説明

温室用防虫ネット張設装置

【課題】極めて簡易な構成により、防虫ネットが換気窓と温室開口部との間に挟まれることを防止する。防虫ネットの破損を防止し、防虫ネットの使用量および取付作業を軽減して、コストを低減する温室用防虫ネット張設装置を提供する。
【解決手段】一端が換気窓3に他端が開口部72にネット固定具8により固定され、換気窓が開放されたときに形成される開口部分を囲繞する防虫ネット5と、換気窓の開閉動作に応じて温室外表面の外側で換気窓枠に直交する方向に進退するネット案内規制部材6とを具備し、換気窓が開放されるとき防虫ネットを伸張し、換気窓が閉鎖されるとき防虫ネットを温室外表面の外側で温室内方に折り畳んで、防虫ネットが換気窓と開口部との間に挟まれることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室用防虫ネット張設装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来温室には、室内の温度の調節、新鮮な外気の取り入れ、あるいは雨水の取り込み等を
目的として、温室の頂部、側面部、妻面部、あるいは谷部等に開閉自在な換気窓が設けら
れおり、この換気窓には農作物の成長を阻害する害虫が進入することがないように、ある
いは、農作物にとって有用な虫が温室外に逃げ出さないように防虫ネットが取付けられて
いる。
【0003】
そして、その従来技術として、登録実用新案第3081599号公報には、屋根に形成さ
れた窓開口をその一側縁に枢着されて天窓開閉機構により作動される天窓により開閉自在
とした天窓装置の前記窓開口と天窓との間にこの天窓が開かれたときに形成される開口部
分を囲む防虫網を取付けるとともに、この防虫網の前面部の中間に添って横方向に間隔を
置いて設けた中間保持フレームを、防虫網の中間部分が常時天窓の回動軌跡外にはみ出さ
ないように、天窓開閉機構の開閉アームに遊動自在に支持させた天窓用防虫網が開示され
ている。
【特許文献1】登録実用新案第3081599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来技術においては、図4に示すように、天窓101は電動または手動で作動される
天窓開閉機構により開閉されるものである。この天窓開閉機構は天窓の前縁部下面に一端
を枢着させた開閉アーム103を図示しないリンク機構を介して出没させることにより天
窓の開閉を行なうものであり、天窓の開閉アームの先端は天窓の前縁部下面に設けられる
取付用座に取付けたブラケットに枢着されている。天窓の基端部は本体フレームの頂部に
取付けたアルミ型材よりなる棟材102とで蝶番を形成している。
【0005】
保持手段105は、防虫網104の中間部分を支えて防虫網が常時天窓の回動軌跡外に大
きくはみ出すことを防ぐためのものである。この保持手段105は防虫網104の前面部
の中間に添って横方向に設けた中間保持フレーム106と、該中間保持フレームを支持し
て防虫網の中間部分が常時天窓の回動軌跡外にはみ出すことを防ぐ支持部材107とから
なるものである。中間保持フレームは屋根フレーム部分を切欠したり屈曲させて天窓の閉
鎖下降時、中間保持フレーム106が屋根フレーム108にぶつからないようにしている

【0006】
また、支持部材107は天窓開閉機構の開閉アーム103を兼ねるものとしてこの開閉ア
ーム103に中間保持フレーム106を遊動自在に支持させている。遊動部材は天窓の開
閉アームを挟み込んだうえ中間保持フレームにU字ボルト109を取付けることにより、
中間保持フレームを開閉アームに遊動自在に取付けたものとしている。
【0007】
前記従来技術の防虫網の中間保持フレーム106は、温室の本体フレーム108を超えて
上下動するため、部分的に切欠したり屈曲させて天窓101の閉鎖下降時、中間保持フレ
ーム106が屋根フレーム108にぶつからないようにする必要がある。
そしてこのように構成すると、防虫網を棟方向に余裕をもたせて、所謂ギャザを付けて
天窓枠や開口部枠に取付ける必要があることから、防虫網の取付けに時間を要するばかり
でなく、防虫網の使用量も増大しコストが嵩む。
【0008】
