説明

温室の環境制御のためのデバイス

本発明は、温室内の環境を制御するためのデバイスに関する。このデバイスは、第一の一連のチャネル(7a)および第二の一連のチャネル(7b)を持つ第一の熱交換器(7)、温室から第一の一連のチャネルへ導く温室供給手段(1)、外部から第二の一連のチャネルへ導く外部供給手段(5)、デバイスから温室へ導く温室放出手段(4)、そしてデバイスから外部へ導く外部放出手段(6)からなり、温室放出手段が第一の一連のチャネルに結合し、そして外部放出手段が第二の一連のチャネルに結合する。これにより、温室空気と外気との分離を維持しながら、温室内空気温度の調節可能に、温室内の空気は、新しい空気の供給なしで保持される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
遮蔽された園芸においては、作物の成長および品質に影響するすべてのパラメータを制御する必要性が増している。同時に、エネルギー消費、CO2の発生、そして作物保護製
品の使用を可能な限り低く抑えて、このことを行うことが重要である。この場合、一方で湿気不足(絶対湿度、そして乾気m3につき数グラムの湿気の完全飽和湿度における差)
が植物の栄養分吸収および健康を決定し、他方で蒸発(または結露)が比較的に大量のエネルギーを消費するため、温室の湿気管理は重要な部分を占める。
【0002】
温室の温度制御を可能にするために、加温時期における加熱手段の他に、温室内の環境を制御するためのデバイスも使用される。このデバイスは、第一の一連のチャネルおよび第二の一連のチャネルを持つ第一の熱交換器からなり、チャネルは、チャネル内に存在する流体から熱エネルギーを相互に移送するように適応している。温室供給手段が温室から第一のチャネルへ導き、外部供給手段が外部から第二のチャネルへ導き、温室放出手段がデバイスから温室へ導き、そして放出手段がデバイスから外部へ導く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この既知のデバイスでは、温室から流出する空気の熱が、温室へ流入する空気に移される。これは、もちろん、温室内の温度が温室外の温度よりも低い、逆の状況でもそうである。しかしながら、この場合、空気は温室から外部へ運ばれるため、温室からCO2が失
われる。また、新鮮な空気が外部から温室へ供給されるため、外部からの病原体による汚染の危険性が生じる。
【0004】
上記説明のように、温室内に存在する、また温室へ加えられた二酸化炭素が作物植物のために保持されるよう、温室内に存在する空気が温室内に留まることが重要である。また、汚染および感染の危険性を最小限に維持するために、外部から温室内へ運ばれる空気を最少にすることも重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明は、温室放出手段が、温室供給手段が導くチャネルへ接続し、そして外部放出手段が、外部供給手段が導くチャネルへ接続する上述のタイプのデバイスを提供する。
【発明の効果】
【0006】
これらの手段を使用することにより、温室内に存在する空気は、新しい空気の供給なしで保持され、温室空気と外気との分離を維持しながら、温室内の空気の温度調節が可能である。これは、原則として、温室内の温度が可能な限り維持される上記に明示したもの以外の状況であるが、温室空気の温度よりも低い外気温度および高い湿度での、温室空気中に存在する水の結露を可能にするというオプションを提供する。これにより温室空気を乾燥させることができる。また、温室壁に対する温室空気の結露は、ピーク負荷が高い状況において正確に減湿を生じさせる。
【0007】
本発明によるデバイスは、所定範囲内の温度に、所望の温度、そして湿気不足すなわち乾燥を維持するように設計され、エネルギー消費が最小であり、そして温室が閉じたままである。このため、CO2の減失が発生せず、また、病気や害虫が入ることがない。温室
空気と外気との完全な分離があるため、加えたCO2が失われることはない。製品の量お
よび質は、一定な春の環境によって向上される、また、生産時期も所望に移すことができ
る。
【0008】
好適実施例に記載のデバイスは、温室の温度を低下させる冷却ポジション、または温室の温度を上昇あるいは維持する加熱ポジションを採るように適応している。そして、デバイスは、加熱ポジションで作動する第三の、そして第四の一連のチャネルを持つ第二の熱交換器を備える。加熱オペレーション中、温室空気を冷却するために外気が使用される。二つの空気・空気熱交換器を介して凝結点よりもかなり低い温度へそれを断熱冷却した後、温室空気をほぼ初期温度まで、湿度を非常に低くして加熱するために可感熱および凝縮熱が再利用される。冷却オペレーション中は、空気・空気熱交換器を介して温室空気を冷却、そして除湿あるいは乾燥させるために、この断熱的に冷却された外気が使用される。その後、温室空気は過飽和に加湿され、温室内の空気と混合された後にさらに断熱的に冷える。この場合、湿気不足は一定に維持される。
【0009】
本発明によるデバイスは、加熱ポジションで〜250m3-1、そして冷却ポジション
で〜400m3-1の最大通気量を持つモジュールとして寸法決めされることが好ましい
。加熱ポジションでの熱損失は、窓を開けた場合の熱損失に対して数パーセント程度である。冷却能力は、T=25Kで最高15kWまで、温室と外気の結露点との温度差と共に上昇する。大抵の作物に対して、40m2につき一つのモジュールを適用すれば、温室は
常に閉状態に維持できる。
【0010】
各々がコントロールを持つ複数のモジュールを、温室に分配適用できる、あるいは、温室の一方の側にまとめて結合できる。その後、温室のインフラに応じて、例えばエア・フィードを介して通気配分を行う。温度および湿度は、ネットワーク内に合体されたモジュールの凝結温度が個々に調節できる正確な方式で制御できる。また、垂直方向勾配は、ホースまたはチャネルを使用してモジュールの気流を垂直方向に強制することによって減少できる。
【0011】
