説明

温度分布校正機能を有する温度分布測定装置及び温度分布校正方法

【課題】光ファイバにおける波長により異なる伝送損失の変化が生じてもその伝送損失の補正を行い、温度分布の校正を行うこと。
【解決手段】たとえばLD駆動選択回路(半導体レーザ駆動選択回路)3から第1の光パルス(1100nm)を発振し、反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5から第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光パルス(1050nm)を発振し、ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4からから第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光パルス(1150nm)を発振し、信号制御処理部により、第2の光パルスの伝送損失により、第1の反ストークス光の伝送損失の補正を行い、第3の光パルスの伝送損失により、第1のストークス光の伝送損失の補正を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサとなる光ファイバを用いた温度分布校正機能を有する温度分布測定装置に係り、特に光ファイバ中で発生するラマン散乱光を用いて光ファイバの長手方向での温度分布を校正して測定する温度分布校正機能を有する温度分布測定装置及び温度分布校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ファイバを温度センサとし、その光ファイバ中で発生するラマン散乱光を用いることで光ファイバの長手方向での温度分布を測定する温度分布測定装置が知られている。
【0003】
このような温度分布測定装置では、光ファイバを、たとえばプラント、トンネル、鉄道、その他構築物に張りめぐらせておくことで、温度分布のモニタリングが可能となることから、火災、設備異常等の早期発見に効果が発揮されている。
【0004】
このような光ファイバを温度センサとし、光ファイバの長手方向での温度分布を測定するものとして、特許文献1に示されているような光ファイバを用いた物理量分布検知センサが知られている。
【0005】
この光ファイバを用いた物理量分布検知センサでは、光ファイバの端部から光源で発生した光パルスを光ファイバに入射させ、この光ファイバに入射した光パルスが光ファイバ中を進行するに従い光ファイバの各位置で発生し、光入射端に戻ってくる後方散乱光のうち、ラマン散乱光のストークス光と反ストークス光の比を取り温度に換算し、光ファイバの任意の位置の温度で補正することにより、光ファイバの温度分布を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2565046号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に示される光ファイバを用いた物理量分布検知センサでは、光ファイバに損失変動が生じても反ストークス光とストークス光との比に変化がなければ光ファイバの長手方向での温度分布を正しく測定することができる。
【0008】
ところが、波長に依存する伝送損失の変動や、光ファイバの長手方向で不均一な伝送損失の変動が生じると、反ストークス光とストークス光とがそれぞれ異なる伝送損失を受けた後の反ストークス光及びストークス光の測定になってしまう。
【0009】
そのため、反ストークス光とストークス光との比に変化が生じると、伝送損失の変動を温度変化と捉えてしまい、光ファイバの長手方向での正しい温度分布を測定することができなくなってしまうという問題があった。
【0010】
ちなみに、温度センサである光ファイバは、一般的に長期に亘って温度監視を行うものであるが、様々な環境条件下に曝されることで、光ファイバの長手方向で不均一な伝送損失の変動を起こす可能性がある。言い換えれば、伝送損失の変動を起こさない非常に安定した環境下での監視は実行上不可能であると言える。
【0011】
このように、長期に渡って伝送損失の変動の起きない安定した環境下での監視は実行上不可能であるため、従来のように、伝送損失を補正する手段を有していなければ光ファイバにおける波長により異なる伝送損失の変化に応じてその温度分布の校正を行うことができないことから、光ファイバにおける波長により異なる伝送損失の変化が生じてもその伝送損失の補正を行い、温度分布の校正を行うことができるシステムの開発が望まれていた。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、光ファイバにおける波長により異なる伝送損失の変化が生じてもその伝送損失の補正を行い、温度分布の校正を行うことができる温度分布校正機能を有する温度分布測定装置及び温度分布校正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置は、光源から発した光パルスを光ファイバに入射し、光パルス光により生じた後方散乱光である、反ストークス光とストークス光の光強度分布比により光ファイバの長手方向での温度分布測定を行う測定装置であって、
