説明

測定装置および測定方法、並びにプログラム

【課題】より短い測定時間で、より正確な共振周波数を得る。
【解決手段】極値探索部51は、被測定回路12を測定して得られた周波数とインピーダンスとを示す測定点から、極大値または極小値である極値を探索する。算出部52は、周波数を示す第1の軸とインピーダンスを示す第2の軸とが直交する平面上に配置された測定点のうち、極値および極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と極値の周波数より低い周波数の測定点との平面上の位置の関係から共振周波数を算出する。本発明はインピーダンスアナライザに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定装置および測定方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器や素子の開発の現場では、電気回路や素子などの電気的特性を測定する測定装置が用いられている。測定対象となる電気的特性には、周波数毎のインピーダンスや共振周波数などがある。
【0003】
従来、共振周波数と共振周波数におけるインピーダンスは次のように測定される。まず、インピーダンスZおよび位相角θの周波数特性が取得され、得られたZとθの値からR=Zcosθ、G=cosθ/ZによりR(レジスタンス)とG(コンダクタンス)の周波数特性が算出される。次に、算出されたRまたはGに対して、極大となる測定ポイントが検索され、Rが極大となる測定ポイントの周波数が並列共振周波数Frとされる。Gが極大となる測定ポイントが直列共振周波数Frとされる。なお、並列(直列)共振周波数FrとなるときのRまたはGの測定値が測定値Mrとされる。
【0004】
並列(直列)共振周波数Frおよび測定値Mrを基に、ピークコンパレータにより、周波数範囲、測定範囲が設定されて、良否判定される。または、等価回路推定をする場合、測定値Mrから象限周波数、共振の鋭さを算出して各パラメータが推定される。このように、並列(直列)共振周波数Frおよび並列(直列)共振周波数Frにおける測定値Mrは、品質特性の評価において重要な値となっている。
【0005】
測定値を取得する測定ポイント(測定点)の数を多く取るほど、極大(極小)となる測定ポイントが明確になり、並列(直列)共振周波数Frおよび並列(直列)共振周波数Frにおける測定値Mrをより正確に算出することができる。
【0006】
また、圧電共振子の減衰特性を測定する場合、減衰量の変化が急激である周波数の領域の測定の周波数ステップを小さくして測定ポイントを従来より増やす周波数特性測定装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−352162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、測定時間の関係上、多くの周波数で測定値を取得できない場合、共振周波数とそのときの測定値を正確に取得することができないことがある。
【0009】
図7に示されるように、測定値を取得する測定ポイントの数を30とした場合、並列共振周波数が279.48kHzと測定され、レジスタンスが58.96467kΩと測定される。一方、図8に示されるように、測定値を取得する測定ポイントの数を801とした場合、並列共振周波数が282.35kHzと測定され、レジスタンスが61.65642kΩと測定される。
【0010】
しかし、測定ポイントの数を増やせば測定時間が長くなってしまう。一方、測定時間の関係上、多くの周波数で測定値を取得できない場合、測定された並列(直列)共振周波数Frおよび並列(直列)共振周波数Frにおける測定値Mrは、真の値からかけ離れてしまう。
【0011】
そこで、本発明は、上記課題を解決すること、すなわち、より短い測定時間で、より正確な共振周波数を得ることのできる測定装置および測定方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の測定装置の一側面は、測定対象の電気的特性を離散的な測定点により測定する測定装置であって、周波数と測定値とを示す測定点から、極大値または極小値である極値を探索する探索手段と、周波数を示す第1の軸と測定値を示す第2の軸とが直交する平面上に配置された測定点のうち、極値の測定点および極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と極値の周波数より低い周波数の測定点との平面上の位置の関係から共振周波数を算出するか、または極値の測定点および極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と極値の周波数より高い周波数の測定点との平面上の位置の関係から共振周波数を算出する算出手段とを有するものとされている。
【0013】
また、上述の構成に加えて、算出手段が、極値の測定点および極値の周波数の次に高い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に低い周波数の測定点の測定値に対する周波数と極値の周波数の次に低い周波数の測定点の周波数との平均値を共振周波数として算出するか、極値の測定点および極値の周波数の次に低い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に高い周波数の測定点の測定値に対する周波数と極値の周波数の次に高い周波数の測定点の周波数との平均値を共振周波数として算出するものとされている。
【0014】
さらに、上述の構成に加えて、算出手段が、極値の測定点および極値の周波数の次に高い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に低い周波数の測定点の測定値に対する周波数と極値の周波数の次に低い周波数の測定点の周波数との第1の平均値、並びに極値の測定点および極値の周波数の次に低い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に高い周波数の測定点の測定値に対する周波数と極値の周波数の次に高い周波数の測定点の周波数との第2の平均値から、第1の平均値と第2の平均値との平均値を共振周波数として算出するものとされている。
【0015】
さらに、上述の構成に加えて、算出手段が、極値の周波数より高い周波数の測定点であって隣接する測定点を結ぶ第1の直線と極値の周波数より低い周波数の測定点であって隣接する測定点を結ぶ第2の直線との交点で示される周波数を共振周波数として算出するものとされている。
【0016】
