湿式画像形成装置
【課題】設置位置の自由度が高く、かつ画像の乱れを発生することなくキャリア液を除去することが可能な湿式画像形成装置を提供する。
【解決手段】エアナイフのエア流は、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から除去したキャリア液が画像担持体の画像形成領域よりも長手方向の外側に設けられる非画像形成領域に向かって移動するように供給される。エアナイフ18の噴出し口30からエア流の方向を画像担持体の母線50に対して傾斜させることによってキャリア液を非画像形成領域へ向かって移動させる。その結果、液体現像剤中から除去されたキャリア液は、画像担持体の回転方向の上流側の向きに除去される力をエア流から受けると同時に、一方の長手方向へと横移動させられる分力をエア流から受けることになる。
【解決手段】エアナイフのエア流は、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から除去したキャリア液が画像担持体の画像形成領域よりも長手方向の外側に設けられる非画像形成領域に向かって移動するように供給される。エアナイフ18の噴出し口30からエア流の方向を画像担持体の母線50に対して傾斜させることによってキャリア液を非画像形成領域へ向かって移動させる。その結果、液体現像剤中から除去されたキャリア液は、画像担持体の回転方向の上流側の向きに除去される力をエア流から受けると同時に、一方の長手方向へと横移動させられる分力をエア流から受けることになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、現像装置を用いて感光体上に静電潜像がトナーにより現像される。そして、例えば、感光体上に現像された静電潜像が記録用紙に転写されて画像が形成されることになる。このような画像形成装置の転写プロセスでは、一般に静電転写方式が採用されている。
【0003】
トナー像を被転写体である用紙に転写する場合は、感光体に対向するように配置された用紙の裏面から転写ローラ等により電圧を印加し、感光体と記録用紙との間に電界を形成してこの電界によりトナー像を記録用紙に静電吸着させている。
【0004】
そして、その後、定着装置により加圧定着することにより転写されたトナー像を記録用紙に定着させている。
【0005】
一方で、近年、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー像の乱れが生じにくい液体現像剤を用いた湿式現像装置が知られている。当該液体現像剤は、パラフィン系溶媒等をキャリア液にトナーを分散させたものが用いられており、現像や転写工程においては、キャリア液とトナーとで構成されるトナー層中において電界による泳動でトナーを移動させ記録用紙に画像を転写させている。
【0006】
この静電潜像をトナーとキャリア液からなる液体現像剤を用いて現像する湿式画像形成装置においては、現像装置を通過した後の画像担持体(例えば感光体などの像担持体や像担持体から画像を受け取り液体現像剤を紙へ転写するための中間転写体など)の表面にキャリア液が残留することが避けられず、この残留キャリア液を放置すると、そのキャリア液が紙へと移行して紙の裏写りなどの画像品質の低下が生じる問題がある。
【0007】
一方で、キャリア液として揮発性溶媒を用いた場合は揮発性溶媒の気中への散逸による安全性の懸念などの不具合が生じる。
【0008】
このため、従来より現像装置によって画像担持体の表面にトナー像を形成した後、この画像担持体の表面に残留する余剰の液体現像剤をいわゆるブレード装置、コロナスクイズ装置、エアナイフ装置等の余剰液体現像剤除去装置によって除去するようにしている。
【0009】
そして、これらの余剰液体現像剤除去装置の中でも、特にエアナイフ装置を用いた除去装置は、画像担持体の表面のトナー像を乱すことが少なく、構成が比較的簡単であるという利点を有しているため広く利用されている。
【0010】
エアナイフによるキャリア液除去では一般にトナーに荷電を付与しておくことで液体現像剤中のトナーを画像担持体の表面に鏡像力によって移動させておき、上澄みとなったキャリア液のみをエアナイフのエア流によって液体現像剤の移動方向の上流側、すなわち画像担持体の回転方向の上流側へと押し戻し、下流プロセスへと供給される液体現像剤中からキャリア液を除去する方法がとられる。
【0011】
しかしながら、除去されたキャリア液はエアナイフのエア流衝突部の上流に蓄積していくため、実用上はこの蓄積されたキャリア液を画像担持体の表面から除去するための機構が必要になる。
【0012】
従来、この蓄積キャリア液の除去方法としては、以下のような方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、画像担持体のエアナイフのエア流が当たり除去されたキャリア液溜まりができる位置にキャリア液回収ローラを設け、除去したキャリア液を画像担持体上から排出する方式が開示されている。この方法ではキャリア液の排出はできるものの、画像形成領域において液回収ローラによる画像乱れが発生する恐れがあり、エアナイフの利点である画像担持体の表面のトナー像を乱さないというメリットが損なわれてしまう可能性がある。
【0013】
また、特許文献2には、エアナイフによって除去されたキャリア液が画像担持体の下端位置に溜まるようにエアナイフのエア流が当たる位置をレイアウトし、除去されたキャリア液が重力によって画像担持体の下端から排出されるように構成される方式が開示されている。この方法では画像担持体の表面のトナー像を乱さないというエアナイフのメリットは確保できるものの、エアナイフの配置が装置レイアウト上の大きな障害となる。
【0014】
特にエアナイフの設置対象となる画像担持体として像担持体を選択した場合においては、像担持体上には帯電、露光、現像、転写、クリーニング、イレースなどの多数のプロセスを配置する必要があり、エアナイフの設置位置の自由度のなさは装置設計上問題となる場合が多い。画像担持体として中間転写体を選択した場合においても、エアナイフの設置位置の自由度のなさは中間転写体の小型化の障害となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−296912号公報
【特許文献2】特開平10−339990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、設置位置の自由度が高く、かつ画像の乱れを発生することなくキャリア液を除去することが可能な湿式画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いる湿式画像形成装置であって、外面が円筒形状であって、長手方向における画像形成領域において現像されたトナー像を担持する像担持体と、像担持体に対して、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から余剰のキャリア液を除去するためのエアナイフとを備え、エアナイフのエア流は、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から除去したキャリア液が像担持体の画像形成領域よりも長手方向の外側に設けられる非画像形成領域に向かって移動するように供給される。
【0018】
好ましくは、エアナイフのエア流の方向を像担持体の母線に対する法線から傾斜させることによってキャリア液を非画像形成領域へ向かって移動させる。
【0019】
特に、エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、画像形成領域は、像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、非画像形成領域は、像担持体の長手方向における画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、エアナイフの第1のエア流の方向を像担持体の第1の画像領域に対する母線に対する法線から傾斜させることによってキャリア液を第1の端部領域へ向かって移動させ、エアナイフの第2のエア流の方向を像担持体の第2の画像領域に対する母線に対する法線から傾斜させることによってキャリア液を第2の端部領域へ向かって移動させる。
【0020】
好ましくは、エアナイフのエア流を非画像形成領域に向かうに従って像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによってキャリア液を非画像形成領域へ向かって移動させる。
【0021】
特に、エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、画像形成領域は、像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、非画像形成領域は、像担持体の長手方向における画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、エアナイフの第1のエア流を第1の端部領域に向かうに従って像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによってキャリア液を第1の端部領域へ向かって移動させ、エアナイフの第2のエア流を第2の端部領域に向かうに従って像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによってキャリア液を第2の端部領域へ向かって移動させる。
【0022】
好ましくは、エアナイフのエア流の風速は、像担持体の長手方向において調整可能に設けられ、エアナイフのエア流の風速を非画像形成領域に向かって小さくなるように供給することによってキャリア液を非画像形成領域へ向かって移動させる。
【0023】
特に、エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、画像形成領域は、像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、非画像形成領域は、像担持体の長手方向における画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、エアナイフの第1のエア流を第1の端部領域に向かって小さくなるように供給することによってキャリア液を第1の端部領域へ向かって移動させ、エアナイフの第2のエア流を第2の端部領域に向かって小さくなるように供給することによってキャリア液を第2の端部領域へ向かって移動させる。
【0024】
好ましくは、像担持体の非画像形成領域にはキャリア液除去用の溝が設けられる。
好ましくは、像担持体の非画像形成領域において、エアナイフのエア流によって除去したキャリア液を回収するキャリア液回収手段をさらに備える。
【0025】
特に、キャリア液回収手段は、キャリア液を非画像形成領域から掻き取るためのブレードである。
【0026】
特に、キャリア液回収手段は、キャリア液を非画像形成領域から吸収除去するための液吸収ローラである。
【0027】
特に、キャリア液回収手段は、キャリア液を非画像形成領域から吸引除去するための吸引ノズルである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、像担持体に対して、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から余剰のキャリア液を除去するためのエアナイフとを設け、エアナイフのエア流は、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から除去したキャリア液が像担持体の画像形成領域よりも長手方向の外側に設けられる非画像形成領域に向かって移動するように供給されることにより、画像の乱れを発生することなく、かつ設計位置によらずにキャリア液を除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置10の全体構成について説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う液体現像装置の構成について説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その1)について説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う噴出し口30と画像担持体との角度を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その2)について説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その3)について説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その4)について説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その5)について説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その6)について説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するキャリア液回収機構を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去する別のキャリア液回収機構を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するさらに別のキャリア液回収機構を説明する図である。
