減圧蒸気加熱装置
【課題】 熱交換器の全体を均一に加熱することのできる減圧蒸気加熱装置を得ること。
【解決手段】 反応釜１のジャケット部１１に蒸気供給管３を接続する。蒸気供給管３には蒸気圧力調節弁７を取り付ける。ジャケット部１１の下方に真空吸引手段２を連通する。真空吸引手段は、エゼクタ１４とタンク５と循環ポンプ１５とで構成する。ジャケット部１１の右側に蒸気排出口４と温度応動弁６、及び、空気抜弁２０を取り付けて、それぞれの下端部をエゼクタ１４と接続する。
ジャケット部１１の右側部へ必要な蒸気が供給されない場合に、温度応動弁６が開弁することにより、ジャケット部１１内に強制的に蒸気の流れを作ることができ、ジャケット部１１内の全体に且つ均一に蒸気を供給することができる。
【解決手段】 反応釜１のジャケット部１１に蒸気供給管３を接続する。蒸気供給管３には蒸気圧力調節弁７を取り付ける。ジャケット部１１の下方に真空吸引手段２を連通する。真空吸引手段は、エゼクタ１４とタンク５と循環ポンプ１５とで構成する。ジャケット部１１の右側に蒸気排出口４と温度応動弁６、及び、空気抜弁２０を取り付けて、それぞれの下端部をエゼクタ１４と接続する。
ジャケット部１１の右側部へ必要な蒸気が供給されない場合に、温度応動弁６が開弁することにより、ジャケット部１１内に強制的に蒸気の流れを作ることができ、ジャケット部１１内の全体に且つ均一に蒸気を供給することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、熱交換器内の被加熱物を低圧蒸気で加熱するものに関し、特にその加熱蒸気温度が１００℃程度の比較的低温の場合に適した減圧蒸気加熱装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の減圧蒸気加熱装置は、熱交換器と、この熱交換器に加熱用の蒸気を供給する蒸気供給管と、熱交換器内の流体を吸引する吸引手段を接続し、熱交換器と吸引手段の間に気体と液体を分離する気液分離器を配置したもので、吸引効率を高く維持することができるものである。
【０００３】
上記従来の減圧蒸気加熱装置では、熱交換器を複数の回転円板１０，１１で構成するものであるが、蒸気供給管２から供給される蒸気の圧力が低かったり、あるいは、供給蒸気量が少ない場合に、この複数の回転円板１０，１１の全体に供給蒸気が行き渡らずに、回転円板１０，１１の全体を均一に加熱することができない問題があった。
【特許文献１】特開２００５−３７０４６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
解決しようとする課題は、熱交換器の全体にムラなく供給蒸気が行き渡るようにして、熱交換器の全体を均一に加熱することのできる減圧蒸気加熱装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、被熱交換物を収納する熱交換器と、当該熱交換器に加熱用の蒸気を供給する蒸気供給管と、熱交換器内の流体を吸引する真空吸引手段を接続したものにおいて、蒸気供給管から熱交換器へ供給される蒸気が、熱交換器内の行き渡らない箇所に、蒸気排出口と空気抜弁を取り付けて、当該蒸気排出口に熱交換器内の温度が所定値よりも低下すると開弁し、所定値よりも上昇すると閉弁する温度応動弁を取り付けて、熱交換器内の全体に蒸気が供給されるようにしたものである。
【発明の効果】
【０００６】
本発明は、供給蒸気の行き渡らない箇所に、蒸気排出口を形成して温度応動弁を取り付けたことによって、蒸気が行き渡らずに熱交換器内の温度が所定値よりも低い場合に、温度応動弁が開弁して熱交換器内の蒸気供給部から蒸気排出口と温度応動弁へ強制的に蒸気の流れを作り出すことができ、熱交換器の全体に蒸気を供給でき、熱交換器の全体を均一に加熱することができる。また、空気抜弁を取り付けたことにより、熱交換を妨げる余分な空気を排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明は、熱交換器内の蒸気の行き渡らない箇所に蒸気排出口を形成して温度応動弁を取り付けるものであるが、この温度応動弁は、内部にバイメタルや形状記憶合金、あるいは、感温液を封入したベローズ等を取り付けた自力式の温度応動弁が好適である。
【実施例１】
【０００８】
図１において、熱交換器としての反応釜１と吸引手段２と加熱用の蒸気供給管３、及び、蒸気排出口４と空気抜弁２０とで減圧蒸気加熱装置を構成する。
【０００９】
蒸気供給管３は図示しないボイラー等の蒸気源と接続すると共に、蒸気圧力調節弁７を取り付けて、熱交換器としての反応釜１のジャケット部１１と接続する。
【００１０】
反応釜１のジャケット部１１の下端を、蒸気トラップ１２とバルブ１３を介して吸引手段２のエゼクタ１４と接続する。吸引手段２は、エゼクタ１４とタンク５と循環ポンプ１５に循環路１６を介して接続した組み合わせポンプとして構成する。エゼクタ１４はタンク５内の流体を循環ポンプ１５で循環して通過させることにより、その流体温度に応じた吸引力を生じるものである。