もう一つの好適実施例によれば、加熱ポジションで、第二の熱交換器の第三の一連のチャネルは、温室供給手段と第一の熱交換器の第一のチャネルとの間に結合され、そして第二の熱交換器の第四の一連のチャネルは、第一の熱交換器の第一のチャネルと温室放出手段との間に結合される。これは、チャネルの数および長さを制限する構造的に魅力的な実施例である。
【0012】
デバイスの熱力学効果は、冷却ポジションで、第二の熱交換器の第三の一連の、そして第四の一連のチャネルが、各々、第一の熱交換器の第一の一連の、そして第二の一連のチャネルに平行に結合されるときに最適化される。
【0013】
代替的な実施例によれば、冷却ポジションで、流体は第二の熱交換器の第四の一連のチャネルのみを通過し、第二の熱交換器の第三の一連のチャネルが迂回される。これは、最適な結果に至らないが、チャネル構成を大いに単純化する。
【0014】
第一の熱交換器の第一の一連のチャネルと第二の熱交換器の第四の一連のチャネルとの間の結合に、または第二の熱交換器の第四の一連のチャネルと温室放出手段との間の結合に三方弁を入れると、構成はさらに単純化できる。三方弁は、加熱ポジションと冷却ポジションとの間に滑らかな移行を生じることを意図している。この配備は、コントロールの振動を防止する。
【0015】
熱交換器は、供給手段と第一および第二の一連のチャネルとの間の結合、そして放出手段と第一および第二の一連のチャネルとの間の結合を、定期的に繰り返し、そして同時に交換するように適応したレキュペレータによって形成されることが好ましい。この場合、
熱貫流が二倍以上であるよう、通常の感熱に加えて、潜在的な(結露)熱も移される。このいわゆるエンタルピー・レキュペレータは、より高度な減湿および冷却能力を提供する。また、代わりに、メンブレン・エンタルピー・レキュペレータを加えることもできる。
【0016】
熱交換器の各々が長方形状の内側ケーシング内に配置され、内側ケーシング内に設けられた弁によって閉じることが可能な開口が設けられ、そして内側ケーシングが外側ケーシング内に配置され、内側ケーシングに設けた開口の側で外側ケーシングの壁が内側ケーシングの壁よりもさらに外方へ延びると、デバイスの構造はさらに単純になる。この場合、内側ケーシングの相互に対向する面に開口が設けられると、構造的にさらに有利になる。
【0017】
冷却ポジションにおけるレキュペレータの並列使用と、同じチャネルおよびプレートでの加熱ポジションにおける使用が、多数のプレートを必要とするため、プレートの良好なシールは前提条件である。これは、プレートをプレート座に平行に移動させることによって、そして閉止路の最終ステージでプレートをプレート座の方向のみに移動させて達成できる。この場合、プレート上に柔らかな密封リングを設ければ、良好なシールが得られる。これらの手段を限られたスペース内に具現するために、弁が、閉止平面に実質的に平行に移動可能な閉止プレートを備えることを推奨する。
【0018】
この手段は、弁が、フレーム内に設けられて移動方向に実質的に平行に延びる溝内を各々がペアで移動可能な四つのガイドを備えること、そして溝が、プレートの移動方向に平行な成分、そしてシールに向かって延びる成分を持って延びる部分を備えることで魅力的に構造に実装できる。プレートの駆動は、弁が、閉止平面に平行に移動可能なロッド機構による操作に適応されると単純になる。これにより、閉止プレートは移動時にプレート座から大きく離れるため、この移動では摩擦が最も起こりにくく、プレート座に対するプレートの良好なシールが生じる。
【0019】
駆動は、デバイスの一方に配置した複数の弁に対して少なくとも一つの共用駆動デバイスを備え、それをロッド機構によって、被駆動弁に関連するプレートへ結合するとさらに簡略化できる。プレート・モータが自動ロック式のスピンドルを駆動するため、閉位置でシールに対する圧力が保持される。この目的において、モータは、最大電流値にほぼ到達したときに電源がオフとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明を、次の添付図面を参照して以下に説明する。
【図1】加熱ポジションにある本発明によるデバイスを表す図である。
【図2】冷却ポジションにある図1のデバイスを表す図である。
【図3】加熱ポジションにあるデバイス内で起こるプロセスを表すエンタルピー・ダイアグラムである。
【図4】冷却ポジションにあるデバイス内で起こるプロセスを表すエンタルピー・ダイアグラムである。
【図5】並列に結合されたレキュペレータを持つ、第一の代替的な冷却ポジションにある図1のデバイスを表す図である。
【図6】第一のレキュペレータを迂回する、第二の代替的な冷却ポジションにある図1のデバイスを表す図である。
【図7】本発明の第一の実施例を、各々、冷却ポジション、そして加熱ポジションで表す図である。二つのレキュペレータは、冷却ポジションで並列に結合される。
【図8】本発明の構造的な実施例による二つのエンタルピー・レキュペレータの組み合わせを表す概略斜視図である。
【図9】図8の実施例のパーツであるプレート・システムを示す斜視概略図である。
【図10】図8および9に示す実施例の内側ケーシングの等角投影図である。
【図11】図10に対応する図であり、外側ケーシングが輪郭線で示され、そしてファンが加えられている。
【図12】エンド・プレートを加えた図11に対応する図である。
【図13】加熱ポジションにおいてヒート・ポンプに結合された本発明によるシステムを表す図である。
【図14】冷却ポジションにある図13のシステムを表す図である。
【図15】図14のデバイス内で冷却ポジションにおいて起こるプロセスを表すエンタルピー・ダイアグラムである。
【図16】加熱ポジションにおいて帯水層に結合された本発明によるシステムを表す図である。
【図17】冷却ポジションにある図16のシステムを表す図である。
【図18】追加の熱交換器を持つ図17のシステムを表す図である。
【図19】加熱ポジションにおいてヒート・ポンプおよび帯水層に結合された本発明によるシステムを表す図である。
