測長用標準部材およびその作製方法、並びにそれを用いた電子ビーム測長装置
【課題】
より微細な基準寸法を有する測長用標準部材およびその作製方法を含む電子ビーム測長技術を提供する。
【解決手段】
光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列(1)よりなるパターンを配置した半導体部材を有し、かつ、前記パターンは、前記第1の回折格子の配列(1)内の一部に、前記第1の回折格子とは異なる第2の回折格子の配列(2)を所定の周期で内在させた構成を有する。前記第1の回折格子および前記第2の回折格子は、それぞれ所定の長さと幅を有し、それぞれ所定の間隔で周期的に配列されており、かつ、前記パターンの周辺部に前記パターンの位置を特定するためのマーク(3)が配置されている。また、前記パターンは、最小ピッチ寸法が100nm以下である配列パターンを含む。パターン作製法として、電子ビーム一括露光法を用いる。
より微細な基準寸法を有する測長用標準部材およびその作製方法を含む電子ビーム測長技術を提供する。
【解決手段】
光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列(1)よりなるパターンを配置した半導体部材を有し、かつ、前記パターンは、前記第1の回折格子の配列(1)内の一部に、前記第1の回折格子とは異なる第2の回折格子の配列(2)を所定の周期で内在させた構成を有する。前記第1の回折格子および前記第2の回折格子は、それぞれ所定の長さと幅を有し、それぞれ所定の間隔で周期的に配列されており、かつ、前記パターンの周辺部に前記パターンの位置を特定するためのマーク(3)が配置されている。また、前記パターンは、最小ピッチ寸法が100nm以下である配列パターンを含む。パターン作製法として、電子ビーム一括露光法を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム測長に用いられる測長用標準部材を含む電子ビーム測長技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子ビーム測長に用いられる測長用標準部材は、面方位が(110)面の表面を有する半導体基板上にレーザ干渉露光と異方性湿式エッチングにより作製した回折格子が用いられてきた。その校正方法は、レーザ光を用いた回折格子の回折角測定により行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−71947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の標準部材で可能な最小寸法は、レーザ干渉露光法の解像限界に依存しており、用いるレーザ光の波長の2分の1がピッチ寸法の限界である。現在、レーザ干渉露光装置で用いられている波長351.1nmのアルゴンイオンレーザではピッチ寸法で約200nmが限界である。また、レーザ光源をより短波長に替えた露光装置も技術課題が多く開発が困難である。同様に、校正に用いるレーザ光を用いた回折格子の回折角測定でも測定限界があり、最小ピッチ寸法が約200nm以下では計測が困難である。
【0005】
しかしながら、半導体デバイスの微細化が加速されているために最小加工寸法が100nmを切ってきた。この超微細加工の寸法管理には電子ビーム測長装置が用いられているが、この装置の絶対精度管理のためには寸法標準部材が不可欠である。しかしながら、従来の寸法標準部材では、最新の半導体デバイスの最小加工寸法には対応ができなくなる。
【0006】
また、レーザ干渉露光法を用いた回折格子パターニングでは単純なライン&スペースパターンしか原理的に作製できない。このために試料全面に同じパターンができてしまうので、位置決めマークが用いられない試料では自動位置決めができないため、測長装置での校正時にどの位置の回折格子パターンを使ったのか厳密には特定できない。電子ビーム測長装置の場合には、ビーム照射に伴うコンタミネ−ション付着のため試料の寸法変動を引き起こすために、自動位置決めができない場合には、人が介在して校正を行う必要があるので自動校正ができない。
【0007】
本発明の目的は、より微細な基準寸法を有する測長用標準部材およびその作製方法を含む電子ビーム測長技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では,従来の回折格子パターンの中にさらに微細なパターンを内在させた構成とする。
【0009】
従来の回折格子パターン(第1の回折格子の配列)を約200nm以上とし、レーザ光を用いた回折格子の回折角測定によりそのピッチ寸法を絶対寸法として用いる。この回折格子パターンの中に、最小寸法が100nm以下の回折格子パターン(第2の回折格子の配列)を混在させる。このパターンの値付けは、従来のレーザ光を用いた回折格子の回折角測定では不可能なので電子ビーム測長装置あるいは探針プローブ顕微鏡を用い、絶対寸法値として上記で求めた従来の回折格子パターンのピッチ寸法を基準として用いる。この際、電子ビームや探針プローブの同一走査範囲内に両パターンを配置させることで、より高精度な校正が可能となる。このように、従来のレーザ光を用いた回折格子の回折角測定が可能なパターンと最新の半導体デバイスの最小加工寸法に対応した微細パターンを混在させることにより、微細性と高精度を両立した測長用標準部材(あるいは、標準試料)および校正が可能となる。
【0010】
この寸法標準部材の作製において、従来の回折格子パターンと最新の半導体デバイスの最小加工寸法に対応した微細パターンを混在させるには、従来の寸法標準部材で用いたレーザ干渉露光法では解像性およびパターン創生の自由度の点で不可能である。
【0011】
そこで、解像性に優れパターン形状の制約のない電子ビーム露光法を用いる。特に、試料面内の均一性を向上させた高精度な寸法標準部材の作製のためには、所望のパターンをステンシルマスクに作り込んで電子ビームで縮小投影露光を行う電子ビーム一括図形照射法が有効である。すなわち、描画パターンは全てステンシルマスクに作りこんであるので、これをビーム偏向により繰り返し露光することで各ショット毎に寸法変動することはなく再現性の良いパターニングが可能である。このパターニング方法と、従来の寸法標準部材で用いた面方位依存性のある湿式エッチングとを組み合わせることにより、微細で電子ビーム測長装置や探針プローブ顕微鏡に適した寸法標準部材の作製が可能になる。
【0012】
この作製方法では、ステンシルマスク内のパターン作成の自由度が大きいので回折格子だけでなく種々のパターンを作りこむことが可能である。そこで、一括図形での最大照射面積より小さめの領域に回折格子パターンを用意して、その回折格子の周囲でかつ最大照射面積内の領域に十字形のマークパターンを混在させたステンシルマスクを作製して電子ビーム一括図形照射法にて露光を行うと、回折格子を含んだパターンが一定の長さと一定の幅の大きさで露光され、かつ、このパターンが縦横方向にそれぞれ一定の間隔で周期的に配列され、かつ、それぞれのパターンの間には十字形のマークパターンが配置されて露光される。さらに上記の一定の間隔で周期的に配列されたパターン群の外側でかつ上下左右のいずれかの対の位置に同じ電子ビーム一括図形照射法あるいは電子ビーム可変成形法により十字形のマークパターン等の位置検出マークパターンを形成する。
【0013】
このような露光を行って作製した試料では、電子ビーム測長装置等において装置校正する場合には、十字形のマークパターン等の位置検出マークを使うことによって試料回転補正やパターン内の校正位置を特定できるので、校正に用いたパターン位置を自動特定が可能である。そこで、パターン位置決めから装置校正までを自動化して、校正で使用したパターンのビーム照射回数を記録しておき一定回数に達したら自動的に異なるパターン位置に移動して校正を行うようにすることが可能である。このため、ビーム照射による試料コンタミネ−ション付着による校正精度劣化することなく、いつも測長時に良好な信号波形を得ることができるので高精度校正が自動で達成できる。
【0014】
また、電子ビーム一括図形照射法によるパターニング方法とドライエッチングを組み合わせることにより回折格子の方向を任意の方向に設定できるので、面積の大きなウェーハ形状の標準部材において回折格子や位置決めマークを含んだパターン群を複数上記ウェーハ上に配置させることができる。このとき電子ビーム一括図形照射法によりパターニングする際にパターン群をそれぞれ90度あるいは45度回転した方向のパターン群を用意することが可能である。この標準部材を用いれば、一つの試料で縦・横・斜め方向の寸法校正が可能である。
