清掃装置、帯電装置及び画像形成装置
【課題】放電電極に損傷が発生することを抑制でき、かつ、容易に製造可能な清掃装置、帯電装置及び画像形成装置を提供することである。
【解決手段】放電電極13は、像担持体を帯電させ、x軸方向に長手方向を有している鋸歯状の電極である。清掃装置20は、放電電極13を清掃し、放電電極13を挟む研磨シート26a,26bを有している。研磨シート26a,26bは、放電電極13に対してx軸方向に移動させられる。また、研磨シート26a,26bの移動方向側に位置している研磨シート26a,26bの側面A1は、突起13aが突出している方向において、前記移動方向と90度より大きな角をなしている。
【解決手段】放電電極13は、像担持体を帯電させ、x軸方向に長手方向を有している鋸歯状の電極である。清掃装置20は、放電電極13を清掃し、放電電極13を挟む研磨シート26a,26bを有している。研磨シート26a,26bは、放電電極13に対してx軸方向に移動させられる。また、研磨シート26a,26bの移動方向側に位置している研磨シート26a,26bの側面A1は、突起13aが突出している方向において、前記移動方向と90度より大きな角をなしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置、帯電装置及び画像形成装置、特に、像担持体を帯電させる放電電極の清掃装置、帯電装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の清掃装置としては、例えば、特許文献1に記載の清掃具が知られている。図12は、清掃具500の構成図である。
【0003】
清掃具500は、図12に示すように、パッド支持体533及び清掃パッド534a,534bを備えている。パッド支持体533は、清掃パッド534a,534bを対向させた状態で保持している。清掃パッド534a,534bはそれぞれ、基材550、研磨層551及び阻止層552により構成されている。基材550は、研磨層551及び阻止層552が設けられる弾性部材であり、パッド支持体533に取り付けられている。阻止層552は、不織布等であり、基材550の表面に設けられている。研磨層551は、研磨部材であり、阻止層552の表面に設けられている。
【0004】
以上のような清掃具500は、清掃パッド534a,534bにより帯電線528を挟み込んだ状態で、帯電線528が延在している方向に移動することにより、帯電線528に付着した放電生成物を除去する。
【0005】
ところで、清掃具500では、帯電線528が研磨層551により大きく削られることを防止できる。具体的には、清掃具500は、1〜2センチメートル程度と比較的に小さな部品であるので、帯電器に精度よく取り付けることが困難である。そのため、清掃具500は、研磨層551が矢印の方向に僅かに傾いた状態で、帯電器に対して取り付けられることがある。この場合、研磨層551のいずれか一方は、帯電線528が延在している方向の端部において、帯電線528に対して強く接触し、帯電線528を削ってしまう。
【0006】
そこで、清掃具500は、研磨層551の両端が開いた構造を有している。これにより、研磨層551は、帯電線528が延在している方向の端部において角を有しなくなる。そのため、研磨層551が矢印の方向に僅かに傾いた状態で清掃具500が帯電器に対して取り付けられたとしても、研磨層551のいずれか一方が帯電線528を削ることが軽減される。
【0007】
しかしながら、清掃具500では、両端が開くように研磨層551を加工することが困難である。より詳細には、清掃具500は、1〜2センチメートル程度と比較的に小さな部品である。このように小さな清掃具500に設けられている研磨層551を、図12に示すように、精度よく折り曲げ加工することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−156943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、放電電極に損傷が発生することを抑制でき、かつ、容易に製造可能な清掃装置、帯電装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係る清掃装置は、像担持体を帯電させる放電電極であって、所定方向に長手方向を有している鋸歯状の放電電極を清掃する清掃装置において、前記放電電極をそれぞれの主面によって挟んでいる第1の研磨部材及び第2の研磨部材、を備え、前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材は、前記放電電極に対して前記所定方向に移動させられ、前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材の移動方向側に位置している該第1の研磨部材及び該第2の研磨部材の側面は、前記放電電極の歯が突出している方向において、該移動方向と90度より大きな角をなしていること、を特徴とする。
【0011】
本発明の一形態に係る帯電装置は、像担持体を帯電させる放電電極であって、所定方向に長手方向を有している放電電極と、前記清掃装置と、を備えていること、を特徴とする。
【0012】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、前記帯電装置を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、放電電極に損傷を与えることなく、かつ、清掃装置、帯電装置及び画像形成装置を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】帯電装置の概略構成を表した図である。
【図3】帯電装置の放電電極の構成を表した図である。
【図4】帯電装置の構成図である。
【図5】清掃装置の外観斜視図である。
【図6】清掃パッドの外観斜視図である。
【図7】図7(a)は、清掃時に、清掃装置がx軸方向の正方向側に向かって移動させられる際の、清掃装置と放電電極との位置関係を表した図である。図7(b)は、清掃時に、清掃装置がx軸方向の負方向側に向かって移動させられる際の、清掃装置と放電電極との位置関係を表した図である。
【図8】図8(a)は、清掃の際に、清掃装置が傾けられない場合を表した模式図である。図8(b)は、清掃の際に、清掃装置が傾けられる場合を表した模式図である。
【図9】第1の変形例に係る清掃装置の外観斜視図である。
【図10】第2の変形例に係る清掃装置の外観斜視図である。
【図11】第3の変形例に係る清掃装置の外観斜視図である。
【図12】特許文献1に記載の清掃具の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る清掃装置、帯電装置及び画像形成装置について、以下に図面を参照しながら説明する。
【0016】
(画像形成装置の概略構成)
まず、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の概略構成図である。本実施形態に係る画像形成装置100は、例えば、モノクロ又はカラーの複写機、プリンタ、ファックス或いはこれらの複合機である。
【0017】
画像形成装置100は、感光体ドラム1、帯電装置10、光走査装置31、現像装置32、転写ローラ33、クリーニング装置34、イレーサランプ35及び定着装置36を備えている。感光体ドラム1は、円筒形状をなしており、図示しないモーターにより矢印Aの方向に回転させられる。そして、感光体ドラム1は、その周囲に静電潜像が形成され、トナーが付与されることにより、静電潜像に従ったトナー画像を担持する像担持体として機能する。
