測定装置、測定方法及びパラメータの設定方法
【課題】装置の更なる小型化を図ることが可能な、測定装置、測定方法及びパラメータの設定方法を提供すること。
【解決手段】本開示に係る測定装置は、測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、を備え、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、前記複数の発光素子から射出された前記放射発光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する。
【解決手段】本開示に係る測定装置は、測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、を備え、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、前記複数の発光素子から射出された前記放射発光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置、測定方法及びパラメータの設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物に対して光を照射し、測定対象物からの反射光を測定することで、測定対象物を分析する分光測定方法が、従来より提案されている。かかる分光測定方法では、測定対象物からの反射光を漏らさず集光するために、積分球と呼ばれる光学装置が用いられることが多い。このような積分球を用いた分光測定方法では、大きく分けて以下の2種類のような測定手順が存在する。
【0003】
(1)発光素子からの照射光を測定対象物に対して多角的に集光し、反射光を分光フィルタ前でコリメートして導光して、測定対象物の分光反射率を測定する。
(2)被測定対象物からの拡散反射を分光フィルタへ多角的に集光し、反射光を分光フィルタ前でコリメートして導光して、測定対象物の分光反射率を測定する。
【0004】
また、照射光としてキセノンランプ等の白色光源を用い、測定対象物からの反射光を分光フィルタで数十波長に分光することが一般的に行われる。
【0005】
また、例えば以下の特許文献1に記載されているように、積分球を用いずに、測定対象物からの光を測定する分光測定装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−532183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような積分球を用いた分光測定装置は、積分球や反射光をコリメートするための光学素子を用いる必要があるため装置の小型化が困難であるという問題があった。また、照射光源として利用されるキセノン光源は、発光を得るために光源装置に対して高い電力を供給する必要があり、省電力化が困難であるとともに、数十波長分もの分光フィルタを設けるために、低コスト化が困難である。
【0008】
また、上記特許文献1に記載の方法においても、回折格子を用いて測定対象物からの光を分光しているため、装置全体としての小型化を図ることが困難であった。
【0009】
そこで、本開示では、上記事情に鑑みて、装置の更なる小型化を図ることが可能な、測定装置、測定方法及びパラメータの設定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示によれば、測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、を備え、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、前記複数の発光素子から射出された前記放射発光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する測定装置が提供される。
【0011】
また、本開示によれば、測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子から、前記測定対象物を測定するための光を射出させることと、前記複数の発光素子から射出されたそれぞれの放射発光を、当該放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記発光素子の上方に設けられた反射光学素子により前記測定対象領域へと導光することと、前記測定対象領域からの反射光を前記受光素子で受光することと、を含み、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置している測定方法が提供される。
【0012】
また、本開示によれば、測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、を備え、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、前記複数の発光素子から射出された前記光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する測定装置において、前記受光素子が受光する前記測定対象物からの反射光の光量の最低値を設定し、設定した前記反射光の光量の最低値に基づいて前記受光素子の大きさを決定することと、前記測定対象領域の大きさを、前記受光素子に求められる信号雑音比と設定した前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定するとともに、前記受光素子と前記測定対象物との間の離隔距離を、前記受光素子への入射光量と前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定することと、を含む、パラメータの設定方法が提供される。
【0013】
本開示によれば、受光素子の受光面と同一の平面上に、受光素子の周囲に位置する複数の発光素子から放射発光が射出され、射出された放射発光は、発光素子の上方に位置する反射光学素子により反射されて測定対象領域に載置された測定対象物に照射され、測定対象物からの拡散反射光は、受光素子に結像する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本開示によれば、装置の更なる小型化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本開示の第1の実施形態に係る測定装置の全体構成を模式的に示した説明図である。
【図1B】同実施形態に係る測定装置の全体構成を模式的に示した説明図である。
【図2A】同実施形態に係る測定装置が備える光学系の一例を示した説明図である。
【図2B】同実施形態に係る測定装置が備える光学系の一例を示した説明図である。
【図2C】同実施形態に係る測定装置が備える光学系の一例を示した説明図である。
【図3】皮膚の反射率の波長特性について示したグラフ図である。
【図4】皮膚の反射率の波長特性について示したグラフ図である。
【図5】受光素子に入射する測定対象領域からの反射光量の分布を模式的に示したグラフ図である。
【図6】測定対象領域からの反射光量と受光素子の信号雑音比との関係を模式的に示したグラフ図である。
【図7】測定対象領域からの反射光量と受光素子への入射光量との関係を模式的に示したグラフ図である。
【図8】本開示の実施形態に係る測定装置の適用例を説明するための説明図である。
【図9】本開示の実施形態に係る測定装置の適用例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
なお、説明は、以下の順序で行うものとする。
(1)第1の実施形態
(1−1)測定装置の全体構成について
(1−2)光学系の構成について
(1−3)パラメータの設定方法について
(2)測定装置の適用例について
【0018】
(第1の実施形態)
<測定装置の全体構成について>
まず、図1A及び図1Bを参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る測定装置の全体構成について、簡単に説明する。図1A及び図1Bは、本実施形態に係る測定装置の全体構成を模式的に示した説明図である。
【0019】
本実施形態に係る測定装置1は、図1Aに示したように、任意の材質からなる筺体11を有しており、筺体11の一部には、開口部13が設けられている。図1Aにおいて、開口部13の形状は円形状であるが、開口部13の形状は円形状に限定されるわけではなく、多角形形状であっても、楕円形状であってもよい。この開口部13の部分に測定対象物が載置され、本実施形態に係る測定装置1は、載置された測定対象物に対して、測定を実施する。
【0020】
ここで、開口部13に載置される測定対象物は、ミー散乱効果等により当該測定対象物からの反射光が極めて散乱・拡散しやすい、有機物であることが好ましい。このような有機物として、例えば、有機ELディスプレイにおける有機発光層等の有機物を含有している物体や、人体の皮膚面や各種の細胞等を挙げることができる。
【0021】
図1Bは、図1AをA−A切断線で切断した断面を示した断面図である。
図1Bに示したように、筺体11の内部は中空となっており、筺体11の内部には、本実施形態に係る測定装置1の光学系100が実装されている。また、筺体11の内壁は、光学系100からの漏れ光の反射を抑制するために、黒、又は、黒に準ずる暗い色調の色とすることが好ましい。
【0022】
ここで、筺体11の内部に実装されている光学系100については、以下で改めて詳細に説明する。また、図1Bでは、筺体11の内部に光学系100のみが存在するように図示されているが、筺体11の内部には、光学系100での測定処理に影響を与えない範囲で、光学系100以外にも任意のユニットが実装されていてもよい。
【0023】
<光学系の構成について>
続いて、図2A〜図2Cを参照しながら、本実施形態に係る測定装置1が備える光学系について、詳細に説明する。
【0024】
図2Aは、本実施形態に係る光学系100を、開口部13の側から見た場合の平面図であり、図2Bは、本実施形態に係る光学系100を、図2Aの中心線で切断した場合の断面図である。また、図2Cは、本実施形態に係る光学系100の発光素子103の近傍を拡大して示した説明図である。なお、以下では、開口部13に人体の皮膚面が載置され、開口部13に載置された皮膚面が測定対象領域となっている場合について説明する。
【0025】
図2A及び図2Bに示したように、本実施形態に係る光学系100は、基板等の任意の形状を有する収容ユニットBに配置された受光素子101と、基板等の任意の形状を有する収容ユニットBに配置された複数の発光素子103と、ミラー等の反射光学素子105と、を有している。
【0026】
受光素子101には、測定対象物の載置された測定対象領域からの散乱反射光が結像される。受光素子101は、受光面に結像した光の光量等に応じて、結像した光の光量を表すデータ等を生成する。このような受光素子101として、例えばフォトダイオードを挙げることができるが、本実施形態に係る受光素子101は、上記のものに限定されるわけではなく、他の光センサを利用することも可能である。
【0027】
この受光素子101は、図2A及び図2Bに示したように、測定装置1の筺体11に設けられた開口部13と対向するように配設されており、開口部13の中心が、受光素子101の中心と対向している。
【0028】
