート部材Pの両面に画像形成を行うためにシート部材Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0019】
この両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から収容部12の右側まで上下方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送されたシート部材Pの後端が進入するとともに水平方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0020】
この第1切替部材31は断面三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、シート部材Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は断面三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、シート部材Pの搬送方向を切り替えるようになっている。
【0021】
なお、搬送部37における搬送方向下流側の端部は、搬送路28に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側の壁面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38の手前までが接続されている。
【0022】
一方、画像形成装置10の上側に設けられた原稿読取部16には、読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。
【0023】
この原稿搬送装置52は、搬送ロール53が複数配置された自動搬送路55を有しており、自動搬送路55の一部はシート部材Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は水平方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0024】
さらに、原稿読取部16の下側に設けられた画像形成部14は、画像形成装置10の装置本体10Aの中央にトナー画像が表面に形成されて保持する円筒状の像保持体62が設けられている。像保持体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図示の時計回り方向)に回転すると共に、光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、像保持体62の上方で且つ像保持体62の表面と対向する位置には、像保持体62の表面を帯電するスコロトロン方式の帯電部材64が設けられている。
【0025】
さらに、像保持体62の回転方向における帯電部材64よりも下流側でかつ像保持体62の表面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、LED(Light Emitting Diode)で構成されており、帯電部材64により帯電した像保持体62の表面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置66はLED方式に限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。
【0026】
また、像保持体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、像保持体62の表面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる回転切り替え式の現像装置70が設けられている。
【0027】
図8に示されるように、現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されている。そして、回転手段であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、像保持体62の表面と対向するようになっている。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0028】
現像器72Yは、本体となるケース部材76を有しており、ケース部材76内にトナーカートリッジ78Y(図9参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。また、ケース部材76には、像保持体62の表面と対向して矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、表面が像保持体62の表面と対向する現像ロール74が設けられている。さらに、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
【0029】
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bとで構成されており、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されると共に、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの表面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの表面の現像剤層は、像保持体62に対向する位置に搬送され、像保持体62の表面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行う。
【0030】
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送オーガ77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送オーガ77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が像保持体62の表面と対向するようになっている。
【0031】
さらに、像保持体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり、かつ像保持体62の下側には、像保持体62の表面に形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト68が設けられている。この中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図示の反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0032】