また、コストを削減するため、遊動部材を天窓の開閉アームを挟み込んだうえ中間保持フ
レームにU字ボルト109を取付けて、中間保持フレーム106を開閉アームに遊動自在
に取付け、防虫網を棟方向に余裕をもたせず、所謂ギャザを付けないで天窓枠や開口部枠
に取付けるることとした場合、中間保持フレーム106は、温室の本体フレーム108の
上面に位置する防虫網にその動きを制限されて、下方へ移動することが困難となり、結局
防虫網104が天窓101の回動軌跡外にはみ出すことを防ぐことが困難となる。
【0009】
以上の実状に鑑み、本発明は前記従来技術の欠点を克服することを目的とするものであり
、極めて簡易な構成により、防虫ネットが換気窓と温室開口部との間に挟まれることを確
実に防止した温室用防虫ネット張設装置を提供することにある。
また、本発明は、防虫ネットの破損を極力防止し、防虫ネットの使用量を低減するとと
もに、その取付作業も軽減して、コストを低減することを併せて目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、複数の垂木又は複数の柱を跨いで形
成された開口部に開閉自在に設けられた換気窓を有する温室用防虫ネット張設装置であっ
て、一端が換気窓に他端が開口部にネット固定具により固定され、換気窓が開放されたと
きに形成される開口部分を囲繞する防虫ネットと、換気窓の開閉動作に応じて、複数の垂
木又は複数の柱の外表面を結ぶ温室外表面の外側で、換気窓枠に直交する方向に進退する
ネット案内規制部材とを具備し、換気窓が開放されるとき防虫ネットを伸張し、換気窓が
閉鎖されるとき防虫ネットを温室外表面の外側で温室内方に折畳んで、防虫ネットが換気
窓と開口部との間に挟まれることを防止する温室用防虫ネット張設装置とした。
【0011】
ネット案内規制部材は、請求項2に係る発明においては、略中央基端部が回動自在とされ
、一方の端部が換気窓の枠に回動自在に枢着され、他方の端部が開口部の枠に回動自在に
枢着されたものとし、請求項3に係る発明においては、線材または板材で構成され、その
基端部は、枢軸、外嵌スリーブによる枢着部又はねじりコイルスプリングにて回動自在と
されたものとした。
【0012】
請求項4に係る発明は、ネット案内規制部材の基端部は、その回動部に換気窓枠と平行す
る、ネット案内規制部材の幅の数倍の長さを有する防虫ネット押込体を具備するものとし
た。
【0013】
請求項5に係る発明は、防虫ネット押込体は、換気窓枠と平行して連続する伸縮自在の紐
体とした。
【0014】
請求項6に係る発明は、換気窓の開閉動作は、一端が換気窓枠に枢着され、窓枠近傍にお
いて温室内方へ屈曲して、防虫ネット押込体の温室内方への動作を阻害しない、窓開閉ア
ームの上下動により実行されるものとした。
【0015】
請求項7に係る発明は、ネット固定具は、換気窓の枠及び開口部の枠に固定された、一方
の端部に鏃状係合部を有する長尺L字形下地材と、弾性変形により前記係合部の鏃の嵌入
を許容する溝部を有するチューブ状クリップとからなり、長尺L字形下地材の係合部を有
しない側の固定片が前記換気窓枠と前記開口部枠の全辺乃至1辺を除く辺に固定され、下
地材の係合部に防虫ネットを被せた状態でチューブ状クリップの溝部を押し込んで、長尺
L字形下地材と前記チューブ状クリップを一体化して防虫ネットを固定するものとした。
【0016】
請求項8に係る発明は、ネット案内規制部材は、両端部がネット固定具のチューブ状クリ
ップに抱持されたものとした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、防虫ネットの折り畳みによる換気窓の開閉軌跡からの退避
を簡易な温室用防虫ネット張設装置の構成により実現することができる。
また、ネット案内規制部材は温室外表面の外側においてのみ動作し、垂木や柱等の温室
構造材の内側に入り込むことがないから、温室の任意の位置に取付けることができるとと
もに、防虫ネットに無理な引張力を作用させないから、ネットを長期間に亘って使用する
ことができる。
しかも、防虫ネットを換気窓枠や開口部枠にたるみをもって取付ける必要がないことか