また、本実施形態に係る測定装置1では、測定対象物(例えば、人体の皮膚面)からの反射光を可能な限り漏らさず受光するために、図2Aに示したように、受光素子101は、開口部13の面積よりも十分に大きな受光面積を有するようにする。更に、本実施形態に係る測定装置1では、測定対象物からの反射光を可能な限り漏らさず受光するために、受光素子101と開口部13との間の離隔距離dを、十分に小さくする。これにより、本実施形態に係る測定装置1では、測定装置1の厚みを低減することができ、測定装置の小型化を図ることが可能となる。
【0029】
ここで、受光素子101が、測定対象物からの反射光をどのくらい受光するかについては、測定装置1に求められる精度等に応じて適宜設定すればよいが、ガウス校正板等の白色校正板(白色拡散反射板)からの反射光の光量を基準として、例えば95%以上とすることが好ましい。
【0030】
なお、受光素子101が受光する測定対象物からの反射光量は、大きければ大きい程好ましいが、測定対象物からの反射光を100%受光するためには、積分球を用いなければならず、光学系の設計寸法、ひいては測定装置の大きさが大型化してしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態に係る測定装置1では、以下で詳述するように、受光素子101に受光させる反射光の光量と、受光素子における信号雑音比(SNR)を保証するために求められる受光素子への入射光量と、のトレードオフ関係が成立する範囲で、受光素子の大きさ、開口部の大きさ、及び、受光素子と開口部との間の離隔距離の3つのパラメータを設定し、測定装置の小型化を図っている。
【0031】
また、図2A及び図2Bに示したように、受光素子101の周囲には、複数の発光素子103a〜103h(以下、まとめて発光素子103ともいう。)が、受光素子101の4つの辺に沿って配設されている。これら受光素子101の光射出面は、図2Bに示したように、受光素子101の受光面と互いに同一の平面上に存在している。ここで、複数の発光素子103の光射出面と受光素子101の受光面とは、互いに同一の平面上に存在していればよく、受光素子101及び複数の発光素子103は、同一の基板上に配設されていてもよいし、異なる基板上に配設されていてもよい。
【0032】
このような発光素子103として、例えば、発光ダイオード(LED)を利用することが可能である。また、本実施形態に係る発光素子103として、所定の波長の放射光を射出する発光素子を利用してもよいし、白色光を放射する発光素子と、所望の波長の光を得るためのフィルタと、を組み合わせて利用してもよい。
【0033】
本実施形態に係る測定装置1では、上記のようなN個(図2Aでは8個)の発光素子103が、受光素子101の周囲に配置され、M(M≦N)種類の波長の光を射出する。また、発光素子101から射出される放射光の波長は、測定対象物の種別や測定対象とする物質等に応じて適宜選択すればよい。
【0034】
ここで、(波長数M<発光素子の個数N)である場合には、ある波長の光を射出する光を複数個配置することが可能となる。この際、本実施形態に係る測定装置1では、許容される波長幅が狭く、発光素子自身又はフィルタ等を介した光量が小さい光から優先して、複数の発光素子103を配置することが好ましい。
【0035】
以下、M<Nである場合における波長の選択方法に関し、人体の皮膚面を例にとって具体的に説明する。
【0036】
図3は、可視光波長帯域(400nm〜700nm)における人間の皮膚の反射率を測定した測定結果である。図3から明らかなように、人間の皮膚は、400nm〜500nm近傍の帯域では反射率がなだらかに増加し、その後600nm近傍の帯域までは反射率がわずかに減少し、600nm近傍から650nm近傍までは反射率が急激に増加する。
【0037】
ここで、人間の皮膚を測定対象とする場合に、図3に示したような可視光波長帯域の全てに着目したのでは、可視光波長帯域全ての光を放射可能な光源が必要となり、また、各波長の光量を特定するために、回折格子等の分光素子が必要となってしまう。その結果、測定装置の小型化を図ることが困難となってしまうことが予想される。
【0038】
そこで、本実施形態に係る測定装置1では、測定対象とする現象や物質に特徴的な波長をM種類選択することで、特殊な光源や分光素子を用いなくとも、測定対象とする現象や物質を効率良く測定することを実現する。例えば、図3に示した人間の皮膚の場合、スペクトルに特徴的な波長位置は、図4に示した5点である。そこで、本実施形態に係る測定装置1では、図4に示した5種類の波長に着目することで、人間の皮膚を効率良く測定する。なお、かかる5種類の波長は、人間の血中に存在する酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン等の各種のヘモグロビンを測定対象とする場合にも有用な波長である。
【0039】
また、図3に示したスペクトルの形状に着目すると、波長580nmの近傍では、反射率が急激に立ち上がるため、波長580nmの光に着目する場合には、この波長の光に許容される波長幅が狭いことがわかる。逆に、例えば波長540nmの近傍では、反射率はなだらかに推移しているため、波長540nmの光に着目する場合には、この波長の光に許容される波長幅を比較的大きく設定してもよいことがわかる。このような観点から、図4に示した5つの波長の波長幅を考慮すると、例えば以下のように設定することができる。
【0040】
λ1(青):500±25nm
λ2(緑):540±15nm
λ3(黄):580± 5nm
λ4(赤):620±15nm
λ5(赤):660±15nm
【0041】
ここで、図2Aに示した光学系100に対して上記5種類の波長を射出する発光素子103を実装する場合、着目する波長の光量や許容される波長幅に応じて、例えば、λ1及びλ2の波長の光を射出可能な発光素子を1個ずつ配設し、λ3、λ4、λ5の波長の光を射出可能な発光素子を2個ずつ配設することができる。ここで、同一の波長の光を射出可能な発光素子103を複数実装する場合、同一の波長の光を射出可能な発光素子は、受光素子101の中心を基準として点対称の位置となるように配設することが好ましい。
【0042】
それぞれの発光素子103から射出された放射光は、発光素子103上に設けられたレンズ等の集光素子やアパーチャ等(図示せず。)により所定の開口数NAの光とされ、ミラー等の反射光学素子105へと進むこととなる。ここで、上記開口数NAの値は、0.2とすることが好ましい。開口数NAが0.2よりも大きくなると、測定対象領域に照射されなくなる放射光の割合が増加していくため、好ましくない。
【0043】
ミラー等の反射光学素子105は、図2A〜図2Cに示したように、発光素子103の上方に設けられており、発光素子103から射出された放射発光を、当該放射発光の中心線が測定対象領域の略中心を通過するように、測定対象領域へと導光する。この反射光学素子105は、各発光素子103の直上に個別に設けられていてもよいし、例えば図2Aに示したように、複数の発光素子103に共通の反射光学素子105が設けられていてもよい。
【0044】
また、発光素子103の光射出面と反射光学素子105の反射面とのなす角(図2Cにおける角度α)の大きさは、受光素子101と開口部13との間の離隔距離dや、放射発光の開口数NA等に応じて決定される。
【0045】
本実施形態に係る測定装置1では、発光素子103の上方に反射光学素子105を設けることで、図2Bに示した離隔距離dが小さな場合であっても、発光素子103からの放射発光を測定対象領域(換言すれば、開口部13)の略中心へと照射することが可能となり、測定装置1の小型化(薄型化)に寄与することができる。
【0046】
以上、図1A〜図4を参照しながら、本実施形態に係る測定装置1の全体構成について、詳細に説明した。
【0047】
本実施形態に係る測定装置1では、上記のような構成を有することにより、測定対象物の載置された測定対象領域に対して、受光素子101の周囲に設けられた複数の発光素子103から、測定対象物を測定するための放射発光が射出され、それぞれの放射発光は、放射発光の中心線が測定対象領域の略中心を通過するように、発光素子の上方に設けられた反射光学素子105により測定対象領域へと導光され、測定対象物のミー散乱効果等により散乱・拡散した反射光が、受光素子101に結像することとなる。
【0048】
<パラメータの設定方法について>
以下では、図5〜図7を参照しながら、本実施形態に係る測定装置1における設計パラメータの設定方法について詳細に説明するとともに、各パラメータの設定例について、具体的に説明する。図5は、受光素子に入射する測定対象領域からの反射光量の分布を模式的に示したグラフ図である。図6は、測定対象領域からの反射光量と受光素子の信号雑音比との関係を模式的に示したグラフ図である。図7は、測定対象領域からの反射光量と受光素子への入射光量との関係を模式的に示したグラフ図である。
【0049】
本実施形態に係る測定装置1を設計する際の主なパラメータとしては、例えば、受光素子101の大きさ、開口部の大きさ、受光素子101と開口部13との間の離隔距離等を挙げることができる。所望の測定精度を実現しつつ、測定装置1の小型化を図るためには、これらの設計パラメータをいかに設定するかが重要となる。
【0050】
本実施形態に係る測定装置1は、測定対象物からの反射光に基づいて、所望の物質の測定を行うものであるため、反射光をどのくらい受光することが可能であるか、が重要なファクターとなる。そこで、本実施形態に係る測定装置1におけるパラメータの設定方法では、まず、受光素子101が受光することが可能な反射光の光量(換言すれば、受光素子101が受光可能な反射光の光量の最低値)を設定することが行われる。
【0051】
その後、本実施形態に係るパラメータの設定方法では、設定された反射光の光量に基づいて、受光素子101の大きさ、測定対象領域(開口部13)の大きさ、及び、受光素子101と開口部13との間の離隔距離のそれぞれが、互いに独立して設定される。
【0052】
[受光素子の大きさの設定方法]
まず、図5を参照しながら、受光素子の大きさの設定方法について説明する。
図5は、受光素子に入射する測定対象物からの反射光の光量分布を示したグラフ図である。グラフ図の横軸は、受光素子の断面方向の長さ(例えば図2Bにおける長さA)を表しており、グラフ図の縦軸は、受光素子へ入射する反射光の光量を表している。
【0053】
図5に示したグラフ図には、白色校正板の一例であるガウス校正板からの拡散反射光量の分布が記載されている。ガウス校正板からの拡散反射光の分布は、図5に示したように、ほぼガウス分布となっている。また、図5に示したグラフ図には、皮膚からの散乱反射光の分布もあわせて記載されている。図5から明らかなように、皮膚からの散乱反射光の分布は、ミー散乱等のために、ガウス校正板からの散乱反射光の分布よりも広がることがわかる。そのため、受光素子の大きさ(断面方向長さ)が小さい場合には、受光素子101は十分な光量の散乱反射光を受光することが出来ず、測定精度が低下することとなる。
【0054】
本実施形態に係るパラメータの設定方法では、受光素子101が受光することが可能な反射光の光量の最低値を、ガウス校正板からの拡散反射光量を基準とした割合で表すこととする。ガウス校正板からの拡散反射光量は、図5に示したガウス校正板からの拡散反射光量の分布曲線と、グラフの横軸とで囲まれる領域の面積として表される。従って、受光素子101が受光可能な反射光の光量の設定値が決定されると、皮膚からの拡散反射光量の分布曲線の面積に着目することで、光量の設定値を実現するための分布曲線の裾野の広さを決定することができる。
