説明

湿式粉砕機

【課題】粉砕効率及び収率を向上させると共に微粒化を促進させる湿式粉砕機を提供すること。
【解決手段】湿式粉砕機1は、ミル室10、ミル室10の中の空間を上部ミル室12aと下部ミル室12bの空間に区切る仕切り部30と、被処理物を上部ミル室12aに導入された粉砕メディア50aと下部ミル室12bに導入された粉砕メディア50bとともに攪拌し粉砕する攪拌機構部20と、を備え、仕切り部30には複数の貫通孔32が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
湿式粉砕機は、水等の分散媒に粉砕すべき砕料を分散し、粉砕メディア等を用いて磨砕するもので、砕料の分散性が非常によいこと等から広く利用されている。また、湿式粉砕機の分野においては、粉砕効率の向上等を図るため種々の方法が提案されており、特許文献1に記載された湿式粉砕機では、その一つの方法として循環手段を二つ以上設ける方法を採用している。
【特許文献1】特開平6−254423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されている湿式粉砕機は一つのミル室で一種類の粉砕メディアで粉砕処理を行う。一般的に被処理物の最終的な粒径の大きさは破砕メディアのサイズにより決定される。そのため、特許文献1に記載されている湿式粉砕機では、微粒化を図るためにはより小さいサイズの粉砕メディアを有するミル室を複数設け、バッチ処理を行う必要があった。しかし、このようなバッチ処理では、ミル室内に粗粒が残りやすく粉砕効率及び収率が低下してしまう。
【0004】
本発明は、粉砕効率及び収率を向上させると共に微粒化を促進させることが可能な湿式粉砕機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の湿式粉砕機は、筒状のミル室と、ミル室の内側に配置され、ミル室の内側の空間を上下方向で複数の空間に区切る仕切り部と、複数の空間に導入された被処理物を粉砕メディアとともに攪拌し粉砕する攪拌手段と、を備え、仕切り部には、複数の貫通孔が設けられていること特徴とする。
【0006】
本発明に係る湿式粉砕機では、筒状のミル室の内側に複数の貫通孔が設けられた仕切り部を配置することによりミル室の内側の空間を上下方向に複数の空間に区切っているので、上側の空間で粉砕処理された被処理物が下側の空間に直接流入して粉砕処理が連続的に行なわれることとなる。これにより、被処理物を微粒化することが可能となる。また、被処理物を複数のミル室に経由させる従来のバッチ処理に比べて、粉砕効率及び収率を向上させることができる。
【0007】
好ましくは、攪拌手段が、回転軸と、回転軸を回転させる駆動モータと、回転軸に設けられた攪拌用アームと、を有している。これにより、駆動モータにより回転軸が回転すると回転軸に設けられた攪拌用アームも共に回転し、攪拌用アームの回転運動により粉砕メディアと粉砕すべき被処理物に遠心力が与えられる。この結果、粉砕メディアが被処理物を攪拌して粉砕することが可能となる。
【0008】
更に好ましくは、複数の貫通孔が仕切り部の内側から外側に亘って設けられており、複数の貫通孔のうち仕切り部の外側に設けられた貫通孔の直径が、仕切り部の内側に設けられた貫通孔の直径より大きい。この場合、回転による遠心力を大きく受けて仕切り部の外側に送り出された被処理物中の粗粒を下方の空間に容易に流出させることが可能となる。
【0009】
また好ましくは、複数の貫通孔が仕切り部の内側から外側に亘って設けられており、複数の貫通孔のうち仕切り部の内側に設けられた貫通孔の直径が、仕切り部の外側に設けられた貫通孔の直径より大きい。攪拌用アームが回転すると、ミル室内の分散媒は、遠心力の作用方向に向う、すなわちミル室内において内側から外側に向う流れと、遠心力の作用方向とは逆方向、すなわちミル室内において外側から内側に向う流れが生じ、ミル室内を循環する。したがって、仕切り部の内側に設けられた貫通孔の直径が仕切り部の外側に設けられた貫通孔の直径より大きいことにより、遠心力の作用方向とは逆方向に向う流れによりミル室内における外側から内側に移送された被処理物中の粗粒を容易に下方の空間に流出させることが可能となる。