ら、所謂ギャザ付け作業を省略できてその作業量を少なくでき、また、防虫ネット自体の
使用量を抑制することができる。
さらに、ネット案内規制部材の温室内方へのストロークが大きいことから、防虫ネット
は正しく折り畳まれて、防虫ネットが挟まれることを確実に防いで、ネットが破損するこ
とを防止することができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、ネット案内規制部材の構造を簡素化、軽量・小型化したこ
とから、その製作コストを削減することができる。また、換気窓が温室の屋根に設けられ
る場合であっても、温室上部構造をこのために補強する必要がない。
このネット案内規制部材は、換気窓の動作に応じて作動するものであるから、特段の該
部材駆動用装置は不要であり、手動開閉窓にも適用可能である。
また、このネット案内規制部材は防虫ネット押込体を具備しないから、この部材自体の
幅を広くするとともに、狭い間隔で多数設置すればよい。
請求項3に係る発明によれば、ネット案内規制部材は、線材または板材で構成され、そ
の基端部は、枢軸、外嵌スリーブによる枢着部又はねじりコイルスプリングにて回動自在
とされたものとしたので、安価に製作することが可能である。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、ネット案内規制部材が換気窓枠と平行する、ネット案内規
制部材の幅の数倍の長さを有する防虫ネット押込体を具備しているから、ネット案内規制
部材の設置数を削減することができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、防虫ネット押込体は、換気窓枠と平行して連続する伸縮自
在の紐体としたので、押込体が折り畳まれるべきネットの全長に亘って作用するから、ネ
ットが確実に折り畳まれる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、窓開閉アームを窓枠近傍において温室内方へ屈曲して防虫
ネット押込体の温室内方への動作を阻害しないものとしたから、窓開閉アームの基端部の
取付け位置を従来どおりとすることができるので、既存のアーム駆動機構をそのまま使用
可能である。
また、窓開閉アームを直線状のものとすると、ネット案内規制部材の基端部との干渉を
避けるため、基端部の取付け位置を棟木方向に変更してアームを斜めに設ける必要がある
が、このときのパイプ使用量に比べてその使用量を少なくすることができる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、ネット固定具を、一方の端部に鏃状係合部を有する長尺L
字形下地材と、弾性変形により係合部の鏃の嵌入を許容する溝部を有するチューブ状クリ
ップとから構成したから、長尺L字形下地材の係合部に防虫ネットを被せた状態でチュー
ブ状クリップの溝部を押し込むだけで、防虫ネットを固定することができる。また、ネッ
トを外すときは、チューブ状クリップを下地材に沿ってスライドして、両者を分離すれば
よい。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、ネット案内規制部材の両端部は、ネット固定具を流用して
、そのチューブ状クリップに抱持して固定されるものとしたから、別途の取付け具を必要
としない。
【実施例】
【0024】
図1乃至図3に、本発明に係る温室用防虫ネット張設装置の実施例を示す。
図1は、本発明に係る温室用防虫ネット張設装置の使用状態を示す部分正面図、図2は
、本発明に係るネット案内規制部材の実施例の斜視図、図3は、本発明に係るネット案内
規制部材の他の実施例の一部切欠斜視図である。
【0025】
以下、図1及び図2を参照して、本発明に係る温室用防虫ネット張設装置について詳細
に説明する。
図1(a)は、温室の棟木に一端を枢着した天窓を開放した状態を示す妻面側からみた
部分正面図である。図1(b)は、図1(a)破線円内の部分拡大図である。
図2は、本発明のネット案内規制部材を板材により構成した実施例を示す斜視図である

1は温室の屋根材を構成する垂木又は合掌の斜材、2は棟木である。換気窓を構成する