【0055】
例えば、受光素子101により、ガウス校正板からの拡散反射光量の95%を受光するようにしたい場合には、原点を中心としてガウス校正板からの拡散反射光量の95%となる面積を与える、皮膚からの散乱反射光量の分布曲線の範囲を決定する。このようにして規定される範囲の大きさを、受光素子101の大きさ(断面方向長さ)と設定することができる。このような方法により、95%という受光光量を実現可能な受光素子101の断面方向長さを、10mmと設定することができた。従って、本実施形態に係る測定装置1では、受光素子101として、10mm×10mmの受光素子を利用可能であることが明らかとなった。
【0056】
[開口部の大きさの設定方法]
続いて、図6を参照しながら、開口部の大きさの設定方法について説明する。
図6は、開口部の大きさ(具体的には、図2Bに示した円形の開口部の直径a)を変化させた場合における皮膚からの反射光量の変化の様子と、受光素子101への入射光量の変化の様子をそれぞれ示したグラフ図である。グラフ図の横軸は、開口部13の直径を表しており、グラフ図の縦軸は、皮膚からの反射光量の割合と、受光素子101へ入射しうる光量(μW)とをそれぞれ表している。
【0057】
図6において細線で示したグラフ図は、受光素子101へ入射しうる皮膚からの反射光の光量の変化を示したものである。開口部13の大きさが大きくなるにつれて開口部13に載置される皮膚の面積も大きくなるため、図6に示したように、皮膚から受光素子101へ向かって散乱する反射光の光量も増加することとなり、受光素子101へ入射しうる光量は増加することとなる。
【0058】
図6において太線で示したグラフ図は、ある一定の大きさを有する受光素子(図6では、10mm×10mmの受光素子)が受光する皮膚からの反射光量の割合の変化を示したものである。開口部13の大きさが大きくなるにつれて皮膚からの反射光量も大きくなるものの、開口部13の大きさがある閾値を超えると、受光素子101の大きさが一定である場合には、受光できない反射光が増加するため、受光素子101が受光する皮膚からの反射光量の割合は、急激に減少していくこととなる。
【0059】
このように、ある一定の大きさを有する受光素子101が受光する反射光量と、受光素子へ入射しうる反射光量とは、互いにトレードオフの関係となっていることがわかる。
【0060】
受光素子101により検出される信号の信号雑音比(SNR)を維持するためには、ある程度の光量が受光素子101に入射することが求められる。所定の信号雑音比を維持するための入射光量の閾値が10μWである場合、図6に示したように、開口部13の大きさは、4.6mm以上とすることが好ましい。逆に、95%以上の反射光量を受光素子101が受光するためには、図6に示したように、開口部13の大きさは、5.4mm以下とすることが好ましい。従って、開口部13の大きさを、4.6mm〜5.4mm(5.0mm±0.4mm)と設定することで、検出される信号の信号雑音比を維持しつつ、皮膚からの反射光量の95%以上を検知することが可能となる。
【0061】
[受光素子と開口部との離隔距離の設定方法]
続いて、図7を参照しながら、受光素子101と開口部13との離隔距離の設定方法について説明する。
図7は、ある一定の大きさを有する開口部、及び、ある一定の大きさを有する受光素子を考え、開口部(換言すれば、測定対象物である皮膚)と受光素子との間の離隔距離(図2Bにおける距離d)を変化させた場合に着目し、皮膚からの反射光量の変化の様子と、受光素子101への入射光量の変化の様子をそれぞれ示したグラフ図である。グラフ図の横軸は、受光素子と開口部との離隔距離を表しており、グラフ図の縦軸は、皮膚からの反射光量の割合と、受光素子101へ入射しうる光量(μW)とをそれぞれ表している。
【0062】
図7において細線で示したグラフ図は、受光素子101へ入射しうる皮膚からの反射光の光量の変化を示したものである。離隔距離dが大きくなるにつれて、受光素子101が受光する光量も増加していくが、離隔距離dがある閾値を超えると、開口部13と受光素子101との間の隙間から反射光が受光素子101へと入射しなくなり、入射光量は減少していくこととなる。
【0063】
図7において太線で示したグラフ図は、ある一定の大きさを有する受光素子(図7では、10mm×10mmの受光素子)が受光する皮膚からの反射光量の割合の変化を示したものである。離隔距離dがある閾値を超えると、受光素子101の大きさが一定である場合には、受光できない反射光が増加する。そのため、図7に示したように、受光素子101が受光する皮膚からの反射光量の割合は、急激に減少していくこととなる。
【0064】
このように、ある一定の大きさを有する受光素子101が受光する反射光量と、受光素子へ入射しうる反射光量とは、互いにトレードオフの関係となっていることがわかる。
【0065】
受光素子101により検出される信号の信号雑音比(SNR)を維持するためには、ある程度の光量が受光素子101に入射することが求められる。所定の信号雑音比を維持するための入射光量の閾値が10μWである場合、図7に示したように、離隔距離dは、2.8mm以上とすることが好ましい。逆に、95%以上の反射光量を受光素子101が受光するためには、図7に示したように、開口部13の大きさは、3.2mm以下とすることが好ましい。従って、離隔距離dの大きさを、2.8mm〜3.2mm(3.0mm±0.2mm)と設定することで、検出される信号の信号雑音比を維持しつつ、皮膚からの反射光量の95%以上を検知することが可能となる。
【0066】
以上のような設計指針に基づき、設定される各パラメータの値をまとめると、以下のようになる。
○皮膚からの反射光量の最低値を95%と設定した場合
受光素子101の大きさ:10mm×10mm
開口部13の大きさ(直径):5mm±0.4mmφ
受光素子101と開口部13との離隔距離:3mm±0.2mm
【0067】
また、上記のようなパラメータを有する測定装置1において、開口数NA=0.2の放射光を開口部13へと導光するためには、図2Cにおける反射光学素子105の設置角度αを51°とすればよいことが明らかとなった。
【0068】
このような設計指針に基づいてパラメータを設定することで、本実施形態に係る測定装置1では、発光素子からの放射発光が受光素子と開口部との間のわずかな隙間から鋭角で測定対象物へと照射されるにもかかわらず、受光素子で反射光を精度よく検出することが可能となる。
【0069】
以上、図5〜図7を参照しながら、本実施形態に係る測定装置1における設計パラメータの設定方法について詳細に説明するとともに、各パラメータの設定例について、具体的に説明した。
【0070】
<測定装置の適用例について>
続いて、図8及び図9を参照しながら、本開示の実施形態に係る測定装置の適用例について、簡単に説明する。図8及び図9は、本開示の実施形態に係る測定装置の適用例を説明するための説明図である。
【0071】
本開示の実施形態に係る測定装置1は、例えば図8に示したように、演算処理装置200と組み合わせて使用することで、例えば、人間の皮膚の特定の波長での反射率を測定し、測定結果を評価する装置に適用することが可能である。
【0072】
例えば図8に示した例では、本開示の実施形態に係る測定装置1は、N種類の波長を有する光を人間の皮膚に照射して、人間の皮膚での反射光を受光素子101で受光する。その結果、受光素子101は、受光した反射光に関する測定情報を生成する。測定装置1は、受光素子101により生成された測定情報を、演算処理装置200に対して出力する。
【0073】
演算処理装置200の測定情報取得部201は、測定装置1により生成された測定情報(例えば、任意の肌反射スペクトルや特定の波長での反射率等の情報)を測定装置1から取得して、演算部203に出力する。
【0074】
演算部203は、測定情報取得部201が取得した測定情報に基づいて、例えばランベルト・ベールの法則等に則して演算を行って、人間の皮膚の内部に存在する、各種の物質の存在量等を算出する。
【0075】
人間の皮膚は、体表面に近い場所から、表皮、真皮、皮下組織という層構造になっている。また、人間の皮膚に対して照射され、真皮で反射した反射光を用いることで、表皮中に存在するメラニンや、真皮中に存在するコラーゲンや、毛根中に存在するケラチンや、毛細血管中に存在するヘモグロビン等の存在量や濃度を測定することができる。
【0076】
ランベルト・ベールの法則は、物質の濃度は、測定の結果から得られた吸光度に比例するというものであり、吸光度は、測定した透過率の逆数の常用対数として定義される。また、吸光度は、物質に固有な吸光度係数と物質量との積としても表すことが可能であるため、結局、物理量は、以下の式101により算出することが可能である。
【0077】
物理量=Log(1/透過率)/吸光度係数・・・(式101)
【0078】
従って、演算部203は、測定装置1による測定結果と、上記式101等とに基づいて、公知のあらゆる濃度算出方法を利用することで、着目している物質の存在量や濃度を算出することができる。
【0079】
演算処理装置200は、演算部203により算出された演算結果をディスプレイ等に表示することで、着目している含有物質について、日々の測定結果の推移等をユーザに提供することが可能となる。
【0080】
図9は、人間の体内におけるヘモグロビン代謝を概略的に示した説明図である。
ヘモグロビンは、血液中に存在する、4つのサブユニットからなるタンパク質の総称である。このヘモグロビンは、例えば肺から吸収された酸素と結合して、図9に示したように、酸化ヘモグロビンとなり、体内の各所で酸素を放出して二酸化炭素と反応することで、還元ヘモグロビンとなる。また、肝臓等からグルコース等の単糖類が血中に放出されると、ヘモグロビンは、この単糖類と結合して糖化ヘモグロビンとなる。糖化ヘモグロビンも、体内の各所で結合している単糖類を放出して、還元ヘモグロビンとなる。放出された酸素や単糖類は、体内の各所においてエネルギーとして消費されることとなる。また、還元ヘモグロビンは、その寿命が到来するとビリルビンと呼ばれる化合物(C33H36N4O6)に分解され、肝臓によって代謝され、体外に排泄されることとなる。
【0081】
ここで、代謝経路中に存在する酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビン等は、これらの物質が吸収する光の波長帯域が少しずつ異なるため、反射光中の特定の波長に着目することで、血液中の濃度を測定することができる。本開示の実施形態で示した500nm、540nm、580nm、620nm及び660nmの5種類の波長は、これらヘモグロビンの物質量を測定する際にも有用な波長帯域として機能する。従って、本開示の実施形態に係る測定装置1を利用して上述の5種類の波長における反射率を測定することで、酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの存在量や濃度を算出することができる。これらの含有物質の存在量等をユーザに提供することで、ユーザは、目的に合った健康管理や体調異常の監視を行うことが可能となる。
【0082】