また、中間転写ベルト68を挟んで像保持体62の反対側には、像保持体62の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、像保持体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている像保持体62との電位差で像保持体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0033】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像をシート部材Pに二次転写させる二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間がシート部材Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は接地されており、図示しない電源から軸にバイアス印加された補助ロール69と、接地された二次転写ロール71との電位差で、中間転写ベルト68のトナー画像をシート部材Pに二次転写するようになっている。
【0034】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを掻き落とすブレード100Aを備えたクリーニング装置100が設けられている。
【0035】
さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0036】
また、像保持体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、像保持体62の表面の帯電電位をマイナス側に帯電させて調整するコロトロン式の帯電器の一例としての調整帯電器86が設けられている。さらに、像保持体62の回転方向で調整帯電器86よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに像保持体62の表面に残留した残留トナー等を清掃する清掃装置の一例としてのクリーニング装置73が設けられている。なお、調整帯電器86とクリーニング装置73とを含んで清掃構造98を構成する。この清掃構造98については詳細を後述する。
【0037】
さらに、像保持体62の回転方向でクリーニング装置73の下流側(帯電部材64よりも上流側)には、像保持体62の表面に光を照射して除電を行う除電装置75が設けられている。
【0038】
一方、図9に示されるように、二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、前述の搬送路28の途中に設定されており、搬送路28におけるシート部材Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写されたシート部材Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。
【0039】
定着装置80は、シート部材Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置されシート部材Pを加熱ロール82の表面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28におけるシート部材Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けてシート部材Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0040】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fを未使用とした場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0041】
以上の構成により、図9に示されるように、画像形成装置10を作動させると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図3参照)が像保持体62の表面と対向するように回転し保持されている。また、クリーニング装置100のブレード100A及び二次転写ロール71は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写されるまで、中間転写ベルト68の表面から離されている。
【0042】
続いて、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電部材64により帯電された像保持体62の表面を露光する。そして、例えば、像保持体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、像保持体62の表面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、像保持体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0043】
続いて、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが像保持体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、像保持体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、黒(K)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。中間転写ベルト68に対してトナー画像の転写が終了すると、クリーニング装置100のブレード100A及び二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面へ接する。
【0044】
一方、収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきたシート部材Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきたシート部材P上に二次転写ロール71によって二次転写される。さらに、中間転写ベルト68の表面に付着した残留トナーがブレード100Aで中間転写ベルト68から掻き落とされて回収される。
【0045】
続いて、トナー画像が転写されたシート部材Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることでシート部材Pに定着される。さらに、トナー画像が定着されたシート部材Pは、一例として、排紙部15に排出される。なお、シート部材Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、シート部材Pを矢印−V方向に沿って反転部33に送り込むと共に矢印+V方向に沿って送り出すことで、シート部材Pの先端と後端を入れ替える。そして、シート部材Pを両面搬送路29によって矢印B方向(図示の左方向)に搬送し、さらに搬送路28に送り込んで、シート部材Pの裏面の画像形成及び定着を表面と同様に行う。
【0046】
(要部構成)
次ぎに、清掃構造98に設けられた調整帯電器86及びクリーニング装置73について説明する。
【0047】
