説明

測距センサ及び測距センサ用ガイド装置

【課題】センサの測距媒体を肉眼で確認できるようにして設置作業や調整を容易にする。
【解決手段】測距センサは、測距媒体を対象物に照射し、対象物で反射された測距媒体を検出可能なセンサヘッド部10と、センサヘッド部10で検出した値に基づきセンサヘッド部10の照射面から対象物までの距離を演算可能な、及び/又は対象物の有無を検出可能な演算部とを備える。この測距センサは、センサヘッド部10が、照射する測距媒体の照射方向と略等しい可視光を照射可能な光ガイド部50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の有無や距離・変位を検出、測定可能な測距センサ及び測距センサ用ガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光電センサや近接スイッチ等種々のセンサが開発されている。これらのセンサ類は、光波や音波等を使用して対象物(ワーク)の有無を検出し、これに応じたON/OFF出力が可能で、FA等の幅広い用途で用いられている。光電センサ等のセンサ類は、一般に光波や音波の進行がワークで遮断されることによりワークの有無を検出する構成を採用している。
【0003】
一方、距離の測定が可能な測距センサとしてレーザ光変位センサや静電容量型変位センサ、渦電流型変位センサ等が開発されている。このような変位測定の可能な測距センサとして、例えば測距媒体として光でなく超音波を使用する超音波センサは、図1に示すようにセンサヘッド部10内部に備えられた超音波送信器から対象物(ワーク)Wに向けて超音波を照射し、反射された超音波を超音波受信器で受信すると共に受信までの所要時間を測定し、これに基づいてセンサヘッド部10とワークWとの距離を検出する。すなわち、超音波の進行速度(音速)と所要時間とを乗算することで、センサヘッド部10の超音波の照射面からワークの反射面までの距離が演算できる。
【特許文献1】特開2003−218679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような測距センサは、測距媒体として音波、超音波、赤外線、紫外線、レーザ光線並びに渦電流を利用したものがあるが、これらは一般的に測距媒体が不可視となっている。このため、センサヘッド部から出射された測距媒体が、ワークや背景のどの位置に照射されているのか、肉眼で確認することは困難である。このことは、センサヘッド部の設置や角度調整作業を困難にしており、ユーザはセンサを配線して実際に動作させ、出力状態を確認しながら設置位置を調整するしかなかった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、センサの測距媒体を肉眼で確認できるようにして設置作業や調整を容易にした測距センサ及び測距センサ用ガイド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る測距センサは、測距媒体を対象物に照射し、対象物で反射された測距媒体を検出可能なセンサヘッド部と、センサヘッド部で検出した値に基づきセンサヘッド部の照射面から対象物までの距離を演算可能な、及び/又は対象物の有無を検出可能な演算部とを備える。この測距センサは、センサヘッド部が、照射する測距媒体の照射方向と略等しい可視光を照射可能な光ガイド部を備える。この構成によって、測距媒体の照射位置が光ガイド部からの可視光によって照射されるため、測距媒体の照射位置を目で確認できるようになり、センサヘッド部の設置や角度調整作業を容易に行うことが可能となる。
【0007】
また本発明の第2の側面に係る測距センサは、光ガイド部が、センサヘッド部の測距媒体の照射面の近傍に脱着可能に装着されている。この構成により、光ガイド部のメンテナンスや交換を容易にすると共に、既存の測距センサに光ガイド部を装着することも可能で、既存の設備を生かしつつ照射位置の視認機能を容易に付加できる。またセンサヘッド部の設置後に光ガイド部を外すことで測距センサの小型化、省スペース化にも寄与できる。
【0008】
さらに本発明の第3の側面に係る測距センサは、センサヘッド部が略円筒状の外形を有しており、光ガイド部が、センサヘッド部の略円筒状外形を挿入できる挿入口を開口した円環状に形成されている。これにより、光ガイド部をセンサヘッド部先端に挿入して容易に装着できる。
