説明

湿式画像形成装置

【課題】精度の高い画像濃度の測定が可能な湿式画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像濃度測定部17は、キャリア液塗布ローラー34と、測定体35と、クリーニング装置33と、濃度検知センサー31と、バイアスを制御する電圧供給装置36とを含む。キャリア液塗布ローラー34を用いて感光体1にキャリア液を塗布する。パッチ画像は、感光体1と測定体35とのニップ領域に到達し、測定体35に転写される。パッチ画像を測定体35に転写する際にキャリア液を補給して像担持体である感光体1から測定体35に転写させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、湿式の液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、現像装置を用いて感光体上に静電潜像がトナーにより現像される。そして、例えば、感光体上に現像された静電潜像が記録用紙に転写されて画像が形成されることになる。このような画像形成装置の転写プロセスでは、一般に静電転写方式が採用されている。
【0003】
トナー像を被転写体である用紙に転写する場合は、感光体に対向するように配置された用紙の裏面から転写ローラー等により電圧を印加し、感光体と記録用紙との間に電界を形成してこの電界によりトナー像を記録用紙に静電吸着させている。
【0004】
そして、その後、定着装置により加圧定着することにより転写されたトナー像を記録用紙に定着させている。
【0005】
一方で、近年、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー像の乱れが生じにくい液体現像剤を用いた湿式現像装置が知られている。この湿式現像装置は、トナーの平均粒子径が0.1〜2μmと小さいので高解像度の画像が得られる、液体のため流動性が高いことから均一な画像が得られる、等の利点を有している。
【0006】
この湿式画像形成装置では、装置各部に与えるバイアス電位をはじめとする様々な要素から成る画像形成条件を変化させることで画像濃度などの画像品質を調節することが可能である。また、装置の個体差、経時変化や温湿度など装置の周囲環境の変化に起因してトナー像の画像濃度が異なることがある。
【0007】
それゆえ、上記要素のうち画像濃度に影響を与える画像形成条件を調整することで画像濃度を制御する濃度制御技術が従来より提案されている。
【0008】
一般的には光学的な検知手法を用いてパッチ画像のトナー量を検知し、その結果を現像装置にフィードバックする方式が採られている。
【0009】
たとえば、画像形成領域外に複数の濃度諧調からなるパッチ画像(検知パターン)を形成し、これを光学的な検知手法によって読み取ることにより、基準のトナー量範囲に入っているか判断する。
【0010】
高画質、安定性などが求められるオンデマンド印刷装置においては、このような検知工程をきめ細かく行い、画像濃度を安定化させることが必要となる。
【0011】
この点で、特許文献1によれば、転写手段を設けて像担持体に形成されたパッチ画像を転写して、当該パッチ画像の画像濃度を測定する方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3767838号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、転写手段にパッチ画像を転写して、画像濃度を測定する方式の場合、転写時に適度なキャリア液量がなければ粒状のむらが生じた状態でパッチ画像が転写されることになり精度の高い画像濃度の測定ができないという問題がある。
【0014】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、精度の高い画像濃度の測定が可能な湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いて像担持体上にトナー像を形成する湿式画像形成装置であって、像担持体に画像パターンを形成する作像部と、像担持体と接触して設けられ、像担持体に形成された濃度検知用の画像パターンを転写するための測定体と、測定体に転写された濃度検知用の画像パターンの濃度を検知して、濃度を制御する濃度制御部と、濃度検知用の画像パターンの濃度を検知する際に、像担持体と測定体とが接触されるニップ領域にキャリア液を供給するためのキャリア液補給手段とを備える。
【0016】
好ましくは、測定体は、濃度検知用の画像パターンの濃度を検知する際以外の場合には、像担持体に形成された画像パターンにおける余剰のキャリア液を除去する。
【0017】
好ましくは、測定体と接触して設けられ、濃度検知用の画像パターンを除去するクリーニング装置をさらに備える。
【0018】
