説明

温調マット

【課題】温調用配管の熱膨張に伴って各基板が伸長したときに、基板同士が押し合って各基板が床から浮き上がることが防止される温調マットを提供する。
【解決手段】床暖房マット1は、複数枚の略長方形状の基板10〜18を配列してなる小マットA〜Hを有している。小マットA〜Dの列と小マットE〜Hの列との間では、これらの突き合わせ部Tを挟んで基板10〜18同士が各々の一短手辺20を突き合わせるようにして配列されている。各基板10〜18の突き合わせ部T側の短手辺20には易変形部4が設けられている。易変形部4は、突き合わせ部Tを挟んで隣り合う基板10〜18同士の接近方向に力が加えられることにより変形してこれらの基板10〜18同士の接近を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の部屋の床、壁、天井等の暖房や冷房を行うための温調マットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の板状の基板の上面の溝に温水配管を引き回した温調マットを床面上に敷設した温水床暖房が周知である。
【0003】
この温調マットとして、特開平11−257674号のように、複数枚の基板を床面上に敷設施工するものがある。
【0004】
第10図は同号公報の床暖房構造を示す平面図であり、長方形の板状の基板100が長手辺を平行にして、かつ相互間に小根太101を介して配列されている。この基板100の上面の溝に温水配管102が収容されている。温水配管102は、隣接する基板100に跨がって連続して引き回され、両端がそれぞれヘッダー103に接続されている。
【0005】
配管収容用溝の大部分は、各基板100の長手辺と平行方向に直線状に延在している。各基板100の両短手辺の近傍では、温水配管102は、該基板100の短手辺に沿って延在し、その末端が基板の長手辺に臨んでいる。隣り合う基板100,100同士の間では、各々の配管収容用溝の端部同士が小根太101を挟んで向い合っており、両者を一直線状に連続させるように該配管収容用溝が小根太101を横断して設けられている。
【0006】
この配管収容用溝の内面から基板100の上面にかけて均熱板104が配置されている。この均熱板104は、第11図に示す略Ω字形断面形状のものである。即ち、この均熱板104は、U字部104aと、該U字部104aの両端からそれぞれ反対方向に張り出すフランジ部104bとからなり、U字部104aが配管収容用溝内に配置され、フランジ部104bが基板100の上面に配置される。この均熱板104は、熱伝導率が高いアルミ製、銅製とされることが多い。
【0007】
基板100を現場で1枚ずつ敷設施工した後、温水配管102を溝内に配材し、その上にアルミ箔などの均熱シートを配置し、その上に表層材105を施工する。
【0008】
上記特開平11−257674号では、基板100同士は別体となっているが、複数枚の基板、温水配管及び均熱シート材を予め一体化し、折り畳んだり巻回しておき、現場にて展延させるようにしたものも公知である(例えば特開2002−106865号)。
【特許文献1】特開平11−257674号
【特許文献2】特開2002−106865号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
第10図のように床面に敷設した温調マットの温水配管102内を温水が流れることにより、温水配管102が熱膨張し、温水配管102が伸長する。このように温水配管102が伸長すると、基板100がその長手方向に押し伸ばされ、伸長する。
【0010】
隣り合う基板同士が互いに突き合わされるようにして配列された温水マットにあっては、各基板が伸長すると、基板同士が強く押し付けられ、基板が床から浮き上がるおそれがある。
【0011】
本発明は、複数枚の基板が各々の一端辺同士を突き合わせるようにして配列される温調マットにおいて、温調用配管の熱膨張に伴って各基板が伸長したときに、基板同士が押し付けられて基板が床から浮き上がることが防止される温調マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(請求項1)の温調マットは、端辺同士を突き合わせるようにして配列される複数枚の基板と、各基板に設けられた配管収容用溝と、該配管収容用溝に収容された温調用配管とを有する温調マットにおいて、該基板の少なくとも一部の前記端辺に、該基板同士の接近方向に力が加えられたときに変形して該基板同士の接近を許容する易変形部が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の温調マットは、請求項1において、該易変形部は、該基板の前記端辺から突設された凸部よりなることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の温調マットは、請求項2において、該凸部は、該端辺から0.5〜15mm突出していることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4の温調マットは、請求項2又は3において、前記基板は樹脂発泡体よりなり、前記凸部は、該基板と一連一体に設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5の温調マットは、請求項1ないし4のいずれか1項において、該基板は、それぞれ略長方形状のものであり、該基板同士は、各々の短手辺同士を突き合わせるようにして配列されるものであり、前記温調用配管は、各基板の長手辺に沿う方向に配設されており、前記易変形部は、少なくとも一方の該基板の短手辺に設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項6の温調マットは、請求項1ないし5のいずれか1項において、該基板は、前記配管収容用溝が該基板の下面に露呈する厚さとなっており、該基板の下面に、該配管収容用溝を塞ぐ裏張りシートが設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明(請求項1)の温調マットにあっては、基板同士は、それらのうちの少なくとも一方の一端辺に設けられた易変形部を介して突き合わされている。温調用配管が熱膨張し、これに伴って各基板が伸長した場合には、この易変形部が双方の基板から押されて変形し、その分だけ基板同士の接近が許容されるようになる。即ち、基板の伸長が易変形部の変形によって吸収される。このため、基板同士が強く押し付けられることが防止され、基板が床から浮き上がることが防止される。
【0019】