以下では、演算部203が、測定情報取得部201の取得した測定データを利用して、メラニン、還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビンの4種類の測定対象成分の濃度を算出する場合を例にとって、具体的に説明する。
【0083】
ランベルト・ベールの法則より、測定された反射率をtとし、単位光路長あたりの濃度をcl(単位:mol/L・cm)とし、モル吸光係数をεとすると、以下の式102が成立する。
【0084】
log(1/t)=ε・cl ・・・(式102)
【0085】
また、メラニン、還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビンのモル吸光係数及び単位光路長あたりの濃度を以下のように表記するものとする。
【0086】
・メラニン
モル吸光係数:ε1、単位光路長あたりの濃度:Mn
・還元ヘモグロビン
モル吸光係数:ε2、単位光路長あたりの濃度:Hb
・酸化ヘモグロビン
モル吸光係数:ε3、単位光路長あたりの濃度:HbO2
・糖化ヘモグロビン
モル吸光係数:ε4、単位光路長あたりの濃度:HbAlc
【0087】
測定データにおけるある波長での反射率をSと表すこととし、人体内界面反射率をDと表すこととすると、上記式102より、着目している波長毎に以下の式103が成立することとなる。
【0088】
Mn・ε1+Hb・ε2+HbO2・ε3+HbAlc・ε4+D=−logS
・・・(式103)
【0089】
従って、演算部203は、予め設定され記憶部205等に格納されている測定対象成分のモル吸光係数を参照するとともに、着目している波長(例えば、図4に示した5波長)についてそれぞれ上記式103を考慮することにより、一連の連立方程式を得ることができる。演算部203は、この連立方程式を解くことにより、測定対象成分の濃度(すなわち、単位光路長あたりの濃度)を算出することができる。
【0090】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0091】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、
前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、
前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、
を備え、
前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、
前記複数の発光素子から射出された前記放射発光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する、測定装置。
(2)
前記測定対象物の載置される前記測定対象領域には開口部が設けられており、
前記開口部の中心と前記受光素子との中心とが対向する、(1)に記載の測定装置。
(3)
前記複数の発光素子としてN個の発光素子が配設されており、
前記N個の発光素子から、M(M≦N)種類の波長の放射発光が射出される、(1)又は(2)に記載の測定装置。
(4)
前記測定対象物は、有機物である、(1)〜(3)の何れか1つに記載の測定装置。
(5)
前記有機物は、人間の皮膚である、(4)に記載の測定装置。
(6)
前記複数の発光素子の個数が、当該発光素子から射出される前記放射発光の波長の種類数よりも大きい場合、許容される波長幅の狭い波長から順に、前記放射発光の波長が選択される、(3)〜(5)の何れか1つに記載の測定装置。
(7)
前記受光素子が受光する前記測定対象物からの反射光の光量は、前記測定対象物として白色校正板を載置した場合の当該白色校正板からの反射光の光量を基準として、95%以上である、(1)〜(6)の何れか1つに記載の測定装置。
(8)
前記受光素子と前記測定対象物との間の離隔距離は、3±0.2mmであり、
前記受光素子の大きさが、10mm四方であり、
円形の前記開口部の大きさは、直径5±0.4mmである、(7)に記載の測定装置。
(9)
前記放射発光の開口数NAは、0.2であり、
前記反射光学素子の前記光射出面に対する設置角度は、51°である、(8)に記載の測定装置。
(10)
前記発光素子の個数は、8個であり、
前記発光素子から射出される前記放射発光の波長は、λ1:500±25nm、λ2:540±15nm、λ3:580nm±5nm、λ4:620±15nm、及び、λ5:660±15nmの5種類であり、
λ1とλ2の波長をそれぞれ射出する前記発光素子が、1つずつ設けられ、
λ3〜λ5の波長をそれぞれ射出する前記発光素子が、2つずつ設けられる、(9)に記載の測定装置。
(11)
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子から、前記測定対象物を測定するための光を射出させることと、
前記複数の発光素子から射出されたそれぞれの放射発光を、当該放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記発光素子の上方に設けられた反射光学素子により前記測定対象領域へと導光することと、
前記測定対象領域からの反射光を前記受光素子で受光することと、
を含み、
前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置している、測定方法。
(12)
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、を備え、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、前記複数の発光素子から射出された前記光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する測定装置において、前記受光素子が受光する前記測定対象物からの反射光の光量の最低値を設定することと、
前記受光素子の大きさを、前記反射光の光量の最低値に基づいて設定するとともに、前記測定対象領域の大きさを、前記受光素子に求められる信号雑音比と設定した前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定するとともに、前記受光素子と前記測定対象物との間の離隔距離を、前記受光素子への入射光量と前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定することと、
を含む、パラメータの設定方法。
【符号の説明】
【0092】
1 測定装置
11 筺体
13 開口部
100 光学系
101 受光素子
103 発光素子
105 反射光学素子(ミラー)
200 演算処理装置
201 測定情報取得部
203 演算部
205 記憶部
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置、測定方法及びパラメータの設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物に対して光を照射し、測定対象物からの反射光を測定することで、測定対象物を分析する分光測定方法が、従来より提案されている。かかる分光測定方法では、測定対象物からの反射光を漏らさず集光するために、積分球と呼ばれる光学装置が用いられることが多い。このような積分球を用いた分光測定方法では、大きく分けて以下の2種類のような測定手順が存在する。
【0003】
(1)発光素子からの照射光を測定対象物に対して多角的に集光し、反射光を分光フィルタ前でコリメートして導光して、測定対象物の分光反射率を測定する。
(2)被測定対象物からの拡散反射を分光フィルタへ多角的に集光し、反射光を分光フィルタ前でコリメートして導光して、測定対象物の分光反射率を測定する。
【0004】
また、照射光としてキセノンランプ等の白色光源を用い、測定対象物からの反射光を分光フィルタで数十波長に分光することが一般的に行われる。
【0005】
また、例えば以下の特許文献1に記載されているように、積分球を用いずに、測定対象物からの光を測定する分光測定装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−532183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような積分球を用いた分光測定装置は、積分球や反射光をコリメートするための光学素子を用いる必要があるため装置の小型化が困難であるという問題があった。また、照射光源として利用されるキセノン光源は、発光を得るために光源装置に対して高い電力を供給する必要があり、省電力化が困難であるとともに、数十波長分もの分光フィルタを設けるために、低コスト化が困難である。
【0008】
また、上記特許文献1に記載の方法においても、回折格子を用いて測定対象物からの光を分光しているため、装置全体としての小型化を図ることが困難であった。
【0009】
そこで、本開示では、上記事情に鑑みて、装置の更なる小型化を図ることが可能な、測定装置、測定方法及びパラメータの設定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示によれば、測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、を備え、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、前記複数の発光素子から射出された前記放射発光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する測定装置が提供される。
【0011】
また、本開示によれば、測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子から、前記測定対象物を測定するための光を射出させることと、前記複数の発光素子から射出されたそれぞれの放射発光を、当該放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記発光素子の上方に設けられた反射光学素子により前記測定対象領域へと導光することと、前記測定対象領域からの反射光を前記受光素子で受光することと、を含み、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置している測定方法が提供される。
【0012】
また、本開示によれば、測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、を備え、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、前記複数の発光素子から射出された前記光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する測定装置において、前記受光素子が受光する前記測定対象物からの反射光の光量の最低値を設定し、設定した前記反射光の光量の最低値に基づいて前記受光素子の大きさを決定することと、前記測定対象領域の大きさを、前記受光素子に求められる信号雑音比と設定した前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定するとともに、前記受光素子と前記測定対象物との間の離隔距離を、前記受光素子への入射光量と前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定することと、を含む、パラメータの設定方法が提供される。