好ましくは、測定体の少なくとも一部は光を透過する部材からなる中空形状で設けられ、濃度制御部は、光を発光する発光部と、発光部に対して対向して設けられる光を受光する受光部とを含み、発光部および受光部の一方は、測定体の中空形状内に配置される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に従う湿式画像形成装置は、像担持体に形成された濃度検知用の画像パターンを転写するための測定体を設け、濃度検知用の画像パターンの濃度を検知する際に、像担持体と測定体とが接触されるニップ領域にキャリア液を供給するためのキャリア液補給手段を設ける。当該構成により像担持体と測定体とのニップ領域にキャリア液が供給されるため転写する際の濃度むらを抑制して精度の高い画像濃度の測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う別の湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】画像濃度測定部の別の構成を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う測定体35の例を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に従うキャリア液塗布ローラー34の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の形態1に従う湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0022】
図1を参照して、本発明の実施の形態1に従う湿式画像形成装置には、ドラム状の像担持体である感光体1が設けられ、感光体1の周辺には矢印で示す回転方向の順に現像装置の現像ローラー24、画像濃度測定部17と、転写ローラー11、クリーニングブレード121、帯電装置141および露光装置151がそれぞれ配設される。
【0023】
感光体1の表面は、帯電装置141により所定の表面電位に一様に帯電される。そして、その後、露光装置151により画像情報の露光を行ない、感光体1の表面に静電潜像を形成する。次いで、感光体1上の静電潜像は、現像装置の現像ローラー24によりトナー粒子およびキャリア液を含む液体現像剤で現像され、感光体1の表面にトナー像が形成される。このとき、トナー粒子だけでなく分散媒であるキャリア液も感光体1の表面に付着する。
【0024】
そして、感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写ローラー11との対向部である転写部に運ばれる。そして、転写部では、被転写部材10が矢印の方向(方向d)に搬送され、転写ローラー11に印加されたトナー粒子と逆極性の電圧の力により感光体1上のトナー粒子は被転写部材10に転写される。そして、トナー粒子が転写された被転写部材10は、図示しない定着部に搬送されトナー像が定着される。
【0025】
一方、転写部を通過した後の感光体1上には、クリーニングブレード121が設けられており、感光体1上に残留した転写残トナー粒子および分散媒を回収する。トナー粒子と分散媒とが回収された感光体1は図示しないイレーサランプにより露光され、潜像電位がキャンセルされる。これらの工程を繰り返し行なうことにより、次々に画像が印字される。
【0026】
ここで、液体現像剤は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナー粒子と、トナー粒子を分散させる分散剤とを主要成分としている。
【0027】
キャリア液としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば特に制限することなく使用することができるが、例えば、キャリア液として、イソパラフィン系のアイソパー(G、H、L、Mなど)(エクソンモビール)、IPソルベント(1620、2028、2835など)(出光興産)や、パラフィン系のモレスコホワイト(P−40,P−70,P−120)(松村石油研究所)を挙げることができる。また、シリコンオイル、ミネラルオイルを用いることも可能である。
【0028】
トナー粒子は、主として、樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料を樹脂中に均一に分散させる機能と、記録用紙に定着させる際のバインダとしての機能がある。
【0029】
トナー粒子としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナー用結着樹脂としては、たとえばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。またこれらの樹脂を複数、混合して用いることも可能である。
【0030】
また、トナーの着色に用いられる顔料および染料も一般に市販されているものを用いることができる。たとえば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としてはソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0031】
液体現像剤の調整方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調整することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ローラーミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。そして、得られたトナー粒子をキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0032】
