説明

温水暖房器

【課題】従来、温水暖房器の温度制御は給湯器との関係で総合的に行われおり、温水回流管の表面温度は絶えず変化しているのに温水回流管が加熱作動しているか否かは表面的には判別できないため、不用意に触れて火傷を負ったり、幼児が危険を感知できず思わぬ事故につながったりするという問題がある。
【解決手段】温水回流放熱部1の外表面に、温水回流放熱部の外表面温度が所定温度に達すると発色若しくは変色する色素部材を設定若しくは塗布し、更には、表面温度を段階付けると共に、温度段階に対応して色素部材の発色若しくは変色の色を変化させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人住宅の居室やトイレ、洗面所などに設定されるラジエーター式の温水放熱部を有する温水暖房器に関し、温水回流管が加熱作動していることを目視で確認でき、火傷などの事故を防止するための注意喚起が行えるようにした温水暖房器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の温水暖房器は、特許文献1に示されるように、熱交換器によって所定温度の温水を作り出して給湯する給湯器と暖房対象箇所に設置される温水回流放熱部と、給湯器と温水回流放熱部との間に設けられる温水循環ユニットが備えられ、温水循環経路内を流れる温水の流量やセンサー、その他によって温度制御されるようになっている。
【0003】
また、温水回流放熱部は、輻射熱と自然対流による加温を主とするために即効性がなく温度も低いため、温水回流管が直接回路状に並列されて放熱部として用いられることが行われてきている。
【特許文献1】特開2006−292309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温水暖房器における温水回流放熱部は、即効性がなく使用温度も低いため温水回流管に対して危険を避ける配慮は殆どなされていない。しかも、温水暖房器の温度制御は上記のように給湯器との関係で総合的に行われているので、温水回流管の表面温度は絶えず変化していることが多い。
【0005】
上記の実情にも係わらず、温水回流管に給湯が行われ加熱作動しているか否かは表面的には判別できないため、不用意に触れて火傷を負ったり、幼児が近くにいても危険を感知できず思わぬ事故につながったりするという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記した課題に対応しようとするものであり、温水回流管の表面に、温水回流管の表面温度が所定温度に達すると発色若しくは変色する色素部材を設定若しくは塗布するようにした。
【0007】
また、温水回流管の表面温度がどの段階に達しているかを段階付けると共に、温度段階に対応して色素部材の発色若しくは変色の色を変化させるようにして、外部から温水回流管表面の色彩を目視確認するだけで、温水回流管の表面温度がどの段階にあるか判定できるようにした。
【実施例】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。1は温水暖房器における温水回流放熱部で、温水回流管2が一筆書き回路状に並列され給湯口11から流出口12に回流して放熱されるようになっている。
【0009】
給湯口11には加熱回流管21、流出口12には回帰回流管22がそれぞれ接合され、温水回流放熱部1で熱エネルギーを消費した回流水は熱源機3に回帰して再加熱され、加熱回流管21によって温水回流放熱部1に送湯されて放熱し、回帰回流管22によって再び熱源機3に回帰して加熱回流が繰り返される。
【0010】
浴室、キッチン、居室など、端末暖房器が複数になる場合は、熱源機4からヘッダー5を介して各端末への配水が行われるものである。また、温水回流放熱部1の形態としても温水回流管2がそのまま並列配管されるもの、並列配管された温水回流管2をパネルカバー3によって被覆したものなどが存在する。
【0011】
本発明は、このような温水回流放熱部が所定温度に達したときに、放熱部材が感温変色して利用者等が予期せぬ温度に接触することがないように放熱部材の色彩を変化させて警告すると共に、放熱部材が稼動中であるか否か一目で判別できるようにしたものである。
【0012】
温度の変化によって変色する感温材料は、1980年代から開発され現在では塗料や練り込み材など様々な形態で存在している。また、温水暖房器の回流放熱部1の形態も前記のように様々な形態がある。例えば図1の1aのように温水回流管2をパネルカバー3によって被覆する場合にはパネルカバーを感温変色塗料によって塗装する。
【0013】
また、図1の1bのように温水回流管2がそのまま並列配管される場合には、回流管2の素材が合成樹脂の場合には、変色する感温材料を素材に練り込んで対応し、素材が金属等の場合には塗装によって対応することができる。
【0014】
更に、最近、自動車塗料として利用されているチェンジカラー(商品名)のように設定温度に応じて変色する感温材料も存在するので、回流放熱部1の表面温度を段階付けると共に、温度段階に対応して色素部材の発色若しくは変色の色を変化させるようにすることにより、健全な給湯が行われているか等のきめ細かな点にも対応することができる。
【0015】
本発明は以上のように構成したので、暖房利用者等が予期せぬ温度に接触して思わぬ事故に遭遇することを防止できると共に、暖房の放熱部材が稼動中であるか否か一目で判別できて熱エネルギーの効率的な利用を可能にすることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例による温水暖房器の配設状况を模式的に示すもので、回流放熱部から熱源機までの加熱回流管と回帰回流管の配管の全体機構を示す全体説明図
【符号の説明】
【0017】
1 温水回流放熱部
1a パネルカバーで被覆した温水回流放熱部
1b 温水回流管をそのまま並列配管した温水回流放熱部
11 温水回流放熱部への給湯口
12 温水回流放熱部からの流出口
2 温水回流管
21 加熱回流管
22 回帰回流管
3 パネルカバー
4 熱源機
5 各端末への配水ヘッダー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を回流させて放熱するラジエーター式の温水放熱器における温水回流放熱部の外表面に、温水回流放熱部の外表面温度が所定温度に達すると発色若しくは変色する色素部材を設定若しくは塗布したことを特徴とする温水暖房器
【請求項2】
表面温度を段階付けると共に、温度段階に対応して色素部材の発色若しくは変色の色を変化させるようにした請求項1記載の温水暖房器

【図1】
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【公開番号】特開2008−145037(P2008−145037A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331781(P2006−331781)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000201593)前澤給装工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】