【0015】
以下、本発明の代表的な構成例について述べる。
【0016】
(1)光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列よりなるパターンを配置した半導体部材を有し、かつ、前記パターンは、前記第1の回折格子の配列内の一部に、前記第1の回折格子とは異なる第2の回折格子の配列を所定の周期で内在させた構成を有することを特徴とする測長用標準部材。
【0017】
(2)光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列よりなるパターンを配置した半導体部材を有し、かつ、前記パターンは、前記第1の回折格子の配列内の一部に、前記第1の回折格子の直線部の長さ、配列のピッチ寸法および周期的な繰り返し方向のうち少なくともいずれか1つが異なる第2の回折格子の配列を前記第1の回折格子の配列とは互いに平行になるように内在させた構成を有することを特徴とする測長用標準部材。
【0018】
(3)光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列よりなるパターンを複数個配置した半導体部材を有し、かつ、前記パターンの各々は、前記第1の回折格子の配列内の一部に、前記第1の回折格子とは異なる第2の回折格子の配列を所定の周期で内在させた構成を有することを特徴とする測長用標準部材。
【0019】
(4)前記測長用標準部材において、前記パターンは、最小ピッチ寸法が100nm以下である配列パターンを含むことを特徴とする。
【0020】
(5)前記測長用標準部材において、前記半導体部材は、シリコン基板で構成され、かつ、前記パターンが前記シリコン基板の(110)面と(111)面の面方位の表面を有する凹凸状のパターンであることを特徴とする。
【0021】
(6)前記測長用標準部材において、前記第1の回折格子および前記第2の回折格子は、それぞれ所定の長さと幅を有し、それぞれ所定の間隔で周期的に配列されており、かつ、前記パターンの周辺部に前記パターンの位置を特定するためのマークが配置されていることを特徴とする。
【0022】
(7)前記測長用標準部材において、前記複数個のパターンは、所定の領域内に所定の間隔で2次元的かつ周期的に配置され、かつ、前記複数個の回折格子パターン間に位置検出用マークを配置してなることを特徴とする。
【0023】
(8)半導体部材面上に、光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列よりなるパターンを形成する工程を有し、かつ、ステンシルマスクを用いた電子ビーム一括露光法により、前記パターンにおける前記第1の回折格子の配列内の一部に、前記第1の回折格子とは異なる第2の回折格子の配列を所定の周期で形成する工程を設けてなることを特徴とする測長用標準部材の作製方法。
【0024】
(9)電子ビームを照射し、走査して試料の加工寸法を計測する電子ビーム測長手段と、前記電子ビームを測長用標準部材に走査して得られる二次電子信号波形をもとに寸法校正を行う校正手段とを有し、かつ、前記測長用標準部材は、半導体基板上に、光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列を有し、前記第1の回折格子の配列内の一部に、前記第1の回折格子とは異なる第2の回折格子の配列を所定の周期で内在させたパターンを有することを特徴とする電子ビーム測長装置。
【0025】
(10)一定ピッチ寸法を有する回折格子パターンを含む複数のパターンからなる測長用標準部材の校正方法において、前記回折格子パターンのピッチ寸法校正にはレーザ光を用いた回折角測定を用い、かつ他のパターンの寸法校正には上記回折角測定により求められた回折格子パターンのピッチ寸法により校正された電子ビーム測長装置あるいは探針プローブ顕微鏡を用いることを特徴とする測長用標準部材の校正方法。
【0026】
(11)回折格子パターンおよび位置検出用マークパターンを有する半導体部材を用いた測長装置の校正方法において、前記マークを検出してその位置を求め、このマーク位置を基準として校正に用いる回折格子パターンで、かつ予めレーザ光を用いた回折角測定を用いそのピッチ寸法が求められている部分に位置決めを行い、前記回折格子パターン部のピッチ寸法を測長し、この結果を前記回折角測定で求めたピッチ寸法を基準として寸法校正を行い、かつ前記パターン位置での校正回数を記録しておき一定回数を超えたら前記マーク位置を基準にして他のパターン位置に変更して前記校正を行うことを特徴とする測長装置の校正方法。
【0027】
(12)前記測長装置の校正方法において、前記回折格子パターンのピッチ寸法を求めるにあたり、一回の電子ビーム走査で得られる複数個のピッチ寸法を各々求め、これを平均して校正に用いることを特徴とする測長装置の校正方法。
【0028】
(13)前記測長装置の校正方法において、前記半導体部材には前記回折格子パターン内の一部に前記回折格子とはその直線部の長さまたはピッチ寸法または周期的な繰り返し方向の内少なくともいずれかが異なる回折格子パターンが含まれており、予めレーザ光を用いた回折角測定を用い、そのピッチ寸法が求められている部分に位置決めを行い前記回折格子パターン部のピッチ寸法を測長し、この結果を前記回折角測定で求めたピッチ寸法を基準として寸法校正を行った後に前記マーク位置を基準にして前記異なる回折格子パターン位置に移動して前記異なる回折格子パターンの寸法を測長し、この寸法値を基準値として他のパターン測長寸法校正に用いることを特徴とする測長装置の校正方法。
【0029】
(14)前記測長装置の校正方法において、前記一連の校正操作を測長装置の制御装置に記憶させておき自動で校正を行うことを特徴とする測長装置の校正方法。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、光学的回折角測定が可能なピッチ寸法以下の微細寸法の校正や自動校正が可能な電子ビーム測長技術が実現でき、次世代半導体加工に対応した高精度測長校正が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0032】
図1、図2に、本発明の電子ビーム測長装置用の寸法標準部材の例を示す。図3は、従来の電子ビーム測長装置用寸法標準部材を示す。
【0033】
従来は、図8に示すような面方位(110)の半導体基板(例えば、シリコン(Si)基板、GaAsやInP等の化合物半導体基板)上の凹凸パターン15を、図3に示すような一定方向の回折格子パターンとして、レーザ干渉露光法と湿式エッチングにより作製していた。回折格子9のピッチ寸法は約200nmであり、この値はレーザを用いた回折角測定により求められている。パターンは4mm角の試料全面8に一様に形成されている。この標準部材を用いて電子ビーム測長装置を校正する場合には、以下の二つの問題がある。
【0034】
まず、第1の問題は、微細性である。先述のように、最新の半導体パターンでは、最小加工寸法が100nmを切るものが現れてきている。しかしながら、レーザ干渉露光による従来の回折格子パターンでは、最小ピッチ寸法は200nmであり、半導体パターンを測長する二十万倍以上の画像視野には回折格子パターンの1ピッチ分が入りきらなくなるために、この倍率での寸法校正ができなくなった。第2の問題は、試料全体が一様なパターンであるため試料内位置決め用のマークがないので、校正位置の自動的な位置特定ができないことである。このため、電子ビーム測長装置等では、人が位置決めを行い校正を行ってきた。
【0035】
本発明では、パターン露光方法として電子ビーム一括露光法を用いた。この方法ではピッチ寸法100nm以下のパターニングが可能であるが、このピッチ寸法の回折格子では波長限界のため、光学的回折角測定が困難であった。
【0036】
そこで、本発明では、図1に示すような回折格子パターンを作製した。この回折格子パターンは、図1にあるように長さ3μm、ピッチ200nmの回折格子パターン(第1の回折格子の配列)1の中心部に長さ0.5μm、ピッチ400nmの回折格子パターン(第2の回折格子の配列)2が配置されている。また、回折格子パターン1の周囲4隅には位置決め用の長さ0.5μmの十字マーク3が配置されている。図2に示す標準部材5には、これらのパターンを含んだ5μm角の領域を基本単位として、図2中の拡大図に示すようなパターン配列4で、縦横方向に1mm角にわたって繰り返し配置されており、さらに、この校正パターン領域6の周囲4隅には試料回転補正用の十字マーク7が配置されている。