トナーの平均粒径は、湿式画像形成方式を採用しているため、0.1μm〜5μmとすることが可能である。0.1μm未満では現像性が大きく低下し、5μmより大きい粒径では画像品位が低下するため、0.1〜5μmに設定することが望ましい。
【0033】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜50%程度が適当である。
【0034】
10%未満の場合、トナー粒子に沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題があり、また、必要な画像濃度を得るため、多量の液体現像剤を供給する必要があり、記録用紙に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥させた際の蒸気の処理が問題となる可能性がある。一方で、50%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も取り扱いが困難になる可能性がある。
【0035】
液体現像剤の粘度は、25℃において、0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が望ましい。10000mPa・sより大きくなると液体現像剤の攪拌や送液等の取り扱いが困難となり、均一な液体現像剤を供給する装置の負担が大きくなる可能性がある。
【0036】
次に、現像装置の構成の概略について説明する。
現像装置には、感光体1と加圧接触される現像ローラー24と、トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤6を貯蔵した現像槽5と、現像槽5に一部が浸漬され、液体現像剤を汲み上げる汲み上げローラー22と、汲み上げローラー22により汲み上げられた液体現像剤の厚みを規制して計量する規制部材23と、汲み上げローラー22により汲み上げられた液体現像剤を現像ローラー24に供給する供給ローラー21とを含む。
【0037】
互いに隣接している汲み上げローラー22と供給ローラー21とは接触領域において同一方向に回転するものとする。また、汲み上げローラー22は、供給ローラー21に従動して回転するものとする。本例においては、汲み上げローラー22は回転方向fの方向に回転する場合が示されている。また、供給ローラー21は、回転方向eの方向に回転する場合が示されている。
【0038】
また、互いに隣接している供給ローラー21と現像ローラー24とは接触領域において互いに反対方向に回転するものとする。反対方向とすることにより供給ローラー21から現像ローラー24への液体現像剤を効率的に供給することが可能となる。また、現像ローラー24の薄層を均一にすることが可能である。画像形成時において、本例においては、供給ローラー21は、回転方向eの方向に回転し、現像ローラー24は、回転方向bの方向に回転する場合が示されている。
【0039】
なお、本例においては、図示しないが供給ローラー21と現像ローラー24とにそれぞれを回転させるための駆動機構(駆動部)が設けられており、汲み上げローラー22には回転させるための駆動機構は設けられていないものとする。
【0040】
なお、汲み上げローラー22には表面に凹部を設けた金属ローラー(アニロックスローラー)を用いることで液体現像剤の量を正確に規制するようにしても良い。
【0041】
現像ローラー24の周辺には帯電装置26が設けられるとともに、クリーニングブレード25が設けられる。そして、現像ローラー24には、上述したように所定量の液体現像剤が供給され、帯電装置26により現像ローラー24上の液体現像剤中に含まれるトナーに電荷が与えられる。その後、現像ローラー24により感光体1に搬送された荷電されたトナーは感光体1上において画像部を現像する。なお、感光体1は、本例においては、回転方向aの方向に回転する場合が示されている。
【0042】
各ローラー等は、円柱状であり、本例では、その断面部分が示されている。
なお、クリーニングブレード25は、ゴム体であっても剛体であっても良い。ゴム体は、ウレタンゴムや、NBRゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。剛体の場合には、ポリプロピレン、ABS、ポリカーボネート等の樹脂類や、アルミ、アルマイト、SUS、真鍮などの金属類が挙げられる。
【0043】
上記図1の構成は、単色(例えば黒色)の画像形成が可能な湿式画像形成装置の構成であるが、次に複数色(カラー)の画像形成が可能な湿式画像形成装置について説明する。
【0044】
図2は、本発明の実施の形態に従う別の湿式画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0045】
図2を参照して、本発明の実施の形態1に従う湿式画像形成装置には、イエロー用の感光体1Y、マゼンタ用の感光体1M、シアン用の感光体1Cおよび黒用の感光体1Kが配設される。また、それぞれの感光体に当接するように設けられた中間転写体40Y,40M,40C,40Kが設けられる。また、中間転写体40Y,40M,40C,40Kと対向して転写ローラー111Y〜111Kがそれぞれ設けられる。
【0046】