【図13】本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去する別の方式を説明する図である。
【図14】本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するさらに別の方式を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
【0031】
(湿式画像形成装置の全体構成と動作の例)
図1は、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置10の全体構成について説明する図である。
【0032】
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置10においては、液体現像装置4、感光体ドラム1が1つずつの単色の画像形成装置を示しているが、それらを中間転写体12の周囲に複数設置したり、液体現像装置4、感光体ドラム1、中間転写体12、二次転写ローラ8を破線で示した記録媒体通紙経路に対して複数設置することで同様の動作でカラーの画像形成装置にも本発明は適用可能である。ここでは図1を用いて、本発明に関わる湿式画像形成装置の全体構成を説明する。但し、図では主として画像形成プロセスに関わる構成要素のみを図示した。記録媒体の給紙、搬送、排紙に関わる構成要素は簡略的に示した。
【0033】
なお、本実施形態では中間転写体として円筒状のドラムを用いているが、中間転写体12はベルト状のものを用いても良い。また中間転写体12はなくても良い。その他従来から用いられる各プロセス技術は、画像形成装置の目的に応じて任意の構成を取ることができる。
【0034】
本例において、作像部は、像担持体としての感光体ドラム1、帯電器2、露光器3、液体現像装置4、感光体クリーニング装置6を備える。
【0035】
感光体ドラム1は、表面に感光体層(不図示)が形成された円筒形状であって、図1における矢印A方向に回転駆動する。感光体ドラム1の外周には、感光体クリーニング装置6、帯電器2、露光器3、液体現像装置4、エアナイフ18及び中間転写体12が、感光体ドラム1の回転方向に沿って順次配置されている。
【0036】
帯電器2は、感光体ドラム1の表面を所定電位に帯電させる。
露光器3は、感光体ドラム1の表面に光を照射し、照射領域内の帯電レベルを低下させて静電潜像を形成する。
【0037】
液体現像装置4は、感光体ドラム1上に形成された潜像を現像する。すなわち、感光体ドラム1の現像領域へ液体現像剤を搬送し、その液体現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム1の表面の静電潜像に供給してトナー像を形成する。
【0038】
現像のプロセスにおいては、液体現像装置4の現像ローラ5に電源(不図示)から現像バイアス電圧が印加される。感光体ドラム1上の潜像の電位とのバランスで生じた電界に従って液体現像剤中のトナーが感光体ドラム1の潜像部分に静電吸着され、感光体ドラム1上の潜像が現像される。画像形成された液体現像剤中から感光体上でキャリア液を除去する場合には現像後に感光体ドラムに対向して設けられるエアナイフ18によるキャリア液除去(スクイズ)が行われる。この工程の詳細については後述する。
【0039】
図1の湿式画像形成装置において、中間転写部は、中間転写体12、二次転写ローラ8、中間転写体クリーニング装置11を備える。
【0040】
中間転写体12は、感光体ドラム1と対向するように配置されており、感光体ドラム1と接触しながら矢印B方向に回転する。これら中間転写体12と感光体ドラム1とのニップ部で、感光体ドラム1から中間転写体12への一次転写が行われる。
【0041】
一次転写プロセスにおいては、中間転写体12に、電源(不図示)から転写バイアス電圧が印加される。これにより、一次転写位置における中間転写体12と感光体ドラム1との間に電界が形成され、感光体ドラム1上のトナー像が、中間転写体12に静電吸着され、中間転写体12上に転写される。
【0042】
トナー像が中間転写体12に転写されると、感光体クリーニング装置6が感光体ドラム1上の残存トナーを除去し、次の画像形成が行われる。必要に応じて、感光体クリーニング装置6と帯電器2との間にはイレーサランプ13が設置される。
【0043】
画像形成された液体現像剤中から中間転写体上でキャリア液を除去する場合には一次転写後に中間転写体に対向して設けられるエアナイフ19によるキャリア液除去(スクイズ)が行われる。この工程の詳細については後述する。
【0044】
中間転写体12と二次転写ローラ8とは、記録材としての記録媒体7を挟んで対向するように配置されており、記録媒体7を介して接触回転する。これら中間転写体12と二次転写ローラ8とのニップ部で、中間転写体12から記録媒体7への二次転写が行われる。
【0045】
記録媒体7は、二次転写のタイミングに合わせて二次転写位置へ矢印C方向に搬送される。
【0046】
二次転写プロセスにおいては、二次転写ローラ8に、電源(不図示)から転写バイアス電圧が印加される。これにより、中間転写体12と二次転写ローラ8との間に電界が形成され、中間転写体12と二次転写ローラ8との間を通過させた記録媒体7上へ中間転写体12上のトナー像が静電吸着され、記録媒体7上に転写される。
【0047】
トナー像が記録媒体7上に転写されると、中間転写体クリーニング装置11が中間転写体12上の残存トナーを除去し、次の一次転写が行われる。
【0048】
定着部は、対向配置され接触回転する一対の定着ローラ14a、14bを備える。定着ローラ14a、14bには、それぞれ熱源が設けられており、定着ローラ14a、14b間を記録媒体7が通過すると、その記録媒体7が高温下で加圧される。これにより、記録媒体7上でトナー像を形成するトナーが記録媒体7に融着し定着する。
【0049】
(液体現像剤の構成)
次に、液体現像剤の構成について説明する。
【0050】
ここで、液体現像剤は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナー粒子と、トナー粒子を分散させる分散剤とを主要成分としている。
【0051】
キャリア液としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば特に制限することなく使用することができるが、例えば、キャリア液として、イソパラフィン系のアイソパー(G、H、L、Mなど)(エクソンモビール)、IPソルベント(1620、2028、2835など)(出光興産)や、パラフィン系のモレスコホワイト(P−40,P−70,P−120)(松村石油研究所)を挙げることができる。また、シリコンオイル、ミネラルオイルを用いることも可能である。
【0052】
トナー粒子は、主として、樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料を樹脂中に均一に分散させる機能と、記録用紙に定着させる際のバインダとしての機能がある。
【0053】
トナー粒子としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナー用結着樹脂としては、たとえばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。またこれらの樹脂を複数、混合して用いることも可能である。
【0054】
また、トナーの着色に用いられる顔料および染料も一般に市販されているものを用いることができる。たとえば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としてはソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0055】
液体現像剤の調整方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調整することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ローラミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。そして、得られたトナー粒子をキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0056】
トナーの平均粒径は、湿式画像形成方式を採用しているため、0.1μm〜5μmとすることが可能である。0.1μm未満では現像性が大きく低下し、5μmより大きい粒径では画像品位が低下するため、0.1〜5μmに設定することが望ましい。
【0057】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜50%程度が適当である。
【0058】
10%未満の場合、トナー粒子に沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題があり、また、必要な画像濃度を得るため、多量の液体現像剤を供給する必要があり、記録用紙に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥させた際の蒸気の処理が問題となる可能性がある。一方で、50%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も取り扱いが困難になる可能性がある。
【0059】
液体現像剤の粘度は、25℃において、0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が望ましい。10000mPa・sより大きくなると液体現像剤の攪拌や送液等の取り扱いが困難となり、均一な液体現像剤を供給する装置の負担が大きくなる可能性がある。
【0060】
(液体現像装置4の構成と動作)
図2は、本発明の実施の形態に従う液体現像装置の構成について説明する図である。
【0061】
図2を参照して、液体現像装置4は、現像ローラ5、搬送ローラ21、供給ローラ22、現像ローラクリーニング装置17、現像剤槽9、規制部材20とを備える。
【0062】
現像剤槽9には、上述の液体現像剤が収容されている。
供給ローラ22は、現像剤槽9内の液体現像剤に浸漬するよう配置され、矢印方向に回転し、現像剤槽9から液体現像剤をくみ上げる。高粘度の液体現像剤はその粘着力で供給ローラ22の表面に付着した状態で搬送される。
【0063】
規制部材20は、供給ローラ22の材質に応じて金属やゴムのブレードが用いられ、図のように供給ローラ22に対向して、その回転に対してカウンタ方向に当接して配置され、供給ローラ22の表面に付着して搬送される液体現像剤の量を規制するものである。
【0064】
搬送ローラ21としては、ゴムローラが好適である。搬送ローラ21は供給ローラ22に対向して配置され、当接しながら回転する。このニップ部で、供給ローラ22の表面に形成された液体現像剤の薄層は搬送ローラ21の表面に写し取られ、現像剤担持体としての現像ローラ5へ向かって搬送される。
【0065】
現像ローラ5としては低硬度のゴムローラが用いられる。現像ローラ5は搬送ローラ21に対向して配置され、当接しながら回転する。このニップ部で、搬送ローラ21の表面に搬送された液体現像剤の薄層は、現像ローラ5に掻き取られ、現像ローラ5の表面に液体現像剤の薄層が担持、搬送されることになる。
【0066】
現像ローラ5は、像担持体である感光体ドラム1とも当接して回転しており、感光体ドラム1とのニップ部、すなわち現像領域に搬送された液体現像剤の薄層は、感光体ドラム1上の潜像を現像することになる。
【0067】
しかしながら、感光体ドラム1の潜像を現像した後も、現像ローラ5の表面には液体現像剤の薄層が残存する。現像ローラクリーニング装置17はこの残存した液体現像剤のクリーニングのために設けられる。
【0068】
上記説明において、液体現像装置4の構成としては、搬送ローラ21を省略し、現像ローラ5がその機能を合わせ持ってもよい。すなわち、供給ローラ22から直接、現像ローラ5に液体現像剤を転移させる方法を採ることも可能である。
【0069】
(キャリア液除去(スクイズ)装置の構成と動作)