第1の光パルスを発振する第1の光源と、
該第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光パルスを発振する第2の光源と、
前記第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光パルスを発振する第3の光源と、
前記第1の光源、第2の光源、第3の光源のいずれかを光パルスを発振させるように駆動選択する第1の駆動選択手段と、
前記第2の光パルスと前記第3の光パルスの伝送損失の変化に応じて前記第1の反ストークス光と前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う補正手段とを備える
ことを特徴とする温度分布校正機能を有する温度分布測定装置。
本発明の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置は、反ストークス光とストークス光により光ファイバの長手方向での温度分布測定を行う測定装置であって、
第1の光パルスと、該第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光パルスと、前記第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光パルスとのいずれかを発振する光源と、
該光源に対して前記第1の光パルス、第2の光パルス、第3の光パルスのいずれかを発振させるように駆動選択する第2の駆動選択手段と、
前記第2の光パルスと前記第3の光パルスの伝送損失の変化に応じて前記第1の反ストークス光と前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う補正手段とを備える
ことを特徴とする。
また、前記補正手段は、
前記第2の光パルスの伝送損失により、前記第1の反ストークス光の伝送損失の補正を行い、
前記第3の光パルスの伝送損失により、前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う
ようにすることができる。
また、前記補正手段は、
前記第2の光パルスの伝送損失により、前記第1の反ストークス光の伝送損失の補正を行い、
前記第3の光パルスの伝送損失により、前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う
ようにすることができる。
本発明の温度分布校正方法は、光ファイバにおける反ストークス光とストークス光により温度分布測定を行う温度分布測定方法において、
第1の駆動選択手段による駆動選択により、第1の光源から発振される第1の光パルスと、該第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光源から発振される第2の光パルスと、前記第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光源から発振される第3の光パルスとのいずれかを発振させる発振工程と、
前記第2の光パルスと前記第3の光パルスの伝送損失の変化に応じて前記第1の反ストークス光と前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う補正工程とを有する
ことを特徴とする。
本発明の温度分布校正方法は、光ファイバにおける反ストークス光とストークス光により温度分布測定を行う温度分布測定方法において、
第2の駆動選択手段による駆動選択により、第1の光パルスと、該第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光パルスと、前記第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光パルスとのいずれかを光源から発振させる発振工程と、
前記第2の光パルスと前記第3の光パルスの伝送損失の変化に応じて前記第1の反ストークス光と前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う補正工程とを有する
ことを特徴とする。
また、前記補正工程では、
前記第2の光パルスの伝送損失により、前記第1の反ストークス光の伝送損失の補正が行われ、
前記第3の光パルスの伝送損失により、前記第1のストークス光の伝送損失の補正が行われる
ようにすることができる。
また、前記補正工程では、
前記第2の光パルスの伝送損失により、前記第1の反ストークス光の伝送損失の補正が行われ、
前記第3の光パルスの伝送損失により、前記第1のストークス光の伝送損失の補正が行われる
ようにすることができる。
また、前記補正工程では、
前記第1の反ストークス光の光パワーをPs0とし、
前記第1のストークス光の光パワーをPa0とし、
前記第1のストークス光の伝送損失をαaとし、
前記反ストークス光の伝送損失をαsとし、
測定地点での距離をLとしたとき、
下記の式(10)より、前記反ストークス光と前記ストークス光との波長差による伝送損失の差により生じる、距離による温度勾配が補正される
ようにすることができる。
【数1】