【0018】
帯電装置10は、感光体ドラム1の周面に所定の電荷を均一に付与して、感光体ドラム1の周面を帯電させる。光走査装置31は、画像データに基づいて変調されたビームを走査して感光体ドラム1の周面上に静電潜像を形成する。現像装置32は、感光体ドラム1の周面にトナーを付与して、静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラ33は、感光体ドラム1の周面に形成されたトナー画像を、感光体ドラム1との間を搬送される用紙Sに対して転写する。定着装置36は、用紙Sに対して加熱・加圧処理を施して、トナーを用紙Sに定着させる。
【0019】
クリーニング装置34は、感光体ドラム1の周面に残存したトナーを回収する。イレーサランプ35は、感光体ドラム1の周面に残留している電荷を除去する。
【0020】
(帯電装置の構成)
次に、帯電装置10の構成について説明する。図2は、帯電装置10の概略構成を表した図である。図3は、帯電装置10の放電電極13の構成を表した図である。図4は、帯電装置10の構成図である。図5は、清掃装置20の外観斜視図である。以下では、帯電装置10の長手方向(すなわち、主走査方向)をx軸方向とし、感光体ドラム1の回転方向(すなわち、副走査方向)をy軸方向とし、x軸方向とy軸方向に直交する方向をz軸方向と定義する。
【0021】
帯電装置10は、図2及び図4に示すように、安定板11a,11b、メッシュ12、放電電極13、ホルダ14a,14b(図4参照)、支持部17(図4参照)及び清掃装置20を備えている。
【0022】
安定板11a,11bは、x軸方向に長手方向を有しており、L字型の断面構造を有している。具体的には、安定板11aは、図2に示すように、z軸方向に延在していると共に、z軸方向の負方向側の端部がy軸方向の負方向側に向かって折り曲げられて構成されている。また、安定板11bは、図2に示すように、z軸方向に延在していると共に、z軸方向の負方向側の端部がy軸方向の正方向側に向かって折り曲げられて構成されている。安定板11a,11bは、図2の断面において、組み合わされることによりコ字型をなしている。そして、安定板11a,11bは、感光体ドラム1と対向する部分において開口を有している。メッシュ12は、安定板11a,11bに設けられている開口に設けられている。ホルダ14a,14bはそれぞれ、図4に示すように、安定板11a,11bの長手方向(x軸方向)の両端に設けられており、安定板11a,11b及びメッシュ12を固定している。
【0023】
放電電極13は、図2に示すように、安定板11a,11bとメッシュ12に囲まれた空間内に設けられ、その両端がホルダ14a,14bにより保持されている。放電電極13は、像坦持体である感光体ドラム1の周面を帯電させる。以下に、放電電極13の構成について詳細に説明する。
【0024】
放電電極13は、x軸方向に長手方向を有しており、鋸歯状をなしている。放電電極13には、図3に示すように、z軸方向の正方向側に突出する多数の三角形状の突起13aがx軸方向に一列に並ぶように設けられている。放電電極13の厚さは40μm以上60μm以下である。また、突起13aの頂角θは5度以上30度以下、突起13aの高さHは1mm以上3mm以下、突起13aのピッチPは1mm以上3mm以下である。これらの設計値は、効率よく放電を発生させるために定まる値である。放電電極13は、ステンレス鋼により作製されている。
【0025】
放電電極13には、−6kV〜−7kV(900μA)の電圧が印加され、突起13aから感光体ドラム1に向ってコロナ放電が発生する。また、メッシュ12には、−300V〜−900Vの電圧が印加され、感光体ドラム1の帯電電位が所望の値に調整される。支持部17については、後述する。
【0026】
清掃装置20は、放電電極13を清掃する。清掃装置20は、図5に示すように、筐体21、シャフト15、支持部18及び清掃パッド24a,24bにより構成されている。
【0027】
筐体21は、図5に示すように、四角形の枠状をなしており、放電電極13の長手方向(x軸方向)に長方形状の貫通孔を有している。筐体21は、清掃パッド24aのy軸方向の正方向側の面及び清掃パッド24bのy軸方向の負方向側の面に接し、清掃パッド24a,24bを保持している。
【0028】
清掃パッド24a,24bはそれぞれ、図5に示すように、筐体21の貫通孔内に設けられている。具体的には、清掃パッド24aは、図5の筐体21において、y軸方向の正方向側の側面の内周面に対して貼り付けられている。清掃パッド24bは、図5の筐体21において、y軸方向の負方向側の側面の内周面に対して貼り付けられている。以下に、清掃パッド24a,24bの詳細について図面を参照しながら説明する。図6は、清掃パッド24a,24bの外観斜視図である。図7(a)は、清掃時に、清掃装置20がx軸方向の正方向側に向かって移動させられる際の、清掃装置20と放電電極13との位置関係を表した図である。図7(b)は、清掃時に、清掃装置20がx軸方向の負方向側に向かって移動させられる際の、清掃装置20と放電電極13との位置関係を表した図である。
【0029】
清掃パッド24a,24bはそれぞれ、図6に示すように、研磨シート26a,26b及び押圧部材30a,30bを有している。押圧部材30aは、図5の筐体21において、y軸方向の正方向側の側面の内周面に対して両面テープにより貼り付けられており、弾性を有する部材により構成されている。押圧部材30bは、図5の筐体21において、y軸方向の負方向側の側面の内周面に対して両面テープにより貼り付けられており、弾性を有する部材により構成されている。押圧部材30a,30bは、弾性を有するものであれば種々の材料を使用することができる。よって、押圧部材30a,30bの材料としては、例えば、モルトプレーンや発泡PUR(例えば、イノアックコーポレーション製SM−55)などが挙げられる。また、清掃パッド24a,24bを放電電極13に押しつける圧力は、強すぎても弱すぎても良くないので、押圧部材30aと押圧部材30bとがy軸方向に延在している長さの合計は、筐体21の貫通孔のy軸方向に延在している長さよりも1〜2mm程度厚いことが好ましい。
【0030】
研磨シート26aは、図5において押圧部材30aのy軸方向の負方向側の面に対して両面テープにより貼り付けられている研磨部材である。研磨シート26bは、図5において押圧部材30bのy軸方向の正方向側の面に対して両面テープにより貼り付けられている研磨部材である。これにより、研磨シート26a,26bは、図5に示すように、互いに対向しあうことにより、主面において、放電電極13を挟んでいる。研磨シート26a,26bはそれぞれ、PETフィルム、砥粒及びバインダーによって構成されている。PETフィルムは、ベースとなるシートである。砥粒は、研磨粒子であり、PETフィルム上に分散されている。砥粒としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化クロム又は酸化鉄等の金属酸化物、又は、シリコンカーバイドが用いられる。バインダーは、砥粒がPETフィルムから容易に剥がれ落ちないように、砥粒を固める接着剤である。以上のような研磨シート26a,26bとしては、例えば、耐水ペーパーや研磨フィルム(3M社のラッピングフィルムシート)を用いることができる。研磨シート26a,26bは、砥粒により放電電極13を研磨しながら、放電電極13に固着したシリカ等の放電生成物を剥がす。