【図20】冷却ポジションにある図19のシステムを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明によるデバイスを表す単純な図である。デバイスは、エンタルピー・レキュペレータとして具現化した第一の熱交換器7からなる。第一の熱交換器7は、それに熱的に結合された第一の一連のチャネル7aと第二の一連のチャネル7bとを備える。デバイスは、また、『ノーマル』熱交換器8、すなわち、感熱を交換するためのみの熱交換器からなる。この熱交換器は、それに熱的に結合された第一の一連のチャネル8aと第二の一連のチャネル8bとを備える。デバイスは、さらに、温室からの空気をデバイスへ供給するための温室供給コネクション1、デバイスから温室へ空気を放出するための温室放出コネクション4、外部からの空気をデバイスへ供給するための外部供給コネクション5、そしてデバイスから外部へ空気を放出するための外部放出コネクション6からなる。
【0022】
加熱ポジションにおいて、温室から来る空気は、温室供給コネクション1から第二の熱交換器8の第一の一連のチャネル8aへ誘導される。この空気は、それから、点2に到達してから、第一の熱交換器7の第一の一連のチャネル7aへ誘導され、その後、点3に到達し、空気は、第二の熱交換器8の第二の一連のチャネル8bを介して温室放出コネクション4へ運ばれる。外部から来る空気は、外部供給コネクション5から第一の熱交換器7の第二の一連のチャネル7bを介して誘導され、その後、外部放出コネクション6を介して再び外部へ誘導される。
【0023】
第二の熱交換器8の第一の一連のチャネル8aを通過するとき、温室から来る空気は、第二の熱交換器の第二の一連のチャネル8bを通過する空気に冷却されて凝縮される。第一の熱交換器の第一の一連のチャネル7aを通過するとき、温室空気は、2から3で、第一の熱交換器の第二の一連のチャネル7bを通過する5から6の好ましくは断熱的に冷却された外気によって、さらに冷却されて凝縮される。温室空気は、それから、8から4へ8bを通過するとき、第二の熱交換器内で再び加熱される。このとき、8a通過中の凝縮熱が使用される。凝縮熱を利用することにより、湿度が大きく減少するのに対して、温室への復帰温度は、数パーセントのみの減少に留まることになる。また、図面には、加湿器10および11が示されている。これらは、断熱的な加湿および気流の冷却を提供するためのものである。温室空気および外気各々に関連する通路における他の部位に、ファンを設けることもできる。
【0024】
図2に示すように、冷却オペレーション中、両気流は、主に、第二の熱交換器8の第二の一連のチャネル8bを通過しないことを条件として、図1のものに対応する経路を通過
する。この場合、第二の熱交換器8の第一の一連のチャネル8aに関する通過は無意味になるので、それに応じて、あるいは択一的に、第二の熱交換器8の第一の一連のチャネル8aを通過させないことも可能である。
【0025】
本発明の熱力学オペレーションを、図3および4に示すエンタルピー・ダイアグラムで説明する。図3は、エンタルピー・ダイアグラムで、内外温度および相対湿度の常時発生する組み合わせに対する、デバイス内の異なる位置における加熱ポジションに対する状況を示す。1で示す状態の温室から来る空気は、冷却および凝縮されて、第二の熱交換器8の第一の一連のチャネル8aを2の状態で去る(数字は、図1および2のものに対応する)。第一の熱交換器7の第一の一連のチャネル7a内で、この空気はさらに状態3へ冷却および凝縮される。温室空気は、それから、第二の熱交換器8の第二のチャネル8b内で、デバイスに流入したときとほぼ同じ温度へ再び加熱されるが、より高度に乾燥した状態になる。その後、状態4が達成される。凝縮熱を利用するため、温室空気は、そのような程度まで加熱できる。これは、温度効率が100%に近い。外気は、まず、状態5から状
態5aへ断熱的に冷却される。外気は、それから第一の熱交換器内で温まり、温室空気によって形成された結露を蒸発させて、状態6でレキュペレータを去る。
【0026】
冷却ポジションにおける湿度測定または熱力学プロセスは、図4に示すように進む。この場合、青色破線によって示されるような、4g/m3の一定な湿気不足への制御を達成
するように試みる。状態1(数字は図2に対応する)にある温室空気は、第一の熱交換器7の第一の一連のチャネル7a内で冷却されて状態3へ凝縮される。送出温室空気中に、あるいは温室内では、水が霧化され、温室放出コネクション4を介して温室へ送られる。この空気は、温室空気と混合して状態4aに到達する。そして、太陽エネルギーが供給されている間に状態4bに到達し、それから、水が蒸発可能であるため、状態4cに到達する。説明のために経時的に示したが、実際、これらのプロセスは同時に進行する。平衡状態に到達した後、温室空気状態1および状態4cは同時に起こる。状態5にある外気は、断熱的に5aへ冷却される。この空気は第一の熱交換器7内で加熱されるため、温室空気によって形成された凝縮水は蒸発する。そして、空気は状態6でシステムから流出する。この例では、状態1の温室空気は、500Wm-2の総照射で平衡状態にある。他の青点は、常に100Wm-2だけ少ない。
【0027】
比較として、窓を開くことによって冷却が行われる温室の平衡状態を示す。1bを通る曲線は、トマト作物に対するものであり、そして1aを通る曲線は、トマトに比べ半分の湿気を蒸散する作物に対するものである。明らかに、窓が開かれた温室内の平衡状態温度は、強く蒸散する作物を用いる閉温室での本発明の適用のケースよりも数度低いが、蒸散の少ない作物の場合は、数度ほどより高くなる。閉温室への本発明の使用と窓を開くこととの大きな違いは、湿度、すなわち湿気不足にある。窓を開いたときは15以上になるため、健康な成長に最適と考えられる範囲から外れることになる。
【0028】
さて、冷却状況の代替的な実施例を、図5および6を参照して説明する。
【0029】
