説明

温湿度調整装置

【課題】燃料コストを削減しながら、園芸ハウス等における温湿度を調整できる温湿度調整装置を提供すること。
【解決手段】夜間に暖房を行い、昼間に加湿を行う温湿度調整装置1であって、水分を吸着/脱着可能な吸着剤9と、前記吸着剤9に接触する経路3に沿って空気を流通させる空気流通手段5と、前記経路3のうち、前記吸着剤9よりも上流側の空気を、昼間に加熱する加熱手段7と、前記経路3における前記上流側に、夜間、前記加熱手段7により加熱された空気よりも相対湿度が高い空気を供給する高湿度空気供給手段と、を備えることを特徴とする温湿度調整装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、園芸ハウス等における温湿度を調整する温湿度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
園芸ハウスでは、内部の温度を好適な範囲に調整する必要がある。従来、夜間(特に冬季の夜間)において、石油系燃料を燃焼させることで、内部の温度低下を防止していた。
また、相対湿度が高ければ(例えば80%程度)であれば、植物の光合成は気流の影響を受けないが、相対湿度が低い(例えば65%以下)であると、気流の増加に伴い植物の光合成が減少しやすくなってしまう。よって、園芸ハウス内の相対湿度は、低過ぎないように調整する必要がある(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】古在豊樹、後藤英司、富士原和宏著「最新施設園芸学」朝倉書店、2006年1月30日刊行、第65〜66頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今の石油系燃料の値上がりのため、石油系燃料を燃焼させて暖房する方法は、農家の収益を圧迫している。また、この方法は、政府が打ち出した方針である「二酸化炭素排出量を2020年度までに1990年比で25%削減する」に逆行する。
【0005】
また、園芸ハウスでは、昼間に、相対湿度が低下し、好適な範囲から外れてしまうことがある。特に、冬季の昼間は、元々相対湿度が低いことに加えて、園芸ハウス内の温度が40℃以上に上昇することにより、相対湿度が一層低下する。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、燃料コストを削減しながら、園芸ハウス等における温湿度を調整できる温湿度調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の温湿度調整装置は、
夜間に暖房を行い、昼間に加湿を行う温湿度調整装置であって、水分を吸着/脱着可能な吸着剤と、前記吸着剤に接触する経路に沿って空気を流通させる空気流通手段と、前記経路のうち、前記吸着剤よりも上流側の空気を、昼間に加熱する加熱手段と、前記経路における前記上流側に、夜間、前記加熱手段により加熱された空気よりも相対湿度が高い空気を供給する高湿度空気供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の温湿度調整装置では、夜間、相対湿度が高い空気が吸着剤に供給され、水蒸気が吸着剤に吸着する。そのときに放出される吸着熱により、吸着剤に供給された空気が暖められ、その暖められた空気が放出されることにより、暖房が行われる。よって、本発明によれば、夜間、石油系燃料を消費することなく、又は、その消費量を抑えて、暖房を行うことができる。
【0009】
また、本発明の温湿度調整装置では、昼間、吸着剤よりも上流側の空気を、加熱手段により加熱することで、その空気の相対湿度を低下させる。この相対湿度が低下した空気を吸着剤に供給すると、夜間に水蒸気を吸着していた吸着剤は、供給された空気中に水蒸気を放出する。そして、吸着剤から水蒸気を受け取った空気が放出されることで、昼間における相対湿度が上昇する。よって、本発明によれば、昼間における相対湿度の低下を防止し、相対湿度を、植物の光合成に好適な範囲とすることができる。また、夜間に吸着していた水蒸気を吸着剤から放出することで、吸着剤を再生することができる。
【0010】
前記加熱手段としては、例えば、太陽光により前記上流側の空気を加熱するものが挙げられる。さらに具体的には、太陽光を受けて昇温される受熱面と、その受熱面に接触する空気の流路とから構成され、受熱面から流路中を流れる空気に熱が伝導されるものが挙げられる。加熱手段は、昼間の全期間にわたって前記上流側の空気を加熱してもよいし、昼間のうちの一部の期間のみにおいて、前記上流側の空気を加熱してもよい。なお、昼間とは、例えば、日の出から日没までの期間とすることができる。また、夜間とは、例えば、日没から日の出までの期間とすることができる。加熱手段は、加熱する対象となる空気に、実質的に水分(水、水蒸気)を与えることなく加熱するものが好ましい。
