説明

湿分硬化性の接着剤およびシーラント

本発明は、湿分に曝されると硬化する接着剤およびシーラントに関する。前記接着剤およびシーラントは、長い貯蔵寿命、広い許容範囲内の加工特性を有し、および非常に短時間で完全に硬化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、良好な貯蔵性、広い限度内において調節される加工性および急速な完全硬化性を有し、湿分の作用下に硬化する接着剤およびシーラントである。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリイソシアネート、例えばTDIなど、好ましくはMDIに基づく、湿分硬化性のイソシアネート含有プレポリマーは、イソシアネート含有量に応じて、接着剤、シーラントおよびコーティング材料として工業および日曜大工(DIY)用途の広範な領域において用いられている。
【0003】
その例は木材の接着、例えば、木材またはアルミニウムシートとロックウール、EPSまたはポリウレタン硬質フォームのような断熱材料とから構成される、容器の構成物に用いられる断熱パネルのためのサンドイッチ構造の製造、熱可塑性ポリウレタンフォーム、チョップトストランドマットおよび装飾編織布から作られた自動車用屋根の線形構造物の製造であり、該NCOプレポリマーは、互いに層を接着するだけでなく、全複合材料も強化し、さらには道路建設における緩い石材構造をも強化する。この市場区分のための好適なNCO範囲は約12〜18重量%のNCO含有量である。
【0004】
約6〜12重量%のNCO含有量を有するNCO末端プレポリマーは、硬化後、より柔軟なポリウレタンを生じさせるため、より柔軟な複合材料の製造、例えば子供の遊び場用の床張りパネルとしてのゴム粒状化合物の製造などに適している。
【0005】
さらに柔軟なポリウレタンはイソシアネート含有量1〜5重量%を有するイソシアネート末端プレポリマーで得られ、これは建築用シーラントとして、またはフロントガラス接着用の自動車産業における接着剤としてなど広く用いられている。
【0006】
ポリウレタン接着剤の新たな種類は、2〜5重量%のイソシアネート含有量で、用いるポリオールに応じて、非常に硬質なポリウレタンを生じさせ得る、反応性ポリウレタンホットメルトである。
【0007】
鎖延長を伴う水とイソシアネート基との反応が、極めて優れた物理特性(例えば強靱性、熱安定性など)で高い強度が得られるポリウレタンを与えるポリウレアセグメントを生じさせることは、全てのこれらのプレポリマーに共通である。
【0008】
プレポリマーの実質的な優位点はこれらが一成分系であることであるが、水との反応が、非常に安全に進行し、および二成分系に必要な、あらゆるコストのかかる化学量論的考慮を必要としないためである。該反応は常に、大過剰の水とでさえ、硬化ポリウレタンを生じさせる。通常、存在する大気湿分および/または基材湿分は反応相手として十分であるが、濃密な上塗り、例えばアルミニウムプロファイルなどの場合は特に、水とともに噴霧してもよい。
【0009】
実用的な使用のために、系の開放時間は触媒を添加することによって調節される。開放時間とは、系が、接着される基材への適用後、なお容易に加工可能な時間と理解される。用語「加工可能な」は各使用に対して再定義されるべきである。接着材の場合、加工可能性とは概して、2つの基材が問題なくなお接合され得る時間と定義される。加工時間を越える場合、例えば再配置のような最適特性をもはや達成することはできない。
【0010】
過剰に長い待ち時間は、実際には、例えば成形機内でのより長い滞留時間などのようなさらにコストがかかることを意味するので、最適な最終特性を達成するために必要な、加工時間の終了からの時間はできるだけ短いものであるべきである。
【0011】
加工時間の長さは、実際には、原理上、触媒を用いることによって必要に応じて制御され得るが、同時に(水の投入のない)系の貯蔵性も全ての触媒によって悪影響を受けるため、非常に急速に調節された系も限られた貯蔵性を有し、これは製品の物流に影響を与える。限られた貯蔵性は、主に、ゲル化を生じさせ得る、粘度における鋭い上昇に示される。他方では、いくつかの触媒は、実際には、加工時間の良好な制御を可能とするが、系の過剰に長い硬化時間を生じさせる。これは通常、部品がさらに加工され得る前に一時的に貯蔵されなければならないことを意味する。
【0012】