【0031】
以上のように構成された清掃装置20では、放電電極13を清掃するとき、図5に示すように、放電電極13は、研磨シート26a,26bの間を通過している。これにより、研磨シート26a,26bは、押圧部材30a,30bの弾性力によって、放電電極13の両主面に圧接している。
【0032】
シャフト15は、図4に示すように、清掃装置20に取り付けられており、図4のx軸方向の負方向側に向かって延在している角柱の棒状部材である。支持部17は、ホルダ14bのz軸方向の負方向側の面に取り付けられており、貫通孔を有している。シャフト15は、支持部17の貫通孔を通過している。すなわち、支持部17は、シャフト15を支持している。これにより、ユーザは、x軸方向にシャフト15をスライドさせることにより、清掃装置20を放電電極13に対してx軸方向に往復運動させることができる。
【0033】
支持部18は、図5に示すように、筐体21をシャフト15に対してx軸方向に揺動可能に支持しており、支持部材127a,127b及びピン130を有している。
【0034】
支持部材127a,127bは、図5に示すように、筐体21のz軸方向の負方向側の底面において、z軸方向の負方向側に向かって突出している板状部材である。支持部材127aは、筐体21のz軸方向の負方向側の底面のy軸方向の正方向側の辺に沿って設けられている。支持部材127bは、筐体21のz軸方向の負方向側の底面のy軸方向の負方向側の辺に沿って設けられている。これにより、支持部材127a,127bは、シャフト15のx軸方向の正方向側の端部をy軸方向の両側から挟んでいる。支持部材127a,127bには、それぞれx軸方向に延在する溝23a,23bが設けられている。
【0035】
図5に示すように、シャフト15のx軸方向の正方向側の端部には、シャフト15をy軸方向に貫通する孔(支持部材127a,127bに隠れているので図示せず)が設けられている。ピン130は、孔を貫通している。ピン130のy軸方向の正方向側の端部は、支持部材127aに固定されている。ピン130のy軸方向の負方向側の端部は、支持部材127bに固定されている。すなわち、筐体21がシャフト15に対して蝶番構造により取り付けられている。そのため、清掃装置20は、ピン130を中心にして、z軸方向に対して所定の角度まで傾くことができる。
【0036】
ここで、安定板11aのy軸方向の負方向側の端部は、図2に示すように、レール部11cを構成している。安定板11bのy軸方向の正方向側の端部は、図2に示すように、レール部11dを構成している。レール部11c,11dはそれぞれ、図2に示すように、溝23a,23bに嵌合される。これにより、筐体21は、安定板11a,11bに対して、安定板11a,11bの長手方向(x軸方向)にスライド可能に取り付けられている。また、溝23a,23bのz軸方向の正方向側の内周面は、z軸方向の負方向側に突出する円弧状をなしており、z軸方向の負方向側の内周面は、z軸方向の正方向側に突出する円弧状をなしている。これによって、筐体21は、x軸方向の正方向側及び負方向側にスムーズに揺動できる。
【0037】
以上のような清掃装置20では、ユーザは、図4の状態において、シャフト15をx軸方向の正方向側に押し出して、シャフト15によって、清掃装置20をホルダ14a近傍まで移動させる。その後、ユーザは、シャフト15をx軸方向の負方向側に引き出して、清掃装置20をホルダ14b近傍まで移動させる。これにより、研磨シート26a,26bが放電電極13に対してx軸方向に移動させられる。この際、放電電極13の両主面は、研磨シート26a,26bにより研磨される。すなわち、放電電極13の両主面に固着している放電生成物が砥粒により剥離される。その結果、放電電極13に付着した放電酸化物が除去される。
【0038】
次に、清掃の際の清掃装置20の動作について説明する。まず、筐体21をシャフト15により、安定板11a,11bに沿って動かすことで、清掃装置20は、移動させられる。清掃装置20がx軸方向の正方向側に進むとき、研磨シート26a,26bと放電電極13との接触面には、x軸方向の負方向側に摩擦力が働く。ここで、先述したように、清掃装置20は、ピン130を中心として揺動可能なので、摩擦力によって、清掃装置20は、図7(a)に示すように、x軸方向の負方向側に傾けられる。このとき、図7(a)に示すように、研磨シート26a,26bの移動方向であるx軸方向の正方向側に位置している研磨シート26a,26bの側面A1は、突起13aが突出している方向において、該移動方向であるx軸方向の正方向側と90度より大きな角をなしている。より好ましくは、研磨シート26a,26bの側面A1は、放電電極13から突起13aが突出している方向において、x軸方向の正方向側から95度以上130度以下の角をなしていることが好ましい。
【0039】
同様に、清掃装置20がx軸方向の負方向側に進むとき、研磨シート26a,26bと放電電極13との接触面には、x軸方向の正方向側に摩擦力が働く。ここで、先述したように、清掃装置20は、ピン130を中心として揺動可能なので、摩擦力によって、清掃装置20は、x軸方向の正方向側に傾けられる。このとき、図7(b)に示すように、研磨シート26a,26bの移動方向であるx軸方向の負方向側に位置している研磨シート26a,26bの側面A2は、突起13aが突出している方向において、x軸方向の負方向側と90度より大きな角をなしている。より好ましくは、研磨シート26a,26bの側面A2は、放電電極13から突起13aが突出している方向において、x軸方向の負方向側から95度以上130度以下の角をなしていることが好ましい。
【0040】
(効果)
以上のような清掃装置20によれば、清掃時に放電電極13に損傷が発生することを抑制できる。図8(a)は、清掃の際に、清掃装置20が傾けられない場合を表した模式図である。図8(b)は、清掃の際に、清掃装置20が傾けられる場合を表した模式図である。図7(a)及び図7(b)に示すように、清掃装置20では、清掃時に、研磨シート26a,26bの移動方向側に位置している研磨シート26a,26bの側面A1,A2は、突起13aが突出している方向において、該移動方向と90度より大きな角をなしている。ここで、図8(a)に示すように、清掃の際に、清掃装置20が傾けられない場合の研磨シート26a,26bと突起13aとの接触面積は、S1である。図8(b)に示すように、清掃の際に、清掃装置20が傾けられる場合の研磨シート26a,26bと突起13aとの接触面積は、S2である。よって、清掃の際、清掃装置20が傾けられる場合の方が、清掃装置20が傾けられない場合よりも、放電電極13と研磨シート26a,26bとの接触面積が大きくなる。放電電極13にかかる圧力と接触面積とは、反比例の関係にあるので、接触面積が大きくなる程、圧力は小さくなる。そのため、清掃時に、清掃装置20を斜めに傾けた場合の方が、清掃装置20を傾けない場合よりも、放電電極13にかかる圧力は小さくなる。その結果、突起13aが、研磨シート26a,26bにより削られたり、折り曲げられたりすることが抑制される。
【0041】
また、清掃装置20は、容易に製造できる。より詳細には、特許文献1に記載の清掃具500は、数センチメートル程度と比較的小さな部品である。このように小さな清掃具500に設けられている研磨層551を、図12に示すように、精度よく折り曲げ加工することは非常に困難である。
