説明

測定装置および測定方法

【課題】体表面の温度を精度よく測定できる体温計を提供する。
【解決手段】体温計1は人体15に接触する、平面または緩やかに湾曲した下面2aを含むケース2と、下面2aの第1の領域21を介して体表面温度を取得する温度センサー7と、下面2aの第1の領域21を取り囲む第2の領域22を介して、体表面15sと第2の領域22との接触状態を示す情報を取得する電極6aおよび6bとを有する。電極6aおよび6bより第2の領域22と人体15との密着度を求め、第1の領域21と人体15との密着度を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体温などの生体情報を測定する測定装置並びに測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、簡便に基礎体温等を計測可能な身体温度情報端末装置と身体温度情報処理システムが記載されている。特許文献1に記載された身体温度情報端末装置は、そのケーシングの正面側に体表温度検出部を取付けると共に、背面側にクリップを取付ける。また、体表温度検出部はケーシング内に収容された回路基板のコントロールユニットに接続すると共に、このコントロールユニットを接続部に接続する。そして、使用者は就寝前に体表温度検出部を腹部に接触させた状態で身体温度情報端末装置を腹部と下着との間に挟みクリップで固定する。これにより、身体温度情報端末装置は就寝中の開始時刻から終了時刻までの間に亘って一定時間毎に体温を計測し、記憶する。
【0003】
特許文献2には、簡易かつ組立の容易な構成により人体の接触状態を確認することができる電子体温計が記載されている。特許文献2の電子体温計は、使用者の被測定部位に当てられる測温部を先端に備えるプローブ部を有する。この電子体温計は、さらに、該測温部に温度を検出するための温度センサが配置される内部中空の外ケースと、温度センサによって検出されるデータを処理する制御回路が形成された電子回路基板が取り付けられて、外ケースの中空内部に装着される内ケースと、内ケースに固定され、内ケースが外ケースに装着されることによりプローブ部の内側に位置決めされる一対の電極と、を備え、制御回路には、一対の電極間の静電容量を計測し、計測された静電容量の変化に基づいてプローブ部が使用者の被測定部位に適切に接触しているか否かを判定する判定部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−163391号公報
【特許文献2】特開2010−32324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
体温は、人、ペット、家畜などの生体の状態を示す情報の典型的なものであり、主に生体の表面(皮膚)の温度を測定することにより得られる。同様に、生体の表面から得られる情報には、生体インピーダンス、皮膚表面湿度などがある。これらの生体情報を精度よく取得するには、生体情報をセンシングする部分が体表面に密着している必要がある。たとえば、引用文献1の身体温度情報端末装置においては、体表温度検出部がケーシングから突出しており、ケーシングの背面側のクリップで体表温度検出部を腹部などに押し付けて固定し、体表温度検出部を腹部に密着させている。また、引用文献2の電子体温計においては、測温部を先端に備えるプローブ部を脇の下などに挟み込んで測定することによりプローブ部を体表面に密着させている。
【0006】
体に突出部を押し付ける構造であると、測定する際に、ユーザーが違和感や不快感を覚える可能性がある。また、脇の下でプローブを挟み込むような測定方法は、測定する際のユーザーの行動の自由を阻害する可能性がある。したがって、体温などの生体情報を測定する装置であって、違和感や不快感を生じさせることが少なく、また、行動の自由を阻害しにくく、さらに精度のよい装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、生体情報を測定する装置である。この装置は、生体に接触する、平面または緩やかに湾曲した第1の面を含むケースと、第1の面の第1の領域を介して生体の表面の状態を示す第1の情報を取得する第1のセンサーと、第1の面の第1の領域を取り囲む第2の領域を介して、生体の表面と第2の領域との接触状態を含む第2の情報を取得する第2のセンサーとを有する。
【0008】
この装置は、平面または緩やかに湾曲した、共通のあるいは単一の面である第1の面に、生体の表面の状態を測定する第1の領域と、その第1の領域を取り囲む第2の領域であって、生体の表面と第2の領域との接触状態を判断する第2の領域とを設けている。したがって、第2の領域が生体の表面に密着していれば、第2の領域と共通の面であり、周りが第2の領域で囲われた第1の領域は、生体の表面に密着していると考えてもよい。このため、第1の領域の密着度を直に判断しなくても、第2の情報により第2の領域の密着度を判断することにより、第1の領域で得られた第1の情報が、第1の領域が生体に密着しているときの情報か否かを判断できる。
【0009】
このように、この装置では、第1の領域と同じ面(平面または緩やかな湾曲面(第1の面))に設けられた第2の領域を介して得られる第2の情報により第1の領域の密着度を判断できる。このため、生体情報をセンシングする箇所(部分)の密着度を担保するために強い力で、その部分を生体に押し付けたり、その部分を脇の下で挟み込んだりする必要はない。逆に、第2の領域を含んだ比較的広い面を生体の表面に接触させ、第2の情報が接触状態を示すようにするだけでよい。したがって、この装置により、ユーザー(被測定者)に不快感や違和感を生じさせることが少なく、また、測定中の行動の自由を阻害することも少ない状態で、精度よく、体温などの生体情報を取得できる。