また、本発明の測定方法の一側面は、測定対象の電気的特性を離散的な測定点により測定する測定方法であって、周波数と測定値とを示す測定点から、極大値または極小値である極値を探索する探索ステップと、周波数を示す第1の軸と測定値を示す第2の軸とが直交する平面上に配置された測定点のうち、極値の測定点および極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と極値の周波数より低い周波数の測定点との平面上の位置の関係から共振周波数を算出するか、または極値の測定点および極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と極値の周波数より高い周波数の測定点との平面上の位置の関係から共振周波数を算出する算出ステップとを含むものとされている。
【0017】
さらに、本発明のプログラムの一側面は、測定対象の電気的特性を離散的な測定点により測定するコンピュータに、周波数と測定値とを示す測定点から、極大値または極小値である極値を探索する探索ステップと、周波数を示す第1の軸と測定値を示す第2の軸とが直交する平面上に配置された測定点のうち、極値の測定点および極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と極値の周波数より低い周波数の測定点との平面上の位置の関係から共振周波数を算出するか、または極値の測定点および極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と極値の周波数より高い周波数の測定点との平面上の位置の関係から共振周波数を算出する算出ステップとを含む処理を行わせるものとされている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一側面によれば、より短い測定時間で、より正確な共振周波数を得ることのできる測定装置および測定方法、並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】測定装置のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】制御部32の機能の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】共振周波数の算出を説明する図である。
【図4】共振周波数の算出の処理を説明するフローチャートである。
【図5】制御部32の機能の構成の他の例を示すブロック図である。
【図6】コンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【図7】測定の結果を示す図である。
【図8】測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態の測定装置について、図1〜図6を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、測定装置のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。測定装置11は、例えば、インピーダンスアナライザまたはLCRメータなどであり、専用の測定装置とされるか、または各種の機器に組み込まれ、測定の対象である被測定回路12の電気的特性を離散的な測定点により測定する。被測定回路12は、電気回路や素子などである。測定点は、インピーダンスまたは電流値などの測定値と周波数とを示す。以下、測定値としてインピーダンスを例に説明する。
【0022】
測定装置11は、測定部31、制御部32、操作部33、表示部34、および記憶部35からなる。測定部31は、所定の周波数の電圧を被測定回路12に印加するか、所定の周波数の電流を被測定回路12に流すなどして、被測定回路12に接続される端子に流れる電流や端子間の電圧を取得する。制御部32は、専用の集積回路、マイクロコンピュータ、または組み込み型のマイクロプロセッサなどからなり、操作部33からの信号を基に、測定部31、制御部32、表示部34、および記憶部35を制御する。操作部33は、スイッチ、ダイヤル、タッチパネルの入力部などからなり、ユーザによって操作されると、その操作に応じた信号を制御部32に供給する。
【0023】
表示部34は、液晶表示装置または有機EL(electroluminescence)表示装置などからなり、制御部32の指示に応じて、各種の情報を表示する。記憶部35は、半導体メモリやハードディスクドライブなどからなり、制御部32から供給された各種の情報を記憶する。
【0024】
図2は、制御部32の機能の構成の一例を示すブロック図である。すなわち、制御部32は、極値探索部51および算出部52を有する。極値探索部51は、被測定回路12を測定して得られた周波数とインピーダンスとを示す測定点から、極大値または極小値である極値を探索する。算出部52は、周波数を示す第1の軸とインピーダンスを示す第2の軸とが直交する平面上に配置された測定点のうち、極値および極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と極値の周波数より低い周波数の測定点との平面上の位置の関係から共振周波数を算出する。または、算出部52は、極値および極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と極値の周波数より高い周波数の測定点との平面上の位置の関係から共振周波数を算出する。
【0025】
算出部52は、直線算出部71、接点周波数算出部72、中点周波数算出部73、平均算出部74、およびインピーダンス算出部75を有する。
【0026】
直線算出部71は、周波数を示す第1の軸とインピーダンスを示す第2の軸とが直交する平面上に配置された測定点のうち、極値の測定点および極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線を算出する。例えば、直線算出部71は、極値の測定点および極値の周波数の次に高い周波数の測定点を結ぶ直線を算出する。さらに、例えば、直線算出部71は、極値の周波数の次に高い周波数の測定点と、極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点とを結ぶ直線を算出する。
【0027】
または、直線算出部71は、周波数を示す第1の軸とインピーダンスを示す第2の軸とが直交する平面上に配置された測定点のうち、極値の測定点および極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線を算出する。例えば、直線算出部71は、極値の測定点および極値の周波数の次に低い周波数の測定点を結ぶ直線を算出する。さらに、例えば、直線算出部71は、極値の周波数の次に低い周波数の測定点と、極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点とを結ぶ直線を算出する。
【0028】
接点周波数算出部72は、直線算出部71において算出された、極値の測定点および極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数より低い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出する。