図4に示されるように、像保持体62に対向して設けられたクリーニング装置73には、中間転写ベルト68に一次転写されずに像保持体62の表面に残留した残留トナーに接して残留トナーを掻き乱す回転ブラシ102が設けられている。この回転ブラシ102は、クリーニング装置73を構成する箱状の第1筐体の一例としての筐体106に回転自在に支持されている。
【0048】
さらに、クリーニング装置73には、先端部が像保持体62の表面に接し、基端部が筐体106に固定される板状の清掃部材の一例としてのブレード104が回転ブラシ102の上側(像保持体62の回転方向の下流側)に設けられている。そして、このブレード104が、回転ブラシ102によって掻き乱された残留トナーを像保持体62の表面から掻き落とすようになっている。
【0049】
また、筐体106の内部には、ブレード104によって掻き落とされて筐体106の内部に回収されたトナーを、回転しながら外部へ搬送する搬送オーガ108が設けられている。さらに、回転ブラシ102の下側には、基端部が筐体106に固定され、先端部が像保持体62の表面に接触する板状の接触部材の一例としてのロアシール110が、像保持体62の回転軸方向(以下単に回転軸方向と言う)に延びて設けられている。そして、このロアシール110は、筐体106の内部に回収されたトナーが外部へ放出されるのを抑制するようになっている。
【0050】
また、図7に示されるように、回転軸方向において、ロアシール110の両端側には、ロアシール110の両端部と重なるように弾性変形可能な弾性部材の一例としてのサイドシール124が設けられている。そして、このサイドシール124が、筐体106とロアシール110との間からブレード104(図3参照)によって掻き落とされたトナーが回転軸方向の外側に漏れ出すのを抑制するようになっている。
【0051】
つまり、クリーニング装置73は、回転ブラシ102、ブレード104、筐体106、搬送オーガ108、ロアシール110、及びサイドシール124を含んで構成されている。
【0052】
さらに、図3、図4に示されるように、このクリーニング装置73の下側には、像保持体62の表面の帯電電位をマイナス側に帯電させて調整するコロトロン式の調整帯電器86が設けられている。
【0053】
詳細には、この調整帯電器86には、像保持体62の回転軸方向に延びる放電電極・放電電線の一例としての放電ワイヤ114が設けられている。さらに、この放電ワイヤ114を内部に収容する共に、像保持体62の表面に向いた開口部126を有する箱状の第2筐体の一例としてのシールドケース116が設けられている。そして、このシールドケース116は、電荷を逃がすように接地されている。
【0054】
また、図2に示されるように、シールドケース116には、放電ワイヤ114の両端側の周面と当って放電ワイヤ114を支持する支持部材130が設けられている。さらに、放電ワイヤ114の両端部は、基端部がシールドケース116に固定された引張りコイルスプリング132の先端部と固定され、これにより、放電ワイヤ114に張力が付与されるようになっている。また、図1に示されるように、支持部材130によって放電ワイヤ114が支持される支持部Jは、回転軸方向(図1に示す矢印G方向)において、ブレード104よりも外側に配置されている。なお、本実施形態では、引張りコイルスプリング132を放電ワイヤ114の両側に設けたが片側だけに設けてもよい。この構成により、放電ワイヤ114に高電圧を印加することでコロナ放電を生じさせ、像保持体62の表面をマイナス側に帯電させるようになっている。
【0055】
また、図1、図5に示されるように、回転軸方向において、シールドケース116の開口部126の両端側を閉塞するように閉塞部材の一例としての遮断壁128が設けられている。そして、この遮断壁128の回転軸方向の内側の端部128Aは、ロアシール110とサイドシール124との重なり部K(図1に示すK範囲)よりも回転軸方向の内側に配置されている。詳細には、重なり部Kにおける像保持体62への接触圧が高い部分よりも回転軸方向の内側に、遮断壁128の端部128Aが配置されている。なお、像保持体62の径方向から見て、遮断壁128から露出した放電ワイヤ114の範囲は、像保持体62の表面にトナー画像が形成される形成領域と同等又はそれ以上とされている。
【0056】
また、図1、図3、図6に示されるように、シールドケース116の底壁116A(図3で示す左側の壁)には、底壁116Aの表裏を貫通する貫通孔118が回転軸方向に沿って複数個形成されている。そして、この貫通孔118は、回転軸方向において、前述した遮断壁128より内側に形成されている。
【0057】
一方、図4に示されるように、調整帯電器86を挟んで像保持体62の反対側には、放電ワイヤ114をコロナ放電させることで生じた放電生成物を貫通孔118を通して外部へ排出する空気流発生部材の一例としての吸込みファン120が設けられている。さらに、この吸込みファン120には、放電生成物を外部へ導くダクト122の一端側が取り付けられている。
【0058】
この構成により、吸込みファン120を稼働させると、調整帯電器86と対向する部分の像保持体62の表面側の空気が、シールドケース116の開口部126からシールドケース116の内部に入り込み、貫通孔118を介してシールドケース116の内部からダクト122に流れるようになっている。そして、この空気流によって、放電ワイヤ114をコロナ放電させることで生じた放電生成物は、ダクト122内を通ってフィルタ(図示省略)で捕獲されるようになっている。
【0059】
(作用)
次ぎに、クリーニング装置73と調整帯電器86とを含んで構成される清掃構造98の作用について説明する。
【0060】
図4に示されるように、+R方向に回転する像保持体62の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。中間転写ベルト68にトナー画像が転写された後の像保持体62の表面は、調整帯電器86と対向する位置を通過する。調整帯電器86の放電ワイヤ114に高電圧を印加することでコロナ放電が生じ、調整帯電器86と対向する位置を通過した像保持体62の表面の帯電電位がマイナス側に帯電する。
【0061】
また、吸込みファン120を稼働させると、調整帯電器86と対向する部分の像保持体62の表面側の空気が、シールドケース116の開口部126からシールドケース116の内部に入り込み、貫通孔118を介してダクト122に流れる。そして、この空気流によって、放電ワイヤ114をコロナ放電させることで生じた放電生成物は、ダクト122内を通ってフィルタ(図示省略)で捕獲される。
【0062】
一方、中間転写ベルト68に転写されずに像保持体62の表面に残留した残留トナーは、像保持体62の表面に保持された状態で、像保持体62の回転方向の下流側に搬送される。像保持体62の回転方向の下流側に搬送される残留トナーは、調整帯電器86と対向する位置を通過した後、クリーニング装置73に備えられたロアシール110と像保持体62の表面との間を通って回転する回転ブラシ102と接して掻き乱される。
【0063】