【0009】
さらにまた本発明の第4の側面に係る測距センサは、光ガイド部が照射する光の照射範囲が、センサヘッド部から照射される超音波の照射範囲と略等しいか、これよりも狭い。この構成によって、ワークが超音波の照射範囲内に含まれるかどうかの判定が容易に行える。またマージンを考慮して超音波の照射範囲よりも若干狭い範囲を光の照射範囲とすることで、確実に超音波の有効照射範囲にワークを配置して検出の精度を高めることができる。
【0010】
さらにまた本発明の第5の側面に係る測距センサは、光ガイド部が可視光を照射する光源として発光ダイオードを有している。発光ダイオードは指向性が高いので照射位置のポインタとして好適であり、しかも低消費電力で衝撃や振動に強く球切れの心配もなく、寿命も長いので、信頼性高く安定して長期にわたって使用できる利点がある。
【0011】
さらにまた本発明の第6の側面に係る測距センサは、演算部が、センサヘッド部で照射された測距媒体が検出されるまでに要した時間と、測距媒体の進行速度とに基づいてセンサヘッド部の照射面から対象物までの距離を演算可能である。
【0012】
さらにまた本発明の第7の側面に係る測距センサは、測距媒体が不可視である。
【0013】
さらにまた本発明の第8の側面に係る測距センサは、測距媒体が超音波である。これにより、光電センサ等と比して測定対象物に対する安定性の高い検出が可能となる。
【0014】
また本発明の第9の側面に係る測距センサ用ガイド装置は、測距媒体を対象物に照射し、対象物で反射された測距媒体を検出可能なセンサヘッド部と、センサヘッド部で検出した値に基づきセンサヘッド部の照射面から対象物までの距離を演算可能な、及び/又は対象物の有無を検出可能な演算部とを備える測距センサに装着可能な光ガイド部である。この測距センサ用ガイド装置は、センサヘッド部が照射する測距媒体の照射方向と略等しい可視光を照射可能な光源と、測距センサに脱着可能に装着するための着脱機構とを備える。この構成によって、測距媒体の照射位置が光ガイド部からの可視光によって照射されるため、測距媒体の照射位置を目で確認できるようになり、センサヘッド部の設置や角度調整作業を容易に行うことが可能となる。また光ガイド部のメンテナンスや交換を容易にすると共に、既存の測距センサに光ガイド部を装着することも可能で、既存の設備を生かしつつ照射位置の視認機能を容易に付加できる。さらにセンサヘッド部の設置後に光ガイド部を外すことで測距センサの小型化、省スペース化にも寄与できる。
【0015】
さらに本発明の第10の側面に係る測距センサ用ガイド装置は、着脱機構として、センサヘッド部の固定用に、円筒状の外周に形成されたネジ溝を利用し、光ガイド部はセンサヘッド部の円筒部分を挿入できる挿入口を開口し、かつ挿入口の内壁に、センサヘッド部に形成されたネジ溝と合致する形状のネジ溝を形成しており、これらネジ溝の螺合によりセンサヘッド部に光ガイド部を着脱可能に構成している。この構成により、センサヘッド部の固定用等の目的で外周に切られたネジ溝を利用し、このネジ溝と合致するネジ溝を着脱機構として光ガイド部に形成し、光ガイド部の固定に利用できる。
【0016】
さらにまた本発明の第11の側面に係る測距センサ用ガイド装置は、光源が発光ダイオードである。発光ダイオードは指向性が高いので照射位置のポインタとして好適であり、しかも低消費電力で衝撃や振動に強く球切れの心配もなく、寿命も長いので、信頼性高く安定して長期にわたって使用できる利点がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の測距センサ及び測距センサ用ガイド装置によれば、自動で適切な閾値を設定することができ、面倒な測定や設定作業を大幅に省力化して使い易くできる。特に設定された閾値は、表示値が閾値を超える場合に出力ONとなって対象物が検出され、閾値を超えない場合は出力OFFとなって対象物が検出されないという一般的なセンサの動作と合致させることができるので、ユーザはその動作を容易に理解でき、設計を行い易いという利点も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための測距センサ及び測距センサ用ガイド装置を例示するものであって、本発明は測距センサ及び測距センサ用ガイド装置を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0019】