【数2】











また、前記補正工程では、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスにより発生した後方散乱の前記第1の反ストークス光を受光した際の光パワーをPs0(?)とし、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスにより発生した後方散乱の前記第1のストークス光を受光した際の光パワーをPa0(?))とし、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1の反ストークス光と同波長の、前記第2の光源から発振した前記第2の光パルスの伝送損失をPs(?)とし、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記第3の光源から発振した前記第3の光パルスの伝送損失をPa(?)とし、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記第3の光源から発振した前記第3の光パルスの光パワーをP01とし、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記第2の光源から発振した前記第2の光パルスの光パワーをP02とし、
前記光ファイバにおける測定地点での距離をLをとしたとき、
下記の式(17)より、波長に依存する損失変動及び長手方向の不均一の損失変動による、前記光ファイバの損失変動が補正される
ようにすることができる。
【数3】


【数4】








また、前記補正工程では、
前記光源からの前記第1の光パルスにより発生した後方散乱の前記第1の反ストークス光を受光した際の光パワーをPs0(?)とし、
前記光源からの前記第1の光パルスにより発生した後方散乱の前記第1のストークス光を受光した際の光パワーをPa0(?))とし、
前記光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1の反ストークス光と同波長の、前記光源からの前記第2の光パルスの伝送損失をPs(?)とし、
前記光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記光源からの前記第3の光パルスの伝送損失をPa(?)とし、
前記光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記光源からの第3の光パルスの光パワーをP01とし、
前記光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記光源からの前記第2の光パルスの光パワーをP02とし、
前記光ファイバにおける測定地点での距離をLとしたとき、
下記の式(17)より、波長に依存する損失変動及び長手方向の不均一の損失変動による、前記光ファイバの損失変動が補正される
ようにすることができる。
【数5】


【数6】









本発明の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置及び温度分布校正方法では、たとえば第1の光源から第1の光パルスを発振し、第2の光源から第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光パルスを発振し、第3の光源から第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光パルスを発振し、補正手段により、第2の光パルスの伝送損失により、第1の反ストークス光の伝送損失の補正を行い、第3の光パルスの伝送損失により、第1のストークス光の伝送損失の補正を行うようにしたので、光ファイバにおける波長により異なる伝送損失の変化が生じてもその伝送損失の補正を行うことができる。
【数7】