加熱ポジションにおいては、所望の減湿を達成するために凝結点以下への温室空気の冷却中に解放された熱の同時回収中に、外気を混ぜることなく、温室から湿気を取り除くために少なくとも二つのレキュペレータが必要となる。熱に加えて、エンタルピー・レキュペレータは湿気をも回収する。加熱オペレーション中、凝縮熱を冷却気流中に蒸発熱として放出できるので、エンタルピー・レキュペレータを用いる第二の結露ステップにおいては、より強烈な冷却が達成できる。これにより、より多くの湿気が温室空気から放出される。外部の厳しい霜にもかかわらず、エンタルピー・レキュペレータは凍り付くことがない。冷却オペレーション中、エンタルピー・レキュペレータは、温室空気から冷却空気へ湿気を移送する。これにより、温室空気のより強烈な冷却が達成され、冷却能力は相当に
向上する。
【0030】
加熱ポジションにおけるエンタルピー・レキュペレータは、復帰温室空気を再加湿することを意図していないため、第一の結露ステップでは何の目的も果たさない。冷却ポジションでは、図2に示すように、レキュペレータは使用されない。したがって、この場合、エンタルピー・レキュペレータは何の目的も果たさない。
【0031】
冷却ポジションにおいては、しかしながら、図2のダイアグラムが多数のプレートで拡張されるならば、図5に示すように両レキュペレータを通過する流れが並列になるよう第一のレキュペレータを使用できる。これにより、温室空気と外部(冷却)空気との両方に対する流れ抵抗が減少し、同じファンを使用する最大流量、そしてそれによる冷却能力が増加する。
【0032】
この構成では、(感熱のみに対する一つのレキュペレータと共に)エンタルピー・レキュペレータを全く使用しない、あるいは一つ使用することも可能である。もし、プレートを持つエンタルピー・レキュペレータを適用するならば、両レキュペレータは、また、エンタルピー・レキュペレータであってもよい。加熱ポジションにおいて、その場合、凝縮水がレキュペレータから流出し復帰温室空気へ移らないよう、第一のエンタルピー・レキュペレータの切り換え時間は無限に設定される、すなわち、スイッチングは行わない。冷却ポジションにおける冷却能力は、温室空気から外部(冷却)空気への湿気の移送によって、大いに増加する。しかしながら、メンブレン・レキュペレータを使用する場合、結露が発生することは全くない。冷却ポジションで第一のレキュペレータが迂回される場合、ダイアグラムは図6のようになる。このダイアグラムは、単一の三方弁を必要とする。レキュペレータが冷却ポジションで並列に結合されるならば、回路ダイアグラムは、図7に示すように相当に複雑になる。
【0033】
加熱ポジションから冷却ポジションへの切り換えを可能するダイアグラムは、相当な数の二方弁および三方弁(このダイアグラムでは12の二方弁と一つの三方弁)を必要とする。二方弁の数は、ケーシング内の分配チャネルの経路をうまくデザインすることによって減少できる。図6および7の三方弁は調整を行うものである。これにより、加熱ポジションから冷却ポジションへの継続的な遷移が達成できる。これは、残りのプレートが加熱ポジションにある場合にのみ可能である。その場合、冷却された温室空気3が、再加熱された温室空気4に混合される。三方弁がその最終位置に到達したらすぐに、他の弁は冷却ポジションに配置される。
【0034】
二つのレキュペレータを通して温室空気および外気の流れを適切に誘導して、加熱から冷却オペレーションへの切り換えを有効にするためには、一つ以上のプレートを持つチャネル・システムが必要である。実用的な、そして経済的な理由で、ケーシング内のチャネルおよびプレートは、可能なかぎりの最低製造コストで起こり得る最少流動損失を達成するように構成しなければならない。作動部材、例えばファン、加湿器、ポンプ、プレート・モータおよびコントロールは、コンパクトで独立して作動するモジュールになるよう、このケーシング内に一体化できる。その場合、複数のモジュールを、より大きなユニットを形成するために組み付ける、あるいは、温室を覆って分散配置することが可能である。明らかではあるが、モジュールは、大きなケーシング内に並列に結合することもできる。
【0035】
ケーシングの機能は、他の目的もあるが、統合型空気分配チャネルへの複数のレキュペレータの漏れのない結合を可能にすること、可能な限りの最小流動損失で分配チャネルを収容すること、分配チャネルを交差させるための空間幾何学的な解決策を提供すること、加熱から冷却ポジションへの切り換えのために複数のプレートを収容すること、可能な限りの少数のプレートの使用を可能にすること、高効率のファンを配置すること、結露水を
集めて排出すること、外気および温室空気の加湿を許容すること、温室空気および外気の供給および放出チャネルへの結合を提供することである。これらの機能により、複数のケーシングが積み重ねられ、あるいは並列に配置される場合、スーパー・ヘッダーまたはマニホルドの単純な構造は、複数のコネクションを結合する、正確に整列させた状態での複数のユニットの積み重ね、並列据え付け、そして固定を可能にする、正しい状態下での制御エレクトロニクスの収容を可能にする、構成要素の容易な取り付け、そしてシステムの単純な整備を可能にするのに十分である。
【0036】
プレートは良好に閉じなければならない(全漏れ<メータ標準流量の0.5%)。そし
てあまりスペースを取らない。解決策は、それらをスライド・プレートとして具現化することである。この場合、ガイド・レールの形態を採用することにより、閉止移動の終わりに、この移動に対して、プレート座のシールへ直角にそれらが押圧される。開ポジションにおいて、プレートは、レキュペレータの閉面に平行であるため、追加のスペースを取らない。可能な場合は、プレートをロッド機構に結合することで、直線運動のために必要となるモータを可能な限り少数にできる。三方弁は、回転弁として具現化できる。
【0037】
分配チャネルは、一方で、可能な限りスペースを取らない、そして他方で、レキュペレータに比べ流れ抵抗が小さいような大きさである必要がある。レキュペレータの側面に二つの分離チャネルを配置することによって、これら二つのチャネルは、レキュペレータの流入または流出開口へ結合できるため、レキュペレータの流入および流出開口はランダムに相互へ結合できる。冷却ポジションにおいて並列レキュペレータを含むダイアグラムに必要なすべての置換を許容するためには、レキュペレータの両側に二つの並列チャネルを設けなければならない。そして、レキュペレータの所望の流入および流出開口が相互に結合されるようにスライド・プレートが操作される。分配チャネルのこの配置は、分配チャネルが相互に交差することを防止するため、分配チャネルには、より多くのスペースが必要である。