次に、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成について説明する。
【0070】
図3は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その1)について説明する図である。
【0071】
図3を参照して、ここでは、本発明の実施の形態に従う画像形成装置の中から、キャリア液除去手段に関係する感光体ドラム1およびエアナイフ18が抜き出されている。なお、以下においても同様であるが、中間転写体12およびエアナイフ19においても同様に適用することが可能である。なお、感光体ドラム1は、回転軸24に従って回転する。
【0072】
本発明の実施の形態に従うエアナイフのエア流の液体現像剤への供給方法については、従来のように、画像担持体の母線50に対して垂直にエア流の流束が向くように供給して、画像担持体の回転上流側へキャリア液が蓄積されるようにするのではなく、エアナイフのエア流は、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から除去したキャリア液が画像担持体の画像形成領域よりも長手方向の外側に設けられる非画像形成領域に向かって移動するように供給される。
【0073】
ここでは、一例として、エアナイフ18の噴出し口30からエア流の方向を画像担持体の母線50に対して傾斜させることによってキャリア液を非画像形成領域へ向かって移動させる方式が示されている。
【0074】
その結果、液体現像剤中から除去されたキャリア液は、画像担持体の回転方向の上流側の向きに除去される力をエア流から受けると同時に、一方の長手方向(図3では左方向)へと横移動させられる分力をエア流から受けることになる。すなわち、除去されたキャリア液は画像担持体表面のエア流が当たる位置の上流側に蓄積しながらも、一定の速度で分力を受けた方向への流れを生じることができる。
【0075】
それゆえ、除去されたキャリア液は画像担持体の端部、画像形成領域の外側に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23へと逐次排出される。
【0076】
なお、本例においては、エア流により上流側に蓄積させつつ、非画像形成領域側にキャリア液を排出するための風速を確保する観点から母線50に対する法線から所定角度傾斜させた角度αとして45°の場合が示されている。なお、角度αは45°に限られず、他の角度に設定することも可能である。
【0077】
一例として、感光体ドラム1のドラム径φ80mm、画像形成領域の長手方向の幅350mmとした場合に、角度αは、2°〜45°程度に設定することが望ましい。
【0078】
なお、本例においては、エア流の風速として、一例として50m3/(min・m)の風速を供給するものとする。
【0079】
また、本例においては、画像担持体の長手方向の左側に非画像形成領域が設けられており、当該領域へ向かってキャリア液を移動させるために母線50に対する法線から所定角度右側に傾斜させた場合について説明したが、仮に、画像担持体の長手方向の右側に非画像形成領域が設けられており、当該領域へ向かってキャリア液を移動させるために母線50に対する法線から所定角度左側に傾斜させるようにすることも可能である。
【0080】
図4は、本発明の実施の形態に従う噴出し口30と画像担持体との角度を説明する図である。
【0081】
図4を参照して、エア流が噴出し口30から画像担持体に当たる位置までを結ぶエア流供給線L1と画像担持体の接線とが交わる角度βが示されている。本例においては、当該角度βは60°の場合が示されている。なお、当該角度βは60°に限られず、他の角度に設定することも可能である。なお、角度βは、20°〜80°程度に設定することが望ましい。
【0082】
キャリア液排出用の溝23からのキャリア液回収方式については後述する。
図5は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その2)について説明する図である。
【0083】
図5を参照して、ここでは、エアナイフ18の構成として、エア流の方向を画像担持体の母線50に対して傾斜させる場合が示されているが、その方向を画像担持体である感光体ドラム1の長手方向で左右に分割し、両端に向けてキャリア液を排出するよう構成したキャリア液除去方法について示している。
【0084】
具体的には、画像形成領域を2つの領域である第1および第2画像領域に分割し、エアナイフ18の噴出し口30Aからのエア流の方向を第1画像領域に対する母線に対する垂線から所定角度右側に対して傾斜させることによってキャリア液を非画像形成領域(図5では左方向)へ向かって移動させる。
【0085】
また、エアナイフ18の噴出し口30Bからのエア流の方向を第2画像領域に対する母線に対する垂線から所定角度左側に対して傾斜させることによってキャリア液を非画像形成領域(図5では右方向)へ向かって移動させる。
【0086】
その結果、図3で説明したのと同様の原理によって、キャリア液が画像担持体の端部、画像形成領域の外側に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23,25へと逐次排出される。
【0087】
図6は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その3)について説明する図である。
【0088】
図6を参照して、本発明の実施の形態においては、エアナイフ18からのエア流を非画像形成領域に向かうに従って画像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給する。
【0089】
具体的には、ここでは、エアナイフの噴出し口32が設けられており、当該吹き出し口32からのエア流が例えば、画像担持体の母線に対して垂直となるように供給されるが、そのエア流が画像担持体に当たる位置を、長手方向の外側に設けられた非画像形成領域に向かうに従って下流側の位置となるように噴出し口32を下流側に向かうに従って傾斜させた構成が示されている。
【0090】
このようにエア流を画像担持体である感光体ドラム1に供給することで、画像担持体にエア流が当たる位置の上流側に一旦蓄積したキャリア液は、画像担持体の回転によって受ける力とエアナイフによって斜めに堰きとめられる力の合力によって図6の左方向に向けて受ける。
【0091】
これにより除去されたキャリア液は、画像担持体の表面のエア流が当たる位置の上流側に蓄積しながらも、エアナイフ18のエア流が当たる位置に沿って一定の速度で図6の左方向に移動する流れが生じることになる。
【0092】
その結果、除去されたキャリア液は画像担持体の端部、画像形成領域の外側に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23へと逐次排出される。
【0093】
この場合もキャリア液排出用の溝23からのキャリア液回収方法については後述する。
この場合、エアナイフの噴出し口32を画像担持体の表面の周方向の曲率に沿うような形状にして噴出し口32の先端部と画像担持体の表面の距離とを一定になるよう構成するようにして風速を確保するようにしてもよい。
【0094】
なお、エア流が噴出し口32から画像担持体に当たる上流の位置から下流の位置までを結ぶエア流供給線L2と母線50とが交わる角度γが示されている。本例においては、当該角度γは2°の場合が示されている。なお、当該角度γは2°に限られず、他の角度に設定することも可能である。なお、角度γは、2°〜4°程度に設定することが望ましい。
【0095】
図7は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その4)について説明する図である。
【0096】
図7を参照して、図6の場合と同様、エアナイフ18からのエア流を非画像形成領域に向かうに従って画像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給する場合であり、エア流が画像担持体に当たる位置を、長手方向の外側に設けられた非画像形成領域に向かうに従って下流側の位置となるように噴出し口を下流側に向かうに従って傾斜させた方式であるが、その傾斜を画像担持体の長手方向で左右に分割し、両端に向けてキャリア液を排出するよう構成したキャリア液除去方法について示している。なお、ここでは、噴出し口33として左側噴出し口33Aと、右側噴出し口33Bとが一体で設けられている場合が示されているが、それぞれ独立に設けた構成とすることも可能である。
【0097】
具体的には、画像形成領域を2つの領域である第1および第2画像領域に分割し、エアナイフ18の噴出し口33Aからのエア流の方向を第1画像領域に対する母線に対して垂直になるように供給し、そのエア流が第1画像領域に当たる位置を、長手方向の外側に設けられた非画像形成領域(溝23側)に向かうに従って下流側の位置となるように噴出し口33Aを下流側に傾斜させる。
【0098】
また、エアナイフ18の噴出し口33Bからのエア流の方向を第2画像領域に対する母線に対して垂直になるように供給し、そのエア流が第2画像領域に当たる位置を、長手方向の外側に設けられた非画像形成領域(溝25側)に向かうに従って下流側の位置となるように噴出し口33Bを下流側に傾斜させる。
【0099】
この場合も図6で説明したのと同様の原理によって、除去されたキャリア液は、画像担持体の端部、画像形成領域の外側に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23,25へと逐次排出される。
【0100】
なお、この場合もエアナイフの噴出し口33A,33Bを画像担持体の表面の周方向の曲率に沿うような形状にして噴出し口33A,33Bの先端部と画像担持体の表面の距離とを一定になるよう構成するようにして風速を確保するようにしてもよい。
【0101】
なお、エア流が噴出し口33Aから画像担持体に当たる上流の位置から下流の位置までを結ぶエア流供給線L3と母線50とが交わる角度γ1が示されている。
【0102】
また、エア流が噴出し口33Bから画像担持体に当たる上流の位置から下流の位置までを結ぶエア流供給線L4と母線50とが交わる角度γ2が示されている。
【0103】
本例においては、当該角度γ1,γ2は2°の場合が示されている。なお、当該角度γ1,γ2は2°に限られず、他の角度に設定することも可能である。なお、角度γ1,γ2は、2°〜8°程度に設定することが望ましい。
【0104】
図8は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その5)について説明する図である。
【0105】
図8を参照して、エアナイフ18からのエア流の風速を画像担持体の長手方向において調整可能にした方式について説明する。
【0106】
具体的には、ここでは、エアナイフの噴出し口34が設けられており、当該吹き出し口34からのエア流が画像担持体の母線に対して垂直となるように供給されるが、そのエア流が画像担持体に当たる風速が画像形成領域の長手方向において調整する。この点で、エアナイフの噴出し口34からのエア流の風速が非画像形成領域に向かうに従って小さくなるように噴出し口34と画像担持体との距離を変化させる。
【0107】
一例としては、噴出し口34の先端部と画像担持体との距離が非画像形成領域に向かうに従って長くなるように噴出し口34を配置する。すなわち、そのような状態は例えば画像担持体とエアナイフ18の噴出し口34の先端部との距離を長手方向の片側で近く、反対側で遠くなるように長手方向から傾斜させることによって作り出すことができる。
【0108】
これによりエア流によって液体現像剤中から除去されたキャリア液は、画像担持体の回転方向の上流側の向きに除去される力をエア流から受けるとともに、エア流の風速の弱い方向(図8では左方向)へと少しずつ移動させられる。
【0109】
その結果、除去されたキャリア液には、画像担持体の表面のエア流が当たる位置の上流側に蓄積しながらも、一定の速度で分力を受けた方向への流れが生じ、除去されたキャリア液は、画像担持体の端部、画像形成領域の外側に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23へと逐次排出される。
【0110】
この場合もキャリア液排出用の溝からのキャリア液回収方法については後述する。
なお、本例においては、エアナイフ18の噴出し口34の風速は位置に拠らず一定で、噴出し口34の先端部と画像担持体との距離が非画像形成領域に向かうに従って長くなるように噴出し口34を配置する。すなわち、そのような状態は例えば画像担持体とエアナイフ18の噴出し口34の先端部との距離を長手方向の片側で近く、反対側で遠くなるように傾斜させることによって作り出す場合について説明したが、噴出し口34の先端部と画像担持体との距離は同じであり、非画像形成領域に向かうに従ってエアナイフ18の噴出し口34から出るエア流の風速を位置によって変化させるようにしても良い。すなわち、そのような状態は例えば画像担持体の非画像形成領域に向かうに従ってエアナイフ18の噴出し口34から出るエア流の風速が弱くなるようにすることによって作り出すことが可能である。