【0037】
次に、本発明の標準部材の作製方法について述べる。
【0038】
まず、面方位が(110)面の表面を有するSi基板上に100nm以下の酸化膜を形成後、レジストを表面に塗布する。次に、図4に示した開口10、11を有するステンシルマスクを搭載した電子ビーム一括露光装置で、ビーム偏向により校正用パターン開口10を選択して上記基板上でビーム偏向により露光する。次に、矩形開口11を用いて回折格子パターンが露光されている周囲の左右に、図2のような試料回転補正用のマーク7を電子ビーム可変成形法で露光する。現像後、レジストをマスクとして酸化膜をエッチングし、次に、水酸化カリウム水溶液により、湿式異方性エッチングする。
【0039】
上記電子ビーム露光において回折格子パターンの方向を(110)Si基板上で<112>方向にしておくことで、上記パターンは湿式異方性エッチングにより、垂直断面構造の(110)および(111)結晶面で構成されたエッジラフネスの小さな、図8の回折格子パターン15ような凹凸形状が得られる。回折格子パターンとして電子ビーム一括露光法を用いることにより、試料のどの位置でも同じステンシルマスクを用いて露光するために、寸法バラツキ5nm以下の均一なパターン形成が可能であった。
【0040】
この標準部材の絶対寸法校正には、レーザを用いた回折角測定を用いた。上記標準部材の1mm角の回折格子パターン領域6に細く絞ったHe−Cdレーザ光を照射してその回折角からピッチ寸法200.00nmの値でかつ1nm以下の精度で求めることができた。
【0041】
次に、本発明による標準部材を用いた電子ビーム測長装置の校正法について述べる。
【0042】
図5のように、標準部材13をホルダー16に搭載後、電子ビーム測長装置の試料台(ステージ)14に載置する。まず、電子ビーム鏡筒34から放出される電子ビーム32を、図1に示すような回折格子パターンを有する標準部材13に照射するため、ステージ14を移動する。
【0043】
十万倍の倍率で電子ビーム32を、図1に示す走査位置Bにて走査して、二次電子検出器33により二次電子信号波形を得る。図9は、得られた二次電子信号波形17を示す。この二次電子信号波形17から回折格子のピッチ寸法aを求める。同一標準部材上の10点以上で同様な測定を行いピッチ寸法の平均値を求める。この平均値を光学的回折角から求めたピッチ寸法200.00nmの値に変換することで、十万倍の倍率での電子ビーム測長装置の校正ができる。次に、同じ十万倍の倍率で同一視野内にある二つの回折格子パターンの間のピッチ寸法bを得る。図9に示した二次電子信号波形17から二つの回折格子パターン間のピッチ寸法bが100.05nmと得られた。
【0044】
次に、倍率を二十万倍での校正を行った。この倍率では回折格子パターンに電子ビームを走査して二次電子信号波形を得ても、図1に示した回折格子1の1ピッチ分が測定ビームの偏向内に収まらないので、光学的に測定した回折格子のピッチ寸法は求められない。そこで、図1に示す走査位置Bで回折格子パターンに電子ビームを走査して、図10に示すような二次電子信号波形18を得た。この二次信号波形18からピッチ寸法bが求められたので、この値を十万倍で得られた100.05nmと変換することにより二十万倍の倍率での電子ビーム測長装置の校正ができた。
【0045】
これらの校正後、ウェハ12上に形成されている半導体パターンに移動して、このパターンの寸法計測に最適な二十万倍での計測を行いパターン寸法67nmを得ることができ、設計寸法65nmに対して精度の高い加工ができていることが確かめられた。
【0046】
次に、本発明標準部材を用いた電子ビーム測長装置の自動校正法について述べる。
【0047】
図5のように、電子ビーム測長装置の試料台に搭載された校正用の標準部材13を電子ビーム鏡筒34の直下に移動し、電子ビーム32を照射する。これにより、校正用標準部材13上の、図2に示すような試料回転補正用の左右の十字マーク7を検出し、試料台に対する試料パターンの回転値を求めて測長装置のメモリに記憶させる。次に、上記記憶した回転値に基づき試料パターンに対して水平・垂直の座標系を補正し、試料台を移動させて、図1に示す回折格子パターン1の周囲4隅に配置された位置決め用の十字マーク3を電子ビーム測長装置の電子ビーム走査により検出し、各回折格子位置の正確な位置を電子ビーム測長装置に登録する。このような操作を行うことにより上記登録されたデータをもとに位置決め用の十字マーク3を自動検出したのち、所望の標準部材内パターンをパターン認識で検出することによって、試料上のどの位置の回折格子パターンでも再現性良く50nm以下の精度で自動検出することができた。
【0048】
次に、回折格子パターンへの移動、回折格子でのビーム走査、二次電子信号波形の取り込み、ピッチ寸法測定、および校正値への変換という校正手順を、上記位置決め手順と合わせて電子ビーム測長装置の制御コンピュータにプログラムしておき、一連の電子ビーム測長装置校正を自動で行うことができた。この際、校正時にビーム照射した回折格子パターン部の照射回数を上記プログラム中に記憶させておいて、一定の回数に達したら回折格子パターンの位置を変更するようにプログラムすることができた。事前の実験で同一箇所を10回以上校正に用いると測定値に変動が見られる場合には、同一箇所の測定を、例えば10回未満の5回位までに制限してもよい。
【0049】
このような校正を定期的に行い装置管理により性能維持した結果、1年後にほとんどの領域のパターンを使ったので新しい標準部材と交換することによりさらに校正管理を継続して行うことができた。
【0050】
別の電子ビーム測長装置に上記標準部材を搭載したところ、上記位置検出パターン3が長さ0.5μmと微細であるため位置決めのパターン認識が誤作動することがあったので、一万倍程度の低倍率で位置検出ができるように線幅1μmで長さ3μmの大きなマーク20を、図4に示すステンシルマスク上の開口19を選択した電子ビーム一括露光法を用いたパターニングで、図11に示すように回折格子パターン23と次の回折格子パターン間に線幅1μmで長さ3μmの大きなマーク20を周期的な位置に配列するパターンの標準部材5を作った。この標準部材5を用いて、一万倍で位置決め操作を行うことでパターン認識誤差の無い自動校正が可能であった。なお、図11では、標準部材5には、説明の便宜上、マーク20と次のマーク20との間には1個の回折格子パターンしか図示していないが、回折格子パターン23が複数個続いた次に一回の割合で上記のマーク20を周期的に配置したパターン構成としてもよい。
【0051】
本実施例では、図1に示すような回折格子パターンを用いたが、図6、7に示すように、光学的回折各測定に用いる回折格子に対してピッチ寸法や繰り返し方向の異なるパターン21、22でも同様の結果が得られた。
【0052】
次に、ウェーハ形状を有する標準部材の実施例について述べる。8インチの(100)Siウェーハ上にレジストを塗布した後、図4に示すステンシルマスク上の開口10を選択して、図12に示すようにウェーハ24上の1mm角の領域27に縦方向の回折格子パターンおよび位置検出用マークを含んだパターン群29を電子ビーム一括露光法により露光する。さらに、図4に示すステンシルマスク上の開口101を選択してウェーハ上の1mm角の領域26に横方向の回折格子パターンおよび位置検出用マークを含んだパターン群30を電子ビーム一括露光法により露光する。また、図4に示すステンシルマスク上の開口102を選択してウェーハ上の1mm角の領域28に45度方向の回折格子パターンおよび位置検出マークを含んだパターン群31を電子ビーム一括露光法により露光する。
【0053】
次に、これらのレジストパターンをSiドライエッチングを用いてSiウェーハに深さ0.1μmの段差を作る。このエッチングでは縦・横・斜め方向の回折格子29、30、31のいずれの断面においても80度以上の垂直に近い段差ができた。これらのパターンを含んだ8インチウェーハ状の標準部材24を電子ビーム測長装置に搭載して校正を行った。
【0054】
