説明

測光レベル補正方法及び被測定物検査システム

【課題】センサの特性変動が生じた場合でもより正確な測定結果の補正を可能にする。
【解決手段】この被測定物検査システム1は、光源8,9と撮像素子6とカラーセンサ7とデータ処理部15とを有する被測定物検査装置2と、被測定物検査装置2が載置された状態で撮像素子6が撮像可能な部位に情報読取用シート11が付され、カラーセンサ7が測定可能な部位に補正用シート12が付された台座部3とを備え、データ処理部15は、被測定物検査装置2を台座部3に載置させた際に撮像された情報読取用シート11の画像データが、2次元バーコードのパターンに対応する場合には、カラーセンサ7によって測定された補正用シート12の反射光のレベルとその2次元バーコードから特定された基準レベルとに基づいて補正係数を算出し、カラーセンサ7によって測定される被測定物の反射光レベルを、補正係数を用いて補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光に応じて被測定物において生じる反射光のレベルを検出する測光レベル補正方法及び被測定物検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙幣の偽造判定や真偽判定等の測定対象物の検査ために、測定対象物の色や所定周波数帯の反射光の輝度や反射率を測定する装置が知られている。このような装置においては、測定に用いられるセンサの経時劣化や環境変化による特性変化が生じ、得られる測定結果にばらつきが発生する場合がある。
【0003】
このようなセンサの特性変化による影響を防止するための技術としては、例えば下記特許文献1に記載の照明装置のように、色成分の割合を検出するセンサによって所定の光を検出させ、センサの出力信号と予め記憶させたデータ値との差分をとり、その差分値でセンサの出力を補正することが行われている。
【特許文献1】特開平8−180978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、上述したような測定対象物の反射光を測定する装置においても、カラーセンサ等のセンサの特性変化を補正するために、測定対象物の測定前に試験用の補正用シートの反射光を測定し、その測定結果及び予め記憶された基準値に基づいて、測定対象物の測定結果に対する補正値が算出されることが行われる。しかしながら、このような補正用シートの色合いや濃淡には多少のばらつきがあるため、補正用シートが入れ替え等により変化した場合には正確な補正が困難になる。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、センサの特性変動が生じた場合でもより正確な測定結果の補正を可能にする測光レベル補正方法及び被測定物検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の測光レベル補正方法は、被測定物に照明光を照射する光源と、被測定物を撮像する撮像手段と、照明光に応じて被測定物の表面に生じる反射光のレベルを測定する測光手段と、撮像手段及び測光手段によって生成されたデータを処理するデータ処理手段とを有する被測定物検査装置において、測光手段によって測定されたレベルを補正するための測光レベル補正方法であって、撮像手段が撮像可能な部位に所定のパターンが付されるとともに、測光手段が測定可能な部位に補正用部材が付された台座部を撮像手段によって撮像させて、所定のパターンの画像データを取得する第1のステップと、測光手段を用いて、照明光に応じて補正用部材の表面に生じる反射光のレベルを測定させる第2のステップと、データ処理手段を用いて、第1のステップで取得された所定のパターンの画像データが、予め規定された規定パターンに対応するか否かを判定させる第3のステップと、第3のステップにおいて所定のパターンの画像データが規定パターンに対応すると判定された場合には、データ処理手段を用いて、第2のステップにおいて測定されたレベルと予め規定された基準レベルとに基づいて、被測定物の反射光のレベルを補正するための補正値を算出させる第4のステップと、被測定物が測光手段によって測定される際に、データ処理手段を用いて、被測定物の反射光のレベルを補正値を用いて補正させる第5のステップと、を備える。
【0007】