【0011】
また、加熱手段は、吸着剤よりも上流側の空気に加えて、吸着剤、又は吸着剤を収容したハウジングを加熱するものであってもよい。この場合も、太陽光により、吸着剤、又は吸着剤を収容したハウジングを加熱することができる。こうすることにより、吸着剤からの水分の放出、及び吸着剤の再生を一層促進することができる。
【0012】
前記吸着剤に関する構成は、例えば、以下のようなものが好ましい。すなわち、吸着剤は、ハウジング内に収容され、そのハウジング内の空間は、吸着剤の第1層から第n層(n≧2)により、複数の分割空間に分割されており、吸着剤の任意の第m層(n≧m≧1)を挟んで対向する2つの分割空間のうち、一方は、経路の上流側に連通しており、他方は、経路の下流側に連通している。
【0013】
上記のような構成をとることにより、ハウジング内で吸着剤を1つにまとめる場合よりも、空気が吸着剤を通過する際の圧損を小さくし、空気の流れを円滑にすることができる。また、上流側に連通している分割空間と、下流側に連通している分割空間とは、吸着剤の層で隔てられているので、それらの間で熱交換が起こり難い。そのため、夜間の暖房時に、下流側に連通している分割空間内の空気(吸着剤を既に通過し、昇温した空気)の熱が、上流側に連通している分割空間へ逃げてしまうようなことがない。
【0014】
上記の吸着剤に関する構成は、ユニットを、任意の個数組み合わせたものであることが好ましい。このユニットとは、1又は複数の吸着剤の層と、それを収容するユニットハウジングとから成るものである。このユニットを複数組み合わせると、ユニットハウジングは全体として上述したハウジングとなり、ユニット内の吸着剤の層は、上述した吸着剤の第1層から第n層(n≧2)になる。この場合、組み合わせるユニットの数を変化させることにより、設置する場所の状況に応じて、温湿度調整装置の性能を調整することができる。
【0015】
前記高湿度空気供給手段は、例えば、加熱手段により加熱された空気よりも相対湿度が高い空気が周囲に存在すれば、それをそのまま利用することができる。例えば、園芸ハウス内の空気、園芸ハウス外の空気等を利用することができる。また、前記高湿度空気供給手段は、所定の空気を水と接触させることで、相対湿度を高めた空気を作成し、その空気を供給してもよい。例えば、空気の経路に、表面積が広い部材(例えば多数のヒダが表面に形成されている部材)を設け、その部材に水のシャワーをかける方法をとることができる。高湿度空気供給手段は、夜間の全期間にわたって相対湿度が高い空気を供給してもよいし、夜間のうちの一部の期間のみにおいて、相対湿度が高い空気を供給してもよい。
【0016】
本発明の温湿度調整装置は、例えば、園芸ハウス内の温湿度の調整に用いることができる。
前記吸着剤としては、水分の吸着/脱着が可能な材料を広く用いることができる。そのような吸着剤としては、シリカゲルが好適である。シリカゲルの具体例としては、富士シリシア株式会社製の球状ゲルAB、Bが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】加温工程における温湿度調整装置1の構成を表す説明図である。
【図2】加湿・再生工程における温湿度調整装置1の構成を表す説明図である。
【図3】吸着器9の構成を表す断面図である。
【図4】加温工程において、入口4から導入される空気の温度と、出口6から排出される空気の温度との差を表すグラフである。
【図5】加湿・再生工程において、入口4から導入される空気の湿度と、出口6から排出される空気の湿度との差を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を説明する。
1.温湿度調整装置1の構成
温湿度調整装置1の構成を図1〜図3に基づき説明する。図1は、加温工程における温湿度調整装置1を表す説明図であり、図2は、加湿・再生工程における温湿度調整装置1を表す説明図であり、図3は、吸着器9の構成を表す断面図である。
【0019】
温湿度調整装置1は、園芸ハウス(図示略)内に設置される。温湿度調整装置1は、管状の空気流通管3と、その空気流通管3の一端から空気を送り込む送風機(空気流通手段)5と、空気流通管3の途中に設けられた再生装置(加熱手段)7と、空気流通管3における前記一端とは反対側の端部付近に設けられた吸着器9と、切り替えスイッチ11、13とから構成される。
【0020】
上記空気流通管3において、送風機5が設けられた側を上流側とし、吸着器9が設けられた側を下流側とする。空気流通管3の入口4(最も上流側)は、園芸ハウスの内部に位置する。よって、入口4から、園芸ハウス内の空気を空気流通管3内に取り込むことができる。なお、必要に応じ、入口4を園芸ハウス外に設け、外部の空気を空気流通管3内に取り込んでもよい。空気流通管3の出口6は、園芸ハウスの内部に位置する。よって、空気流通管3は、園芸ハウス内に空気を排出する。空気流通管3は、分岐部3aと合流部3bとの間では、並行する2つの経路3c、3dに分かれている。
