説明

湿気硬化型接着性組成物および堅木床を取り付けるための方法

種々の基質に対して床仕上げ材を接着的に結合させるための接着性組成物。組成物には、0.5mm〜10mmのサイズの、0.2〜10重量パーセントの多数の不規則形態スペーサー粒子、10〜50重量パーセントの湿気硬化ポリマーシステム、および40〜90重量パーセントの、組成物の物理的特性を改変するための添加物が含まれる。接着剤は、硬化した時に、制御された水蒸気伝達と防音特性を示す、均一の厚さのエラストマーフィルムとなるための、組成物を含む。床構造と、接着性組成物を用いたそのような床構造を構築するための方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本特許明細書は、そのすべてが本明細書に参照として組み込まれている、2009年12月31日に出願された、米国仮特許出願第61/291,513号明細書の優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般的に、多数のスペーサー粒子を含み、制御された水蒸気伝達と防音特性を持つ、一成分、湿気硬化型接着性組成物に関する。接着性組成物は、種々の基質へ床仕上げ材を接着的に結合させるためにとりわけ好適である。
【0003】
広く種々のフローリング材が、住居および商業適用において利用可能である。木材床仕上げ材が、装飾的で長持ちする床表面を提供するための一般的な方法である。しかしながら、取り付けは、正しく完成するまでに多くの段階を必要とする、典型的な労働集約的な工程である。
【0004】
木材床仕上げ材は、コンクリート、ベニヤ板、パーティクルまたはチップ・ボード(下張りグレード)、よく張り合わされたビニルおよびセラミックタイル、セメント支持ボード、石こうパッチ/下張り(乾燥、上グレード)、セメントパッチ/下張り、放射熱フローリングおよびテラゾを含む、広く種々の基質上に取り付けられてよい。コンクリート上に取り付ける場合、これらの被覆が、コンクリートの真下から、ならびにコンクリートそれ自身からの水蒸気に曝露される。水蒸気は、気体および化学的平衡の物理的法則にしたがって振る舞い、異なる気圧が存在する時はいつでも、1つのエリアから他へ移動する。住居施設のような、気候制御(空調管理された)エリアにおいて、周辺環境が、コンクリート基質表面上の空気が、地球からの湿気を簡単に吸収可能であり、それによって、めったに達成され得ない平衡条件に達しようと、基質を通して、湿気を絶えず引くことによってそれ自身満足しようとする条件が提供される。
【0005】
十分に大きい場合、水蒸気推進力が、コンクリートに接着する木材床仕上げ材の底の、気候制御環境に曝露される最上部を超えての伸長(湿気含量が増加することによって引き起こされる次元膨張)が引き起こされる。最終結果は「カッピング(cupping)」と呼ばれ、床表面に対して、見にくい外観を提供する。さらに、木材床仕上げ材における次元変化によって、接着性結合にストレスが加えられ、これはまた、接着剤劣化および/または破砕を引き起こしうる。ダメージを受けたフローリングを取り替えるコストは非常に高く、また時間を要する。
【0006】
「カッピング」問題に対処するための方法は、フローリング取り付けを続けるために、許容可能なレベルの蒸気伝達を達成すべく、コンクリート基質に対して、十分な乾燥時間を与えることである。しかしながら、十分な乾燥時間を与えることは、取り付ける人が時間の制約に直面していることから、広く行き渡ってはいない。他の方法は、コンクリートの表面を、不浸透性紙またはプラスチックシートでシールすること、または膜形成硬化化合物を適用して、蒸気バリアまたは抑制剤として働かせることである。この膜は、任意の欠陥が、水蒸気が通過可能な通路を提供可能であることから、本質的に均一の厚さの連続層であるべきである。一般的に公知の膜形成硬化化合物は、2つの部分からなるエポキシを基準とした、または水を基準としたシーラーである。これらのシーラーは、結果として成分の不適切な混合、そしてそれによる仕事の失敗となりうる、適用前に混合することを要求し、またはシーラーが適用に適合する前に、数日間までの硬化を要求する。単一成分湿気硬化ポリウレタン類が、他の一般的に使用されるシーラーであり、周辺状況に依存して、半日またはそれ以上の硬化時間を必要としうる。
【0007】