【0038】
ケーシングは、レキュペレータが同時に二つのケーシング・パーツによって包囲されるように形成されることが好ましい。この場合、ケーシング・パーツは、シール・フランジに対して実質的に直角に閉じられる。このように取り付け時に、フランジとケーシングとのシールが一方向でのみ配置されることによって、非常に良好なシールが実現できる、また、取り付けは、位置決め補助なしで実行できる。ケーシング・パーツは、クランピング嵌合を持ち、漏れのないよう具現化された舌状突起および溝結合を備える。この結合を自己位置決めに形成することによって、取り付けプロセスは単純になる。
【0039】
ケーシング・パーツは、二つのケーシング構成要素が同じ型で形成できるように、対称形状をとることが好ましい。ケーシング・パーツは、スライドを使用する必要が全くないように製品を型から一方向に取り外すことが可能なよう形成されることが好ましい。この目的のために、対称性の目的で設けられるが機能的には必要でない開口を埋めることが可能な閉止パーツが適用される。
【0040】
スライド・プレートは、ケーシング・パーツ内へ凹んだスペースへ押し込むことによって、ケーシング・パーツの引き方向に取り付けできるようにデザインされる。この場合、カット・エッジによって良好なシールが実現する。ケーシングは、発泡プラスチックから形成されることが好ましい。そうすることによって、良好な断熱値が得られる、また、安定なケーシングが形成できる。この場合、強度、絶縁値、生産性、重量および価格の理由で、発泡ポリプロピレン(EPP)等の材料を推奨する。
【0041】
この用途に最も適当な、後向きの羽根を持つラジアル・ファンのために、ブレード・ホイールの周りに十分なスペースを設けることによって、可能な限りの最高ファン効率を達
成する。
【0042】
外部(冷却)空気のインレットに、霧化された水滴の大部分の蒸発を許容するよう十分なスペースを設けることによって、空気を可能な限り断熱的に冷却する。
【0043】
ケーシングには、両側に閉止カバーが設けられ、その上に、ファン、エレクトロニクスおよび加湿器が取り付けられる。カバーおよびケーシング・パーツには、ケーシング・パーツのケースと同様に、舌状突起および溝結合が設けられる。カバーの外側とマニホルドまたはスーパー・ヘッダーのチャネルの構成要素とは、舌状突起および溝結合を備える。これらのチャネル構成要素も、舌状突起および溝結合を備える。これは、ケーシング・モジュールが、より大きな全体を形成するよう容易に組み付けできるというシステムを形成する。
【0044】
分配チャネルとプレートとの好適な適用空間幾何を、図8を参照して説明する。ベースは、相互に一列に配置された第一および第二のエンタルピー・レキュペレータ7および8によって形成される。外気を放出するための放出チャネル6は、両レキュペレータ7、8の放出側に沿って延びる。温室空気を放出するための放出チャネル4は、同様に両レキュペレータ7、8の放出側に、放出チャネル6に平行に延びる。二つのレキュペレータ7、8は、チャネル2、3を結合することによって相互に結合される。外気を供給するための供給チャネル1は、レキュペレータ7、8の供給側の放出チャネルに平行に延びる。外気を供給するための供給チャネル5は、同様に、レキュペレータ7、8の供給側のその他のチャネルに平行に延びる。また、レキュペレータ7、8とチャネル1、4、6、7および結合チャネル2、3の一つとの間に、各々、プレートb、c、d、e、f、g、hおよびIが設けられる。これらのプレートb、c、d、e、f、g、hおよびIは、すべてスライド・プレートである。また、三方弁によって形成される弁aは、チャネル4および6とレキュペレータ8との間に設けられる。
【0045】
プレートbからIは、図9に示すような閉ポジションで適切に閉じるメカニズムと共に、スライド・プレートとして具現されることが好ましい。プレート20は、ガイド・トラック22内を突出部21と共に移動する。ガイド・トラック22は、プレート20が相互に極小摩擦で移動可能なよう、プレート20とプレート・フレーム23との間に短距離を維持するように配置される。プレートが閉じなければならない位置のちょうど前で、ガイド・トラックは、プレート・フレームの方へ角度(〜45°)で延びる。プレート移動の終端で、プレート20は、その密封オーリング(図示せず)と共に、プレート・フレーム23に対して押圧される。このことは、無視してよい摩擦で、良好なシールを形成する。
【0046】
プレート20は、中心に突出部24を持ち、それには、もう一つのプレートへ結合可能なガイド・ロッド25および26を取り付けることができる。突出部は、ガイド・レールに対して直角に形成され、突出部の回りをガイド・ロッドは回転可能である。このガイド・ロッドは、図10に示すように、上下に位置する二つのプレート20の突出部24にも結合される。
【0047】
図10に示すように、内側ケーシングは、レキュペレータに直接的に結合する、そしてガイド・レールの一部が嵌るケーシングの一部である。ここでは、図面からプレートのオペレーションが明確に理解できるよう、内側ケーシングを外側ケーシングの残部から分離して図示している。ここでは、明瞭に示すためにレキュペレータも省略している。プレート20はスピンドル・モータで駆動される。プレートは、ガイド・ロッド25および26で相互に結合されている。これにより、モータの個数で節約が可能である。プレートaは、回転プレートとして具現され、スピンドル・モータによって回転点の周りを移動する。スピンドルが自動ロックするようウォーム・ドライブのピッチを選択することによって、