【0042】
一方、清掃装置20では、研磨シート26a,26bを折り曲げるのではなく、清掃の際に清掃装置20を傾けることにより、放電電極13の破損を防止している。そのため、清掃装置20では、研磨シート26a,26bを折り曲げる必要がないため、特許文献1に記載の清掃具500に比べて容易に作製することができる。
【0043】
また、図7(a)及び図7(b)に示すように、研磨シート26a,26bの側面A1,A2は、突起13aが放電電極13から突出している方向において、該移動方向と90度より大きな角をなしている。側面A1,A2が移動方向に対して傾く角度は、大きくなるほど放電電極13の損傷を効果的に抑制できるが、側面A1,A2が傾きすぎると筐体21のz軸方向の正方向側の内周面に突起13aの先端がひっかかる可能性がある。そのため、放電電極13を清掃する際には、研磨シート26a,26bの側面A1,A2は、突起13aが放電電極13から突出している方向において、該移動方向と95度以上130度以下の角をなしていることが好ましい。
【0044】
(変形例1)
以下に、第1の変形例に係る清掃装置20aについて説明する。図9は、第1の変形例に係る清掃装置20aの外観斜視図である。
【0045】
図9に示すように、清掃装置20aは、筐体21を保持している保持部材80が設けられている。また、シャフト15のz軸方向の正方向側の面には、y軸方向に延在している円柱状の軸82が形成されている。清掃装置20aでは、ピン130が用いられておらず、軸82にz軸方向の正方向側から保持部材80がスナップフィット形状ではめ込まれることにより、筐体21が揺動可能に支持されている。これによって、清掃装置20aは、x軸方向に傾くことができる。また、清掃装置20aによると、構成部材が少ないため、コスト削減が可能である。
【0046】
(変形例2)
次に、第2の変形例に係る清掃装置20bについて説明する。図10は、第2の変形例に係る清掃装置20bの外観斜視図である。図10に示すように、清掃装置20bは、板状部材61及び連結部材64を備えている。板状部材61は、筐体21のz軸方向の負方向側の底面において、z軸方向の負方向側に向かって突出し、直方体状をなしている。板状部材61は、筐体21のz軸方向の負方向側の底面の中央にy軸方向に平行に設けられている。板状部材61は、可撓性の材料により構成されている。図10に示すように、連結部材64は、y軸方向に延在している三角柱である。連結部材64のz軸方向の正方向側の端部は、板状部材61のz軸方向の負方向側の端部と接続されている。シャフト15には、z軸方向の正方向側の面において、溝G3が設けられている。溝G3は、y軸方向に延在している三角柱状をなしており、連結部材64と同一の形状をなしている。連結部材64が溝G3にはめ込まれることで清掃装置20bが構成されている。ここで、板状部材61がx軸方向に曲がることで、図5に示すような蝶番構造と同様の可曲性を実現できる。連結部材64とシャフト15との接合方法は、このやり方に限定されるものではない。
【0047】
(変形例3)
図11は、第3の変形例に係る清掃装置20cの外観斜視図である。図11においては、清掃装置20cの筐体21を省略している。図11に示すように、清掃装置20cにおいて、研磨シート26a,26bの主面B1,B2は、x軸方向に平行な上底L1及び上底L1よりも長い下底L2を有する台形である。主面B1,B2は、x軸方向において、下底L2の両端が上底L1の両端からはみ出している台形をなしており、上底L1は、下底L2よりも突起13aが突出している方向側に位置している。これによって、研磨シート26a,26bの移動方向側に位置している研磨シート26a,26bの側面は、突起13aが突出している方向において、該移動方向に対して90度よりも大きな角度をなしている。更に、突起13aが、清掃装置20cから出ていく場合においても、清掃装置20cに入っていく場合と同様に、突起13aが研磨シート26a,26bにより削られたり、折り曲げられたりすることが抑制される。
【0048】
また、清掃装置20cによれば、清掃装置20cを傾けなくてもよい。これによって、清掃装置20cを傾けるための機構を設ける必要がなくなる。なお、放電電極13の曲がりを防止する効果をより強めるためには、清掃装置20cを傾けるための装置を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、清掃装置、帯電装置及び画像形成装置に有用であり、特に、放電電極に損傷が発生することを抑制でき、かつ、容易に製造できる点において優れている。
【符号の説明】
【0050】
A1,A2 側面
10 帯電装置
11a,11b 安定板
11c,11d レール部
12 メッシュ
13 放電電極
13a 突起
14a、14b ホルダ
15 シャフト
17,18 支持部
20 清掃装置
21 筐体
23a,23b 溝
24a,24b 清掃パッド
26a,26b 研磨シート
30a,30b 押圧部材
100 画像形成装置
127a,127b 支持部材
130 ピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置、帯電装置及び画像形成装置、特に、像担持体を帯電させる放電電極の清掃装置、帯電装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の清掃装置としては、例えば、特許文献1に記載の清掃具が知られている。図12は、清掃具500の構成図である。
【0003】
清掃具500は、図12に示すように、パッド支持体533及び清掃パッド534a,534bを備えている。パッド支持体533は、清掃パッド534a,534bを対向させた状態で保持している。清掃パッド534a,534bはそれぞれ、基材550、研磨層551及び阻止層552により構成されている。基材550は、研磨層551及び阻止層552が設けられる弾性部材であり、パッド支持体533に取り付けられている。阻止層552は、不織布等であり、基材550の表面に設けられている。研磨層551は、研磨部材であり、阻止層552の表面に設けられている。
【0004】
以上のような清掃具500は、清掃パッド534a,534bにより帯電線528を挟み込んだ状態で、帯電線528が延在している方向に移動することにより、帯電線528に付着した放電生成物を除去する。
【0005】
ところで、清掃具500では、帯電線528が研磨層551により大きく削られることを防止できる。具体的には、清掃具500は、1〜2センチメートル程度と比較的に小さな部品であるので、帯電器に精度よく取り付けることが困難である。そのため、清掃具500は、研磨層551が矢印の方向に僅かに傾いた状態で、帯電器に対して取り付けられることがある。この場合、研磨層551のいずれか一方は、帯電線528が延在している方向の端部において、帯電線528に対して強く接触し、帯電線528を削ってしまう。
【0006】
そこで、清掃具500は、研磨層551の両端が開いた構造を有している。これにより、研磨層551は、帯電線528が延在している方向の端部において角を有しなくなる。そのため、研磨層551が矢印の方向に僅かに傾いた状態で清掃具500が帯電器に対して取り付けられたとしても、研磨層551のいずれか一方が帯電線528を削ることが軽減される。
【0007】