これらの「カッピング」問題に対処するための試みに関するさらなる情報が、米国特許第2009/0044364号明細書および第2010/0059164号明細書、ならびに国際公開第2008/145458号パンフレットにて見ることが可能である。しかしながら、これらの参考文献のそれぞれは、以下の不利益の1つまたはそれ以上を抱えている。結果として、フローリング仕上げ材が取り付けられる時に、不均一な接着フィルム厚または床仕上げ材の下部上、100%にみたない接着被覆率となる、乏しい接着フロー特徴、それによって、水蒸気伝達の増加を許容する非連続性フィルムを作り出す、接着組成物中のスペーサー粒子によって作成される接着層中の空気ギャップ、接着性組成物のポリマーおよび/または添加技術による、乏しい水蒸気伝達制御、結果として、取り付け進行の時に、非一貫性、不均一接着膜厚となる、水による頻度よく置換される必要がある接着適用のための特定のツールの利用、および過剰な圧力が、取り付けの間に床仕上げ材の最上部に適用された場合の、接着性フィルム厚を制御し、接着物「追い出し(squeeze out)」を防止できないこと。
【0008】
以上の理由に対して、利用可能な製品および方法の欠点を克服する材料の単一適用で、接着性および水蒸気バリアの目的を供給することが可能な接着性組成物に対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、材料の単一適用における、接着性および水蒸気バリアに対する必要性を満たす接着性組成物を指向する。接着性組成物には、約10〜約50重量パーセントの一コンパートメント湿気硬化ポリマーシステム、0.5mm〜10mmのサイズの、約0.2〜約10重量パーセントの多数の不規則な形態のスペーサー粒子、および約40〜約90重量パーセントの組成物の物理的特性を改変するための添加物が含まれる。接着剤は、硬化したときに、結果として均一な厚さを持つエラストマーフィルムの連続層となり、制御された水蒸気伝達と防音特性を持つような組成物である。組成物の改善された水蒸気伝達と防音特性は、組成物の最小厚を制御し、接着剤連続均一層を適用可能にする、本明細書にて特定されるサイズおよび形態のスペーサー粒子の組み込みによって提供されると信じられている。
【0010】
不規則な形態のスペーサー粒子の添加により、堅木床を取り付ける時に、先には、同時に達成可能ではなかった、いくつかの利点が提供される。接着剤が完全に追い出され、特定の最小フィルム厚が提供される領域は存在しないことを確実にする。また、スペーサーを持たないか、または本質的に球面空間をもつ接着剤で発生しうる、板が取り付けの間に過剰に滑ることを防止することを助ける。
【0011】
取り付けられているフローリング物質と、その物質が適用される表面は一般的に平らである一方、事実それらいずれもが、完全に平面ではない。このことは、接着剤が完全に追い出される部分と、接着剤が厚い部分が導かれる。接着剤が存在しない部分により、接着が乏しいか、またはない部分が導かれ得、同時にフローリングを通して音や湿気が伝達されうるスポットが導かれうる。接着強度が低いか、またはない部分によりまた、フローリングの広く広がった層間剥離が伝播しうる部分が提供されうる。不規則な形態の粒子の組み込みにより、これらの問題が克服され、先行技術の組成物に対して、すべてのこれらの利点が提供される。
【0012】
本発明はまた、床基質、一成分湿気硬化ポリマーシステムと、前記床基質の少なくとも一部分に適用される多数のスペーサー粒子、および前記接着性組成物上に適用する、少なくとも1つの床仕上げ材要素を含む、床構造をまた指向する。
【0013】
本発明はさらに、床を構築するための方法、一成分湿気硬化ポリマーシステムと多数のスペーサー粒子を床基質の表面の少なくとも一部分に適用すること、および少なくとも1つの床仕上げ材要素を、前記接着性組成物上に適用すること、を含む方法を指向する。十分な圧力を、床仕上げ材の上部に適用して、接着性組成物が、フローリング仕上げ材と基質の間に均一に広がり、それによって連続層を作成可能である。
【0014】
本発明のこれらおよび他の特徴、様態、および利点が、以下の記述、付随する請求項、および添付図に関してよりよく理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】基質へ床仕上げ材接着性組成物を適用するための、一般的に利用されるこて刃の断面図である。
【図2A】本明細書にしたがって、接着組成物を適用するための方法を概略的に示している図である。
【図2B】本明細書にしたがって、接着組成物を適用するための方法を概略的に示している図である。