請求項2のように、易変形部としては、基板の端辺から突設された凸部が好適である。
【0020】
この場合、請求項3のように、凸部が基板の端辺から0.5〜15mm程度突出していると、基板の伸長を十分に吸収することができる。
【0021】
本発明の温調マットにあっては、請求項4の通り、基板は樹脂発泡体よりなり、凸部を基板と一連一体に設けることが好ましい。
【0022】
請求項5のように、各基板はそれぞれ略長方形状のものであり、基板同士は各々の短手辺同士を突き合わせるようにして配列されており、温調用配管は各基板の長手辺に沿う方向に配設された温調マットにおいては、突き合わされた基板同士の少なくとも一方の該短手辺に易変形部を設ければよい。これにより、温調用配管が熱膨張し、これに伴って各基板がその長手辺方向に伸長しても、易変形部が双方の基板から押されて変形し、その分だけ基板同士の接近が許容されるようになる。
【0023】
請求項5のように、配管収容用溝が下面に露呈するほど基板厚さを小さくすることにより、温調マットの厚さをきわめて小さなものとすることができる。これにより、温調マットを敷設した床のレベルと、温調マットを敷設していない部屋の床レベルとの差が小さいものとなる。また、温調マットの上に仕上げ材を設ける場合、温調マットの厚さが小さい分だけ、仕上げ材として厚さの大きいものを用いても、床のレベルが過度に高くなることが防止される。
【0024】
また、配管収容用溝を裏から塞ぐ裏張りシートを設けることにより、基板の強度が確保されると共に、基板の下面側への放熱も抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、床暖房マットへの本発明の適用例である。なお、以下の実施の形態は本発明の一例であり、本発明は以下の実施の形態以外の形態をもとりうる。
【0026】
[第1の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1]
第1図は第1の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1の平面図、第2図は第1図のII−II線に沿う断面図、第3図は第2図と同様部分の分解断面図、第4図は第1図のIV付近(突き合わされた基板同士の易変形部付近)の拡大図、第5図は易変形部が基板同士の接近方向の力により変形した後の第4図と同様部分の平面図、第6図(a)は第4図のVIA−VIA線に沿う断面図、第6図(b)は第5図のVIB−VIB線に沿う断面図である。
【0027】
なお、第1図においては、易変形部、均熱シート及び均熱板の図示が省略されている。また、第4,5図においても、均熱シート及び均熱板の図示が省略されている。
【0028】
この実施の形態では、床暖房マット1は、それぞれ略長方形状の小マットA〜Hを配列してなる。
【0029】
第1図の通り、小マットA〜Dがこの順に一列に配列され、小マットE〜Hがこの順に、且つ該小マットA〜Dに隣接するように一列に配列されている。
【0030】
小マットA〜D及びE〜Hは、それぞれ、互いの長辺同士を突き合わせるように配置されている。また、小マットA〜Dの列と小マットE〜Hの列との間では、小マットA,E同士、B,F同士、C,G同士及びD,H同士が、それぞれ、互いの短辺同士を突き合わせるように配置されている。
【0031】
符号Tは、小マットA,B間及びE,F間の突き合わせ部を示し、Tは小マットB,C間及びF,G間の突き合わせ部を示し、Tは小マットC,D間及びG,H間の突き合わせ部を示し、Tは小マットA〜Dの列と小マットE〜Hの列との間の突き合わせ部を示している。この実施の形態では、小マットA〜H間を該突き合わせ部T〜Tに沿って折ることにより、床暖房マット1を折り畳むことができるようになっている。
【0032】
これらの小マットA〜Hは、それぞれ、小根太30,30’を挟んで配列された複数枚の略長方形状の基板10〜18と、各基板10〜18の上面に設けられた配管収容用溝2と、この配管収容用溝2に収容されて基板10〜18の上面に引き回された温水配管3と、各基板10〜18の前記突き合わせ部Tに臨む端辺(後述の短手辺20)からそれぞれ突設された易変形部4と、該配管収容用溝2に配設された均熱板6と、これらの温水配管3及び均熱板6を覆うように小マットA〜Hの上面に貼着された均熱シート7と、配管収容用溝2の底部を塞ぐように各基板10〜18の下面に貼り付けられた裏張りシート8等を備えている。この易変形部4の詳細な構成については後述する。
【0033】
第2,3図に示すように、この実施の形態では、各基板10〜18は、各々の底面に配管収容用溝2が露呈する厚さとなっている。
【0034】
第2図の通り、この実施の形態では、各基板10〜18の上面からの配管収容用溝2の深さは、温水配管3の外径と略等しいものとなっている。即ち、各基板10〜18の厚さも、温水配管3の外径と略等しいものとなっている。
【0035】
温水配管3は、この実施の形態では、略円形の断面形状となっている。
【0036】
この実施の形態では、第3図の通り、配管収容用溝2の長手方向と直交方向(即ち配管収容用溝2の幅方向)の断面形状は、その底部が該温水配管3の外面に沿うように半円弧状に湾曲した略U字形となっている。この配管収容用溝2の底部の幅方向の中央付近が、各基板10〜18を貫通して各基板10〜18の下面に露呈している。
【0037】
本発明においては、温水配管3の外径は、通常、5〜10mm、特に6〜7mmであることが好ましい。また、各基板10〜18の厚さは、通常、5〜10mm、特に6〜7mmであることが好ましい。とりわけ、各基板10〜18の厚さは、通常、温水配管3の外径+0.03〜1mm、特に温水配管3の外径+0.08〜0.1mmであることが好ましい。
【0038】
裏張りシート8は、各基板10〜18の下面に露呈した配管収容用溝2を覆うように各基板10〜18の下面に沿って配置され、接着剤等により各基板10〜18の下面に貼り付けられている。
【0039】
なお、第2,3図に示すように、この実施の形態では、各基板10〜18に、それぞれ4条の配管収容用溝2が設けられている。該裏張りシート8は、この実施の形態では、細長い帯状のものであり、これらの配管収容用溝2を1条ずつ覆っているが、隣り合う複数の配管収容用溝2を連続して覆うものであってもよく、あるいは各基板10〜18の下面の略全体を覆うものであってもよい。
【0040】
この実施の形態では、該裏張りシート8は、低熱伝導材よりなる。この低熱伝導材としては、不織布や合成樹脂シートあるいは紙等を用いることができる。
【0041】
この裏張りシート8の熱伝導率は、通常、0.02〜0.5W/m・k、特に0.02〜0.1W/m・kであることが好ましい。