【0111】
図9は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その6)について説明する図である。
【0112】
図9を参照して、図8の場合と同様、エアナイフ18からのエア流の風速を画像担持体の長手方向に調整する場合であり、エア流の風速が非画像形成領域に向かうに従って小さくなるように噴出し口を長手方向から傾斜させた方式であるが、その傾斜を画像担持体の長手方向で左右に分割し、両端に向けてキャリア液を排出するよう構成したキャリア液除去方法について示している。なお、ここでは、噴出し口35として左側噴出し口35Aと、右側噴出し口35Bとが一体で設けられている場合が示されているが、それぞれ独立に設けた構成とすることも可能である。
【0113】
具体的には、画像形成領域を2つの領域である第1および第2画像領域に分割し、エアナイフ18の噴出し口35Aからのエア流の方向を第1画像領域に対する母線に対して垂直なるように供給し、噴出し口35Aの先端部と画像担持体との距離が非画像形成領域に向かうに従って長くなるように噴出し口35Aを配置する。そのような状態は、例えば画像担持体とエアナイフ18の噴出し口35Aの先端部との距離を長手方向の片側で近く、反対側で遠くなるように長手方向から傾斜させることによって作り出すことができる。
【0114】
また、エアナイフ18の噴出し口35Bからのエア流の方向を第2画像領域に対する母線に対して垂直なるように供給し、噴出し口35Bの先端部とその画像担持体との距離が非画像形成領域に向かうに従って長くなるように噴出し口35Bを配置する。そのような状態は、例えば画像担持体とエアナイフ18の噴出し口35Bの先端部との距離を長手方向の片側で近く、反対側で遠くなるように長手方向から傾斜させることによって作り出すことができる。
【0115】
この場合も図8で説明したのと同様に、キャリア液が画像担持体の端部、画像形成領域の外に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23,25へと逐次排出される。
【0116】
なお、図8で説明したのと同様に、画像担持体の非画像形成領域に向かうに従ってエアナイフ18の噴出し口35A、35Bから出るエア流の風速が弱くなるようにするようにしてもよい。
【0117】
以上、エアナイフによって除去されたキャリア液を、画像形成領域内においては、特に接触部材等で回収することなく画像担持体の端部、画像形成領域の外へ設けた非画像形成領域へと移動させる方式について示してきたが、実施に際しては、さらに上記の方式の中の任意の方法を複数組み合わせることで除去されたキャリア液の端部への流れを形成して用いても良い。
【0118】
(除去キャリア液の回収手段)
次に、上記の構成によって画像担持体の端部、非画像形成領域へと移動されたキャリア液を画像担持体上から除去する方式について説明する。
【0119】
図10は、本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するキャリア液回収機構を説明する図である。
【0120】
図10を参照して、本例においては、キャリア液回収機構として、画像担持体の端部へと排出されたキャリア液がキャリア液捕集用の溝23に流れ込んだ後に、溝23中のキャリア液を掻き取れるように設けられたキャリア液回収ブレード45が示されている。
【0121】
当該キャリア液回収ブレード45の材質は一例としてウレタンなどのゴム、金属製の板バネ材などが利用できる。
【0122】
図11は、本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去する別のキャリア液回収機構を説明する図である。
【0123】
図11(A)を参照して、本例においては、キャリア液回収機構として、キャリア液回収ブレード45によって、画像担持体から回収されたキャリア液をキャリア液回収槽47へ落下させる。そして、キャリア液回収槽47に落下したキャリア液をノズル48で吸引する方式が示されている。
【0124】
また、図11(B)を参照して、本例においては、本例においては、キャリア液回収機構として、キャリア液回収ブレード45によって、画像担持体から回収されたキャリア液を堰き止めて液溜りを生じさせ、当該液溜りをノズル48で吸引する方式が示されている。
【0125】
当該方式によっても画像担持体上からキャリア液を除去することが可能である。
なお、キャリア液回収ブレードを用いた例について説明したが、特に、必須の構成ではなく、キャリア液をノズル48のみで吸引するようにしても良い。
【0126】
図12は、本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するさらに別のキャリア液回収機構を説明する図である。
【0127】
図12を参照して、本例においては、キャリア液回収機構として、画像担持体の端部へと排出されたキャリア液がキャリア液捕集用の溝23に流れ込んだ後に、溝23中のキャリア液を吸収するように設けられたキャリア液回収ローラ46が示されている。
【0128】
キャリア液回収ローラ46は、画像担持体とカウンタ方向に回転しており、画像担持体の溝23中のキャリア液を吸収して除去する。
【0129】
キャリア液回収ローラ46は、キャリア液吸液性のある材料であればよく、多孔質のウレタン樹脂、メラミン樹脂などが利用可能である。連続的にキャリア液回収ローラによってキャリア液を除去するには、キャリア液が保持しきれなくならないようキャリア液をキャリア液回収ローラ中から排出する必要がある。そのためにはポンプなどに繋がれた吸引ノズルによってキャリア液回収ローラ46中から吸引する方法やキャリア液回収ローラに食い込ませて当接させたローラにキャリア液を転移させ、そのローラ上からブレード等でキャリア液を回収する方法などが利用可能である。
【0130】
図13は、本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去する別の方式を説明する図である。
【0131】
図13を参照して、本例においては、キャリア液捕集用の溝23が設けられておらず、非画像形成領域に移動したキャリア液を掻き取れるように設けられたキャリア液回収ブレード45が示されている。
【0132】
図14は、本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するさらに別の方式を説明する図である。
【0133】
図14を参照して、本例においては、キャリア液捕集用の溝23が設けられておらず、非画像形成領域に移動したキャリア液を吸収するように設けられたキャリア液回収ローラ46が示されている。
【0134】
当該方式においても、画像担持体側面への回り込みを許容できれば溝などを設けることなくキャリア液回収ブレードやキャリア液回収ローラなどでキャリア液を回収することも可能である。
【0135】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0136】
1 感光体ドラム、2 帯電器、3 露光器、4 液体現像装置、5 現像ローラ、6 感光体クリーニング装置、7 記録媒体、8 二次転写ローラ、9 現像剤槽、10 湿式画像形成装置、11 中間転写体クリーニング装置、12 中間転写体、13 イレーサランプ、14a 定着ローラ、17 現像ローラクリーニング装置、18,19 エアナイフ、20 規制部材、21 搬送ローラ、22 供給ローラ、23,25 溝。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、現像装置を用いて感光体上に静電潜像がトナーにより現像される。そして、例えば、感光体上に現像された静電潜像が記録用紙に転写されて画像が形成されることになる。このような画像形成装置の転写プロセスでは、一般に静電転写方式が採用されている。
【0003】
トナー像を被転写体である用紙に転写する場合は、感光体に対向するように配置された用紙の裏面から転写ローラ等により電圧を印加し、感光体と記録用紙との間に電界を形成してこの電界によりトナー像を記録用紙に静電吸着させている。
【0004】
そして、その後、定着装置により加圧定着することにより転写されたトナー像を記録用紙に定着させている。
【0005】
一方で、近年、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー像の乱れが生じにくい液体現像剤を用いた湿式現像装置が知られている。当該液体現像剤は、パラフィン系溶媒等をキャリア液にトナーを分散させたものが用いられており、現像や転写工程においては、キャリア液とトナーとで構成されるトナー層中において電界による泳動でトナーを移動させ記録用紙に画像を転写させている。
【0006】
この静電潜像をトナーとキャリア液からなる液体現像剤を用いて現像する湿式画像形成装置においては、現像装置を通過した後の画像担持体(例えば感光体などの像担持体や像担持体から画像を受け取り液体現像剤を紙へ転写するための中間転写体など)の表面にキャリア液が残留することが避けられず、この残留キャリア液を放置すると、そのキャリア液が紙へと移行して紙の裏写りなどの画像品質の低下が生じる問題がある。
【0007】
一方で、キャリア液として揮発性溶媒を用いた場合は揮発性溶媒の気中への散逸による安全性の懸念などの不具合が生じる。
【0008】
このため、従来より現像装置によって画像担持体の表面にトナー像を形成した後、この画像担持体の表面に残留する余剰の液体現像剤をいわゆるブレード装置、コロナスクイズ装置、エアナイフ装置等の余剰液体現像剤除去装置によって除去するようにしている。
【0009】
そして、これらの余剰液体現像剤除去装置の中でも、特にエアナイフ装置を用いた除去装置は、画像担持体の表面のトナー像を乱すことが少なく、構成が比較的簡単であるという利点を有しているため広く利用されている。
【0010】
エアナイフによるキャリア液除去では一般にトナーに荷電を付与しておくことで液体現像剤中のトナーを画像担持体の表面に鏡像力によって移動させておき、上澄みとなったキャリア液のみをエアナイフのエア流によって液体現像剤の移動方向の上流側、すなわち画像担持体の回転方向の上流側へと押し戻し、下流プロセスへと供給される液体現像剤中からキャリア液を除去する方法がとられる。
【0011】
しかしながら、除去されたキャリア液はエアナイフのエア流衝突部の上流に蓄積していくため、実用上はこの蓄積されたキャリア液を画像担持体の表面から除去するための機構が必要になる。
【0012】
従来、この蓄積キャリア液の除去方法としては、以下のような方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、画像担持体のエアナイフのエア流が当たり除去されたキャリア液溜まりができる位置にキャリア液回収ローラを設け、除去したキャリア液を画像担持体上から排出する方式が開示されている。この方法ではキャリア液の排出はできるものの、画像形成領域において液回収ローラによる画像乱れが発生する恐れがあり、エアナイフの利点である画像担持体の表面のトナー像を乱さないというメリットが損なわれてしまう可能性がある。
【0013】
また、特許文献2には、エアナイフによって除去されたキャリア液が画像担持体の下端位置に溜まるようにエアナイフのエア流が当たる位置をレイアウトし、除去されたキャリア液が重力によって画像担持体の下端から排出されるように構成される方式が開示されている。この方法では画像担持体の表面のトナー像を乱さないというエアナイフのメリットは確保できるものの、エアナイフの配置が装置レイアウト上の大きな障害となる。
【0014】
特にエアナイフの設置対象となる画像担持体として像担持体を選択した場合においては、像担持体上には帯電、露光、現像、転写、クリーニング、イレースなどの多数のプロセスを配置する必要があり、エアナイフの設置位置の自由度のなさは装置設計上問題となる場合が多い。画像担持体として中間転写体を選択した場合においても、エアナイフの設置位置の自由度のなさは中間転写体の小型化の障害となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−296912号公報