本発明の実施例において使用される測距センサとこれに接続される操作、制御、表示、その他の処理等のためのコンピュータ、プリンタ、外部記憶装置その他の周辺機器との接続は、例えばIEEE1394、RS−232xやRS−422、USB等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE−T、100BASE−TX、1000BASE−T等のネットワークを介して電気的、あるいは磁気的、光学的に接続して通信を行う。接続は有線を使った物理的な接続に限られず、IEEE802.1x、OFDM方式等の無線LANやBluetooth等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続等でもよい。さらにデータの交換や設定の保存等を行うための記録媒体には、メモリカードや磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が利用できる。なお本明細書において測距センサとは、測距センサのみならず、これにコンピュータ、外部記憶装置等の周辺機器を組み合わせた測距センサシステムも含む意味で使用する。
[第1の実施の形態]
【0020】
以下、図2から図3を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る測距センサとして、測距手段に反射型の超音波センサを使用した例について説明する。これらの図において、図2は超音波センサ100の外観を示す斜視図を、図3はセンサヘッド部10とアンプ部20を構成するブロック図を、それぞれ示している。
(センサヘッド部10)
【0021】
超音波センサ100は、図3に示すように超音波をワークWに照射するセンサヘッド部10と、センサヘッド部10を制御するアンプ部20とを備える。センサヘッド部10は、測距媒体として超音波をワークWに照射するための送信部及びワークWで反射された超音波を受信するための受信部として、送受信素子13を備えている。図3に示す超音波センサ100では、送受信素子13として一の超音波振動子を送信と受信に兼用している。この例では、一の振動子を送信と受信を時分割して交互に使用する。この構成によってセンサヘッド部を小型化し、省スペース化を図ることができる。ただ、送信素子として送波用超音波振動子、受信素子として受波用超音波振動子を個別に用意してもよい。送受信素子は、これを駆動して超音波を発生、送信するための送信回路14、およびワークWで反射され送受信素子で受信された超音波の信号を電気信号に変換する受信回路15とを接続している。
(アンプ部20)
【0022】
さらにアンプ部20は、ユーザがあるタイミングにてゼロとしたいゼロシフト信号やバンク切替信号を入力し、演算部24に出力する入力部22、送受信素子13で超音波を送信するタイミングを送信回路14に出力し、送信回路14からの送信タイミングにて送受信素子13で送信した超音波を同じく送受信素子13で受信し、受信回路15を介して受信信号として入力すると共に、送信開始したタイミングから送受信素子13で受信したタイミングまでの所要時間を計時し、この時間と超音波の速度とを積算して距離を演算する演算部24、ユーザが各種の設定を行うための設定部26、設定部26の設定内容の確認や測定された距離を表示するための表示部30、およびON/OFF信号などの出力信号を外部に出力するための出力部28を備える。演算部24は、入力部22から受けたタイミングをカウンタなどによりカウントして時間を計測する。また出力部28は、表示値と設定部26で設定された閾値とを比較してON/OFF信号を出力する。例えばON時に一定電圧を出力し、OFF時に出力を0とするデジタル出力とする。以下の例では、出力部28は出力端子として出力1,出力2の独立した2系統を備えると共に、後述するように用途に応じて機能を選択可能な入出力端子を備えている。
(表示部30)
【0023】