【図3】本明細書にしたがって接着性組成物で作成された床構造の断片図を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、本明細書の種々の実施形態に対する詳細な参照がなされ、その1つまたはそれ以上の実施例を以下に示す。各実施例は、本明細書の説明の方法によって提供されるものであり、本明細書を制限するものではない。事実、種々の改変および変更を、本明細書の範囲または目的から逸脱することなしに、本明細書にて実施可能であることが当業者に対して明らかである。したがって、本明細書は、そのような改変および変更を付随する請求項およびそれらの等価物の目的内であるものとし、対象とする。
【0017】
本明細書は一般的に、接着性組成物、床構造、および接着性組成物で、床構造を構築するための方法を指向する。本発明者らは、特別の適用ツールなしに適用可能であり、それにより接着剤とシーラー組成物の一段階適用を可能にする、接着性組成物を発見した。重要なことに、本明細書で記述した組成物にはまた、従来の組成物と比較した時に、種々の他の利益がまた含まれうる。
【0018】
本明細書で記述する組成物、床構造、および方法により、下張り床からの水蒸気伝達の制御が提供され、下張り床上のノイズ減少バリアが作り出される。本明細書の特定の実施形態において、ノイズ伝達の減少を証明する音響値が、本明細書で記述する組成物を用いることで非常に改善される。本明細書で記述した組成物は、コルク、泡、リサイクルゴムのような従来の音響システムの多段階の取り付けに取って代わり、それによって、取り付け時間、ごみ、物質、廃棄費用、および他の費用が減少する。組成物はまた、抗破砕膜として役立ち、取り付けの前、または後で、基質中に発生しうる亀裂の橋渡しをし、乾燥組成物の表面上で細菌、かび、うどん病菌の増殖を阻害するため、抗細菌保護を提供する。
【0019】
図1を参照して、基質にフローリング接着剤を適用するために一般的に使用されるこて刃10の例を示している。こて刃は、種々の形態であってよく、例えばV−ノッチまたは四角ノッチであってよい。本発明との組み合わせで最大の性能のための推奨されているノッチこては、V−ノッチである。こて刃10は、多数の歯12と、そのような歯12間のギャップ14を持つ。こて刃10の種々の寸法と、歯12のサイズは、本技術分野で公知である任意の好適な形態およびサイズであってよい。
【0020】
図2Aおよび2Bを参照して、こて刃10が、基質20の表面にわたって、多数のスペーサー粒子18からなり、本明細書の接着性組成物16を広げるので、組成物が、一般的に歯12間のギャップ14の形態をとる頂上部22を形成する。基質20は、(コンクリート、ベニヤ板、パーティクルまたはチップ・ボード、ビニル・タイル、セラミック・タイル、セメント支持ボード、石こう、放射熱フローリングおよびテラゾを含むが、限定はされない)下張り板、壁などのような、本技術分野で公知である任意の表面であり得る。
【0021】
図3で図示するように、床仕上げ材24の適用に際して、ついで床仕上げ材24の頂上への十分な圧力の適用に際して、組成物16が、先にほんの少しの組成物を受けた基質20の部分にわたって均一に広げる。この様式において、十分に均一の厚さの連続膜が形成され、その厚さはスペーサー粒子18の大きさによって制御される。
【0022】
ここで次に、本明細書に関連した利用のために好適な組成物のことを考えると、特定の組成物が、先に議論した適用方法を用いた、一段階適用を可能にするように開発されてきた。
【0023】
接着性組成物には、ポリウレタン類、シリル化ポリウレタン類、またはカネカ株式会社(Kaneka Corporation)より市販されている他のシリル化ポリマー類が含まれる。ポリマーシステムには、全組成物の約10〜約50重量パーセントが含まれる。
【0024】
好ましい実施形態において、湿気硬化ポリウレタン組成物が開発され、それには、約2〜約10重量パーセント、好ましくは、約3〜約5重量パーセントの量で、イソシアネート類が含まれる。有用なイソシアネート類には、脂肪族、脂環式、アリル脂肪族、ヘテロ環状または芳香族ポリイソシアネートまたはそれらの混合物が含まれる。例には、ヘキサメチレンジイソシアネートのような、芳香族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネートのような脂環式ジイソシアネート類が含まれる。より好ましくは、イソシアネートは、TDI(トルエンジイソシアネート)およびMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)のような、芳香族であるものである。イソシアネート類は、単量体または多量体および他の改変されたものでありうる。単量体イソシアネートの例としては、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’ジフェニルメタンジイソシアネートおよびアロファネート−改変4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートがあげられる。多量体イソシアネートの例としては、ジフェニルメタンジイソシアネートを基礎とした芳香族イソシアネート類があげられる。