【0013】
本開示によれば、受光素子の受光面と同一の平面上に、受光素子の周囲に位置する複数の発光素子から放射発光が射出され、射出された放射発光は、発光素子の上方に位置する反射光学素子により反射されて測定対象領域に載置された測定対象物に照射され、測定対象物からの拡散反射光は、受光素子に結像する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本開示によれば、装置の更なる小型化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本開示の第1の実施形態に係る測定装置の全体構成を模式的に示した説明図である。
【図1B】同実施形態に係る測定装置の全体構成を模式的に示した説明図である。
【図2A】同実施形態に係る測定装置が備える光学系の一例を示した説明図である。
【図2B】同実施形態に係る測定装置が備える光学系の一例を示した説明図である。
【図2C】同実施形態に係る測定装置が備える光学系の一例を示した説明図である。
【図3】皮膚の反射率の波長特性について示したグラフ図である。
【図4】皮膚の反射率の波長特性について示したグラフ図である。
【図5】受光素子に入射する測定対象領域からの反射光量の分布を模式的に示したグラフ図である。
【図6】測定対象領域からの反射光量と受光素子の信号雑音比との関係を模式的に示したグラフ図である。
【図7】測定対象領域からの反射光量と受光素子への入射光量との関係を模式的に示したグラフ図である。
【図8】本開示の実施形態に係る測定装置の適用例を説明するための説明図である。
【図9】本開示の実施形態に係る測定装置の適用例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
なお、説明は、以下の順序で行うものとする。
(1)第1の実施形態
(1−1)測定装置の全体構成について
(1−2)光学系の構成について
(1−3)パラメータの設定方法について
(2)測定装置の適用例について
【0018】
(第1の実施形態)
<測定装置の全体構成について>
まず、図1A及び図1Bを参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る測定装置の全体構成について、簡単に説明する。図1A及び図1Bは、本実施形態に係る測定装置の全体構成を模式的に示した説明図である。
【0019】
本実施形態に係る測定装置1は、図1Aに示したように、任意の材質からなる筺体11を有しており、筺体11の一部には、開口部13が設けられている。図1Aにおいて、開口部13の形状は円形状であるが、開口部13の形状は円形状に限定されるわけではなく、多角形形状であっても、楕円形状であってもよい。この開口部13の部分に測定対象物が載置され、本実施形態に係る測定装置1は、載置された測定対象物に対して、測定を実施する。
【0020】
ここで、開口部13に載置される測定対象物は、ミー散乱効果等により当該測定対象物からの反射光が極めて散乱・拡散しやすい、有機物であることが好ましい。このような有機物として、例えば、有機ELディスプレイにおける有機発光層等の有機物を含有している物体や、人体の皮膚面や各種の細胞等を挙げることができる。
【0021】
図1Bは、図1AをA−A切断線で切断した断面を示した断面図である。
図1Bに示したように、筺体11の内部は中空となっており、筺体11の内部には、本実施形態に係る測定装置1の光学系100が実装されている。また、筺体11の内壁は、光学系100からの漏れ光の反射を抑制するために、黒、又は、黒に準ずる暗い色調の色とすることが好ましい。
【0022】
ここで、筺体11の内部に実装されている光学系100については、以下で改めて詳細に説明する。また、図1Bでは、筺体11の内部に光学系100のみが存在するように図示されているが、筺体11の内部には、光学系100での測定処理に影響を与えない範囲で、光学系100以外にも任意のユニットが実装されていてもよい。
【0023】
<光学系の構成について>
続いて、図2A〜図2Cを参照しながら、本実施形態に係る測定装置1が備える光学系について、詳細に説明する。
【0024】
図2Aは、本実施形態に係る光学系100を、開口部13の側から見た場合の平面図であり、図2Bは、本実施形態に係る光学系100を、図2Aの中心線で切断した場合の断面図である。また、図2Cは、本実施形態に係る光学系100の発光素子103の近傍を拡大して示した説明図である。なお、以下では、開口部13に人体の皮膚面が載置され、開口部13に載置された皮膚面が測定対象領域となっている場合について説明する。
【0025】
図2A及び図2Bに示したように、本実施形態に係る光学系100は、基板等の任意の形状を有する収容ユニットBに配置された受光素子101と、基板等の任意の形状を有する収容ユニットBに配置された複数の発光素子103と、ミラー等の反射光学素子105と、を有している。
【0026】
受光素子101には、測定対象物の載置された測定対象領域からの散乱反射光が結像される。受光素子101は、受光面に結像した光の光量等に応じて、結像した光の光量を表すデータ等を生成する。このような受光素子101として、例えばフォトダイオードを挙げることができるが、本実施形態に係る受光素子101は、上記のものに限定されるわけではなく、他の光センサを利用することも可能である。
【0027】
この受光素子101は、図2A及び図2Bに示したように、測定装置1の筺体11に設けられた開口部13と対向するように配設されており、開口部13の中心が、受光素子101の中心と対向している。
【0028】
また、本実施形態に係る測定装置1では、測定対象物(例えば、人体の皮膚面)からの反射光を可能な限り漏らさず受光するために、図2Aに示したように、受光素子101は、開口部13の面積よりも十分に大きな受光面積を有するようにする。更に、本実施形態に係る測定装置1では、測定対象物からの反射光を可能な限り漏らさず受光するために、受光素子101と開口部13との間の離隔距離dを、十分に小さくする。これにより、本実施形態に係る測定装置1では、測定装置1の厚みを低減することができ、測定装置の小型化を図ることが可能となる。
【0029】
ここで、受光素子101が、測定対象物からの反射光をどのくらい受光するかについては、測定装置1に求められる精度等に応じて適宜設定すればよいが、ガウス校正板等の白色校正板(白色拡散反射板)からの反射光の光量を基準として、例えば95%以上とすることが好ましい。
【0030】
なお、受光素子101が受光する測定対象物からの反射光量は、大きければ大きい程好ましいが、測定対象物からの反射光を100%受光するためには、積分球を用いなければならず、光学系の設計寸法、ひいては測定装置の大きさが大型化してしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態に係る測定装置1では、以下で詳述するように、受光素子101に受光させる反射光の光量と、受光素子における信号雑音比(SNR)を保証するために求められる受光素子への入射光量と、のトレードオフ関係が成立する範囲で、受光素子の大きさ、開口部の大きさ、及び、受光素子と開口部との間の離隔距離の3つのパラメータを設定し、測定装置の小型化を図っている。
【0031】
また、図2A及び図2Bに示したように、受光素子101の周囲には、複数の発光素子103a〜103h(以下、まとめて発光素子103ともいう。)が、受光素子101の4つの辺に沿って配設されている。これら受光素子101の光射出面は、図2Bに示したように、受光素子101の受光面と互いに同一の平面上に存在している。ここで、複数の発光素子103の光射出面と受光素子101の受光面とは、互いに同一の平面上に存在していればよく、受光素子101及び複数の発光素子103は、同一の基板上に配設されていてもよいし、異なる基板上に配設されていてもよい。
【0032】
このような発光素子103として、例えば、発光ダイオード(LED)を利用することが可能である。また、本実施形態に係る発光素子103として、所定の波長の放射光を射出する発光素子を利用してもよいし、白色光を放射する発光素子と、所望の波長の光を得るためのフィルタと、を組み合わせて利用してもよい。
【0033】
本実施形態に係る測定装置1では、上記のようなN個(図2Aでは8個)の発光素子103が、受光素子101の周囲に配置され、M(M≦N)種類の波長の光を射出する。また、発光素子101から射出される放射光の波長は、測定対象物の種別や測定対象とする物質等に応じて適宜選択すればよい。
【0034】
ここで、(波長数M<発光素子の個数N)である場合には、ある波長の光を射出する光を複数個配置することが可能となる。この際、本実施形態に係る測定装置1では、許容される波長幅が狭く、発光素子自身又はフィルタ等を介した光量が小さい光から優先して、複数の発光素子103を配置することが好ましい。
【0035】
以下、M<Nである場合における波長の選択方法に関し、人体の皮膚面を例にとって具体的に説明する。
【0036】
図3は、可視光波長帯域(400nm〜700nm)における人間の皮膚の反射率を測定した測定結果である。図3から明らかなように、人間の皮膚は、400nm〜500nm近傍の帯域では反射率がなだらかに増加し、その後600nm近傍の帯域までは反射率がわずかに減少し、600nm近傍から650nm近傍までは反射率が急激に増加する。
【0037】
ここで、人間の皮膚を測定対象とする場合に、図3に示したような可視光波長帯域の全てに着目したのでは、可視光波長帯域全ての光を放射可能な光源が必要となり、また、各波長の光量を特定するために、回折格子等の分光素子が必要となってしまう。その結果、測定装置の小型化を図ることが困難となってしまうことが予想される。
【0038】
そこで、本実施形態に係る測定装置1では、測定対象とする現象や物質に特徴的な波長をM種類選択することで、特殊な光源や分光素子を用いなくとも、測定対象とする現象や物質を効率良く測定することを実現する。例えば、図3に示した人間の皮膚の場合、スペクトルに特徴的な波長位置は、図4に示した5点である。そこで、本実施形態に係る測定装置1では、図4に示した5種類の波長に着目することで、人間の皮膚を効率良く測定する。なお、かかる5種類の波長は、人間の血中に存在する酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン等の各種のヘモグロビンを測定対象とする場合にも有用な波長である。
【0039】
また、図3に示したスペクトルの形状に着目すると、波長580nmの近傍では、反射率が急激に立ち上がるため、波長580nmの光に着目する場合には、この波長の光に許容される波長幅が狭いことがわかる。逆に、例えば波長540nmの近傍では、反射率はなだらかに推移しているため、波長540nmの光に着目する場合には、この波長の光に許容される波長幅を比較的大きく設定してもよいことがわかる。このような観点から、図4に示した5つの波長の波長幅を考慮すると、例えば以下のように設定することができる。
【0040】
λ1(青):500±25nm
λ2(緑):540±15nm
λ3(黄):580± 5nm
λ4(赤):620±15nm
λ5(赤):660±15nm
【0041】