【0042】
この実施の形態では、各配管収容用溝2の大部分は、各基板10〜18の長手辺21と平行方向に直線状に延在している。各基板10〜18の両短手辺20近傍においては、各配管収容用溝2は、湾曲して向きを変え、それぞれ、各基板10〜18の短手辺20と平行方向に延在している。
【0043】
第2,3図に示すように、均熱板6は、この実施の形態では、配管収容用溝2の内面に沿うU字部6aと、該U字部6aの両端(上端)から各基板10〜18の上面に沿って側方に延出する1対のフランジ部6bとを有した略Ω字形断面形状のものである。
【0044】
この均熱板6のU字部6aが配管収容用溝2内に配置され、その上から、温水配管3がこのU字部6a内に嵌め込まれるようにして配管収容用溝2に収容されている。
【0045】
この均熱板6は、アルミや銅等の金属箔よりなる。この均熱板6の厚さは、通常、40〜200μm、特に70〜150μm、とりわけ100μm程度であることが好ましい。
【0046】
均熱シート7は、温調マット1の上面全体を覆う大きさ及び形状となっている。この均熱シート7も、アルミや銅等の金属箔よりなる。この均熱シート7の厚さは、通常、30〜200μm、特に40〜100μm、とりわけ40μm程度であることが好ましい。
【0047】
第2〜4図に示すように、この実施の形態では、各小根太30,30’は、それぞれ帯板状の小根太本体30aの上下両面に補強板30b,30bを接着剤等で貼り付けてなる。この実施の形態では、これらの小根太本体30aと上下の補強板30b,30bとの厚さの合計は、各基板10〜18の厚さと略同じとなっている。
【0048】
各小根太30は、隣接する基板10〜18の長手辺21に沿って延在し、且つ各々の上面及び下面が、それぞれ隣接する基板10〜18の上面及び下面と略面一状に連続するように配設されている。
【0049】
以下に、小マットA〜Hの構成についてさらに詳細に説明する。
【0050】
この実施の形態では、小マットB,C同士及びF,G同士は、それぞれ、同一構成の2枚の小マットを第1図における上下方向を逆向きにして配列したものとなっている。また、小マットF,Gは、小マットB,Cの長辺を小マットEの長辺と略同長さまで延長した如き構成となっており、それ以外の構成は小マットB,Cと同様となっている。小マットHも、小マットDの長辺を小マットEの長辺と略同長さまで延長した如き構成となっており、それ以外の構成は小マットDと同様となっている。
【0051】
この実施の形態では、小マットAは、3枚の長方形状の基板10〜12と、2本の小根太30,30’とを、各々の長手方向を各小マットAの長辺方向として、該小マットAの短辺方向に交互に配列した構成となっている。
【0052】
小マットB,C,F,Gは、それぞれ、4枚の長方形状の基板13〜16と、3本の小根太30とを、各々の長手方向を各小マットB,C,F,Gの長辺方向として、各小マットB,C,F,Gの短辺方向に交互に配列した構成となっている。
【0053】
小マットD,Hは、それぞれ、2枚の長方形状の基板17,18と、1本の小根太30とを、各々の長手方向を各小マットD,Hの長辺方向として、各小マットD,Hの短辺方向に交互に配列した構成となっている。
【0054】
小マットEは、3枚の長方形状の基板10〜12と、2本の小根太30とを、各々の長手方向を小マットEの長辺方向として、該小マットEの短辺方向に交互に配列した構成となっている。
【0055】
各基板10〜18は、各々の長手辺21を隣接する小根太30,30’に突き合わせるようにして配置されている。各基板10〜18の長さは、各小マットA〜Hの長辺方向の幅と略等しい。また、各小根太30,30’の長さは、隣接する基板10〜18の長さよりも短い。
【0056】
小マットAの基板10,11間の小根太30’は、長い長小根太31と、短い小小根太32とからなる。該長小根太31は、小小根太32と反対側の端部を基板10,11の一端に揃えて配置され、小小根太32は、長小根太31と反対側の端部を基板10,11の他端に揃えて配置されている。これらの長小根太31と小小根太32との向い合う端部同士の間には、配管引き通し用のスペースがあいている。この小マットAの基板11,12間の小根太30は、その一端と基板11,12の該一端との間に配管引き通し用のスペースをあけ、且つその他端を基板11,12の該他端に揃えて配置されている。
【0057】
この小マットAの基板10,11同士は、該長小根太31と小小根太32との間のスペースを横切るように形成された連結部33によって連結されている。また、この小マットAの基板11,12同士は、これらの間の小根太30の該他端側を回り込むように形成された連結部33によって連結されている。この基板11,12間の連結部33は、各基板11,12の短手辺20に沿って延在している。
【0058】
小マットB,C,F,Gにおいては、それぞれ、基板13,14同士の間及び基板15,16同士の間の各小根太30は、一端を各基板13〜16の一端に揃えるようにして配置され、基板14,15同士の間の小根太30は、他端を各基板13〜16の他端に揃えるようにして配置されている。該基板13,14同士及び15,16同士は、それぞれ、各々の間の小根太30の前記他端側を回り込むように形成された連結部33によって連結されている。また、基板14,15同士は、これらの間の小根太30の前記一端側を回り込むように形成された連結部33によって連結されている。これらの連結部33も、各基板13〜16の短手辺20に沿って延在している。
【0059】
小マットD,Hにおいては、それぞれ、基板17,18同士の間の小根太30は、一端を該基板17,18の一端に揃えるようにして配置されている。該基板17,18同士は、これらの間の小根太30の他端側を回り込むように形成された連結部33によって連結されている。この連結部33も、各基板17,18の短手辺20に沿って延在している。
【0060】
小マットEにおいては、基板10,11同士の間の小根太30は、一端を該基板10,11の一端に揃えるようにして配置され、基板11,12同士の間の小根太30は、他端を該基板11,12の他端に揃えるようにして配置されている。この小マットEの基板10,11同士は、これらの間の小根太30の前記他端側を回り込むように形成された連結部33によって連結されている。また、この小マットEの基板11,12同士は、これらの間の小根太30の前記一端側を回り込むように形成された連結部33によって連結されている。これらの連結部33も、それぞれ、各基板10〜12の短手辺20に沿って延在している。
【0061】