触媒の概観は、例えばA.FarkasおよびG.A.Mills、 Adva.Catalysis、13、393(1962年)、J.H.SaundersおよびK.C.Frisch、ポリウレタン、第I部、Wiey−Interscience、ニューヨーク、1962年、第VI章、K.C.FrischおよびL.P.Rumao、J.Macromol.Sci.−Revs.Macromol.Chem.、C5(1)、第103〜150頁(1970年)、またはG.Woods、The ICI Polyurethane Book、John Wiley & Sons、第41〜45頁、1987年に見出し得る。
【0013】
一般的な触媒は、ポリウレタン化学において既知の生成物、例えばtert.脂肪族アミンおよび/または金属触媒である。
【0014】
このようにして金属触媒、例えばジブチル錫ジラウレートなどは、良好な完全硬化性をも伴う、イソシアネート基を含有するプレポリマーでの水反応の著しい促進を示すが、貯蔵性にも同程度に悪影響を及ぼす。改良は、実際には、トシルイソシアネートの添加による該触媒の「ブロッキング」によって欧州特許出願公開第0132675号において達成されているが、ほんの微量の湿分は該ブロッキングを取り消すのに十分であり、このため、全体的に改良が生じるが未だ不十分である。
【0015】
実際にはほとんど、種々の触媒の混合物を用いて、全特性の組み合わせを出来る限り達成させる。
【0016】
芳香族ポリイソシアネートに基づくプレポリマーの一般的な欠点は、多くの用途に禁止されている光の影響下での最終製品の変色傾向が強いことである。該欠点を排除するために一般的に認識されている原理は、適当な添加剤、例えば立体障害フェノールと立体障害脂肪族アミン(「HALS型」)の組み合わせなどの使用であるが、緩やかな改良が生じるだけある。基本的な改良は、脂肪族ポリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートまたは4,4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタンなどをその立体異性体の混合物の形態で、または上記のジイソシアネートをその誘導体の形態で用いることである。
【0017】
しかしながら、これらのポリイソシアネートの場合、芳香族ポリイソシアネートと対照的に、水との反応が非常に緩慢に進行するだけであることが示されている。
【0018】
非常に高い濃度の金属触媒、例えばジブチル錫ジラウレートまたはビスマス塩などは、ともかく反応に触媒作用を及ぼすために必要である。しかしながら、該水準での濃度は常に、例えばポリエステル系接着剤の加水分解耐性のような長期間の機能特性に負に働く。芳香族ポリイソシアネートに基づく接着剤の場合、触媒として非常に一般的なtert.脂肪族アミン、例えば1,4−ジアザビシクロオクタンまたはジモルホリノジエチルエーテルなどは、非常に低い触媒作用を有することが同様に分かる(L.Havenith、Paint Manufacture、1968年12月、第33〜38頁、特に第34頁を参照されたい)。
【0019】
硬化させる系、主に薄い層におけるコーティングを、高度に揮発性のtert.脂肪族アミン、例えばトリメチルアミンなどの存在下、湿分を有し、できる限り高温のチャンバーにおいて硬化させる、技術的に非常にコストのかかる方法も該文献において議論されている。生成物中にこれを残存させない該手順によって非常に高い触媒濃度を用いることができるので、上記の問題は生じない。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0132675号明細書
【非特許文献1】A.FarkasおよびG.A.Mills、「Adva.Catalysis」、1962年、13、393
【非特許文献2】J.H.SaundersおよびK.C.Frisch、「ポリウレタン」、第I部、ニューヨーク、Wiey−Interscience、1962年、第VI章
【非特許文献3】K.C.FrischおよびL.P.Rumao、「J.Macromol.Sci.−Revs.Macromol.Chem.」、1970年、C5(1)、第103〜150頁
【非特許文献4】G.Woods、「The ICI Polyurethane Book」、1987年、John Wiley & Sons、第41〜45頁
【非特許文献5】L.Havenith、「Paint Manufacture」、1968年12月、第33〜38頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、加工時間の良好な制御で、系の貯蔵性をほんのわずかな程度しか損なわず、同時に急速な完全硬化を可能とする触媒が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