しかしながら、清掃具500では、両端が開くように研磨層551を加工することが困難である。より詳細には、清掃具500は、1〜2センチメートル程度と比較的に小さな部品である。このように小さな清掃具500に設けられている研磨層551を、図12に示すように、精度よく折り曲げ加工することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−156943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、放電電極に損傷が発生することを抑制でき、かつ、容易に製造可能な清掃装置、帯電装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係る清掃装置は、像担持体を帯電させる放電電極であって、所定方向に長手方向を有している鋸歯状の放電電極を清掃する清掃装置において、前記放電電極をそれぞれの主面によって挟んでいる第1の研磨部材及び第2の研磨部材、を備え、前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材は、前記放電電極に対して前記所定方向に移動させられ、前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材の移動方向側に位置している該第1の研磨部材及び該第2の研磨部材の側面は、前記放電電極の歯が突出している方向において、該移動方向と90度より大きな角をなしていること、を特徴とする。
【0011】
本発明の一形態に係る帯電装置は、像担持体を帯電させる放電電極であって、所定方向に長手方向を有している放電電極と、前記清掃装置と、を備えていること、を特徴とする。
【0012】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、前記帯電装置を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、放電電極に損傷を与えることなく、かつ、清掃装置、帯電装置及び画像形成装置を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】帯電装置の概略構成を表した図である。
【図3】帯電装置の放電電極の構成を表した図である。
【図4】帯電装置の構成図である。
【図5】清掃装置の外観斜視図である。
【図6】清掃パッドの外観斜視図である。
【図7】図7(a)は、清掃時に、清掃装置がx軸方向の正方向側に向かって移動させられる際の、清掃装置と放電電極との位置関係を表した図である。図7(b)は、清掃時に、清掃装置がx軸方向の負方向側に向かって移動させられる際の、清掃装置と放電電極との位置関係を表した図である。
【図8】図8(a)は、清掃の際に、清掃装置が傾けられない場合を表した模式図である。図8(b)は、清掃の際に、清掃装置が傾けられる場合を表した模式図である。
【図9】第1の変形例に係る清掃装置の外観斜視図である。
【図10】第2の変形例に係る清掃装置の外観斜視図である。
【図11】第3の変形例に係る清掃装置の外観斜視図である。
【図12】特許文献1に記載の清掃具の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る清掃装置、帯電装置及び画像形成装置について、以下に図面を参照しながら説明する。
【0016】
(画像形成装置の概略構成)
まず、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の概略構成図である。本実施形態に係る画像形成装置100は、例えば、モノクロ又はカラーの複写機、プリンタ、ファックス或いはこれらの複合機である。
【0017】
画像形成装置100は、感光体ドラム1、帯電装置10、光走査装置31、現像装置32、転写ローラ33、クリーニング装置34、イレーサランプ35及び定着装置36を備えている。感光体ドラム1は、円筒形状をなしており、図示しないモーターにより矢印Aの方向に回転させられる。そして、感光体ドラム1は、その周囲に静電潜像が形成され、トナーが付与されることにより、静電潜像に従ったトナー画像を担持する像担持体として機能する。
【0018】
帯電装置10は、感光体ドラム1の周面に所定の電荷を均一に付与して、感光体ドラム1の周面を帯電させる。光走査装置31は、画像データに基づいて変調されたビームを走査して感光体ドラム1の周面上に静電潜像を形成する。現像装置32は、感光体ドラム1の周面にトナーを付与して、静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラ33は、感光体ドラム1の周面に形成されたトナー画像を、感光体ドラム1との間を搬送される用紙Sに対して転写する。定着装置36は、用紙Sに対して加熱・加圧処理を施して、トナーを用紙Sに定着させる。
【0019】
クリーニング装置34は、感光体ドラム1の周面に残存したトナーを回収する。イレーサランプ35は、感光体ドラム1の周面に残留している電荷を除去する。
【0020】
(帯電装置の構成)
次に、帯電装置10の構成について説明する。図2は、帯電装置10の概略構成を表した図である。図3は、帯電装置10の放電電極13の構成を表した図である。図4は、帯電装置10の構成図である。図5は、清掃装置20の外観斜視図である。以下では、帯電装置10の長手方向(すなわち、主走査方向)をx軸方向とし、感光体ドラム1の回転方向(すなわち、副走査方向)をy軸方向とし、x軸方向とy軸方向に直交する方向をz軸方向と定義する。
【0021】
帯電装置10は、図2及び図4に示すように、安定板11a,11b、メッシュ12、放電電極13、ホルダ14a,14b(図4参照)、支持部17(図4参照)及び清掃装置20を備えている。
【0022】
安定板11a,11bは、x軸方向に長手方向を有しており、L字型の断面構造を有している。具体的には、安定板11aは、図2に示すように、z軸方向に延在していると共に、z軸方向の負方向側の端部がy軸方向の負方向側に向かって折り曲げられて構成されている。また、安定板11bは、図2に示すように、z軸方向に延在していると共に、z軸方向の負方向側の端部がy軸方向の正方向側に向かって折り曲げられて構成されている。安定板11a,11bは、図2の断面において、組み合わされることによりコ字型をなしている。そして、安定板11a,11bは、感光体ドラム1と対向する部分において開口を有している。メッシュ12は、安定板11a,11bに設けられている開口に設けられている。ホルダ14a,14bはそれぞれ、図4に示すように、安定板11a,11bの長手方向(x軸方向)の両端に設けられており、安定板11a,11b及びメッシュ12を固定している。
【0023】
放電電極13は、図2に示すように、安定板11a,11bとメッシュ12に囲まれた空間内に設けられ、その両端がホルダ14a,14bにより保持されている。放電電極13は、像坦持体である感光体ドラム1の周面を帯電させる。以下に、放電電極13の構成について詳細に説明する。
【0024】
放電電極13は、x軸方向に長手方向を有しており、鋸歯状をなしている。放電電極13には、図3に示すように、z軸方向の正方向側に突出する多数の三角形状の突起13aがx軸方向に一列に並ぶように設けられている。放電電極13の厚さは40μm以上60μm以下である。また、突起13aの頂角θは5度以上30度以下、突起13aの高さHは1mm以上3mm以下、突起13aのピッチPは1mm以上3mm以下である。これらの設計値は、効率よく放電を発生させるために定まる値である。放電電極13は、ステンレス鋼により作製されている。