天窓3は、一端部が棟木2に枢着され、他端部は図示しない駆動機構により上下動する窓
開閉アーム4に枢着されている。この窓開閉アーム4は、窓枠近傍において温室内方へ屈
曲して、防虫ネット押込体の温室内方への動作を阻害しないようにされている。
また、この換気窓は、前述した天窓に限られず、連棟温室の谷部に形成されたものでも
、温室の柱に形成された側窓でもよい。そしてこの換気窓は、複数の垂木1又は図示しな
い複数の柱を跨いで形成された開口部に開閉自在に設けられている。
【0026】
5は、換気窓が開放されたときに換気窓と温室開口部との間に形成される開口部分を全
面的に囲繞して覆う防虫ネットである。この防虫ネット5は、上縁部が換気窓3の窓枠部
材である縦框と下框71に取付けられ、下縁部が開口部枠部材である縦框と下框72に取
付けられている。防虫ネットを張設するに際しては、棟方向には余裕をもたせず、高さ方
向には若干余裕を持たせて取付けるのが好ましい。
【0027】
図1(b)に示されるものは、開口部下框72と防虫ネット5の下縁を開口部の各框に
取付けるためのネット固定具8の拡大図である。
ネット固定具8は、アルミ押型材からなる長尺L字形下地材81と、合成樹脂製のチュ
ーブ状クリップ83とからなり、長尺L字形下地材81は、自由端となる一方の端部に鏃
状係合部82を有しており、合成樹脂製のチューブ状クリップ83は、弾性変形により係
合部82の鏃の嵌入を許容する溝部84を有している。
防虫ネット5の取付け方については後述する。
【0028】
6は、換気窓3が閉鎖されるときに、防虫ネット5が換気窓枠と開口部枠の間に挟まれ
ることを防止するためのネット案内規制部材である。
このネット案内規制部材6は、略中央基端部が回動自在とされ、一方の端部が換気窓の
枠に回動自在に枢着され、他方の端部が開口部の枠に回動自在に枢着されたものである。
図2に板状体で形成したネット案内規制部材を、図3に線材で形成したものを示す。
【0029】
図2に示されたものは、略同長の2枚の板状体61、62の一端部が枢着部63にて枢
着され、両板状体61、62の他端部には、ネット案内規制部材を換気窓と開口部の各框
71、72に取付けるための框取付部64、65を有している。要するに、両板状体61
、62は、その枢着部63が、換気窓3の開閉動作に応じて、複数の垂木1、1、1の外
表面を結ぶ図示しない温室外表面の上側でのみ進退動作を行い、垂木外表面より下側に移
動することがない長さに設定されている。
また、このネット案内規制部材の6の両板状体61、62は、換気窓3の開度が最大と
なったとき、一直線状とはならずその枢着部63が若干温室内方に位置してく字状を呈す
るような長さに設定されている。このため、換気窓が閉鎖されるときは、如何なるときも
その枢着部63は、温室内方へ移動する。
【0030】
このネット案内規制部材6は、この実施例では換気窓と開口部の縦框及び下框に、所定
の間隔を置いて取付けられている。
したがって、換気窓3が閉鎖されるときは、換気窓3の下框側に位置するネット案内規
制部材の枢着部63は、温室外表面の外側で棟木2に向かって、換気窓3の縦框側に位置
するネット案内規制部材の枢着部63は、温室外表面の外側で棟木2に沿って、すなわち
、枢着部は換気窓枠に直交する方向に進んで、防虫ネット5の上下方向略中央部を温室内
方に押込みながら折畳んでいく。
【0031】
91は、換気窓枠と平行して設けられた、ネット案内規制部材6の幅の数倍の長さを有
する防虫ネット押込体であり、その長さは、防虫ネット押込体91の剛性、ネットに対す
る作用力等に基づいて適宜決定されるが、この防虫ネット押込体91は、ネット案内規制
部材6に対して抜け止めされている。そしてこの実施例の防虫ネット押込体91は、1つ
のネット案内規制部材6毎に1つずつ設けられているから、防虫ネット押込体91を有し
ていないネット案内規制部材の設置数に比較してその数を格段に減少することが可能とな
る。
また、隣接する防虫ネット押込体91の端部同士をほぼ接触させる状態で取付けるか、
端部同士をある程度の距離離間して取付けるかは任意である。
【0032】
