測光装置
【課題】分光感度特性が経時により変化したとしても、各光センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などの特性を高精度にて測定することが可能な測光装置を提供する。
【解決手段】光センサ手段11は、光学フィルタと受光素子とを備え、それぞれ感度波長領域が制限された異なる分光感度特性を有した光センサSEを複数個配列することにより構成され、制御手段103は、それぞれ異なる光センサSEの分光感度特性に対応して既定の重み付け係数を用いて重み付けを行い、且つ、重み付け係数に所定の補正係数を乗算して、光センサ手段11の感度特性を、所定範囲の波長領域において所定の特性に変更する。
【解決手段】光センサ手段11は、光学フィルタと受光素子とを備え、それぞれ感度波長領域が制限された異なる分光感度特性を有した光センサSEを複数個配列することにより構成され、制御手段103は、それぞれ異なる光センサSEの分光感度特性に対応して既定の重み付け係数を用いて重み付けを行い、且つ、重み付け係数に所定の補正係数を乗算して、光センサ手段11の感度特性を、所定範囲の波長領域において所定の特性に変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象光源(被試験光)である蛍光灯、電球、LED照明、LED素子、LD、LCD(液晶ディスプレー)などの色度、照度、演色性、波長、パワーなどとされる被試験光の特性を測定するための測光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、蛍光灯、電球、LED素子などの測定対象光源からの光の特性を測定する測光装置として、種々の装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の測光装置は、本願添付の図11に示すように、測定光を受光してn個の波長に対応する受光信号をそれぞれ出力するn個の光電変換素子群211〜214、221〜224を備えている。光電変換素子群211〜214、221〜224から出力された受光信号は、A/D変換器31によりディジタル信号に変換され、CPU35に入力される。RAM32は、受光信号などを一次的に記憶し、ROM33は、CPU35の制御プログラムを記憶するもので、制御プログラムとして、等色関数に近似するための重み付け係数を記憶している。
【0004】
従って、特許文献1の測光装置は、上記構成にて、RAM32に保存されている受光信号及びROM33に格納されている重み付け係数を用いて、国際照明委員会(略称CIE)が規定する等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)に近似した出力特性を有する装置を実現しており、この装置により得られた近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)の出力値を基に三刺激値X、Y、Zを算出し、測定光の特性を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−13981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載するような測光装置のn個の光電変換素子群211〜214、221〜224、即ち、光電変換手段(光センサ)の分光感度特性が経時により装置校正時から変化(即ち、劣化)することがある。
【0007】
ここで、本願添付の図12にて、S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)が装置校正時の分光感度特性を示すものであり、S1’(λ)、S2’(λ)、S3’(λ)、・・・・・Sn’(λ)が経時変化後の分光感度特性であるとする。
【0008】
経時変化などにより、重み付け係数算出に使用した、即ち、装置校正時の分光感度特性が異なるものとなった場合には、各光センサの出力が異なるものとなり、重み付け係数と共に算出する三刺激値X、Y、Zが変化し、測定誤差となる。
【0009】
従って、測光装置の各光センサの波長毎の感度校正をし直すことが必要とされる。この作業は、極めて煩雑であり、長時間を要する。また、感度補正のために波長可変単色光源が必要となる。
【0010】
上記問題は、ユーザーが保有する基準測定器からの差異に起因して測光装置が異なる感度特性を有する場合にも起こる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、分光感度特性が経時により変化したとしても、各光センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などの特性を高精度にて測定することが可能な測光装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、ユーザーが保有する基準測定器からの差異に起因して測光装置が異なる特性を示す場合においても、各センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正して、基準測定器からの差異を低減することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などを高精度に測定することが可能な測光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は本発明に係る測光装置にて達成される。要約すれば、本発明は、所定範囲の波長領域に感度特性を有し、測定対象光源からの被試験光を受光する光センサ手段を備えた検出部と、前記検出部からの受光信号により前記測定対象光源の特性を求める測定部とを備えた測光装置において、
前記光センサ手段は、光学フィルタと受光素子とを備え、それぞれ感度波長領域が制限された異なる分光感度特性を有した光センサを複数個配列することにより構成され、
前記測定部は、それぞれ異なる前記光センサの分光感度特性に対応して既定の重み付け係数を用いて重み付けを行い、且つ、前記重み付け係数に所定の補正係数を乗算して、前記光センサ手段の感度特性を、前記所定範囲の波長領域において所定の特性に変更する制御手段を有することを特徴とする測光装置である。
【0014】
本発明の一実施態様によると、前記検出部は、内部に前記光センサ手段が設置された筐体を有しており、前記筐体には、被試験光が入射する入射部開口が設けられ、前記入射部開口には拡散板が設置されている。
【0015】
本発明の他の実施態様によると、前記測定部の前記制御手段は、前記光センサ手段からの受光信号である電流信号を電圧に変換するI/V変換アンプと、前記I/V変換アンプからの受光信号をデジタル値に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器にて変換された受光信号を保存する第1の記憶手段と、前記重み付け係数及び前記補正係数を記憶する第2の記憶手段と、を備えている。
【0016】
本発明の他の実施態様によると、前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
前記各光センサの分光感度特性が変動した場合には、前記各光センサの分光感度特性の変動の割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とする。
【0017】
本発明の他の実施態様によると、前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2の記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
ユーザーが有する基準測定器からの差異を低減させるために、前記基準測定器の基準スペクトルと、前記基準測定器に使用する基準光源の真値スペクトルに対する前記測光装置の分光感度特性の違いの割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とする。
【0018】
本発明の他の実施態様によると、前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2の記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
ユーザーが有する基準測定器からの差異を低減させるために、前記基準測定器の波長精度の違いに起因する前記測光装置の分光感度特性の変動割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、分光感度特性が経時により変化したとしても、各光センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などの特性を高精度にて測定することが可能である。
【0020】
また、本発明によれば、ユーザーが保有する基準測定器からの差異に起因して測光装置が異なる特性を示す場合においても、各センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正して、基準測定器からの差異を低減することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などを高精度に測定することが可能である。
【0021】
本発明は、校正に際して、波長可変単色光源を必要とすることはなく、極めて利便性がよく、有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る測光装置の一実施例の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る測光装置の検出部の一実施例の概略構成図である。
【図3】光センサ手段を構成する各光センサの相対分光感度特性を示す図である。
【図4】等色関数を示す図である。
【図5】等色関数と近似等色関数を示す図である。
【図6】光センサ手段を構成する各光センサの合算後の相対分光感度特性を示す図である。
【図7】測光装置間の差による、光センサ手段を構成する各光センサの合算後の相対分光感度特性の違いを説明する図である。
【図8】波長精度ズレによる、複数個あるセンサのうちの一つのセンサの分光感度特性への影響を説明する図である。
【図9】波長精度ズレによる、複数個のセンサにおける分光感度特性への影響を説明する図である。
【図10】波長精度ズレを補正するための直線補間を説明する図である。
【図11】従来の測光装置の一例の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】光センサ手段を構成する各光センサの分光感度特性の変化を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る測光装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0024】
実施例1
図1及び図2を参照して、本発明に係る測光装置1の一実施例を説明する。図1は、本実施例における測光装置1の電気的構成の一実施例を示すブロック図であり、図2は、光センサ手段11を備えた検出部10の一実施例の構成を示す。
【0025】