【発明の効果】
【0014】
本発明の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置及び温度分布校正方法によれば、第2の光パルスの伝送損失により、第1の反ストークス光の伝送損失の補正を行い、第3の光パルスの伝送損失により、第1のストークス光の伝送損失の補正を行うようにしたので、光ファイバにおける波長により異なる伝送損失の変化が生じてもその伝送損失の補正を行うことができ、温度分布の校正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置の一実施形態を説明するための図である。
【図2】図1の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置における温度分布校正の概要を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置における損失補正値の不適正による温度勾配を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の詳細について説明する。図1は本発明の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置の一実施形態を説明するための図であり、図2は図1の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置における温度分布校正の概要を説明するためのフローチャートであり、図3は図1の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置における損失補正値の不適正による温度勾配を示す図である。
【0017】
まず、図1に示す温度分布校正機能を有する温度分布測定装置(以下、単に温度分布測定装置という)は、信号制御処理部1、LD駆動選択回路(半導体レーザ駆動選択回路)2、ラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))3、ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4、反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5、WDM(Wavelength Division Multiplexing)カップラ6、光カップラ7,8、反ストークス光検出用フォトダイオード(PD(1))9、ストークス光検出用フォトダイオード(PD(2))10を備えている。
【0018】
なお、符号11は温度分布測定対象の光ファイバ40との光結合を行う光コネクタであり、符号12は温度分布表示用コンピュータ(PC)30とのインターフェース用コネクタをそれぞれ示している。インターフェース用コネクタ12としては、RS−232C、GP−IB、LAN等を用いることができる。
【0019】
また、符号20は光ファイバ基準温度検出部21及び基準温度検出用温度計22を備えた光ファイバ基準温度検出保温槽を示している。なお、光ファイバ基準温度検出保温槽20は、光ファイバ40の長手方向でのそれぞれの区間における絶対温度とのオフセットをとるための基準温度を検出するものである。また、光ファイバ40の長手方向での任意の位置での基準温度が測定可能であれば、光ファイバ基準温度検出保温槽20を省くようにしてもよい。
【0020】
ここで、補正手段としての上述した信号制御処理部1は、ラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))3、ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4及び反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5の選択駆動制御と、反ストークス光検出用フォトダイオード(PD(1))9及びストークス光検出用フォトダイオード(PD(2))10からの信号取り込みのタイミング制御と、取り込んだ信号の信号処理とを行う。信号制御処理部1における信号処理の詳細については、後述する。
【0021】
第1の駆動選択手段としてのLD駆動選択回路(半導体レーザ駆動選択回路)2は、信号制御処理部1からの制御に応じてラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))3、ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4及び反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5を選択駆動させる。
【0022】
第1の光源としてのラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))3は、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry )測定用の信号である、たとえば1100nmの波長の光パルス信号を発振する。
【0023】
第3の光源としてのストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4は、反ストークス光と同波長である、1100nmの波長から約+50nmシフトした約1150nmの波長のOTDR測定用の光パルス信号を発振する。
【0024】
第2の光源としての反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5は、ストークス光と同波長である、1100nmの波長から約−50nmシフトした約1050nmの波長のOTDR測定用の光パルス信号を発振する。
【0025】
WDMカップラ6は、ラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))3、ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4、反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5からの光パルス信号を多重化して出力するものである。
【0026】
光カップラ7は、光ファイバ40のある点から戻ってきた反ストークス光及びストークス光を、反ストークス光検出用フォトダイオード(PD(1))9及びストークス光検出用フォトダイオード(PD(2))10側に分岐させるものである。
【0027】
光カップラ8は、光カップラ7によって分岐された反ストークス光及びストークス光を、それぞれの波長に対応する反ストークス光検出用フォトダイオード(PD(1))9及びストークス光検出用フォトダイオード(PD(2))10に分岐させるものである。
【0028】
反ストークス光検出用フォトダイオード(PD(1))9は、光カップラ8によって分岐された反ストークス光を検出し、その検出結果を電流値として信号制御処理部1に出力する。ストークス光検出用フォトダイオード(PD(2))10は、光カップラ8によって分岐されたストークス光を検出し、その検出結果を電流値として信号制御処理部1に出力する。
【0029】
このような構成の温度分布測定装置では、図2に示すように、ラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))3からたとえば1100nmの波長のOTDR測定用の光パルス信号(第1の光パルス信号)が発振される(ステップS1)。次いで、第1の光パルス信号による反ストークス光、ストークス光のOTDR測定を行う(ステップS2)。
【0030】