上記実施例では、防虫ネット押込体91を不連続のものとしているが、これを換気窓枠
と平行して設けられた連続する1本のものとすることもできる。
このときは、1本の連続する伸縮自在のゴム紐をネット案内規制部材の枢着部63に挿
通して両端部を図1(a)に示す換気窓上隅部に固定するのが好ましい。
【0033】
ネット案内規制部材6の他の実施例について、図3にネット固定具8の一部を切り欠い
て示す。この実施例は、部材6自体を被覆鋼線により構成するものであるが、機能的には
上記実施例のものと同一である。
被覆鋼線からなる61、62は、板状体からなるものと機能においては変わらないが、
枢着部63は外嵌スリーブとされている点で先の実施例とは異なる。
この外嵌スリーブ63は、不連続状の防虫ネット押込体91にも適用できるが、連続状
の防虫ネット押込体9、すなわち、1本の連続する伸縮自在のゴム紐をネット案内規制部
材の枢着部63に挿通して両端部を換気窓上隅部に固定するタイプに好適である。
【0034】
このネット案内規制部材6の下方の框取付部65は、本体62の一方の線材端部が内方
に短尺に折曲げられ、他方の線材端部が長尺に一方の線材を通り越して延在している。
この構成を採用することにより、ネット案内規制部材6を取付けるためのチューブ状ク
リップ83同士の間隙を小さくできることから、防虫ネット5を強固に固定することがで
きる。
【0035】
次いで、防虫ネット5とネット案内規制部材6の取付け方について、図2、3を参照し
て説明する。
それぞれのネット固定具8の長尺L字形下地材81は、適宜間隔を保って換気窓下框7
1にビス止めされているので、図2に示されたものは、先ず、一方の長尺L字形下地材8
1の鏃状係合部82に防虫ネット5の上縁を被せた状態で一方のチューブ状クリップ83
を下から押し込む。すると、一方のネット固定具8のチューブ状クリップ83は防虫ネッ
ト5を挟み込んだ状態で一方の長尺L字形下地材81と一体化され、防虫ネット上縁は換
気窓に固定される。
続いて、ネット案内規制部材6の框取付部64の一端を、前述の一体化されたチューブ
状クリップ83内に挿入した後、框取付部64の他端を他方のチューブ状クリップ83内
に挿入した上で、他方の鏃状係合部82に防虫ネット5の上縁を被せた状態で他方のチュ
ーブ状クリップ83を下から押し込めばよい。
以上の説明は、防虫ネットの上縁の取付け方についてのものであるが、ネット下縁につ
いても同様の手順で取付けることができる。
【0036】
また、図3に示されたものは、ネット案内規制部材6の上側本体61の両側の線材上部
を挟持して、また、下側本体62の両側の線材下部を拡開して、線材を変形させながらそ
の框取付部64、65両先端部を、チューブ状クリップ83内に挿入することも可能であ
る。
【0037】
以上の実施例においてはネット案内規制部材の枢着部を枢着ピン又は外嵌スリーブで構
成したが、図示を省略しているが、これをねじりコイルスプリングにて構成することもで
きる。この場合、コイルスプリングの付勢力は拡開方向とするとよい。ネット案内規制部
材6の取付け作業は換気窓を開いた状態で行われ、また、框取付部64、65はチューブ
状クリップ83を鏃状係合部82から引き剥がす方向に作用しないからである。さらに連
続する又は不連続の防虫ネット押込体9、91は、ねじりコイルスプリング内を挿通した
状態で取付ければよい。
【0038】
なお、換気窓としては、一辺が枢着された天窓を例示したが、本発明はこれに限られる
ものではなく、全辺が開口部枠から離間するタイプであっても適用することが可能なもの
である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る温室用防虫ネット張設装置の部分正面図である。
【図2】本発明に係るネット案内規制部材の実施例の斜視図である。
【図3】本発明に係るネット案内規制部材の他の実施例の一部切欠斜視図である。
【図4】従来例の一部切欠正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 垂木又は合掌の斜材
2 棟木
3 換気窓
4 窓開閉アーム
5 防虫ネット
6 ネット案内規制部材
7 框