【0021】
上記再生装置7は、経路3dの途中に設けられている。再生装置7は、中空箱状の部材であり、一方の側面に入口7aを備え、他方の側面に出口7bを備えている。入口7aは、経路3dのうちの上流側に接続し、出口7bは、経路3dのうちの下流側に接続している。よって、経路3dの上流側から、再生装置7の内部を通り、経路3dの下流側に至る空気の流路が形成されている。再生装置7の上面7cは、熱伝導率の高いアルミニウムで構成され、太陽光を吸収し易い蛇腹構造を有し、黒色に塗装されている。また、上面7cの内側面には、アルミニウム製の多数のフィンが形成されており、再生装置7内を通過する空気と上面7cとの接触面積が大きくなっている。
【0022】
上記吸着器9は、図3に示すように、中空箱状のハウジング15と、その内部に収容されたシリカゲル(吸着剤)の第1層17、第2層19、第3層21、第4層23とを有する。第1層17、第2層19、第3層21、及び第4層23は、それぞれ、所定の間隔をおいて、互いに平行に配置されている。よって、ハウジング15内の空間(シリカゲルで占められていない部分)は、第1分割空間25、第2分割空間27、第3分割空間29、第4分割空間31、及び第5分割空間33に分割されている。使用したシリカゲルは、富士シリシア株式会社製の球状ゲルABである。
【0023】
ハウジング15は、上流側の面に、第1分割空間25に開口する第1入口35と、第3分割空間29に開口する第2入口37と、第5分割空間33に開口する第3入口39とを有している。空気流通管3は、吸着器9の上流側で3つに分岐し、第1入口35、第2入口37、及び第3入口39にそれぞれ接続している。
【0024】
また、ハウジング15は、下流側の面に、第2分割空間27に開口する第1出口41と、第4分割空間31に開口する第2出口43とを有している。空気流通管3は、吸着器9の下流側で2つに分岐し、第1出口41、及び第2出口43にそれぞれ接続している。
【0025】
すなわち、第1分割空間25は、第1入口35により、空気流通管3の上流側に連通しており、第1層17を挟んで第1分割空間25と対向する第2分割空間27は、第1出口41により、空気流通管3の下流側に連通している。また、第2層19を挟んで第2分割空間27と対向する第3分割空間29は、第2入口37により、空気流通管3の上流側に連通している。また、第3層21を挟んで第3分割空間29と対向する第4分割空間31は、第2出口43により、空気流通管3の下流側に連通している。また、第4層23を挟んで第4分割空間31と対向する第5分割空間33は、第3入口39により、空気流通管3の上流側に連通している。
【0026】
上記の構成により、吸着器9では、以下のような空気の流れが生じる。空気流通管3の上流側から送られてきた空気は、3つに分岐して、第1入口35、第2入口37、及び第3入口39からそれぞれハウジング15内に入る。第1入口35からハウジング15内に入った空気は、第1分割空間25から第1層17を通過して第2分割空間27に入り、第1出口41からハウジング15外に排出される。排出された空気は、空気流通管3の下流側に流れる。
【0027】
第2入口37からハウジング15内に入った空気の一部は、第3分割空間29から第2層19を通過して第2分割空間27に入り、第1出口41からハウジング15外に排出される。排出された空気は、空気流通管3の下流側に流れる。また、第2入口37からハウジング15内に入った空気の一部は、第3分割空間29から第3層21を通過して第4分割空間31に入り、第2出口43からハウジング15外に排出される。排出された空気は、空気流通管3の下流側に流れる。
【0028】
第3入口39からハウジング15内に入った空気は、第5分割空間33から第4層23を通過して第4分割空間31に入り、第2出口43からハウジング15外に排出される。排出された空気は、空気流通管3の下流側に流れる。
【0029】
吸着器9は、ユニット9a、9b、9c、9dを積み上げて構成される。ユニット9a、9b、9c、9dはそれぞれ、1つのシリカゲル層(第1層17、第2層19、第3層21、第4層23のいずれか)と、それを収納するユニットハウジング(ハウジング15の一部)とから成る。なお、図3には、4つのユニットから成る吸着器9を示すが、ユニットの数は4には限定されず、2、3、又は5以上のいずれであってもよい。温湿度調整装置1を設置する場所の状況(例えば園芸ハウスの内積、温度、湿度等)に応じて、積み上げるユニットの数を変更し、温湿度調整装置1の性能を調整することができる。
【0030】