【0025】
接着性組成物にはまた、イソシアネート反応性化合物、好ましくはポリオール類が含まれる。本明細書で使用するところの語句ポリオールには、平均1以上、好ましくは少なくとも約2のイソシアネート−反応性ヒドロキシ部位をもつ任意の有機化合物が含まれる。一般的に使用されるポリオール類は、他のオプションも存在するが、ポリブタジエンポリオール類および天然油ポリオール類のような、ポリエステルまたはポリエーテルいずれかであるように典型的には記述され、300以下〜20,000と同程度の平均分子量で変化しうる。1つまたはそれ以上の液体ポリオール類を使用することがとりわけ好ましい。
【0026】
好ましくは、トリオールまたはジオールのついた酸化プロピレン末端が含まれる、少なくとも1つのポリエーテルポリオールが利用される。トリオールは、約4000〜4500の分子量を持ち、ジオールまたはジオールの組み合わせは、1900〜2200の平均分子量を持つことが好ましい。これらの化合物は、約3〜20重量パーセントの範囲の量で、組み合わせで、または単独で使用してよい。
【0027】
接着性組成物にはまた、接着層の最小厚を制御し、床仕上げ材の適用に際して、過剰な「追い出し」を防止するために、約0.2〜約10重量パーセントの多数のスペーサー粒子が含まれる。スペーサー粒子18は、約0.2〜約10重量パーセント、好ましくは約0.5〜約4重量パーセント、より好ましくは約0.5〜約2重量パーセントで存在してよい。スペーサー粒子は、サイズにして約0.5mm〜10mm、好ましくはサイズにして約0.5mm〜5mm、最も好ましくはサイズにして約0.5mm〜1.5mmである。「サイズ(size)」は、ASTM法D1921−01にしたがって、また表1にて図示したように、与えられたメッシュスクリーンを介して通過するスペーサー粒子の分類によって決定される。
【0028】
スペーサー粒子として有用である物質には、圧壊耐性であり、意図する床仕上げ材取り付け圧下で、それらのもともとの形態から25%以上破壊されないか、変形しない任意のものが含まれる。これらには、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)またはSBR(スチレン−ブタジエンゴム)のような種々の型のゴム、他のエラストマーポリマー、ガラス、金属またはミネラルが含まれうる。この要求を満たす物質の能力は、選択した大きさおよび形態に依存してよい。
【0029】
スペーサー18は、任意の非球形幾何学形態のものであってよい。例としては、円錐形、多角形(立方体、五角形、六角形、八角形など)、および多面体形態粒子、ならびに不規則形態粒子、ならびにその中で少なくとも部分的にみられる例えば、円形、楕円形、卵形、四角、長方形、三角形または多角形横断面を持つ不均一粒子が含まれる。「不均一」および「不規則」形態粒子は、それを通してとられる少なくとも2つの横断面が異なる面積を持つ、三次元形態を意味する。好ましい形態には、不規則無作為形態粉末粒子が含まれる。
【0030】
スペーサー18のサイズは、床仕上げ材24を基質20に結合させる、硬化エラストマー接着層の望む厚さによって決定可能である。床仕上げ材の取り付けのために、この厚さは、0.5〜10mm、好ましくは1〜2mmであってよい。好ましい実施形態では、約545〜673kg/m(34〜42lbs/ft)のかさ密度、約50〜70のデュロメーター(Shore A)を持ち、0.5〜10mm、より好ましくは0.5mm〜5mm、最も好ましくは、0.5mm〜1.5mmの粒子サイズの、不規則かつ無作為形態粉末エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)が使用される。スペーサー粒子18の不規則形態により、取り付けの間滑るかまたは移る床仕上げ材の望まない特徴が減少される。好ましい粉末EPDM粒子に対する典型的な粒子サイズ分布(%保留)を表Iで見ることが出来る。
【表1】

【0031】
接着性組成物には、最終産物のバッチ処方または性能特性の工程を改善するためのさらなる成分が含まれてよく、当業者によく知られている。これらのさらなる成分には、可塑剤、レオロジー重合調整剤、充填剤、希釈液、接着促進剤、粘着力増加樹脂、抗菌剤/バイオサイド、触媒、湿気スカベンジャー、抗酸化剤、消泡剤、色素、紫外線吸収剤および安定化剤、潤滑油、増量剤およびこれらの混合物が含まれてよいが、限定はされない。