【００１１】
循管路１６を分岐して余剰流体排出管９を連通する。余剰流体排出管９には開閉弁１０を取り付けて、図示しないタンク５内のレベル計と連動してタンク５内の液位を所定レベルに維持する。
【００１２】
反応釜１のジャケット部１１の右側に蒸気排出口４を形成する。蒸気排出口４は、自力式の温度応動弁６を介在して、エゼクタ１４と接続する。温度応動弁６は、感温部材としてのバイメタルを内蔵しており、蒸気排出口４内の流体温度が所定値よりも低い場合に自動的に開弁してジャケット部１１とエゼクタ１４を連通し、一方、流体温度が所定値よりも高くなると自動的に閉弁するものである。ジャケット部１１の右側上部に空気抜弁２０を取り付ける。空気抜弁２０の出口側は、管路２１でエゼクタ１４と接続する。
【００１３】
反応釜１内の図示しない被加熱物を加熱する場合、蒸気供給管３から加熱用の蒸気をジャケット部１１に供給すると共に、循環ポンプ１５を駆動してエゼクタ１４で吸引力を発生させる。
【００１４】
ジャケット部１１に供給された蒸気は、反応釜１内の被過熱物を加熱すると共に、蒸気の凝縮した復水は蒸気トラップ１２を通ってエゼクタ１４に吸引されタンク５に至る。
【００１５】
蒸気供給管３から供給される蒸気の圧力が低い場合、あるいは、供給蒸気量が少ない場合は、蒸気供給管３と反対側のジャケット部１１内へは必要な蒸気を供給することができず、その部分の温度は低下した状態となるが、この温度低下に基づいて温度応動弁６が開弁することによって、蒸気供給管３から蒸気排出口４を経てエゼクタ１４へと至る蒸気の流れを作り出すことができ、ジャケット部１１内の全体を均一に蒸気加熱することができる。また、ジャケット部１１の上部に溜まった空気は、空気抜弁２０からエゼクタ１４へ吸引される。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明に係る減圧蒸気加熱装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【００１７】
１ 反応釜
２ 真空吸引手段
３ 蒸気供給管
４ 蒸気排出口
５ タンク
６ 温度応動弁
８ 温度センサ
１１ ジャケット部
１４ エゼクタ
１５ 循環ポンプ
２０ 空気抜弁
【技術分野】
【０００１】
本発明は、熱交換器内の被加熱物を低圧蒸気で加熱するものに関し、特にその加熱蒸気温度が１００℃程度の比較的低温の場合に適した減圧蒸気加熱装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の減圧蒸気加熱装置は、熱交換器と、この熱交換器に加熱用の蒸気を供給する蒸気供給管と、熱交換器内の流体を吸引する吸引手段を接続し、熱交換器と吸引手段の間に気体と液体を分離する気液分離器を配置したもので、吸引効率を高く維持することができるものである。
【０００３】
上記従来の減圧蒸気加熱装置では、熱交換器を複数の回転円板１０，１１で構成するものであるが、蒸気供給管２から供給される蒸気の圧力が低かったり、あるいは、供給蒸気量が少ない場合に、この複数の回転円板１０，１１の全体に供給蒸気が行き渡らずに、回転円板１０，１１の全体を均一に加熱することができない問題があった。
【特許文献１】特開２００５−３７０４６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
解決しようとする課題は、熱交換器の全体にムラなく供給蒸気が行き渡るようにして、熱交換器の全体を均一に加熱することのできる減圧蒸気加熱装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、被熱交換物を収納する熱交換器と、当該熱交換器に加熱用の蒸気を供給する蒸気供給管と、熱交換器内の流体を吸引する真空吸引手段を接続したものにおいて、蒸気供給管から熱交換器へ供給される蒸気が、熱交換器内の行き渡らない箇所に、蒸気排出口と空気抜弁を取り付けて、当該蒸気排出口に熱交換器内の温度が所定値よりも低下すると開弁し、所定値よりも上昇すると閉弁する温度応動弁を取り付けて、熱交換器内の全体に蒸気が供給されるようにしたものである。
【発明の効果】
【０００６】
本発明は、供給蒸気の行き渡らない箇所に、蒸気排出口を形成して温度応動弁を取り付けたことによって、蒸気が行き渡らずに熱交換器内の温度が所定値よりも低い場合に、温度応動弁が開弁して熱交換器内の蒸気供給部から蒸気排出口と温度応動弁へ強制的に蒸気の流れを作り出すことができ、熱交換器の全体に蒸気を供給でき、熱交換器の全体を均一に加熱することができる。また、空気抜弁を取り付けたことにより、熱交換を妨げる余分な空気を排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明は、熱交換器内の蒸気の行き渡らない箇所に蒸気排出口を形成して温度応動弁を取り付けるものであるが、この温度応動弁は、内部にバイメタルや形状記憶合金、あるいは、感温液を封入したベローズ等を取り付けた自力式の温度応動弁が好適である。
【実施例１】
【０００８】