また、各感光体1に対応して、現像装置の現像ローラー24、中間転写体40、クリーニングブレード121、帯電装置141および露光装置151がそれぞれ配設される。
【0047】
また、現像装置は、上述したように感光体1と加圧接触される現像ローラー24と、トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤を貯蔵した現像槽5と、現像槽5に一部が浸漬され、液体現像剤を汲み上げる汲み上げローラー22と、汲み上げローラー22により汲み上げられた液体現像剤の厚みを規制して計量する規制部材23と、汲み上げローラー22により汲み上げられた液体現像剤を現像ローラー24に供給する供給ローラー21とを含む。
【0048】
各感光体1で現像されたトナー像は、中間転写体40に転写される。そして、中間転写体40に転写されたそれぞれの色のトナー像は、転写ローラー111との対向部である転写部に運ばれる。そして、転写部では、記録媒体が矢印の方向に搬送され、転写ローラー111により中間転写体40上のトナー像が記録媒体に転写される。そして、図示しない定着部に搬送されて、トナー像が定着される。当該方式によりカラーの画像形成が可能である。
【0049】
なお、当該構成においても画像濃度測定部17がそれぞれの感光体1に設けられている場合が示されている。
【0050】
なお、ここでは、画像濃度測定部17を感光体1に設けた場合について説明するが、当該図に示されるように画像濃度測定部17の代わりに画像濃度測定部18を設けるようにしても良い。
【0051】
すなわち、中間転写体40において画像濃度測定部18を設ける構成とすることも可能である。
【0052】
ここで、記号に付記しているY,M,C,Kの記号は、イエロー用、マゼンタ用、シアン用、黒用であることをそれぞれ表している。
【0053】
以下においては、説明を簡易にするために図1の構成を用いて説明するが、図1に限られず図2の構成についても同様に適用可能である。
【0054】
再び、図1を参照して、本実施の形態に従う湿式画像形成装置は、画像濃度の測定に際し、露光装置151によりパッチ画像の静電潜像を形成する。そして、現像装置の現像ローラー24は、パッチ画像の静電潜像を現像する。そして、現像されたトナー像であるパッチ画像を画像濃度測定部17で測定して、測定結果に基づいて画像濃度を調整する制御を実行する。パッチ画像は、例えば、中間調濃度を有するデータが用いられる。なお、パッチ画像は、通常のトナー像と、次の通常のトナー像との間に作像することが可能である。当該方式により効率的に画像濃度の制御を実行することが可能である。
【0055】
画像濃度測定部17は、キャリア液塗布ローラー34と、測定体35と、クリーニング装置33と、濃度検知センサー31と、バイアスを制御する電圧供給装置36とを含む。
【0056】
本例においては、当該パッチ画像を測定体35に転写させて、転写したパッチ画像の画像濃度を測定する。
【0057】
まず、キャリア液塗布ローラー34を用いて感光体1にキャリア液を塗布する。そして、感光体1に塗布されたキャリア液は測定体35と感光体1とのニップ領域に供給される。
【0058】
なお、キャリア液と異なる粘度、比重の液を用いることも可能であるが、キャリア液と同等の液を使用することが好ましい。
【0059】
パッチ画像は、感光体1と測定体35とのニップ領域に到達し、測定体35に転写される。転写方式は、粘着や圧接転写でも構わないが、転写効率の高い転写を実行するためにバイアスを用いることが好ましい。電圧供給装置36によりパッチ画像が測定体35に移動する適切なバイアスを印加する。
【0060】
濃度検知センサー31は、光を発光する発光部と、光を受光する受光部とを有する光学センサーであり、被測定対象に発光部から光を照射し、透過光を受光部で検出することにより、被測定対象の光学的な濃度を検知するためのセンサーである。
【0061】
本例においては、濃度検知センサー31の発光部からパッチ画像に光を照射する。測定体35は、発光された光を透過する導電性プラスチックや、硬質ガラス、合成樹脂等の透明材料で形成されているものとする。発光部で発光された光は透明の測定体35を通過し、測定体35の内部に設けられた受光部に光が到達する。トナー粒子が存在せず、キャリア液のみならば、発光部で発光された光は100%、受光部で受光される。
【0062】
受光部で受光した信号に基づきトナー量を検出する。具体的には、発光部で発光された光の何%の光が受光されたかを測定してトナー量を検出する。
【0063】
そして、予めパッチ画像のトナー量の検出の基準値を設けておき、検出されたトナー量が基準値に達しているか否かでトナー量が適正か否かを判断する。
【0064】
適正でないと判断した場合、特にトナー量が基準よりも少ないと判断した場合には、現像工程の液体現像剤量を増やす。例えば、汲み上げローラー22、供給ローラー21と現像ローラー24の周速比を制御することが挙げられる。この方式を取れば、現像ローラー24に受け渡される液体現像剤量は、汲み上げローラー22、供給ローラー21との周速比に比例するため、画像濃度を基準に合わせて制御することが可能である。なお、当該方式に限られず、現像ローラー24から感光体1を用いて現像する際や、その後の転写過程における電界を調整することによって画像濃度を調整してもよい。また、図示しないトナー濃度調整槽で、トナー濃度を上げるなどにより画像濃度を調整することも可能である。