切り替えスイッチ11は、2つの経路3c、3dのうち、一方のみを、空気流通管3の上流側と接続し、他方を閉とする。また、切り替えスイッチ13は、2つの経路3c、3dのうち、一方のみを、空気流通管3の下流側と接続し、他方を閉とする。切り替えスイッチ11、13は、手動で操作するものであってもよいし、タイマーやプログラムにより、自動的に動作するものであってもよい。
【0031】
2.温湿度調整装置1の作用効果
温湿度調整装置1の作用効果を説明する。
(1)加温工程における作用効果
加温工程は夜間に行われる。温湿度調整装置1の切り替えスイッチ11、13は、それぞれ、図1に示すように、経路3cが開となり、経路3dが閉となる状態とされる。加温工程の初期において、吸着器9のシリカゲルは、後述する加湿・再生工程により、水分の吸着量が低い状態となっている。加温工程では、園芸ハウス内の空気が、空気流通管3の入口4から取り込まれ、経路3cを経て、吸着器9に供給される。このとき入口4から取り込まれる空気は、後述する加湿・再生工程において吸着器9に供給される空気(再生装置7で加熱されて昇温した空気)よりも相対湿度が高いため、空気中の水蒸気がシリカゲルに吸着する。そのときに放出される吸着熱により、吸着器9に供給された空気が暖められ、その暖められた空気流通管3の出口6から園芸ハウス内に放出されることにより、暖房が行われる。よって、温湿度調整装置1によれば、夜間、石油系燃料を消費することなく、又は、その消費量を抑えて、園芸ハウス内の暖房を行うことができる。
(2)加湿・再生工程における作用効果
加湿・再生工程は昼間に行われる。温湿度調整装置1の切り替えスイッチ11、13は、図2に示すように、経路3dが開となり、経路3cが閉となる状態とされる。加湿・再生工程の初期において、吸着器9のシリカゲルは、前述した加温工程により、水分の吸着量が高い状態となっている。
【0032】
加湿・再生工程では、園芸ハウス内の空気が、空気流通管3の入口4から取り込まれ、経路3dに設けられた再生装置7の内部に供給される。再生装置7の内部の空気は、太陽光により加熱されて昇温し、相対湿度が低下する。ここで、再生装置7の上面7cは、上述したように、黒色に塗装された受熱面であるので、太陽光を受けて昇温され易い。そして、上面7cは熱伝導率の高いアルミニウムで構成されており、しかも、上面7cの内側面には、アルミニウム製の多数のフィンが形成されており、再生装置7内を通過する空気との接触面積が大きくなっているので、上面7cの熱は容易に、再生装置7内の空気に伝導される。
【0033】
再生装置7により相対湿度が低下した空気が吸着器9に供給されると、吸着器9内のシリカゲルは、供給された空気中に水蒸気を放出する。そして、シリカゲルから水蒸気を受け取った空気が空気流通管3の出口6から園芸ハウス内に放出されることで、園芸ハウス内の相対湿度が上昇する。よって、温湿度調整装置1によれば、園芸ハウス内における昼間の相対湿度の低下を防止し、相対湿度を、植物の光合成に好適な範囲とすることができる。また、加温工程の間に吸着していた水蒸気をシリカゲルから放出することで、シリカゲルを再生し、次の加温工程の実行を可能にする。
【0034】
また、温湿度調整装置1の再生装置7は太陽光を用いて空気を加熱するので、加熱のためのエネルギーを供給しなくてもよい。
(3)吸着器9の構成による作用効果
吸着器9は、シリカゲルの層を複数備えているので、ハウジング15内でシリカゲルを1つにまとめる場合よりも、空気がシリカゲルを通過する際の圧損を小さくし、空気の流れを円滑にすることができる。また、吸着器9では、上述したように、空気流通管3の上流側に連通している分割空間(第1分割空間25、第3分割空間29、第5分割空間33)と、空気流通管3の下流側に連通している分割空間(第2分割空間27、第4分割空間31)とは、シリカゲルの層で隔てられているので、それらの間で熱交換が起こり難い。そのため、加温工程において、空気流通管3の下流側に連通している分割空間内の空気(シリカゲル層を既に通過し、昇温した空気)の熱が、空気流通管3の上流側に連通している分割空間へ逃げてしまうようなことがない。
【0035】
3.温湿度調整装置1の評価試験
(1)まず、加湿・再生工程により、吸着器9に40℃の乾燥空気を3時間供給し、シリカゲルを乾燥させた。次に、加温工程において、空気流通管3の入口4から導入される空気の温度と、出口6から排出される空気の温度との差を、継続的に測定した。測定結果を図4に示す。図4に示されるように、出口6から排出される空気の温度は、入口4から導入される空気の温度よりも顕著に高かった。そして、その状態が長時間継続した。よって、温湿度調整装置1の暖房効果が高いことが確認できた。
(2)まず、加温工程を行い、吸着器9内のシリカゲルに水分を吸着させた。次に、加湿・再生工程において、空気流通管3の入口4から導入される空気の湿度と、出口6から排出される空気の湿度とを、それぞれ、継続的に測定した。