第1図の通り、小マットA,Eは、それぞれ、基板12を小マットB,Fの基板13に突き合わせるように配置されている。また、小マットC,Gは、それぞれ、第1図における上下方向を小マットB,Fと逆にして、各々の基板16を該小マットB,Fの基板16に突き合わせるように配置されている。小マットD,Hは、それぞれ、各々の基板17を小マットC,Gの基板13に突き合わせるように配置されている。
【0062】
以下、小マットA〜Dの列及び小マットE〜Hの列の各小根太30,30’を、それぞれ、第1図において最も左側に配置された小根太30,30’から順に1列目の小根太30,30’、2列目の小根太30、3列目の小根太30、4列目の小根太30、5列目の小根太30、6列目の小根太30、7列目の小根太30、8列目の小根太30、9列目の小根太30及び10列目の小根太30と称する。
【0063】
第1図の通り、この実施の形態では、小マットA〜Dの列においては、3列目以降の奇数列目の小根太30の前記突き合わせ部Tと反対側の端部(以下、各小根太30,30’の突き合わせ部Tと反対側の端部を外側端部ということがある。)がそれぞれ各小マットA〜Dの該突き合わせ部Tと反対側の辺(以下、各小マットA〜Hの突き合わせ部Tと反対側の辺を外側辺ということがある。)に揃っており、これらの小根太30の該突き合わせ部T側の端部(以下、各小根太30,30’の突き合わせ部T側の端部を内側端部ということがある。)と各小マットA〜Dの該突き合わせ部T側の辺(以下、各小マットA〜Hの突き合わせ部T側の辺を内側辺ということがある。)との間のスペースにそれぞれ連結部33が配置されている。
【0064】
また、この小マットA〜Dの列における偶数列目の小根太30の内側端部はそれぞれ各小マットA〜Dの内側辺に揃っており、これらの小根太30の外側端部と各小マットA〜Dの外側辺との間のスペースにそれぞれ連結部33が配置されている。
【0065】
小マットE〜Hの列においては、奇数列目の小根太30の内側端部がそれぞれ各小マットE〜Hの内側辺に揃っており、これらの小根太30の外側端部と各小マットE〜Hの外側辺との間のスペースにそれぞれ連結部33が配置されている。また、この小マットE〜Hの列における偶数列目の小根太30の外側端部はそれぞれ各小マットE〜Hの外側辺に揃っており、これらの小根太30の内側端部と各小マットE〜Hの内側辺との間のスペースにそれぞれ連結部33が配置されている。
【0066】
小マットA〜Dの列と小マットE〜Hの列との間では、突き合わせ部Tを挟んで同じ符号の基板10〜18同士が各々の短手辺20を突き合わせるようにして対向している。
【0067】
なお、規格品の床暖房マットにおいては、各基板10〜18を挟んで隣り合う小根太30同士の中心間距離は303mm(基本単位寸法)とされる。通常、各小根太30の短手方向の幅は45mmとされ、突き合わせ部T〜Tに臨まない基板10,11,14,15,18の短手辺方向の幅は258mmとされ、突き合わせ部T〜Tに臨む基板12,13,16,17の短手辺方向の幅は、該基板10,11,14,15,18の半分の129mmとされる。各基板10〜18の長さも、通常、この基本単位寸法303mmの整数倍(例えば606mm、1818mm等)とされる。
【0068】
この実施の形態では、小マットEの基板10に、温水配管3が接続されたヘッダー(図示略)が設置されている。この基板10には、その外側辺の基板11と反対側の角部に、方形の切欠状のヘッダー設置部10aが形成されており、このヘッダー設置部10a内にヘッダーが設置されている。
【0069】
各基板10〜18の上面には、それぞれ、4条の配管収容用溝2が設けられている。
【0070】
小マットB,C,F,Gの基板14,15、小マットD,Hの基板18及び小マットEの基板11においては、各々の4条の配管収容用溝2は、いずれも、該基板10,11,14,15,18の両短手辺20よりも長手辺21の中間側では該長手辺21に沿って直線状に延在し、両短手辺20の近傍では、それぞれ、該短手辺20に連なる連結部33に向って略四分円弧状に湾曲している。この湾曲部から連結部33に向った各配管収容用溝2は、それぞれ、該連結部33を通り、隣接する基板10〜18の各配管収容用溝2に連続している。
【0071】
基板12,13,16,17においては、各々の4条の配管収容用溝2のうちの2条は、それぞれ、該基板12,13,16,17の両短手辺20よりも長手辺21の中間側では該長手辺21に沿って直線状に延在し、該基板12,13,16,17の連結部33に連なる短手辺20の近傍では、該連結部33に向って略四分円弧状に湾曲している。以下、これらのうち、基板12,13,16,17に隣接する小根太30に近い方を第1の配管収容用溝2といい、該小根太30から遠い方を第2の配管収容用溝2という。
【0072】
第1図の通り、該第1の配管収容用溝2は、基板12,13,16,17の連結部33と反対側の短手辺20の近傍においては、略半円弧状にUターンし、次いで略S字形に蛇行するように延在して、その末端が基板12,13,16,17の突き合わせ部T〜T側の長手辺21に臨んでいる。また、該第2の配管収容用溝2は、基板12,13,16,17の連結部33と反対側の短手辺20に向う途中で突き合わせ部T〜T側へ湾曲し、その末端が基板12,13,16,17の該突き合わせ部T〜T側の長手辺21に臨んでいる。
【0073】
各基板12,13,16,17の残りの2条の配管収容用溝2は、該基板12,13,16,17に連なる連結部33から該基板12,13,16,17をその略短手辺方向に横切るように延在し、各々の末端は基板12,13,16,17の突き合わせ部T〜T側の長手辺21に臨んでいる。以下、これらのうち、基板12,13,16,17の連結部33に連なる短手辺20から遠い方を第3の配管収容用溝2といい、該短手辺20に近い方を第4の配管収容用溝2という。
【0074】
これらの第3の配管収容用溝2及び第4の配管収容用溝2は、それぞれ、連結部33から離隔するほど該短手辺20から遠ざかるように略四分円弧状に湾曲して延在している。
【0075】
各基板12,13,16,17の突き合わせ部T〜T側の長手辺21において、該基板12,13,16,17の連結部33から遠い方の短手辺20から第1の配管収容用溝2の該長手辺21に臨む端部までの距離は、連結部33に近い方の短手辺20から第4の配管収容用溝2の該長手辺21に臨む端部までの距離と略等距離となっている。また、連結部33から遠い方の短手辺20から第2の配管収容用溝2の該長手辺21に臨む端部までの距離は、連結部33に近い方の短手辺20から第3の配管収容用溝2の該長手辺21に臨む端部までの距離と略等距離となっている。
【0076】