【0032】
可塑剤は、約5〜約10重量パーセント、好ましくは約6〜約8重量パーセントの量で存在しうる。可塑剤は、本質的に水を含まず、イソシアネート基に対して不活性であり、ポリマー(類)と相性がよい。典型的な可塑剤は、安息香酸またはフタル酸の誘導体である(ジブチル、ジオクチル、ジシクロヘキシル、ジイソオクチル、ジイソデシル、ジプロピルヘプチル、ジベンジルまたはブチルベンジルフタル酸エステルのようなジアルキルおよびアルキルフタル酸エステル類)。またテレフタル酸エステル類、好ましくは、ジ(2−エチルヘキシル)テレフタル酸エステル(DEHT)、またはジオクチルテレフタル酸エステル(DOTP)も使用される。他の型としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、およびアルキルスルホン酸フェニルエステルが含まれる。可塑剤は、組成物に対して、レオロジー特性を与え、最終組成物中にポリマーシステムを分散させうる。
【0033】
典型的な充填剤および他のレオロジー重合調整剤には、タルク、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ミカ、珪灰石、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、グラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、熱可塑性ミクロスフェア、バライトおよびポリアミドワックスが含まれる。これらの添加物は、広く種々の粒子サイズを持ちうる。被覆、非被覆炭酸カルシウムが有用であり、処方の80重量パーセントまで、好ましくは約30〜約75重量パーセント、より好ましくは約45〜約70重量パーセントまで詰め込んだ時点で、粉末または沈殿のいずれかであり得る。0.15ミクロン平均粒子サイズ、被覆、沈殿炭酸カルシウム、および3ミクロン平均粒子サイズ、非被覆、粉末炭酸カルシウムが例としてあげられる。これらの充填剤は、組成物の強度を増加させる、およびチキソトロピー特性を提供するのに十分な量で使用される。
【0034】
好適な希釈液には、重アルキル化ナフサ、イソパラフィン溶媒、無臭ミネラルスピリッツおよび炭酸プロピレンが含まれ、約10重量パーセントまで、好ましくは約8重量パーセントまでの量で存在可能である。希釈液は、望む粘度の組成物を提供することを補助する。
【0035】
好適な接着促進剤には、エポキシ、イソシアネート、アミン基のような少なくとも1つの反応基をさらに含んでよく、好ましくはエポキシ反応基を含む、シラン含有化合物が含まれる。接着促進剤は、約1重量パーセントまでの量で存在してよい。
【0036】
処方内に触媒が含まれることがしばしば望まれる。イソシアネートの、反応性水素含有化合物との反応を触媒するために、本技術分野で従来より使用される任意の触媒を、この目的のために使用できる。そのような触媒には、ビスマス、鉛、スズ、鉄、アンチモンウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケルセリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガンおよびジルコニウムの有機および無機酸塩、および有機金属誘導体、ならびにカルボン酸塩、オルガノシリコンチタン酸塩、アルキルチタン酸塩、ビスマスカルボン酸塩、およびジモルホリノジエチルエーテルまたはアルキル置換ジモルホリノジエチルエーテル、およびホスフィン類および四級有機アミン類が含まれる。また他の触媒として、ビスマスオクトエート、ジモルホリノジエチルエーテルおよび(ジ−(w−(e,t−ジメチルモルホリノ)エチル))エーテルがあげられる。代表的なオルガノチン触媒は、スズオクトエート、オレイン酸スズ、ジブチルスズジオクトエート、およびジブチル酸ジブチルスズである。触媒含量は、約0.1〜約1重量パーセントの範囲であり得る。
【0037】
本発明にしたがった組成物の好ましい実施形態には、組成物を、湿潤および乾燥状態での、細菌または真菌の増加から保護可能な抗細菌剤が含まれる。適合可能な抗細菌剤には、亜鉛ピリチオン、N−(トリクロロメチルチオ)フタリミドおよびカルベンダジムが含まれる。これらの物質は、約0.01〜約0.2重量パーセントで処方中に存在しうる。
【0038】
湿気スカベンジャー化合物には、酸化カルシウム、モレキュラーシーブスおよびパラ−トルエンスルホニルイソシアネートが含まれ、約0.1〜約1重量パーセントで、処方中に存在しうる。
【0039】