従って、本発明の主題は、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルを触媒として単独にまたは他の触媒と併せて用いることを特徴とし、1〜20重量%のイソシアネート含有量を有する脂肪族ポリイソシアネートをベースとするイソシアネート基含有プレポリマーに基づく接着剤および/またはシーラントである。
【0022】
驚くべきことに、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルは、脂肪族ポリイソシアネートに基づくイソシアネート基末端プレポリマーの熱安定性に対する非常にわずかな影響を伴って、加工時間と完全硬化時間とのバランスのよい比率を触媒として示す。該触媒は、新規のものではなく、特にフォーム反応を促進させる場合に良好な触媒として文献に記載されている(発泡触媒)。CASE(コーティング、接着剤、シーラント、エラストマー)区分における使用は、企業の印刷物において最適でないとされている(Air Products−ポリウレタン添加剤におけるDABCO BL−11(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル70重量%とジプロピレングリコール30重量%の混合物)、European Product Reference Guide−推奨用途、GI−03/96−2000 G/UK−LB1609、さらにはポリウレタン産業用のJEFFCAT触媒、Huntsman、2000におけるJEFFCAT ZF 20(100%品)またはJEFFCAT ZT 22(70%ジプロピレングリコール溶液)の記載を参照されたい)。脂肪族ポリイソシアネートに関連して、その効率性は表示されていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
イソシアネート含有量1〜20重量%、好ましくは2〜16重量%を有するNCO末端プレポリマーは、単独で、または可塑剤、充填剤、レオロジー助剤と処方して、大気湿分および/または基材湿分との反応によって高分子量ポリウレタンポリウレアへと硬化する、脂肪族ポリイソシアネートとヒドロキシルポリエステルおよび/またはヒドロキシルポリエーテルとの反応生成物と理解される。
【0024】
可能な脂肪族ポリイソシアネートの中では、特に、立体異性体混合物の形態でのヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび4,4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタンが理解されるべきである。当然、誘導体の形態、例えばビウレット、アロファネート、ウレットジオンおよびトリマーなど、およびこれら誘導体化の混合形態での上記のジイソシアネートの使用または組み入れもそれらと共に含まれる。
【0025】
ヒドロキシルポリエステルとして、脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸および/またはドデカン二酸など、および/または芳香族ジカルボン酸、例えばオルトフタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸などと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールまたは1,6−ヘキサンジオールおよび/またはトリオール、例えばグリセロールまたはトリメチロールプロパンなどの型のグリコールとの反応生成物が挙げられる。該反応は、Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie、「ポリエステル」、第4版、Verlag Chemie、ワインハイム、1980年に記載の通常の溶融縮合である。その結果、組成物に応じて、20℃より高いガラス転移温度を有する液体非晶質グレードまたは40〜90℃の溶融範囲を有する結晶質ポリエステルポリオールが生じる。その分子量は200〜30000の範囲である。400〜5000の分子量範囲が特に好ましい。
【0026】
適切な二酸化炭素のヒドロキシル基末端ポリ−ε−カプロラクトンおよび/またはヒドロキシル基末端ポリエステル、例えばヘキサンジオール−1,6−ポリカーボネートまたは二酸化炭素とε−ヒドロキシカルボン酸の混合物などを用いてもよい。
【0027】
本発明においては、特に、グリセロールとヒドロキシル脂肪酸の反応生成物に由来する生成物、特にヒマシ油およびその誘導体、例えば単独脱水ヒマシ油なども挙げられる。
【0028】