ここで、図1、図7に示されるように、ロアシール110の両端側には、トナーが回転軸方向の外側に漏れ出すのを抑制するためのサイドシール124が、ロアシール110の両端部と重なるように設けられている。このため、ロアシール110とサイドシール124との重なり部K(図1参照)におけるロアシール110の像保持体62の表面に対する接触圧力が、他の一般部と比べて高くなっている。これにより、重なり部Kにおいて、ロアシール110と像保持体62との間を通過しようとする残留トナーの一部は、この重なり部Kで像保持体62の表面から掻き落とされて下方へ落下する。
【0064】
しかし、図1に示されるように、遮断壁128の回転軸方向の内側に端部128Aは、ロアシール110とサイドシール124との重なり部Kよりも回転軸方向の内側に配置されている。これにより、重なり部Kで下方に落下したトナーが、シールドケース116内に浸入するのが抑制されるため、トナーが放電ワイヤ114に付着するのが抑制される。
【0065】
また、ロアシール110と像保持体62の表面との間を通過して回転する回転ブラシ102と接して掻き乱された残留トナーは、先端部が像保持体62の表面に接するブレード104によって像保持体62の表面から掻き落とされる。
【0066】
そして、像保持体62の表面から掻き落とされて筐体106の内部に回収されたトナーのほとんどは、搬送オーガ108によって外部へ搬送される。一方、像保持体62の表面から掻き落とされたトナーの一部は、ロアシール110の先端部と像保持体62の表面との間をすり抜けて調整帯電器86の開口部126に向けて落下する。
【0067】
ここで、支持部材130によって放電ワイヤ114の両端側が支持される支持部Jは、回転軸方向において、ブレード104よりも外側に配置される。このため、ブレード104によって像保持体62の表面から掻き落とされたトナーが、ロアシール110の先端部と像保持体62の表面との間をすり抜けて調整帯電器86の開口部126に向けて落下しても、落下したトナーが、支持部材130で支持される部分の放電ワイヤ114に付着するのが抑制される。支持部材130で支持される部分の放電ワイヤ114に生じる応力は他の部位に比べて高くなっている。この応力が高くなった放電ワイヤ114の部分にトナーが付着するのを抑制することで、放電ワイヤ114が劣化するのが効果的に抑制される。
【0068】
また、前述したように、吸込みファンを稼働させることで放電生成物を外部に排出するための空気流が通過するシールドケース116の貫通孔118は、回転軸方向において、遮断壁128より内側に配置されている。このため、ロアシール110の先端部と像保持体62の表面との間をすり抜けてシールドケース116の開口部126に達したトナーは、前述した空気流にのってシールドケース116の開口部126からシールドケース116の内部に入り込み、貫通孔118を通ってダクト122内に流れ込む。そこで、貫通孔118が、回転軸方向において、遮断壁128より内側に配置されているため、遮断壁128の裏面にトナーが回り込むのが抑制される。すなわち、遮断壁128の裏面に配置される放電ワイヤ114にトナーが付着するのが抑制される。なお、吸込みファンを稼働させない場合であっても、空気は、シールドケース116の開口部126と貫通孔118との間で流れるため、同様の作用を奏する。
【0069】
また、放電ワイヤ114にトナーが付着するのが抑制されることで、放電ワイヤ114が劣化するのが抑制される。
【0070】
また、放電ワイヤ114の劣化が抑制されることで、放電ワイヤ114の放電不良が抑制されるため、像保持体62の帯電不良が抑制され、出力画像の品質が低下するのが抑制される。
【符号の説明】
【0071】
10 画像形成装置
62 像保持体
73 クリーニング装置(清掃装置)
86 調整帯電器
98 清掃構造
104 ブレード(清掃部材)
106 筐体(第1筐体)
110 ロアシール(接触部材)
114 放電ワイヤ(放電電極、放電電線)
116 シールドケース(第2筐体)
116A 底壁(底板)
118 貫通孔
120 吸込みファン(空気流発生部材)
124 サイドシール(弾性部材)
126 開口部
128 遮断壁(閉塞部材)
128A 端部
130 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら表面にトナー画像が形成される像保持体の表面に端部が当って前記像保持体の表面に残留した残留トナーを掻き落とす清掃部材と、
前記清掃部材の下方で前記像保持体の回転軸方向に延びて配置され、先端部が前記像保持体の表面に接触すると共に、基端部が前記清掃部材によって掻き落とされたトナーを回収する第1筐体に支持され、前記清掃部材によって掻き落とされたトナーが下方に落下するのを抑制する接触部材と、
前記回転軸方向において、前記接触部材の両端部と重なるように前記板部部材の両端側に設けられ、前記第1筐体と前記接触部材との間から前記清掃部材によって掻き落とされたトナーが漏れ出すのを抑制する弾性変形可能な弾性部材と、
前記接触部材の下方に配置され、前記像保持体に向いた開口部を有する箱状の第2筐体を備えると共に、前記第2筐体の内部に配置された放電電極が設けられ、前記放電電極に電圧を印加して前記像保持体の表面の帯電電位を調整する帯電器と、
前記帯電器の前記第2筐体に設けられ、前記接触部材と前記弾性部材とが重なる重なり部よりも前記回転軸方向の内側に端部が配置されると共に、前記第2筐体の前記開口部の前記回転軸方向の両端側を閉塞する閉塞部材と、
を備える清掃構造。
【請求項2】
前記帯電器の前記第2筐体の底板には、前記回転軸方向において、前記閉塞部材よりも内側に配置されると共に、前記底板の表裏を貫通する貫通孔が形成され、
前記第2筐体の開口部から前記第2筐体の内部に空気を取り入れ、前記放電電極を放電させることで生じた放電生成物を前記貫通孔を通して外部に排出するように空気流を発生させる空気流発生部材が設けられる請求項1に記載の清掃構造。
【請求項3】
前記帯電器に設けられた前記放電電極は、前記回転軸方向に延びる長尺状の放電電線であって、
前記第2筐体には、前記放電電線の両端側を支持する支持部材が設けられ、
前記支持部材によって前記放電電線が支持される支持部は、前記回転軸方向において、前記清掃部材よりも外側に配置される請求項1又は2に記載の清掃構造。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載された清掃構造と、
回転しながら表面にトナー画像が形成され、前記清掃構造により表面に残留した残留トナーが清掃される像保持体と、を備え、
前記清掃構造に設けられた帯電器は、前記清掃構造に設けられた清掃部材に対して、前記像保持体の回転方向の上流側に設けられる画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−3010(P2012−3010A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137383(P2010−137383)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】