【0029】
例えば、接点周波数算出部72は、極値の周波数の次に低い周波数の測定点のインピーダンスが極値の周波数の次に高い周波数の測定点のインピーダンスより大きい場合、極値の測定点および極値の周波数の次に高い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に低い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出する。また、例えば、接点周波数算出部72は、極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点のインピーダンスが極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点のインピーダンスより大きい場合、極値の周波数の次に高い周波数の測定点と、極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点とを結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出する。
【0030】
または、接点周波数算出部72は、直線算出部71において算出された、極値の測定点および極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数より高い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出する。
【0031】
例えば、接点周波数算出部72は、極値の周波数の次に高い周波数の測定点のインピーダンスが極値の周波数の次に低い周波数の測定点のインピーダンスより大きい場合、極値の測定点および極値の周波数の次に低い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に高い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出する。また、例えば、接点周波数算出部72は、極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点のインピーダンスが極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点のインピーダンスより大きい場合、極値の周波数の次に低い周波数の測定点と、極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点とを結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出する。
【0032】
接点周波数算出部72が、極値の測定点および極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数より低い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出した場合、中点周波数算出部73は、接点周波数算出部72において算出された周波数およびそのインピーダンスとで特定される位置と極値の周波数より低いその周波数の測定点とを結ぶ直線の中点の周波数を算出する。すなわち、接点周波数算出部72が、極値の測定点および極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数より低い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出した場合、中点周波数算出部73は、接点周波数算出部72において算出された周波数と極値の周波数より低いその周波数の測定点の周波数との平均値を算出する。
【0033】
例えば、接点周波数算出部72が、極値の測定点および極値の周波数の次に高い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に低い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出した場合、中点周波数算出部73は、接点周波数算出部72において算出された周波数およびそのインピーダンスとで特定される位置と極値の周波数の次に低い周波数の測定点とを結ぶ直線の中点の周波数を算出する。
【0034】
例えば、接点周波数算出部72は、極値の周波数の次に高い周波数の測定点と、極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点とを結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出した場合、中点周波数算出部73は、接点周波数算出部72において算出された周波数およびそのインピーダンスとで特定される位置と極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点とを結ぶ直線の中点の周波数を算出する。
【0035】
接点周波数算出部72が、極値の測定点および極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数より高い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出した場合、中点周波数算出部73は、接点周波数算出部72において算出された周波数およびそのインピーダンスとで特定される位置と極値の周波数より高いその周波数の測定点とを結ぶ直線の中点の周波数を算出する。すなわち、接点周波数算出部72が、極値の測定点および極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数より高い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出した場合、中点周波数算出部73は、接点周波数算出部72において算出された周波数と極値の周波数より高いその周波数の測定点の周波数との平均値を算出する。
【0036】
例えば、接点周波数算出部72が、極値の測定点および極値の周波数の次に低い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に高い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出した場合、中点周波数算出部73は、接点周波数算出部72において算出された周波数およびそのインピーダンスとで特定される位置と極値の周波数の次に高い周波数の測定点とを結ぶ直線の中点の周波数を算出する。例えば、接点周波数算出部72は、極値の周波数の次に低い周波数の測定点と、極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点とを結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数を算出した場合、中点周波数算出部73は、接点周波数算出部72において算出された周波数およびそのインピーダンスとで特定される位置と極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点とを結ぶ直線の中点の周波数を算出する。