本実施例によると、測光装置1は、検出部10と測定部100とを備えている。検出部10は、内部に光センサ手段11が設置された筐体(ケーシング)12を有しており、本実施例では、左側に位置して測定対象光源からの光(被試験光)が入射する入射部開口13が設けられている。また、入射部開口13には拡散板14が設置されている。拡散板14の作用については、後述する。
【0026】
ケーシング12の内部に配置された光センサ手段11は、入射部開口13から拡散板14により拡散された光を検出するために、複数個の光センサSE(SE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEn)にて構成されている。各光センサSEは、光学フィルタf(f1、f2、f3、・・・・fn−2、fn−1、fn)と受光素子(光電変換素子)PD(PD1、PD2、PD3、・・・・PDn−2、PDn−1、PDn)にて構成されており、各光センサSEは、ある制限された感度波長領域を有している。
【0027】
つまり、本発明によると、光センサ手段11を構成する個々の各光センサSE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEnは、図3に示すように、それぞれ個々の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・Sn−2(λ)、Sn−1(λ)、Sn(λ)を有している。即ち、個々の光センサSEの分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・Sn−2(λ)、Sn−1(λ)、Sn(λ)がバンドパスの特性を有している。なお、個々の光センサSEの分光感度特性S(λ)は、光センサSEを測光装置に組み込んだ後に、分光手段などを使用して、各光センサ毎に測定することにより求める。この分光感度特性S(λ)は、ROM105に格納しておく。
【0028】
従って、複数個の光センサSE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEnにて、光センサ手段11の所定範囲とされる波長領域、例えば、380〜720nmの検出波長領域を構成している。
【0029】
図1を参照すると、本実施例にて測光装置1は、上記検出部10を構成する複数個の光センサSE(SE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEn)から成る光センサ手段11の受光信号(電流信号)を測定部100へと送信する。測定部100は、受光信号(電流信号)を電圧に変換するI/V変換アンプ101と、I/V変換アンプ101からの受光信号をデジタル値に変換するA/D変換器102と、A/D変換器102にて変換された受光信号を受信する制御手段(CPU)103とを備えており、光パワー等を計算し、表示手段106にて表示することができる。
【0030】
なお、本実施例によると、制御手段103は、A/D変換器102から送信される受光信号をRAM(第1の記憶手段)104に保存し、RAM104に保存されている受光信号、及び、ROM(第2の記憶手段)105に保存されている既定の重み付け係数を用いて、各光センサSEの分光感度特性S(λ)に対応して重み付けさせて、加算する。これにより、合算後の光センサ手段11の分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して、所定の特性とすることができる。
【0031】
つまり、RAM104に保存されている受光信号、及び、ROM105に保存されている重み付け係数を用いて、等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)に近似した等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)を求め、この近似等色関数に基づく三刺激値X、Y、Zを算出することができる。
【0032】
図4に等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)を示し、図5に、等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)と、等色関数に近似した近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)を示す。
【0033】
近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)は下記式で示すことができる。
x’(λ)=a1×S1(λ)+a2×S2(λ)+・・・・・・+an×Sn(λ)
y’(λ)=b1×S1(λ)+b2×S2(λ)+・・・・・・+bn×Sn(λ)
z’(λ)=c1×S1(λ)+c2×S2(λ)+・・・・・・+cn×Sn(λ)
ここで、a1〜an、b1〜bn、c1〜cnは、ROM105に格納した重み付け係数である。
【0034】
制御手段103は、上述にて得られた三刺激値X、Y、Zに基づいて、測定対象光源(被試験光)の色度、照度、演色性など光源の特性を判断するための測定値を算出することができる。
【0035】
上記近似等色関数を求める工程、及び、近似等色関数から三刺激値を求める工程は、例えば、上述の特許文献2などに記載されており、当業者には周知であるので、これ以上の説明は省略する。
【0036】
また、別法として、上述から理解されるように、上記構成の本実施例の測光装置1によれば、各光センサSEの分光感度S(λ)に対応して重み付けさせて加算する構成とされる。従って、合算後の光センサ手段11の分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して、例えば、直線状の特性とすることもできる。
【0037】
つまり、合算後の光センサ手段11の分光感度特性SΣ(λ)は、
SΣ(λ)=k1・S1(λ)+k2・S2(λ)+・・・・+knSn(λ)
で表される。k1〜knは、重み付け係数である。
【0038】
合算後の光センサ手段11の分光感度特性SΣ(λ)は、所定範囲の波長領域に対して、図6に示すように、直線状、例えば、平坦とすることもできる。
【0039】
本実施例では、測光装置1は、光センサ手段11として、16個の光センサSEを有している。また、各光センサSEは、受光素子PDとして、シリコンフォトダイオードを使用した。本実施例における各光センサSEの分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・S16(λ)(n=16)が図3に示される。
【0040】
つまり、本実施例によれば、16個の光センサSEを備えた光センサ手段11は、図3に示すように、380nm〜720nmまで20nmピッチでピークを持つ16個の受光信号を出力する。なお、光センサSEの数は、16個に限定されるものではなく、所望により、これ以外の個数とすることもできる。
【0041】
なお、上述したように、本実施例では、ケーシング12の入射部開口13に拡散板14が設置されている。拡散板14の作用について説明する。
【0042】
被試験光が検出部10に入射する入射角度(θ)が極端に変化した場合には、光分布に偏りが生じる。
【0043】
本発明によると、上述のように、光センサ手段11は、透過波長が異なる複数の光センサSE1、SE2、・・・SEnで構成される。従って、被試験光の検出部10への入射角度(θ)が極端に変化し、光分布に偏りが生じた場合には、被試験光の入射角度によって複数の光センサSE1、SE2、・・・SEn上の光量が変化して測定値が変化することとなる。
【0044】
そこで、本実施例では、入射部開口13の領域を全面的に覆って、拡散板14が入射部開口13に固定される。拡散板14としては、オパール型拡散板(商品名:シグマ光機株式会社製)が好適に使用される。
【0045】
従って、本実施例の測光装置1によれば、被試験光の入射角度が変化しても高精度に被試験光のパワーや色度を高精度に測定することが可能である。
【0046】
上記構成の測光装置1であっても、光センサSEを構成する受光素子(光電変換素子)PD(PD1、PD2、PD3、・・・・PDn−2、PDn−1、PDn)の感度特性が、経時的に装置校正時の感度特性から変化(劣化)することがある。
【0047】
図3に、装置校正時の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)が、経時変化後に分光感度特性S1’(λ)、S2’(λ)、S3’(λ)、・・・・・Sn’(λ)となったことを示している。
【0048】
もしこの状態で、測光装置を使用したのでは、各センサSEの出力が異なるものとなり、例えば、重み付け係数と共に算出する三刺激値X、Y、Zなどが変化し、測定誤差となる。
【0049】
従って、測光装置の各センサSEの波長毎の感度校正をし直すことが必要とされる。この作業は、極めて煩雑である。そこで、本実施例の測光装置1は、以下のような補正機能を備えている。
【0050】
測光装置1を補正するための光源を選定し、その選定された光源を校正のとれた基準測定器、例えば、分光光度計にて測定する。本実施例では光源として電球を選定する。図3に、この光源電球のスペクトル(分光データ)P(λ)を示す。
【0051】
先ず、上記光源電球の分光データ(スペクトルP(λ))と、測光装置1のROM105に格納されている測光装置1の校正時の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)を用いて、各受光素子(光電変換素子)PD(PD1、PD2、PD3、・・・・PDn−2、PDn−1、PDn)からの、即ち、各光センサSE(SE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEn)からの出力(予測)を算出して、求める。つまり、
SE1の出力(予測)=P(λ1)×S1(λ1)+P(λ2)×S1(λ2)+・・・・・・・+P(λn)×S1(λn)
SE2の出力(予測)=P(λ1)×S2(λ1)+P(λ2)×S2(λ2)+・・・・・・・+P(λn)×S2(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(予測)=P(λ1)×Sn(λ1)+P(λ2)×Sn(λ2)+・・・・・・・+P(λn)×Sn(λn)
である。
【0052】
次いで、上記分光データ(スペクトル)P(λ)を有する光源電球を使用して、現状の分光感度特性S1’(λ)、S2’(λ)、S3’(λ)、・・・・・Sn’(λ)を有する測光装置における、各光センサSEからの出力を、実際に測定して求める。つまり、
SE1の出力(測定)=P(λ1)×S1’(λ1)+P(λ2)×S1’(λ2)+・・・・+P(λn)×S1’(λn)
SE2の出力(測定)=P(λ1)×S2’(λ1)+P(λ2)×S2’(λ2)+・・・・+P(λn)×S2’(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(測定)=P(λ1)×Sn’(λ1)+P(λ2)×Sn’(λ2)+・・・・+P(λn)×Sn’(λn)
である。
【0053】
ここで、上述のようにして得られた各光センサSEの出力(予測)値と、出力(測定)値との比、即ち、変動割合をとり、補正値B1、B2、・・・・・・Bnとする。即ち、
B1=SE1の出力(予測)/SE1の出力(測定)
B2=SE2の出力(予測)/SE2の出力(測定)