また、反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5からは、そのOTDR測定用の光パルス信号によって発生する第2の光パルス信号(第1の光パルス信号による反ストークス光と同波長)が発振される。次いで、第2の光パルス信号(第1の光パルス信号による反ストークス光と同波長)でのOTDR測定を行う(ステップS3)。
【0031】
また、ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4からは、そのOTDR測定用の光パルス信号によって発生する第3の光パルス信号(第1の光パルス信号によるストークス光と同波長)が発振される。次いで、第3の光パルス信号(第1の光パルス信号によるストークス光と同波長)でのOTDR測定を行う(ステップS4)。
【0032】
次いで、第2の光パルス信号(第1の光パルス信号による反ストークス光と同波長)と第1の光パルス信号による反ストークス光のOTDR測定の伝送損失の差異を補正し(ステップS5)、第3の光パルス信号(第1の光パルス信号によるストークス光と同波長)と第1の光パルス信号によるストークス光のOTDR測定の伝送損失の差異を補正し(ステップS6)、第1の光パルス信号による反ストークス光と、第1の光パルス信号によるストークス光の光強度分布比により光ファイバの長手方向の温度分布を求める(ステップS7)。
【0033】
ここで、上記のステップS5〜S7での補正による温度分布を求める際、ラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))3を駆動してOTDR測定用の光パルス信号(第1の光パルス信号)を発振し、そのときに発生する上記の反ストークス(第1の反ストークス光)及びストークス光(第1のストークス光)を測定し、それぞれをPa0(?)、Ps0(?)とする。なお、Pa0(?)、Ps0(?)については、後述する。
【0034】
そして、まず、たとえば反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5で発生させたOTDR測定用の光パルス信号により反ストークス光波長(第3の光パルス信号)でのOTDR測定を行い、その結果をPa(?)とする。なお、Pa(?)については、後述する。
【0035】
次に、ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4で発生させたOTDR測定用の光パルス信号によりストークス光波長(第2の光パルス)でのOTDR測定を行い、その結果をPs(?)とする。
【0036】
なお、測定の順序に際しては、ストークス光波長(第2の光パルス)でのOTDR測定を行ってから、反ストークス光波長(第3の光パルス)でのOTDR測定を行うようにしてもよいことは勿論である。
【0037】
各反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5及びストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4でのOTDR測定の際は、反ストークス光検出用フォトダイオード(PD(1))9及びストークス光検出用フォトダイオード(PD(2))10にてそれぞれの波長に対応する信号取り込みが行われる。
【0038】
ここで、ラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))3からのOTDR測定用の光パルス信号による後述のP01(第3の光パルスの光パワー)及びP02(第2の光パルスの光パワー)は、予め光コネクタ11の出力にて同じパワーとなるように調整することで、後述の式(17)の分母の第3項を0にすることができるが、また実際に測定することも可能である。以上のOTDR測定を行い、後述の式(17)を用いることにより、温度分布を求めることが可能となる(ステップS5〜S7)。
【0039】
なお、各反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5及びストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4でのOTDR測定である、反ストークス光波長(第2の光パルス)及びストークス光波長(第3の光パルス)によるOTDR測定は、通常、光ファイバ40の損失変化は非常に遅いものと考えられるから毎回行う必要はなく、状況により1時間に1回、1日に1回等の設定を行って測定することが可能である。
【0040】
また、ここではラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))3、ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4及び反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5を個別に用意した例で説明しているが、可変波長半導体レーザを用いることで、これらを1個として兼用することもできる。
【0041】
この場合は、第2の駆動選択手段により、適宜可変波長半導体レーザの発振波長を変えて、第1の光パルス、第1の光パルスにより発生した第1の反ストークス光の波長と同じ波長の第2の光パルス、第1の光パルスにより発生した第1のストークス光の波長と同じ波長の第3の光パルスのいずれかを選択して発振させるようにすればよい。
【0042】
次に、上述した温度分布測定装置の信号制御処理部1による、伝送損失の補正を行うことによっての温度分布の校正を行う場合の具体例について説明する。
【0043】
まず、ストークス光と反ストークス光の波長は、光ファイバ40に入射するレーザ波長の両側に発生するものであり、上述したように、たとえばレーザ波長を1.0μmとした場合、ストークス光と反ストークス光の波長は、それぞれ1.150μm、1.050μmで、約100nmの波長差をもつことになる。
【0044】
この波長差に起因する伝送損失の差により、全長に亘って光ファイバ40の温度が一定である場合でも、得られる温度分布は傾斜(増加又は減少)を伴う直線状の温度分布となる。この傾斜補正を行うには、ストークス光と反ストークス光の伝送損失を一定値とする補正と既知温度との補正を行う必要がある。
【0045】
なお、この補正は、光ファイバ40の敷設後での伝送損失が一様でない場合や、光ファイバ40の両端以外の場所での既知温度を与えることができない場合には困難である。また、一般にこのような温度のモニタリングでは、長期に亘って温度センサとしての機能を果たす光ファイバ40を付設しておくことから、常に一定値の光損失を維持している確証は得られないものである。
【0046】
ここで、反ストークスの光パワーであるPaとストークスの光パワーであるPsは、下記の式(1)、式(2)で表される。
Pa=C・Np (1)
Ps=C(Np+1) (2)
なお、C及びNpについては後述する。
【0047】
ストークス光及び反ストークス光の波長は、上述したように、ラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))3からの光パルス信号の波長を1100nmとした場合、約±50nmシフトした波長、すなわちストークス光の波長は約1150nm、反ストークス光の波長は約1050nmとなり、反ストークス光とストークス光との間の波長差は約100nmとなる。
【0048】
光ファイバ40の伝送損失は波長特性を有していることから、ストークス光と反ストークス光はそれぞれ異なる光損失をもつことになり、実際の測定ではそれぞれ異なる光損失を補正する必要がある。
【0049】
ここで、Npは、ラマン散乱光の占有率であり、下記の式(3)で与えられる。
【数8】