或いは、本発明の被測定物検査システムは、被測定物に照明光を照射する光源と、被測定物を撮像する撮像手段と、照明光に応じて被測定物の表面に生じる反射光のレベルを測定する測光手段と、撮像手段及び測光手段によって生成されたデータを処理するデータ処理手段とを有する被測定物検査装置と、撮像手段が撮像可能な部位に所定のパターンが付されるとともに、測光手段が測定可能な部位に補正用部材が付された台座部とを備え、データ処理手段は、撮像手段によって撮像された所定のパターンの画像データが、予め規定された規定パターンに対応するか否かを判定するとともに、当該画像データが規定パターンに対応すると判定された場合には、測光手段によって測定された補正用部材の反射光のレベルと予め規定された基準レベルとに基づいて補正値を算出し、測光手段によって測定される被測定物の反射光のレベルを、補正値を用いて補正する。
【0008】
このような測光レベル補正方法及び被測定物検査システムによれば、台座部に付された所定パターンが被測定物検査装置の撮像手段によって撮像され、台座部に付された補正用部材の表面からの反射光が、被測定物検査装置の測光手段によって測定される。そして、被測定物検査装置のデータ処理手段により、所定パターンが規定パターンに対応すると判定された場合に、補正用部材の反射光のレベルと予め規定された基準レベルとに基づいて補正値が算出され、その補正値を用いて測光手段によって測定される被測定物の反射光レベルが補正される。これにより、台座部に付されたパターンと補正用部材とを対応付けておくことで、補正値を算出する際に使用する補正用部材が入れ替わった場合であってもその補正用部材を他のものと区別することができる。その結果、使用する補正用部材を限定したり、補正用部材ごとに基準値を変更することができ、補正用部材の製造時のばらつきが生じてもセンサの特性変動に対するより正確な測定レベル補正を可能にする。特に、所定パターンと補正用部材とが、台座部で一体化されてペアで使用されることにより、被測定物検査装置が別の台座部との組合せで使用された場合でも誤った測光レベルの補正を防止して正常な補正を行うことができる。
【0009】
所定のパターンは、所定の情報と対応付けられたパターンであることが好ましい。この場合、所定のパターンの撮像データによって補正用部材の識別が容易に為されるので、補正値の算出も容易になる。
【0010】
また、第4のステップでは、第2のステップにおいて測定されたレベルと、所定のパターンから読み取られた所定の情報によって求められる基準レベルとに基づいて、補正値を算出させることも好ましい。この場合、所定のパターンの撮像データによって補正用部材に対応する基準値が求められるので、補正値の算出が簡易になり初期設定の手間も軽減される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の測光レベル補正方法及び被測定物検査システムによれば、センサの特性変動が生じた場合でもより正確な測定結果の補正が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る被測定物検査システム及び測光レベル補正方法について詳細に説明する。
【0013】
図1及び図2に示す被測定物検査システム1は、紙幣、商品券等の被測定物に照明光を照射してその被測定物を撮像するとともに、被測定物の表面に生じる反射光の所定波長成分のレベルを測定する装置である。このような被測定物検査システム1は、被測定物の真偽判定等の用途で用いられる。
【0014】
これらの図に示すように、被測定物検査システム1は、被測定物を検査する被測定物検査装置2と、被測定物検査装置2を載置するための台座部3とを備えている。略直方体形状を有する被測定物検査装置2の底面には、被測定物を撮像するための窓部4と被測定物表面の反射光を測定するための窓部5とが設けられており、被測定物検査装置2は、検査の際に窓部4,5を被測定物に近接させることにより使用される。また、被測定物検査装置2は、この窓部4の内側に収容されたCCD、CMOS等の撮像素子(撮像手段)6と、窓部5の内側に収容されたフォトダイオード等の受光素子からなるカラーセンサ(測光手段)7と、窓部4,5と撮像素子6及びカラーセンサ7との間に配置されたレンズ等の光学系(図示せず)と、窓部4,5の内側にそれぞれ設けられて被測定物に照明光を照射する光源8,9とを有する。
【0015】
撮像素子6は、被測定物の表面像に応じた画像データを生成し、その画像データを装置2の内部のデータ処理部(詳細は後述)に出力する。カラーセンサ7は、所定の波長帯(例えば、赤色光、緑色光、青色光の3つの波長帯)に感度を有する複数の受光素子を有しており、光源9からの照明光に応じて被測定物表面に生じる反射光を検出して、その反射光のそれぞれの波長帯のレベル(輝度)に応じた測定信号を生成し、その測定信号をデータ処理部に出力する。
【0016】