ポリエーテルポリオールの中では、特に、通常、出発分子、例えば水、1,2−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、グリセロール、トリメチロールプロパン、アンモニア、メチルアミンまたは200〜6000、特に200〜5000の分子量を有するエチレンジアミンなどへのプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドの塩基触媒による付加によるものが挙げられる。特に、ポリプロピレンエーテルポリオールは、二重金属触媒によって得ることができ、および25000までの分子量を有する非常に高分子の特定のポリエーテルポリオールの形成を可能とするものである。有機充填剤を分散させたポリエーテルポリオール、例えば、トルイレンジイソシアネートの、ヒドラジン水和物またはスチレンとアクリロニトリルのコポリマーによる付加生成物なども当然可能である。
【0029】
400〜4000の分子量を有する、テトラヒドロフランの重合によって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール、さらにはヒドロキシル基を含有するポリブタジエンを用いてもよい。
【0030】
混合物の状態での上記のポリオールと低分子量ポリオール、例えばエチレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコールまたは1,4−ブタンジオールなどとの混合物を当然、用いてもよい。
【0031】
上記のポリオールは、実際にウレタン変性ヒドロキシル化合物へとプレポリマー化する前に、当然、全てのポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートならびに脂肪族ポリイソシアネートと反応させてよい。
【0032】
イソシアネート末端プレポリマーの製造は、該ポリオールを化学両論的に過剰の脂肪族ポリイソシアネートと、30〜150℃、好ましくは60〜140℃の温度で反応させることによって既知の方法に従って行う。これは、不連続的に容器内でまたは連続的に容器カスケード内で、または混合器によって行ってよい。
【0033】
ヒドロキシル化合物を大過剰のジイソシアネートと反応させること、およびなお存在するモノマージイソシアネートを、例えば高温でおよび減圧した薄層蒸発器によるような既知の技術に従ってプレポリマーから抽出することは特に好ましい。このようにして、残留モノマー含有量に応じてもはやラベリングされない低モノマー含有量を有するプレポリマーが得られる。
【0034】
変性脂肪族ポリイソシアネートは、特性を微細に制御するために反応前、反応中、好ましくは反応後に全てのこれらの生成物に添加し得る。このような生成物は、例えばBayer AGのDesmodur(登録商標)N 100(HDIビウレット変性)もしくはDesmodur(登録商標)N 3300(HDI三量化)またはVestanat(登録商標)(IPDIトリマー)の名称としてのように市販されている。
【0035】
処方に応じて低粘度と高粘度との間で変化し得る、予期される最終粘度に従えば、種々の凝集体が可能である。
【0036】
触媒ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルを、プレポリマー生成の終了前、終了中、好ましくは終了後にプレポリマーに添加する。
【0037】
添加された該触媒の量は、所望の加工時間に依存する。一般に、プレポリマーを基準として0.02〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、特に好ましくは0.5〜1.5重量%の量が十分である。
【0038】
さらに、実際には、既知の溶媒、充填剤、着色剤およびレオロジー助剤をプレポリマーに添加してよい。
【0039】
充填剤として、白亜、バライトならびに繊維状充填剤、例えばポリアミド繊維またはポリアクリロニトリル繊維などを挙げることができる。レオロジー助剤の中では、一般的な工業用添加剤、例えばエーロジル、ベントナイトまたは水和ヒマシ油などに加えて、ポリイソシアネートと組み合わせて非常に急速に疑似塑性を形成する低分子量アミンも挙げることができる。全てのこれらの添加剤に関して、湿分が容器内で早期に反応を引き起こすため、湿分は確実に、完全に排除されなければならない。
【0040】
接着剤およびシーラントの塗布は、例えばナイフ塗布法、噴霧法、ブラシ塗布法さらにはビードの形態でのより圧縮した形態によって行われる。
【0041】