プレート上にはテンションが留まり、シールが良好に押し下げられる。これにより、漏れは最小となる。回転プレートaのスピンドル・モータは、プレート・フレームの背後のロッド上で回転可能である。説明のプレート・システムでは、10のプレートに対して三つのモータのみが必要であるが、プレートは、もちろん、他の方式で移動および駆動することもできる。内側ケーシングのポートのいくつかは、二つの型のみが必要なよう、ケーシング・パーツを対称形状で実施する、また、型から取り外しを可能にするためにのみ形成される。それらは、閉止ピース27および28を入れることによって閉じられる。また、中心の右に閉止パーティション29が確認できる。これも対称性の理由で、型には省略されている。
【0048】
図11では、内部のパーツが見えるように、外側ケーシングを線画として加えている。この図面は、ファンのためのインレット開口と、ファンが配置できるスペースを示す。最終的に、図12に示すようにエンド・カバー31が加えられる。
【0049】
加熱機能は、通常、温室内のパイプ加熱システムによって満たされる。この場合、熱は、ボイラー、または組み合わせヒートおよびパワー・システムによって供給される。熱は、熱ポンプによって供給することもできる。この場合、熱は、既に加熱された外気と新しい外部(冷却)空気から抽出できる。これにより、より多くの減湿を行うこともできる。それから、熱ポンプは、加熱した外気と共に熱を放出しながら、冷却ポジションで外部(冷却)空気を冷却する、そして温室への空気をさらに冷却するために使用することもできる。
【0050】
加熱ポジションにおいては、既に予熱され加湿された外気から熱が抽出される。この場合、感熱に加えて、温室から運び出された湿気の凝縮熱も利用される。これにより、高『パフォーマンス係数』(COP)が達成できる。
【0051】
冷却ポジションにおいては、温室への復帰空気が最初に冷却され、それから、外部(冷却)空気が加熱媒体で冷却される。ここで、レキュペレータは、減湿によって最大冷却を生じ、温室空気はさらに冷却される。
【0052】
熱ポンプの熱交換器のアレンジメントは、通常のものとは異なり、二つの熱交換器ではなく、外気のための供給に一つを加えた三つの熱交換器を使用する。この目的は、エンタルピー・レキュペレータが、より多くの潜熱を移送するためである。そうすることによって、システム有効度は、大いに向上する。加熱ポジションにおけるシステムは、図13に示すとおりである。
【0053】
熱ポンプは、最初に、その熱を除湿された温室空気へ放出する。この場合、熱交換器41は、向流で運転される。これに続く膨張によって媒体を冷却する。これにより、外気は、まず、熱交換器42内で冷却される。この冷却された外気は、温室空気が、より深く冷却されることを保証する。これにより、より多くの湿気が温室空気から抽出される。加熱された媒体は、加熱および加湿された外気によって、熱交換器43内でさらに加熱される。ここでは、温室空気の減湿中に発生した湿気の凝縮熱を利用する。熱ポンプのすべての熱交換器は、空気に対して向流であるため、熱交換器の最大能力が達成される。交換器が高い熱交換能力を持つため、排出外気の温度は、流入空気のそれに接近する、そして失われるパワーは、外気中の湿気の蒸発熱と飽和外気との間の差のみである。
【0054】
外部気流を増加させ、凝結点および氷点のちょうど上で留めることによって、低外気温度での熱交換器42の凍結を防止できる。温度が氷点よりもかなり低い場合は、熱交換器42を迂回させ、熱交換器43を介してのみ復帰外気から熱を抽出し、氷結が発生しないように外部気流を調節することができる。
【0055】
高い加熱要求および低い湿気生成のケースでは、多すぎる減湿が起こることがあり得る。温室空気10の加湿器を使用することによって、温室空気の状態は再び正しい値に調節できる。それから、霧化器44を持つ熱交換器41の前に加湿を実行することを推奨する。そうすれば、温室空気は、最初に断熱的に冷却されてから水ポンプによって、熱交換器41の後に加湿が行われるよりも低い温度へ加熱される。これにより、熱ポンプのCOPは増加する。減湿を制限するもう一つの方法は、外部気流を制限することである。そうすることによって、減湿はより少なくなる。しかし、熱ポンプは、その場合、おそらく熱交換器43を越えてはほとんど空気を受けない可能性がある。これにより、COPは低下し、そしてパワーは、おそらく生成されないであろう。この場合の救済策は、追加のプレートのコストで、熱交換器43へ直接的に外気を迂回することであろう。
【0056】
冷却ポジションにおいては、(ここに四つの三方弁47、48、49、50として図示された)一つの四方弁が、熱ポンプ・システムによって置換され、そして温室減湿システム内のプレートが、図14に示すように結合される。また、向流ですべての熱交換器を運転するために、プレート46、51および52を使用することを推奨する。
【0057】
熱交換器43内において、熱ポンプは、最初に、加熱および加湿された外気へ熱を放出する。膨張、そしてその結果生じる冷却の後、冷却および除湿された復帰温室空気は、向流で熱交換器41内で冷却される。それから熱交換器42内において、加熱された媒体が外気を冷却する。外気の断熱性冷却11が、温室を所望の状態に維持するために十分なパワーをもはや生じないときにのみ、熱ポンプが利用される。熱ポンプによって外気の湿球温度が達成されたとき、断熱性加湿11は、オフに切り換えできる。復帰温室空気だけでなく外気5も冷却することによって、エンタルピー・レキュペレータは、より広い範囲の温度に渡って、温室空気から外気へ湿気を移送することができ、それによって、より大きな冷却能力を実現できる。温室へ復帰すると、冷却および除湿された温室空気は、水を霧化することによって、過飽和へ加湿される。この霧は、温室内の空気との混合後に蒸発し、そのことによって温室を冷却する。この場合、一定の湿気不足を達成するよう試みることが好ましい。霧化器45を使用して熱ポンプのコンデンサの前で、流出外気6中に水を霧化することによって、この水は、分散された状態でコンデンサを覆って蒸発し、より非常に低いアウトレット温度を提供し、それによって熱ポンプ媒体のより低い温度6を提供する。これにより、熱ポンプのCOPは向上する(図15における6aから6bへの断熱性冷却によって6から6aへ)。