台座部3には、被測定物検査装置2が載置される際に嵌め込まれる窪み部10が形成されている。この窪み部10は、被測定物検査装置2が載置されたときに、窓部4,5側の底面と対向する平坦面10aを有する。この平坦面10a上の窓部4と対向する部位には、所定の情報に対応する2次元バーコードが付された情報読取用シート11が取り付けられており、平坦面10a上の窓部5と対向する部位には、被測定物の反射光のレベルを補正するための基準色を表面に有する補正用シート12が取り付けられている。このような構成により、被測定物検査装置2が載置された際には、撮像素子6によって情報読取用シート11の表面画像が撮像されるとともに、カラーセンサ7によって補正用シート12の表面における反射光のレベルが測定される。
【0017】
次に、図3を参照して、被測定物検査装置2の構成についてより詳細に説明する。
【0018】
同図に示すように、被測定物検査装置2は、撮像素子6、カラーセンサ7、及び光源8,9を制御するとともに、撮像素子6及びカラーセンサ7から出力されたデータを処理する演算回路である制御部13を内部に備える。この制御部13は、入出力部14とデータ処理部(データ処理手段)15とから構成されている。データ処理部15は、ケーブル16を介して外部のパーソナルコンピュータ、サーバ装置等と接続される。
【0019】
入出力部14は、データ処理部15からの点灯指示に応じて光源8,9の点灯を制御する制御信号を出力する。また、入出力部14は、光源8,9のそれぞれの点灯に応じて撮像素子6から出力された画像データ及びカラーセンサ7から出力された測定信号を受け取り、その画像データ及び測定信号に対してアナログ−デジタル変換等の各種の信号処理を施した後にデータ処理部15に出力する。
【0020】
データ処理部15は、測定ボタン17(図1参照)の押下を検出したとき、又は、図示しないボタンセンサ、光学センサ等の検出手段により被測定物検査装置2が台座部3に載置されたことを検出したときに、入出力部14を介して光源8,9の点灯を開始するように制御する。より具体的には、測定ボタン17が押下されたときは、モード切替ボタン18(図1参照)によって撮像素子6を用いた“撮像モード”又はカラーセンサ7を用いた“レベル測定モード”のどちらが選択されているかを検出し、検出結果に応じて光源8又は光源9のうちいずれかを点灯させる制御信号を入出力部14を介して出力する。一方、被測定物検査装置2が台座部3に載置されたことを検出した場合は、データ処理部15は、光源8及び光源9の両方を点灯させる制御信号を入出力部14を介して出力する。
【0021】
また、データ処理部15は、被測定物検査装置2が台座部3に載置されたことを検出した際に、撮像素子6によって生成された情報読取用シート11の表面の画像データを処理する。具体的には、データ処理部15は、情報読取用シート11の画像データの中に2次元バーコードに対応する画像データが含まれるか否かを判定する。そして、データ処理部15は、2次元バーコードに対応する画像データが含まれる場合に、その画像データから2次元バーコードの表す基準データDRGBをデコードする(読み出す)。この基準データDRGBは、例えば、(K,K,K)のようなデータであり、補正用シート12の反射光の各波長帯の基準レベルを算出するための係数である。
【0022】
さらに、データ処理部15は、被測定物検査装置2が台座部3に載置されたことを検出した際に、カラーセンサ7によって生成された測定信号(L,L,L)を用いて、被測定物の反射光レベル測定のための補正値を算出する。すなわち、データ処理部15は、補正用シート12の反射光の各波長帯の基準レベル(AV,AV,AV)を、情報読取用シート11の画像データから読み取った基準データDRGB(K,K,K)と、予め規定されたレベル値(LR0,LG0,LB0)とに基づいて、下記式(1)により算出する。このレベル値(AV,AV,AV)は、経時劣化等の特性変化が生じていないマスタ用のカラーセンサによる補正用シート12に関する測定結果であり、カラーセンサ7の測定結果を補正するための基準レベルを表す。
(AV,AV,AV)=(K×LR0,K×LG0,K×LB0) …(1)
そして、データ処理部15は、カラーセンサ7を用いた実際の補正用シート12の測定レベル(L,L,L)と、各波長帯の基準レベル(AV,AV,AV)とに基づいて、下記式(2);
(C,C,C)=(AV/L,AV/L,AV/L) …(2)
を用いて、補正係数(C,C,C)を算出する。この補正係数(C,C,C)は、マスタ用のカラーセンサに対して、カラーセンサ7の各波長帯の感度がどの程度ずれているかを表している。
【0023】