【特許文献2】特開平10−339990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、設置位置の自由度が高く、かつ画像の乱れを発生することなくキャリア液を除去することが可能な湿式画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いる湿式画像形成装置であって、外面が円筒形状であって、長手方向における画像形成領域において現像されたトナー像を担持する像担持体と、像担持体に対して、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から余剰のキャリア液を除去するためのエアナイフとを備え、エアナイフのエア流は、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から除去したキャリア液が像担持体の画像形成領域よりも長手方向の外側に設けられる非画像形成領域に向かって移動するように供給される。
【0018】
好ましくは、エアナイフのエア流の方向を像担持体の母線に対する法線から傾斜させることによってキャリア液を非画像形成領域へ向かって移動させる。
【0019】
特に、エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、画像形成領域は、像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、非画像形成領域は、像担持体の長手方向における画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、エアナイフの第1のエア流の方向を像担持体の第1の画像領域に対する母線に対する法線から傾斜させることによってキャリア液を第1の端部領域へ向かって移動させ、エアナイフの第2のエア流の方向を像担持体の第2の画像領域に対する母線に対する法線から傾斜させることによってキャリア液を第2の端部領域へ向かって移動させる。
【0020】
好ましくは、エアナイフのエア流を非画像形成領域に向かうに従って像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによってキャリア液を非画像形成領域へ向かって移動させる。
【0021】
特に、エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、画像形成領域は、像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、非画像形成領域は、像担持体の長手方向における画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、エアナイフの第1のエア流を第1の端部領域に向かうに従って像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによってキャリア液を第1の端部領域へ向かって移動させ、エアナイフの第2のエア流を第2の端部領域に向かうに従って像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによってキャリア液を第2の端部領域へ向かって移動させる。
【0022】
好ましくは、エアナイフのエア流の風速は、像担持体の長手方向において調整可能に設けられ、エアナイフのエア流の風速を非画像形成領域に向かって小さくなるように供給することによってキャリア液を非画像形成領域へ向かって移動させる。
【0023】
特に、エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、画像形成領域は、像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、非画像形成領域は、像担持体の長手方向における画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、エアナイフの第1のエア流を第1の端部領域に向かって小さくなるように供給することによってキャリア液を第1の端部領域へ向かって移動させ、エアナイフの第2のエア流を第2の端部領域に向かって小さくなるように供給することによってキャリア液を第2の端部領域へ向かって移動させる。
【0024】
好ましくは、像担持体の非画像形成領域にはキャリア液除去用の溝が設けられる。
好ましくは、像担持体の非画像形成領域において、エアナイフのエア流によって除去したキャリア液を回収するキャリア液回収手段をさらに備える。
【0025】
特に、キャリア液回収手段は、キャリア液を非画像形成領域から掻き取るためのブレードである。
【0026】
特に、キャリア液回収手段は、キャリア液を非画像形成領域から吸収除去するための液吸収ローラである。
【0027】
特に、キャリア液回収手段は、キャリア液を非画像形成領域から吸引除去するための吸引ノズルである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、像担持体に対して、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から余剰のキャリア液を除去するためのエアナイフとを設け、エアナイフのエア流は、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から除去したキャリア液が像担持体の画像形成領域よりも長手方向の外側に設けられる非画像形成領域に向かって移動するように供給されることにより、画像の乱れを発生することなく、かつ設計位置によらずにキャリア液を除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置10の全体構成について説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う液体現像装置の構成について説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その1)について説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う噴出し口30と画像担持体との角度を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その2)について説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その3)について説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その4)について説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その5)について説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その6)について説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するキャリア液回収機構を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去する別のキャリア液回収機構を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するさらに別のキャリア液回収機構を説明する図である。
【図13】本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去する別の方式を説明する図である。
【図14】本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するさらに別の方式を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
【0031】
(湿式画像形成装置の全体構成と動作の例)
図1は、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置10の全体構成について説明する図である。
【0032】
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置10においては、液体現像装置4、感光体ドラム1が1つずつの単色の画像形成装置を示しているが、それらを中間転写体12の周囲に複数設置したり、液体現像装置4、感光体ドラム1、中間転写体12、二次転写ローラ8を破線で示した記録媒体通紙経路に対して複数設置することで同様の動作でカラーの画像形成装置にも本発明は適用可能である。ここでは図1を用いて、本発明に関わる湿式画像形成装置の全体構成を説明する。但し、図では主として画像形成プロセスに関わる構成要素のみを図示した。記録媒体の給紙、搬送、排紙に関わる構成要素は簡略的に示した。
【0033】
なお、本実施形態では中間転写体として円筒状のドラムを用いているが、中間転写体12はベルト状のものを用いても良い。また中間転写体12はなくても良い。その他従来から用いられる各プロセス技術は、画像形成装置の目的に応じて任意の構成を取ることができる。
【0034】
本例において、作像部は、像担持体としての感光体ドラム1、帯電器2、露光器3、液体現像装置4、感光体クリーニング装置6を備える。
【0035】
感光体ドラム1は、表面に感光体層(不図示)が形成された円筒形状であって、図1における矢印A方向に回転駆動する。感光体ドラム1の外周には、感光体クリーニング装置6、帯電器2、露光器3、液体現像装置4、エアナイフ18及び中間転写体12が、感光体ドラム1の回転方向に沿って順次配置されている。
【0036】
帯電器2は、感光体ドラム1の表面を所定電位に帯電させる。
露光器3は、感光体ドラム1の表面に光を照射し、照射領域内の帯電レベルを低下させて静電潜像を形成する。
【0037】
液体現像装置4は、感光体ドラム1上に形成された潜像を現像する。すなわち、感光体ドラム1の現像領域へ液体現像剤を搬送し、その液体現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム1の表面の静電潜像に供給してトナー像を形成する。
【0038】
現像のプロセスにおいては、液体現像装置4の現像ローラ5に電源(不図示)から現像バイアス電圧が印加される。感光体ドラム1上の潜像の電位とのバランスで生じた電界に従って液体現像剤中のトナーが感光体ドラム1の潜像部分に静電吸着され、感光体ドラム1上の潜像が現像される。画像形成された液体現像剤中から感光体上でキャリア液を除去する場合には現像後に感光体ドラムに対向して設けられるエアナイフ18によるキャリア液除去(スクイズ)が行われる。この工程の詳細については後述する。
【0039】
図1の湿式画像形成装置において、中間転写部は、中間転写体12、二次転写ローラ8、中間転写体クリーニング装置11を備える。
【0040】
中間転写体12は、感光体ドラム1と対向するように配置されており、感光体ドラム1と接触しながら矢印B方向に回転する。これら中間転写体12と感光体ドラム1とのニップ部で、感光体ドラム1から中間転写体12への一次転写が行われる。
【0041】
一次転写プロセスにおいては、中間転写体12に、電源(不図示)から転写バイアス電圧が印加される。これにより、一次転写位置における中間転写体12と感光体ドラム1との間に電界が形成され、感光体ドラム1上のトナー像が、中間転写体12に静電吸着され、中間転写体12上に転写される。
【0042】
トナー像が中間転写体12に転写されると、感光体クリーニング装置6が感光体ドラム1上の残存トナーを除去し、次の画像形成が行われる。必要に応じて、感光体クリーニング装置6と帯電器2との間にはイレーサランプ13が設置される。
【0043】
画像形成された液体現像剤中から中間転写体上でキャリア液を除去する場合には一次転写後に中間転写体に対向して設けられるエアナイフ19によるキャリア液除去(スクイズ)が行われる。この工程の詳細については後述する。
【0044】
中間転写体12と二次転写ローラ8とは、記録材としての記録媒体7を挟んで対向するように配置されており、記録媒体7を介して接触回転する。これら中間転写体12と二次転写ローラ8とのニップ部で、中間転写体12から記録媒体7への二次転写が行われる。
【0045】
記録媒体7は、二次転写のタイミングに合わせて二次転写位置へ矢印C方向に搬送される。
【0046】
二次転写プロセスにおいては、二次転写ローラ8に、電源(不図示)から転写バイアス電圧が印加される。これにより、中間転写体12と二次転写ローラ8との間に電界が形成され、中間転写体12と二次転写ローラ8との間を通過させた記録媒体7上へ中間転写体12上のトナー像が静電吸着され、記録媒体7上に転写される。
【0047】
トナー像が記録媒体7上に転写されると、中間転写体クリーニング装置11が中間転写体12上の残存トナーを除去し、次の一次転写が行われる。
【0048】
定着部は、対向配置され接触回転する一対の定着ローラ14a、14bを備える。定着ローラ14a、14bには、それぞれ熱源が設けられており、定着ローラ14a、14b間を記録媒体7が通過すると、その記録媒体7が高温下で加圧される。これにより、記録媒体7上でトナー像を形成するトナーが記録媒体7に融着し定着する。
【0049】
(液体現像剤の構成)