【0058】
図15のエンタルピー・ダイアグラムは、加熱された外気の温度が、最初に、霧化器45での断熱性冷却によって6aへ減少されることを示す。それから、状態6bが達成されるまで、熱交換器43内に熱ポンプによって熱が供給される。その後、過飽和された外気6aの蒸発によって、断熱性冷却が行われ、状態6cが達成される。冷却された温室空気3は、熱ポンプによって熱交換器1内で3aへさらに冷却される。この場合、空気はさらに除湿され、熱交換器41内に結露が発生する。ケーシング内で、または温室内で水が霧化される。空気が温室空気と混合することによって、(便宜のために個々のステップとして、ここに説明する)温度が4aへ上昇し、その後、温度が、日射によって4bへ上昇する。その後、温度は、温室空気1の平衡状態に等しい状態4cが達成されまで、断熱性蒸発によって低下する。
【0059】
熱および冷たさの長期貯蔵は、加熱および冷却要件を満たすための、可能性のあるオプションである。この場合、帯水層内での貯蔵、いわゆる帯水層貯蔵が、最も明らかな技術的解決策である。帯水層貯蔵は、既に、多くのプロジェクトに採用されている。その目的は、暖および冷ソース間に、(図示しない分離交換器を介して)地下水の空気への移送のための熱交換器が経済的なサイズを維持できるよう、可能な限り大きな温度差を形成する
ことである。暖から冷ソースへの切り換えは、プレート58、59、60および61で行われる。加熱ポジションにおいて、冷帯水層は、熱交換器53内での外気放出から蓄えられる。この空気6は、第二のレキュペレータ内で既に加熱されている。暖ソースは、熱交換器54を介する復帰温室空気4の熱交換器へ熱を供給する。冷ソースの温度を低下させるためには、断熱的に冷却された外気5aを、三方弁55を通して使用できる。図16を参照。
【0060】
すべての熱交換器が向流で運転されると、システム効率は向上する。また、貯蔵は熱的に階層化する(下は冷たく、上は暖かい)。冷却ポジションにおいては、暖ソース56を加熱するために、加熱された外気が使用される。既に冷却された温室空気をさらに冷却するためには、冷ソース57が使用される。図17を参照。
【0061】
外気6の放出における凝縮熱の、より良好な利用を可能とするために、断熱的に冷却された外気5aの供給に、熱交換器62および三方弁63を加えることができる。その場合、この空気は、温室空気4の復帰の熱交換器の後に、冷ソースからの返送水によって冷却される。これにより、外気のフィード温度は減少するため、より多くの湿気が外気6へ移され、より多くの湿気が熱交換器内で凝結でき、そして暖ソースへの加熱能力が増加する。図18を参照。
【0062】
熱ポンプ・システムおよび帯水層は結合できる。この場合、帯水層は、依然として放出外気中に存在する熱または冷気を、他の時期のために貯蔵するよう機能する。また、熱ポンプのインレットの温度を、より高く、あるいは低くする。これによって、熱ポンプのCOPは向上する。
【0063】
図19は、加熱ポジションのための組み合わせを示す(単純にするために、短期の熱および冷の貯蔵は、ダイアグラムに含まれていない)。帯水層と熱ポンプ・システムとの間の結合は、熱交換器64および三方弁65を介して行われる。
【0064】
このシステムでは、(サイズ、栽培のタイプ、環境、その他に応じて)平衡状態が達成されず、毎年、熱貯蔵が、より暖かく、そして冷貯蔵より冷たくなる可能性がある。このため、システムは、少なくとも近傍に即時の需要がある場合、熱および、あるいは冷の供給源として使用できる。図20は、冷却ポジションのための組み合わせを示す。
【0065】
システムは、組み合わせのため、幾分より複雑になる。しかし、減湿システムおよび熱ポンプ・システムの有効性は、エンタルピー・レキュペレータを介したより大きな温度差、そして熱ポンプを介した低温度差により、上昇する。このため、装置は、より小さくできるため、より安価な形態を採ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
大企業は、しばしば、熱併給発電を利用する。利点は、とりわけ、購入助成金、そしてピーク時に本線へ供給する、また第三者へ熱を供給するときの有利な価格である。CHPは、排煙からの廃熱およびCO2の一部の使用よりも、多くの真のエネルギー節約を生じ
るものではない。変換効率は、最新のパワー・ステーションのそれよりも低い。熱の相当な部分は、利用できず、相当なコストで捨てなければならない。そのCO2は、排煙中の
汚染物質のため、すべての作物に利用することはできない。失望的なフィード・イン関税率の場合、CHPは、経済的に運転することができないので、他の利点も失われることになる。したがって、危険な投資である。
【0067】
ホーティエア(HortiAir)システムは、真の省エネルギー設計であるため、基本的な節約を保証する。システムは、すべての状況において、制御可能な減湿を提供する
ことによって、閉温室内に所望の湿気不足を達成することが可能である。エネルギーおよびコスト節約に加えて、生産増加および品質向上をもたらす。この場合、CO2の要求は
相当に少ない。
【0068】
ホーティエア・システムとCHPシステムとの組み合わせは、オプションとして、熱ポンプや熱および冷の長期貯蔵器を設けることも含み、相当に小さなCHPシステムを可能にし、化石エネルギーの使用を減少させる。CHPは、温室表面積の単位m2につき低エ
ネルギー・コストをもたらすように見えるが、CHPとの組み合わせでのホーティエア・システムの使用は、より低いコスト、より良好な制御可能な温室環境、そして増産をもたらす。多くの場合、CHPのないホーティエア・システムの使用は、全体的に、より良好な結果を生じる。選択は、リスク分析に基づいたものでなければならない。その際、省エネルギーは常に有利な結果をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル内に存在する流体から熱エネルギーを相互に移送するように適応した第一の一連のチャネルおよび第二の一連のチャネルを持つ第一の熱交換器、