また、データ処理部15は、上記の補正係数(C,C,C)を算出後に、モード切替ボタン18による“レベル測定モード”の選択、及び測定ボタン17の押下を検出したときには、以下のようにして測定レベルの補正処理を行う。具体的には、データ処理部15は、カラーセンサ7から被測定物の反射光の測定レベル(LR1,LG1,LB1)が出力されると、補正係数(C,C,C)を用いて、下記式(3);
(LR2,LG2,LB2)=(C×LR1,C×LG1,C×LB1) …(3)
により測定レベル(LR2,LG2,LB2)に補正する。
【0024】
次に、被測定物検査システム1の動作について説明するとともに、本発明の実施形態に係る測光レベル補正方法について詳述する。
【0025】
図4は、被測定物検査システム1における補正係数の算出の手順を示すフローチャート、図5は、被測定物検査システム1における測定レベルの補正の手順を示すフローチャートである。
【0026】
まず、図4を参照して、情報読取用シート11及びそれに対応する補正用シート12が付された台座部3が準備されて、カラーセンサ7の測定レベルを補正するための補正係数の算出処理が開始される。最初に、被測定物検査装置2を台座部3に載置させると、被測定物検査装置2に設けられたボタンセンサ、光学センサ等の検出手段によりその載置が検出される(ステップS01)。そうすると、データ処理部15により、光源8の点灯開始が制御される(ステップS02)。次に、データ処理部15の制御により撮像素子6によって台座部3の情報読取用シート11の表面が撮像され、その表面の画像データがデータ処理部15によって取得される(ステップS03)。これに対して、データ処理部15によって情報読取用シート11の表面の画像データに2次元バーコードのパターンが含まれるか否かが判定される(ステップS04)。
【0027】
上記判定の結果、画像データに2次元バーコードが含まれない場合は(ステップS04;No)、補正係数の算出が中止されて(ステップS05)、処理を終了する。一方、画像データの2次元バーコードが含まれる場合は(ステップS04;Yes)、データ処理部15によってその2次元バーコードから基準データDRGB(K,K,K)が読み出される(ステップS06)。そして、データ処理部15により、光源9の点灯開始が制御される(ステップS07)。次に、データ処理部15によってカラーセンサ7が制御されて、台座部3の補正用シート12表面に生じる反射光のレベル(L,L,L)が測定され、その測定レベルがデータ処理部15に渡される(ステップS08)。その後、データ処理部15により、補正用シート12の測定レベル(L,L,L)と、基準データDRGBから求められる各波長帯の基準レベル(AV,AV,AV)とに基づいて、補正係数(C,C,C)が算出され、その補正係数(C,C,C)は、制御部13内のメモリ等のデータ格納部(図示せず)に記憶される(ステップS09)。
【0028】
以下、図5を参照して、算出された補正係数(C,C,C)を用いた被測定物の反射光の測定レベルの補正手順について説明する。
【0029】
まず、被測定物検査装置2の窓部4又は窓部5の前面に被測定物が位置した状態で、データ処理部15により測定ボタン17の押下が検出されたことを契機として、被測定物の検査処理が開始される(ステップS10)。そして、データ処理部15によるモード切替ボタンの検出により、検査モードが“レベル測定モード”に切り替えられているか否かが判定される(ステップS11)。
【0030】
その結果、データ処理部15により検査モードが“撮像モード”に切り替えられていると判定されると(ステップS11;No)、光源8の点灯開始が制御される(ステップS12)。そして、データ処理部15において撮像素子6によって生成された被測定物の画像データが取得され(ステップS13)、その画像データはケーブル16を介して外部装置に転送される(ステップS17)。
【0031】
一方、データ処理部15により検査モードが“レベル測定モード”に切り替えられていると判定されると(ステップS11;Yes)、光源9の点灯開始が制御される(ステップS14)。その後、カラーセンサ7によって被測定物の反射光の測定レベル(LR1,LG1,LB1)が測定され、データ処理部15によってその測定レベル(LR1,LG1,LB1)が取得される(ステップS15)。次に、データ処理部15によって、制御部13内のメモリ等のデータ格納部に記憶された補正係数(C,C,C)が読み出された後、その補正係数(C,C,C)を用いて、測定レベル(LR1,LG1,LB1)が測定レベル(LR2,LG2,LB2)に補正される(ステップS16)。最後に、補正された測定レベル(LR2,LG2,LB2)は、ケーブル16を介して外部装置に転送される(ステップS17)。