これにより、隣接する小マットA,B間及びE,F間の基板12,13同士の間、小マットB,C間及びF,G間の基板16,16同士の間、並びに小マットC,D間及びG,H間の基板13,17同士の間においては、突き合わせ部T〜Tを挟んで各々の第1の配管収容用溝2と第4の配管収容用溝2との端部同士、並びに第2の配管収容用溝2と第3の配管収容用溝2との端部同士がそれぞれ対面し、これらの配管収容用溝2同士が突き合わせ部T〜Tを横切って連続したものとなっている。
【0077】
なお、この実施の形態では、これらの配管収容用溝2の端部は、それぞれ、各基板12,13,16,17の突き合わせ部T〜T側の長手辺21に沿って延在したものとなっており、この端部に向って各配管収容用溝2が緩やかに湾曲している。また、これらの配管収容用溝2は、各突き合わせ部T〜Tを挟んで互いに反対側に向って凸となるように湾曲しており、これにより、これらの配管収容用溝2は、各突き合わせ部T〜Tを挟んだ一方の基板から他方の基板にかけて略S字形に連続したものとなっている。
【0078】
このように端部が突き合わせ部T〜T(即ち床暖房マット1の折り線部)に臨む各基板12,13,16,17の配管収容用溝2の湾曲部は、それぞれ、第1図に示すように、できるだけ曲率半径の大きい曲線を描くように湾曲して延在していることが好ましい。特に、第1図の通り、各基板12,13,16,17の4条の配管収容用溝2のうち前記第3の配管収容用溝2の湾曲部の曲率半径が最も大きくなるように構成することが好ましい。
【0079】
小マットAの基板10,11においては、各々の4条の配管収容用溝2は、いずれも、該基板10の短手辺20よりも長手辺21の中間側では、該長手辺21に沿って直線状に延在しているが、これらのうち小根太30’に最も近い配管収容用溝2と、該小根太30’に2番目に近い配管収容用溝2とは、基板10,11同士の間の連結部33付近において該連結部33よりも小マットAの外側辺側と内側辺側とに分離している。これらの配管収容用溝2の該外側辺側と内側辺側とは、それぞれ、該連結部33の近傍において該連結部33に向って略四分円弧状に湾曲しており、基板10,11の小根太30’に最も近い配管収容用溝2の該外側辺側同士、小根太30’に2番目に近い配管収容用溝2の該外側辺側同士、小根太30’に最も近い配管収容用溝2の該内側辺側同士、並びに小根太30’に2番目に近い配管収容用溝2の該内側辺側同士が連結部33を介して連続している。
【0080】
小マットAの基板10においては、小根太30’に最も近い配管収容用溝2と、小根太30’から最も遠い配管収容用溝2とが、それぞれ、基板10の小マットA外側辺側の短手辺20の近傍において、該短手辺20の中間側へ向って略四分円弧状に湾曲して互いに連続したものとなっている。また、この基板10の小根太30’に2番目に近い配管収容用溝2と、小根太30’から2番目に遠い配管収容用溝2とも、それぞれ、基板10の小マットA外側辺側の短手辺20の近傍において、該短手辺20の中間側へ向って略四分円弧状に湾曲して互いに連続したものとなっている。
【0081】
小マットAの基板11においては、小根太30’に最も近い配管収容用溝2と、小根太30’から最も遠い配管収容用溝2とが、それぞれ、基板10の小マットA内側辺側の短手辺20の近傍において、該短手辺20の中間側へ向って略四分円弧状に湾曲して互いに連続したものとなっている。また、この基板10の小根太30’に2番目に近い配管収容用溝2と、小根太30’から2番目に遠い配管収容用溝2とも、それぞれ、基板10の小マットA内側辺側の短手辺20の近傍において、該短手辺20の中間側へ向って略四分円弧状に湾曲して互いに連続したものとなっている。
【0082】
この基板11の小マットA外側辺側の短手辺20の近傍においては、各配管収容用溝2は、いずれも、該基板11に連なる連結部33に向って略四分円弧状に湾曲し、該連結部33を通って、隣接する基板12の各配管収容用溝2に連続している。
【0083】
第1図に示すように、小マットAの基板10においては、各配管収容用溝2の小マットE側の端部は、それぞれ、該基板10の内側辺、即ち小マットA,E同士の突き合わせ部Tに臨んでいる。また、小マットEの基板10においても、各配管収容用溝2の小マットA側の端部は、それぞれ、該基板10の内側辺、即ち小マットA,E同士の突き合わせ部Tに臨んでいる。この小マットA側の各配管収容用溝2と小マットE側の各配管収容用溝2の端部同士は、それぞれ突き合わせ部Tを挟んで対面しており、これにより、各配管収容用溝2は該突き合わせ部Tを横切って小マットAから小マットEに連続したものとなっている。
【0084】
小マットAの基板10及び小マットEの基板10の各配管収容用溝2は、それぞれ、該突き合わせ部Tの近傍において略円弧状に湾曲しており、これにより、各々の端部は該突き合わせ部Tに沿って延在したものとなっている。なお、突き合わせ部Tを挟んで小マットA側の各配管収容用溝2の湾曲部と小マットE側の各配管収容用溝2の湾曲部とは、互いに反対方向に湾曲しており、これにより、各配管収容用溝2は、小マットA側から小マットE側にかけて略S字形に延在したものとなっている。
【0085】
小マットEの基板10においては、4条の配管収容用溝2は、いずれも、該基板10の短手辺20よりも長手辺21の中間側では、該長手辺21に沿って直線状に延在している。これらのうち基板10,11間の小根太30に最も近い配管収容用溝2と、該小根太30に2番目に近い配管収容用溝2とは、該基板10の小マットE外側辺側の短手辺20の近傍において、該基板10に連なる連結部33に向って略四分円弧状に湾曲し、該連結部33を通って、隣接する基板11の4条の配管収容用溝2のうちの2条に連続している。
【0086】
この基板10の残りの2条の配管収容用溝2は、それぞれ、小マットE外側辺側において、各々の末端が前記ヘッダー設置部10aに臨んでいる。また、隣接する基板11の配管収容用溝2のうち該基板10の配管収容用溝2と連なっていない残りの2条も、それぞれ、基板10,11間の連結部33を通って該基板10上に入り込んだ後、各々の末端が該ヘッダー設置部10aに臨んでいる。
【0087】
温水配管3は、これらの配管収容用溝2に収容されて基板10〜18に連続して引き回されていると共に、T〜Tを横切って小マットA〜Hに連続して引き回されている。
【0088】
なお、この実施の形態では、前述の通り、配管収容用溝2のうち各突き合わせ部T〜Tを横切る部分は、それぞれ、該突き合わせ部T〜Tに沿って延在したものとなっている。従って、温水配管3のうち各突き合わせ部T〜Tを横切る部分も、この配管収容用溝2に収容されることにより、該突き合わせ部T〜Tに沿って延在したものとなる。