ここで、図2Aに示した光学系100に対して上記5種類の波長を射出する発光素子103を実装する場合、着目する波長の光量や許容される波長幅に応じて、例えば、λ1及びλ2の波長の光を射出可能な発光素子を1個ずつ配設し、λ3、λ4、λ5の波長の光を射出可能な発光素子を2個ずつ配設することができる。ここで、同一の波長の光を射出可能な発光素子103を複数実装する場合、同一の波長の光を射出可能な発光素子は、受光素子101の中心を基準として点対称の位置となるように配設することが好ましい。
【0042】
それぞれの発光素子103から射出された放射光は、発光素子103上に設けられたレンズ等の集光素子やアパーチャ等(図示せず。)により所定の開口数NAの光とされ、ミラー等の反射光学素子105へと進むこととなる。ここで、上記開口数NAの値は、0.2とすることが好ましい。開口数NAが0.2よりも大きくなると、測定対象領域に照射されなくなる放射光の割合が増加していくため、好ましくない。
【0043】
ミラー等の反射光学素子105は、図2A〜図2Cに示したように、発光素子103の上方に設けられており、発光素子103から射出された放射発光を、当該放射発光の中心線が測定対象領域の略中心を通過するように、測定対象領域へと導光する。この反射光学素子105は、各発光素子103の直上に個別に設けられていてもよいし、例えば図2Aに示したように、複数の発光素子103に共通の反射光学素子105が設けられていてもよい。
【0044】
また、発光素子103の光射出面と反射光学素子105の反射面とのなす角(図2Cにおける角度α)の大きさは、受光素子101と開口部13との間の離隔距離dや、放射発光の開口数NA等に応じて決定される。
【0045】
本実施形態に係る測定装置1では、発光素子103の上方に反射光学素子105を設けることで、図2Bに示した離隔距離dが小さな場合であっても、発光素子103からの放射発光を測定対象領域(換言すれば、開口部13)の略中心へと照射することが可能となり、測定装置1の小型化(薄型化)に寄与することができる。
【0046】
以上、図1A〜図4を参照しながら、本実施形態に係る測定装置1の全体構成について、詳細に説明した。
【0047】
本実施形態に係る測定装置1では、上記のような構成を有することにより、測定対象物の載置された測定対象領域に対して、受光素子101の周囲に設けられた複数の発光素子103から、測定対象物を測定するための放射発光が射出され、それぞれの放射発光は、放射発光の中心線が測定対象領域の略中心を通過するように、発光素子の上方に設けられた反射光学素子105により測定対象領域へと導光され、測定対象物のミー散乱効果等により散乱・拡散した反射光が、受光素子101に結像することとなる。
【0048】
<パラメータの設定方法について>
以下では、図5〜図7を参照しながら、本実施形態に係る測定装置1における設計パラメータの設定方法について詳細に説明するとともに、各パラメータの設定例について、具体的に説明する。図5は、受光素子に入射する測定対象領域からの反射光量の分布を模式的に示したグラフ図である。図6は、測定対象領域からの反射光量と受光素子の信号雑音比との関係を模式的に示したグラフ図である。図7は、測定対象領域からの反射光量と受光素子への入射光量との関係を模式的に示したグラフ図である。
【0049】
本実施形態に係る測定装置1を設計する際の主なパラメータとしては、例えば、受光素子101の大きさ、開口部の大きさ、受光素子101と開口部13との間の離隔距離等を挙げることができる。所望の測定精度を実現しつつ、測定装置1の小型化を図るためには、これらの設計パラメータをいかに設定するかが重要となる。
【0050】
本実施形態に係る測定装置1は、測定対象物からの反射光に基づいて、所望の物質の測定を行うものであるため、反射光をどのくらい受光することが可能であるか、が重要なファクターとなる。そこで、本実施形態に係る測定装置1におけるパラメータの設定方法では、まず、受光素子101が受光することが可能な反射光の光量(換言すれば、受光素子101が受光可能な反射光の光量の最低値)を設定することが行われる。
【0051】
その後、本実施形態に係るパラメータの設定方法では、設定された反射光の光量に基づいて、受光素子101の大きさ、測定対象領域(開口部13)の大きさ、及び、受光素子101と開口部13との間の離隔距離のそれぞれが、互いに独立して設定される。
【0052】
[受光素子の大きさの設定方法]
まず、図5を参照しながら、受光素子の大きさの設定方法について説明する。
図5は、受光素子に入射する測定対象物からの反射光の光量分布を示したグラフ図である。グラフ図の横軸は、受光素子の断面方向の長さ(例えば図2Bにおける長さA)を表しており、グラフ図の縦軸は、受光素子へ入射する反射光の光量を表している。
【0053】
図5に示したグラフ図には、白色校正板の一例であるガウス校正板からの拡散反射光量の分布が記載されている。ガウス校正板からの拡散反射光の分布は、図5に示したように、ほぼガウス分布となっている。また、図5に示したグラフ図には、皮膚からの散乱反射光の分布もあわせて記載されている。図5から明らかなように、皮膚からの散乱反射光の分布は、ミー散乱等のために、ガウス校正板からの散乱反射光の分布よりも広がることがわかる。そのため、受光素子の大きさ(断面方向長さ)が小さい場合には、受光素子101は十分な光量の散乱反射光を受光することが出来ず、測定精度が低下することとなる。
【0054】
本実施形態に係るパラメータの設定方法では、受光素子101が受光することが可能な反射光の光量の最低値を、ガウス校正板からの拡散反射光量を基準とした割合で表すこととする。ガウス校正板からの拡散反射光量は、図5に示したガウス校正板からの拡散反射光量の分布曲線と、グラフの横軸とで囲まれる領域の面積として表される。従って、受光素子101が受光可能な反射光の光量の設定値が決定されると、皮膚からの拡散反射光量の分布曲線の面積に着目することで、光量の設定値を実現するための分布曲線の裾野の広さを決定することができる。
【0055】
例えば、受光素子101により、ガウス校正板からの拡散反射光量の95%を受光するようにしたい場合には、原点を中心としてガウス校正板からの拡散反射光量の95%となる面積を与える、皮膚からの散乱反射光量の分布曲線の範囲を決定する。このようにして規定される範囲の大きさを、受光素子101の大きさ(断面方向長さ)と設定することができる。このような方法により、95%という受光光量を実現可能な受光素子101の断面方向長さを、10mmと設定することができた。従って、本実施形態に係る測定装置1では、受光素子101として、10mm×10mmの受光素子を利用可能であることが明らかとなった。
【0056】
[開口部の大きさの設定方法]
続いて、図6を参照しながら、開口部の大きさの設定方法について説明する。
図6は、開口部の大きさ(具体的には、図2Bに示した円形の開口部の直径a)を変化させた場合における皮膚からの反射光量の変化の様子と、受光素子101への入射光量の変化の様子をそれぞれ示したグラフ図である。グラフ図の横軸は、開口部13の直径を表しており、グラフ図の縦軸は、皮膚からの反射光量の割合と、受光素子101へ入射しうる光量(μW)とをそれぞれ表している。
【0057】
図6において細線で示したグラフ図は、受光素子101へ入射しうる皮膚からの反射光の光量の変化を示したものである。開口部13の大きさが大きくなるにつれて開口部13に載置される皮膚の面積も大きくなるため、図6に示したように、皮膚から受光素子101へ向かって散乱する反射光の光量も増加することとなり、受光素子101へ入射しうる光量は増加することとなる。
【0058】
図6において太線で示したグラフ図は、ある一定の大きさを有する受光素子(図6では、10mm×10mmの受光素子)が受光する皮膚からの反射光量の割合の変化を示したものである。開口部13の大きさが大きくなるにつれて皮膚からの反射光量も大きくなるものの、開口部13の大きさがある閾値を超えると、受光素子101の大きさが一定である場合には、受光できない反射光が増加するため、受光素子101が受光する皮膚からの反射光量の割合は、急激に減少していくこととなる。
【0059】
このように、ある一定の大きさを有する受光素子101が受光する反射光量と、受光素子へ入射しうる反射光量とは、互いにトレードオフの関係となっていることがわかる。
【0060】
受光素子101により検出される信号の信号雑音比(SNR)を維持するためには、ある程度の光量が受光素子101に入射することが求められる。所定の信号雑音比を維持するための入射光量の閾値が10μWである場合、図6に示したように、開口部13の大きさは、4.6mm以上とすることが好ましい。逆に、95%以上の反射光量を受光素子101が受光するためには、図6に示したように、開口部13の大きさは、5.4mm以下とすることが好ましい。従って、開口部13の大きさを、4.6mm〜5.4mm(5.0mm±0.4mm)と設定することで、検出される信号の信号雑音比を維持しつつ、皮膚からの反射光量の95%以上を検知することが可能となる。
【0061】
[受光素子と開口部との離隔距離の設定方法]
続いて、図7を参照しながら、受光素子101と開口部13との離隔距離の設定方法について説明する。
図7は、ある一定の大きさを有する開口部、及び、ある一定の大きさを有する受光素子を考え、開口部(換言すれば、測定対象物である皮膚)と受光素子との間の離隔距離(図2Bにおける距離d)を変化させた場合に着目し、皮膚からの反射光量の変化の様子と、受光素子101への入射光量の変化の様子をそれぞれ示したグラフ図である。グラフ図の横軸は、受光素子と開口部との離隔距離を表しており、グラフ図の縦軸は、皮膚からの反射光量の割合と、受光素子101へ入射しうる光量(μW)とをそれぞれ表している。
【0062】
図7において細線で示したグラフ図は、受光素子101へ入射しうる皮膚からの反射光の光量の変化を示したものである。離隔距離dが大きくなるにつれて、受光素子101が受光する光量も増加していくが、離隔距離dがある閾値を超えると、開口部13と受光素子101との間の隙間から反射光が受光素子101へと入射しなくなり、入射光量は減少していくこととなる。
【0063】
図7において太線で示したグラフ図は、ある一定の大きさを有する受光素子(図7では、10mm×10mmの受光素子)が受光する皮膚からの反射光量の割合の変化を示したものである。離隔距離dがある閾値を超えると、受光素子101の大きさが一定である場合には、受光できない反射光が増加する。そのため、図7に示したように、受光素子101が受光する皮膚からの反射光量の割合は、急激に減少していくこととなる。
【0064】
このように、ある一定の大きさを有する受光素子101が受光する反射光量と、受光素子へ入射しうる反射光量とは、互いにトレードオフの関係となっていることがわかる。
【0065】
受光素子101により検出される信号の信号雑音比(SNR)を維持するためには、ある程度の光量が受光素子101に入射することが求められる。所定の信号雑音比を維持するための入射光量の閾値が10μWである場合、図7に示したように、離隔距離dは、2.8mm以上とすることが好ましい。逆に、95%以上の反射光量を受光素子101が受光するためには、図7に示したように、開口部13の大きさは、3.2mm以下とすることが好ましい。従って、離隔距離dの大きさを、2.8mm〜3.2mm(3.0mm±0.2mm)と設定することで、検出される信号の信号雑音比を維持しつつ、皮膚からの反射光量の95%以上を検知することが可能となる。