・・・・・・・・・・
Bn=SEnの出力(予測)/SEnの出力(測定)
である。
【0054】
上記比率B1、B2、・・・・・・Bnは、各光センサSEの分光感度特性の変動割合にて決定される補正値(補正係数)として測光装置1のROM105に格納する。そして、測光装置1の校正時に使用し、センサー感度の劣化による誤差要因を低減することができる。
【0055】
つまり、例えば、本発明の測光装置を使用すれば、この装置により得られた近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)の出力値を基に三刺激値X、Y、Zを算出し、測定光の特性を測定することができる。
【0056】
このときの、装置校正時においては、上述したように、近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)は下記の式で示される。
x’(λ)=a1×S1(λ)+a2×S2(λ)+・・・・・・+an×Sn(λ)
y’(λ)=b1×S1(λ)+b2×S2(λ)+・・・・・・+bn×Sn(λ)
z’(λ)=c1×S1(λ)+c2×S2(λ)+・・・・・・+cn×Sn(λ)
ここで、a1〜an、b1〜bn、c1〜cnは、ROM105に格納した重み付け係数である。
【0057】
従って、本実施例では、更に、ROM105に格納した、センサー感度劣化の補正のための補正係数B1〜Bnが更に上記重み付け係数に乗算される。つまり、
x’(λ)=B1×a1×S1(λ)+B2×a2×S2(λ)+・・・・・・+Bn×an×Sn(λ)
y’(λ)=B1×b1×S1(λ)+B2×b2×S2(λ)+・・・・・・+Bn×bn×Sn(λ)
z’(λ)=B1×c1×S1(λ)+B2×c2×S2(λ)+・・・・・・+Bn×cn×Sn(λ)
とされる。
【0058】
本実施例によれば、上述のように、センサー感度劣化補正のための補正係数B1〜Bnを装置のROM105に格納し、この補正係数を、重み付け係数a1〜an、b1〜bn、c1〜cnに乗算することによって、センサー感度補正を達成することができる。
【0059】
このように、本発明によれば、分光感度特性が経時変化により変化したとしても、各センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正することができ、高精度に被試験光の色度、照度などを高精度に測定することが可能である。
【0060】
また、本発明は、校正に際して、波長可変単色光源を必要とすることはなく、極めて利便性がよく、有用性が高い。
【0061】
実施例2
上記実施例1では、測光装置1が、経時にて感度特性が変わり、各センサの出力が変動した際の誤差要因を低減するための補正機能を有する場合について説明した。
【0062】
本発明は、実施例1のようなセンサー感度の経時変化がなくても、測光装置の製造メーカが保有する装置校正のための基準測定器、即ち、測光装置を製造する際に使用する基準測定器と、この測光装置を使用するユーザーが保有している基準測定器との間に差がある場合がある。例えば、ユーザーが保有する基準測定器のスペクトルが真値スペクトルと異なる場合がある。
【0063】
図7には、ユーザーが使用する基準測定器による基準スペクトル(ユーザースペクトル)PAと、真値スペクトルPと、測光装置の分光感度特性S(λ)との関係の一例を示す。
【0064】
真値スペクトルPとは、ユーザーが使用する基準測定器の基準光源(例えば基準白色LED)を校正のとれた他の基準測定器、例えば、分光光度計にて測定したときの光源のスペクトル(分光データ)を示す。本実施例では、基準スペクトルPAと、真値スペクトルPとは、理解を容易とするために直線にて示しているが、これに限定されるものではない。
【0065】
測光装置のROM105に格納されている測光装置の校正時の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)を用いて、基準スペクトルPAにおける各光センサSEからの出力(予測)を算出して、求める。つまり、
SE1の出力(予測)=PA(λ1)×S1(λ1)+PA(λ2)×S1(λ2)+・・・・・+PA(λn)×S1(λn)
SE2の出力(予測)=PA(λ1)×S2(λ1)+PA(λ2)×S2(λ2)+・・・・・+PA(λn)×S2(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(予測)=PA(λ1)×Sn(λ1)+PA(λ2)×Sn(λ2)+・・・・・+PA(λn)×Sn(λn)
である。
【0066】
次いで、上記真値スペクトルPを有する光源(基準白色LED)を使用して、分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)を有する測光装置における、各光センサSEからの出力を、実際に測定して求める。つまり、
SE1の出力(測定)=P(λ1)×S1(λ1)+P(λ2)×S1(λ2)+・・・・・・+P(λn)×S1(λn)
SE2の出力(測定)=P(λ1)×S2(λ1)+P(λ2)×S2(λ2)+・・・・・・+P(λn)×S2(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(測定)=P(λ1)×Sn(λ1)+P(λ2)×Sn(λ2)+・・・・・・+P(λn)×Sn(λn)
である。
【0067】
ここで、上述のようにして得られた各光センサSE(SE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEn)の出力(予測)値と、出力(測定)値との比、即ち、変動の割合をとり、補正値(補正係数)C1、C2、・・・・・・Cnとする。即ち、
C1=SE1の出力(予測)/SE1の出力(測定)
C2=SE2の出力(予測)/SE2の出力(測定)
・・・・・・・・・・
Cn=SEnの出力(予測)/SEnの出力(測定)
である。
【0068】
上記比率C1、C2、・・・・・・Cnは、ユーザーの基準測定器の基準スペクトルが真値スペクトルと異なることに起因した測光装置の分光感度特性の変動割合を補正し、ユーザーの基準測定器からの差異を低減させるための補正係数として測光装置1のROM105に格納する。そして、測光装置による測定時に使用し、基準測定器の差による誤差要因を低減することができる。
【0069】
つまり、例えば、本実施例の測光装置1を使用すれば、この装置により得られた近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)の出力値を基に三刺激値X、Y、Zを算出し、測定光の特性を測定することができる。
【0070】
このときの、装置校正時においては、上述したように、近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)は下記の式で示される。
x’(λ)=a1×S1(λ)+a2×S2(λ)+・・・・・・+an×Sn(λ)
y’(λ)=b1×S1(λ)+b2×S2(λ)+・・・・・・+bn×Sn(λ)
z’(λ)=c1×S1(λ)+c2×S2(λ)+・・・・・・+cn×Sn(λ)
ここで、a1〜an、b1〜bn、c1〜cnは、ROM105に格納した重み付け係数である。
【0071】
従って、本実施例では、更に、ROM105に格納した基準測定器の差による補正係数C1〜Cnが更に上記重み付け係数に乗算される。つまり、
x’(λ)=C1×a1×S1(λ)+C2×a2×S2(λ)+・・・・・・+Cn×an×Sn(λ)
y’(λ)=C1×b1×S1(λ)+C2×b2×S2(λ)+・・・・・・+Cn×bn×Sn(λ)
z’(λ)=C1×c1×S1(λ)+C2×c2×S2(λ)+・・・・・・+Cn×cn×Sn(λ)
とされる。
【0072】
本実施例によれば、上述のように、ユーザーが保有する基準測定器からの差異に起因した測光装置の特性を補正するための補正係数C1〜Cnを装置のROM105に格納し、この補正値を、重み付け係数a1〜an、b1〜bn、c1〜cnに乗算することによって、センサー感度補正を達成することができる。
【0073】
このように、本発明によれば、ユーザーが保有する基準測定器からの差異に起因して測光装置が異なる特性を示す場合においても、各センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正して、基準測定器からの差異を低減することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などを高精度に測定することが可能である。
【0074】
また、本発明は、校正に際して、波長可変単色光源を必要とすることはなく、極めて利便性がよく、有用性が高い。
【0075】
実施例3
上記実施例2では、ユーザーが保有する基準測定器の基準スペクトルが真値スペクトルと異なる場合において、このような相違に起因した誤差要因を低減するための補正機能を備えた測光装置について説明した。
【0076】
更にまた、ユーザーが使用する基準測定器の波長精度と、測光装置の製造メーカにおける装置校正時の波長精度との間に違い(ズレ)がある場合がある。
【0077】
本実施例では、このような基準測定器の波長精度の差(ズレ)に起因した誤差要因を低減するための補正機能を備えた測光装置について説明する。
【0078】
図8は、基準測定器の波長精度にズレがある場合の、測光装置の複数個あるセンサのうちの一つの分光感度特性への影響を説明するための図である。図8にて、分光感度特性S(λ)は、測光装置の製造メーカにおける装置校正時の分光感度特性を示すものとする。このとき、測光装置の製造メーカにおける装置校正時の波長精度と、ユーザーが使用する基準測定器の波長精度との間に1マス分の差(△λ)、即ち、波長ズレがあるとする。
【0079】
このような波長精度のズレがある場合には、ユーザー基準測定器が、例えば、波長λkに設定しているとしても、実際は、測光装置は、波長(λk+△λ)の値を測定していることとなる。つまり、測光装置は、波長ズレを考慮した分光感度特性S’(λ)に基き測定していることとなる。
【0080】
従って、測光装置の製造メーカにおける装置校正時の波長精度のままでは、ユーザーが使用する基準測定器による測定値との間には、誤差が生じ、正確な測定ができない。
【0081】
そこで、測光装置の測定誤差を低減し、ユーザー基準測定器と同じ測定結果を得るためには、分光感度特性が1マス分(△λ)だけズレた分光感度特性S’(λ)を考慮した重み付け係数を算出する必要がある。
【0082】
本実施例の測光装置は、上記波長精度誤差を補正する補正機能を備えた制御手段を有している。
【0083】
測光装置1を補正するための光源を選定する。この光源は、通常、ユーザーが使用する基準測定器の構成に使用する基準光源(例えば基準白色LED)とされる。
【0084】
先ず、ユーザーが使用する基準測定器の波長のズレを、水銀ランプなどの輝線や、ガスレーザ波長で確認する。
【0085】
説明を簡単とするために、ユーザーが使用する基準測定器の波長のズレが、所望の波長領域内において、各波長にて△λだけ一方向にズレているとする。
【0086】
従って、ユーザーが使用する基準測定器にて計測された出力(パワー)は、設定された各波長λに対して△λだけズレた波長(λ+△λ)の値を測定していることとなる。そのため、ユーザーが使用する基準測定器にて計測された波長(λ+△λ)におけるパワーから設定された波長λにおける値を補間により求める必要がある。