【0065】
本例においては、パッチ画像を測定体35に転写する際にキャリア液を補給して像担持体である感光体1から測定体35に転写させるため粒状のむら(濃淡むら)を生じさせることなく転写させることが可能である。すなわち、濃度検知センサー31において精度の高い値すなわち画像濃度の検出が可能である。
【0066】
なお、当該測定体35に転写されたパッチ画像は、クリーニング装置33により除去される。
【0067】
なお、本例においては、クリーニング装置としてブレード形状のものについて説明するが、クリーニング装置の形態は特にこれに限られず、必要に合わせて適切なものを選択すればよく、例をあげればブラシ等でもよい。また、回収したキャリア液及びパッチ画像のトナー粒子は、再利用するようにすることにより、ランニングコストを低減することが可能である。
【0068】
図3は、画像濃度測定部の別の構成を説明する図である。
図3(A)を参照して、ここでは、キャリア液塗布ローラー34の位置が異なる。また、感光体1の回転方向が異なる。
【0069】
具体的には、感光体1に対してキャリア液を塗布する構成ではなく、測定体35にキャリア液を塗布する構成が示されている。当該構成においても塗布された測定体35の領域は回転により測定体35と感光体1とのニップ領域に到達するため当該領域にキャリア液を補給することが可能である。
【0070】
図3(B)を参照して、キャリア液塗布ローラー34の感光体1に対する当接位置を感光体1の回転方向の下流側に設けられた測定体35の当接位置よりも高い位置とすることによりと感光体1と測定体35とのニップ領域に補給されたキャリア液が液溜りとなっている場合が示されている。当該構成においても十分なキャリア液をニップ領域に補給することが可能である。
【0071】
図3(C)を参照して、ここでは、図3(A)の構成と比較して濃度検知センサー31を濃度検知センサー32に置換した点が異なる。具体的には、濃度検知センサー32は、反射型の光学的な濃度を検知するためのセンサーでる。当該構成においても同様に測定することが可能である。例えば、測定体35が透過材料で形成されていない場合等にも利用することが可能である。
【0072】
図3(D)を参照して、ここでは、測定体35として無端ベルトを用いた場合が示されている。例えば、当該無端ベルトについても光を透過することが可能な透過材料で形成することが可能である。
【0073】
パッチ画像を生成して、トナー量を測定するタイミングとしては、プリント動作の開始直前に行うことも可能であるが、トナー像間で1枚ごとに測定するようにしても良いし、所定枚数ごとにトナー量を測定するようにしても良いし、これらの組み合わせでトナー量の測定タイミングを決定するようにしても良い。
【0074】
図4は、本発明の実施の形態に従う測定体35の例を説明する図である。
図4を参照して、測定体35の軸方向の長さは、少なくとも、べた画像であるパッチ画像が測定体35に転写できるような長さにすることが必要である。
【0075】
図4(A)を参照して、ここでは、感光体1の軸方向の長さに合わせて測定体35を設けた構成が示されている。なお、パッチ画像は画像形成領域内に設けられている場合が示されている。
【0076】
図4(B)を参照して、ここでは、パッチ画像が通常のトナー像が形成される画像形成領域の外に設けられている場合が示されている。そして、当該画像形成領域外に形成されたパッチ画像を転写する軸方向の長さの測定体35が設けられる。当該構成により、すべての感光体1の領域に対応して測定体35を設ける必要がなく、構成が簡易となる。
【0077】
なお、図4(B)においては、画像形成領域外にパッチ画像を作成した構成について説明したが、特に当該構成に限られず、画像形成領域内にパッチ画像を設けた構成としても良い。なお、ここでは、当該場合であってもパッチ画像が形成される領域が予め設定されており、当該領域に対応するように測定体35が設けられている場合が示されている。
【0078】
また、上記においては、測定体35に関して、感光体1に作像されたパッチ画像を転写して当該パッチ画像の画像濃度を測定するために用いるものとして説明したが、トナー量の測定モード以外の場合には、スクイズローラーとして利用することも可能である。すなわち、トナー画像に含まれる余剰のキャリア液を除去して、トナー像におけるキャリア液量を調節して、画像品質を良好にすることが可能である。
【0079】
具体的には、液体現像剤中のトナー粒子を感光体1に引き付けるバイアス電圧をかけて、圧力を適切な値に設定しておくことによりキャリア液量を調節してトナー像が乱れることを防ぐことが可能である。
【0080】
図5は、本発明の実施の形態に従うキャリア液塗布ローラー34の例を説明する図である。
【0081】
図5を参照して、ここでは、キャリア液塗布ローラー34の軸方向の長さは、感光体1と同じ長さに設定するのではなく、パッチ画像が感光体1に作像される領域に対応した軸方向の長さに設定される。
【0082】
当該構成により全面にキャリア液を塗布するのではなく、パッチ画像に影響を与える領域のみにキャリア液を塗布する構成であるためキャリア液を効率的に供給することが可能である。
【0083】