【0036】
図5に、入口4での湿度、出口6での湿度、及びそれらの差を示す。図5に示されるように、出口6から排出される空気の湿度は、入口4から導入される空気の湿度よりも顕著に高かった。そして、その状態が長時間継続した。よって、温湿度調整装置1の加湿効果が高いことが確認できた。
【0037】
尚、本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、経路3cの途中に、加湿器を設けてもよい。この加湿器は、経路3cを流れる空気と水とを接触させることにより、空気の相対湿度を高める。加湿器は、例えば、空気の経路に、表面積が広い部材(例えば多数のヒダが表面に形成されている部材)を設け、その部材に水のシャワーをかける方法で空気の相対湿度を高めることができる。
【0038】
また、加温工程において、空気流通管3の入口4から、園芸ハウス内の空気よりも更に相対湿度が高い空気を導入してもよい。そのような空気としては、例えば、付近に温泉が湧き出ている場所の空気等が挙げられる。
【0039】
再生装置7の上面7c、及びその内側面のフィンの材質は、アルミニウムに限定されず、熱伝導性の高い材料を広く用いることができる。例えば、アルミニウム以外の金属(例えば、鉄、トタン等)を用いることができる。
【0040】
吸着器9のハウジング15を、黒色に塗装する等の方法で、太陽光による熱を受けやすい受熱面とすることができる。また、ハウジング15の材質を、熱伝導率の高いアルミニウム等にすることができる。こうすることにより、加湿・再生工程のとき、吸着器9が加熱され、その熱が内部のシリカゲルに伝わることで、シリカゲルの水分放出(シリカゲルの再生)が促進される。
【符号の説明】
【0041】
1・・・温湿度調整装置、3・・・空気流通管、3a・・・分岐部、3b・・・合流部、
3c、3d・・・経路、4・・・入口、5・・・送風機、6・・・出口、
7・・・再生装置、7a・・・入口、7b・・・出口、7c・・・上面、
9・・・吸着器、9a、9b、9c、9d・・・ユニット、
11、13・・・切り替えスイッチ、15・・・ハウジング、17・・・第1層、
19・・・第2層、21・・・第3層、23・・・第4層、25・・・第1分割空間、
27・・・第2分割空間、29・・・第3分割空間、31・・・第4分割空間、
33・・・第5分割空間、35・・・第1入口、37・・・第2入口、
39・・・第3入口、41・・・第1出口、43・・・第2出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夜間に暖房を行い、昼間に加湿を行う温湿度調整装置であって、
水分を吸着/脱着可能な吸着剤と、
前記吸着剤に接触する経路に沿って空気を流通させる空気流通手段と、
前記経路のうち、前記吸着剤よりも上流側の空気を、昼間に加熱する加熱手段と、
前記経路における前記上流側に、夜間、前記加熱手段により加熱された空気よりも相対湿度が高い空気を供給する高湿度空気供給手段と、
を備えることを特徴とする温湿度調整装置。
【請求項2】
前記加熱手段は、太陽光により前記上流側の空気を加熱することを特徴とする請求項1記載の温湿度調整装置。
【請求項3】
前記吸着剤は、ハウジング内に収容され、
前記ハウジング内の空間は、前記吸着剤の第1層から第n層(n≧2)により、複数の分割空間に分割されており、
前記吸着剤の任意の第m層(n≧m≧1)を挟んで対向する2つの前記分割空間のうち、一方は、前記経路の上流側に連通しており、他方は、前記経路の下流側に連通していることを特徴とする請求項1又は2に記載の温湿度調整装置。
【請求項4】
前記高湿度空気供給手段は、前記上流側の空気と水とを接触させることにより、前記相対湿度が高い空気を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の温湿度調整装置。
【請求項5】
園芸ハウス内の温湿度の調整に用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の温湿度調整装置。
【請求項6】
前記吸着剤はシリカゲルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の温湿度調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−179785(P2011−179785A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46666(P2010−46666)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(391003598)富士化学株式会社 (40)
【出願人】(000237112)富士シリシア化学株式会社 (38)
【Fターム(参考)】