有用な抗酸化剤化合物は、ペンタエリスリトールテトラキス3−(3’、5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオン酸)およびチオジエチレンビス3−(3’、5’−ジ−ter−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸からなる。これらの化合物は、約0.01〜約0.1重量パーセントで、処方内に存在しうる。
【0040】
接着性組成物は、単一、高強度バッチ混合器中で製造してよく、本技術分野で一般的に公知である。すべての未加工物質は連続して添加される。物理的、温度的および化学的乾燥法の組み合わせを利用して、未熟硬化を防止するために、製品から過剰な湿気を除去する。未加工物質の性質と、プレポリマーを中間体として加えるか、最終組成物の製造の間にin−situで反応させるかどうかに依存して、処理温度および時間を、必要に応じて制御する。
【0041】
表II中の以下の例は、さらに詳細に接着剤を記述するために提示している。実施例は、いずれの様式でも、床接着性組成物を制限すると解釈されるべきでない。すべての未加工物質の数字は、100分の一(pph)で測定される。
【0042】
接着性組成物を、2.5rpmの速度にて、#6スピンドルを備えるHAトルクBrrokfield DV−II+ Pro粘度計を用いて、周囲条件(約21℃または70°F)にてそのBrookfield粘度を決定するために、製造日後少なくとも一週間試験した。
【0043】
接着剤の薄いフィルムを配置し、周囲条件で一週間硬化し、ASTM D−412によって、機械的特性(張力、失敗の時の離隔および100%係数)に関して試験した。
【0044】
硬化した接着性組成物の硬度を、ASTM D2240によって測定した。サンプルを周囲条件にて一週間硬化させ、ついで60℃(140°F)にてさらに一週間熱熟成させた。
【0045】
ラップ剪断標本を組み立て、ASTM D1002によって試験した。25mm×25mm(1in×1in)オーバーラップ、室温にて一週間硬化、ついで、60℃(140°F)にてさらに一週間熱熟成した。異なる基質を用いた。オーク対オーク、オーク対コンクリート
【0046】
滑り試験を、取り付けの間、接着層の最上部上の床仕上げ材の移動を誘導するために必要な力の量を決定するために開発した。接着剤を、接着剤製造業者が特定した方法を用いて、セメントボードのような基質に適用した。6.9mm×6.9mm(1/4インチ×1/4インチ)V−ノッチてこを用いた実施例2接着剤(スペーサー有りおよび無し)、12mmのノッチ高を持つ、特定ノッチ化塗布器(モデル07.07.694)を用いた、1〜7mm球形粒子を含む、Bostil SilentStikTM接着剤。6.35cm×20.3cm(2.5in.×8in.)の寸法を持つ、硬木床(オーク)の2断片を、接着剤の最上部に適用し、それによって長いエッジが互いに隣接した。例えばAmatex Chatillonタイプ516Force Gaugeのようなプッシュプル式計量器を使用して、長いエッジに直角である水平力を与えた。硬木床の移動を誘導するために必要な力の量を記録し、データを表IIIに列記する。硬木床が、取り付けの間、非常に簡単に移る場合、全体の床が、不適切に整列し、歪曲しているように見られうる。したがって、接着剤が硬化されるまで、床板を位置に維持するために十分な初期生強度を持つことが望ましい(すなわち、より移動を誘導するために必要なより高い力が好ましい)。
【0047】
表III中のデータは、不規則な形態のスペーサー粒子が、同一のサイズの球形スペーサー粒子と比較して、またはまったく粒子を使用したい場合と比べて、滑りを引き起こすために必要な力を有意に増加させることを示している。表IIIは、不規則な形態のスペーサーを用いた場合、1.5mm球形粒子を用いた場合、または粒子を用いなかった場合に比べて、滑りを引き起こすのに、4倍以上の力が必要であることを示している。さらに、不規則形態スペーサー粒子を用いる場合、SilentStikTM球形粒子を使用する場合に比べて、8倍以上の力が滑りを引き起こすのに必要である。
【表2】

【表3】

【0048】
音響データを2つの方法によって決定した。1つの試験方法は、American Society for Testing and Materials Standard Test Method for Laboratory Measurement of Sound Transmission Through Floor−Ceiling Assemblies Using the Tapping Machine − Designation E492−04/E989−06に従った。各タッピング機器配置の不確実性制限は、ASTM E492−09のA1.4項の精度要求を満たした。標本記述:接着剤によって接着した、人工木材厚板にて上張りした152mm(6インチ)コンクリートスラブ。試験標本は、以下からなる床天井組み立て品であった。