また図2の斜視図に示すように、センサヘッド部10とアンプ部20とはケーブル部16により電気的に接続されている。アンプ部20は、正面に表示部30と設定部26を設けている。図2の例では、表示部30は第1表示領域32と第2表示領域34を備えており、各々7セグメント表示が採用される。表示領域を複数設けることで、第1表示領域32に測定値、第2表示領域34に閾値を各々表示させる等一画面で各値を確認でき、一目で現在の状態をユーザに表示できる判りやすいインターフェースを実現できる。第1表示領域32の左側には出力表示部36を備える。出力表示部36は出力部28の出力状態を表示する。図2の例では、出力1(OUT1),出力2(OUT2)それぞれの出力表示部36として、LEDインジケータを備える。また第2表示領域34の左側にはチャンネルインジケータ38、右側にはサブインジケータ39を備える。チャンネルインジケータ38は、例えば第2表示領域34に2つの閾値に相当するチャンネル1,2のいずれが表示されているかを示す。またサブインジケータ39は警告表示灯として機能する。
(設定部26)
【0024】
設定部26は、閾値や基準値あるいは基準位置、正負方向等各種の設定をユーザが行うための入力部材である。図2に示す設定部は入力部材として、表示値の表示を行う表示モードと設定を行う設定モードとを切替可能なモード切替部27と、設定値を指定する増減部42と、および指定を決定するための決定部44を備えている。ここではモード切替部27としてモードボタン、増減部42として上下ボタン、決定部44としてセットボタンを備えている。入力部材にはボタンやスイッチ、ダイヤル、キーボード、タッチパネル、マウス、スライドパッド等が利用できる。なおこれらの表示部や設定部のレイアウトやデザインは一例であり、適宜変更できることは言うまでもない。例えば表示部と設定部をタッチパネル式で一体としたり、設定部をリモコンやコンソール等別体に構成してもよい。また表示部は液晶表示とすることもできる。また、上記の例ではセンサヘッド部とアンプ部を個別に構成したが、これらを一体とした構造を採用することもできることはいうまでもない。
(光ガイド部50)
【0025】
上記の超音波センサでは、測距媒体である超音波が不可視であるため、超音波をワークや壁面、コンベア等の背景に照射しても、その照射位置を肉眼で確認することができない。このため、センサヘッド部の設置時における位置決めや角度調整は従来非常に面倒であった。超音波が意図通りの位置に照射されていることを確認するには、実際にセンサを配線して動作させ、実際にワークを流した状態でセンサの出力を確認しなければならない。センサヘッド部とアンプ部が分離している構造では、センサヘッド部の設置を行いながらアンプ部の表示を確認できないこともあるため、さらに面倒となる。そこで、センサヘッド部からどの位置に超音波が照射されているかを視認できるように、本実施の形態では光ガイド部を設け、図4に示すように超音波Uの照射方向とほぼ一致させるように光Lを照射することで、超音波の照射位置Xを目で判別できるようにした。さらに、光Lが照射されて形成される領域を、超音波の照射範囲と一致させることで、ワークが照射範囲内に有効に含まれるかどうかの確認が容易に行える。特に、超音波で確実にワークを検出できる有効範囲を少なくとも光の照射範囲とすることにより、光の照射範囲と超音波の照射範囲を完全に一致させなくとも有効に機能させることができる。いいかえると、超音波の照射範囲より光の照射範囲を若干狭くしても、有効範囲を確実にユーザに明示することができる。
【0026】
以下、光ガイド部を図5〜図11に基づいて説明する。これらの図において、図5は光ガイド部の外形の斜視図、図6はその内部を示す斜視図、図7及び図8はセンサヘッド部に光ガイド部を装着した斜視図、図9及び図10はセンサヘッド部と光ガイド部を分離した状態の斜視図、図11はセンサヘッド部と光ガイド部の分解斜視図を、それぞれ示している。これらの図に示すように、光ガイド部50は外形をほぼ円盤型として中央に挿入口62を開口している。光ガイド部50の本体ケース52は上下ケース52A、52Bに二分割され、ネジ53で3カ所を固定される。本体ケース52はプラスチックや金属等で成型される。本体ケース52を半透明とすれば、内部を視認できるので、断線等を外部から確認できる利点が得られる。本体ケース52内部には、図6に示すように、光を照射するための光源54と、光源54をON/OFFさせるためのスイッチ56と、光源54とスイッチ56を電気接続する回路基板58と、光源駆動用の電源60とを備える。
(光源54)
【0027】