【0087】
本実施例では、測光装置の校正時の各光センサSEの分光感度特性データS(λ)は、例えば、380〜780nmの波長領域内において、5nm間隔で入手し得るもの、即ち、測光装置1のROM105に格納されているとする。
【0088】
従って、分光データ(スペクトル)P(λ)を有する基準光源を使用して、現状の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)を有する測光装置における、各光センサSEからの出力は、実際に測定して求めることができる。つまり、
SE1の出力(測定)=P(λ1)×S1(λ1)+P(λ2)×S1(λ2)+・・・・+P(λk-1)×S1(λk-1)+P(λk)×S1(λk)+P(λk+1)×S1(λk+1)+・・・・+P(λn)×S1(λn)
SE2の出力(測定)=P(λ1)×S2(λ1)+P(λ2)×S2(λ2)+・・・・+P(λk-1)×S2(λk-1)+P(λk)×S2(λk)+P(λk+1)×S2(λk+1)+・・・・+P(λn)×S2(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(測定)=P(λ1)×Sn(λ1)+P(λ2)×Sn(λ2)+・・・・+P(λk-1)×Sn(λk-1)+P(λk)×Sn(λk)+P(λk+1)×Sn(λk+1)+・・・・+P(λn)×Sn(λn)
である。
【0089】
次に、測光装置1のROM105に格納されている測光装置1の校正時の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)を用いて、各受光素子(光電変換素子)PD(PD1、PD2、PD3、・・・・PDn−2、PDn−1、PDn)からの、即ち、各光センサSE(SE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEn)からの出力(予測)を算出して、求める。つまり、
SE1の出力(予測)=P'(λ1)×S1(λ1)+P'(λ2)×S1(λ2)+・・・・+P'(λk-1)×S1(λk-1)+P'(λk)×S1(λk)+P'(λk+1)×S1(λk+1)+・・・・ +P'(λn)×S1(λn)
SE2の出力(予測)=P'(λ1)×S2(λ1)+P'(λ2)×S2(λ2)+・・・・+P'(λk-1)×S2(λk-1)+P'(λk)×S2(λk)+P'(λk+1)×S2(λk+1)+・・・・+P'(λn)×S2(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(予測)=P'(λ1)×Sn(λ1)+P'(λ2)×Sn(λ2)+・・・・+P'(λk-1)×Sn(λk-1)+P'(λk)×Sn(λk)+P'(λk+1)×Sn(λk+1)+・・・・+P'(λn)×Sn(λn)
である。
【0090】
ここで、P'(λ1)、P'(λ2)、・・・・P'(λk-1)、P'(λk)、P'(λk+1)、・・・P'(λn)は、ユーザーが使用する基準測定器により直接に測定により得られる値ではない。即ち、ユーザーが使用する基準測定器からは、基準光源の波長が△λだけズレた状態での分光データ(スペクトルPA(λ))、つまり、PA(λ1+△λ)、PA(λ2+△λ)、・・・・PA(λk-1+△λ)、PA(λk+△λ)、PA(λk+1+△λ)、・・・PA(λn+△λ)が入手されるに過ぎない。
【0091】
従って、P'(λ1)、P'(λ2)、・・・・P'(λk-1)、P'(λk)、P'(λk+1)、・・・P'(λn)は、PA(λ1+△λ)、PA(λ2+△λ)、・・・・PA(λk-1+△λ)、PA(λk+△λ)、PA(λk+1+△λ)、・・・PA(λn+△λ)を基に、補間により計算して求めることが必要とされる。
【0092】
図10を参照して、最も簡単な直線補間により、波長λkにおけるP'(λk)を求める方法について説明する。
P'(λk)=PA(λk-1+△λ)+△P’
ここで、
△P’=λA×(△PA/λB)
△PA=PA(λk+1+△λ)−PA(λk-1+△λ)
λA=λk−(λk-1+△λ)
λB=(λk+1+△λ)−(λk-1+△λ)=λk+1−λk-1
である。
【0093】
ここで、上述のようにして得られた各光センサSEの出力(予測)値と、出力(測定)値との比、即ち、変動割合をとり、補正値(補正係数)D1、D2、・・・・・・Dnとする。即ち、
D1=SE1の出力(予測)/SE1の出力(測定)
D2=SE2の出力(予測)/SE2の出力(測定)
・・・・・・
Dn=SEnの出力(予測)/SEnの出力(測定)
である。
【0094】
上記比率D1、D2、・・・・・・Dnは、ユーザーが使用する基準測定器における基準光源の波長ズレに起因した測定装置の分光感度特性の変動割合にて決定される補正値(補正係数)として測光装置1のROM105に格納する。そして、測光装置1の校正時に使用し、基準光源の波長ズレによる誤差要因を低減することができる。
【0095】
つまり、例えば、本発明の測光装置を使用すれば、この装置により得られた近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)の出力値を基に三刺激値X、Y、Zを算出し、測定光の特性を測定することができる。
【0096】
このときの、装置校正時においては、上述したように、近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)は下記の式で示される。
x’(λ)=a1×S1(λ)+a2×S2(λ)+・・・・・・+an×Sn(λ)
y’(λ)=b1×S1(λ)+b2×S2(λ)+・・・・・・+bn×Sn(λ)
z’(λ)=c1×S1(λ)+c2×S2(λ)+・・・・・・+cn×Sn(λ)
ここで、a1〜an、b1〜bn、c1〜cnは、ROM105に格納した重み付け係数である。
【0097】
従って、本実施例では、更に、ROM105に格納した、基準測定器の波長ズレの補正のための補正係数D1〜Dnが更に上記重み付け係数に乗算される。つまり、
x’(λ)=D1×a1×S1(λ)+D2×a2×S2(λ)+・・・・+Dn×an×Sn(λ)
y’(λ)=D1×b1×S1(λ)+D2×b2×S2(λ)+・・・・+Dn×bn×Sn(λ)
z’(λ)=D1×c1×S1(λ)+D2×c2×S2(λ)+・・・・+Dn×cn×Sn(λ)
とされる。
【0098】
本実施例によれば、上述のように、基準測定器の波長ズレを補正するための補正係数D1〜Dnを装置のROM105に格納し、この補正係数を、重み付け係数a1〜an、b1〜bn、c1〜cnに乗算することによって、基準測定器の波長のズレを補正することができる。
【0099】
このように、本発明によれば、基準測定器の波長のズレが生じたとしても、各センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正することができ、高精度に被試験光の色度、照度などを高精度に測定することが可能である。
【0100】
尚、上記実施例では、説明を簡単とするために、ユーザーが使用する基準測定器の波長のズレが、所望の波長領域内において、各波長にて△λだけ一方向にズレているとして説明した。
【0101】
しかし、図10に示すように、波長毎にズレが違う場合がある。この場合は、各波長のズレを考慮して補間する必要がある。例えば、400nmが+0.5nmズレている場合は、400nmと405nmで400.5nmの値を求める。逆に、−0.5nmズレている場合には、395nmと400nmから求めるようにする。
【0102】
更に、水銀ランプなどの輝線スペクトルである、例えば、435.84nm、546.07nm、632.82nmなどの校正波長を使用して基準測定器の波長ズレ補正を行うことができる。
【符号の説明】
【0103】
1 測光装置
10 検出部
11 光センサ手段
12 ケーシング(筐体)
13 入射開口
14 拡散板
100 測定部
102 A/D変換器
103 制御手段
104 RAM(第1の記憶手段)
105 ROM(第2の記憶手段)
106 表示手段
f 光学フィルタ
PD 受光素子
SE 光センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象光源(被試験光)である蛍光灯、電球、LED照明、LED素子、LD、LCD(液晶ディスプレー)などの色度、照度、演色性、波長、パワーなどとされる被試験光の特性を測定するための測光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、蛍光灯、電球、LED素子などの測定対象光源からの光の特性を測定する測光装置として、種々の装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の測光装置は、本願添付の図11に示すように、測定光を受光してn個の波長に対応する受光信号をそれぞれ出力するn個の光電変換素子群211〜214、221〜224を備えている。光電変換素子群211〜214、221〜224から出力された受光信号は、A/D変換器31によりディジタル信号に変換され、CPU35に入力される。RAM32は、受光信号などを一次的に記憶し、ROM33は、CPU35の制御プログラムを記憶するもので、制御プログラムとして、等色関数に近似するための重み付け係数を記憶している。
【0004】
従って、特許文献1の測光装置は、上記構成にて、RAM32に保存されている受光信号及びROM33に格納されている重み付け係数を用いて、国際照明委員会(略称CIE)が規定する等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)に近似した出力特性を有する装置を実現しており、この装置により得られた近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)の出力値を基に三刺激値X、Y、Zを算出し、測定光の特性を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−13981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載するような測光装置のn個の光電変換素子群211〜214、221〜224、即ち、光電変換手段(光センサ)の分光感度特性が経時により装置校正時から変化(即ち、劣化)することがある。
【0007】
ここで、本願添付の図12にて、S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)が装置校正時の分光感度特性を示すものであり、S1’(λ)、S2’(λ)、S3’(λ)、・・・・・Sn’(λ)が経時変化後の分光感度特性であるとする。
【0008】
経時変化などにより、重み付け係数算出に使用した、即ち、装置校正時の分光感度特性が異なるものとなった場合には、各光センサの出力が異なるものとなり、重み付け係数と共に算出する三刺激値X、Y、Zが変化し、測定誤差となる。
【0009】
従って、測光装置の各光センサの波長毎の感度校正をし直すことが必要とされる。この作業は、極めて煩雑であり、長時間を要する。また、感度補正のために波長可変単色光源が必要となる。