次に、液体現像剤の構成について説明する。
【0050】
ここで、液体現像剤は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナー粒子と、トナー粒子を分散させる分散剤とを主要成分としている。
【0051】
キャリア液としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば特に制限することなく使用することができるが、例えば、キャリア液として、イソパラフィン系のアイソパー(G、H、L、Mなど)(エクソンモビール)、IPソルベント(1620、2028、2835など)(出光興産)や、パラフィン系のモレスコホワイト(P−40,P−70,P−120)(松村石油研究所)を挙げることができる。また、シリコンオイル、ミネラルオイルを用いることも可能である。
【0052】
トナー粒子は、主として、樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料を樹脂中に均一に分散させる機能と、記録用紙に定着させる際のバインダとしての機能がある。
【0053】
トナー粒子としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナー用結着樹脂としては、たとえばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。またこれらの樹脂を複数、混合して用いることも可能である。
【0054】
また、トナーの着色に用いられる顔料および染料も一般に市販されているものを用いることができる。たとえば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としてはソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0055】
液体現像剤の調整方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調整することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ローラミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。そして、得られたトナー粒子をキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0056】
トナーの平均粒径は、湿式画像形成方式を採用しているため、0.1μm〜5μmとすることが可能である。0.1μm未満では現像性が大きく低下し、5μmより大きい粒径では画像品位が低下するため、0.1〜5μmに設定することが望ましい。
【0057】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜50%程度が適当である。
【0058】
10%未満の場合、トナー粒子に沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題があり、また、必要な画像濃度を得るため、多量の液体現像剤を供給する必要があり、記録用紙に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥させた際の蒸気の処理が問題となる可能性がある。一方で、50%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も取り扱いが困難になる可能性がある。
【0059】
液体現像剤の粘度は、25℃において、0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が望ましい。10000mPa・sより大きくなると液体現像剤の攪拌や送液等の取り扱いが困難となり、均一な液体現像剤を供給する装置の負担が大きくなる可能性がある。
【0060】
(液体現像装置4の構成と動作)
図2は、本発明の実施の形態に従う液体現像装置の構成について説明する図である。
【0061】
図2を参照して、液体現像装置4は、現像ローラ5、搬送ローラ21、供給ローラ22、現像ローラクリーニング装置17、現像剤槽9、規制部材20とを備える。
【0062】
現像剤槽9には、上述の液体現像剤が収容されている。
供給ローラ22は、現像剤槽9内の液体現像剤に浸漬するよう配置され、矢印方向に回転し、現像剤槽9から液体現像剤をくみ上げる。高粘度の液体現像剤はその粘着力で供給ローラ22の表面に付着した状態で搬送される。
【0063】
規制部材20は、供給ローラ22の材質に応じて金属やゴムのブレードが用いられ、図のように供給ローラ22に対向して、その回転に対してカウンタ方向に当接して配置され、供給ローラ22の表面に付着して搬送される液体現像剤の量を規制するものである。
【0064】
搬送ローラ21としては、ゴムローラが好適である。搬送ローラ21は供給ローラ22に対向して配置され、当接しながら回転する。このニップ部で、供給ローラ22の表面に形成された液体現像剤の薄層は搬送ローラ21の表面に写し取られ、現像剤担持体としての現像ローラ5へ向かって搬送される。
【0065】
現像ローラ5としては低硬度のゴムローラが用いられる。現像ローラ5は搬送ローラ21に対向して配置され、当接しながら回転する。このニップ部で、搬送ローラ21の表面に搬送された液体現像剤の薄層は、現像ローラ5に掻き取られ、現像ローラ5の表面に液体現像剤の薄層が担持、搬送されることになる。
【0066】
現像ローラ5は、像担持体である感光体ドラム1とも当接して回転しており、感光体ドラム1とのニップ部、すなわち現像領域に搬送された液体現像剤の薄層は、感光体ドラム1上の潜像を現像することになる。
【0067】
しかしながら、感光体ドラム1の潜像を現像した後も、現像ローラ5の表面には液体現像剤の薄層が残存する。現像ローラクリーニング装置17はこの残存した液体現像剤のクリーニングのために設けられる。
【0068】
上記説明において、液体現像装置4の構成としては、搬送ローラ21を省略し、現像ローラ5がその機能を合わせ持ってもよい。すなわち、供給ローラ22から直接、現像ローラ5に液体現像剤を転移させる方法を採ることも可能である。
【0069】
(キャリア液除去(スクイズ)装置の構成と動作)
次に、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成について説明する。
【0070】
図3は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その1)について説明する図である。
【0071】
図3を参照して、ここでは、本発明の実施の形態に従う画像形成装置の中から、キャリア液除去手段に関係する感光体ドラム1およびエアナイフ18が抜き出されている。なお、以下においても同様であるが、中間転写体12およびエアナイフ19においても同様に適用することが可能である。なお、感光体ドラム1は、回転軸24に従って回転する。
【0072】
本発明の実施の形態に従うエアナイフのエア流の液体現像剤への供給方法については、従来のように、画像担持体の母線50に対して垂直にエア流の流束が向くように供給して、画像担持体の回転上流側へキャリア液が蓄積されるようにするのではなく、エアナイフのエア流は、現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から除去したキャリア液が画像担持体の画像形成領域よりも長手方向の外側に設けられる非画像形成領域に向かって移動するように供給される。
【0073】
ここでは、一例として、エアナイフ18の噴出し口30からエア流の方向を画像担持体の母線50に対して傾斜させることによってキャリア液を非画像形成領域へ向かって移動させる方式が示されている。
【0074】
その結果、液体現像剤中から除去されたキャリア液は、画像担持体の回転方向の上流側の向きに除去される力をエア流から受けると同時に、一方の長手方向(図3では左方向)へと横移動させられる分力をエア流から受けることになる。すなわち、除去されたキャリア液は画像担持体表面のエア流が当たる位置の上流側に蓄積しながらも、一定の速度で分力を受けた方向への流れを生じることができる。
【0075】
それゆえ、除去されたキャリア液は画像担持体の端部、画像形成領域の外側に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23へと逐次排出される。
【0076】
なお、本例においては、エア流により上流側に蓄積させつつ、非画像形成領域側にキャリア液を排出するための風速を確保する観点から母線50に対する法線から所定角度傾斜させた角度αとして45°の場合が示されている。なお、角度αは45°に限られず、他の角度に設定することも可能である。
【0077】
一例として、感光体ドラム1のドラム径φ80mm、画像形成領域の長手方向の幅350mmとした場合に、角度αは、2°〜45°程度に設定することが望ましい。
【0078】
なお、本例においては、エア流の風速として、一例として50m3/(min・m)の風速を供給するものとする。
【0079】
また、本例においては、画像担持体の長手方向の左側に非画像形成領域が設けられており、当該領域へ向かってキャリア液を移動させるために母線50に対する法線から所定角度右側に傾斜させた場合について説明したが、仮に、画像担持体の長手方向の右側に非画像形成領域が設けられており、当該領域へ向かってキャリア液を移動させるために母線50に対する法線から所定角度左側に傾斜させるようにすることも可能である。
【0080】
図4は、本発明の実施の形態に従う噴出し口30と画像担持体との角度を説明する図である。
【0081】
図4を参照して、エア流が噴出し口30から画像担持体に当たる位置までを結ぶエア流供給線L1と画像担持体の接線とが交わる角度βが示されている。本例においては、当該角度βは60°の場合が示されている。なお、当該角度βは60°に限られず、他の角度に設定することも可能である。なお、角度βは、20°〜80°程度に設定することが望ましい。
【0082】
キャリア液排出用の溝23からのキャリア液回収方式については後述する。
図5は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その2)について説明する図である。
【0083】
図5を参照して、ここでは、エアナイフ18の構成として、エア流の方向を画像担持体の母線50に対して傾斜させる場合が示されているが、その方向を画像担持体である感光体ドラム1の長手方向で左右に分割し、両端に向けてキャリア液を排出するよう構成したキャリア液除去方法について示している。
【0084】
具体的には、画像形成領域を2つの領域である第1および第2画像領域に分割し、エアナイフ18の噴出し口30Aからのエア流の方向を第1画像領域に対する母線に対する垂線から所定角度右側に対して傾斜させることによってキャリア液を非画像形成領域(図5では左方向)へ向かって移動させる。
【0085】
また、エアナイフ18の噴出し口30Bからのエア流の方向を第2画像領域に対する母線に対する垂線から所定角度左側に対して傾斜させることによってキャリア液を非画像形成領域(図5では右方向)へ向かって移動させる。
【0086】
その結果、図3で説明したのと同様の原理によって、キャリア液が画像担持体の端部、画像形成領域の外側に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23,25へと逐次排出される。
【0087】
図6は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その3)について説明する図である。
【0088】
図6を参照して、本発明の実施の形態においては、エアナイフ18からのエア流を非画像形成領域に向かうに従って画像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給する。
【0089】
具体的には、ここでは、エアナイフの噴出し口32が設けられており、当該吹き出し口32からのエア流が例えば、画像担持体の母線に対して垂直となるように供給されるが、そのエア流が画像担持体に当たる位置を、長手方向の外側に設けられた非画像形成領域に向かうに従って下流側の位置となるように噴出し口32を下流側に向かうに従って傾斜させた構成が示されている。
【0090】
このようにエア流を画像担持体である感光体ドラム1に供給することで、画像担持体にエア流が当たる位置の上流側に一旦蓄積したキャリア液は、画像担持体の回転によって受ける力とエアナイフによって斜めに堰きとめられる力の合力によって図6の左方向に向けて受ける。
【0091】
これにより除去されたキャリア液は、画像担持体の表面のエア流が当たる位置の上流側に蓄積しながらも、エアナイフ18のエア流が当たる位置に沿って一定の速度で図6の左方向に移動する流れが生じることになる。