【0089】
そのため、これらの突き合わせ部T〜Tに沿って基板A,B間、B,C間、C,D間、E,F間、F,G間、G,H間及びA,E間を折り曲げた際には、温水配管3は、これらの突き合わせ部T〜Tを横切る部分がそれぞれその軸心回りに捩れるようにして曲がる。これにより、基板A,B間、B,C間、C,D間、E,F間、F,G間、G,H間及びA,E間の折り曲げに伴い、温水配管3が座屈して破損することが防止される。
【0090】
この実施の形態では、温水配管3は、一端がヘッダー設置部10a内のヘッダーに接続され、小マットEの基板10から突き合わせ部Tを横切って小マットAの基板10に引き回され、次いで、この小マットAの基板10から各連結部33及び該小マットAの基板11,12、小マットBの13〜16、小マットCの基板16〜13、小マットDの基板17を通って該小マットDの基板18まで引き回され、次いで、この小マットDの基板18でUターンして、再び各連結部33及び該小マットDの基板17、小マットCの基板13〜16、小マットDの基板16〜13、小マットAの基板12,11を通って該小マットAの基板10に戻り、その後、この小マットAの基板10から突き合わせ部Tを横切って小マットEの基板10に引き回され、次に、この小マットEの基板10から各連結部33及び該小マットEの基板11,12、小マットFの13〜16、小マットGの基板16〜13、小マットHの基板17を通って該小マットHの基板18まで引き回され、次いで、この小マットHの基板18でUターンして、再び各連結部33及び該小マットHの基板17、小マットGの基板13〜16、小マットFの基板16〜13、小マットEの基板12,11を通って該小マットEの基板10に戻り、他端が前記ヘッダーに接続されている。
【0091】
なお、温水配管3の配管ルートはこれに限定されない。
【0092】
図示は省略するが、この実施の形態では、小マットA〜Dの上面を覆う均熱シート7は、これらの小マットA〜D同士の突き合わせ部T〜Tを跨いで連続したものとなっている。また、小マットE〜Hの上面を覆う均熱シート7も、これらの小マットE〜H同士の突き合わせ部T〜Tを跨いで連続したものとなっている。この小マットA〜Dの列を覆う均熱シート7と、小マットE〜Hの列を覆う均熱シート7とは、突き合わせ部Tに沿って分断されている。
【0093】
これにより、この実施の形態では、小マットA〜Dの列を各突き合わせ部T〜Tに沿って谷折りしうると共に、小マットE〜Hの列も各突き合わせ部T〜Tに沿って谷折りしうるものとなっており、且つ小マットA,E間を突き合わせ部Tに沿って山折りしうるようになっている。
【0094】
次に、前記易変形部4の構成について詳細に説明する。
【0095】
第4図に示すように、この実施の形態では、易変形部4は、各基板10〜18の突き合わせ部Tに臨む短手辺20から、各々と対向する各基板10〜18側へ向ってそれぞれ突設された凸部よりなる。この実施の形態では、小マットA〜D側及び小マットE〜H側の双方の基板10〜18の短手辺20からそれぞれ易変形部4が突設されている。また、第4図の通り、小マットA〜D側の基板10〜18の各易変形部4と小マットE〜H側の基板10〜18の各易変形部4とが突き合わせ部Tを挟んで向い合い、各々の突出方向の先端面同士が突き合わされている。
【0096】
温水流通時の各基板10〜18の伸長量は、各基板10〜18の長手辺方向における温水配管3の延在長さに依存する。温水配管3は、各基板10〜18の長手辺方向において、通常、600〜1800mm程度の長さにわたって延在する。易変形部4の該短手辺20からの突出量P(第6図(a))は、この温水流通時の各基板10〜18の伸長量に応じて設定されるが、通常、0.5〜15mm程度であることが好ましい。
【0097】
易変形部4は、各基板10〜18の短手辺20にそれぞれ設けられていることが好ましい。この実施の形態では、各基板10〜18の短手辺20に1個ずつ易変形部4が設けられている。ただし、易変形部4の個数及び配置はこれに限定されない。この易変形部4の幅W(各基板10〜18の短手辺方向の幅)は、通常、3〜20mm程度であることが好ましい。
【0098】
この実施の形態では、各易変形部4の厚さは、その突出方向の基端側から先端側まで各基板10〜18と略同一厚さとなっている。
【0099】
この実施の形態では、易変形部4は、各基板10〜18と同一の材質にて、各基板10〜18とそれぞれ一連一体に形成されている。ただし、本発明においては、易変形部4は、各基板10〜18と別体に成形され、接着剤等によって各基板10〜18に取り付けられたものであってもよい。また、易変形部4は、各基板10〜18と異なる材質にて構成されてもよい。
【0100】
この実施の形態では、第6図(a)の通り、各基板10〜18の上面から易変形部4の上面まで均熱シート7が延在しているが、均熱シート7は、易変形部4の上面までは延在していなくてもよい。
【0101】
このように構成された床暖房マット1の作用効果は以下の通りである。
【0102】
前記ヘッダーから温水配管3に温水が供給され、この温水配管3内を温水が流れると、温水配管3が熱膨張し、温水配管3が伸長する。この温水配管3の伸長力により、各基板10〜18がその長手辺方向に押し伸ばされ、各基板10〜18も伸長する。
【0103】
この床暖房マット1にあっては、小マットA〜D側の各基板10〜18と、小マットE〜H側の各基板10〜18とは、それぞれ、各々の突き合わせ部T側の短手辺20から突設された易変形部4を介して互いに突き合わされている。そのため、基板10〜18がその長手辺方向に伸長した場合には、第6図(b)の通り、易変形部4は、この押圧力によって押し潰されるように変形し、各基板10〜18の伸長が吸収される。このため、基板10〜18同士が強く押し合うことが防止され、基板10〜18が床から浮き上がることが防止される。
【0104】
なお、この床暖房マット1にあっては、基板10〜18の易変形部4同士を突き合わせてこれらの基板10〜18を配列しているので、各基板10〜18の配列時の位置決めを容易に行うことができる。
【0105】
この実施の形態では、易変形部4は、基板10〜18と一連一体の凸部よりなるため、この易変形部4を容易に形成することができる。
【0106】
この実施の形態では、各基板10〜18は、各々の上面に設けられた配管収容用溝2が下面に露呈するほど厚さが小さいので、床暖房マット1の全体の厚さもきわめて小さいものとなっている。
【0107】