まず、図5のウェーハ12の位置に有る標準部材の縦方向の回折格子パターン27を、電子ビーム32の直下にあるように試料台14を移動する。五万倍の倍率で電子ビームを横方向に、図1に示す走査位置Aにて走査して二次電子信号波形を得る。図13は、得られた二次電子信号波形32を示す。この二次電子信号波形32の各ピーク間の間隔からそれぞれのピッチ寸法c1からc5を求め、これらの平均値cを得る。この平均値cを光学的回折角から求めたピッチ寸法200.00nmの値に変換することで、五万倍の倍率での電子ビーム測長装置の校正がより少ないビーム走査回数でできた。
【0055】
次に、図1に示す走査位置Bにて同じ五万倍の倍率で同一視野内にある二つの回折格子パターンに電子ビームを走査して、図14に示した二次電子信号波形33を得る。この二次電子信号波形33から二つの回折格子パターン間のピッチ寸法dが100.05nmと得られた。
【0056】
次に、標準部材24の横方向の回折格子パターン26にステージを移動する。五万倍の倍率で電子ビームを縦方向に走査して二次電子信号波形を得る。縦方向と同様にしてこの信号波形の各ピーク間の間隔からそれぞれのピッチ寸法を求め、これらの平均値cを得る。この平均値を光学的回折角から求めたピッチ寸法200.00nmの値に変換することで、五万倍の倍率での電子ビーム測長装置の校正がより少ないビーム走査回数でできた。次に、同じ五万倍の倍率で同一視野内にある二つの回折格子パターンに電子ビームを走査して得た二次電子信号波形から二つの回折格子パターン間のピッチ寸法dが100.08nmと得られた。
【0057】
さらに、標準部材24の45度方向の回折格子パターン28にステージを移動する。五万倍の倍率で電子ビームを45度方向に走査して二次電子信号波形を得る。同様に、この信号波形の各ピーク間の間隔からそれぞれのピッチ寸法を求め、これらの平均値cを得る。この平均値を光学的回折角から求めたピッチ寸法200.00nmの値に変換することで、五万倍の倍率での電子ビーム測長装置の校正がより少ないビーム走査回数でできた。次に、同じ五万倍の倍率で同一視野内にある二つの回折格子パターンに電子ビームを走査して二次電子信号波形を得る。この信号波形から二つの回折格子パターン間のピッチ寸法dが100.02nmと得られた。
【0058】
このように、一つの標準部材で複数の方向のビーム偏向に対する寸法校正ができた。ウェーハ状の標準部材を装置から取り出し、測長したい半導体パターンのついたウェーハを挿入し縦方向のパターンでの五万倍での測長値はピッチ寸法200.00nmでの校正を用い、それより高倍率の場合には回折格子パターン間のピッチ寸法(d=100.05nm)により校正を行った。同様に、横方向や45度方向のパターンでもそれぞれの校正に基づいて正確な測長値を得られた。この校正法では、ウェーハ状の標準部材は装置外で保管しておき装置校正のときに適宜電子ビーム測長装置に挿入して校正を行った。
【0059】
上述した実施例では、位置検出用パターンとして十字状マークを用いたが、本発明では、マークの座標位置が特定できるパターンであれば同様の効果が得られる。
【0060】
また、上述した実施例では、電子ビーム測長装置の校正を例に取って説明したが、本発明では、AFM(Atomic Force Microscope)やSTM(Scanning Tunnel Microscope)などの走査型プローブ顕微鏡の校正にも適用が可能である。
【0061】
また、上述した実施例では、ホルダー搭載試料については水平方向の測長について述べたが、同様に作製した試料を二つ直交してホルダーに配置させておけば縦・横の方向のパターンについての測長の校正ができる
以上、詳述したように、本発明によれば、光学的測定以下の寸法を内在させることで100nm以下の次世代半導体パターン測定用の装置寸法校正が可能である。また、標準部材の位置検出パターンを用いることで自動装置校正も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の測長用寸法標準部材における校正用パターンの一例とビーム走査位置を説明する図。
【図2】本発明の測長用寸法標準部材におけるパターン配列の一例を説明する図。
【図3】従来の校正用標準部材を説明する図。
【図4】本発明に用いる電子ビーム一括露光装置用ステンシルマスクの例を説明する図。
【図5】本発明による測長用寸法標準部材を搭載した電子ビーム測長装置の概略構成を説明する図。
【図6】本発明の測長用寸法標準部材に用いられる校正用パターンの他の例を説明する図。
【図7】本発明の測長用寸法標準部材に用いられる校正用パターンのさらに他の例を説明する図。
【図8】(110)Si基板上に湿式エッチングで作製した回折格子凹凸パターンを説明する図。
【図9】図1の実施例による十万倍での二次電子信号波形を示す図。
【図10】図1の実施例による二十万倍での二次電子信号波形を示す図。
【図11】本発明の測長用寸法標準部材におけるパターン配列の他の例を説明する図。
【図12】本発明の測長用寸法標準部材の他の例を説明する図。
【図13】図12の実施例による五万倍での二次電子信号波形(電子ビームA走査位置)を示す図。
【図14】図12の実施例による五万倍での二次電子信号波形(電子ビームB走査位置)を示す図。
【符号の説明】
【0063】
1、2…回折格子パターン、3、7、20、25…位置検出用十字パターン、4…校正用パターン配列、5、13…標準部材、6…校正用パターン領域、8…従来の標準部材、9…回折格子パターン、10、101、102…校正用パターン開口、11…可変成形用矩形開口、19…位置検出用十字開口、12…ウェーハ、16…ホルダー、14…試料台、21、22…回折格子パターン、15…(110)面と(111)面で校正された凹凸パターン、17、18、32、33…二次電子信号波形、23、29…回折格子と位置検出マークを含む校正用パターン、24…ウェーハ状標準部材、26…縦方向回折格子を含む校正用パターン配列、27…横方向回折格子を含む校正用パターン配列、28…45度方向回折格子を含む校正用パターン配列、23、29…回折格子と位置検出マークを含む校正用パターン、30…横方向回折格子と位置検出マークを含む校正用パターン、31…45度方向回折格子と位置検出マークを含む校正用パターン、32…電子ビーム、33…二次電子検出器、34…電子ビーム鏡筒。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム測長に用いられる測長用標準部材を含む電子ビーム測長技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子ビーム測長に用いられる測長用標準部材は、面方位が(110)面の表面を有する半導体基板上にレーザ干渉露光と異方性湿式エッチングにより作製した回折格子が用いられてきた。その校正方法は、レーザ光を用いた回折格子の回折角測定により行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−71947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の標準部材で可能な最小寸法は、レーザ干渉露光法の解像限界に依存しており、用いるレーザ光の波長の2分の1がピッチ寸法の限界である。現在、レーザ干渉露光装置で用いられている波長351.1nmのアルゴンイオンレーザではピッチ寸法で約200nmが限界である。また、レーザ光源をより短波長に替えた露光装置も技術課題が多く開発が困難である。同様に、校正に用いるレーザ光を用いた回折格子の回折角測定でも測定限界があり、最小ピッチ寸法が約200nm以下では計測が困難である。
【0005】
しかしながら、半導体デバイスの微細化が加速されているために最小加工寸法が100nmを切ってきた。この超微細加工の寸法管理には電子ビーム測長装置が用いられているが、この装置の絶対精度管理のためには寸法標準部材が不可欠である。しかしながら、従来の寸法標準部材では、最新の半導体デバイスの最小加工寸法には対応ができなくなる。
【0006】
また、レーザ干渉露光法を用いた回折格子パターニングでは単純なライン&スペースパターンしか原理的に作製できない。このために試料全面に同じパターンができてしまうので、位置決めマークが用いられない試料では自動位置決めができないため、測長装置での校正時にどの位置の回折格子パターンを使ったのか厳密には特定できない。電子ビーム測長装置の場合には、ビーム照射に伴うコンタミネ−ション付着のため試料の寸法変動を引き起こすために、自動位置決めができない場合には、人が介在して校正を行う必要があるので自動校正ができない。
