説明

測定装置およびその試験結果表示方法

【課題】従来の測定装置で、試験対象の電子機器での測定項目毎のデータの推移を参照するには、測定履歴一覧よりデータ選択、詳細表示を繰り返し行う必要があった。
本発明の目的は、試験対象の電子機器の性能を測定する測定装置において、測定履歴より選択した測定結果の詳細表示から任意の測定項目を選択し、測定日時の異なる測定結果から抜き出し、選択した項目の測定値の推移や、測定内容の詳細を表示するものである。
【解決手段】本発明の測定装置は、電子機器から出力する出力信号を測定する測定手段と、測定手段で測定した測定値の良否を判定する判定手段と、測定手段で測定した測定値と判定手段で判定した判定結果を記憶する記憶手段と、記憶手段で記憶した測定値と判定結果を表示する表示手段とを備え、表示手段は、電子機器の測定値と、判定結果と、測定値の履歴を仕様値付きでグラフ表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に係わり、特に測定装置の試験結果の表示に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、測定装置はメモリに過去の試験結果を保持しておき、今回の試験で得た測定結果を比較して、特性が劣化した測定項目は他の測定項目と形態を差別化して表示していた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−264915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の測定装置で、試験対象の電子機器での測定項目毎のデータの推移を参照するには、測定履歴一覧よりデータ選択、詳細表示を繰り返し行う必要があった。
【0004】
本発明の目的は、試験対象の電子機器の性能を測定する測定装置において、測定履歴より選択した測定結果の詳細表示から任意の測定項目を選択し、測定日時の異なる測定結果から抜き出し、選択した項目の測定値の推移や、測定内容の詳細を表示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の測定装置は、電子機器から出力する出力信号を測定する測定手段と、測定手段で測定した測定値の良否を判定する判定手段と、測定手段で測定した測定値と判定手段で判定した判定結果を記憶する記憶手段と、記憶手段で記憶した測定値と判定結果を表示する表示手段とを備え、表示手段は、電子機器の測定値と、判定結果と、測定値の履歴を仕様値付きでグラフ表示することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の測定装置の試験結果表示方法は、電子機器からの出力信号を測定し、測定した測定値の良否を判定し、測定した測定値と判定した判定結果を記憶し、記憶した測定値と判定結果と測定値の履歴を仕様値付きでグラフを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の測定装置によれば、測定日時の異なる任意の性能試験の測定結果の推移および基準値内か否かを画面上に表示可能とすることにより、機器の測定履歴が視覚的に確認可能となると共に、選択した試験項目の自動測定内容を表示することにより、どのような測定を行った結果であるかも操作者が容易に確認可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施例を図1〜図6を用いて説明する。図1は本発明の一実施例である測定装置の動作を説明するためのブロック図である。
【0009】
図1において、測定装置11は、無線機等の被試験器41毎に決められた試験内容に応じて自動的に試験を行い、試験で得た測定値を記憶すると共に測定値の良否判定を行い、良否判定結果も記憶するものである。
【0010】
測定装置11は、測定装置11の全体の制御および測定値の良否判定を行う制御部1と、被試験器41から出力される出力信号である試験信号21を測定する測定部4−1〜4−Nと、被試験器41と測定部4−1〜4−N間の測定経路の切替えを行う切替部5と、被試験器41の制御用インタフェース経由で測定条件等を入力するための操作信号を出力する操作部2と、測定部4−1〜4−Nで測定した測定値と測定条件と判定結果を記憶する記憶部9と、記憶部9で記憶した測定値と測定条件と判定結果を表示する表示部3を備えている。
【0011】
本発明の一実施例の詳細な動作を図1を用いて説明する。
測定装置11は被試験器41に応じて自動試験を行う。自動試験を行うため、操作部2は操作信号22を出力して被試験器41に対して測定条件等を入力する。制御部1はCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサから構成されていて、試験に際しては被試験器41の動作制御と、測定部4−1〜4−Nで測定した測定値の良否判定と、測定値と測定条件と判定結果を記憶するように記憶部9を制御する。
【0012】
図2は、本発明の一実施例である測定装置11の記憶部9に記憶してある試験結果データの階層を説明するための階層表示図で、表示部3に表示したものである。階層は、“試験結果”フォルダの中に被試験器の機種別に“被試験器A,B,C,・・・”のフォルダがあり、機種別フォルダの中に個別識別記号である製造番号等の“001,002,003・・・”のファイルがあり、個別識別記号フォルダの中に試験毎の試験データとなっている。この試験データのフォルダをポインティングデバイス等で選択することにより、試験結果データを表示部3に表示することができる。表示部3の右上の“閉じる”をポインティングデバイス等で選択することにより、階層の表示を閉じることができる。
【0013】
図3は、記憶部9に記憶してあるファイル“003_20080521_112634”の試験結果データを説明するための図である。この試験結果データは、測定装置11を用いて試験を行った試験結果で、試験の都度、被試験器の機器番号単位で結果を保存した日時データを用いて記憶部9に記憶し、試験結果データを蓄積していく。記憶部9に記憶する試験結果データは、試験実施日時(試験開始/終了時間)等の試験実施情報と、測定項目毎の測定値及び良/否判定データである。
【0014】
図4は、本発明の一実施例である表示部3に表示した試験結果を説明するための図である。
操作者は、例えば図4の表示部3の測定結果一覧31に表示されている被試験器のA,B,C,・・・の中から“A”と、機器番号のプルダウンメニューから“003” をポインティングデバイス等で選択することにより、制御部1は記憶部9に記憶してある被試験器“A”の機器番号“003”の該当するフォルダの測定結果データを記憶部9から読み出し、読み出した測定結果データを測定結果一覧31に表示できるように展開してから表示部3に測定結果一覧31として表示する。測定結果一覧31には、被試験器、機器番号、測定日時、測定者、測定結果等を表示する。