【0010】
このように、この装置においては、体にセンサーを押し付けるためにケースから突出した部分や先端が突き出たプローブを設けなくてもよい。したがって、ケースを、少なくとも一方の外面が平面または緩やかに湾曲した薄い箱状または板状にデザインすることが可能であり、第1の面は、ケースの一方の外面の少なくとも一部に設定できる。このため、絆創膏のように生体の表面に貼り付けて生体情報を精度よく取得する装置を提供することも可能となり、長時間の装着も比較的容易で、付けたまま横になっても邪魔になりにくい装置を提供できる。
【0011】
この装置は、第1の情報および第2の情報を有線または無線により外部のホストとなるシステム、たとえば、パーソナルコンピュータに送信するものであってもよい。また、この装置は、第1のセンサーにより得られた第1の情報および/または第2のセンサーにより得られた第2の情報を処理する制御ユニットを有していてもよい。また、典型的な第2のセンサーは、第2の領域に面し、前記第1の領域を取り囲むように配置された複数の電極を含む。制御ユニットは、複数の電極間の静電容量および/または直流インピーダンスを第2の情報として取得する機能を有することが好ましい。静電容量並びに直流インピーダンスにより、第2の領域と生体との接触の状態を把握できる。
【0012】
複数の電極は、第1の領域を取り囲むように配置された円環状の第1の電極と、第1の電極を取り囲むように配置された円環状の第2の電極とを含むことが好ましい。円環状の第1および第2の電極により第1の領域の周囲を連続して覆うことができるので、第1の領域が生体に接触しているか否かの判断の信頼度をさらに向上できる。
【0013】
制御ユニットは、第1の情報と第2の情報とを関連付けて処理する機能を備えていてもよい。関連付けて処理する機能は、第2の情報により第2の領域が生体に接触していると判断されると第1の情報を有効な情報として外部の装置に有線または無線で出力したり、内部のメモリに記録したり、第2の情報により第2の領域が生体に接触していないと判断されると適当な方法によりアラームを出力したり、第1の情報の測定を停止したり、第1の情報の測定にかかるユニットおよび/または第1のセンサーの電力消費を停止したりする機能を含んでいてもよい。
【0014】
外界と生体との境界に位置する生体の表面の情報をセンサー(第1のセンサー)により取得する際に問題となるのは、第1のセンサーに対する外界の影響である。たとえば、第1のセンサーが生体の表面温度を取得する温度センサーの場合、第1のセンサーが外界に露出していると気温(外気温または室温)の影響を受ける。この装置においては、第1のセンサーは第1の面の第1の領域に面して設けられており、第1のセンサーの第1の面と反対側(裏側)を、第1の面の第1の領域の反対側を含めて覆うように断熱材を設け、第1のセンサーのみならず第1の領域に対する気温の影響も抑制できる。断熱材は、第1の面の第2の領域の少なくとも一部の反対側(裏側)を含めて配置してもよく、第1のセンサーによりさらに精度よく生体の表面温度を測定できる。
【0015】
この装置は、生体とは接触しないケースの第2の面の温度を測定する第3のセンサーと、第1の面の第1の領域と第2の面との間に配置された第1の部材とをさらに有し、第3のセンサーは第1の部材を介して第1の面の第1の領域から得られる熱が第2の面から放出されるときのケース外面温度を測定する装置であってもよい。体表面温度、ケース外面温度、第1の部材の熱伝導係数、および仮定された体内の熱伝導係数により体深部の温度を算出できる。算出式の一例は以下の式(1)である。
【0016】
Tc=(Ta−Tb)×(K/J)+Ta・・・(1)
ただし、Taは体表面温度、Tbはケース外面温度、Tcは体深部の温度、Jは第1の部材の熱伝導係数、Kは標準的な人体の熱伝導係数である。この明細書において熱伝導係数とは、熱伝導率を長さで割った係数であり、長さのファクタを除いた係数である。
【0017】
さらに、体深部の温度を算出する機能は、第2の情報として得られた静電容量または直流インピーダンスにより、仮定された体内の熱伝導係数を補正する機能を含んでもよい。第1の領域の密着性の有無を判断する第2の情報も、生体の表面から得られる生体情報の1つであり、第2の情報により体内の熱伝導係数を補正することによりさらに精度の高い体深部の温度が得られる。
【0018】
本発明の他の態様は、少なくとも一部が生体に接触する装置により生体情報を測定する方法である。上記装置は、生体に接触する、平面または緩やかに湾曲した第1の面と、第1の面の第1の領域を介して生体の表面の状態を示す第1の情報を取得する第1のセンサーと、第1の面の第1の領域を取り囲む第2の領域を介して、生体の表面と第2の領域との接触状態を含む第2の情報を取得する第2のセンサーと、第1のセンサーにより得られた第1の情報および/または第2のセンサーにより得られた第2の情報を処理する制御ユニットとを含む。そして、この生体情報を測定する方法は、第1の情報と第2の情報とを関連付けて処理することを含む。
【0019】