・9.8mm(0.385インチ)Bruce人工硬木フローリングID:ER3555の1層。サンプルは、172mm(5インチ)ワイド、1499mm(59インチ)長厚板。サンプル重量は8,1kg/m(1.66lbs/ft)であった。
・接着剤の1層。サンプルを6.9mm×6.9mm(1/4インチ×1/4インチ)V−ノッチこてを用いて塗った。
・縫い目と周辺で、両面テープを用いてコンクリートに接着させた6milポリシーティング。
・密度366.1kg/m2(75.0lbs/ft)の、152.4mm(6インチ)厚強化コンクリート。
・試験組み立て品の総密度は374.3kg/m(76.66lbs/ft)であった。
・試験床サイズは、3658mm×4877mm(12ft×16ft)であった。
・条件:コンクリートを最低28日間硬化させた。接着剤を最低24時間硬化させた。
【0049】
第二試験法は、American Society for Testing and Materials Standard Test Method for Laboratory Measurement of Effectiveness of Floor Coverings in Reducing Impact Sound Transmission through Concrete Floors−Designation E2179−03に従った。材料および試験標本は先に記述したものと同一である。
【0050】
両方の方法は、Imapct Insulation Class(IIC)として音響性能を測定する。IICは、衝撃音を減少させる床天井組み立て品の能力を特性化する、単一数字評価である。より高い数値がよりよい減少を意味する。スケールは対数であり、したがってIICの小さな変化は、衝撃音のレベルの有意な差違を意味する。ASTM E2179はまた△IICを計算し、これは、2つのIIC試験からなる。1つの試験は、むき出しのコンクリート下張り床(フローリング材料なし)上であり、他は、床カバーリング材料を含むコンクリート下張り床上である。△IICまたは衝撃音防音の改善は、全組み立て品のIICからむき出し床参照値を差し引くことによって得、表VI中のデータによって図示しているようであり、試験したシステム中、23デシベル(dB)ノイズ減少となる。ノイズ軽減における改善が、接着性組成物を通して通過することを試みている音波を無作為に屈折させる不規則な形態で、非球形スペーサー粒子と組み合わせて、床基質と床仕上げ材要素間に、床基質と床仕上げ材要素間の直接の接触を防ぐ最小接着材厚がつねに存在するように、連続および均一の被覆率を提供する本組成物の結果であると信じられる。
【0051】
ASTM E2179−03による、実施例2と人工木材フローリングで上張りした152mm(6インチ)コンクリートスラブに対する結果を、表IVで示唆している。
【表4】

【0052】
ASTM E2179−03による、152mm(6インチ)コンクリートスラブに対する結果を、表Vで示唆している。
【表5】

【0053】
ASTM E2179−03による、△CII試験(コンクリート床を通した衝撃音伝達を減少させる床仕上げ材の効果)に対する結果を、表VIで示唆している。
【表6】

【0054】
ASTM E492−09による、実施例2と人工木材フローリングで上張りした、懸濁石こう板天井を含む、152mm(6インチ)コンクリートスラブに対する結果を、表VIIで示唆している。
【表7】

【0055】
本発明は、そのとりわけ好ましい型を参照して、注目に値する詳細にて記述されているが、他の型も可能である。したがって、付随する請求項の精神および目的は、本明細書に含まれる好ましい型の記述に制限されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着性組成物であって、
a.10〜50重量パーセントの湿気硬化ポリマーシステム
b.0.2〜10重量パーセントの多数のスペーサー粒子で、前記粒子が、不規則な形であり、サイズにして0.5〜10mmである、
c.40〜90重量パーセントの、前記組成物の物理的特性を改変するための添加物、
を含む、接着性組成物。
【請求項2】