【0092】
その結果、除去されたキャリア液は画像担持体の端部、画像形成領域の外側に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23へと逐次排出される。
【0093】
この場合もキャリア液排出用の溝23からのキャリア液回収方法については後述する。
この場合、エアナイフの噴出し口32を画像担持体の表面の周方向の曲率に沿うような形状にして噴出し口32の先端部と画像担持体の表面の距離とを一定になるよう構成するようにして風速を確保するようにしてもよい。
【0094】
なお、エア流が噴出し口32から画像担持体に当たる上流の位置から下流の位置までを結ぶエア流供給線L2と母線50とが交わる角度γが示されている。本例においては、当該角度γは2°の場合が示されている。なお、当該角度γは2°に限られず、他の角度に設定することも可能である。なお、角度γは、2°〜4°程度に設定することが望ましい。
【0095】
図7は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その4)について説明する図である。
【0096】
図7を参照して、図6の場合と同様、エアナイフ18からのエア流を非画像形成領域に向かうに従って画像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給する場合であり、エア流が画像担持体に当たる位置を、長手方向の外側に設けられた非画像形成領域に向かうに従って下流側の位置となるように噴出し口を下流側に向かうに従って傾斜させた方式であるが、その傾斜を画像担持体の長手方向で左右に分割し、両端に向けてキャリア液を排出するよう構成したキャリア液除去方法について示している。なお、ここでは、噴出し口33として左側噴出し口33Aと、右側噴出し口33Bとが一体で設けられている場合が示されているが、それぞれ独立に設けた構成とすることも可能である。
【0097】
具体的には、画像形成領域を2つの領域である第1および第2画像領域に分割し、エアナイフ18の噴出し口33Aからのエア流の方向を第1画像領域に対する母線に対して垂直になるように供給し、そのエア流が第1画像領域に当たる位置を、長手方向の外側に設けられた非画像形成領域(溝23側)に向かうに従って下流側の位置となるように噴出し口33Aを下流側に傾斜させる。
【0098】
また、エアナイフ18の噴出し口33Bからのエア流の方向を第2画像領域に対する母線に対して垂直になるように供給し、そのエア流が第2画像領域に当たる位置を、長手方向の外側に設けられた非画像形成領域(溝25側)に向かうに従って下流側の位置となるように噴出し口33Bを下流側に傾斜させる。
【0099】
この場合も図6で説明したのと同様の原理によって、除去されたキャリア液は、画像担持体の端部、画像形成領域の外側に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23,25へと逐次排出される。
【0100】
なお、この場合もエアナイフの噴出し口33A,33Bを画像担持体の表面の周方向の曲率に沿うような形状にして噴出し口33A,33Bの先端部と画像担持体の表面の距離とを一定になるよう構成するようにして風速を確保するようにしてもよい。
【0101】
なお、エア流が噴出し口33Aから画像担持体に当たる上流の位置から下流の位置までを結ぶエア流供給線L3と母線50とが交わる角度γ1が示されている。
【0102】
また、エア流が噴出し口33Bから画像担持体に当たる上流の位置から下流の位置までを結ぶエア流供給線L4と母線50とが交わる角度γ2が示されている。
【0103】
本例においては、当該角度γ1,γ2は2°の場合が示されている。なお、当該角度γ1,γ2は2°に限られず、他の角度に設定することも可能である。なお、角度γ1,γ2は、2°〜8°程度に設定することが望ましい。
【0104】
図8は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その5)について説明する図である。
【0105】
図8を参照して、エアナイフ18からのエア流の風速を画像担持体の長手方向において調整可能にした方式について説明する。
【0106】
具体的には、ここでは、エアナイフの噴出し口34が設けられており、当該吹き出し口34からのエア流が画像担持体の母線に対して垂直となるように供給されるが、そのエア流が画像担持体に当たる風速が画像形成領域の長手方向において調整する。この点で、エアナイフの噴出し口34からのエア流の風速が非画像形成領域に向かうに従って小さくなるように噴出し口34と画像担持体との距離を変化させる。
【0107】
一例としては、噴出し口34の先端部と画像担持体との距離が非画像形成領域に向かうに従って長くなるように噴出し口34を配置する。すなわち、そのような状態は例えば画像担持体とエアナイフ18の噴出し口34の先端部との距離を長手方向の片側で近く、反対側で遠くなるように長手方向から傾斜させることによって作り出すことができる。
【0108】
これによりエア流によって液体現像剤中から除去されたキャリア液は、画像担持体の回転方向の上流側の向きに除去される力をエア流から受けるとともに、エア流の風速の弱い方向(図8では左方向)へと少しずつ移動させられる。
【0109】
その結果、除去されたキャリア液には、画像担持体の表面のエア流が当たる位置の上流側に蓄積しながらも、一定の速度で分力を受けた方向への流れが生じ、除去されたキャリア液は、画像担持体の端部、画像形成領域の外側に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23へと逐次排出される。
【0110】
この場合もキャリア液排出用の溝からのキャリア液回収方法については後述する。
なお、本例においては、エアナイフ18の噴出し口34の風速は位置に拠らず一定で、噴出し口34の先端部と画像担持体との距離が非画像形成領域に向かうに従って長くなるように噴出し口34を配置する。すなわち、そのような状態は例えば画像担持体とエアナイフ18の噴出し口34の先端部との距離を長手方向の片側で近く、反対側で遠くなるように傾斜させることによって作り出す場合について説明したが、噴出し口34の先端部と画像担持体との距離は同じであり、非画像形成領域に向かうに従ってエアナイフ18の噴出し口34から出るエア流の風速を位置によって変化させるようにしても良い。すなわち、そのような状態は例えば画像担持体の非画像形成領域に向かうに従ってエアナイフ18の噴出し口34から出るエア流の風速が弱くなるようにすることによって作り出すことが可能である。
【0111】
図9は、本発明の実施の形態に従うキャリア液除去(スクイズ)装置の構成(その6)について説明する図である。
【0112】
図9を参照して、図8の場合と同様、エアナイフ18からのエア流の風速を画像担持体の長手方向に調整する場合であり、エア流の風速が非画像形成領域に向かうに従って小さくなるように噴出し口を長手方向から傾斜させた方式であるが、その傾斜を画像担持体の長手方向で左右に分割し、両端に向けてキャリア液を排出するよう構成したキャリア液除去方法について示している。なお、ここでは、噴出し口35として左側噴出し口35Aと、右側噴出し口35Bとが一体で設けられている場合が示されているが、それぞれ独立に設けた構成とすることも可能である。
【0113】
具体的には、画像形成領域を2つの領域である第1および第2画像領域に分割し、エアナイフ18の噴出し口35Aからのエア流の方向を第1画像領域に対する母線に対して垂直なるように供給し、噴出し口35Aの先端部と画像担持体との距離が非画像形成領域に向かうに従って長くなるように噴出し口35Aを配置する。そのような状態は、例えば画像担持体とエアナイフ18の噴出し口35Aの先端部との距離を長手方向の片側で近く、反対側で遠くなるように長手方向から傾斜させることによって作り出すことができる。
【0114】
また、エアナイフ18の噴出し口35Bからのエア流の方向を第2画像領域に対する母線に対して垂直なるように供給し、噴出し口35Bの先端部とその画像担持体との距離が非画像形成領域に向かうに従って長くなるように噴出し口35Bを配置する。そのような状態は、例えば画像担持体とエアナイフ18の噴出し口35Bの先端部との距離を長手方向の片側で近く、反対側で遠くなるように長手方向から傾斜させることによって作り出すことができる。
【0115】
この場合も図8で説明したのと同様に、キャリア液が画像担持体の端部、画像形成領域の外に設けた非画像形成領域のキャリア液排出用の溝23,25へと逐次排出される。
【0116】
なお、図8で説明したのと同様に、画像担持体の非画像形成領域に向かうに従ってエアナイフ18の噴出し口35A、35Bから出るエア流の風速が弱くなるようにするようにしてもよい。
【0117】
以上、エアナイフによって除去されたキャリア液を、画像形成領域内においては、特に接触部材等で回収することなく画像担持体の端部、画像形成領域の外へ設けた非画像形成領域へと移動させる方式について示してきたが、実施に際しては、さらに上記の方式の中の任意の方法を複数組み合わせることで除去されたキャリア液の端部への流れを形成して用いても良い。
【0118】
(除去キャリア液の回収手段)
次に、上記の構成によって画像担持体の端部、非画像形成領域へと移動されたキャリア液を画像担持体上から除去する方式について説明する。
【0119】
図10は、本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するキャリア液回収機構を説明する図である。
【0120】
図10を参照して、本例においては、キャリア液回収機構として、画像担持体の端部へと排出されたキャリア液がキャリア液捕集用の溝23に流れ込んだ後に、溝23中のキャリア液を掻き取れるように設けられたキャリア液回収ブレード45が示されている。
【0121】
当該キャリア液回収ブレード45の材質は一例としてウレタンなどのゴム、金属製の板バネ材などが利用できる。
【0122】
図11は、本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去する別のキャリア液回収機構を説明する図である。
【0123】
図11(A)を参照して、本例においては、キャリア液回収機構として、キャリア液回収ブレード45によって、画像担持体から回収されたキャリア液をキャリア液回収槽47へ落下させる。そして、キャリア液回収槽47に落下したキャリア液をノズル48で吸引する方式が示されている。
【0124】
また、図11(B)を参照して、本例においては、本例においては、キャリア液回収機構として、キャリア液回収ブレード45によって、画像担持体から回収されたキャリア液を堰き止めて液溜りを生じさせ、当該液溜りをノズル48で吸引する方式が示されている。
【0125】
当該方式によっても画像担持体上からキャリア液を除去することが可能である。
なお、キャリア液回収ブレードを用いた例について説明したが、特に、必須の構成ではなく、キャリア液をノズル48のみで吸引するようにしても良い。
【0126】
図12は、本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するさらに別のキャリア液回収機構を説明する図である。
【0127】
図12を参照して、本例においては、キャリア液回収機構として、画像担持体の端部へと排出されたキャリア液がキャリア液捕集用の溝23に流れ込んだ後に、溝23中のキャリア液を吸収するように設けられたキャリア液回収ローラ46が示されている。
【0128】
キャリア液回収ローラ46は、画像担持体とカウンタ方向に回転しており、画像担持体の溝23中のキャリア液を吸収して除去する。
【0129】
キャリア液回収ローラ46は、キャリア液吸液性のある材料であればよく、多孔質のウレタン樹脂、メラミン樹脂などが利用可能である。連続的にキャリア液回収ローラによってキャリア液を除去するには、キャリア液が保持しきれなくならないようキャリア液をキャリア液回収ローラ中から排出する必要がある。そのためにはポンプなどに繋がれた吸引ノズルによってキャリア液回収ローラ46中から吸引する方法やキャリア液回収ローラに食い込ませて当接させたローラにキャリア液を転移させ、そのローラ上からブレード等でキャリア液を回収する方法などが利用可能である。
【0130】
図13は、本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去する別の方式を説明する図である。
【0131】
図13を参照して、本例においては、キャリア液捕集用の溝23が設けられておらず、非画像形成領域に移動したキャリア液を掻き取れるように設けられたキャリア液回収ブレード45が示されている。
【0132】
図14は、本発明の実施の形態に従うキャリア液を画像担持体上から除去するさらに別の方式を説明する図である。
【0133】