関連付けて処理することは、第2の情報により第2の領域が生体に接触していると判断されると第1の情報を出力することを含んでいてもよい。有効な第1の情報に限定して外部の装置に有線または無線で出力できる。関連付けて処理することは、装置の内部メモリに第1および/または第2の情報を記録したり、第2の情報により第2の領域が生体に接触していないと判断されると適当な方法によりアラームを出力したり、第1の情報の測定を停止したり、第1の情報の測定にかかるユニットおよび/または第1のセンサーの電力消費を停止したりすることを含んでいてもよい。
【0020】
また、この方法は、制御ユニットが、第3のセンサーにより第1の部材を介して第1の面の第1の領域から得られる熱が第2の面から放出されるときのケース外面温度を測定することと、体表面温度、ケース外面温度、第1の部材の熱伝導係数、および仮定された体内の熱伝導係数により体深部の温度を算出することとをさらに有し、体深部の温度を算出することは、第2の情報により仮定された体内の熱伝導係数を補正することを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】体温計の概略構成を示す断面図。
【図2】体温計を下側から見た様子を示す底面図。
【図3】体温計のブロック図。
【図4】熱の伝導状態を示す模式図。
【図5】体温計の制御方法を示すフローチャート。
【図6】電極の配置を示す他の例。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に、生体情報として人の体温を測定する装置(体温計)の概略構成を、断面を用いて示している。また、図2に、体温計1を、人と接触する方の側(以降では下側)から見た様子を示している。体温計1は、薄い箱形のケース2と、ケース2の内部に収納されたセンサー類5、7および8とを含む。さらに、体温計1は、体温計1に関する各種の処理を行う制御ユニット10と、処理結果などを示すディスプレイ(たとえば、LCD)14と、主電源であり、配線19により制御ユニット10に接続されているバッテリー13とを含み、これらもケース2に収納されている。
【0023】
ケース2は薄い直方体または板状であり、比較的大きく広がった上下の面(外面)2aおよび2bと、上下の外面2aおよび2bの周囲を構成する側面2cとを備えている。ケース2の一方の外面2a(第1の面、以降では下面2a)は、ほぼ平坦であり、その中央に、仮想線(一点鎖線)で示すように体温を検出する第1の領域21が設けられ、この第1の領域21の外側を取り囲むように、人体15の表面15sとの接触をセンシングする第2の領域22が設けられている(図2参照)。第1の領域21および第2の領域22の境界を示す線は仮想的な線であり、外面2aに表れていなくてもよい。第1の領域21および第2の領域22の境界を示す線は、ユーザーに体温の測定領域等を示すためにケース2の下面2aに適当な方法で示していてもよい。ケース2の下面2aは、第1の領域21が下側に向かって突き出るように緩やかに湾曲した面であってもよい。
【0024】
この体温計1は、ケース2の大きさが、その縦横(下面2aの長さ幅)が数mm角から数cm角程度で、その厚さも数mmから数cm程度である。したがって、下面2aを粘着性にしたり、図1に一点鎖線で示すような、絆創膏などの粘着性のテープ3を用いて人体15の適当な位置に固定する(貼り付ける)ことが可能である。ベルトや包帯などの他の方法により体温計1の下面2aが人体15の表面15sに密着するように取り付けてもよい。
【0025】
体温計1のケース2は、全体が適当な樹脂、たとえば、ABS樹脂、エラストマーなどの非導電性の樹脂により形成されている。したがって、ケース2の下壁29aの外側の面となる下面2aを人体15の表面15sに密着させることにより、下壁29aの内側の面28aに取り付けられた、または下壁29aに埋め込まれたセンサー5および7により、人体15の情報(生体情報)を取得できる。具体的には、ケース2の下壁29aの内面28aには、下面2aの第1の領域21の一部に面する(対峙する)ように温度センサー(本例ではサーミスタ)7が取り付けられており、第1の領域21を介して人体15の表面15sの第1の情報、本例では体表面温度Taを取得するようになっている。温度センサー7は配線17により、制御ユニット10に接続されている。
【0026】
また、ケース2の下壁29aの内面28aには、下面2aの第1の領域21を取り囲む第2の領域22に面する(対峙する)ように環状の電極6aおよび6bが第2のセンサー5として取り付けられている。第2のセンサー5は接触センサーまたは密着センサーとしての機能を備えており、第2の領域22を介して人体15の表面15sと第2の領域22との接触状態を示す情報を含む第2の情報、本例では電極6aおよび6bの間の静電容量SCを取得するようになっている。
【0027】
接触状態を示す情報を含む第2の情報としては、電極6aおよび6bとを用いて、それらの間の直流インピーダンス(電気抵抗、体表面抵抗)を測定することも可能である。ただし、この場合、電極6aおよび6bを体表面15sに直に当てる必要があり、電極6aおよび6bが下面2aに露出するように配置する必要がある。その場合の電極6aおよび6bとしては、ステンレス製の電極、金メッキなどを採用できるが、防水や金属アレルギーなどへの対応が必要となる。
【0028】