【0010】
好ましくは、複数の貫通孔が仕切り部の外縁部分には設けられていない。攪拌アームの回転による遠心力により、被処理物と粉砕メディアとはミル室内における外側に比較的滞留しやすい。そのため、仕切り部の外縁部分には貫通孔を設けないことで、被処理物と粉砕メディアとが共に滞留する期間を確実に確保し、被処理物の粉砕を効率良く行なうことができる。
【0011】
好ましくは、仕切り部がパンチングメタルである。ここで、パンチングメタルとは、メタル板を打ち抜いて複数の小孔を形成したものをいう。これにより、容易に仕切り部を製造することができる。
【0012】
好ましくは、仕切り部の上側に位置すると共に開閉可能なシャッター部を更に備えている。粉砕処理中にはシャッター部を閉状態にして密閉状態で粉砕処理を行い、粉砕処理後はシャッター部を開状態にして被処理物を下方の空間へ流出させることで、一つのミル室でバッチ処理と同様の効果を得ることができる。更に、開閉程度を調節することで流出タイミング及び流出量も制御することが可能となる。
【0013】
好ましくは、仕切り部が上下方向に複数配置されており、複数配置された仕切り部において、上下方向に隣接する二つの仕切り部のうち下側に位置する仕切り部に設けられた複数の貫通孔の直径が上側に位置する仕切り部に設けられた貫通孔の直径より小さい。この場合、複数の仕切り部により仕切られた複数の空間で順次粉砕され、最終的に所望の程度まで微粒化された被処理物を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、粉砕効率及び収率を向上させると共に微粒化を促進させる湿式粉砕機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることで、重複する説明は省略する。
【0016】
まず、図1〜図4を参照して本実施形態に係る湿式粉砕機の構成について説明する。図1に示されるように、湿式粉砕機1は、筒状のミル室10、攪拌手段としての攪拌機構部20、仕切り部30、シャッター部40、粉砕メディア50a、粉砕メディア50b及び排出部60を備えている。図1は、本実施形態に係る湿式粉砕機の側面図である。図2はシャッター部40が閉状態である場合における図1のI−I線に沿った断面図である。図3はシャッター部40が開状態である場合における図1のI−I線に沿った断面図である。図4は仕切り部30の平面図である。
【0017】
ミル室10は、ミル室本体部12とミル室蓋部14を有している。ミル室本体部12は、有底の筒状であって、横断面が外径及び内径を有する円環状である。ミル室本体部12は、上端部が開口している。ミル室蓋部14は、円板状であって、ミル室本体部12の上端部を閉塞する。ミル室蓋部14は、その中心部に後述する回転軸22が貫通する穴部を有している。ミル室本体部12の底面の中心部には後述する排出部60が設けられている。ミル室10、特にミル室本体部12は、例えばアルミナ、アルミナジルコニア、熱伝導性の良好なセラミック製等からなるものである。これらの耐磨耗性の部材を用いることにより、被処理物に不純物が混入することを防ぐことができる。
【0018】
ミル室本体部12の内側には、ミル室本体部12の所定の位置(本実施形態においては、ミル室本体部12の高さの略2分の1となる位置)に、後述する円板状の仕切り部30が配置されている。この仕切り部30により、ミル室本体部12の内側の空間は、上下方向で上部ミル室12aと下部ミル室12bとに区切られる。仕切り部30は、後述する回転軸22の回転中心軸に直交してミル室本体部12の内壁に取り付けられている。上部ミル室12aには被処理物を導入するための供給部が設けられているのが好ましい。
【0019】
上部ミル室12a及び下部ミル室12bは、それぞれ粉砕メディア50a及び粉砕メディア50bにより充填されている。粉砕メディア50a及び粉砕メディア50bは、例えばビーズである。ビーズの材料は、ガラス、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。粉砕メディア50aの直径は仕切り部30の有する貫通孔32の直径より大きく、粉砕メディア50bの直径は仕切り部30の有する貫通孔32の直径より小さい。