【0037】
平均算出部74は、共振周波数として、中点周波数算出部73によって算出された複数の中点の周波数の平均値を算出する。
【0038】
例えば、中点周波数算出部73が、極値の測定点および極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数より高い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数およびそのインピーダンスとで特定される位置と極値の周波数より高いその周波数の測定点とを結ぶ直線の中点の周波数を算出し、極値の測定点および極値の周波数の次に低い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に高い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数およびそのインピーダンスとで特定される位置と極値の周波数の次に高い周波数の測定点とを結ぶ直線の中点の周波数を算出した場合、平均算出部74は、その2つの中点の周波数の平均値を算出する。
【0039】
例えば、中点周波数算出部73が、極値の周波数の次に高い周波数の測定点と、極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点とを結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数およびそのインピーダンスとで特定される位置と極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点とを結ぶ直線の中点の周波数を算出し、極値の周波数の次に低い周波数の測定点と、極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点とを結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点のインピーダンスに対する周波数およびそのインピーダンスとで特定される位置と極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点とを結ぶ直線の中点の周波数を算出した場合、平均算出部74は、その2つの中点の周波数の平均値を算出する。
【0040】
インピーダンス算出部75は、平均算出部74によって算出された共振周波数に対するインピーダンスを算出する。
【0041】
ここで、図3を参照して共振周波数の算出を説明する。図3において縦軸は、測定値(この場合、インピーダンス)を示し、横軸は周波数を示す。図3中の0〜6のそれぞれの番号が付された丸は、測定点を示す。以下、0〜6の番号が付された測定点のそれぞれをそれぞれ測定点0〜測定点6と称する。
【0042】
また、以下、M(N)は、測定点N(Nは0〜6のいずれか)の測定値を示す。また、以下、F(N)は、測定点Nの周波数を示す。
【0043】
図3において、番号0が付された測定点0の測定値は極大値である。番号1が付された測定点1は、極値の周波数の次に低い周波数の測定点である。番号2が付された測定点2は、極値の周波数の次に高い周波数の測定点である。番号3が付された測定点3は、極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点である。番号4が付された測定点4は、極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点である。番号5が付された測定点5は、極値の周波数から3番目に低い周波数の測定点である。番号6が付された測定点6は、極値の周波数から3番目に高い周波数の測定点である。
【0044】
以下、極値の周波数より低い周波数の測定点には、極値から離れるに従って大きくなる奇数の番号を付し、極値の周波数より高い周波数の測定点には、極値から離れるに従って大きくなる偶数の番号を付すものとする。
【0045】
図3に示される例において、測定値M(1)が測定値M(2)より大きいので、測定点0と測定点2を結ぶ直線02が算出される。そして直線02上における周波数であって、測定点1の測定値M(1)に対する周波数(図3中のF’(1))が算出される。言い換えれば、図3において、測定点1を通る水平線(周波数軸に平行の線)と直線02との交点で示される周波数が算出される。
【0046】
さらに、測定点1を通る水平線(周波数軸に平行の線)および直線02の交点と測定点1とを結ぶ直線の中点αが算出され、中点αの周波数が算出される。すなわち、周波数F(1)と周波数F’(1)との平均値が算出される。
【0047】
また、図3に示される例において、測定値M(3)が測定値M(2)以下であり、測定値M(2)が測定値M(1)以下なので、測定点1と測定点3を結ぶ直線13が算出される。そして直線13上における周波数であって、測定点2の測定値M(2)に対する周波数(図3中のF’(2))が算出される。言い換えれば、図3において、測定点2を通る水平線(周波数軸に平行の線)と直線13との交点で示される周波数が算出される。
【0048】
さらに、測定点2を通る水平線(周波数軸に平行の線)および直線13の交点と測定点2とを結ぶ直線の中点βが算出され、中点βの周波数が算出される。すなわち、周波数F(2)と周波数F’(2)との平均値が算出される。
【0049】
そして、共振周波数として、中点αの周波数と中点βの周波数の平均値が算出される。
【0050】
さらにまた、測定点0〜測定点2に加えて、測定点3〜測定点5を参照するようにしてもよい。
【0051】
この場合、図3に示される例において、さらに、測定値M(4)が測定値M(3)以下であり、測定値M(3)が測定値M(2)以下なので、測定点2と測定点4を結ぶ直線24が算出される。そして直線24上における周波数であって、測定点3の測定値M(3)に対する周波数(図3中のF’(3))が算出される。言い換えれば、図3において、測定点3を通る水平線(周波数軸に平行の線)と直線24との交点で示される周波数が算出される。
【0052】
さらに、測定点3を通る水平線(周波数軸に平行の線)および直線24の交点と測定点3とを結ぶ直線の中点γが算出され、中点γの周波数が算出される。すなわち、周波数F(3)と周波数F’(3)との平均値が算出される。
【0053】
また、図3に示される例において、測定値M(5)が測定値M(4)以下であり、測定値M(4)が測定値M(3)以下なので、測定点3と測定点5を結ぶ直線35が算出される。そして直線35上における周波数であって、測定点4の測定値M(4)に対する周波数(図3中のF’(4))が算出される。言い換えれば、図3において、測定点4を通る水平線(周波数軸に平行の線)と直線35との交点で示される周波数が算出される。
【0054】