本例の体温計1においては、電極6aおよび6bとしては、銅、アルミニウムなどの一般的な素材からなる電極を採用することができ、下壁29aを介して静電容量SCを取得することにより、防水、金属アレルギーなどの問題を未然に防止できる。静電容量SCを測定するこれらの電極6aおよび6bは、下壁29aと一体になるように、ケース2の成形時に埋設してもよく、下壁29aの下面2aに配置して薄い電気絶縁膜で電極6aおよび6bをカバーしてもよい。第2のセンサー5により取得される第2の情報、すなわち、静電容量SCまたは直流インピーダンスは、接触状態を示す情報であるとともに、人体の情報(生体情報)、たとえば、体脂肪率や、体内の熱伝導係数を示す情報としても利用できる。第2のセンサー5は、第2の情報として静電容量SCおよび直流インピーダンスの両方を取得するように設けることも可能である。
【0029】
この体温計1は、平面または緩やかに湾曲した単一の下面2aに、体表面温度Taを測定する第1の領域21を設け、その第1の領域21を取り囲むように、体表面との接触状態を判断する第2の情報、この例では静電容量SCを取得する第2の領域22を設けている。したがって、静電容量SCの値または静電容量SCの変動により第2の領域22が人体表面15sに密着していれば、第2の領域22と共通の面である下面2aの領域であって、周りが第2の領域22で囲われた第1の領域21は人体表面(体表面)15sに密着していると考えられる。このため、第1の領域21の密着度を直に判断しなくても、静電容量SCにより、第1の領域21を介して測定された体表面温度Taが第1の領域21が人体表面15sに密着しているときの温度か否かを判断できる。
【0030】
したがって、体温計1の第1の領域21を人体15に強い力で押し付けたり、体温計1を脇の下で挟み込んだりしなくてもよく、第2の領域22を含んだ比較的広い下面2aを人体表面15aに接触あるいは密着させ、第2の領域22で得られる静電容量SCの値が接触状態を示すようにするだけで、体表面温度Taを精度よく測定できる。このため、この体温計1により、ユーザー(被測定者)に不快感や違和感を生じさせることが少なく、また、測定中の行動の自由を阻害することも少ない状態で、精度よく体温を取得できる。
【0031】
この体温計1は、さらに、外気温を測定する温度センサー8を含む。本例の温度センサー8は、サーミスタであり、ケース2の上面2bに露出するように、または、ケース2の上面2bを構成する上壁29bを通して外気温を検出できるようにケース2に設置されている。温度センサー8は配線18により、制御ユニット10に接続されている。この温度センサー8の下側(裏側)は、熱伝導率が既知の第1の部材9を介して第1の領域21と接続されている。このため、温度センサー8により体表面からの熱を第1の部材9を介して伝達させてケース2の上面2bから放熱させた温度(ケース外面温度)Tbを測定することができる。したがって、このケース外面温度Tbを疑似体表面温度として利用して、体表面温度Taを補間することにより体深部の温度Tcを算出できる。
【0032】
筋肉の熱伝導率が約0.4(W/m/K)、脂肪の熱伝導率が約0.2(W/m/K)とすると、同程度の熱伝導率を備えたポリエチレン(0.41)、エポキシ樹脂(0.21)などの樹脂を第1の部材9として採用できる。
【0033】
この体温計1は、さらに、ケース2の内部に、体表面温度Taを測定する温度センサー7の内側(上側、下面2aとは反対側)を覆うように配置された断熱材25を含む。断熱材25は、温度センサー7の裏側のみならず、温度センサー7を取り囲むように第1の領域21の反対側を少なくともカバーし、さらに第2の領域22の一部にわたるように配置されている。さらに、断熱材25は、第1の部材9の周囲を覆い、ケース外面温度Tbを測定する温度センサー8の内側(下側、上面2bとは反対側)を覆うように設けられている。
【0034】
断熱材25により温度センサー7の内側および第1の領域21の内側、すなわち、体表面15sとは反対側を広く覆うことにより、温度センサー7から外界(体表面15sを除く部分、たとえば、外気およびケース2の内部)への熱伝達(放熱)を抑制できるとともに、下壁29aの第1の領域21の部分から外界への熱伝達を抑制できる。したがって、温度センサーを脇の下で挟み込んで温度センサーからの放熱を抑制するような方式ではなく、下面2aを体表面15sに密着させる方式であっても体表面温度Taを精度よく測定できる。さらに、この体温計1では、第1の領域21の外側の第2の領域22に設けられているセンサー5は薄い電極6aおよび6bであり、これらの電極6aおよび6bを覆うように断熱材25を配置することが可能である。したがって、第1の領域21を覆う、より広い範囲に断熱材25を配置することが可能であり、体表面温度Taを温度センサー7によりさらに精度よく測定できる。
【0035】
また、断熱材25により第1の部材9を覆い、ケース外面温度Tbを測定する温度センサー8をケース外面2bに面した側を除いて覆うことにより、温度センサー8により、第1の領域21から得られる熱が第1の部材9を伝達してケース2の外面2bから放熱されるときの温度Tbをさらに精度よく測定できる。
【0036】
ケース2の外面2bには、さらに、測定された体表面温度Taなどを表示するディスプレイ14と、主電源であるバッテリー13を交換するための蓋13aとが設けられている。したがって、この体温計1は、人体(身体)15に取り付けた状態でユーザーが自由に移動できる。さらに、体温計1を脇の下に挟んだりする必要がなく、身体15のいずれかの表面15sに体温計1を密着させておくだけでよいので、行動の自由が阻害されたり、眠りを阻害されたりすることが少ない。また、測定結果は、ディスプレイ14で確認したり、以下に説明するように、メモリに記憶したり、無線で外部の機器に送信したりすることが可能である。