なお、基板10〜18の厚さを小さくするほど、温水配管3の熱膨張に伴う各基板10〜18の伸長量も大きくなるが、この床暖房マット1にあっては、配管収容用溝2が下面に露呈するほど各基板10〜18の厚さを小さくしても、易変形部4により各基板10〜18の伸長を十分に吸収することができる。
【0108】
また、この実施の形態では、各基板10〜18の下面に、各配管収容用溝2を塞ぐように裏張りシート8が貼り付けられているので、各基板10〜18の下面側の強度も確保される。また、この裏張りシート8により、各配管収容用溝2からの各基板10〜18の下面側への放熱も抑制される。
【0109】
図示は省略するが、この床暖房マット1を用いて暖房床を構築する場合には、床下地(例えば床のリフォームの場合には既存の床)上にこの床暖房マット1を敷き、その上に仕上げ床材を敷設する。上記の通り、この床暖房マット1にあっては、厚さが小さいので、この床暖房マット1を敷設した床のレベルと、この床暖房マット1を敷設していない部屋の床レベルとの差を小さく抑えることができる。
【0110】
また、このように床暖房マット1の厚さが小さいので、その分だけ、この床暖房マット1の上に敷設される仕上げ床材として厚さの大きいものを用いても、床のレベルが過度に高くなることが防止される。このように仕上げ床材として厚さの大きいものを用いることにより、構築された暖房床の強度及び剛性を高めることができる。また、仕上げ床材の選択の自由度も高まる。
【0111】
[易変形部の別の構成例]
第7図は易変形部の別の構成例を示す第6図(a),(b)と同様部分の断面図である。第7図(a)は、易変形部が基板同士の接近方向の力により変形する前の状態を示し、第7図(b)は、易変形部が基板同士の接近方向の力により変形した後の状態を示している。
【0112】
この実施の形態の易変形部4Aも、第1〜6図の床暖房マット1における易変形部4と同様に、各基板10〜18の短手辺20から突設された凸部よりなる。この実施の形態では、第7図(a)の通り、該易変形部4Aは、その突出方向の先端側ほど厚さが小さくなる略三角形ないし台形の断面形状となっている。なお、この実施の形態では、各易変形部4Aの上面には均熱シート7が貼り付けられていない。
【0113】
なお、第7図は小マットB,Fの各基板14同士の易変形部4Aのみを示しているが、これ以外の各基板10〜18にも、これと同様の易変形部4Aがそれぞれ設けられている。
【0114】
この実施の形態のその他の構成は第1〜6図の実施の形態と同様であり、第7図において第1〜6図と同一符号は同一部分を示している。
【0115】
この実施の形態にあっては、各易変形部4Aはその先端側ほど厚さが小さくなっているので、各易変形部4Aはその先端側ほど変形し易い。そのため、第7図(b)のように、温水配管3の熱膨張に伴って各基板10〜18が伸長する初期段階からスムーズに各易変形部4Aが変形を開始する。また、各易変形部4Aの上面と、床暖房マット上に敷設された床仕上げ材(図示略)との間に空間が生じるため、各易変形部4Aが変形してその厚さが大きくなっても、変形後の各易変形部4Aによって床仕上げ材が押し上げられることが防止ないし抑制される。
【0116】
[易変形部のさらに他の構成]
上記の各実施の形態では、易変形部4,4Aは、いずれも、各基板10〜18の短手辺20から突設された凸部よりなるが、易変形部の構成はこれに限定されない。
【0117】
例えば、各基板10〜18の短手辺20の近傍部分に多数の小孔を穿設することなどによりこの部分の剛性を低下させて易変形部としてもよい。
【0118】
易変形部は、各基板10〜18と別体に成形されて各基板10〜18の短手辺20に取り付けられた構成であってもよい。また、易変形部は、各基板10〜18と異なる材質にて構成されてもよい。
【0119】
上記の実施の形態では、易変形部4は、小マットA〜D側及び小マットE〜H側の双方の基板10〜18にそれぞれ設けられているが、小マットA〜D側及び小マットE〜H側のどちらか一方の基板10〜18にのみ易変形部4が設けられてもよい。
【0120】
[別の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1A]
第8図は別の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1Aの断面図であり、第9図はこの床暖房マット1Aの分解断面図である。なお、第8図及び第9図は、前述の第2図と同様の部分における断面を示している。
【0121】
この床暖房マット1Aは、前述の第1〜6図の床暖房マット1において、各基板10〜18(第8,9図では基板10〜12,16〜18は図示略。以下、同様。)に、略U字形断面形状の配管収容用溝2の代わりに、略方形断面形状の配管収容用溝2Aが形成された構成となっている。
【0122】
第8,9図の通り、この配管収容用溝2Aは、各基板10〜18の上面から下面まで略等幅となっている。
【0123】
この床暖房マット1Aのその他の構成は、第1〜6図の床暖房マット1と同様となっており、第8,9図において第1〜6図と同一符号は同一部分を示している。
【0124】
この床暖房マット1Aにあっては、各溝配管収容用溝2Aの断面形状が略方形であり、各基板10〜18の上面から下面まで略等幅となっているので、この配管収容用溝2A付きの基板10〜18の成形が容易である。
【0125】
なお、この床暖房マット1Aにあっても、略U字形の配管収容用溝2により奏される下面側への放熱抑制効果を除き、床暖房マット1と同様の作用効果が奏される。
【0126】
[材質等]
上記各部材の材質の一例として次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
基板としては例えば発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタン等の発泡合成樹脂のほか木材等を用いることができる。発泡合成樹脂としては、断熱性の点から、内部の気泡が独立気泡となっているものが好ましい。
【0128】
前述の各実施の形態では、各基板10〜18は、配管収容用溝2,2Aが下面に露呈するほど厚さが小さいものとなっているが、本発明は、基板の厚さがこれよりも大きい温調マットにも適用可能である。
【0129】
本発明においては、裏張りシートは、前述の通り、低熱伝導材よりなることが好ましい。この低熱伝導材としては、不織布や合成樹脂シートあるいは紙等を用いることができる。
【0130】
小根太としては、木材や、釘打ち可能な合成木材又は合成樹脂あるいは合成樹脂発泡体等が好ましい。
【0131】