【0032】
以上説明した被測定物検査システム1及び測光レベル補正方法によれば、被測定物検査装置2が台座部3に載置されると、台座部3に付された情報読取用シート11の表面パターンが被測定物検査装置2の撮像素子6によって撮像され、台座部3に付された補正用シート12の表面からの反射光が、被測定物検査装置2のカラーセンサ7によって測定される。そして、被測定物検査装置2のデータ処理部15により、撮像された画像データに2次元バーコード(規定パターン)に対応する画像データが含まれていると判定された場合に、補正用シート12の反射光のレベル(L,L,L)とその2次元バーコードから特定された基準レベル(AV,AV,AV)とに基づいて補正係数(C,C,C)が算出され、その補正係数を用いてカラーセンサ7によって測定される被測定物の反射光レベルが補正される。このように、台座部3に付された情報読取用シート11の2次元バーコードに、補正用シート12に関する基準レベルを特定する情報を予め埋め込んでおくことで、補正係数を算出する際に使用する台座部3が入れ替わった場合であっても、その台座部3の補正用シート12を他のものと区別することができる。その結果、使用する補正用シート12を限定したり、補正用シート12ごとに基準レベルを変更することができ、補正用シート12の製造時のばらつきが生じてもセンサの特性変動に対するより正確な測定レベルの補正を可能にする。特に、2次元バーコードが組み込まれた情報読取用シート11と補正用シートとが台座部3で一体化されてペアで使用されることにより、被測定物検査装置2が別の台座部3との組合せで使用された場合でも誤った測光レベルの補正を防止して正常な補正を行うことができる。
【0033】
また、被測定物検査装置2が台座部3に載置されたタイミングを検出して補正係数を算出して記憶しておくことで、補正処理が確実に実施され補正忘れの虞もない。同時に、補正用シート12との位置関係等の補正条件の差による実際の測定レベルのばらつきも抑えることができる。また、補正用シート12の基準レベルに関する情報を予め被測定物検査装置2内に記憶させる必要もないので、被測定物検査装置2の初期設定の手間が省かれる。
【0034】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、台座部3の情報読取用シートの表面パターンとしては、ロゴマーク、デザイン模様、所定文字等の他の所定パターンを用いてもよい。ロゴマークやデザイン模様を用いることで、被測定物検査システム1全体の測光機能の維持とデザイン性とを両立させることができる。
【0035】
図6を参照して、このような台座部3を含む本発明の変形例である被測定物検査システムにおける補正係数の算出の手順を説明する。同図に示すステップS21〜ステップS23,ステップS27〜ステップS28の処理は、図4のステップS01〜ステップS03,ステップS08〜ステップS09の処理と同様である。台座部3の情報読取用シート11表面の画像データがデータ処理部15に渡されると、データ処理部15によって情報読取用シート11表面の画像データが所定パターンに一致するか否かが判定される(ステップS24)。判定の結果、画像データが所定パターンに一致しない場合は(ステップS24;No)、補正係数の算出が中止されて(ステップS25)、処理を終了する。一方、所定パターンに一致する場合は(ステップS24;Yes)、データ処理部15によって制御部13内に予め所定パターンに対応して記憶された基準データDRGB(K,K,K)が読み出されるとともに、光源9の点灯開始が制御される(ステップS26)。そして、補正用シート12の反射光の測定レベル(L,L,L)と基準データDRGBから求められる基準レベル(AV,AV,AV)とに基づいて、補正係数(C,C,C)が算出されて制御部13内に記憶される(ステップS27〜S28)。このような変形例によっても、補正用シート12の製造時のばらつきが生じても、情報読取用シート11と補正用シート12とを対応付けておくことでセンサの特性変動に対するより正確な測定レベル補正が可能にされる。
【0036】
また、被測定物検査システム1においては、被測定物検査装置2が台座部3に載置されたことをボタンセンサ、光学センサ等の検出手段により検出していたが、これは、装置内部のタイマー等によって定期的に補正係数の算出処理が起動されて、その起動タイミングにおいて読み取られた情報読取用シート11の画像データ中に2次元バーコードが含まれる場合に、補正係数の算出を行ってもよい。
【0037】