【0050】
h、c、ν、k、Tはそれぞれ、

【数9】








である。
【0051】
式(1)、式(2)の比をとると、下記の式(4)のように、
【数10】








となり、これより温度T[K°]は、下記の式(5)のように、
【数11】








となり、ストークス光の光パワーであるPsと反ストークス光の光パワーであるPaとの比の自然対数をとることで温度が求められる。すなわち、PsとPaの比により温度が求められることになる。
【0052】
このように、Pa、Psは光ファイバ40上のある点での光パワーであり、Pa、Psの波長が同じ損失値である場合には、式(5)を使用して温度分布を求めることができる。ただし、上述の通り、PaとPsとの波長差は約100nm程度離れており、異なった損失をもつことになる。つまり、温度分布測定装置が実際に測定する光パワーは、それぞれ異なる伝送損失を受けた、ある点から戻ってきた光パワーを測定するので、これを考慮して正確に温度分布換算を行うためには補正が必要となる。
【0053】
そこで、上記の補正項を含んだ換算式を求める。それぞれの伝送損失αa、αsに温度分布測定装置からの地点間の距離Lだけ乗じ、温度分布測定装置で観測される反ストークス光の光パワー、ストークス光の光パワーをそれぞれPa0、Ps0とすれば、下記の式(6)、(7)のように、
【数12】








となるから、下記の式(8)、(9)のように、
【数13】








となる。
【0054】
同様に式(8)と式(9)の比をとって整理すると、L地点から戻ってきて算出される温度T(L)は、下記の式(10)のように、
【数14】








となり、上記の式(5)による実際のL地点の温度に、伝送損失を補正する項を含めた換算式により、温度を求めることになる。
【0055】
ここで、(αa−αs)は、光ファイバ40の全体を既知の一定温度にしておき、温度分布が水平(測定された温度分布も一様の温度となる)となるように設定する。さらに、光ファイバ40の任意の位置における既知の温度を用いてオフセットをとることで、図2に示すように、補正することができる。
【0056】
すなわち、たとえば反ストークス光の波長とストークス光の波長の損失差が、0.27[dB/km](0.27/4.343≒0.062[1/km])の場合、上記の式(10)において、0.062[1/km]を代入することで、温度分布が水平となる。
【0057】
また、適正値0.27[dB/km]に対し、0.29[dB/km]を補正した場合には、図2に示すように、右上がりの温度勾配をもつ直線となる、また、適正値より低い0.25[dB/km]とした場合には、右下がりの温度勾配をもつ直線となる。
【0058】
通常、温度分布は、ストークス光、反ストークス光の伝送損失が変化せず、上記の式(10)において、両者の差(αa−αs)が一定値を維持している場合、(αa−αs)を正確に補正することにより、ストークス光と反ストークス光との比から正確な温度分布を測定することができる。
【0059】
ただし、反ストークス光波長の伝送損失αa、ストークス光の伝送損失αs、又は両者の伝送損失が光ファイバ40の長手方向で均一あるいは不均一な変化が生じた場合、すなわち、上記の式(10)において、分母の第2項(αa−αs)の両者の差が変化した場合、均一な変化の場合には見かけ上、光ファイバ40の長手方向に温度勾配を伴う温度分布となる。これに対し、不均一な場合には損失による温度変化と真の温度変化を識別不可能な分布を算出してしまう。
【0060】
温度分布測定装置の用途上、一旦設置した後では実際に当該地点の温度を測定することが難しいあるいは不可能な場合が多く、実際の温度変化と光ファイバ40の伝送損失の変動による温度変化との識別を即座に行う手段が必要となる。
【0061】
ちなみに、光ファイバ40の損失変動の要因は、光ファイバ40の曲げに起因したものが支配的であるが、非常に微細な曲がりであるマイクロベンドは、波長に依存しない損失で一様な損失増となることから、温度分布測定には殆ど影響を与えないことを実験的に確認している。
【0062】
一方、伝送損失の変動が波長に依存するマクロベンドあるいはその他の光損失(たとえば水素吸収、放射線吸収による光損失の変動など)が稼動期間中に発生した場合には、上記の理由で反ストークス光とストークス光との比に影響を与えてしまうことから、光損失の変動を温度変化と捉え、誤った情報を得てしまう危険性がある。
【0063】
そこで、本実施形態では、上記の不具合を解消するようにしている。すなわち、上記の式(8)、(9)より、? 地点での反ストークス光、ストークス光が損失履歴α(?)を受けて、温度分布測定装置の反ストークス光検出用フォトダイオード(PD(1))9及びストークス光検出用フォトダイオード(PD(2))10に入射する光パワーは、下記の式(11)、(12)のように表現することができる。
【数15】