【0066】
以上のような設計指針に基づき、設定される各パラメータの値をまとめると、以下のようになる。
○皮膚からの反射光量の最低値を95%と設定した場合
受光素子101の大きさ:10mm×10mm
開口部13の大きさ(直径):5mm±0.4mmφ
受光素子101と開口部13との離隔距離:3mm±0.2mm
【0067】
また、上記のようなパラメータを有する測定装置1において、開口数NA=0.2の放射光を開口部13へと導光するためには、図2Cにおける反射光学素子105の設置角度αを51°とすればよいことが明らかとなった。
【0068】
このような設計指針に基づいてパラメータを設定することで、本実施形態に係る測定装置1では、発光素子からの放射発光が受光素子と開口部との間のわずかな隙間から鋭角で測定対象物へと照射されるにもかかわらず、受光素子で反射光を精度よく検出することが可能となる。
【0069】
以上、図5〜図7を参照しながら、本実施形態に係る測定装置1における設計パラメータの設定方法について詳細に説明するとともに、各パラメータの設定例について、具体的に説明した。
【0070】
<測定装置の適用例について>
続いて、図8及び図9を参照しながら、本開示の実施形態に係る測定装置の適用例について、簡単に説明する。図8及び図9は、本開示の実施形態に係る測定装置の適用例を説明するための説明図である。
【0071】
本開示の実施形態に係る測定装置1は、例えば図8に示したように、演算処理装置200と組み合わせて使用することで、例えば、人間の皮膚の特定の波長での反射率を測定し、測定結果を評価する装置に適用することが可能である。
【0072】
例えば図8に示した例では、本開示の実施形態に係る測定装置1は、N種類の波長を有する光を人間の皮膚に照射して、人間の皮膚での反射光を受光素子101で受光する。その結果、受光素子101は、受光した反射光に関する測定情報を生成する。測定装置1は、受光素子101により生成された測定情報を、演算処理装置200に対して出力する。
【0073】
演算処理装置200の測定情報取得部201は、測定装置1により生成された測定情報(例えば、任意の肌反射スペクトルや特定の波長での反射率等の情報)を測定装置1から取得して、演算部203に出力する。
【0074】
演算部203は、測定情報取得部201が取得した測定情報に基づいて、例えばランベルト・ベールの法則等に則して演算を行って、人間の皮膚の内部に存在する、各種の物質の存在量等を算出する。
【0075】
人間の皮膚は、体表面に近い場所から、表皮、真皮、皮下組織という層構造になっている。また、人間の皮膚に対して照射され、真皮で反射した反射光を用いることで、表皮中に存在するメラニンや、真皮中に存在するコラーゲンや、毛根中に存在するケラチンや、毛細血管中に存在するヘモグロビン等の存在量や濃度を測定することができる。
【0076】
ランベルト・ベールの法則は、物質の濃度は、測定の結果から得られた吸光度に比例するというものであり、吸光度は、測定した透過率の逆数の常用対数として定義される。また、吸光度は、物質に固有な吸光度係数と物質量との積としても表すことが可能であるため、結局、物理量は、以下の式101により算出することが可能である。
【0077】
物理量=Log(1/透過率)/吸光度係数・・・(式101)
【0078】
従って、演算部203は、測定装置1による測定結果と、上記式101等とに基づいて、公知のあらゆる濃度算出方法を利用することで、着目している物質の存在量や濃度を算出することができる。
【0079】
演算処理装置200は、演算部203により算出された演算結果をディスプレイ等に表示することで、着目している含有物質について、日々の測定結果の推移等をユーザに提供することが可能となる。
【0080】
図9は、人間の体内におけるヘモグロビン代謝を概略的に示した説明図である。
ヘモグロビンは、血液中に存在する、4つのサブユニットからなるタンパク質の総称である。このヘモグロビンは、例えば肺から吸収された酸素と結合して、図9に示したように、酸化ヘモグロビンとなり、体内の各所で酸素を放出して二酸化炭素と反応することで、還元ヘモグロビンとなる。また、肝臓等からグルコース等の単糖類が血中に放出されると、ヘモグロビンは、この単糖類と結合して糖化ヘモグロビンとなる。糖化ヘモグロビンも、体内の各所で結合している単糖類を放出して、還元ヘモグロビンとなる。放出された酸素や単糖類は、体内の各所においてエネルギーとして消費されることとなる。また、還元ヘモグロビンは、その寿命が到来するとビリルビンと呼ばれる化合物(C33H36N4O6)に分解され、肝臓によって代謝され、体外に排泄されることとなる。
【0081】
ここで、代謝経路中に存在する酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビン等は、これらの物質が吸収する光の波長帯域が少しずつ異なるため、反射光中の特定の波長に着目することで、血液中の濃度を測定することができる。本開示の実施形態で示した500nm、540nm、580nm、620nm及び660nmの5種類の波長は、これらヘモグロビンの物質量を測定する際にも有用な波長帯域として機能する。従って、本開示の実施形態に係る測定装置1を利用して上述の5種類の波長における反射率を測定することで、酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの存在量や濃度を算出することができる。これらの含有物質の存在量等をユーザに提供することで、ユーザは、目的に合った健康管理や体調異常の監視を行うことが可能となる。
【0082】
以下では、演算部203が、測定情報取得部201の取得した測定データを利用して、メラニン、還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビンの4種類の測定対象成分の濃度を算出する場合を例にとって、具体的に説明する。
【0083】
ランベルト・ベールの法則より、測定された反射率をtとし、単位光路長あたりの濃度をcl(単位:mol/L・cm)とし、モル吸光係数をεとすると、以下の式102が成立する。
【0084】
log(1/t)=ε・cl ・・・(式102)
【0085】
また、メラニン、還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビンのモル吸光係数及び単位光路長あたりの濃度を以下のように表記するものとする。
【0086】
・メラニン
モル吸光係数:ε1、単位光路長あたりの濃度:Mn
・還元ヘモグロビン
モル吸光係数:ε2、単位光路長あたりの濃度:Hb
・酸化ヘモグロビン
モル吸光係数:ε3、単位光路長あたりの濃度:HbO2
・糖化ヘモグロビン
モル吸光係数:ε4、単位光路長あたりの濃度:HbAlc
【0087】
測定データにおけるある波長での反射率をSと表すこととし、人体内界面反射率をDと表すこととすると、上記式102より、着目している波長毎に以下の式103が成立することとなる。
【0088】
Mn・ε1+Hb・ε2+HbO2・ε3+HbAlc・ε4+D=−logS
・・・(式103)
【0089】
従って、演算部203は、予め設定され記憶部205等に格納されている測定対象成分のモル吸光係数を参照するとともに、着目している波長(例えば、図4に示した5波長)についてそれぞれ上記式103を考慮することにより、一連の連立方程式を得ることができる。演算部203は、この連立方程式を解くことにより、測定対象成分の濃度(すなわち、単位光路長あたりの濃度)を算出することができる。
【0090】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0091】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、
前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、
前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、
を備え、
前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、
前記複数の発光素子から射出された前記放射発光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する、測定装置。
(2)
前記測定対象物の載置される前記測定対象領域には開口部が設けられており、
前記開口部の中心と前記受光素子との中心とが対向する、(1)に記載の測定装置。
(3)
前記複数の発光素子としてN個の発光素子が配設されており、
前記N個の発光素子から、M(M≦N)種類の波長の放射発光が射出される、(1)又は(2)に記載の測定装置。
(4)
前記測定対象物は、有機物である、(1)〜(3)の何れか1つに記載の測定装置。
(5)
前記有機物は、人間の皮膚である、(4)に記載の測定装置。
(6)
前記複数の発光素子の個数が、当該発光素子から射出される前記放射発光の波長の種類数よりも大きい場合、許容される波長幅の狭い波長から順に、前記放射発光の波長が選択される、(3)〜(5)の何れか1つに記載の測定装置。
(7)
前記受光素子が受光する前記測定対象物からの反射光の光量は、前記測定対象物として白色校正板を載置した場合の当該白色校正板からの反射光の光量を基準として、95%以上である、(1)〜(6)の何れか1つに記載の測定装置。
(8)
前記受光素子と前記測定対象物との間の離隔距離は、3±0.2mmであり、
前記受光素子の大きさが、10mm四方であり、
円形の前記開口部の大きさは、直径5±0.4mmである、(7)に記載の測定装置。
(9)
前記放射発光の開口数NAは、0.2であり、
前記反射光学素子の前記光射出面に対する設置角度は、51°である、(8)に記載の測定装置。
(10)
前記発光素子の個数は、8個であり、
前記発光素子から射出される前記放射発光の波長は、λ1:500±25nm、λ2:540±15nm、λ3:580nm±5nm、λ4:620±15nm、及び、λ5:660±15nmの5種類であり、
λ1とλ2の波長をそれぞれ射出する前記発光素子が、1つずつ設けられ、
λ3〜λ5の波長をそれぞれ射出する前記発光素子が、2つずつ設けられる、(9)に記載の測定装置。
(11)
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子から、前記測定対象物を測定するための光を射出させることと、
前記複数の発光素子から射出されたそれぞれの放射発光を、当該放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記発光素子の上方に設けられた反射光学素子により前記測定対象領域へと導光することと、
前記測定対象領域からの反射光を前記受光素子で受光することと、
を含み、
前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置している、測定方法。
(12)
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、を備え、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、前記複数の発光素子から射出された前記光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する測定装置において、前記受光素子が受光する前記測定対象物からの反射光の光量の最低値を設定することと、