【0020】
図4に示されるように、仕切り部30には、複数の貫通孔32が設けられている。本実施形態では、仕切り部30の外縁部分には貫通孔32が設けられていない。仕切り部30には、その中心部に後述する回転軸22が貫通する貫通孔34が設けられている。仕切り部30は、パンチングメタルからなる。
【0021】
攪拌機構部20は、被処理物を粉砕メディアとともに攪拌し粉砕するための攪拌手段であって、回転軸22、複数の攪拌用アーム24及び駆動モータ26を有している。回転軸22は、その回転中心軸がミル室10の中心軸と一致するように配置されており、その下端は、上部ミル室12a及び仕切り部30を貫通して下部ミル室12b内に達している。
【0022】
各攪拌用アーム24は、ミル室本体部12内の回転軸22に設けられており、回転軸22と一体に回転可能となっている。攪拌用アーム24の4つのアームは、回転軸22の下端部を始点として回転軸22の回転中心軸に直交しかつ互いに平行するように等間隔で配置されている。攪拌用アーム24の4つのアームの中で上方の2つは上部ミル室12aに、下方の2つは下部ミル室12bに配置されている。また、回転軸22の上端はミル室10の上部を貫通し、かつ駆動モータ26に取り付けられている。なお、回転軸22の回転中心軸と駆動モータ26の中心軸も一致している。
【0023】
シャッター部40は、開閉調節が可能であり、仕切り部30の上側に設けられている。シャッター部40は、格納部42、環状の空間42a、支柱部44及びシャッター羽根部46から構成されている。格納部42は、仕切り部30が配置されている位置のミル室10の外壁に沿って円環状に形成されている。格納部42には、仕切り部30の直上の位置に、ミル室10の内壁から外側に向かって環状の空間42aが設けられている。環状の空間42aには、30°の間隔で12個の回転支柱軸からなる支柱部44が配置されており、12個の回転支柱軸の回転中心軸はミル室10の中心軸に平行している。
【0024】
シャッター羽根部46は薄板からなる12枚の羽根板から構成されている。12枚の羽根板は各基端部が空間42aに30°間隔で設けられている支柱部44の12個の回転支柱軸にそれぞれ回動可能に支持されている。支柱部44に固定されていない12枚の羽根板の他端部はミル室10の中心軸に向かっている。環状の空間42a内のシャッター羽根部46の上側又は下側或は両側には環状の弾性部材(パックング)が装着されているのが好ましい。これにより、外部からの衝撃を緩和すると共に12枚の羽根板がその回転面に垂直する方向へ振動することを防止することができる。
【0025】
閉状態では、隣接する2つの羽根板が重なり合っており、重なり合っているオーバラップ部分の中心には回転軸22が貫通するように円形の穴が形成されている。このように、閉状態ではシャッター部40により、下側に位置する仕切り部30の複数の貫通孔32が覆われている。また、
【0026】
開状態では、シャッター羽根部46の12枚の羽根板は図示時計方向に回転し左に隣接する羽根板を支持する回転支柱軸に当たって止まる。開状態で回転し畳まれた12枚の羽根板は、格納部42に収納される。開状態において、12枚の羽根板の図示時計方向の回転により形成された開口形はミル室10の内径より小さい直径を有する円である。また、開状態から閉状態に切り替えるためには、図示反時計方向に逆転させ初期位置へ移動させる。
【0027】
このような開閉制御はシャッター部40のシャッター制御部(図示せず)により開閉が制御される。シャッター制御部は、シャッター部40の開閉動作を制御する2つのモータを含むものである。また、シャッター部40は開閉程度の調節により流出量や開閉タイミングを調節できるものであることが好ましい。
【0028】
排出部60は、下部ミル室12bの底面の中心部に設けられており、本体部62と蓋部64から構成されている。本体部62は、ミル室10の底面から下方に突出された円筒状であって、かつその円筒の直径は回転軸22の直径と同程度である。蓋部64は円盤状であって排出部の本体部62の下端の開口部を閉塞する。