【0025】
放電電極13には、−6kV〜−7kV(900μA)の電圧が印加され、突起13aから感光体ドラム1に向ってコロナ放電が発生する。また、メッシュ12には、−300V〜−900Vの電圧が印加され、感光体ドラム1の帯電電位が所望の値に調整される。支持部17については、後述する。
【0026】
清掃装置20は、放電電極13を清掃する。清掃装置20は、図5に示すように、筐体21、シャフト15、支持部18及び清掃パッド24a,24bにより構成されている。
【0027】
筐体21は、図5に示すように、四角形の枠状をなしており、放電電極13の長手方向(x軸方向)に長方形状の貫通孔を有している。筐体21は、清掃パッド24aのy軸方向の正方向側の面及び清掃パッド24bのy軸方向の負方向側の面に接し、清掃パッド24a,24bを保持している。
【0028】
清掃パッド24a,24bはそれぞれ、図5に示すように、筐体21の貫通孔内に設けられている。具体的には、清掃パッド24aは、図5の筐体21において、y軸方向の正方向側の側面の内周面に対して貼り付けられている。清掃パッド24bは、図5の筐体21において、y軸方向の負方向側の側面の内周面に対して貼り付けられている。以下に、清掃パッド24a,24bの詳細について図面を参照しながら説明する。図6は、清掃パッド24a,24bの外観斜視図である。図7(a)は、清掃時に、清掃装置20がx軸方向の正方向側に向かって移動させられる際の、清掃装置20と放電電極13との位置関係を表した図である。図7(b)は、清掃時に、清掃装置20がx軸方向の負方向側に向かって移動させられる際の、清掃装置20と放電電極13との位置関係を表した図である。
【0029】
清掃パッド24a,24bはそれぞれ、図6に示すように、研磨シート26a,26b及び押圧部材30a,30bを有している。押圧部材30aは、図5の筐体21において、y軸方向の正方向側の側面の内周面に対して両面テープにより貼り付けられており、弾性を有する部材により構成されている。押圧部材30bは、図5の筐体21において、y軸方向の負方向側の側面の内周面に対して両面テープにより貼り付けられており、弾性を有する部材により構成されている。押圧部材30a,30bは、弾性を有するものであれば種々の材料を使用することができる。よって、押圧部材30a,30bの材料としては、例えば、モルトプレーンや発泡PUR(例えば、イノアックコーポレーション製SM−55)などが挙げられる。また、清掃パッド24a,24bを放電電極13に押しつける圧力は、強すぎても弱すぎても良くないので、押圧部材30aと押圧部材30bとがy軸方向に延在している長さの合計は、筐体21の貫通孔のy軸方向に延在している長さよりも1〜2mm程度厚いことが好ましい。
【0030】
研磨シート26aは、図5において押圧部材30aのy軸方向の負方向側の面に対して両面テープにより貼り付けられている研磨部材である。研磨シート26bは、図5において押圧部材30bのy軸方向の正方向側の面に対して両面テープにより貼り付けられている研磨部材である。これにより、研磨シート26a,26bは、図5に示すように、互いに対向しあうことにより、主面において、放電電極13を挟んでいる。研磨シート26a,26bはそれぞれ、PETフィルム、砥粒及びバインダーによって構成されている。PETフィルムは、ベースとなるシートである。砥粒は、研磨粒子であり、PETフィルム上に分散されている。砥粒としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化クロム又は酸化鉄等の金属酸化物、又は、シリコンカーバイドが用いられる。バインダーは、砥粒がPETフィルムから容易に剥がれ落ちないように、砥粒を固める接着剤である。以上のような研磨シート26a,26bとしては、例えば、耐水ペーパーや研磨フィルム(3M社のラッピングフィルムシート)を用いることができる。研磨シート26a,26bは、砥粒により放電電極13を研磨しながら、放電電極13に固着したシリカ等の放電生成物を剥がす。
【0031】
以上のように構成された清掃装置20では、放電電極13を清掃するとき、図5に示すように、放電電極13は、研磨シート26a,26bの間を通過している。これにより、研磨シート26a,26bは、押圧部材30a,30bの弾性力によって、放電電極13の両主面に圧接している。
【0032】
シャフト15は、図4に示すように、清掃装置20に取り付けられており、図4のx軸方向の負方向側に向かって延在している角柱の棒状部材である。支持部17は、ホルダ14bのz軸方向の負方向側の面に取り付けられており、貫通孔を有している。シャフト15は、支持部17の貫通孔を通過している。すなわち、支持部17は、シャフト15を支持している。これにより、ユーザは、x軸方向にシャフト15をスライドさせることにより、清掃装置20を放電電極13に対してx軸方向に往復運動させることができる。
【0033】
支持部18は、図5に示すように、筐体21をシャフト15に対してx軸方向に揺動可能に支持しており、支持部材127a,127b及びピン130を有している。
【0034】
支持部材127a,127bは、図5に示すように、筐体21のz軸方向の負方向側の底面において、z軸方向の負方向側に向かって突出している板状部材である。支持部材127aは、筐体21のz軸方向の負方向側の底面のy軸方向の正方向側の辺に沿って設けられている。支持部材127bは、筐体21のz軸方向の負方向側の底面のy軸方向の負方向側の辺に沿って設けられている。これにより、支持部材127a,127bは、シャフト15のx軸方向の正方向側の端部をy軸方向の両側から挟んでいる。支持部材127a,127bには、それぞれx軸方向に延在する溝23a,23bが設けられている。
【0035】
図5に示すように、シャフト15のx軸方向の正方向側の端部には、シャフト15をy軸方向に貫通する孔(支持部材127a,127bに隠れているので図示せず)が設けられている。ピン130は、孔を貫通している。ピン130のy軸方向の正方向側の端部は、支持部材127aに固定されている。ピン130のy軸方向の負方向側の端部は、支持部材127bに固定されている。すなわち、筐体21がシャフト15に対して蝶番構造により取り付けられている。そのため、清掃装置20は、ピン130を中心にして、z軸方向に対して所定の角度まで傾くことができる。
【0036】
ここで、安定板11aのy軸方向の負方向側の端部は、図2に示すように、レール部11cを構成している。安定板11bのy軸方向の正方向側の端部は、図2に示すように、レール部11dを構成している。レール部11c,11dはそれぞれ、図2に示すように、溝23a,23bに嵌合される。これにより、筐体21は、安定板11a,11bに対して、安定板11a,11bの長手方向(x軸方向)にスライド可能に取り付けられている。また、溝23a,23bのz軸方向の正方向側の内周面は、z軸方向の負方向側に突出する円弧状をなしており、z軸方向の負方向側の内周面は、z軸方向の正方向側に突出する円弧状をなしている。これによって、筐体21は、x軸方向の正方向側及び負方向側にスムーズに揺動できる。
【0037】