光源54は、超音波照射位置を視認できるように、指向性の高い発光素子が望ましい。好適には、発光ダイオードやレーザダイオードが使用できる。これらは半導体発光素子であり、衝撃や振動に強く球切れの心配もなく、寿命も長いので信頼性高く長期にわたって安定して使用できる。特に発光ダイオードは低消費電力で安価であり、指向性が高いので照射位置のポインタとして好適である。
【0028】
図の例では光源54として1個の発光ダイオードを使用してるが、複数個の光源を使用することもできる。図12に、様々な光源の配置パターンの例を示している。図12(a)は1個の光源54Aを配置した光ガイド部50A、(b)は2個の光源54Bを円環のほぼ対象位置に配置した光ガイド部50B、(c)は円環に沿って十字状に4個の光源54Cを配置した光ガイド部50Cの例をそれぞれ示す。このように複数の光源を使用することで光量を増し、より視認性を高めることができる。また光源の個数は、3個あるいは5個以上とすることもでき、さらに1カ所に複数の光源を隣接して配置することもできる。さらに光源の照射パターンは点状とする他、円形状や円環状等の所定のパターンとすることもできる。特に、光源の指向性と照射角度を調整して、光源による照射パターンが超音波の有効照射範囲と一致するように調整される。このため、光源の配置パターンを調整してもよい。図12(d)に、円環状の面状光源54Dを配置した光ガイド部50Dの例を示す。この例に限らず、点状光源を円環状に複数配置することもできる。また光源の発光色も赤色、青色、緑色、白色等任意の色を利用できる。複数のセンサヘッド部に対して、それぞれ個別に光ガイド部を装着して照射位置を確認する場合には、各光ガイド部の発光色を変えることにより、どのセンサヘッド部の照射位置であるかを容易に区別できる。このような場合に便利に使用できるよう、発光色を変更可能な光源を利用することもできる。例えば赤、青、緑等複数色のLEDチップを組み込むことで、点灯するLEDを切り替えて発光色を変化できる。
(電源60)
【0029】
図6に示す光ガイド部50は、光源駆動用の電源60として電池を内蔵している。電源60を内蔵式とすることで、外部に電源線を引き出して接続する手間を省き、使い易くできる。特に一の光ガイド部を複数のセンサヘッド部に付け替えて利用する場合には、好適に利用できる。電池は、好ましくはボタン電池とする。これにより電池によるサイズの大型化を抑え、光ガイド部を小型軽量に維持できる。電池は光源54の種類や個数によって決定される必要な駆動電流、電圧に応じて用意される。図6の例では4個のボタン電池を直列に接続して使用している。また並列接続を組み合わせて長時間使用に対応させることもできる。ボタン電池は円環に沿って配置され、リード板で配線されて回路基板58と接続されている。回路基板58は、光源54の駆動回路を構成し、光源54およびスイッチ56と接続されている。
【0030】
図5に示す光ガイド部50は、外形を円環状として、内部に挿入口62を形成している。挿入口62は、円筒状のセンサヘッド部10を挿入できる大きさに形成されている。さらに挿入口62の内壁64には、ネジ溝が切られている。一般にセンサヘッド部は固定用のネジ溝11を外周に形成している。図13に、センサヘッド部10を取付金具Tに固定する一例を示す。この図に示すように、センサヘッド部10は外部の取付金具Tと固定するためのネジ溝11を形成している。したがってこの固定用のネジ溝11を利用して、光ガイド部50の着脱機構に併用できる。すなわち、センサヘッド部10が備える既存のネジ溝11とネジのサイズを一致させるように、光ガイド部50の内壁64にネジ溝を形成する。これにより、センサヘッド部10側に光ガイド部50と着脱するための新たな構成を追加することなく、光ガイド部50側の構成のみで容易に着脱でき、既存の構成を利用した安価かつ簡便な着脱を実現できる。この構成の光ガイド部50は、図7〜図10に示すように、挿入口62にセンサヘッド部10を挿入し、円環状の光ガイド部50を回転させて容易に螺合できる。外部を円環状に形成された光ガイド部50は、道具類を使用することなく容易に回転させて螺合でき、光ガイド部50の着脱作業を簡単に行える。これによって光ガイド部50をセンサヘッド部10に確実に固定できる。ただ、着脱機構はこのようなネジ式によらず、万力式に側面を狭持あるいは押圧する構成や、ピンによる係止等、既存の着脱可能な機構を適宜利用することもできる。