また、パッチ画像を生成して、トナー量を測定する際以外の場合には、キャリア液塗布ローラー34は、図示しない離間機構により感光体1から離間されているものとする。これにより過剰にキャリア液を供給することを抑制することが可能である。
【0084】
(実施例)
図1の湿式画像形成装置を用いてトナー量を測定した。具体的には、画像濃度測定部の構成としては図3(A)と同等の構成を用いた。また、測定体35の軸方向の長さは、図4(A)に示す構成を用いた。キャリア液塗布ローラー34は、ゴムローラーであって、図5と同様の構成を用いた。電源の立ち上げ後、パッチ画像を作成した。感光体1の表面のパッチ画像のトナー量は、1.5g/m2とした。通常のプリント時のべた画像と同等の濃度である。そして、パッチ画像の大きさは5cm×5cmである。パッチ画像のTC比は30%である。
【0085】
感光体1の表面のパッチ画像のトナー量の測定は、感光体1の表面の所定面積をふき取り、キャリア液を熱で揮発させることで測定する。
【0086】
キャリア液塗布ローラー34は、キャリア液を測定体35の表面に4g/m2で塗布し、感光体1と測定体35のニップ領域に突入させ、パッチ画像を測定体35に転写させた。
【0087】
トナー粒子は帯電装置26でプラス極性に帯電させたことから、ここでは、測定体電位を感光体電位に対して−400V印加させた。
【0088】
感光体1上の残トナーは、感光体1の表面のトナー量の測定と同様の方式で感光体1の表面をふき取りキャリア液成分を揮発させて測定した。結果、トナー量は0gであって、100%の転写が確認できた。
【0089】
測定体の表面のトナーを透過型の測定部材で測定した。トナー量は1.5g/m2との結果であった。実際のトナー量と検出したトナー量に差のないことが確認できた。
【0090】
転写した測定体の表面のトナー画像を200倍の顕微鏡で確認したところ、パッチ画像(べた画像)の濃淡むらは見られなかった。
【0091】
(比較例)
キャリア液を供給する工程が以外についてはは、上記の実施例と同様の構成でトナー量を測定した。感光体1の表面のパッチ画像のトナー量は、1.5g/m2とした。
【0092】
また、測定体電位を感光体電位に対して−400V印加させた。
測定体の表面のトナーを透過型の測定部材で測定したところ、トナー量は、1.3g/m2との結果であった。
【0093】
したがって、実際のトナー量と検出したトナー量との間に差のあることが確認できた。
転写した測定体の表面のトナー画像を200倍の顕微鏡で確認したところ、パッチ画像(べた画像)が粒状の濃淡むらで転写されていることを確認した。
【0094】
それゆえ、パッチ画像にキャリア液を供給することにより濃淡むらを抑制して精度の高い画像濃度の測定が可能であることを確認した。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
1,1C,1K,1M,1Y 感光体、5 現像槽、6 液体現像剤、10 被転写部材、11,111Y〜111K 転写ローラー、17,18 画像濃度測定部、21 供給ローラー、22 汲み上げローラー、23 規制部材、24 現像ローラー、25,121 クリーニングブレード、26,141 帯電装置、31,32 濃度検知センサー、33 クリーニング装置、34 キャリア液塗布ローラー、35 測定体、36 電圧供給装置、40,40Y,40M,40C,40K 中間転写体、151 露光装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いて像担持体上にトナー像を形成する湿式画像形成装置であって、
前記像担持体に画像パターンを形成する作像部と、
前記像担持体と接触して設けられ、前記像担持体に形成された濃度検知用の画像パターンを転写するための測定体と、
前記測定体に転写された前記濃度検知用の画像パターンの濃度を検知して、濃度を制御する濃度制御部と、
前記濃度検知用の画像パターンの濃度を検知する際に、前記像担持体と前記測定体とが接触されるニップ領域にキャリア液を供給するためのキャリア液補給手段とを備える、湿式画像形成装置。
【請求項2】
前記測定体は、前記濃度検知用の画像パターンの濃度を検知する際以外の場合には、前記像担持体に形成された画像パターンにおける余剰のキャリア液を除去する、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項3】
前記測定体と接触して設けられ、前記濃度検知用の画像パターンを除去するクリーニング装置をさらに備える、請求項1または2記載の湿式画像形成装置。
【請求項4】
前記測定体の少なくとも一部は光を透過する部材からなる中空形状で設けられ、
前記濃度制御部は、光を発光する発光部と、前記発光部に対して対向して設けられる光を受光する受光部とを含み、
前記発光部および前記受光部の一方は、前記測定体の中空形状内に配置される、請求項1〜3のいずれかに記載の湿式画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−252140(P2012−252140A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124304(P2011−124304)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】