【0037】
図3に、体温計1の機能の概要をブロック図により示している。この体温計1は、CPU110、メモリ140などの回路要素11とそれらが搭載された基板(回路基板)12とを含む制御ユニット10を有し、種々の機能が制御ユニット10により提供される。制御ユニット10は、温度センサー7および8により温度(温度を示すデータ)を取得する温度測定回路120と、第2の領域22の電極6aおよび6bの間の静電容量SCを測定する容量測定回路130と、無線通信回路150と、データおよびプログラムを格納するメモリ140と、これらの回路を制御するとともに、メモリ140からプログラムをダウンロードすることによりいくつかの機能を実現するCPU110とを含む。CPU110は、温度測定回路120、容量測定回路130、無線通信回路150およびメモリ140との間でデータの入出力(実線で示す)を行う機能(データ入出力機能、データ入出力ユニット)111と、温度測定回路120、容量測定回路130および無線通信回路150を制御(オンオフ制御、破線で示す)する機能(オンオフ制御機能、オンオフ制御ユニット)112とを含む。
【0038】
容量測定回路130は、第2の領域22の電極6aおよび6bの一方に抵抗Rを介して交流電力を供給する発振回路(OSC)131と、抵抗Rの前後の位相差を検出する位相検出回路133と、位相差(位相遅れ)を電圧信号で捉え、さらにその電圧信号をデジタル信号に変換してCPU110に供給するA/Dコンバータ135とを含む。この例では、内側の電極6aに電力が供給され、外側の電極6bは接地されている。
【0039】
発振回路(OSC)131から供給された交流電圧(交流信号、本例では10MHz)は抵抗Rを通って電極6aに入る。電極6aおよび6bはコンデンサCを形成し、電極6bはグランドに接続されている。したがって、交流電圧は電流に対し抵抗RとコンデンサCとにより位相が遅れ、この位相の遅れはコンデンサCの容量が大きくなるほど大きくなる。体表面15sの誘電率が空気より非常に高いので、電極6aおよび6bが体表面15sに接したときのコンデンサCの容量は大きくなり、交流信号の遅れも大きくなる。このため、A/Dコンバータ135により位相の遅れ量φdをデジタル化してCPU110に供給することにより、CPU110は位相の遅れ量φdにより電極6aおよび6bの間の静電容量SCを判断できる。
【0040】
この制御ユニット10は、体表面15sと第2の領域22との接触状態を示す情報を含む第2の情報として位相の遅れ量φdを取得する容量測定回路130を有する。また、CPU110は、オンオフ制御機能112により容量測定回路130の各回路要素131、133および135を所定のタイミングでオンにし、容量測定回路130から得られる遅れ量φdにより電極6aおよび6bの間の静電容量SCを判断するとともに、遅れ量φdが大きいときは第2の領域22が体表面15sと接触(密着)していると判断する機能(接触判断機能、接触判断ユニット)115を含む。
【0041】
CPU110は、さらに、接触判断機能115により得られる情報(第2の情報)と、体表面温度Taとの測定を関連づけて処理するいくつかの機能を含む。1つの機能は、接触判断機能115が第2の領域22が体表面15sと接触していると判断すると、オンオフ制御機能112により温度測定回路120をオンし、温度センサー7および8により体表面温度Taおよびケース外面温度Tbをそれぞれ取得する第1の温度取得機能(第1の温度取得ユニット)116である。この機能116は、体表面温度Taだけを測定するようにセットすることも可能である。この機能116は、さらに、体表面温度Taおよび/またはケース外面温度Tbをメモリ140に測定順に記録したり、測定時刻および/または遅れ量φdとともに記録したりする機能を含む。
【0042】
第1の温度取得機能116は、さらに、体表面温度Taおよび/またはケース外面温度Tbを測定するとともに、オンオフ制御機能112により無線通信回路150をオンし、測定された体表面温度Taおよび/またはケース外面温度Tbを外部機器、たとえば、ホストとなるパーソナルコンピュータに出力する機能を含んでいてもよい。無線通信回路150は、公衆無線LANあるいは公衆電話網によりインターネットと接続し、測定された体表面温度Taおよび/またはケース外面温度Tbをインターネット上に用意された所定のサーバーに格納する機能を含んでいてもよい。
【0043】
第1の温度取得機能116は、接触判断機能115により、第2の領域22の判断を介して第1の領域21が体表面15sに接していると判断されたときにのみ温度測定回路120をオンにして温度を測定し、また、無線通信回路150をオンにしてデータを送受信する。したがって、体温計1の第1の領域21が体表面15sに接していないときは、温度測定および無線通信に要する電力消費を削減でき、バッテリー13の消耗を抑制できる。たとえば、体温計1を人体15から外したときに自動的に温度測定および無線通信を停止させることができる。また、無線通信が停止することにより、体温計1が測定途中で外れてしまうような事態がユーザーに発生したことを外部で自動的に検出することが可能となる。このため、この体温計1により、ユーザーの体温を遠隔監視するだけではなく、ユーザーにおけるなんらかの異常事態を監視(察知)できる。
【0044】