【0010】
上記問題は、ユーザーが保有する基準測定器からの差異に起因して測光装置が異なる感度特性を有する場合にも起こる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、分光感度特性が経時により変化したとしても、各光センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などの特性を高精度にて測定することが可能な測光装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、ユーザーが保有する基準測定器からの差異に起因して測光装置が異なる特性を示す場合においても、各センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正して、基準測定器からの差異を低減することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などを高精度に測定することが可能な測光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は本発明に係る測光装置にて達成される。要約すれば、本発明は、所定範囲の波長領域に感度特性を有し、測定対象光源からの被試験光を受光する光センサ手段を備えた検出部と、前記検出部からの受光信号により前記測定対象光源の特性を求める測定部とを備えた測光装置において、
前記光センサ手段は、光学フィルタと受光素子とを備え、それぞれ感度波長領域が制限された異なる分光感度特性を有した光センサを複数個配列することにより構成され、
前記測定部は、それぞれ異なる前記光センサの分光感度特性に対応して既定の重み付け係数を用いて重み付けを行い、且つ、前記重み付け係数に所定の補正係数を乗算して、前記光センサ手段の感度特性を、前記所定範囲の波長領域において所定の特性に変更する制御手段を有することを特徴とする測光装置である。
【0014】
本発明の一実施態様によると、前記検出部は、内部に前記光センサ手段が設置された筐体を有しており、前記筐体には、被試験光が入射する入射部開口が設けられ、前記入射部開口には拡散板が設置されている。
【0015】
本発明の他の実施態様によると、前記測定部の前記制御手段は、前記光センサ手段からの受光信号である電流信号を電圧に変換するI/V変換アンプと、前記I/V変換アンプからの受光信号をデジタル値に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器にて変換された受光信号を保存する第1の記憶手段と、前記重み付け係数及び前記補正係数を記憶する第2の記憶手段と、を備えている。
【0016】
本発明の他の実施態様によると、前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
前記各光センサの分光感度特性が変動した場合には、前記各光センサの分光感度特性の変動の割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とする。
【0017】
本発明の他の実施態様によると、前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2の記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
ユーザーが有する基準測定器からの差異を低減させるために、前記基準測定器の基準スペクトルと、前記基準測定器に使用する基準光源の真値スペクトルに対する前記測光装置の分光感度特性の違いの割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とする。
【0018】
本発明の他の実施態様によると、前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2の記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
ユーザーが有する基準測定器からの差異を低減させるために、前記基準測定器の波長精度の違いに起因する前記測光装置の分光感度特性の変動割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、分光感度特性が経時により変化したとしても、各光センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などの特性を高精度にて測定することが可能である。
【0020】
また、本発明によれば、ユーザーが保有する基準測定器からの差異に起因して測光装置が異なる特性を示す場合においても、各センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正して、基準測定器からの差異を低減することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などを高精度に測定することが可能である。
【0021】
本発明は、校正に際して、波長可変単色光源を必要とすることはなく、極めて利便性がよく、有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る測光装置の一実施例の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る測光装置の検出部の一実施例の概略構成図である。
【図3】光センサ手段を構成する各光センサの相対分光感度特性を示す図である。
【図4】等色関数を示す図である。
【図5】等色関数と近似等色関数を示す図である。
【図6】光センサ手段を構成する各光センサの合算後の相対分光感度特性を示す図である。
【図7】測光装置間の差による、光センサ手段を構成する各光センサの合算後の相対分光感度特性の違いを説明する図である。
【図8】波長精度ズレによる、複数個あるセンサのうちの一つのセンサの分光感度特性への影響を説明する図である。
【図9】波長精度ズレによる、複数個のセンサにおける分光感度特性への影響を説明する図である。
【図10】波長精度ズレを補正するための直線補間を説明する図である。
【図11】従来の測光装置の一例の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】光センサ手段を構成する各光センサの分光感度特性の変化を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る測光装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0024】
実施例1
図1及び図2を参照して、本発明に係る測光装置1の一実施例を説明する。図1は、本実施例における測光装置1の電気的構成の一実施例を示すブロック図であり、図2は、光センサ手段11を備えた検出部10の一実施例の構成を示す。
【0025】
本実施例によると、測光装置1は、検出部10と測定部100とを備えている。検出部10は、内部に光センサ手段11が設置された筐体(ケーシング)12を有しており、本実施例では、左側に位置して測定対象光源からの光(被試験光)が入射する入射部開口13が設けられている。また、入射部開口13には拡散板14が設置されている。拡散板14の作用については、後述する。
【0026】
ケーシング12の内部に配置された光センサ手段11は、入射部開口13から拡散板14により拡散された光を検出するために、複数個の光センサSE(SE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEn)にて構成されている。各光センサSEは、光学フィルタf(f1、f2、f3、・・・・fn−2、fn−1、fn)と受光素子(光電変換素子)PD(PD1、PD2、PD3、・・・・PDn−2、PDn−1、PDn)にて構成されており、各光センサSEは、ある制限された感度波長領域を有している。
【0027】
つまり、本発明によると、光センサ手段11を構成する個々の各光センサSE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEnは、図3に示すように、それぞれ個々の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・Sn−2(λ)、Sn−1(λ)、Sn(λ)を有している。即ち、個々の光センサSEの分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・Sn−2(λ)、Sn−1(λ)、Sn(λ)がバンドパスの特性を有している。なお、個々の光センサSEの分光感度特性S(λ)は、光センサSEを測光装置に組み込んだ後に、分光手段などを使用して、各光センサ毎に測定することにより求める。この分光感度特性S(λ)は、ROM105に格納しておく。
【0028】
従って、複数個の光センサSE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEnにて、光センサ手段11の所定範囲とされる波長領域、例えば、380〜720nmの検出波長領域を構成している。
【0029】
図1を参照すると、本実施例にて測光装置1は、上記検出部10を構成する複数個の光センサSE(SE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEn)から成る光センサ手段11の受光信号(電流信号)を測定部100へと送信する。測定部100は、受光信号(電流信号)を電圧に変換するI/V変換アンプ101と、I/V変換アンプ101からの受光信号をデジタル値に変換するA/D変換器102と、A/D変換器102にて変換された受光信号を受信する制御手段(CPU)103とを備えており、光パワー等を計算し、表示手段106にて表示することができる。
【0030】
なお、本実施例によると、制御手段103は、A/D変換器102から送信される受光信号をRAM(第1の記憶手段)104に保存し、RAM104に保存されている受光信号、及び、ROM(第2の記憶手段)105に保存されている既定の重み付け係数を用いて、各光センサSEの分光感度特性S(λ)に対応して重み付けさせて、加算する。これにより、合算後の光センサ手段11の分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して、所定の特性とすることができる。
【0031】
つまり、RAM104に保存されている受光信号、及び、ROM105に保存されている重み付け係数を用いて、等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)に近似した等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)を求め、この近似等色関数に基づく三刺激値X、Y、Zを算出することができる。
【0032】
図4に等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)を示し、図5に、等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)と、等色関数に近似した近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)を示す。