今、反ストークス光、ストークス光と同波長によるOTDR測定を行い、損失分布をそれぞれ下記の式(13)、(14)のように、
【数16】








とすれば、下記の式(15)、(16)のように、
【数17】








となる。
ここで、式(15)と式(16)の比をとり、同様に整理すると、下記の式(17)のように、
【数18】


となり、任意の地点での伝送損失の変化が生じた場合でもその地点での伝送損失の補正が行われ、ファイバ上の位置?の正確な温度を知ることができる。
【0064】
このように、本実施形態では、たとえば第1の光源であるLD駆動選択回路(半導体レーザ駆動選択回路)3から第1の光パルス(1100nm)を発振し、第2の光源である反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))5から第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光パルス(1050nm)を発振し、第3の光源であるストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))4からから第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光パルス(1150nm)を発振し、補正手段である信号制御処理部により、第2の光パルスの伝送損失により、第1の反ストークス光の伝送損失の補正を行い、第3の光パルスの伝送損失により、第1のストークス光の伝送損失の補正を行うようにした。
【0065】
これにより、光ファイバ40における波長により異なる伝送損失の変化が生じてもその伝送損失の補正を行うことができ、温度分布の校正を行うことができる。
【0066】
【数19】

【産業上の利用可能性】
【0067】
火災、設備異常等の早期発見等に限らず、一般の電気機器のオン/オフ制御にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 信号制御処理部
2 LD駆動選択回路(半導体レーザ駆動選択回路)
3 ラマン散乱光発生用半導体レーザ(LD(1))
4 ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(2))
5 反ストークス光波長損失測定用半導体レーザ(LD(3))
6 WDM(Wavelength Division Multiplexing)カップラ
7,8 光カップラ
9 反ストークス光検出用フォトダイオード(PD(1))
10 ストークス光検出用フォトダイオード(PD(2))
11 光コネクタ
12 インターフェース用コネクタ
20 光ファイバ基準温度検出保温槽
21 光ファイバ基準温度検出部
22 基準温度検出用温度計
30 温度分布表示用コンピュータ(PC)
40 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から発した光パルスを光ファイバに入射し、光パルス光により生じた後方散乱光である、反ストークス光とストークス光の光強度分布比により光ファイバの長手方向での温度分布測定を行う測定装置であって、
第1の光パルスを発振する第1の光源と、
該第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光パルスを発振する第2の光源と、
前記第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光パルスを発振する第3の光源と、
前記第1の光源、第2の光源、第3の光源のいずれかを光パルスを発振させるように駆動選択する第1の駆動選択手段と、
前記第2の光パルスと前記第3の光パルスの伝送損失の変化に応じて前記第1の反ストークス光と前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う補正手段とを備える
ことを特徴とする温度分布校正機能を有する温度分布測定装置。
【請求項2】
反ストークス光とストークス光により光ファイバの長手方向での温度分布測定を行う測定装置であって、
第1の光パルスと、該第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光パルスと、前記第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光パルスとのいずれかを発振する光源と、
該光源に対して前記第1の光パルス、第2の光パルス、第3の光パルスのいずれかを発振させるように駆動選択する第2の駆動選択手段と、
前記第2の光パルスと前記第3の光パルスの伝送損失の変化に応じて前記第1の反ストークス光と前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う補正手段とを備える
ことを特徴とする温度分布校正機能を有する温度分布測定装置。
【請求項3】
前記補正手段は、
前記第2の光パルスの伝送損失により、前記第1の反ストークス光の伝送損失の補正を行い、
前記第3の光パルスの伝送損失により、前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置。
【請求項4】
前記補正手段は、
前記第2の光パルスの伝送損失により、前記第1の反ストークス光の伝送損失の補正を行い、
前記第3の光パルスの伝送損失により、前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の温度分布校正機能を有する温度分布測定装置。
【請求項5】
光ファイバにおける反ストークス光とストークス光により温度分布測定を行う温度分布測定方法において、
第1の駆動選択手段による駆動選択により、第1の光源から発振される第1の光パルスと、該第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光源から発振される第2の光パルスと、前記第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光源から発振される第3の光パルスとのいずれかを発振させる発振工程と、
前記第2の光パルスと前記第3の光パルスの伝送損失の変化に応じて前記第1の反ストークス光と前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う補正工程とを有する
ことを特徴とする温度分布校正方法。
【請求項6】
光ファイバにおける反ストークス光とストークス光により温度分布測定を行う温度分布測定方法において、
第2の駆動選択手段による駆動選択により、第1の光パルスと、該第1の光パルスより発生する後方散乱の第1の反ストークス光と同波長の第2の光パルスと、前記第1の光パルスより発生する後方散乱の第1のストークス光と同波長の第3の光パルスとのいずれかを光源から発振させる発振工程と、
前記第2の光パルスと前記第3の光パルスの伝送損失の変化に応じて前記第1の反ストークス光と前記第1のストークス光の伝送損失の補正を行う補正工程とを有する
ことを特徴とする温度分布校正方法。
【請求項7】
前記補正工程では、
前記第2の光パルスの伝送損失により、前記第1の反ストークス光の伝送損失の補正が行われ、
前記第3の光パルスの伝送損失により、前記第1のストークス光の伝送損失の補正が行われる
ことを特徴とする請求項5に記載の温度分布校正方法。
【請求項8】
前記補正工程では、
前記第2の光パルスの伝送損失により、前記第1の反ストークス光の伝送損失の補正が行われ、
前記第3の光パルスの伝送損失により、前記第1のストークス光の伝送損失の補正が行われる
ことを特徴とする請求項6に記載の温度分布校正方法。
【請求項9】
前記補正工程では、
前記第1の反ストークス光の光パワーをPs0とし、
前記第1のストークス光の光パワーをPa0とし、
前記第1のストークス光の伝送損失をαaとし、
前記反ストークス光の伝送損失をαsとし、
測定地点での距離をLとしたとき、
下記の式(10)より、前記反ストークス光と前記ストークス光との波長差による伝送損失の差により生じる、距離による温度勾配が補正される
ことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の温度分布校正方法。
【数1】