接触判断機能115により得られる遅れ量φd(第2の情報)と、体表面温度Ta(第1の情報)との測定を関連づけて処理する他の機能の1つは、第2の温度取得機能(第2の温度取得ユニット)117である。この機能117は、遅れ量φdとともに、あるいは前後して定期的にオンオフ制御機能112により温度測定回路120をオンし、温度センサー7および8により体表面温度Taおよびケース外面温度Tbをそれぞれ取得する。この機能117は、体表面温度Taだけを測定するようにセットすることも可能である。この機能117は、さらに、測定された体表面温度Taおよび/またはケース外面温度Tbを遅れ量φdとともに、あるいは遅れ量φdと関連付けして記録する機能を含む。測定された体表面温度Taおよび/またはケース外面温度Tbを、接触度合いを示す遅れ量φdとともに記録することにより、適切な温度測定が行われた否かを後に判断することが可能となる。また、この機能117は、無線通信回路150をオンして、測定された体表面温度Taおよび/またはケース外面温度Tbを遅れ量φdとともに外部の機器に送信する機能を含んでいてもよい。
【0045】
CPU110は、さらに、接触判断機能115により得られる遅れ量φd(第2の情報)に基づいて体温計1の第2の領域22が体表面15sに接触していないと判断すると、異常を出力する機能(アラーム機能、アラームユニット)118を含む。アラーム機能118は、無線通信回路150をオンして外部に異常を連絡したり、体温計1のディスプレイ14にアラームを表示したり、体温計1に別途設けられた異常表示用のLEDを点滅したり、ブザーを鳴らしたりする機能を含んでいてもよい。また、アラーム機能118は、温度取得ユニット116および/または117が取得した温度Taおよび/またはTbが所定の温度範囲を超えたときに、上記の方法により異常を通知する機能を含んでいてもよい。また、アラーム機能118は、体温測定を開始した後、温度取得ユニット116および/または117が取得した温度Taおよび/またはTbの急激な変化が終了し、定常測定が開始されたことを適当な方法によりユーザーあるいは外部に連絡する機能を含んでいてもよい。
【0046】
CPU110は、さらに、温度取得ユニット116および/または117が取得した体表面温度Taおよびケース外面温度Tbにより体深部の温度Tcを計算する機能119を含む。この機能119は、体表面温度Taと、ケース外面温度Tbと、人体15の表面近傍の熱伝導係数Kと、第1の部材9の熱伝導係数Jとを用いることにより、フーリエの法則から、以下の式により体深部の温度Tcを計算して求める。熱伝導係数KおよびJは、それぞれの熱伝導率を長さで割ったものである。
Tc=(Ta−Tb)×(K/J)+Ta・・・(1)
【0047】
上述したように、人体15の表面近傍の熱伝導率は、0.2〜0.4(W/m/K)と想定され、適当な熱伝導率と長さとを備えた第1の部材9を採用することにより、熱伝導係数の比率K/Jを1前後の適当な値Lに設定することができる。第1の部材9の熱伝導係数Jは人体の熱伝導係数Kの1〜8倍程度のものであってもよい。
【0048】
体深部の温度を計算する機能119は、さらに、接触判断機能115により得られた遅れ量φdからユーザーの身体15の体脂肪の量(厚さ)を推定し、式(1)の比例定数Lを変える機能を含む。遅れ量φdは、身体15の静電容量を示し、身体15の静電容量は身体15の生体情報の1つでもあり、体脂肪率あるいは脂肪の厚さに関連する値である。たとえば、遅れ量φdにより体脂肪率が高いと判断すると脂肪の方が熱伝導率は低いので比例定数Lを0.95倍にする。遅れ量φdにより体脂肪率が低いと判断すると比例定数Lを1.05倍にする。この機能により、さらに精度よく体深部の温度Tcを計算できる。
【0049】
たとえば、外気温が体深部の温度Tcより低い場合は体表面温度Taより体深部の温度Tcが高く、外気温が体深部の温度Tcより高い場合は体深部の温度Tcより体表面温度Taが高くなる。したがって、体深部の温度Tcは、体表面温度Taを測定するだけでは計算できない。しかしながら、体表面の温度を測定するセンサー7の外側に特定の熱伝導係数Jを備えた被覆材(第1の部材)9を介して温度を測定することにより体深部の温度Tcを測定できる。第1の部材9は空気であってもよい。
【0050】
すなわち、図4に示すように、身体15の深部の熱量221は生体の表面近傍にある脂肪や表皮等222を介して体表面15sに届く。ここに別の第1の部材9があると熱223は第1の部材9を伝わり、その外側にある外気に放熱される。この放熱される温度Tbを測定し、体表面温度Taとの関係から、体深部の温度Tcを計算できる。
【0051】
さらに、体深部の温度Tcを計算する機能119は、薄いシャツなどが間に入った状態においても、体深部の温度Tcを求めることが可能である。体温計1と人体15との間にシャツが挟まることにより、電極間の静電容量が変化するので、予め測定してあるデータを用いて、その状態における熱伝導係数を求めることにより、体深部の温度Tcを類推できる。
【0052】
図5に、体温計1により体表面温度Taおよび体深部の温度Tcを求める方法の一例をフローチャートにより示している。ステップ51において、体温計1により温度(体温)を測定するタイミングになると、ステップ52において、接触判断機能115は容量測定回路130をオンし、電極6aおよび6bの静電容量SCを示す遅れ量φdを取得する。ステップ53において、接触判断機能115は、遅れ量φdより体温計1の第2の領域22が体表面15sに接触(密着)しているか否かを判断し、接触していない場合は、ステップ57においてアラーム機能118が無線通信回路150などを用いてアラームを出力する。