このような系の異なった硬化層を評価する良好な方法は、例えば、市販されている装置、例えばコーティング、接着剤およびシーラント産業において広範に用いられているDrying Recorder BK 10(The Mickle Laboratory Engineering Co. Ltd)などを用いて可能である。必要に応じて加重を掛けた針を一定の速度でプレポリマーの薄いフィルムへ通過させて、支持体(例えばガラス板)上で評価する。定義に従って、用語「加工時間」および「完全硬化時間」で示される3つの相が観測される。
【0042】
最初に針は液体フィルムを通過し、針の通過跡はおおよそ完全に見えなくなるが、これは加工時間と関連する。スキンニング時間、開放時間または接触粘着時間とも称される加工時間の終了は、針の不変の通過跡の最初の出現によって示される。
【0043】
次いで、針が通過跡から離れる、(経過した時間に相当する)適性に長い部分が続く。フィルムが十分に完全硬化すると、針はもはやポリマーフィルムを貫通することができず、針はポリマーフィルム上に通過跡を残さずに通過するが、これは測定用語完全硬化時間に表されていることである。測定用語においては、この状態の始まりは、当然ながら接着剤の一般的な組成物に加えて、針に掛けられる重さと関連しているため、該ポリマーが最終特性に達する時間と同義でないことがある。しかしながら、該時間は、例えば「手曲げ強度」、「折り畳み強度」の達成のような用語と非常によく関連している。
【0044】
実施者は、加工時間の終了と完全硬化時間の到達との間の時間ができるだけ短いことを望んでいる。
【0045】
可能な限り任意の加工時間と可能な限り損なわれないNCO末端プレポリマーの貯蔵性で、該時間を短縮することが本発明の主題である。
【0046】
本発明の主題はまた、脂肪族イソシアネート基の硬化を湿分で行う接着剤および/またはシーラントとしての、こうした触媒によるプレポリマーの使用である。可能な用途は、とりわけ木材試料、例えばばち型ジョイント、木質ボードまたは梁などの接着である。同様に、木材の削り屑、木屑または木粉をシートまたは成型体に接着することも可能である。これらの用途において、約10〜20%のイソシアネート含有量を有するプレポリマーは特に適当である。より低いイソシアネート含有量は、低モジュールポリマー、例えば変色剤を含有しない光結合シーラントの使用、またはこのようなプレポリマーを80℃を越える温度で塗布し、冷却して物理的方法に基づいて強度を生じさせ、最終反応を湿分と行う反応性ポリウレタンホットメルトの範囲に、より適している(欧州特許出願第0354527号を参照されたい)。
【0047】
従って、本発明による接着剤およびまたはシーラントで接合されまたはシールされた基材も本発明によって提供される。
【0048】
以下の実施例は本発明を説明する。
【実施例】
【0049】
試験部分:
実施例1
プレポリマーの製造(HDI)
ヒドロキシル価515mgKOH/gを有するポリプロピレングリコール1000g(4.587mol)とヘキサメチレンジイソシアネート3850g(22.94mol)を約80〜90℃で反応させた。
【0050】
該プレポリマーは6時間の反応時間の終わりに31.5%の一定NCO価を示した。次いで該プレポリマーを過剰なモノマーに160℃および0.1mmHgで短経路蒸発器を用いてほとんど放出した。
【0051】
イソシアネート含有量12.5%および23℃で粘度4500mPasを有する中間粘度プレポリマーを得た。残留モノマー含有量は0.35%であった。
【0052】
実施例2
プレポリマーの製造(HDI)
ヒドロキシル価112mgKOH/gと酸価10.9mgKOH/gを有する、ジエチレングリコールとアジピン酸に基づくポリエステルポリオール1000g(1.0mol)とイソホロンジイソシアネート888g(4.0mol)を約100℃で反応させた。
【0053】
該プレポリマーは9時間の反応時間の終わりに13.2%の一定NCO価を示した。次いで該プレポリマーを過剰なモノマーに180℃および0.1mmHgで短経路蒸発器を用いてほとんど放出した。
【0054】
イソシアネート含有量5.8%および50℃で粘度6000mPasを有する高粘度プレポリマーを得た。残留モノマー含有量は0.25%であった。
【0055】
実施例3
乾燥記録計上での実験(試験説明)
ドクター刃(250μm)を用いて、予め酢酸エチルで清浄にしたガラス板にフィルムを塗布し、乾燥記録計に直ちに設置した。針に10gでの荷重を掛け、360分間にわたり35cm部分を越えて移動させた。
【0056】
乾燥記録計は気候室中に23℃および相対湿度50%での状態にあった。
【0057】
約25〜60分の加工時間(フィルムにおける針の不変の通過跡の目視可能な発現)が乾燥記録計で生じるように、実施例1由来のプレポリマー100gを種々の市販されている触媒と混合した。
【0058】
針の不変の通過跡がフィルムから消失する時間で完全硬化時間を得た。
【0059】