【0007】
本発明の目的は、より微細な基準寸法を有する測長用標準部材およびその作製方法を含む電子ビーム測長技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では,従来の回折格子パターンの中にさらに微細なパターンを内在させた構成とする。
【0009】
従来の回折格子パターン(第1の回折格子の配列)を約200nm以上とし、レーザ光を用いた回折格子の回折角測定によりそのピッチ寸法を絶対寸法として用いる。この回折格子パターンの中に、最小寸法が100nm以下の回折格子パターン(第2の回折格子の配列)を混在させる。このパターンの値付けは、従来のレーザ光を用いた回折格子の回折角測定では不可能なので電子ビーム測長装置あるいは探針プローブ顕微鏡を用い、絶対寸法値として上記で求めた従来の回折格子パターンのピッチ寸法を基準として用いる。この際、電子ビームや探針プローブの同一走査範囲内に両パターンを配置させることで、より高精度な校正が可能となる。このように、従来のレーザ光を用いた回折格子の回折角測定が可能なパターンと最新の半導体デバイスの最小加工寸法に対応した微細パターンを混在させることにより、微細性と高精度を両立した測長用標準部材(あるいは、標準試料)および校正が可能となる。
【0010】
この寸法標準部材の作製において、従来の回折格子パターンと最新の半導体デバイスの最小加工寸法に対応した微細パターンを混在させるには、従来の寸法標準部材で用いたレーザ干渉露光法では解像性およびパターン創生の自由度の点で不可能である。
【0011】
そこで、解像性に優れパターン形状の制約のない電子ビーム露光法を用いる。特に、試料面内の均一性を向上させた高精度な寸法標準部材の作製のためには、所望のパターンをステンシルマスクに作り込んで電子ビームで縮小投影露光を行う電子ビーム一括図形照射法が有効である。すなわち、描画パターンは全てステンシルマスクに作りこんであるので、これをビーム偏向により繰り返し露光することで各ショット毎に寸法変動することはなく再現性の良いパターニングが可能である。このパターニング方法と、従来の寸法標準部材で用いた面方位依存性のある湿式エッチングとを組み合わせることにより、微細で電子ビーム測長装置や探針プローブ顕微鏡に適した寸法標準部材の作製が可能になる。
【0012】
この作製方法では、ステンシルマスク内のパターン作成の自由度が大きいので回折格子だけでなく種々のパターンを作りこむことが可能である。そこで、一括図形での最大照射面積より小さめの領域に回折格子パターンを用意して、その回折格子の周囲でかつ最大照射面積内の領域に十字形のマークパターンを混在させたステンシルマスクを作製して電子ビーム一括図形照射法にて露光を行うと、回折格子を含んだパターンが一定の長さと一定の幅の大きさで露光され、かつ、このパターンが縦横方向にそれぞれ一定の間隔で周期的に配列され、かつ、それぞれのパターンの間には十字形のマークパターンが配置されて露光される。さらに上記の一定の間隔で周期的に配列されたパターン群の外側でかつ上下左右のいずれかの対の位置に同じ電子ビーム一括図形照射法あるいは電子ビーム可変成形法により十字形のマークパターン等の位置検出マークパターンを形成する。
【0013】
このような露光を行って作製した試料では、電子ビーム測長装置等において装置校正する場合には、十字形のマークパターン等の位置検出マークを使うことによって試料回転補正やパターン内の校正位置を特定できるので、校正に用いたパターン位置を自動特定が可能である。そこで、パターン位置決めから装置校正までを自動化して、校正で使用したパターンのビーム照射回数を記録しておき一定回数に達したら自動的に異なるパターン位置に移動して校正を行うようにすることが可能である。このため、ビーム照射による試料コンタミネ−ション付着による校正精度劣化することなく、いつも測長時に良好な信号波形を得ることができるので高精度校正が自動で達成できる。
【0014】
また、電子ビーム一括図形照射法によるパターニング方法とドライエッチングを組み合わせることにより回折格子の方向を任意の方向に設定できるので、面積の大きなウェーハ形状の標準部材において回折格子や位置決めマークを含んだパターン群を複数上記ウェーハ上に配置させることができる。このとき電子ビーム一括図形照射法によりパターニングする際にパターン群をそれぞれ90度あるいは45度回転した方向のパターン群を用意することが可能である。この標準部材を用いれば、一つの試料で縦・横・斜め方向の寸法校正が可能である。
【0015】
以下、本発明の代表的な構成例について述べる。
【0016】
(1)光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列よりなるパターンを配置した半導体部材を有し、かつ、前記パターンは、前記第1の回折格子の配列内の一部に、前記第1の回折格子とは異なる第2の回折格子の配列を所定の周期で内在させた構成を有することを特徴とする測長用標準部材。
【0017】
(2)光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列よりなるパターンを配置した半導体部材を有し、かつ、前記パターンは、前記第1の回折格子の配列内の一部に、前記第1の回折格子の直線部の長さ、配列のピッチ寸法および周期的な繰り返し方向のうち少なくともいずれか1つが異なる第2の回折格子の配列を前記第1の回折格子の配列とは互いに平行になるように内在させた構成を有することを特徴とする測長用標準部材。
【0018】
(3)光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列よりなるパターンを複数個配置した半導体部材を有し、かつ、前記パターンの各々は、前記第1の回折格子の配列内の一部に、前記第1の回折格子とは異なる第2の回折格子の配列を所定の周期で内在させた構成を有することを特徴とする測長用標準部材。
【0019】
(4)前記測長用標準部材において、前記パターンは、最小ピッチ寸法が100nm以下である配列パターンを含むことを特徴とする。
【0020】
(5)前記測長用標準部材において、前記半導体部材は、シリコン基板で構成され、かつ、前記パターンが前記シリコン基板の(110)面と(111)面の面方位の表面を有する凹凸状のパターンであることを特徴とする。
【0021】
(6)前記測長用標準部材において、前記第1の回折格子および前記第2の回折格子は、それぞれ所定の長さと幅を有し、それぞれ所定の間隔で周期的に配列されており、かつ、前記パターンの周辺部に前記パターンの位置を特定するためのマークが配置されていることを特徴とする。
【0022】
(7)前記測長用標準部材において、前記複数個のパターンは、所定の領域内に所定の間隔で2次元的かつ周期的に配置され、かつ、前記複数個の回折格子パターン間に位置検出用マークを配置してなることを特徴とする。
【0023】
(8)半導体部材面上に、光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列よりなるパターンを形成する工程を有し、かつ、ステンシルマスクを用いた電子ビーム一括露光法により、前記パターンにおける前記第1の回折格子の配列内の一部に、前記第1の回折格子とは異なる第2の回折格子の配列を所定の周期で形成する工程を設けてなることを特徴とする測長用標準部材の作製方法。
【0024】
(9)電子ビームを照射し、走査して試料の加工寸法を計測する電子ビーム測長手段と、前記電子ビームを測長用標準部材に走査して得られる二次電子信号波形をもとに寸法校正を行う校正手段とを有し、かつ、前記測長用標準部材は、半導体基板上に、光学的手段により絶対寸法としてピッチ寸法が特定された第1の回折格子の配列を有し、前記第1の回折格子の配列内の一部に、前記第1の回折格子とは異なる第2の回折格子の配列を所定の周期で内在させたパターンを有することを特徴とする電子ビーム測長装置。
【0025】
(10)一定ピッチ寸法を有する回折格子パターンを含む複数のパターンからなる測長用標準部材の校正方法において、前記回折格子パターンのピッチ寸法校正にはレーザ光を用いた回折角測定を用い、かつ他のパターンの寸法校正には上記回折角測定により求められた回折格子パターンのピッチ寸法により校正された電子ビーム測長装置あるいは探針プローブ顕微鏡を用いることを特徴とする測長用標準部材の校正方法。