図14を参照して、本例においては、キャリア液捕集用の溝23が設けられておらず、非画像形成領域に移動したキャリア液を吸収するように設けられたキャリア液回収ローラ46が示されている。
【0134】
当該方式においても、画像担持体側面への回り込みを許容できれば溝などを設けることなくキャリア液回収ブレードやキャリア液回収ローラなどでキャリア液を回収することも可能である。
【0135】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0136】
1 感光体ドラム、2 帯電器、3 露光器、4 液体現像装置、5 現像ローラ、6 感光体クリーニング装置、7 記録媒体、8 二次転写ローラ、9 現像剤槽、10 湿式画像形成装置、11 中間転写体クリーニング装置、12 中間転写体、13 イレーサランプ、14a 定着ローラ、17 現像ローラクリーニング装置、18,19 エアナイフ、20 規制部材、21 搬送ローラ、22 供給ローラ、23,25 溝。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いる湿式画像形成装置であって、
外面が円筒形状であって、長手方向における画像形成領域において現像されたトナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に対して、前記現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から余剰のキャリア液を除去するためのエアナイフとを備え、
前記エアナイフのエア流は、前記現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から除去したキャリア液が前記像担持体の前記画像形成領域よりも前記長手方向の外側に設けられる非画像形成領域に向かって移動するように供給される、湿式画像形成装置。
【請求項2】
前記エアナイフのエア流の方向を前記像担持体の母線に対する法線から傾斜させることによって前記キャリア液を前記非画像形成領域へ向かって移動させる、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項3】
前記エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、
前記画像形成領域は、前記像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、
前記非画像形成領域は、前記像担持体の長手方向における前記画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、
前記エアナイフの前記第1のエア流の方向を前記像担持体の前記第1の画像領域に対する母線に対する法線から傾斜させることによって前記キャリア液を前記第1の端部領域へ向かって移動させ、
前記エアナイフの前記第2のエア流の方向を前記像担持体の前記第2の画像領域に対する母線に対する法線から傾斜させることによって前記キャリア液を前記第2の端部領域へ向かって移動させる、請求項2記載の湿式画像形成装置。
【請求項4】
前記エアナイフのエア流を前記非画像形成領域に向かうに従って前記像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによって前記キャリア液を前記非画像形成領域へ向かって移動させる、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項5】
前記エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、
前記画像形成領域は、前記像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、
前記非画像形成領域は、前記像担持体の長手方向における前記画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、
前記エアナイフの前記第1のエア流を前記第1の端部領域に向かうに従って前記像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによって前記キャリア液を前記第1の端部領域へ向かって移動させ、
前記エアナイフの前記第2のエア流を前記第2の端部領域に向かうに従って前記像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによって前記キャリア液を前記第2の端部領域へ向かって移動させる、請求項4記載の湿式画像形成装置。
【請求項6】
前記エアナイフのエア流の風速は、前記像担持体の前記長手方向において調整可能に設けられ、
前記エアナイフのエア流の風速を前記非画像形成領域に向かって小さくなるように供給することによって前記キャリア液を前記非画像形成領域へ向かって移動させる、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項7】
前記エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、
前記画像形成領域は、前記像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、
前記非画像形成領域は、前記像担持体の長手方向における前記画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、
前記エアナイフの前記第1のエア流を前記第1の端部領域に向かって小さくなるように供給することによって前記キャリア液を前記第1の端部領域へ向かって移動させ、
前記エアナイフの前記第2のエア流を前記第2の端部領域に向かって小さくなるように供給することによって前記キャリア液を前記第2の端部領域へ向かって移動させる、請求項6記載の湿式画像形成装置。
【請求項8】
前記像担持体の前記非画像形成領域にはキャリア液除去用の溝が設けられる、請求項1〜7のいずれかに記載の湿式画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体の非画像形成領域において、前記エアナイフのエア流によって除去したキャリア液を回収するキャリア液回収手段をさらに備える、請求項1〜8のいずれかに記載の湿式画像形成装置。
【請求項10】
前記キャリア液回収手段は、前記キャリア液を前記非画像形成領域から掻き取るためのブレードである、請求項9記載の湿式画像形成装置。
【請求項11】
前記キャリア液回収手段は、前記キャリア液を前記非画像形成領域から吸収除去するための液吸収ローラである、請求項9記載の湿式画像形成装置。
【請求項12】
前記キャリア液回収手段は、前記キャリア液を前記非画像形成領域から吸引除去するための吸引ノズルである、請求項9記載の湿式画像形成装置。
【請求項1】
キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いる湿式画像形成装置であって、
外面が円筒形状であって、長手方向における画像形成領域において現像されたトナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に対して、前記現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から余剰のキャリア液を除去するためのエアナイフとを備え、
前記エアナイフのエア流は、前記現像されたトナー像を形成する液体現像剤層中から除去したキャリア液が前記像担持体の前記画像形成領域よりも前記長手方向の外側に設けられる非画像形成領域に向かって移動するように供給される、湿式画像形成装置。
【請求項2】
前記エアナイフのエア流の方向を前記像担持体の母線に対する法線から傾斜させることによって前記キャリア液を前記非画像形成領域へ向かって移動させる、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項3】
前記エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、
前記画像形成領域は、前記像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、
前記非画像形成領域は、前記像担持体の長手方向における前記画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、
前記エアナイフの前記第1のエア流の方向を前記像担持体の前記第1の画像領域に対する母線に対する法線から傾斜させることによって前記キャリア液を前記第1の端部領域へ向かって移動させ、
前記エアナイフの前記第2のエア流の方向を前記像担持体の前記第2の画像領域に対する母線に対する法線から傾斜させることによって前記キャリア液を前記第2の端部領域へ向かって移動させる、請求項2記載の湿式画像形成装置。
【請求項4】
前記エアナイフのエア流を前記非画像形成領域に向かうに従って前記像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによって前記キャリア液を前記非画像形成領域へ向かって移動させる、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項5】
前記エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、
前記画像形成領域は、前記像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、
前記非画像形成領域は、前記像担持体の長手方向における前記画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、
前記エアナイフの前記第1のエア流を前記第1の端部領域に向かうに従って前記像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによって前記キャリア液を前記第1の端部領域へ向かって移動させ、
前記エアナイフの前記第2のエア流を前記第2の端部領域に向かうに従って前記像担持体の回転方向の下流側の位置となるように供給することによって前記キャリア液を前記第2の端部領域へ向かって移動させる、請求項4記載の湿式画像形成装置。
【請求項6】
前記エアナイフのエア流の風速は、前記像担持体の前記長手方向において調整可能に設けられ、
前記エアナイフのエア流の風速を前記非画像形成領域に向かって小さくなるように供給することによって前記キャリア液を前記非画像形成領域へ向かって移動させる、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項7】
前記エアナイフは第1および第2のエア流を供給し、
前記画像形成領域は、前記像担持体の長手方向において第1および第2の画像領域に分割され、
前記非画像形成領域は、前記像担持体の長手方向における前記画像形成領域を挟んだ第1および第2の端部領域で構成され、
前記エアナイフの前記第1のエア流を前記第1の端部領域に向かって小さくなるように供給することによって前記キャリア液を前記第1の端部領域へ向かって移動させ、
前記エアナイフの前記第2のエア流を前記第2の端部領域に向かって小さくなるように供給することによって前記キャリア液を前記第2の端部領域へ向かって移動させる、請求項6記載の湿式画像形成装置。
【請求項8】
前記像担持体の前記非画像形成領域にはキャリア液除去用の溝が設けられる、請求項1〜7のいずれかに記載の湿式画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体の非画像形成領域において、前記エアナイフのエア流によって除去したキャリア液を回収するキャリア液回収手段をさらに備える、請求項1〜8のいずれかに記載の湿式画像形成装置。
【請求項10】
前記キャリア液回収手段は、前記キャリア液を前記非画像形成領域から掻き取るためのブレードである、請求項9記載の湿式画像形成装置。
【請求項11】
前記キャリア液回収手段は、前記キャリア液を前記非画像形成領域から吸収除去するための液吸収ローラである、請求項9記載の湿式画像形成装置。
【請求項12】
前記キャリア液回収手段は、前記キャリア液を前記非画像形成領域から吸引除去するための吸引ノズルである、請求項9記載の湿式画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−194441(P2012−194441A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59298(P2011−59298)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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