上記の各実施の形態における小根太30,30’のように、小根太本体30aの上下両面に補強板30b,30bを貼り付ける場合には、該小根太本体30aとしては、例えば合板等を用いることができ、補強板30bとしては、金属板又は金属箔や、樹脂板、あるいは金属と樹脂との複合材料よりなる板材等を用いることがきる。なお、この場合、該補強板30bの厚さは、該補強板30bに釘が入る程度のものとする。
【0132】
ただし、小根太の構成はこれに限定されない。例えば、本発明においては、補強板は小根太本体の上面又は下面の一方にのみ設けられてもよい。また、小根太本体が十分な強度を有していれば、補強板は省略されてもよい。
【0133】
均熱シート及び均熱板としては、アルミ又は銅等の金属箔が好ましい。
【0134】
均熱シートの表面にポリエチレンテレフタレート等のフィルムをラミネートすることにより、温調マットの梱包時や運搬時等に均熱シートの破損を防止することができる。なお、このフィルムの材質はポリエチレンテレフタレート以外であってもよい。
【0135】
温水配管としては、可撓性のポリエチレン等の合成樹脂チューブや銅パイプが例示される。
【0136】
[その他の構成]
上記の実施の形態は、いずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は図示の構成に限定されない。
【0137】
本発明の温調マットを構成する基板の枚数に特に制限はなく、上記以外の枚数の基板を用いて温調マットを構成してもよい。
【0138】
本発明においては、配管収容用溝の内側にも、この溝の底部を塞ぐように低熱伝導材が設けられてもよい。また、均熱板が設けられる場合には、この均熱板の外面に低熱伝導材が貼り付けられてもよい。このように構成することにより、基板の下面側への放熱が一層抑制される。
【0139】
本発明では、少なくとも裏貼りシートの下側に、耐貫通性を有する貫通防止層を設けてもよい。このように構成することにより、例えば床下地の表面がささくれて、鋭く尖った棘が突き出ていても、この棘が裏貼りシートを貫通して温調用配管に突き刺さることが防止される。
【0140】
この貫通防止層としては、合成樹脂製の単層又は複層シートが好適である。
【0141】
なお、ワックスが塗布された既存床上に温調マットを敷設して温調床を構築した場合には、この温調マットからの熱により既存床表面のワックスが溶け出すおそれがある。この場合、温調床上を人が歩いたときに、この溶け出したワックスにより温調マットが既存床上を滑って音鳴りすることがある。
【0142】
そのため、本発明では、貫通防止層の下側に紙又は不織布よりなるワックス吸収層を設けてもよい。このように構成することにより、既存床表面のワックスが溶け出しても、このワックスがワックス吸収層によって吸収されるため、温調マットが滑って音鳴りすることが防止ないし抑制される。
【0143】
本発明では、貫通防止層自体を紙又は不織布により構成し、この貫通防止層自体がワックスを吸収しうるように構成してもよい。
【0144】
上記の実施の形態は、床暖房マットに関するものであるが、本発明の温調マットは、壁や天井等に配置されてもよい。また、水以外のオイル、不凍液等の熱媒体を流通させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】第1の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1の平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図2と同様部分の分解断面図である。
【図4】図1のIV付近(突き合わされた基板同士の易変形部付近)の拡大図である。
【図5】易変形部が基板同士の接近方向の力により変形した後の図4と同様部分の平面図である。
【図6】図4のVIA−VIA線に沿う断面図及び図5のVIB−VIB線に沿う断面図である。
【図7】易変形部の別の構成例を示す温調マットの要部断面図である。
【図8】別の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1Aの断面図である。
【図9】図8の床暖房マット1Aの分解断面図である。
【図10】従来例に係る温調マットの平面図である。
【図11】従来例に係る温調マットの均熱板の斜視図である。
【符号の説明】
【0146】
1,1A 床暖房マット
2,2A 配管収容用溝
3 温水配管
4,4A 易変形部
6 均熱板
6a U字部
6b フランジ部
7 均熱シート
8 裏張りシート
10〜18 基板
30 小根太
30a 小根太本体
30b 補強板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端辺同士を突き合わせるようにして配列される複数枚の基板と、
各基板に設けられた配管収容用溝と、
該配管収容用溝に収容された温調用配管と
を有する温調マットにおいて、
該基板の少なくとも一部の前記端辺に、該基板同士の接近方向に力が加えられたときに変形して該基板同士の接近を許容する易変形部が設けられていることを特徴とする温調マット。
【請求項2】
請求項1において、該易変形部は、該基板の前記端辺から突設された凸部よりなることを特徴とする温調マット。
【請求項3】
請求項2において、該凸部は、該端辺から0.5〜15mm突出していることを特徴とする温調マット。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記基板は樹脂発泡体よりなり、前記凸部は、該基板と一連一体に設けられていることを特徴とする温調マット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、該基板は、それぞれ略長方形状のものであり、該基板同士は、各々の短手辺同士を突き合わせるようにして配列されるものであり、
前記温調用配管は、各基板の長手辺に沿う方向に配設されており、
前記易変形部は、少なくとも一方の該基板の短手辺に設けられていることを特徴とする温調マット。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、該基板は、前記配管収容用溝が該基板の下面に露呈する厚さとなっており、
該基板の下面に、該配管収容用溝を塞ぐ裏張りシートが設けられていることを特徴とする温調マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−19461(P2010−19461A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179154(P2008−179154)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】