さらに、測定点4を通る水平線(周波数軸に平行の線)および直線35の交点と測定点4とを結ぶ直線の中点δが算出され、中点δの周波数が算出される。すなわち、周波数F(4)と周波数F’(4)との平均値が算出される。
【0055】
そして、共振周波数として、中点αの周波数、中点βの周波数、中点γの周波数、および中点δの周波数の平均値が算出される。
【0056】
次に、図4のフローチャートを参照して、共振周波数の算出の処理を説明する。ステップS11において、測定部31は、周波数を掃引して被測定回路12の周波数特性を取得する。これにより、被測定回路12の電気的特性として、周波数とインピーダンスとを示す測定点が得られる。ステップS12において、極値探索部51は、取得した測定点の中から極大値(F(0)、M(0))を探索する。なお、極値探索部51は、取得した測定点の中から極小値を探索するようにしてもよい。
【0057】
ステップS13において、算出部52は、処理の繰り返しを制御する変数kに1を設定する。ステップS14において、算出部52は、測定値M(1)が測定値M(2)を超えているか否かを判定する。ステップS14において、測定値M(1)が測定値M(2)を超えていると判定された場合、手続はステップS15に進み、直線算出部71は、測定点0と測定点2からなる(とを結ぶ)直線02の傾きと切片とを算出する。すなわち、直線算出部71は、周波数の軸と測定値の軸とが直交する平面上において、(周波数F(0)、測定値M(0))で定まる測定点0と(周波数F(2)、測定値M(2))で定まる測定点2から直線y=ax+bを算出する。
【0058】
ステップS16において、接点周波数算出部72は、測定値M(1)となる周波数F’(1)を算出する。すなわち、接点周波数算出部72は、ステップS15で求めた直線y=ax+bに測定値M(1)を代入し、x値(F’(1))を算出する。
【0059】
ステップS17において、中点周波数算出部73は、周波数F(1)と周波数F’(1)との中点を求め、その結果を変数Frに代入する。すなわち、中点周波数算出部73は、(F(1)+F’(1))/2から変数Frを求める。
【0060】
ステップS18において、平均算出部74は、予めアベレージありと設定されているか否かを判定する。ステップS18において、アベレージありと設定されている場合、手続はステップS19に進み、平均算出部74は、変数jに−1を設定し、変数nに2を設定し、変数mに1を設定する。ステップS20において、平均算出部74は、アベレージカウントに1を設定し、手続はステップS27に進む。
【0061】
ステップS14において、測定値M(1)が測定値M(2)を超えていないと判定された場合、手続はステップS21に進み、直線算出部71は、測定点0と測定点1からなる(とを結ぶ)直線01の傾きと切片とを算出する。すなわち、直線算出部71は、周波数の軸と測定値の軸とが直交する平面上において、(周波数F(0)、測定値M(0))で定まる測定点0と(周波数F(1)、測定値M(1))で定まる測定点1から直線y=ax+bを算出する。
【0062】
ステップS22において、接点周波数算出部72は、測定値M(2)となる周波数F’(2)を算出する。すなわち、接点周波数算出部72は、ステップS21で求めた直線y=ax+bに測定値M(2)を代入し、x値(F’(2))を算出する。ステップS23において、中点周波数算出部73は、周波数F(2)と周波数F’(2)との中点を求め、その結果を変数Frに代入する。すなわち、中点周波数算出部73は、(F(2)+F’(2))/2から変数Frを求める。
【0063】
ステップS24において、平均算出部74は、予めアベレージありと設定されているか否かを判定する。ステップS24において、アベレージありと設定されている場合、手続はステップS25に進み、平均算出部74は、変数jに1を設定し、変数nに1を設定し、変数mに3を設定する。ステップS26において、平均算出部74は、アベレージカウントに1を設定し、手続はステップS27に進む。
【0064】
ステップS27からステップS40までの手続は、掃引ポイント数またはアベレージカウントについて所定の条件が成り立つまで繰り返される。
【0065】
ステップS28において、平均算出部74は、測定値M(n+j)<=測定値M(n)<=測定値M(n+m)が成り立つか否かを判定する。ステップS28において、測定値M(n+j)<=測定値M(n)<=測定値M(n+m)が成り立つと判定された場合、手続はステップS29に進み、直線算出部71は、測定点(n+j)と測定点(n+m)からなる(とを結ぶ)直線(n+j)(n+m)の傾きと切片とを算出する。
【0066】
ステップS30において、接点周波数算出部72は、測定値M(n)となる周波数F’(n)を算出する。ステップS31において、中点周波数算出部73は、周波数F(n)と周波数F’(n)との中点を求め、その結果を変数Frに加算する。
【0067】
ステップS32において、平均算出部74は、アベレージカウントを1だけインクリメントする。ステップS33において、平均算出部74は、アベレージカウントが設定値に等しいか否かを判定する。ステップS33において、アベレージカウントが設定値に等しくないと判定された場合、手続はステップS34に進み、平均算出部74は、変数kを2だけインクリメントする。
【0068】
ステップS35において、平均算出部74は、測定値M(k)が測定値M(k+1)より大きいか否かを判定する。ステップS35において、測定値M(k)が測定値M(k+1)より大きいと判定された場合、手続はステップS36に進み、平均算出部74は、変数jに−kを設定し、変数nにkを設定し、変数mに2−kを設定する。ステップS36の後、手続はステップS27に戻る。
【0069】
ステップS35において、測定値M(k)が測定値M(k+1)より大きくないと判定された場合、手続はステップS37に進み、平均算出部74は、変数jに−(k+1)を設定し、変数nにk+1を設定し、変数mに−kを設定する。ステップS37の後、手続はステップS27に戻る。
【0070】
ステップS28において、測定値M(n+j)<=測定値M(n)<=測定値M(n+m)が成り立たないと判定された場合、手続はステップS38に進み、平均算出部74は、変数jにmを設定し、変数mを2だけインクリメントする。
【0071】
ステップS39において、平均算出部74は、2n+mの値が掃引ポイント数を超えているか否かを判定し、2n+mの値が掃引ポイント数を超えていないと判定された場合、手続はステップS40に進み、上述した手続が繰り返される。
【0072】
ステップS39において、2n+mの値が掃引ポイント数を超えていると判定された場合、繰り返しのループを外れて、手続はステップS41に進む。
【0073】
また、ステップS33において、アベレージカウントが設定値に等しいと判定された場合、手続はステップS41に進む。
【0074】
ステップS41において、平均算出部74は、変数Frをアベレージ回数で割った結果を変数Frに設定し、手続はステップS42に進む。