また、被測定物検査システム1は、被測定物として様々なものを対象とすることができ、例えば、皮膚等の表面画像及び色合いを診断したりする目的で使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の好適な一実施形態である被測定物検査システムを示す斜視図である。
【図2】図1の被測定物検査システムの正面図である。
【図3】図1の被測定物検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図1の被測定物検査システムによる補正係数の算出の手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の被測定物検査システムによる測定レベルの補正の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の変形例における補正係数の算出の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1…被測定物検査システム、2…被測定物検査装置、3…台座部、6…撮像素子(撮像手段)、7…カラーセンサ(測光手段)、12…補正用シート(補正用部材)、15…データ処理部(データ処理手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に照明光を照射する光源と、前記被測定物を撮像する撮像手段と、前記照明光に応じて前記被測定物の表面に生じる反射光のレベルを測定する測光手段と、前記撮像手段及び前記測光手段によって生成されたデータを処理するデータ処理手段とを有する被測定物検査装置において、前記測光手段によって測定された前記レベルを補正するための測光レベル補正方法であって、
前記撮像手段が撮像可能な部位に所定のパターンが付されるとともに、前記測光手段が測定可能な部位に補正用部材が付された台座部を前記撮像手段によって撮像させて、前記所定のパターンの画像データを取得する第1のステップと、
前記測光手段を用いて、前記照明光に応じて前記補正用部材の表面に生じる反射光のレベルを測定させる第2のステップと、
前記データ処理手段を用いて、前記第1のステップで取得された前記所定のパターンの画像データが、予め規定された規定パターンに対応するか否かを判定させる第3のステップと、
前記第3のステップにおいて前記所定のパターンの画像データが前記規定パターンに対応すると判定された場合には、前記データ処理手段を用いて、前記第2のステップにおいて測定されたレベルと予め規定された基準レベルとに基づいて、前記被測定物の反射光のレベルを補正するための補正値を算出させる第4のステップと、
前記被測定物が前記測光手段によって測定される際に、前記データ処理手段を用いて、前記被測定物の反射光のレベルを前記補正値を用いて補正させる第5のステップと、
を備えることを特徴とする測光レベル補正方法。
【請求項2】
前記所定のパターンは、所定の情報と対応付けられたパターンである、
ことを特徴とする請求項1記載の測光レベル補正方法。
【請求項3】
前記第4のステップでは、前記第2のステップにおいて測定されたレベルと、前記所定のパターンから読み取られた前記所定の情報によって求められる基準レベルとに基づいて、前記補正値を算出させる、
ことを特徴とする請求項2記載の測光レベル補正方法。
【請求項4】
被測定物に照明光を照射する光源と、前記被測定物を撮像する撮像手段と、前記照明光に応じて前記被測定物の表面に生じる反射光のレベルを測定する測光手段と、前記撮像手段及び前記測光手段によって生成されたデータを処理するデータ処理手段とを有する被測定物検査装置と、
前記撮像手段が撮像可能な部位に所定のパターンが付されるとともに、前記測光手段が測定可能な部位に補正用部材が付された台座部とを備え、
前記データ処理手段は、
前記撮像手段によって撮像された前記所定のパターンの画像データが、予め規定された規定パターンに対応するか否かを判定するとともに、当該画像データが前記規定パターンに対応すると判定された場合には、前記測光手段によって測定された前記補正用部材の反射光のレベルと予め規定された基準レベルとに基づいて補正値を算出し、前記測光手段によって測定される前記被測定物の反射光のレベルを、前記補正値を用いて補正する、
ことを特徴とする被測定物検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−32641(P2008−32641A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208637(P2006−208637)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】