【0026】
(11)回折格子パターンおよび位置検出用マークパターンを有する半導体部材を用いた測長装置の校正方法において、前記マークを検出してその位置を求め、このマーク位置を基準として校正に用いる回折格子パターンで、かつ予めレーザ光を用いた回折角測定を用いそのピッチ寸法が求められている部分に位置決めを行い、前記回折格子パターン部のピッチ寸法を測長し、この結果を前記回折角測定で求めたピッチ寸法を基準として寸法校正を行い、かつ前記パターン位置での校正回数を記録しておき一定回数を超えたら前記マーク位置を基準にして他のパターン位置に変更して前記校正を行うことを特徴とする測長装置の校正方法。
【0027】
(12)前記測長装置の校正方法において、前記回折格子パターンのピッチ寸法を求めるにあたり、一回の電子ビーム走査で得られる複数個のピッチ寸法を各々求め、これを平均して校正に用いることを特徴とする測長装置の校正方法。
【0028】
(13)前記測長装置の校正方法において、前記半導体部材には前記回折格子パターン内の一部に前記回折格子とはその直線部の長さまたはピッチ寸法または周期的な繰り返し方向の内少なくともいずれかが異なる回折格子パターンが含まれており、予めレーザ光を用いた回折角測定を用い、そのピッチ寸法が求められている部分に位置決めを行い前記回折格子パターン部のピッチ寸法を測長し、この結果を前記回折角測定で求めたピッチ寸法を基準として寸法校正を行った後に前記マーク位置を基準にして前記異なる回折格子パターン位置に移動して前記異なる回折格子パターンの寸法を測長し、この寸法値を基準値として他のパターン測長寸法校正に用いることを特徴とする測長装置の校正方法。
【0029】
(14)前記測長装置の校正方法において、前記一連の校正操作を測長装置の制御装置に記憶させておき自動で校正を行うことを特徴とする測長装置の校正方法。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、光学的回折角測定が可能なピッチ寸法以下の微細寸法の校正や自動校正が可能な電子ビーム測長技術が実現でき、次世代半導体加工に対応した高精度測長校正が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0032】
図1、図2に、本発明の電子ビーム測長装置用の寸法標準部材の例を示す。図3は、従来の電子ビーム測長装置用寸法標準部材を示す。
【0033】
従来は、図8に示すような面方位(110)の半導体基板(例えば、シリコン(Si)基板、GaAsやInP等の化合物半導体基板)上の凹凸パターン15を、図3に示すような一定方向の回折格子パターンとして、レーザ干渉露光法と湿式エッチングにより作製していた。回折格子9のピッチ寸法は約200nmであり、この値はレーザを用いた回折角測定により求められている。パターンは4mm角の試料全面8に一様に形成されている。この標準部材を用いて電子ビーム測長装置を校正する場合には、以下の二つの問題がある。
【0034】
まず、第1の問題は、微細性である。先述のように、最新の半導体パターンでは、最小加工寸法が100nmを切るものが現れてきている。しかしながら、レーザ干渉露光による従来の回折格子パターンでは、最小ピッチ寸法は200nmであり、半導体パターンを測長する二十万倍以上の画像視野には回折格子パターンの1ピッチ分が入りきらなくなるために、この倍率での寸法校正ができなくなった。第2の問題は、試料全体が一様なパターンであるため試料内位置決め用のマークがないので、校正位置の自動的な位置特定ができないことである。このため、電子ビーム測長装置等では、人が位置決めを行い校正を行ってきた。
【0035】
本発明では、パターン露光方法として電子ビーム一括露光法を用いた。この方法ではピッチ寸法100nm以下のパターニングが可能であるが、このピッチ寸法の回折格子では波長限界のため、光学的回折角測定が困難であった。
【0036】
そこで、本発明では、図1に示すような回折格子パターンを作製した。この回折格子パターンは、図1にあるように長さ3μm、ピッチ200nmの回折格子パターン(第1の回折格子の配列)1の中心部に長さ0.5μm、ピッチ400nmの回折格子パターン(第2の回折格子の配列)2が配置されている。また、回折格子パターン1の周囲4隅には位置決め用の長さ0.5μmの十字マーク3が配置されている。図2に示す標準部材5には、これらのパターンを含んだ5μm角の領域を基本単位として、図2中の拡大図に示すようなパターン配列4で、縦横方向に1mm角にわたって繰り返し配置されており、さらに、この校正パターン領域6の周囲4隅には試料回転補正用の十字マーク7が配置されている。
【0037】
次に、本発明の標準部材の作製方法について述べる。
【0038】
まず、面方位が(110)面の表面を有するSi基板上に100nm以下の酸化膜を形成後、レジストを表面に塗布する。次に、図4に示した開口10、11を有するステンシルマスクを搭載した電子ビーム一括露光装置で、ビーム偏向により校正用パターン開口10を選択して上記基板上でビーム偏向により露光する。次に、矩形開口11を用いて回折格子パターンが露光されている周囲の左右に、図2のような試料回転補正用のマーク7を電子ビーム可変成形法で露光する。現像後、レジストをマスクとして酸化膜をエッチングし、次に、水酸化カリウム水溶液により、湿式異方性エッチングする。
【0039】
上記電子ビーム露光において回折格子パターンの方向を(110)Si基板上で<112>方向にしておくことで、上記パターンは湿式異方性エッチングにより、垂直断面構造の(110)および(111)結晶面で構成されたエッジラフネスの小さな、図8の回折格子パターン15ような凹凸形状が得られる。回折格子パターンとして電子ビーム一括露光法を用いることにより、試料のどの位置でも同じステンシルマスクを用いて露光するために、寸法バラツキ5nm以下の均一なパターン形成が可能であった。
【0040】
この標準部材の絶対寸法校正には、レーザを用いた回折角測定を用いた。上記標準部材の1mm角の回折格子パターン領域6に細く絞ったHe−Cdレーザ光を照射してその回折角からピッチ寸法200.00nmの値でかつ1nm以下の精度で求めることができた。
【0041】
次に、本発明による標準部材を用いた電子ビーム測長装置の校正法について述べる。
【0042】
図5のように、標準部材13をホルダー16に搭載後、電子ビーム測長装置の試料台(ステージ)14に載置する。まず、電子ビーム鏡筒34から放出される電子ビーム32を、図1に示すような回折格子パターンを有する標準部材13に照射するため、ステージ14を移動する。
【0043】
十万倍の倍率で電子ビーム32を、図1に示す走査位置Bにて走査して、二次電子検出器33により二次電子信号波形を得る。図9は、得られた二次電子信号波形17を示す。この二次電子信号波形17から回折格子のピッチ寸法aを求める。同一標準部材上の10点以上で同様な測定を行いピッチ寸法の平均値を求める。この平均値を光学的回折角から求めたピッチ寸法200.00nmの値に変換することで、十万倍の倍率での電子ビーム測長装置の校正ができる。次に、同じ十万倍の倍率で同一視野内にある二つの回折格子パターンの間のピッチ寸法bを得る。図9に示した二次電子信号波形17から二つの回折格子パターン間のピッチ寸法bが100.05nmと得られた。
【0044】
次に、倍率を二十万倍での校正を行った。この倍率では回折格子パターンに電子ビームを走査して二次電子信号波形を得ても、図1に示した回折格子1の1ピッチ分が測定ビームの偏向内に収まらないので、光学的に測定した回折格子のピッチ寸法は求められない。そこで、図1に示す走査位置Bで回折格子パターンに電子ビームを走査して、図10に示すような二次電子信号波形18を得た。この二次信号波形18からピッチ寸法bが求められたので、この値を十万倍で得られた100.05nmと変換することにより二十万倍の倍率での電子ビーム測長装置の校正ができた。
【0045】
これらの校正後、ウェハ12上に形成されている半導体パターンに移動して、このパターンの寸法計測に最適な二十万倍での計測を行いパターン寸法67nmを得ることができ、設計寸法65nmに対して精度の高い加工ができていることが確かめられた。
【0046】
次に、本発明標準部材を用いた電子ビーム測長装置の自動校正法について述べる。
【0047】