71 換気窓下框
72 開口部下框
8 ネット固定具
9 防虫ネット押込体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の垂木又は複数の柱を跨いで形成された開口部に開閉自在に設けられた換気窓を有す
る温室用防虫ネット張設装置であって、
一端が前記換気窓に他端が前記開口部にネット固定具により固定され、前記換気窓が開放
されたときに形成される開口部分を囲繞する防虫ネットと、
前記換気窓の開閉動作に応じて、前記複数の垂木又は前記複数の柱の外表面を結ぶ温室外
表面の外側で、換気窓枠に直交する方向に進退するネット案内規制部材とを具備し、
前記換気窓が開放されるとき前記防虫ネットを伸張し、前記換気窓が閉鎖されるとき前記
防虫ネットを前記温室外表面の外側で温室内方に折り畳んで、前記防虫ネットが前記換気
窓と前記開口部との間に挟まれることを防止する温室用防虫ネット張設装置。
【請求項2】
前記ネット案内規制部材は、略中央基端部が回動自在とされ、一方の端部が前記換気窓の
枠に回動自在に枢着され、他方の端部が前記開口部の枠に回動自在に枢着されたものであ
ることを特徴する請求項1に記載された温室用防虫ネット張設装置。
【請求項3】
前記ネット案内規制部材は、線材または板材で構成され、その基端部は、枢軸、外嵌スリ
ーブによる枢着部又はねじりコイルスプリングにて回動自在とされていることを特徴する
請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された温室用防虫ネット張設装置。
【請求項4】
前記ネット案内規制部材の基端部は、その回動部に前記換気窓枠と平行する、前記ネット
案内規制部材の幅の数倍の長さを有する防虫ネット押込体を具備していることを特徴する
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された温室用防虫ネット張設装置。
【請求項5】
前記ネット案内規制部材の基端部の回動部には、前記換気窓枠と平行して連続する伸縮自
在の紐体からなる防虫ネット押込体が取付けられていることを特徴する請求項1乃至請求
項3のいずれかに記載された温室用防虫ネット張設装置。
【請求項6】
前記換気窓の開閉動作は、一端が換気窓枠に枢着され、窓枠近傍において温室内方へ屈曲
して、前記防虫ネット押込体の温室内方への動作を阻害しない、窓開閉アームの上下動に
より実行されるものであることを特徴する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された
温室用防虫ネット張設装置。
【請求項7】
前記ネット固定具は、前記換気窓枠及び前記開口部枠に固定された、一方の端部に鏃状係
合部を有する長尺L字形下地材と、弾性変形により前記係合部の鏃の嵌入を許容する溝部
を有するチューブ状クリップとからなり、前記長尺L字形下地材の係合部を有しない側の
固定片が前記換気窓枠と前記開口部枠の全辺乃至1辺を除く辺に固定され、前記下地材の
係合部に防虫ネットを被せた状態でチューブ状クリップの溝部を押し込んで、前記長尺L
字形下地材と前記チューブ状クリップを一体化して前記防虫ネットを固定するものである
ことを特徴する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された温室用防虫ネット張設装置。
【請求項8】
前記ネット案内規制部材は、両端部がネット固定具のチューブ状クリップに抱持されたも
のであることを特徴する請求項7に記載された温室用防虫ネット張設装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−101772(P2006−101772A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293340(P2004−293340)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000218362)渡辺パイプ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】