【数2】








【請求項10】
前記補正工程では、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスにより発生した後方散乱の前記第1の反ストークス光を受光した際の光パワーをPs0(?)とし、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスにより発生した後方散乱の前記第1のストークス光を受光した際の光パワーをPa0(?))とし、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1の反ストークス光と同波長の、前記第2の光源から発振した前記第2の光パルスの伝送損失をPs(?)とし、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記第3の光源から発振した前記第3の光パルスの伝送損失をPa(?)とし、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記第3の光源から発振した前記第3の光パルスの光パワーをP01とし、
前記第1の光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記第2の光源から発振した前記第2の光パルスの光パワーをP02とし、
前記光ファイバにおける測定地点での距離をLをとしたとき、
下記の式(17)より、波長に依存する損失変動及び長手方向の不均一の損失変動による、前記光ファイバの損失変動が補正される
ことを特徴とする請求項5に記載の温度分布校正方法。
【数3】


【数4】








【数5】

【請求項11】
前記補正工程では、
前記光源からの前記第1の光パルスにより発生した後方散乱の前記第1の反ストークス光を受光した際の光パワーをPs0(?)とし、
前記光源からの前記第1の光パルスにより発生した後方散乱の前記第1のストークス光を受光した際の光パワーをPa0(?))とし、
前記光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1の反ストークス光と同波長の、前記光源からの前記第2の光パルスの伝送損失をPs(?)とし、
前記光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記光源からの前記第3の光パルスの伝送損失をPa(?)とし、
前記光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記光源からの第3の光パルスの光パワーをP01とし、
前記光源からの前記第1の光パルスより発生した後方散乱の前記第1のストークス光と同波長の、前記光源からの前記第2の光パルスの光パワーをP02とし、
前記光ファイバにおける測定地点での距離をLとしたとき、
下記の式(17)より、波長に依存する損失変動及び長手方向の不均一の損失変動による、前記光ファイバの損失変動が補正される
ことを特徴とする請求項6に記載の温度分布校正方法。
【数6】








【数7】







【数8】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−209225(P2011−209225A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79284(P2010−79284)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(303040585)株式会社オーシーシー (47)
【Fターム(参考)】