以上のような清掃装置20では、ユーザは、図4の状態において、シャフト15をx軸方向の正方向側に押し出して、シャフト15によって、清掃装置20をホルダ14a近傍まで移動させる。その後、ユーザは、シャフト15をx軸方向の負方向側に引き出して、清掃装置20をホルダ14b近傍まで移動させる。これにより、研磨シート26a,26bが放電電極13に対してx軸方向に移動させられる。この際、放電電極13の両主面は、研磨シート26a,26bにより研磨される。すなわち、放電電極13の両主面に固着している放電生成物が砥粒により剥離される。その結果、放電電極13に付着した放電酸化物が除去される。
【0038】
次に、清掃の際の清掃装置20の動作について説明する。まず、筐体21をシャフト15により、安定板11a,11bに沿って動かすことで、清掃装置20は、移動させられる。清掃装置20がx軸方向の正方向側に進むとき、研磨シート26a,26bと放電電極13との接触面には、x軸方向の負方向側に摩擦力が働く。ここで、先述したように、清掃装置20は、ピン130を中心として揺動可能なので、摩擦力によって、清掃装置20は、図7(a)に示すように、x軸方向の負方向側に傾けられる。このとき、図7(a)に示すように、研磨シート26a,26bの移動方向であるx軸方向の正方向側に位置している研磨シート26a,26bの側面A1は、突起13aが突出している方向において、該移動方向であるx軸方向の正方向側と90度より大きな角をなしている。より好ましくは、研磨シート26a,26bの側面A1は、放電電極13から突起13aが突出している方向において、x軸方向の正方向側から95度以上130度以下の角をなしていることが好ましい。
【0039】
同様に、清掃装置20がx軸方向の負方向側に進むとき、研磨シート26a,26bと放電電極13との接触面には、x軸方向の正方向側に摩擦力が働く。ここで、先述したように、清掃装置20は、ピン130を中心として揺動可能なので、摩擦力によって、清掃装置20は、x軸方向の正方向側に傾けられる。このとき、図7(b)に示すように、研磨シート26a,26bの移動方向であるx軸方向の負方向側に位置している研磨シート26a,26bの側面A2は、突起13aが突出している方向において、x軸方向の負方向側と90度より大きな角をなしている。より好ましくは、研磨シート26a,26bの側面A2は、放電電極13から突起13aが突出している方向において、x軸方向の負方向側から95度以上130度以下の角をなしていることが好ましい。
【0040】
(効果)
以上のような清掃装置20によれば、清掃時に放電電極13に損傷が発生することを抑制できる。図8(a)は、清掃の際に、清掃装置20が傾けられない場合を表した模式図である。図8(b)は、清掃の際に、清掃装置20が傾けられる場合を表した模式図である。図7(a)及び図7(b)に示すように、清掃装置20では、清掃時に、研磨シート26a,26bの移動方向側に位置している研磨シート26a,26bの側面A1,A2は、突起13aが突出している方向において、該移動方向と90度より大きな角をなしている。ここで、図8(a)に示すように、清掃の際に、清掃装置20が傾けられない場合の研磨シート26a,26bと突起13aとの接触面積は、S1である。図8(b)に示すように、清掃の際に、清掃装置20が傾けられる場合の研磨シート26a,26bと突起13aとの接触面積は、S2である。よって、清掃の際、清掃装置20が傾けられる場合の方が、清掃装置20が傾けられない場合よりも、放電電極13と研磨シート26a,26bとの接触面積が大きくなる。放電電極13にかかる圧力と接触面積とは、反比例の関係にあるので、接触面積が大きくなる程、圧力は小さくなる。そのため、清掃時に、清掃装置20を斜めに傾けた場合の方が、清掃装置20を傾けない場合よりも、放電電極13にかかる圧力は小さくなる。その結果、突起13aが、研磨シート26a,26bにより削られたり、折り曲げられたりすることが抑制される。
【0041】
また、清掃装置20は、容易に製造できる。より詳細には、特許文献1に記載の清掃具500は、数センチメートル程度と比較的小さな部品である。このように小さな清掃具500に設けられている研磨層551を、図12に示すように、精度よく折り曲げ加工することは非常に困難である。
【0042】
一方、清掃装置20では、研磨シート26a,26bを折り曲げるのではなく、清掃の際に清掃装置20を傾けることにより、放電電極13の破損を防止している。そのため、清掃装置20では、研磨シート26a,26bを折り曲げる必要がないため、特許文献1に記載の清掃具500に比べて容易に作製することができる。
【0043】
また、図7(a)及び図7(b)に示すように、研磨シート26a,26bの側面A1,A2は、突起13aが放電電極13から突出している方向において、該移動方向と90度より大きな角をなしている。側面A1,A2が移動方向に対して傾く角度は、大きくなるほど放電電極13の損傷を効果的に抑制できるが、側面A1,A2が傾きすぎると筐体21のz軸方向の正方向側の内周面に突起13aの先端がひっかかる可能性がある。そのため、放電電極13を清掃する際には、研磨シート26a,26bの側面A1,A2は、突起13aが放電電極13から突出している方向において、該移動方向と95度以上130度以下の角をなしていることが好ましい。
【0044】
(変形例1)
以下に、第1の変形例に係る清掃装置20aについて説明する。図9は、第1の変形例に係る清掃装置20aの外観斜視図である。
【0045】
図9に示すように、清掃装置20aは、筐体21を保持している保持部材80が設けられている。また、シャフト15のz軸方向の正方向側の面には、y軸方向に延在している円柱状の軸82が形成されている。清掃装置20aでは、ピン130が用いられておらず、軸82にz軸方向の正方向側から保持部材80がスナップフィット形状ではめ込まれることにより、筐体21が揺動可能に支持されている。これによって、清掃装置20aは、x軸方向に傾くことができる。また、清掃装置20aによると、構成部材が少ないため、コスト削減が可能である。
【0046】
(変形例2)
次に、第2の変形例に係る清掃装置20bについて説明する。図10は、第2の変形例に係る清掃装置20bの外観斜視図である。図10に示すように、清掃装置20bは、板状部材61及び連結部材64を備えている。板状部材61は、筐体21のz軸方向の負方向側の底面において、z軸方向の負方向側に向かって突出し、直方体状をなしている。板状部材61は、筐体21のz軸方向の負方向側の底面の中央にy軸方向に平行に設けられている。板状部材61は、可撓性の材料により構成されている。図10に示すように、連結部材64は、y軸方向に延在している三角柱である。連結部材64のz軸方向の正方向側の端部は、板状部材61のz軸方向の負方向側の端部と接続されている。シャフト15には、z軸方向の正方向側の面において、溝G3が設けられている。溝G3は、y軸方向に延在している三角柱状をなしており、連結部材64と同一の形状をなしている。連結部材64が溝G3にはめ込まれることで清掃装置20bが構成されている。ここで、板状部材61がx軸方向に曲がることで、図5に示すような蝶番構造と同様の可曲性を実現できる。連結部材64とシャフト15との接合方法は、このやり方に限定されるものではない。
【0047】
(変形例3)