(スイッチ56)
【0031】
円環状の外形は一部分を平坦面としており、転がりを防止している。またこの平坦面に光源54のスイッチ56を配置している。スイッチ56は一回押すと光源54がONし、もう一回押すと光源54がOFFするようにできる。また本実施の形態では、スイッチ56を押すと数秒間光源54がONし、超音波の照射位置がポイントで示され、数秒間経過すると、自動的にOFFとなる。この構成により、照射位置を十分に確認でき、また光源54をOFFする手間を省き電池の節約にもなる。ただ、このようなタイマを設けず、スイッチのみで光源をON/OFFするよう構成してもよい。
【0032】
光ガイド部50は、センサヘッド部10に組み込むこともできるが、好ましくは外付けとする。これにより、既存のセンサに光ガイド部50からなる測距センサ用ガイド装置を付加して、超音波の照射位置の視認機能を実現できる。さらに好ましくは、光ガイド部50を光センサ部と着脱可能とする。これによって、センサの設営時に光ガイド部をセンサヘッド部に装着し、不要やメンテナンス時は光ガイド部を取り外すことができ、作業性が向上すると共にセンサヘッド部の小型化の妨げにもならない。
【0033】
以上のように光ガイド部を付加することで超音波の照射位置を視認できるようになるため、設置作業や調整作業は飛躍的に楽になる。なお、上記では測距センサとして超音波センサの例を説明したが、本発明はセンサの媒体を視認できるようにして設置作業を簡略化することが目的であるから、超音波センサに限らず、その他の音波を用いたセンサ並びに赤外線、紫外線、レーザ光線及び渦電流等の基本的に不可視な測距媒体を用いたセンサに適用できることは無論のこと、可視な測距媒体、例えば光電センサ等の測距センサでも、その視認性が劣る測距媒体やセンサの使用環境において、より以上の視認性が求められる環境において使用されるセンサに適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の測距センサ及び測距センサ用ガイド装置は、FA等の分野で所定距離だけ離れた検出位置に検出対象物が存在するかどうかを検出する用途等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】センサが距離を測定した測定値を表示する例を説明する説明図である。
【図2】超音波センサの外観を示す斜視図である。
【図3】超音波センサを構成するセンサヘッド部とアンプ部を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る測距センサを示す概略図である。
【図5】図4の光ガイド部の外形を示す斜視図である。
【図6】図5の光ガイド部の内部を示す斜視図である。
【図7】センサヘッド部に光ガイド部を装着した状態を上方から見た斜視図である。
【図8】図7のセンサヘッド部を下方から見た斜視図である。
【図9】図7のセンサヘッド部と光ガイド部を分離した状態を上方から見た斜視図である。
【図10】図9のセンサヘッド部と光ガイド部を分離した状態を下方から見た斜視図である。
【図11】図5の光ガイド部を示す分解斜視図である。
【図12】光源の配置パターンの例を示す底面図である。
【図13】センサヘッド部を取付金具に固定した状態の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
100…超音波センサ;10…センサヘッド部;11…ネジ溝
13…送受信素子;14…送信回路;15…受信回路
16…ケーブル部;20…アンプ部;22…入力部
24…演算部;25…出力パターン変更部;26…設定部;27…モード切替部
28…出力部;30…表示部;32…第1表示領域;34…第2表示領域
36…出力表示部;38…チャンネルインジケータ;39…サブインジケータ
42…増減部;44…決定部
50、50A、50B、50C、50D…光ガイド部
52…本体ケース;52A…上ケース;52B…下ケース;53…ネジ
54、54A、54B、54C、54D…光源
56…スイッチ;58…回路基板;60…電源
62…挿入口;64…内壁