【0053】
一方、第2の領域22が体表面15sに接触している場合は、第1の領域21が体表面15sに接触しているものと判断し、ステップ54において第1の温度取得機能116が温度測定回路120と無線通信回路150とをオンする。そして、第1の温度取得機能116が温度センサー7および8から体表面温度Taおよびケース外面温度Tbを取得する。さらに、ステップ55において、体深部の温度Tcを計算する機能119が、体表面温度Taおよびケース外面温度Tbを用いて式(1)により体深部の温度Tcを計算する。この際、容量測定回路130により得られた遅れ量φdを用いて熱伝導係数を適当な値に補正してもよい。
【0054】
さらに、ステップ56において、第1の温度取得機能116は、測定された体表面温度Ta、体深部の温度Tc、遅れ量φd、測定時刻などのデータをメモリ140に格納したり、無線通信回路150を介して外部の機器に出力する。したがって、この体温計1においては、第2の領域22が体表面15sに接触していると判断されないと温度測定を行わず、また、有効なデータの出力も行われない。このため、無駄な温度測定を省くことにより測定される体表面温度Taなどの精度を高めることができる。また、バッテリー13の消耗を抑制できるので、長時間にわたり体表面温度Taなどを測定できる。したがって、ポータブルな体温計1であって長時間にわたり精度の高いデータを取得できる体温計を提供できる。
【0055】
このように体温計1は、下面2aに体表面15sの温度を測定する第1の領域21を設け、さらに、第1の領域21を囲うように第2の領域22を設け、第2の領域22が体表面15sに接触しているか否かにより第1の領域21の領域が体表面15sに接触しているか否かを判断している。このため、第1の領域21に接触の有無を確認するセンサーを設置する必要がなく、第1の領域21を体表面あるいは体深部の温度測定のために占有でき、第1の領域21を体表面などの温度測定に最適な状態に設計できる。この体温計1においては、温度センサー7を、ケース2の第1の領域21の壁面29aを隔てる程度の距離で体表面15sに近接するように配置し、さらに温度センサー7の背面(裏側)の広い領域を断熱材25により覆うことにより、精度の高い体表面温度Taが得られるようにしている。
【0056】
また、この体温計1においては、第1の領域21および第2の領域22を同一の下面2aに設け、第2の領域22の体表面15sに対する接触の有無により第1の領域21の体表面15sに対する接触の有無を判断している。したがって、体温計1においては、第2の領域22が体表面15sに接触しているとセンサー5により検出できる程度に面2aが体表面15sに密着あるいは接触していればよく、体温計1を強い力で身体15に押し付ける必要はない。このため、ユーザーの体に負担が少なく、手軽に体温を測定できる体温計1を提供できる。
【0057】
また、この体温計1においては、身体にセンサーを押し付けるためにケース2から突出した部分を設けなくてもよく、先端が突き出たプローブを設けなくてもよい。したがって、ケース2を、少なくとも一方の外面が平面または緩やかに湾曲した薄い箱状または板状にデザインすることが可能であり、絆創膏のように生体の表面に貼り付けて生体情報を精度よく取得する装置を提供することも可能となる。長時間の装着も比較的容易で、付けたまま横になっても邪魔になりにくい装置を提供できる。
【0058】
この体温計1においては、第1の領域21を囲う第2の領域22の体表面15sに対する接触の有無を判断するセンサー5として円環状(リング状)の第1の電極6aと第2の電極6bとを同心円状に配置している。円環状の電極6aおよび6bの間の静電容量SCは円環状の電極6aおよび6bのいずれかの体表面15sに対する接触条件により変化する。したがって、円環状の電極6aおよび6bは、第2の領域22の体表面15sに対する接触の有無を捉え、第1の領域21の体表面15sに対する接触を担保するセンサー5として最も適した形態の1つである。
【0059】
なお、図6(a)および(b)に示すように、第2の領域22に対をなす複数の電極6aおよび6bを断続的に配置することにより、第2の領域22と体表面15sとの接触の有無を判断することも可能である。
【0060】
また、上記の例では電極間の静電容量を測定して第2の領域22と体表面15sとの密着性を判断しているが、電極間の直流インピーダンスを測定することにより密着性を判断してもよい。電極間を流れる直流インピーダンスは、電極が体表面15sと接触していると小さな値となり、離れると非常に大きな値となる。また、直流インピーダンスは、体表下の脂肪が多いと大きくなる。したがって、直流インピーダンスを測定することにより、体深部の温度Tcを計算する際の熱伝導係数の補正を適宜行うことが可能である。
【0061】
また、上記では、温度センサーとしてサーミスタを用いた例を説明しているが、温度センサーとして白金測温抵抗体、熱電対、IC化温度センサー等を用いることが可能である。さらに、生体情報として体温(体表面温度)を測定する体温計を例に本発明を説明しているが、心電図、血圧、脈拍、呼吸等の生体情報を測定する装置においても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 体温計
2 ケース、 2a 一方の外面(下面)、 2b 他方の外面(上面)
21 第1の領域、 22 第2の領域
6a、6b 電極
7、8 温度センサー
9 第1の部材
10 制御ユニット