【0075】
このように、共振周波数を確定する前にアベレージ処理を行っても良い。すなわち、測定値M(1)>測定値M(2)かつ測定値M(3)<=測定値M(2)<=測定値M(1)である場合、(周波数F(1)、測定値M(1))で定まる測定点1と(周波数F(3)、測定値M(3))で定まる測定点3から直線13が求められ、測定値M(2)となる周波数F’(2)が算出され、平均化される。
【0076】
測定値M(3)<=測定値M(2)<=測定値M(1)の範囲にない場合、測定値M(5)<=測定値M(2)<=測定値M(3)と範囲を変更し、測定値M(2)に該当する、偶数の番号が付された測定点で定まる直線が探索される。最終的に該当する範囲にふくまれなかったらアベレージ処理は終了される。
【0077】
さらにアベレージを求める場合、測定値M(3)と測定値M(4)との大小比較がなされ、測定値M(1)<=測定値M(2)かつ測定値M(4)<=測定値M(1)<=測定値M(2)である場合、(周波数F(2)、測定値M(2))で定まる測定点2と(周波数F(4)、測定値M(4))で定まる測定点4から直線24が求められ、測定値M(1)となる周波数F’(1)が算出され、平均化される。
【0078】
測定値M(4)<=測定値M(1)<=測定値M(2)の範囲にない場合、測定値M(6)<=測定値M(1)<=測定値M(4)と範囲が変更され、測定値M(1)に該当する、偶数の番号が付された測定点で定まる直線が探索される。最終的に該当する範囲にふくまれなかったらアベレージ処理は終了される。
【0079】
さらに、アベレージを行う場合には、測定値M(3)と測定値M(4)との大小比較がなされ、測定値M(3)>測定値M(4)であれば、測定値M(4)<=測定値M(3)<=測定値M(2)から範囲チェックが行われる。測定値M(3)<=測定値M(4)であれば、測定値M(3)<=測定値M(4)<=測定値M(1)から範囲チェックが行われる。
【0080】
ただし、アベレージ回数を増やせば共振周波数の真値に近づくとは限らない。共振周波数から離れるほど、直線の傾きが減少し直線で補間すると誤差が増えるためである。
【0081】
ステップS18において、アベレージありと設定されていない場合、手続はステップS42に進む。ステップS24において、アベレージありと設定されていない場合、手続はステップS42に進む。
【0082】
ステップS42において、インピーダンス算出部75は、測定点0、測定点1、測定点2の3点を通る2次曲線y=ax^2+bx+cを算出し、ガウスジョルダン法により3元連立方程式を解く。ステップS43において、インピーダンス算出部75は、ステップS42の処理で得られた値を変数Frの値としてx値に代入し、共振周波数のインピーダンスMrを算出する。なお2次曲線y=ax^2+bx+cを算出する際に用いる測定点は、測定点0、測定点1、測定点2以外を使用してもよい。
【0083】
仮に、直線01または直線02に共振周波数の値を代入してインピーダンスMrを算出したり、後述するように直線13と直線24との交点をインピーダンスMrとしたりするとその値は高めに出てしまう。これは、|直線02の傾き|<|直線13の傾き|(または|直線02の傾き|<|直線24の傾き|)であったらインピーダンスMrが高くなることになるからである。
【0084】
そこで、測定点0、測定点1、測定点2において2次関数y=ax^2+bx+cを求め、xに変数Frを代入することでインピーダンスMrが算出される。2次関数の解法として、例えば、ガウスジョルダン法を採用することができる。具体的には、式(1)〜式(3)の3元連立方程式が立てられる。
F(0)^2*a+F(0)*b+c=M(0) (1)
F(1)^2*a+F(1)*b+c=M(1) (2)
F(2)^2*a+F(2)*b+c=M(2) (3)
【0085】
式(1)がFr(0)^2で割り算され、式(2)および式(3)のa項を0とするように式(1)にF(1)^2(またはF(2)^2)が乗算され、式(2)および式(3)から減算される。
【0086】
同様に式(2)のb項が1になるように割ってから、式(1)および式(3)のb項が0となるようにある係数を掛けて減算する。cについても同様である。
【0087】
以上のように、極値の測定点および極値の周波数の次に高い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に低い周波数の測定点の測定値に対する周波数と極値の周波数の次に低い周波数の測定点の周波数との平均値を共振周波数として算出するか、極値の測定点および極値の周波数の次に低い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に高い周波数の測定点の測定値に対する周波数と極値の周波数の次に高い周波数の測定点の周波数との平均値を共振周波数として算出するようにしたので、少ない測定点からより正確な共振周波数を求めることができ、より短い測定時間で、より正確な共振周波数を得ることができる。
【0088】
すなわち、2次元曲線の極値の周波数が共振周波数であることから、測定点と、測定点の位置と2次元曲線上の対称の位置にある点(以下、対称点と称する)との中点(すなわち測定点と対称点の周波数の平均値)を共振周波数として算出するようにしたので、単に測定点から求めた2次曲線の極値を共振周波数とする場合に比べ、たとえば、測定していない点(対称点)の周波数を利用している分、共振周波数の精度を向上させることができる。
【0089】
さらに、極値の測定点および極値の周波数の次に高い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に低い周波数の測定点の測定値に対する周波数と極値の周波数の次に低い周波数の測定点の周波数との第1の平均値、並びに極値の測定点および極値の周波数の次に低い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、極値の周波数の次に高い周波数の測定点の測定値に対する周波数と極値の周波数の次に高い周波数の測定点の周波数との第2の平均値から、第1の平均値と第2の平均値との平均値を共振周波数として算出するようにしたので、より正確に共振周波数を求めることができる。
【0090】
すなわち、複数の測定点に求められた、測定点と対称点との中点(すなわち測定点と対称点の周波数の平均値)の平均を求め、それを共振周波数として算出するようにしたので、より正確に共振周波数を求めることができる。
【0091】
例えば、図7に示される30の測定ポイントの結果から、並列共振周波数が282.44kHzと求められ、レジスタンスが60.62787kΩと求められる。
【0092】
なお以上においては、3の測定点を利用した場合を例として説明したが、それ以上の測定点を利用することもできる。
【0093】
なお、直線の交点から共振周波数を算出することもできる。
【0094】