前記受光素子の大きさを、前記反射光の光量の最低値に基づいて設定するとともに、前記測定対象領域の大きさを、前記受光素子に求められる信号雑音比と設定した前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定するとともに、前記受光素子と前記測定対象物との間の離隔距離を、前記受光素子への入射光量と前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定することと、
を含む、パラメータの設定方法。
【符号の説明】
【0092】
1 測定装置
11 筺体
13 開口部
100 光学系
101 受光素子
103 発光素子
105 反射光学素子(ミラー)
200 演算処理装置
201 測定情報取得部
203 演算部
205 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、
前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、
前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、
を備え、
前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、
前記複数の発光素子から射出された前記放射発光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する、測定装置。
【請求項2】
前記測定対象物の載置される前記測定対象領域には開口部が設けられており、
前記開口部の中心と前記受光素子との中心とが対向する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子としてN個の発光素子が配設されており、
前記N個の発光素子から、M(M≦N)種類の波長の前記放射発光が射出される、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定対象物は、有機物である、請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記有機物は、人体の皮膚である、請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子の個数が、当該発光素子から射出される前記放射発光の波長の種類数よりも大きい場合、許容される波長幅の狭い波長から順に、前記放射発光の波長が選択される、請求項3に記載の測定装置。
【請求項7】
前記受光素子が受光する前記測定対象物からの反射光の光量は、前記測定対象物として白色校正板を載置した場合の当該白色校正板からの反射光の光量を基準として、95%以上である、請求項1に記載の測定装置。
【請求項8】
前記受光素子と前記測定対象物との間の離隔距離は、3±0.2mmであり、
前記受光素子の大きさが、10mm四方であり、
円形の前記開口部の大きさは、直径5±0.4mmである、請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記放射発光の開口数NAは、0.2であり、
前記反射光学素子の前記光射出面に対する設置角度は、51°である、請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記発光素子の個数は、8個であり、
前記発光素子から射出される前記放射発光の波長は、λ1:500±25nm、λ2:540±15nm、λ3:580nm±5nm、λ4:620±15nm、及び、λ5:660±15nmの5種類であり、
λ1とλ2の波長をそれぞれ射出する前記発光素子が、1つずつ設けられ、
λ3〜λ5の波長をそれぞれ射出する前記発光素子が、2つずつ設けられる、請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子から、前記測定対象物を測定するための光を射出させることと、
前記複数の発光素子から射出されたそれぞれの放射発光を、当該放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記発光素子の上方に設けられた反射光学素子により前記測定対象領域へと導光することと、
前記測定対象領域からの反射光を前記受光素子で受光することと、
を含み、
前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置している、測定方法。
【請求項12】
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、を備え、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、前記複数の発光素子から射出された前記光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する測定装置において、前記受光素子が受光する前記測定対象物からの反射光の光量の最低値を設定し、設定した前記反射光の光量の最低値に基づいて前記受光素子の大きさを決定することと、
前記測定対象領域の大きさを、前記受光素子に求められる信号雑音比と設定した前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定するとともに、前記受光素子と前記測定対象物との間の離隔距離を、前記受光素子への入射光量と前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定することと、
を含む、パラメータの設定方法。
【請求項1】
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、
前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、
前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、
を備え、
前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、
前記複数の発光素子から射出された前記放射発光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する、測定装置。
【請求項2】
前記測定対象物の載置される前記測定対象領域には開口部が設けられており、
前記開口部の中心と前記受光素子との中心とが対向する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子としてN個の発光素子が配設されており、
前記N個の発光素子から、M(M≦N)種類の波長の前記放射発光が射出される、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定対象物は、有機物である、請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記有機物は、人体の皮膚である、請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子の個数が、当該発光素子から射出される前記放射発光の波長の種類数よりも大きい場合、許容される波長幅の狭い波長から順に、前記放射発光の波長が選択される、請求項3に記載の測定装置。
【請求項7】
前記受光素子が受光する前記測定対象物からの反射光の光量は、前記測定対象物として白色校正板を載置した場合の当該白色校正板からの反射光の光量を基準として、95%以上である、請求項1に記載の測定装置。
【請求項8】
前記受光素子と前記測定対象物との間の離隔距離は、3±0.2mmであり、
前記受光素子の大きさが、10mm四方であり、
円形の前記開口部の大きさは、直径5±0.4mmである、請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記放射発光の開口数NAは、0.2であり、
前記反射光学素子の前記光射出面に対する設置角度は、51°である、請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記発光素子の個数は、8個であり、
前記発光素子から射出される前記放射発光の波長は、λ1:500±25nm、λ2:540±15nm、λ3:580nm±5nm、λ4:620±15nm、及び、λ5:660±15nmの5種類であり、
λ1とλ2の波長をそれぞれ射出する前記発光素子が、1つずつ設けられ、
λ3〜λ5の波長をそれぞれ射出する前記発光素子が、2つずつ設けられる、請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子から、前記測定対象物を測定するための光を射出させることと、
前記複数の発光素子から射出されたそれぞれの放射発光を、当該放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記発光素子の上方に設けられた反射光学素子により前記測定対象領域へと導光することと、
前記測定対象領域からの反射光を前記受光素子で受光することと、
を含み、
前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置している、測定方法。
【請求項12】
測定対象物の載置された測定対象領域と対向する位置に設けられ、当該測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に配設され、前記測定対象物を測定するための光を射出する複数の発光素子と、前記発光素子の上方に設けられ、当該発光素子から射出された放射発光を、前記測定対象領域へと導光する反射光学素子と、を備え、前記受光素子の受光面と、前記複数の発光素子の光射出面とは、互いに同一の平面上に位置しており、前記複数の発光素子から射出された前記光は前記反射光学素子により反射され、それぞれの前記発光素子からの前記放射発光の中心線が前記測定対象領域の略中心を通過する測定装置において、前記受光素子が受光する前記測定対象物からの反射光の光量の最低値を設定し、設定した前記反射光の光量の最低値に基づいて前記受光素子の大きさを決定することと、
前記測定対象領域の大きさを、前記受光素子に求められる信号雑音比と設定した前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定するとともに、前記受光素子と前記測定対象物との間の離隔距離を、前記受光素子への入射光量と前記反射光の光量の最低値とに基づいて設定することと、
を含む、パラメータの設定方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−104728(P2013−104728A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247571(P2011−247571)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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