図１において、熱交換器としての反応釜１と吸引手段２と加熱用の蒸気供給管３、及び、蒸気排出口４と空気抜弁２０とで減圧蒸気加熱装置を構成する。
【０００９】
蒸気供給管３は図示しないボイラー等の蒸気源と接続すると共に、蒸気圧力調節弁７を取り付けて、熱交換器としての反応釜１のジャケット部１１と接続する。
【００１０】
反応釜１のジャケット部１１の下端を、蒸気トラップ１２とバルブ１３を介して吸引手段２のエゼクタ１４と接続する。吸引手段２は、エゼクタ１４とタンク５と循環ポンプ１５に循環路１６を介して接続した組み合わせポンプとして構成する。エゼクタ１４はタンク５内の流体を循環ポンプ１５で循環して通過させることにより、その流体温度に応じた吸引力を生じるものである。
【００１１】
循管路１６を分岐して余剰流体排出管９を連通する。余剰流体排出管９には開閉弁１０を取り付けて、図示しないタンク５内のレベル計と連動してタンク５内の液位を所定レベルに維持する。
【００１２】
反応釜１のジャケット部１１の右側に蒸気排出口４を形成する。蒸気排出口４は、自力式の温度応動弁６を介在して、エゼクタ１４と接続する。温度応動弁６は、感温部材としてのバイメタルを内蔵しており、蒸気排出口４内の流体温度が所定値よりも低い場合に自動的に開弁してジャケット部１１とエゼクタ１４を連通し、一方、流体温度が所定値よりも高くなると自動的に閉弁するものである。ジャケット部１１の右側上部に空気抜弁２０を取り付ける。空気抜弁２０の出口側は、管路２１でエゼクタ１４と接続する。
【００１３】
反応釜１内の図示しない被加熱物を加熱する場合、蒸気供給管３から加熱用の蒸気をジャケット部１１に供給すると共に、循環ポンプ１５を駆動してエゼクタ１４で吸引力を発生させる。
【００１４】
ジャケット部１１に供給された蒸気は、反応釜１内の被過熱物を加熱すると共に、蒸気の凝縮した復水は蒸気トラップ１２を通ってエゼクタ１４に吸引されタンク５に至る。
【００１５】
蒸気供給管３から供給される蒸気の圧力が低い場合、あるいは、供給蒸気量が少ない場合は、蒸気供給管３と反対側のジャケット部１１内へは必要な蒸気を供給することができず、その部分の温度は低下した状態となるが、この温度低下に基づいて温度応動弁６が開弁することによって、蒸気供給管３から蒸気排出口４を経てエゼクタ１４へと至る蒸気の流れを作り出すことができ、ジャケット部１１内の全体を均一に蒸気加熱することができる。また、ジャケット部１１の上部に溜まった空気は、空気抜弁２０からエゼクタ１４へ吸引される。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明に係る減圧蒸気加熱装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【００１７】
１ 反応釜
２ 真空吸引手段
３ 蒸気供給管
４ 蒸気排出口
５ タンク
６ 温度応動弁
８ 温度センサ
１１ ジャケット部
１４ エゼクタ
１５ 循環ポンプ
２０ 空気抜弁
【特許請求の範囲】
【請求項１】
被熱交換物を収納する熱交換器と、当該熱交換器に加熱用の蒸気を供給する蒸気供給管と、熱交換器内の流体を吸引する真空吸引手段を接続したものにおいて、蒸気供給管から熱交換器へ供給される蒸気が、熱交換器内の行き渡らない箇所に、蒸気排出口と空気抜弁を取り付けて、当該蒸気排出口に熱交換器内の温度が所定値よりも低下すると開弁し、所定値よりも上昇すると閉弁する温度応動弁を取り付けて、熱交換器内の全体に蒸気が供給されるようにしたことを特徴とする減圧蒸気加熱装置。
【請求項１】
被熱交換物を収納する熱交換器と、当該熱交換器に加熱用の蒸気を供給する蒸気供給管と、熱交換器内の流体を吸引する真空吸引手段を接続したものにおいて、蒸気供給管から熱交換器へ供給される蒸気が、熱交換器内の行き渡らない箇所に、蒸気排出口と空気抜弁を取り付けて、当該蒸気排出口に熱交換器内の温度が所定値よりも低下すると開弁し、所定値よりも上昇すると閉弁する温度応動弁を取り付けて、熱交換器内の全体に蒸気が供給されるようにしたことを特徴とする減圧蒸気加熱装置。
【図１】
【公開番号】特開２０１０−９４５９５（Ｐ２０１０−９４５９５Ａ）
【公開日】平成２２年４月３０日（２０１０．４．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２６６６０８（Ｐ２００８−２６６６０８）
【出願日】平成２０年１０月１５日（２００８．１０．１５）
【出願人】（０００１３３７３３）株式会社テイエルブイ (913)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年４月３０日（２０１０．４．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１０月１５日（２００８．１０．１５）
【出願人】（０００１３３７３３）株式会社テイエルブイ (913)
【Ｆターム（参考）】
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