【表1】

【0060】
表に見ることができるように、1重量%以下の量でのアミン触媒(実施例3B、3Cおよび3Hまたは3I)の場合のみ、非常に短縮された加工時間を確実に達成した。
【0061】
実施例4
長期間の貯蔵試験を60℃でアルミニウム壜中において触媒実施例3B、3Cおよび3Hを用いて行った。
【0062】
NCO価、50℃での粘度、加工時間を決定した。
【0063】
【表2】

【0064】
本発明による触媒ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの優位性は明らかであった(実施例4D)。触媒によらないプレポリマーと比較すると貯蔵安定性の軽い減損を観測したが、60℃で112日(4週間)の貯蔵期間にわたってのNCO価における降下または粘度における上昇を水反応における甚大な促進の観点から許容した。
【0065】
実施例5
実施例1由来のプレポリマー561gをBayer AG製のDesmodur(登録商標) N 3300(NCO含有量21.8%を有するヘキサメチレンジイソシアネートのトリマーと0.1%遊離HDIモノマー)と白亜(Omya Kreide)100gと混合した。その結果、約14.5%NCO含有量を有する接着剤混合物が生じた。該接着剤をブナ材試験片(割れを含まない)用の接着剤としてビス(ジメチルアミノエチル)エーテル0.45重量%の有無で試験した。
【0066】
該プレポリマーを片側に塗布し、重なり10×20mmのための該試験片(50×20×5mm)を5barで23℃および相対湿度50%で成形機内で保持した。次いで接着剤強度を、引張剪断試験を用いて計測した(10試験片それぞれについて)。
【0067】
以下の結果を得た。
【0068】
【表3】

【0069】
本発明に従う触媒による接着剤から、短時間後に良好な複合材料強度を得た。
【0070】
これと平行して、ボール紙上の厚さ1mmのフィルムを7週間、強い太陽光に曝した。
【0071】
触媒によらないフィルムについては黄色度指数(Lange博士の色差「Micro Color」計測装置、参照番号LMG 051/052を用いて計測される)5.5を観測し、触媒による異なった型については黄色度指数6.8を観測した。
【0072】
結果:tert.脂肪族アミン触媒で時折観測するような、色における大幅な増加はなかった。
【0073】
実施例6
約25〜60分の加工時間(フィルムにおける針の不変の通過跡の目視可能な発現)が乾燥記録計で生じるように、実施例2由来のプレポリマー100gを種々の市販されている触媒と混合した。
【0074】
針の不変の通過跡がフィルムから消失する時間で完全硬化時間を得た。
【0075】
【表4】

【0076】
表から推定し得るように、1重量%以下の量のアミン触媒(実施例6Dおよび6G、または6H)の場合のみ、非常に短縮された加工時間を安全に得た。
【0077】
実施例7
貯蔵安定性試験を60℃でアルミニウムカートリッジ中において混合物で行った(ゼロ試料実施例2、混合物実施例6Dおよび実施例6H)。
【0078】
NCO価、50℃での粘度、加工時間を決定した。
【0079】
【表5】

【0080】
本発明による触媒ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの優位性は明らかであった(実施例7D)。ゼロ試料と比較して事実上同一の貯蔵安定性を観測した。加工時間は大幅に減少した。
【0081】
実施例8
ヒドロキシル価28mgKOH/g(1.0mol)を有するヘキサンジオールアジペート(Bayer AG製のBaycoll(登録商標)AD 5027)4000gを120℃で60分間真空下に脱水した。3,5,5−トリメチル−3イソシアナトメチレン−シクロヘキシルイソシアネート(Bayer AG製のDesmodur(登録商標) I)399.6g(1.8mol)を120℃で添加した。
【0082】
60分後、カートリッジに満たし、次いで100℃で後硬化した。
【0083】
貯蔵安定性を4、24、48および72時間後、100℃で試験した。
【0084】
実施例8A
ヒドロキシル価28mgKOH/g(1.0mol)を有するヘキサンジオールアジペート(Baycoll(登録商標)AD 5027)4000gを120℃で60分間真空下に脱水した。3,5,5−トリメチル−3イソシアナトメチレン−シクロヘキシルイソシアネート(Bayer AG製のDesmodur(登録商標) I)399.6g(1.8mol)を120℃で添加した。
【0085】
ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル1.8g(0.5重量%)を60分後に添加し、均質化した。