15 人体
120 温度測定回路
130 容量測定回路
140 メモリ
150 無線通信回路



【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を測定する装置であって、
生体に接触する、平面または緩やかに湾曲した第1の面を含むケースと、
前記第1の面の第1の領域を介して前記生体の表面の状態を示す第1の情報を取得する第1のセンサーと、
前記第1の面の前記第1の領域を取り囲む第2の領域を介して、前記生体の表面と前記第2の領域との接触状態を示す情報を含む第2の情報を取得する第2のセンサーとを有する、装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ケースは少なくとも一方の外面が平面または緩やかに湾曲した薄い箱状または板状であり、前記第1の面は前記一方の外面の少なくとも一部である、装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
さらに、前記第1のセンサーにより得られた第1の情報および/または前記第2のセンサーにより得られた第2の情報を処理する制御ユニットを有し、
前記第2のセンサーは前記第2の領域に面し、前記第1の領域を取り囲むように配置された複数の電極を含み、
さらに、前記制御ユニットは、前記複数の電極間の静電容量および/または直流インピーダンスを前記第2の情報として取得する機能を含む、装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記複数の電極は、前記第1の領域を取り囲むように配置された円環状の第1の電極と、前記第1の電極を取り囲むように配置された円環状の第2の電極とを含む、装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記制御ユニットは、前記第1の情報と前記第2の情報とを関連付けて処理する機能をさらに含む、装置。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれかにおいて、
前記第1のセンサーは体表面温度を取得する温度センサーであり、
さらに、前記第1の面の前記第1の領域に面した前記第1のセンサーの前記第1の面と反対側を、前記第1の面の前記第1の領域の反対側を含めて覆う断熱材を有する、装置。
【請求項7】
請求項6において、前記ケースの前記生体とは接触しない第2の面の温度を測定する第3のセンサーと、
前記第1の面の前記第1の領域と前記第2の面との間に配置された第1の部材とをさらに有し、
前記第3のセンサーは前記第1の部材を介して前記第1の面の前記第1の領域から得られる熱が前記第2の面から放出されるときのケース外面温度を測定する、装置。
【請求項8】
請求項7において、前記制御ユニットは、前記体表面温度、前記ケース外面温度、前記第1の部材の熱伝導係数、および仮定された体内の熱伝導係数により体深部の温度を算出する機能を含み、
前記体深部の温度を算出する機能は、前記第2の情報により前記仮定された体内の熱伝導係数を補正する機能を含む、装置。
【請求項9】
少なくとも一部が生体に接触する装置により生体情報を測定する方法であって、
前記装置は、前記生体に接触する、平面または緩やかに湾曲した第1の面と、前記第1の面の第1の領域を介して前記生体の表面の状態を示す第1の情報を取得する第1のセンサーと、前記第1の面の前記第1の領域を取り囲む第2の領域を介して、前記生体の表面と前記第2の領域との接触状態を示す情報を含む第2の情報を取得する第2のセンサーと、前記第1のセンサーにより得られた第1の情報および/または前記第2のセンサーにより得られた第2の情報を処理する制御ユニットとを含み、
当該方法は、
前記制御ユニットが、前記第1の情報と前記第2の情報とを関連付けて処理することを含む、方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記関連付けて処理することは、前記第2の情報により前記第2の領域が前記生体に接触していると判断されると前記第1の情報を出力することを含む、方法。
【請求項11】
請求項9または10において、
前記第1のセンサーは体表面温度を取得する温度センサーであり、
前記装置は、さらに、前記ケースの前記生体とは接触しない第2の面の温度を測定する第3のセンサーと、
前記第1の面の前記第1の領域と前記第2の面との間に配置された第1の部材とを含み、
当該方法は、
前記制御ユニットが、前記第3のセンサーにより前記第1の部材を介して前記第1の面の前記第1の領域から得られる熱が前記第2の面から放出されるときのケース外面温度を測定することと、
前記体表面温度、前記ケース外面温度、前記第1の部材の熱伝導係数、および仮定された体内の熱伝導係数により体深部の温度を算出することとをさらに有し、
前記体深部の温度を算出することは、前記第2の情報により前記仮定された体内の熱伝導係数を補正することを含む、方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−220420(P2012−220420A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88484(P2011−88484)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(594142311)株式会社ティアンドデイ (14)
【Fターム(参考)】