【0029】
この湿式粉砕機1により、被処理物は下記にようにして処理される。本実施形態において、仕切り部の有する貫通孔の直径は10mmであり、粉砕メディア50aの直径は10mm以上であり及び粉砕メディア50bの直径は10mm以下である。初期状態において、シャッター部40は閉状態である。
【0030】
まず、被処理物は上部ミル室12aに導入される。上部ミル室12aには、10mm以上の粉砕メディア50aが充填されている。駆動モータ26により回転軸22を回転させると攪拌用アーム24も共に回転し、この回転により粉砕メディア50a被処理物は遠心力を受ける。さらに攪拌用アーム24の回転力に引き摺られた粉砕メディア50aの回転運動及び被処理物の輪送流体の旋回運動も加わり、被処理物は粉砕メディア50aにより粉砕される。
【0031】
粉砕メディア50aによる粉砕処理は被処理物中の砕料の粒径が仕切り部30の有する貫通孔の直径より小さくなるまで行われる。粉砕処理が終了した時、シャッター部40を開状態にして、上部ミル室12a内の被処理物を下部ミル室12bに流出する。粉砕メディア50aの直径は仕切り部30の貫通孔の直径より大きいため、粉砕メディア50aは上部ミル室12a内に残る。下部ミル室12bに流入された被処理物は粉砕メディア50aの直径より小さい直径を有する粉砕メディア50bにより更に粉砕され、排出部60を介してミル室10の外部に排出される。
【0032】
以上のように、本実施形態においては、ミル室10に仕切り部30が設けられてミル室10の内部の空間が上部ミル室12aと下部ミル室12bに分割され、粉砕処理が上部ミル室12aから下部ミル室12bにかけて連続的に行われる。そのため、一つのミル室内でバッチ処理の場合と同様の効果を得ることができる。また、複数のミル室に経由させるためミル室に粗粒が残り易いバッチ処理に比べて、一つのミル室内で多段階の粉砕処理が行われるため粉砕効率お及び収率を向上することができ、更に、洗浄水及び電力の消費量の低減を図ることも可能となる。
【0033】
本実施形態では、下部ミル室12bに充填されている粉砕メディア50bの直径が上部ミル室12aに充填されている粉砕メディア50aの直径より小さい。そのため、1つのミル室で容易に微粒化を図ることが可能となる。また、粉砕メディア50aのサイズ(直径)は仕切り部30の有する貫通孔の直径より大きく、粉砕メディア50bのサイズ(直径)は仕切り部30の有する貫通孔の直径より小さい。そのため、上部ミル室12aでの粉砕処理後、粉砕メディア50aは上部ミル室12aに残って粉砕処理された被処理物をのみが下部ミル室12bに流出される。したがって、粉砕メディアの管理が容易となる。
【0034】
続いて、図5及び図6を参照して、上述した湿式粉砕機1が備えている仕切り部30の変形例について説明する。
【0035】
図5は第1の変形例における仕切り部30を示す平面図である。図5に示されるように、第1の変形例に係る仕切り部30には、複数の貫通孔32が仕切り部30の内側から外側に亘って設けられている。複数の貫通孔32のうち仕切り部30の外側に設けられた貫通孔の直径は、仕切り部30の内側に設けられた貫通孔の直径より大きく設定されている。これにより、攪拌機構部20の攪拌用アーム24の回転による遠心力を大きく受けて上部ミル室12aの外側に送り出される粗粒を容易に下部ミル室12bに流出させることができる。
【0036】
図6は、第2の変形例における仕切り部30の平面図である。図6に示されるように、第2の変形例における仕切り部30には、複数の貫通孔32が仕切り部30の内側から外側に亘って設けられている。複数の貫通孔32のうち仕切り部30の内側に設けられた貫通孔の直径は、仕切り部30の外側に設けられた貫通孔の直径より大きく設定されている。
【0037】