温室から第一の一連のチャネルへ導く温室供給手段、
外部から第二の一連のチャネルへ導く外部供給手段、
デバイスから温室へ導く温室放出手段、そして
デバイスから外部へ導く外部放出手段からなり、
温室放出手段が第一の一連のチャネルに結合し、そして外部放出手段が第二の一連のチャネルに結合することを特徴とする、温室内の環境を制御するためのデバイス。
【請求項2】
デバイスが、温室の温度を低下させる冷却ポジション、または温室の温度を上昇させるあるいは維持する加熱ポジションを取るように適応しており、そしてデバイスが、第三の、そして第四の一連のチャネルを持ち、少なくとも加熱ポジションで作動する第二の熱交換器を備える、ことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
加熱ポジションにおいて、第二の熱交換器の第三の一連のチャネルが、温室供給手段と第一の熱交換器の第一のチャネルとの間に結合され、そして、第二の熱交換器の第四の一連のチャネルが、第一の熱交換器の第一のチャネルと温室放出手段との間に結合されることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
冷却ポジションにおいて、第二の熱交換器の第三の一連の、そして第四の一連のチャネルが、各々、第一の熱交換器の第一の一連の、そして第二の一連のチャネルに並列に結合されることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
冷却ポジションにおいて、第二の熱交換器の第四の一連のチャネルを通してのみ流体が通過し、そして第二の熱交換器の第三の一連のチャネルが迂回されることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
第一の熱交換器の第一の一連のチャネルと第二の熱交換器の第四の一連のチャネルとの間のコネクション内に、または、第二の熱交換器の第四の一連のチャネルと温室放出手段との間のコネクション内に三方弁が受容されることを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
熱交換器が、供給手段と第一および第二の一連のチャネルとの間のコネクション、そして放出手段と第一および第二の一連のチャネルとの間のコネクションを定期的に、繰り返し、そして同時に交換するように適応したエンタルピー・レキュペレータによって形成されることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
熱交換器が、各々、長方形状の内側ケーシング内に配置されること、弁によって閉じることが可能な開口が、内側ケーシングに設けられること、そして開口が、内側ケーシングの相互に対向する面に設けられることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
内側ケーシングが外側ケーシング内に配置されて一体的に形成されること、そして内側ケーシングに開口が形成された側の外側ケーシングの壁が、内側ケーシングの壁よりもさらに外方へ延びることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
弁が、閉止平面に実質的に平行に移動可能な閉止プレートを備えることを特徴とする、請求項8または9に記載のデバイス。
【請求項11】
弁が、フレーム内に設けられて移動方向に実質的に平行に延びる溝内を各々ペアで移動可能な四つのガイドを備えること、溝は、プレートの移動方向に平行な成分、そしてシールに向かって延びる成分を持って延びる部分を備えること、そして弁が、閉止平面に平行に移動可能なロッド機構による操作に適応していることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
コンプレッサ、蒸発器、そして少なくとも二つのカプリング熱交換器を備える熱ポンプを特徴とし、カプリング熱交換器の第一が、第一の熱交換器と外部供給手段との間に受容され、そして第二が、第二の熱交換器と温室放出手段との間に受容される、請求項2から11のいずれかに記載のデバイス。
【請求項13】
第三のカプリング熱交換器が、外部供給手段と第一の熱交換器との間に受容されることを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
少なくとも第一および第二のカプリング熱交換器を備えた帯水層等の熱貯蔵エレメントを特徴とし、カプリング熱交換器の第一が、第一の熱交換器と外部供給手段との間に配置され、そして第二が、第二の熱交換器と温室放出手段との間に配置される、請求項2から13のいずれかに記載のデバイス。
【請求項15】
外部供給手段と第一の熱交換器との間に配置される第三のカプリング熱交換器を特徴とする、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
熱ポンプに結合される少なくとも第一のカプリング熱交換器を備えた帯水層等の熱貯蔵エレメントを特徴とする、請求項14または15に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2013−507916(P2013−507916A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534138(P2012−534138)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050691
【国際公開番号】WO2011/049440
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(504344864)レヴェル ホールディング ビー.ブイ. (2)
【住所又は居所原語表記】Panterlaan 20,NL−5691 GD Son,the Netherlands
【Fターム(参考)】