【0033】
近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)は下記式で示すことができる。
x’(λ)=a1×S1(λ)+a2×S2(λ)+・・・・・・+an×Sn(λ)
y’(λ)=b1×S1(λ)+b2×S2(λ)+・・・・・・+bn×Sn(λ)
z’(λ)=c1×S1(λ)+c2×S2(λ)+・・・・・・+cn×Sn(λ)
ここで、a1〜an、b1〜bn、c1〜cnは、ROM105に格納した重み付け係数である。
【0034】
制御手段103は、上述にて得られた三刺激値X、Y、Zに基づいて、測定対象光源(被試験光)の色度、照度、演色性など光源の特性を判断するための測定値を算出することができる。
【0035】
上記近似等色関数を求める工程、及び、近似等色関数から三刺激値を求める工程は、例えば、上述の特許文献2などに記載されており、当業者には周知であるので、これ以上の説明は省略する。
【0036】
また、別法として、上述から理解されるように、上記構成の本実施例の測光装置1によれば、各光センサSEの分光感度S(λ)に対応して重み付けさせて加算する構成とされる。従って、合算後の光センサ手段11の分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して、例えば、直線状の特性とすることもできる。
【0037】
つまり、合算後の光センサ手段11の分光感度特性SΣ(λ)は、
SΣ(λ)=k1・S1(λ)+k2・S2(λ)+・・・・+knSn(λ)
で表される。k1〜knは、重み付け係数である。
【0038】
合算後の光センサ手段11の分光感度特性SΣ(λ)は、所定範囲の波長領域に対して、図6に示すように、直線状、例えば、平坦とすることもできる。
【0039】
本実施例では、測光装置1は、光センサ手段11として、16個の光センサSEを有している。また、各光センサSEは、受光素子PDとして、シリコンフォトダイオードを使用した。本実施例における各光センサSEの分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・S16(λ)(n=16)が図3に示される。
【0040】
つまり、本実施例によれば、16個の光センサSEを備えた光センサ手段11は、図3に示すように、380nm〜720nmまで20nmピッチでピークを持つ16個の受光信号を出力する。なお、光センサSEの数は、16個に限定されるものではなく、所望により、これ以外の個数とすることもできる。
【0041】
なお、上述したように、本実施例では、ケーシング12の入射部開口13に拡散板14が設置されている。拡散板14の作用について説明する。
【0042】
被試験光が検出部10に入射する入射角度(θ)が極端に変化した場合には、光分布に偏りが生じる。
【0043】
本発明によると、上述のように、光センサ手段11は、透過波長が異なる複数の光センサSE1、SE2、・・・SEnで構成される。従って、被試験光の検出部10への入射角度(θ)が極端に変化し、光分布に偏りが生じた場合には、被試験光の入射角度によって複数の光センサSE1、SE2、・・・SEn上の光量が変化して測定値が変化することとなる。
【0044】
そこで、本実施例では、入射部開口13の領域を全面的に覆って、拡散板14が入射部開口13に固定される。拡散板14としては、オパール型拡散板(商品名:シグマ光機株式会社製)が好適に使用される。
【0045】
従って、本実施例の測光装置1によれば、被試験光の入射角度が変化しても高精度に被試験光のパワーや色度を高精度に測定することが可能である。
【0046】
上記構成の測光装置1であっても、光センサSEを構成する受光素子(光電変換素子)PD(PD1、PD2、PD3、・・・・PDn−2、PDn−1、PDn)の感度特性が、経時的に装置校正時の感度特性から変化(劣化)することがある。
【0047】
図3に、装置校正時の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)が、経時変化後に分光感度特性S1’(λ)、S2’(λ)、S3’(λ)、・・・・・Sn’(λ)となったことを示している。
【0048】
もしこの状態で、測光装置を使用したのでは、各センサSEの出力が異なるものとなり、例えば、重み付け係数と共に算出する三刺激値X、Y、Zなどが変化し、測定誤差となる。
【0049】
従って、測光装置の各センサSEの波長毎の感度校正をし直すことが必要とされる。この作業は、極めて煩雑である。そこで、本実施例の測光装置1は、以下のような補正機能を備えている。
【0050】
測光装置1を補正するための光源を選定し、その選定された光源を校正のとれた基準測定器、例えば、分光光度計にて測定する。本実施例では光源として電球を選定する。図3に、この光源電球のスペクトル(分光データ)P(λ)を示す。
【0051】
先ず、上記光源電球の分光データ(スペクトルP(λ))と、測光装置1のROM105に格納されている測光装置1の校正時の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)を用いて、各受光素子(光電変換素子)PD(PD1、PD2、PD3、・・・・PDn−2、PDn−1、PDn)からの、即ち、各光センサSE(SE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEn)からの出力(予測)を算出して、求める。つまり、
SE1の出力(予測)=P(λ1)×S1(λ1)+P(λ2)×S1(λ2)+・・・・・・・+P(λn)×S1(λn)
SE2の出力(予測)=P(λ1)×S2(λ1)+P(λ2)×S2(λ2)+・・・・・・・+P(λn)×S2(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(予測)=P(λ1)×Sn(λ1)+P(λ2)×Sn(λ2)+・・・・・・・+P(λn)×Sn(λn)
である。
【0052】
次いで、上記分光データ(スペクトル)P(λ)を有する光源電球を使用して、現状の分光感度特性S1’(λ)、S2’(λ)、S3’(λ)、・・・・・Sn’(λ)を有する測光装置における、各光センサSEからの出力を、実際に測定して求める。つまり、
SE1の出力(測定)=P(λ1)×S1’(λ1)+P(λ2)×S1’(λ2)+・・・・+P(λn)×S1’(λn)
SE2の出力(測定)=P(λ1)×S2’(λ1)+P(λ2)×S2’(λ2)+・・・・+P(λn)×S2’(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(測定)=P(λ1)×Sn’(λ1)+P(λ2)×Sn’(λ2)+・・・・+P(λn)×Sn’(λn)
である。
【0053】
ここで、上述のようにして得られた各光センサSEの出力(予測)値と、出力(測定)値との比、即ち、変動割合をとり、補正値B1、B2、・・・・・・Bnとする。即ち、
B1=SE1の出力(予測)/SE1の出力(測定)
B2=SE2の出力(予測)/SE2の出力(測定)
・・・・・・・・・・
Bn=SEnの出力(予測)/SEnの出力(測定)
である。
【0054】
上記比率B1、B2、・・・・・・Bnは、各光センサSEの分光感度特性の変動割合にて決定される補正値(補正係数)として測光装置1のROM105に格納する。そして、測光装置1の校正時に使用し、センサー感度の劣化による誤差要因を低減することができる。
【0055】
つまり、例えば、本発明の測光装置を使用すれば、この装置により得られた近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)の出力値を基に三刺激値X、Y、Zを算出し、測定光の特性を測定することができる。
【0056】
このときの、装置校正時においては、上述したように、近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)は下記の式で示される。
x’(λ)=a1×S1(λ)+a2×S2(λ)+・・・・・・+an×Sn(λ)
y’(λ)=b1×S1(λ)+b2×S2(λ)+・・・・・・+bn×Sn(λ)
z’(λ)=c1×S1(λ)+c2×S2(λ)+・・・・・・+cn×Sn(λ)
ここで、a1〜an、b1〜bn、c1〜cnは、ROM105に格納した重み付け係数である。
【0057】
従って、本実施例では、更に、ROM105に格納した、センサー感度劣化の補正のための補正係数B1〜Bnが更に上記重み付け係数に乗算される。つまり、
x’(λ)=B1×a1×S1(λ)+B2×a2×S2(λ)+・・・・・・+Bn×an×Sn(λ)
y’(λ)=B1×b1×S1(λ)+B2×b2×S2(λ)+・・・・・・+Bn×bn×Sn(λ)
z’(λ)=B1×c1×S1(λ)+B2×c2×S2(λ)+・・・・・・+Bn×cn×Sn(λ)
とされる。
【0058】
本実施例によれば、上述のように、センサー感度劣化補正のための補正係数B1〜Bnを装置のROM105に格納し、この補正係数を、重み付け係数a1〜an、b1〜bn、c1〜cnに乗算することによって、センサー感度補正を達成することができる。
【0059】
このように、本発明によれば、分光感度特性が経時変化により変化したとしても、各センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正することができ、高精度に被試験光の色度、照度などを高精度に測定することが可能である。
【0060】
また、本発明は、校正に際して、波長可変単色光源を必要とすることはなく、極めて利便性がよく、有用性が高い。
【0061】
実施例2
上記実施例1では、測光装置1が、経時にて感度特性が変わり、各センサの出力が変動した際の誤差要因を低減するための補正機能を有する場合について説明した。
【0062】
本発明は、実施例1のようなセンサー感度の経時変化がなくても、測光装置の製造メーカが保有する装置校正のための基準測定器、即ち、測光装置を製造する際に使用する基準測定器と、この測光装置を使用するユーザーが保有している基準測定器との間に差がある場合がある。例えば、ユーザーが保有する基準測定器のスペクトルが真値スペクトルと異なる場合がある。
【0063】
図7には、ユーザーが使用する基準測定器による基準スペクトル(ユーザースペクトル)PAと、真値スペクトルPと、測光装置の分光感度特性S(λ)との関係の一例を示す。
【0064】
真値スペクトルPとは、ユーザーが使用する基準測定器の基準光源(例えば基準白色LED)を校正のとれた他の基準測定器、例えば、分光光度計にて測定したときの光源のスペクトル(分光データ)を示す。本実施例では、基準スペクトルPAと、真値スペクトルPとは、理解を容易とするために直線にて示しているが、これに限定されるものではない。
【0065】
測光装置のROM105に格納されている測光装置の校正時の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)を用いて、基準スペクトルPAにおける各光センサSEからの出力(予測)を算出して、求める。つまり、
SE1の出力(予測)=PA(λ1)×S1(λ1)+PA(λ2)×S1(λ2)+・・・・・+PA(λn)×S1(λn)