図5は、制御部32の機能の構成の他の例を示すブロック図である。すなわち、制御部32は、極値探索部91および算出部92を有する。極値探索部91は、被測定回路12を測定して得られた周波数とインピーダンスとを示す測定点から、極大値または極小値である極値を探索する。算出部92は、周波数を示す第1の軸とインピーダンスを示す第2の軸とが直交する平面上に配置された測定点のうち、極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と、極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線との平面上の位置の関係から共振周波数を算出する。
【0095】
算出部92は、さらに、直線算出部101、交点周波数算出部102、平均算出部103、およびインピーダンス算出部104を有する。
【0096】
直線算出部101は、周波数を示す第1の軸とインピーダンスを示す第2の軸とが直交する平面上に配置された測定点のうち、極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線を算出する。例えば、直線算出部101は、極値の周波数の次に高い周波数の測定点と、極値の周波数から2番目に高い周波数の測定点とを結ぶ直線を算出する。
【0097】
また、直線算出部101は、周波数を示す第1の軸とインピーダンスを示す第2の軸とが直交する平面上に配置された測定点のうち、極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線を算出する。例えば、直線算出部101は、極値の周波数の次に低い周波数の測定点と、極値の周波数から2番目に低い周波数の測定点とを結ぶ直線を算出する。
【0098】
交点周波数算出部102は、直線算出部101において算出された、極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と、極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線との交点の周波数を算出する。
【0099】
平均算出部103は、共振周波数として、交点周波数算出部102によって算出された複数の交点の周波数の平均値を算出する。
【0100】
インピーダンス算出部104は、平均算出部103によって算出された共振周波数に対するインピーダンスを算出する。
【0101】
図3に示される例において、測定点1および測定点3を結ぶ直線13と測定点2および測定点4を結ぶ直線24の傾きおよび切片が(y=a1*x+b1,y=a2*x+b2)から求められる。直線13と直線24との交点の周波数が(x=(b2-b1)/(a1-a2))から算出される。
【0102】
測定点3および測定点5を結ぶ直線35と測定点4および測定点6を結ぶ直線46の傾きおよび切片が同様に求められる。直線35と直線46との交点の周波数が同様に算出される。
【0103】
そして、共振周波数として、交点の周波数の平均値が算出される。
【0104】
すなわち、直線算出部101は、周波数の軸と測定値の軸とが直交する平面上において、(周波数F(1)、測定値M(1))で定まる測定点1と(周波数F(3)、測定値M(3))で定まる測定点3から直線y=a1*x+b1を算出し、(周波数F(2)、測定値M(2))で定まる測定点2と(周波数F(4)、測定値M(4))で定まる測定点4から直線y=a2*x+b2を算出する。
【0105】
交点周波数算出部102は、a1*x+b1=a2*x+b2から、変数Fr=(b2-b1)/(a1-a2)を求める。
【0106】
アベレージ処理を行う場合、低周波側、高周波側の直線(具体的には、(周波数F(3)、測定値M(3))で定まる測定点3と(周波数F(5)、測定値M(5))で定まる測定点5の直線35、(周波数F(4)、測定値M(4))で定まる測定点4と(周波数F(6)、測定値M(6))で定まる測定点6の直線46)を求め、直線35と直線46との交点が算出される。
【0107】
共振周波数のインピーダンスMrの算出は、上述したものと同様とすることができる。
【0108】
このように、極値の周波数より高い周波数の測定点であって隣接する測定点を結ぶ第1の直線と極値の周波数より低い周波数の測定点であって隣接する測定点を結ぶ第2の直線との交点で示される周波数を共振周波数として算出するようにしたので、少ない測定点からより正確に共振周波数を求めることができ、より短い測定時間で、より正確な共振周波数を得ることができる。
【0109】
直線の交点から共振周波数を算出する場合、例えば、図7に示される30の測定ポイントの結果から、並列共振周波数が282.40kHzと求められ、レジスタンスが60.63479kΩと求められる。
【0110】
以上のように、周波数と測定値とを示す測定点から、極大値または極小値である極値を探索し、周波数を示す第1の軸と測定値を示す第2の軸とが直交する平面上に配置された上記測定点のうち、上記極値の測定点および上記極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と上記極値の周波数より低い周波数の測定点との上記平面上の位置の関係から共振周波数を算出するか、または上記極値の測定点および上記極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と上記極値の周波数より高い周波数の測定点との上記平面上の位置の関係から共振周波数を算出するようにしたので、少ない測定点からより正確に共振周波数を求めることができ、より短い測定時間で、より正確な共振周波数を得ることができる。
【0111】
なお、以上においては、たとえば図3に示したように求めた共振周波数をもとにインピーダンスMrを算出したが、求めた共振周波数の交流信号を測定対象物に印加してインピーダンスMrを測定するようにもできる。
【0112】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0113】
図6は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0114】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read Only Memory)202,RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。
【0115】
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部206、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部207、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部208、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部209、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動するドライブ210が接続されている。