W…ワーク;U…超音波;L…光;X…超音波の照射位置;T…取付金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距媒体を対象物に照射し、対象物で反射された測距媒体を検出可能なセンサヘッド部と、
前記センサヘッド部で検出した値に基づき前記センサヘッド部の照射面から対象物までの距離を演算可能な、及び/又は対象物の有無を検出可能な演算部と、
を備える測距センサであって、
前記センサヘッド部が、照射する測距媒体の照射方向と略等しい可視光を照射可能な光ガイド部を備えることを特徴とする測距センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の測距センサであって、
前記光ガイド部が、前記センサヘッド部の測距媒体の照射面の近傍に脱着可能に装着されてなることを特徴とする測距センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の測距センサであって、
前記センサヘッド部が略円筒状の外形を有しており、
前記光ガイド部が、前記センサヘッド部の略円筒状外形を挿入できる挿入口を開口した円環状に形成されてなることを特徴とする測距センサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の測距センサであって、
前記光ガイド部が照射する光の照射範囲が、前記センサヘッド部から照射される超音波の照射範囲と略等しいか、これよりも狭いことを特徴とする測距センサ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の測距センサであって、
前記光ガイド部が可視光を照射する光源として発光ダイオードを有していることを特徴とする測距センサ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の測距センサであって、
前記演算部が、前記センサヘッド部で照射された測距媒体が検出されるまでに要した時間と、測距媒体の進行速度とに基づいて前記センサヘッド部の照射面から対象物までの距離を演算可能であることを特徴とする測距センサ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の測距センサであって、
前記測距媒体が不可視であることを特徴とする測距センサ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の測距センサであって、
前記測距媒体が超音波であることを特徴とする測距センサ。
【請求項9】
測距媒体を対象物に照射し、対象物で反射された測距媒体を検出可能なセンサヘッド部と、
前記センサヘッド部で検出した値に基づき前記センサヘッド部の照射面から対象物までの距離を演算可能な、及び/又は対象物の有無を検出可能な演算部と、
を備える測距センサに装着可能な光ガイド部であって、
前記センサヘッド部が照射する測距媒体の照射方向と略等しい可視光を照射可能な光源と、
前記測距センサに脱着可能に装着するための着脱機構と、
を備えることを特徴とする測距センサ用ガイド装置。
【請求項10】
請求項9に記載の測距センサ用ガイド装置であって、
前記着脱機構として、前記センサヘッド部の固定用に、円筒状の外周に形成されたネジ溝を利用し、光ガイド部は前記センサヘッド部の円筒部分を挿入できる挿入口を開口し、かつ前記挿入口の内壁に、前記センサヘッド部に形成されたネジ溝と合致する形状のネジ溝を形成しており、これらネジ溝の螺合によりセンサヘッド部に光ガイド部を着脱可能に構成してなることを特徴とする測距センサ用ガイド装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の測距センサ用ガイド装置であって、
前記光源が発光ダイオードであることを特徴とする測距センサ用ガイド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−78372(P2006−78372A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263509(P2004−263509)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.USB
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】