図5のように、電子ビーム測長装置の試料台に搭載された校正用の標準部材13を電子ビーム鏡筒34の直下に移動し、電子ビーム32を照射する。これにより、校正用標準部材13上の、図2に示すような試料回転補正用の左右の十字マーク7を検出し、試料台に対する試料パターンの回転値を求めて測長装置のメモリに記憶させる。次に、上記記憶した回転値に基づき試料パターンに対して水平・垂直の座標系を補正し、試料台を移動させて、図1に示す回折格子パターン1の周囲4隅に配置された位置決め用の十字マーク3を電子ビーム測長装置の電子ビーム走査により検出し、各回折格子位置の正確な位置を電子ビーム測長装置に登録する。このような操作を行うことにより上記登録されたデータをもとに位置決め用の十字マーク3を自動検出したのち、所望の標準部材内パターンをパターン認識で検出することによって、試料上のどの位置の回折格子パターンでも再現性良く50nm以下の精度で自動検出することができた。
【0048】
次に、回折格子パターンへの移動、回折格子でのビーム走査、二次電子信号波形の取り込み、ピッチ寸法測定、および校正値への変換という校正手順を、上記位置決め手順と合わせて電子ビーム測長装置の制御コンピュータにプログラムしておき、一連の電子ビーム測長装置校正を自動で行うことができた。この際、校正時にビーム照射した回折格子パターン部の照射回数を上記プログラム中に記憶させておいて、一定の回数に達したら回折格子パターンの位置を変更するようにプログラムすることができた。事前の実験で同一箇所を10回以上校正に用いると測定値に変動が見られる場合には、同一箇所の測定を、例えば10回未満の5回位までに制限してもよい。
【0049】
このような校正を定期的に行い装置管理により性能維持した結果、1年後にほとんどの領域のパターンを使ったので新しい標準部材と交換することによりさらに校正管理を継続して行うことができた。
【0050】
別の電子ビーム測長装置に上記標準部材を搭載したところ、上記位置検出パターン3が長さ0.5μmと微細であるため位置決めのパターン認識が誤作動することがあったので、一万倍程度の低倍率で位置検出ができるように線幅1μmで長さ3μmの大きなマーク20を、図4に示すステンシルマスク上の開口19を選択した電子ビーム一括露光法を用いたパターニングで、図11に示すように回折格子パターン23と次の回折格子パターン間に線幅1μmで長さ3μmの大きなマーク20を周期的な位置に配列するパターンの標準部材5を作った。この標準部材5を用いて、一万倍で位置決め操作を行うことでパターン認識誤差の無い自動校正が可能であった。なお、図11では、標準部材5には、説明の便宜上、マーク20と次のマーク20との間には1個の回折格子パターンしか図示していないが、回折格子パターン23が複数個続いた次に一回の割合で上記のマーク20を周期的に配置したパターン構成としてもよい。
【0051】
本実施例では、図1に示すような回折格子パターンを用いたが、図6、7に示すように、光学的回折各測定に用いる回折格子に対してピッチ寸法や繰り返し方向の異なるパターン21、22でも同様の結果が得られた。
【0052】
次に、ウェーハ形状を有する標準部材の実施例について述べる。8インチの(100)Siウェーハ上にレジストを塗布した後、図4に示すステンシルマスク上の開口10を選択して、図12に示すようにウェーハ24上の1mm角の領域27に縦方向の回折格子パターンおよび位置検出用マークを含んだパターン群29を電子ビーム一括露光法により露光する。さらに、図4に示すステンシルマスク上の開口101を選択してウェーハ上の1mm角の領域26に横方向の回折格子パターンおよび位置検出用マークを含んだパターン群30を電子ビーム一括露光法により露光する。また、図4に示すステンシルマスク上の開口102を選択してウェーハ上の1mm角の領域28に45度方向の回折格子パターンおよび位置検出マークを含んだパターン群31を電子ビーム一括露光法により露光する。
【0053】
次に、これらのレジストパターンをSiドライエッチングを用いてSiウェーハに深さ0.1μmの段差を作る。このエッチングでは縦・横・斜め方向の回折格子29、30、31のいずれの断面においても80度以上の垂直に近い段差ができた。これらのパターンを含んだ8インチウェーハ状の標準部材24を電子ビーム測長装置に搭載して校正を行った。
【0054】
まず、図5のウェーハ12の位置に有る標準部材の縦方向の回折格子パターン27を、電子ビーム32の直下にあるように試料台14を移動する。五万倍の倍率で電子ビームを横方向に、図1に示す走査位置Aにて走査して二次電子信号波形を得る。図13は、得られた二次電子信号波形32を示す。この二次電子信号波形32の各ピーク間の間隔からそれぞれのピッチ寸法c1からc5を求め、これらの平均値cを得る。この平均値cを光学的回折角から求めたピッチ寸法200.00nmの値に変換することで、五万倍の倍率での電子ビーム測長装置の校正がより少ないビーム走査回数でできた。
【0055】
次に、図1に示す走査位置Bにて同じ五万倍の倍率で同一視野内にある二つの回折格子パターンに電子ビームを走査して、図14に示した二次電子信号波形33を得る。この二次電子信号波形33から二つの回折格子パターン間のピッチ寸法dが100.05nmと得られた。
【0056】
次に、標準部材24の横方向の回折格子パターン26にステージを移動する。五万倍の倍率で電子ビームを縦方向に走査して二次電子信号波形を得る。縦方向と同様にしてこの信号波形の各ピーク間の間隔からそれぞれのピッチ寸法を求め、これらの平均値cを得る。この平均値を光学的回折角から求めたピッチ寸法200.00nmの値に変換することで、五万倍の倍率での電子ビーム測長装置の校正がより少ないビーム走査回数でできた。次に、同じ五万倍の倍率で同一視野内にある二つの回折格子パターンに電子ビームを走査して得た二次電子信号波形から二つの回折格子パターン間のピッチ寸法dが100.08nmと得られた。
【0057】
さらに、標準部材24の45度方向の回折格子パターン28にステージを移動する。五万倍の倍率で電子ビームを45度方向に走査して二次電子信号波形を得る。同様に、この信号波形の各ピーク間の間隔からそれぞれのピッチ寸法を求め、これらの平均値cを得る。この平均値を光学的回折角から求めたピッチ寸法200.00nmの値に変換することで、五万倍の倍率での電子ビーム測長装置の校正がより少ないビーム走査回数でできた。次に、同じ五万倍の倍率で同一視野内にある二つの回折格子パターンに電子ビームを走査して二次電子信号波形を得る。この信号波形から二つの回折格子パターン間のピッチ寸法dが100.02nmと得られた。
【0058】
このように、一つの標準部材で複数の方向のビーム偏向に対する寸法校正ができた。ウェーハ状の標準部材を装置から取り出し、測長したい半導体パターンのついたウェーハを挿入し縦方向のパターンでの五万倍での測長値はピッチ寸法200.00nmでの校正を用い、それより高倍率の場合には回折格子パターン間のピッチ寸法(d=100.05nm)により校正を行った。同様に、横方向や45度方向のパターンでもそれぞれの校正に基づいて正確な測長値を得られた。この校正法では、ウェーハ状の標準部材は装置外で保管しておき装置校正のときに適宜電子ビーム測長装置に挿入して校正を行った。
【0059】
上述した実施例では、位置検出用パターンとして十字状マークを用いたが、本発明では、マークの座標位置が特定できるパターンであれば同様の効果が得られる。
【0060】
また、上述した実施例では、電子ビーム測長装置の校正を例に取って説明したが、本発明では、AFM(Atomic Force Microscope)やSTM(Scanning Tunnel Microscope)などの走査型プローブ顕微鏡の校正にも適用が可能である。
【0061】
また、上述した実施例では、ホルダー搭載試料については水平方向の測長について述べたが、同様に作製した試料を二つ直交してホルダーに配置させておけば縦・横の方向のパターンについての測長の校正ができる
以上、詳述したように、本発明によれば、光学的測定以下の寸法を内在させることで100nm以下の次世代半導体パターン測定用の装置寸法校正が可能である。また、標準部材の位置検出パターンを用いることで自動装置校正も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の測長用寸法標準部材における校正用パターンの一例とビーム走査位置を説明する図。