SE2の出力(予測)=PA(λ1)×S2(λ1)+PA(λ2)×S2(λ2)+・・・・・+PA(λn)×S2(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(予測)=PA(λ1)×Sn(λ1)+PA(λ2)×Sn(λ2)+・・・・・+PA(λn)×Sn(λn)
である。
【0066】
次いで、上記真値スペクトルPを有する光源(基準白色LED)を使用して、分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)を有する測光装置における、各光センサSEからの出力を、実際に測定して求める。つまり、
SE1の出力(測定)=P(λ1)×S1(λ1)+P(λ2)×S1(λ2)+・・・・・・+P(λn)×S1(λn)
SE2の出力(測定)=P(λ1)×S2(λ1)+P(λ2)×S2(λ2)+・・・・・・+P(λn)×S2(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(測定)=P(λ1)×Sn(λ1)+P(λ2)×Sn(λ2)+・・・・・・+P(λn)×Sn(λn)
である。
【0067】
ここで、上述のようにして得られた各光センサSE(SE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEn)の出力(予測)値と、出力(測定)値との比、即ち、変動の割合をとり、補正値(補正係数)C1、C2、・・・・・・Cnとする。即ち、
C1=SE1の出力(予測)/SE1の出力(測定)
C2=SE2の出力(予測)/SE2の出力(測定)
・・・・・・・・・・
Cn=SEnの出力(予測)/SEnの出力(測定)
である。
【0068】
上記比率C1、C2、・・・・・・Cnは、ユーザーの基準測定器の基準スペクトルが真値スペクトルと異なることに起因した測光装置の分光感度特性の変動割合を補正し、ユーザーの基準測定器からの差異を低減させるための補正係数として測光装置1のROM105に格納する。そして、測光装置による測定時に使用し、基準測定器の差による誤差要因を低減することができる。
【0069】
つまり、例えば、本実施例の測光装置1を使用すれば、この装置により得られた近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)の出力値を基に三刺激値X、Y、Zを算出し、測定光の特性を測定することができる。
【0070】
このときの、装置校正時においては、上述したように、近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)は下記の式で示される。
x’(λ)=a1×S1(λ)+a2×S2(λ)+・・・・・・+an×Sn(λ)
y’(λ)=b1×S1(λ)+b2×S2(λ)+・・・・・・+bn×Sn(λ)
z’(λ)=c1×S1(λ)+c2×S2(λ)+・・・・・・+cn×Sn(λ)
ここで、a1〜an、b1〜bn、c1〜cnは、ROM105に格納した重み付け係数である。
【0071】
従って、本実施例では、更に、ROM105に格納した基準測定器の差による補正係数C1〜Cnが更に上記重み付け係数に乗算される。つまり、
x’(λ)=C1×a1×S1(λ)+C2×a2×S2(λ)+・・・・・・+Cn×an×Sn(λ)
y’(λ)=C1×b1×S1(λ)+C2×b2×S2(λ)+・・・・・・+Cn×bn×Sn(λ)
z’(λ)=C1×c1×S1(λ)+C2×c2×S2(λ)+・・・・・・+Cn×cn×Sn(λ)
とされる。
【0072】
本実施例によれば、上述のように、ユーザーが保有する基準測定器からの差異に起因した測光装置の特性を補正するための補正係数C1〜Cnを装置のROM105に格納し、この補正値を、重み付け係数a1〜an、b1〜bn、c1〜cnに乗算することによって、センサー感度補正を達成することができる。
【0073】
このように、本発明によれば、ユーザーが保有する基準測定器からの差異に起因して測光装置が異なる特性を示す場合においても、各センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正して、基準測定器からの差異を低減することができ、高精度に被試験光の色度、照度、演色性などを高精度に測定することが可能である。
【0074】
また、本発明は、校正に際して、波長可変単色光源を必要とすることはなく、極めて利便性がよく、有用性が高い。
【0075】
実施例3
上記実施例2では、ユーザーが保有する基準測定器の基準スペクトルが真値スペクトルと異なる場合において、このような相違に起因した誤差要因を低減するための補正機能を備えた測光装置について説明した。
【0076】
更にまた、ユーザーが使用する基準測定器の波長精度と、測光装置の製造メーカにおける装置校正時の波長精度との間に違い(ズレ)がある場合がある。
【0077】
本実施例では、このような基準測定器の波長精度の差(ズレ)に起因した誤差要因を低減するための補正機能を備えた測光装置について説明する。
【0078】
図8は、基準測定器の波長精度にズレがある場合の、測光装置の複数個あるセンサのうちの一つの分光感度特性への影響を説明するための図である。図8にて、分光感度特性S(λ)は、測光装置の製造メーカにおける装置校正時の分光感度特性を示すものとする。このとき、測光装置の製造メーカにおける装置校正時の波長精度と、ユーザーが使用する基準測定器の波長精度との間に1マス分の差(△λ)、即ち、波長ズレがあるとする。
【0079】
このような波長精度のズレがある場合には、ユーザー基準測定器が、例えば、波長λkに設定しているとしても、実際は、測光装置は、波長(λk+△λ)の値を測定していることとなる。つまり、測光装置は、波長ズレを考慮した分光感度特性S’(λ)に基き測定していることとなる。
【0080】
従って、測光装置の製造メーカにおける装置校正時の波長精度のままでは、ユーザーが使用する基準測定器による測定値との間には、誤差が生じ、正確な測定ができない。
【0081】
そこで、測光装置の測定誤差を低減し、ユーザー基準測定器と同じ測定結果を得るためには、分光感度特性が1マス分(△λ)だけズレた分光感度特性S’(λ)を考慮した重み付け係数を算出する必要がある。
【0082】
本実施例の測光装置は、上記波長精度誤差を補正する補正機能を備えた制御手段を有している。
【0083】
測光装置1を補正するための光源を選定する。この光源は、通常、ユーザーが使用する基準測定器の構成に使用する基準光源(例えば基準白色LED)とされる。
【0084】
先ず、ユーザーが使用する基準測定器の波長のズレを、水銀ランプなどの輝線や、ガスレーザ波長で確認する。
【0085】
説明を簡単とするために、ユーザーが使用する基準測定器の波長のズレが、所望の波長領域内において、各波長にて△λだけ一方向にズレているとする。
【0086】
従って、ユーザーが使用する基準測定器にて計測された出力(パワー)は、設定された各波長λに対して△λだけズレた波長(λ+△λ)の値を測定していることとなる。そのため、ユーザーが使用する基準測定器にて計測された波長(λ+△λ)におけるパワーから設定された波長λにおける値を補間により求める必要がある。
【0087】
本実施例では、測光装置の校正時の各光センサSEの分光感度特性データS(λ)は、例えば、380〜780nmの波長領域内において、5nm間隔で入手し得るもの、即ち、測光装置1のROM105に格納されているとする。
【0088】
従って、分光データ(スペクトル)P(λ)を有する基準光源を使用して、現状の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)を有する測光装置における、各光センサSEからの出力は、実際に測定して求めることができる。つまり、
SE1の出力(測定)=P(λ1)×S1(λ1)+P(λ2)×S1(λ2)+・・・・+P(λk-1)×S1(λk-1)+P(λk)×S1(λk)+P(λk+1)×S1(λk+1)+・・・・+P(λn)×S1(λn)
SE2の出力(測定)=P(λ1)×S2(λ1)+P(λ2)×S2(λ2)+・・・・+P(λk-1)×S2(λk-1)+P(λk)×S2(λk)+P(λk+1)×S2(λk+1)+・・・・+P(λn)×S2(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(測定)=P(λ1)×Sn(λ1)+P(λ2)×Sn(λ2)+・・・・+P(λk-1)×Sn(λk-1)+P(λk)×Sn(λk)+P(λk+1)×Sn(λk+1)+・・・・+P(λn)×Sn(λn)
である。
【0089】
次に、測光装置1のROM105に格納されている測光装置1の校正時の分光感度特性S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)、・・・・・Sn(λ)を用いて、各受光素子(光電変換素子)PD(PD1、PD2、PD3、・・・・PDn−2、PDn−1、PDn)からの、即ち、各光センサSE(SE1、SE2、SE3、・・・・SEn−2、SEn−1、SEn)からの出力(予測)を算出して、求める。つまり、
SE1の出力(予測)=P'(λ1)×S1(λ1)+P'(λ2)×S1(λ2)+・・・・+P'(λk-1)×S1(λk-1)+P'(λk)×S1(λk)+P'(λk+1)×S1(λk+1)+・・・・ +P'(λn)×S1(λn)
SE2の出力(予測)=P'(λ1)×S2(λ1)+P'(λ2)×S2(λ2)+・・・・+P'(λk-1)×S2(λk-1)+P'(λk)×S2(λk)+P'(λk+1)×S2(λk+1)+・・・・+P'(λn)×S2(λn)
・・・・・・・・・・
SEnの出力(予測)=P'(λ1)×Sn(λ1)+P'(λ2)×Sn(λ2)+・・・・+P'(λk-1)×Sn(λk-1)+P'(λk)×Sn(λk)+P'(λk+1)×Sn(λk+1)+・・・・+P'(λn)×Sn(λn)
である。
【0090】
ここで、P'(λ1)、P'(λ2)、・・・・P'(λk-1)、P'(λk)、P'(λk+1)、・・・P'(λn)は、ユーザーが使用する基準測定器により直接に測定により得られる値ではない。即ち、ユーザーが使用する基準測定器からは、基準光源の波長が△λだけズレた状態での分光データ(スペクトルPA(λ))、つまり、PA(λ1+△λ)、PA(λ2+△λ)、・・・・PA(λk-1+△λ)、PA(λk+△λ)、PA(λk+1+△λ)、・・・PA(λn+△λ)が入手されるに過ぎない。
【0091】
従って、P'(λ1)、P'(λ2)、・・・・P'(λk-1)、P'(λk)、P'(λk+1)、・・・P'(λn)は、PA(λ1+△λ)、PA(λ2+△λ)、・・・・PA(λk-1+△λ)、PA(λk+△λ)、PA(λk+1+△λ)、・・・PA(λn+△λ)を基に、補間により計算して求めることが必要とされる。
【0092】
図10を参照して、最も簡単な直線補間により、波長λkにおけるP'(λk)を求める方法について説明する。
P'(λk)=PA(λk-1+△λ)+△P’
ここで、
△P’=λA×(△PA/λB)
△PA=PA(λk+1+△λ)−PA(λk-1+△λ)
λA=λk−(λk-1+△λ)
λB=(λk+1+△λ)−(λk-1+△λ)=λk+1−λk-1
である。
【0093】