攪拌用アーム24が回転すると、ミル室10内の分散媒は、遠心力の作用方向に向う、すなわちミル室10内において内側から外側に向う流れと、遠心力の作用方向とは逆方向、すなわちミル室10内において外側から内側に向う流れが生じ、ミル室10内を循環する。したがって、仕切り部30の内側に設けられた貫通孔の直径が仕切り部30の外側に設けられた貫通孔の直径より大きいことにより、遠心力の作用方向とは逆方向に向う流れによりミル室10内における外側から内側に移送された被処理物中の粗粒を容易に下方の空間に流出させることが可能となる。
【0038】
図5及び図6に示された変形例では、仕切り部30の外縁部には複数の貫通孔32が設けられていない。これにより、攪拌用アーム24の回転により外側に比較的滞留しやすい被処理物と粉砕メディア50aがミル室10内で共に滞留する期間を確実に確保し、被処理物の粉砕を効率良く行なうことができる。
【0039】
続いて、図7を参照して、上述した湿式粉砕機1の変形例について説明する。図7は、湿式粉砕機1の変形例を示す模試図である。
【0040】
図7(a)に示されるように、第3の変形例における湿式粉砕機1には、ミル室10の中に2つの仕切り部30a及び30bが設けられている。図7(b)〜図7(c)に示されるように、仕切り部30aの下側に位置する仕切り部30bの有する複数の貫通孔32の直径は、仕切り部30aの有する複数の貫通孔32の直径より小さい。これにより、複数の空間で順次粉砕され、最終的に所望の程度まで微粒化された被処理物を得ることができる。2つの仕切り部30のそれぞれの上側にシャッター部40が設けられていてもよい。この変形例では、仕切り部30がミル室10の中に2つ設けられているが、仕切り部30が3つ以上設けられていてもよい。
【0041】
次に、図8を参照して、本実施形態に係る湿式粉砕機1を用いて構成した粉砕システム100について説明する。図8は、本実施形態に係る湿式粉砕機1を用いて構成した粉砕システム100を示すブロック図である。粉砕システム100は、ミル室1(排出部60)、排出部66、材料供給機70、溶媒供給機72、バルブ(85a、85b)、ポンプ(88a、88b)、タンク90及びライン(80、82、84、86)を備える。
【0042】
材料供給機70及び溶媒供給機72はミル室1の上部に配置されている。ミル室1の底部に設けられている排出部60にはバルブ85a及びポンプ88aをそれぞれ介装する循環ライン80の一端が接続されている。循環ライン80の他端はタンク90の上方に位置いる。タンク90の底面には排出部66が設けられており、排出部66にはライン82が接続されており、ライン82にはポンプ88b介装されており、切り替えバルブ85bの一端が接続されている。
【0043】
切り替えバルブ85bの他端には循環ライン84の一端が接続されており、循環ライン84の他端はミル室1の上方に位置する。切り替えバルブ85bには更に次の工程に被処理物を移動させる移送ライン86が連結されている。切り替えバルブ85bはL字形の流路を有しており、このL字型流路を回転させることで、ライン82を循環ライン84に連結する状態1とライン82を移送ライン86に連結する状態2に切り替えることができる。
【0044】
上記ポンプ88aの動作によりミル室1内で粉砕処理された被処理物はミル室1から抜き出されてタンク90に流入される。タンク90に流入された被処理物を再度粉砕する場合には切り替えバルブ85bを状態1にして、被処理物をミル室1に返送させる。一方、タンク90内の被処理物が最終的粉砕処理を終えた場合はバルブ85bを状態2にして被処理物を移送ライン86に通過させ次の工程に移動させる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態及びその3つの変形例について説明してきたが、実施形態及びその3つの変形例は本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0046】
本実施形態では、仕切り部30の外縁部分に貫通孔32を設けない構成が採用されているが、これに限られることなく、仕切り部30の外縁部分に貫通孔32を設けた構成が採用されてもよい。仕切り部30の外縁部分に貫通孔32を設けた場合、粉砕効率が低減する懼れがある。
【0047】