【図2】本発明の測長用寸法標準部材におけるパターン配列の一例を説明する図。
【図3】従来の校正用標準部材を説明する図。
【図4】本発明に用いる電子ビーム一括露光装置用ステンシルマスクの例を説明する図。
【図5】本発明による測長用寸法標準部材を搭載した電子ビーム測長装置の概略構成を説明する図。
【図6】本発明の測長用寸法標準部材に用いられる校正用パターンの他の例を説明する図。
【図7】本発明の測長用寸法標準部材に用いられる校正用パターンのさらに他の例を説明する図。
【図8】(110)Si基板上に湿式エッチングで作製した回折格子凹凸パターンを説明する図。
【図9】図1の実施例による十万倍での二次電子信号波形を示す図。
【図10】図1の実施例による二十万倍での二次電子信号波形を示す図。
【図11】本発明の測長用寸法標準部材におけるパターン配列の他の例を説明する図。
【図12】本発明の測長用寸法標準部材の他の例を説明する図。
【図13】図12の実施例による五万倍での二次電子信号波形(電子ビームA走査位置)を示す図。
【図14】図12の実施例による五万倍での二次電子信号波形(電子ビームB走査位置)を示す図。
【符号の説明】
【0063】
1、2…回折格子パターン、3、7、20、25…位置検出用十字パターン、4…校正用パターン配列、5、13…標準部材、6…校正用パターン領域、8…従来の標準部材、9…回折格子パターン、10、101、102…校正用パターン開口、11…可変成形用矩形開口、19…位置検出用十字開口、12…ウェーハ、16…ホルダー、14…試料台、21、22…回折格子パターン、15…(110)面と(111)面で校正された凹凸パターン、17、18、32、33…二次電子信号波形、23、29…回折格子と位置検出マークを含む校正用パターン、24…ウェーハ状標準部材、26…縦方向回折格子を含む校正用パターン配列、27…横方向回折格子を含む校正用パターン配列、28…45度方向回折格子を含む校正用パターン配列、23、29…回折格子と位置検出マークを含む校正用パターン、30…横方向回折格子と位置検出マークを含む校正用パターン、31…45度方向回折格子と位置検出マークを含む校正用パターン、32…電子ビーム、33…二次電子検出器、34…電子ビーム鏡筒。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域内に所定の間隔で2次元的かつ周期的に配列された複数の第1の回折格子パターンと、
隣接する第1の回折格子パターン間に配置されている複数の位置検出用マークと、を有することを特徴とする測長用標準部材。
【請求項2】
請求項1記載の測長用標準部材であって、
前記第1の回折格子パターンのそれぞれは、前記第1の回折格子の直線部の長さ、配列のピッチ寸法および周期的な繰り返し方向のうち少なくともいずれか1つが異なる第2の回折格子パターンの配列を前記第1の回折格子の配列とは互いに平行になるように前記第1の回折格子パターンに内在させた構造を有することを特徴とする測長用標準部材。
【請求項3】
請求項1記載の測長用標準部材であって、
前記パターンは、最小ピッチ寸法が100nm以下である配列パターンを含むことを特徴とする測長用標準部材。
【請求項4】
請求項1記載の測長用標準部材であって、
前記第1の回折格子パターンは、シリコン基板で構成され、かつ、前記シリ
コン基板の(110)面と(111)面の面方位の表面を有する凹凸状のパターンであることを特徴とする測長用標準部材。
【請求項5】
電子ビームを照射し、走査して試料の加工寸法を計測する電子ビーム測長手段と、
前記電子ビームを測長用標準部材に走査して得られる二次電子信号波形をもとに寸法校正を行う校正手段とを有し、
前記測長用標準部材は、
所定の領域内に所定の間隔で2次元的かつ周期的に配列された複数の第1の回折格子パターンと、
隣接する第1の回折格子パターン間に配置せれている複数の位置検出用マークと、を有することを特徴とする電子ビーム測長装置。
【請求項6】
請求項4記載の電子ビーム測長装置であって、
前記第1の回折格子パターンのそれぞれは、前記第1の回折格子の直線部の長さ、配列のピッチ寸法および周期的な繰り返し方向のうち少なくともいずれか1つが異なる第2の回折格子パターンの配列を前記第1の回折格子の配列とは互いに平行になるように前記第1の回折格子パターンに内在させた構造を有することを特徴とする電子ビーム測長装置。
【請求項7】
請求項4記載の電子ビーム測長装置であって、
前記パターンは、最小ピッチ寸法が100nm以下である配列パターンを含むことを特徴とする電子ビーム測長装置。
【請求項8】
請求項4記載の電子ビーム測長装置であって、
前記第1の回折格子パターンは、シリコン基板で構成され、かつ、前記シリ
コン基板の(110)面と(111)面の面方位の表面を有する凹凸状のパターンであることを特徴とする電子ビーム測長装置。
【請求項1】
所定の領域内に所定の間隔で2次元的かつ周期的に配列された複数の第1の回折格子パターンと、
隣接する第1の回折格子パターン間に配置されている複数の位置検出用マークと、を有することを特徴とする測長用標準部材。
【請求項2】
請求項1記載の測長用標準部材であって、
前記第1の回折格子パターンのそれぞれは、前記第1の回折格子の直線部の長さ、配列のピッチ寸法および周期的な繰り返し方向のうち少なくともいずれか1つが異なる第2の回折格子パターンの配列を前記第1の回折格子の配列とは互いに平行になるように前記第1の回折格子パターンに内在させた構造を有することを特徴とする測長用標準部材。
【請求項3】
請求項1記載の測長用標準部材であって、
前記パターンは、最小ピッチ寸法が100nm以下である配列パターンを含むことを特徴とする測長用標準部材。
【請求項4】
請求項1記載の測長用標準部材であって、
前記第1の回折格子パターンは、シリコン基板で構成され、かつ、前記シリ
コン基板の(110)面と(111)面の面方位の表面を有する凹凸状のパターンであることを特徴とする測長用標準部材。
【請求項5】
電子ビームを照射し、走査して試料の加工寸法を計測する電子ビーム測長手段と、
前記電子ビームを測長用標準部材に走査して得られる二次電子信号波形をもとに寸法校正を行う校正手段とを有し、
前記測長用標準部材は、
所定の領域内に所定の間隔で2次元的かつ周期的に配列された複数の第1の回折格子パターンと、
隣接する第1の回折格子パターン間に配置せれている複数の位置検出用マークと、を有することを特徴とする電子ビーム測長装置。
【請求項6】
請求項4記載の電子ビーム測長装置であって、
前記第1の回折格子パターンのそれぞれは、前記第1の回折格子の直線部の長さ、配列のピッチ寸法および周期的な繰り返し方向のうち少なくともいずれか1つが異なる第2の回折格子パターンの配列を前記第1の回折格子の配列とは互いに平行になるように前記第1の回折格子パターンに内在させた構造を有することを特徴とする電子ビーム測長装置。
【請求項7】
請求項4記載の電子ビーム測長装置であって、
前記パターンは、最小ピッチ寸法が100nm以下である配列パターンを含むことを特徴とする電子ビーム測長装置。
【請求項8】
請求項4記載の電子ビーム測長装置であって、
前記第1の回折格子パターンは、シリコン基板で構成され、かつ、前記シリ
コン基板の(110)面と(111)面の面方位の表面を有する凹凸状のパターンであることを特徴とする電子ビーム測長装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−83069(P2008−83069A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328556(P2007−328556)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【分割の表示】特願2003−40669(P2003−40669)の分割
【原出願日】平成15年2月19日(2003.2.19)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【分割の表示】特願2003−40669(P2003−40669)の分割
【原出願日】平成15年2月19日(2003.2.19)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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