ここで、上述のようにして得られた各光センサSEの出力(予測)値と、出力(測定)値との比、即ち、変動割合をとり、補正値(補正係数)D1、D2、・・・・・・Dnとする。即ち、
D1=SE1の出力(予測)/SE1の出力(測定)
D2=SE2の出力(予測)/SE2の出力(測定)
・・・・・・
Dn=SEnの出力(予測)/SEnの出力(測定)
である。
【0094】
上記比率D1、D2、・・・・・・Dnは、ユーザーが使用する基準測定器における基準光源の波長ズレに起因した測定装置の分光感度特性の変動割合にて決定される補正値(補正係数)として測光装置1のROM105に格納する。そして、測光装置1の校正時に使用し、基準光源の波長ズレによる誤差要因を低減することができる。
【0095】
つまり、例えば、本発明の測光装置を使用すれば、この装置により得られた近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)の出力値を基に三刺激値X、Y、Zを算出し、測定光の特性を測定することができる。
【0096】
このときの、装置校正時においては、上述したように、近似等色関数x’(λ)、y’(λ)、z’(λ)は下記の式で示される。
x’(λ)=a1×S1(λ)+a2×S2(λ)+・・・・・・+an×Sn(λ)
y’(λ)=b1×S1(λ)+b2×S2(λ)+・・・・・・+bn×Sn(λ)
z’(λ)=c1×S1(λ)+c2×S2(λ)+・・・・・・+cn×Sn(λ)
ここで、a1〜an、b1〜bn、c1〜cnは、ROM105に格納した重み付け係数である。
【0097】
従って、本実施例では、更に、ROM105に格納した、基準測定器の波長ズレの補正のための補正係数D1〜Dnが更に上記重み付け係数に乗算される。つまり、
x’(λ)=D1×a1×S1(λ)+D2×a2×S2(λ)+・・・・+Dn×an×Sn(λ)
y’(λ)=D1×b1×S1(λ)+D2×b2×S2(λ)+・・・・+Dn×bn×Sn(λ)
z’(λ)=D1×c1×S1(λ)+D2×c2×S2(λ)+・・・・+Dn×cn×Sn(λ)
とされる。
【0098】
本実施例によれば、上述のように、基準測定器の波長ズレを補正するための補正係数D1〜Dnを装置のROM105に格納し、この補正係数を、重み付け係数a1〜an、b1〜bn、c1〜cnに乗算することによって、基準測定器の波長のズレを補正することができる。
【0099】
このように、本発明によれば、基準測定器の波長のズレが生じたとしても、各センサの波長毎の感度校正をし直す必要がなく、短時間にて校正することができ、高精度に被試験光の色度、照度などを高精度に測定することが可能である。
【0100】
尚、上記実施例では、説明を簡単とするために、ユーザーが使用する基準測定器の波長のズレが、所望の波長領域内において、各波長にて△λだけ一方向にズレているとして説明した。
【0101】
しかし、図10に示すように、波長毎にズレが違う場合がある。この場合は、各波長のズレを考慮して補間する必要がある。例えば、400nmが+0.5nmズレている場合は、400nmと405nmで400.5nmの値を求める。逆に、−0.5nmズレている場合には、395nmと400nmから求めるようにする。
【0102】
更に、水銀ランプなどの輝線スペクトルである、例えば、435.84nm、546.07nm、632.82nmなどの校正波長を使用して基準測定器の波長ズレ補正を行うことができる。
【符号の説明】
【0103】
1 測光装置
10 検出部
11 光センサ手段
12 ケーシング(筐体)
13 入射開口
14 拡散板
100 測定部
102 A/D変換器
103 制御手段
104 RAM(第1の記憶手段)
105 ROM(第2の記憶手段)
106 表示手段
f 光学フィルタ
PD 受光素子
SE 光センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定範囲の波長領域に感度特性を有し、測定対象光源からの被試験光を受光する光センサ手段を備えた検出部と、前記検出部からの受光信号により前記測定対象光源の特性を求める測定部とを備えた測光装置において、
前記光センサ手段は、光学フィルタと受光素子とを備え、それぞれ感度波長領域が制限された異なる分光感度特性を有した光センサを複数個配列することにより構成され、
前記測定部は、それぞれ異なる前記光センサの分光感度特性に対応して既定の重み付け係数を用いて重み付けを行い、且つ、前記重み付け係数に所定の補正係数を乗算して、前記光センサ手段の感度特性を、前記所定範囲の波長領域において所定の特性に変更する制御手段を有することを特徴とする測光装置。
【請求項2】
前記検出部は、内部に前記光センサ手段が設置された筐体を有しており、前記筐体には、被試験光が入射する入射部開口が設けられ、前記入射部開口には拡散板が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の測光装置。
【請求項3】
前記測定部の前記制御手段は、
前記光センサ手段からの受光信号である電流信号を電圧に変換するI/V変換アンプと、前記I/V変換アンプからの受光信号をデジタル値に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器にて変換された受光信号を保存する第1の記憶手段と、前記重み付け係数及び前記補正係数を記憶する第2の記憶手段と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の測光装置。
【請求項4】
前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2の記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
前記各光センサの分光感度特性が変動した場合には、前記各光センサの分光感度特性の変動の割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とすることを特徴とする請求項3に記載の測光装置。
【請求項5】
前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2の記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
ユーザーが有する基準測定器からの差異を低減させるために、前記基準測定器の基準スペクトルと、前記基準測定器に使用する基準光源の真値スペクトルに対する前記測光装置の分光感度特性の違いの割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とすることを特徴とする請求項3に記載の測光装置。
【請求項6】
前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2の記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
ユーザーが有する基準測定器からの差異を低減させるために、前記基準測定器の波長精度の違いに起因する前記測光装置の分光感度特性の変動割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とすることを特徴とする請求項3に記載の測光装置。
【請求項1】
所定範囲の波長領域に感度特性を有し、測定対象光源からの被試験光を受光する光センサ手段を備えた検出部と、前記検出部からの受光信号により前記測定対象光源の特性を求める測定部とを備えた測光装置において、
前記光センサ手段は、光学フィルタと受光素子とを備え、それぞれ感度波長領域が制限された異なる分光感度特性を有した光センサを複数個配列することにより構成され、
前記測定部は、それぞれ異なる前記光センサの分光感度特性に対応して既定の重み付け係数を用いて重み付けを行い、且つ、前記重み付け係数に所定の補正係数を乗算して、前記光センサ手段の感度特性を、前記所定範囲の波長領域において所定の特性に変更する制御手段を有することを特徴とする測光装置。
【請求項2】
前記検出部は、内部に前記光センサ手段が設置された筐体を有しており、前記筐体には、被試験光が入射する入射部開口が設けられ、前記入射部開口には拡散板が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の測光装置。
【請求項3】
前記測定部の前記制御手段は、
前記光センサ手段からの受光信号である電流信号を電圧に変換するI/V変換アンプと、前記I/V変換アンプからの受光信号をデジタル値に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器にて変換された受光信号を保存する第1の記憶手段と、前記重み付け係数及び前記補正係数を記憶する第2の記憶手段と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の測光装置。
【請求項4】
前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2の記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
前記各光センサの分光感度特性が変動した場合には、前記各光センサの分光感度特性の変動の割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とすることを特徴とする請求項3に記載の測光装置。
【請求項5】
前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2の記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
ユーザーが有する基準測定器からの差異を低減させるために、前記基準測定器の基準スペクトルと、前記基準測定器に使用する基準光源の真値スペクトルに対する前記測光装置の分光感度特性の違いの割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とすることを特徴とする請求項3に記載の測光装置。
【請求項6】
前記第1の記憶手段に保存されている前記受光信号と、前記第2の記憶手段に保存されている重み付け係数を用いて、前記各光センサの感度特性を重み付けさせて、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とし、
ユーザーが有する基準測定器からの差異を低減させるために、前記基準測定器の波長精度の違いに起因する前記測光装置の分光感度特性の変動割合にて決定される前記補正係数を、前記各光センサの重み付け係数に乗算し、加算することにより、合算後の光センサの分光感度特性を所定範囲の波長領域に対して所定の特性とすることを特徴とする請求項3に記載の測光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−107114(P2011−107114A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282311(P2009−282311)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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