【0116】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0117】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア211に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0118】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208に記憶することで、コンピュータにインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208に記憶することで、コンピュータにインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208にあらかじめ記憶しておくことで、コンピュータにあらかじめインストールしておくことができる。
【0119】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0120】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0121】
11…測定装置、31…測定部、32…制御部、33…操作部、34…表示部、35…記憶部、51…極値探索部、52…算出部、71…直線算出部、72…接点周波数算出部、73…中点周波数算出部、74…平均算出部、75…インピーダンス算出部、91…極値探索部、92…算出部、101…直線算出部、102…交点周波数算出部、103…平均算出部、104…インピーダンス算出部、201…CPU、202…ROM、203…RAM、208…記憶部、211…リムーバブルメディア



【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の電気的特性を離散的な測定点により測定する測定装置において、
周波数と測定値とを示す測定点から、極大値または極小値である極値を探索する探索手段と、
周波数を示す第1の軸と測定値を示す第2の軸とが直交する平面上に配置された上記測定点のうち、上記極値の測定点および上記極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と上記極値の周波数より低い周波数の測定点との上記平面上の位置の関係から共振周波数を算出するか、または上記極値の測定点および上記極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と上記極値の周波数より高い周波数の測定点との上記平面上の位置の関係から共振周波数を算出する算出手段と
を有することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置において、
前記算出手段は、前記極値の測定点および前記極値の周波数の次に高い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって前記極値の周波数の次に低い周波数の測定点の測定値に対する周波数と前記極値の周波数の次に低い周波数の測定点の周波数との平均値を共振周波数として算出するか、前記極値の測定点および前記極値の周波数の次に低い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、前記極値の周波数の次に高い周波数の測定点の測定値に対する周波数と前記極値の周波数の次に高い周波数の測定点の周波数との平均値を共振周波数として算出する
ことを特徴とする測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の測定装置において、
前記算出手段は、前記極値の測定点および前記極値の周波数の次に高い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、前記極値の周波数の次に低い周波数の測定点の測定値に対する周波数と前記極値の周波数の次に低い周波数の測定点の周波数との第1の平均値、並びに前記極値の測定点および前記極値の周波数の次に低い周波数の測定点を結ぶ直線上における周波数であって、前記極値の周波数の次に高い周波数の測定点の測定値に対する周波数と前記極値の周波数の次に高い周波数の測定点の周波数との第2の平均値から、前記第1の平均値と前記第2の平均値との平均値を共振周波数として算出する
ことを特徴とする測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の測定装置において、
前記算出手段は、前記極値の周波数より高い周波数の測定点であって隣接する測定点を結ぶ第1の直線と前記極値の周波数より低い周波数の測定点であって隣接する測定点を結ぶ第2の直線との交点で示される周波数を共振周波数として算出する
ことを特徴とする測定装置。
【請求項5】
測定対象の電気的特性を離散的な測定点により測定する測定方法において、
周波数と測定値とを示す測定点から、極大値または極小値である極値を探索する探索ステップと、
周波数を示す第1の軸と測定値を示す第2の軸とが直交する平面上に配置された上記測定点のうち、上記極値の測定点および上記極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と上記極値の周波数より低い周波数の測定点との上記平面上の位置の関係から共振周波数を算出するか、または上記極値の測定点および上記極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と上記極値の周波数より高い周波数の測定点との上記平面上の位置の関係から共振周波数を算出する算出ステップと
を含むことを特徴とする測定方法。
【請求項6】
測定対象の電気的特性を離散的な測定点により測定するコンピュータに、
周波数と測定値とを示す測定点から、極大値または極小値である極値を探索する探索ステップと、
周波数を示す第1の軸と測定値を示す第2の軸とが直交する平面上に配置された上記測定点のうち、上記極値の測定点および上記極値の周波数より高い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と上記極値の周波数より低い周波数の測定点との上記平面上の位置の関係から共振周波数を算出するか、または上記極値の測定点および上記極値の周波数より低い周波数の測定点であって、隣接する測定点を結ぶ直線と上記極値の周波数より高い周波数の測定点との上記平面上の位置の関係から共振周波数を算出する算出ステップと
を含む処理を行わせるプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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