【0015】
また、操作者は、例えば図4に示す測定結果一覧31の測定日時が“2008年05月21日11時26分34秒”の測定結果を表示部3に表示させたい場合、ポインティングデバイス等で“2008年05月21日11時26分34秒”を選択し、“測定結果表示”を押下することにより、制御部1が測定結果詳細表示32の試験結果データを記憶部9から読み出して表示部3に表示させる。測定結果詳細表示32には、測定日時、測定者、測定項目、仕様値、前回の測定値、測定値、単位、判定の結果等を表示する。測定者は、表示部3の測定結果詳細表示32に表示された“前回の測定値”と“測定値”を比較することにより、測定値の推移を把握することができる。
【0016】
更に、操作者が例えば測定項目5の測定履歴グラフを表示部3に表示させたい場合は、ポインティングデバイス等で測定項目の“5”を選択し、“測定履歴グラフ表示”を押下することにより、制御部1が測定履歴表示33の測定結果データを記憶部9から読み出して表示部3に表示させる。測定履歴表示33は、測定項目名、横軸に測定日、縦軸に測定値と仕様値範囲、測定履歴を折れ線グラフで表示する。
図4の表示部3に表示する測定結果一覧31、測定結果詳細表示32、測定履歴表示33は、個別に表示しても良く、また、組み合わせや配置を変更しても良い。
【0017】
図5は、本発明の一実施例である表示部3に測定履歴表示をするためのフローチャートである。
操作者が例えば測定項目5の測定履歴グラフを表示部3に表示させたい場合は、ポインティングデバイス等で測定項目の“5”を選択し、“測定履歴グラフ表示”を押下すると、制御部1は、図5の“開始”から制御を開始し、ステップS1で測定項目の番号nである“5”を取得する。ステップS2で結果を表示する被試験器“A”、機器番号“003”のフォルダ内のファイルを検索する。ステップS3で“X”に数値0を設定する。ステップS4で記憶部9に記憶してあるフォルダ“003”内の全ファイルを検索完了したかを判定し、検索が完了していなければステップS5の処理に進み、検索が完了していればステップS7の処理に進む。ステップS5で“X”に数値1を加算する。ステップS6で測定項目が5番目の測定値を記憶部9から取得(読み出し)し、取得(読み出し)した測定値をDATA(X)とする。ステップS7でDATA(0)〜DATA(X)を表示部3の測定履歴表示33の欄に折れ線で表示して、“終了”で制御を終了する。
【0018】
グラフ表示の際は選択した測定項目の仕様値内に測定値が収まっているかどうかがわかるように仕様値の範囲を色分けして表示することにより、測定の良否がわかるようにすると共に測定日、測定値を表示し、任意の測定項目での測定履歴が視覚的にわかるようにしても良い。
【0019】
図6は、本発明の一実施例である測定装置12の試験内容と機器構成を表示部3に表示した内容を説明するための図である。
【0020】
被試験器41の試験は試験装置12により自動で行われるため、操作者はどのような測定を行った得られた測定値なのか分らないため、図4の“試験内容表示”をポインティングデバイス等で押下することにより、制御部1は表示部3に試験内容と機器構成を表示する。操作者は、表示部3に測定項目名、試験条件、機器構成が表示されるため、試験内容の確認を行うことができる。
【0021】
図6は、被試験器41が無線機の場合の試験内容を表示部3に表示したものである。
図6において、表示部3に表示されている内容は、測定項目名、試験条件、測定装置12の機器構成、測定装置12内の結線およびインタフェース、測定装置12と被試験器41の結線およびインタフェースである。
【0022】
上述の制御部1および操作部2はPC(パーソナルコンピュータ)でも良い。また、記憶部9は制御部1に内蔵されていても良い。
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された測定装置に限定されるものではなく、上記以外の測定装置等に広く適用することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例である測定装置の動作を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の一実施例である測定装置の記憶部に記憶してある試験結果データの階層を説明するための階層表示図である。
【図3】本発明の一実施例の記憶部に記憶してある試験結果ファイルを説明するための図である。
【図4】本発明の一実施例である表示部に表示した試験結果を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施例である表示部に測定履歴表示をするためのフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例である測定装置の試験内容と機器構成を表示部に表示した内容を説明するための図である。
【符号の説明】
【0024】
1:制御部、2:操作部、3:表示部、4−1〜4−N,6:測定部、5:切替部、9:記憶部、11,12:試験装置、41:被試験器、21:試験信号、22:操作信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象の電子機器からの出力信号を測定する測定装置において、
前記電子機器から出力する出力信号を測定する測定手段と、該測定手段で測定した測定値の良否を判定する判定手段と、前記測定手段で測定した測定値と前記判定手段で判定した判定結果を記憶する記憶手段と、前記記憶手段で記憶した測定値と判定結果を表示する表示手段とを備え、
前記表示手段は、前記電子機器の測定値と、判定結果と、前記測定値の履歴を仕様値付きでグラフ表示することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
試験対象の電子機器からの出力信号を測定する測定装置の測定結果を表示する表示方法において、
前記電子機器からの出力信号を測定し、該測定した測定値の良否を判定し、前記測定した測定値と判定した判定結果を記憶し、該記憶した測定値と判定結果と測定値の履歴を仕様値付きでグラフを表示することを特徴とする測定装置の試験結果表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−19695(P2010−19695A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180593(P2008−180593)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】