【0086】
30分後、カートリッジに満たし、次いで100℃で後硬化した。
【0087】
貯蔵安定性を4、24、48および72時間後、100℃で試験した。
【0088】
【表6】

【0089】
硬化特性を「折り畳み試験」によって決定した。このため、厚さ0.1mmのプレポリマーフィルムをガラス板にナイフ塗布し、固化プレポリマーを180度に折り畳むことによって特定の時間後(23℃および相対大気湿度50で)折り畳み試験に曝した。大部分反応したポリマーだけが試験を乗り切った。未反応ポリマーは、十分に高い分子量が形成されていないので破壊された。
【0090】
【表7】

【0091】
さらに、反応性ポリウレタンホットメルトの範囲について、本発明による触媒ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルは、著しくより急速な硬化を伴って、触媒を用いない系と比べるとほんのわずかに低下した貯蔵性を示した。
【0092】
接着試験
130℃に加熱した接着剤をブナ材試験片にドクター刃を用いて塗布し、直ちにPVCフィルムと接着した。
【0093】
該強度を剥離試験において決定した。
【0094】
【表8】

【0095】
130℃に加熱した接着剤をブナ材試験片に片側上に塗布し、直ちに他のブナ材試験片と接着し、引張剪断試験において引き裂いた。
【0096】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2〜20重量%のイソシアネート含有量を有する脂肪族ポリイソシアネートをベースとし、湿分で硬化するイソシアネート基含有プレポリマーであって、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルを触媒として用いることを特徴とするプレポリマー。
【請求項2】
プレポリマーを基準として0.02〜3.0重量%の量で触媒を用いることを特徴とする、請求項1に記載のプレポリマー。
【請求項3】
プレポリマーを基準として0.5〜1.5重量%の量で触媒を用いることを特徴とする、請求項1に記載のプレポリマー。
【請求項4】
イソシアネート基含有量が3〜17重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のプレポリマー。
【請求項5】
モノマージイソシアネートとしてのおよび/または誘導体の形態でのヘキサメチレンジイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートとして用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のプレポリマー。
【請求項6】
イソホロンジイソシアネートをイソシアネートとしておよび/またはその誘導体の形態で用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のプレポリマー。
【請求項7】
1.0重量%未満のモノマージイソシアネート含有量を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のプレポリマー。
【請求項8】
接着剤およびシーラントの製造のための、請求項1〜7のいずれかに記載のプレポリマーの使用。
【請求項9】
冷却によって強度を生じ、次いで湿分と反応する、熱で適用可能な反応性ポリウレタンホットメルト系としての、請求項1〜7のいずれかに記載のプレポリマーの使用。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載のプレポリマーを含有する接着剤。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載のプレポリマーを含有するシーラント。
【請求項12】
ポリウレタンホットメルト系であることを特徴とする、請求項10に記載の接着剤。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載の接着剤およびシーラントで接着されまたはシールされた基材。

【公表番号】特表2009−535465(P2009−535465A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508160(P2009−508160)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003424
【国際公開番号】WO2007/124868
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】