前記湿気硬化ポリマーシステムが、ポリウレタン類、シリル化ポリウレタン類、およびシリル化ポリエーテル類からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記湿気硬化ポリマーシステムがさらに、3〜20重量パーセントのイソシアネート−反応性化合物を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記スペーサー粒子が、そのもともとの形態から25%またはそれ以下変形した物質からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記スペーサー粒子が、エラストマーポリマー、ガラス、金属またはミネラルからなる、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記エラストマーポリマーが、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーまたはスチレン−ブタジエンゴムである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記添加物が、可塑剤、レオロジー重合調整剤、充填剤、希釈液、接着促進剤、粘着力増加樹脂、抗菌剤/バイオサイド、触媒、湿気スカベンジャー、抗酸化剤、消泡剤、色素、紫外線吸収剤および安定化剤、潤滑油、増量剤およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記スペーサー粒子が、サイズにして0.5mm〜1.5mmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
床構造であって、
a.床基質、
b.前記床基質の少なくとも一部分に適用した、サイズにして0.5〜10mmである、湿気−硬化ポリマーシステムと多数の不規則な形態のスペーサー粒子を含む接着性組成物、および
c.前記接着剤上に適用される、少なくとも1つの床仕上げ材要素、
を含む床構造。
【請求項10】
前記ポリマーシステムが、ポリウレタン類、シリル化ポリウレタン類およびシリル化ポリエーテル類から選択される、請求項9に記載の床構造。
【請求項11】
前記床基質が、コンクリート、ベニヤ板、パーティクル・ボード、チップ・ボード、ビニル・タイル、セラミック・タイル、セメント支持ボード、石こう、放射熱フローリングおよびテラゾからなる群より選択される、請求項10に記載の床構造。
【請求項12】
前記床仕上げ材が、加工木材、固体木材、竹、セラミック・タイル、大理石および石からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
床構造を構築するための方法であって、
a.一成分湿気硬化ポリマーシステムと、サイズにして0.5〜10mmである多数の不規則な形態のスペーサー粒子を、床基質の表面の少なくとも一部に適用すること、
b.少なくとも1つの床仕上げ材要素を、前記組成物上に適用すること、および
c.前記床仕上げ材要素の最上部に圧力を加え、前記組成物が前記床基質の部分にわたって均一に広がり、それによって連続接接着層を作り出すこと、
を含む方法。
【請求項14】
前記ポリマーシステムが、ポリウレタン類、シリル化ポリウレタン類、およびシリル化ポリエーテル類からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記床基質が、コンクリート、ベニヤ板、パーティクル・ボード、チップ・ボード、ビニル・タイル、セラミック・タイル、セメント支持ボード、石こう、放射熱フローリングおよびテラゾからなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記床仕上げ材が、加工木材、固体木材、竹、セラミック・タイル、大理石および石からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−516524(P2013−516524A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547307(P2012−547307)
【出願日】平成22年12月30日(2010.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/062543
【国際公開番号】WO2011/082327
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(510180393)ボスティック,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】