本実施形態では、仕切り部30は固定式のものであるが、これに限られない。例えば、仕切り部30は、ミル室10の内壁に対し着脱自在であって、ミル室10から取り外し可能であってもよい。
【0048】
本実施形態では、攪拌用アーム24はアーム型であるが、ディスク型、ピン型又はピンディスク型等であってもよい。本実施形態では、攪拌用アーム24は、回転軸22に直接取り付けられているが、脱着可能なものであってもよい。
【0049】
本実施形態では、シャッター部40のシャッター制御部は、2つのモータからなるものであるが、ソレノイド・プランジャーからなる駆動機構、センサー等から構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態に係る湿式粉砕機を示す側面図である。
【図2】本実施形態に係る湿式粉砕機における、シャッターの閉状態を示す平面図である。
【図3】本実施形態に係る湿式粉砕機における、シャッターの開状態を示す平面図である。
【図4】本実施形態に係る湿式粉砕機における、仕切り部の一例を示す平面図である。
【図5】仕切り部の一変形例を示す平面図である。
【図6】仕切り部の一変形例を示す平面図である。
【図7】本実施形態に係る湿式粉砕機の変形例を示す模試図である。
【図8】本実施形態に係る湿式粉砕機を用いた粉砕システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1…湿式粉砕機、10…ミル室、12a…上部ミル室、12b…下部ミル室、20…攪拌機構部、22…回転軸、24…攪拌用アーム、26…駆動モータ、30…仕切り部、32…複数の貫通孔、40…シャッター部、50a,50b…粉砕メディア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のミル室と、
前記ミル室の内側に配置され、前記ミル室の内側の空間を上下方向で複数の空間に区切る仕切り部と、
前記複数の空間に導入された被処理物を粉砕メディアとともに攪拌し粉砕する攪拌手段と、を備え、
前記仕切り部には、複数の貫通孔が設けられていること特徴とする湿式粉砕機。
【請求項2】
前記攪拌手段が、回転軸と、前記回転軸を回転させる駆動モータと、前記回転軸に設けられた攪拌用アームと、を有していることを特徴とする請求項1に記載の湿式粉砕機。
【請求項3】
前記複数の貫通孔が前記仕切り部の内側から外側に亘って設けられており、
前記複数の貫通孔のうち前記仕切り部の外側に設けられた貫通孔の直径が、前記仕切り部の内側に設けられた貫通孔の直径より大きいことを特徴とする請求項2に記載の湿式粉砕機。
【請求項4】
前記複数の貫通孔が前記仕切り部の内側から外側に亘って設けられており、
前記複数の貫通孔のうち前記仕切り部の内側に設けられた貫通孔の直径が、前記仕切り部の外側に設けられた貫通孔の直径より大きいことを特徴とする請求項2に記載の湿式粉砕機。
【請求項5】
前記複数の貫通孔が前記仕切り部の外縁部分には設けられていないことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の湿式粉砕機。
【請求項6】
前記仕切り部がパンチングメタルからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の湿式粉砕機。
【請求項7】
前記仕切り部の上側に位置すると共に開閉可能なシャッター部を更に備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿式粉砕機。
【請求項8】
前記仕切り部が上下方向に複数配置されており、
複数配置された前記仕切り部において、上下方向に隣接する二つの仕切り部のうち下側に位置する仕切り部に設けられた前記貫通孔の直径が上側に位置する仕切り部に設けられた前記貫通孔の直径より小さいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿式粉砕機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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