図11は、第3の変形例に係る清掃装置20cの外観斜視図である。図11においては、清掃装置20cの筐体21を省略している。図11に示すように、清掃装置20cにおいて、研磨シート26a,26bの主面B1,B2は、x軸方向に平行な上底L1及び上底L1よりも長い下底L2を有する台形である。主面B1,B2は、x軸方向において、下底L2の両端が上底L1の両端からはみ出している台形をなしており、上底L1は、下底L2よりも突起13aが突出している方向側に位置している。これによって、研磨シート26a,26bの移動方向側に位置している研磨シート26a,26bの側面は、突起13aが突出している方向において、該移動方向に対して90度よりも大きな角度をなしている。更に、突起13aが、清掃装置20cから出ていく場合においても、清掃装置20cに入っていく場合と同様に、突起13aが研磨シート26a,26bにより削られたり、折り曲げられたりすることが抑制される。
【0048】
また、清掃装置20cによれば、清掃装置20cを傾けなくてもよい。これによって、清掃装置20cを傾けるための機構を設ける必要がなくなる。なお、放電電極13の曲がりを防止する効果をより強めるためには、清掃装置20cを傾けるための装置を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、清掃装置、帯電装置及び画像形成装置に有用であり、特に、放電電極に損傷が発生することを抑制でき、かつ、容易に製造できる点において優れている。
【符号の説明】
【0050】
A1,A2 側面
10 帯電装置
11a,11b 安定板
11c,11d レール部
12 メッシュ
13 放電電極
13a 突起
14a、14b ホルダ
15 シャフト
17,18 支持部
20 清掃装置
21 筐体
23a,23b 溝
24a,24b 清掃パッド
26a,26b 研磨シート
30a,30b 押圧部材
100 画像形成装置
127a,127b 支持部材
130 ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を帯電させる放電電極であって、所定方向に長手方向を有している鋸歯状の放電電極を清掃する清掃装置において、
前記放電電極をそれぞれの主面によって挟んでいる第1の研磨部材及び第2の研磨部材、
を備え、
前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材は、前記放電電極に対して前記所定方向に移動させられ、
前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材の移動方向側に位置している該第1の研磨部材及び該第2の研磨部材の側面は、前記放電電極の歯が突出している方向において、該移動方向と90度より大きな角をなしていること、
を特徴とする清掃装置。
【請求項2】
前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材の移動方向側に位置している該第1の研磨部材及び該第2の研磨部材の側面は、前記放電電極の歯が突出している方向において、該移動方向と95度以上130度以下の角をなしていること、
を特徴とする請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材を保持している保持部材と、
前記保持部材を前記所定方向に移動させるスライド部材と、
前記保持部材を、前記スライド部材に対して前記所定方向に揺動可能に支持している支持部と、
を更に備えていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記第1の研磨部材の主面及び前記第2の研磨部材の主面は、前記所定方向に平行な上底及び該上底よりも長い下底を有する台形であって、該所定方向において、該下底の両端が該上底の両端からはみ出している台形をなしており、
前記上底は、前記下底よりも前記放電電極の歯が突出している方向に位置していること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の清掃装置。
【請求項5】
像担持体を帯電させる放電電極であって、所定方向に長手方向を有している放電電極と、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の清掃装置と、
を備えていること、
を特徴とする帯電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の帯電装置を備えていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
像担持体を帯電させる放電電極であって、所定方向に長手方向を有している鋸歯状の放電電極を清掃する清掃装置において、
前記放電電極をそれぞれの主面によって挟んでいる第1の研磨部材及び第2の研磨部材、
を備え、
前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材は、前記放電電極に対して前記所定方向に移動させられ、
前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材の移動方向側に位置している該第1の研磨部材及び該第2の研磨部材の側面は、前記放電電極の歯が突出している方向において、該移動方向と90度より大きな角をなしていること、
を特徴とする清掃装置。
【請求項2】
前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材の移動方向側に位置している該第1の研磨部材及び該第2の研磨部材の側面は、前記放電電極の歯が突出している方向において、該移動方向と95度以上130度以下の角をなしていること、
を特徴とする請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記第1の研磨部材及び前記第2の研磨部材を保持している保持部材と、
前記保持部材を前記所定方向に移動させるスライド部材と、
前記保持部材を、前記スライド部材に対して前記所定方向に揺動可能に支持している支持部と、
を更に備えていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記第1の研磨部材の主面及び前記第2の研磨部材の主面は、前記所定方向に平行な上底及び該上底よりも長い下底を有する台形であって、該所定方向において、該下底の両端が該上底の両端からはみ出している台形をなしており、
前記上底は、前記下底よりも前記放電電極の歯が突出している方向に位置していること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の清掃装置。
【請求項5】
像担持体を帯電させる放電電極であって、所定方向に長手方向を有している放電電極と、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の清掃装置と、
を備えていること、
を特徴とする帯電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の帯電装置を備えていること、
を特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−83469(P2012−83469A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228548(P2010−228548)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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