説明

溝切機

【課題】 前方に駆動部、後方に溝切部を設けた構成、又は前方に溝切部、後方に駆動部を設けた構成のどちらか一方の構成で、前記駆動部と溝切部の略中間の上方に作業者が跨って又は腰掛けて搭乗する搭乗部を設けた乗用の溝切機において、作業者の身長、志向によって搭乗部の座面の高さと、機体を保持する保持部材(グリップ)の位置を作業者に合わせてそれぞれを調節できる溝切機を提供して、溝切作業を楽な姿勢で快適に行なうことを目的とする。
【解決手段】 作業者の身長、志向によって搭乗部の座面の高さを上下方向に調節する機構と、進行方向に対して作業者が搭乗する搭乗部又は、搭乗部の一部に備えられた機体を保持する保持部材(グリップ)を前後方向に調節する機構を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田に給排水を速やかに行なうため、作業者の重量を利用して深い溝を形成する乗用の溝切機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から水田に給排水を速やかにおこない作物の生育を良好に行なう目的で溝切作業が行なわれている。従来の溝切機は作業者が溝切機の後を追従しながら歩行し、駆動輪の後方に設けられた三角板を作業者が地面に押し付けながら駆動輪に牽引されることで溝を形成していく溝切機が主流となっている。また、乗用の田植機に代表される4輪の水田管理機の後方に溝切板を取り付け、地面に溝切板を押し付けながら溝を形成していく溝切機も既に公知である。
【0003】
また、本特許出願人は歩行型の溝切機と同等に軽量で持ち運びが可能であっても、作業者が搭乗して、作業者の体重を利用して深い溝を形成する乗用の溝切装置を平成15年8月29日(特許文献1)に出願をおこなっている。
【0004】
【特許文献1】特願20003−306008号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乗用の4輪の水田管理機を利用した溝切作業は作業者にとって楽な作業であるが、旋回時の稲の踏みつけや、溝同士の接合がうまく行なわれなかったり、作業機の水田への入退場で畦を壊してしまうなどの不具合点や、機械自体のコストの面で今だ普及には至っていない。
【0006】
そこで、本特許出願人は歩行追従型の溝切機のように軽く、そしてコスト的に安価であっても作業者がその溝切機に搭乗(跨る若しくは、腰掛ける)可能とし、しかも作業者の体重を利用して深い溝を形成できる溝切装置を特許文献1のように提案を行なっている。
【0007】
特許文献1の実施例では前方に駆動部をそして後方に溝切部を設けて、前記駆動部と溝切部の略中間上方に搭乗部を設けて、作業者が跨って又は腰掛けて搭乗できるようになっており、作業者の重心は駆動部の軸心から溝切部の後方まで移動可能であって、溝切機の駆動車輪のスリップ状況又は、形成する溝の深さを調節するために作業者はその体重の重心を進行方向に対して前後方向に移動しそれぞれを調節しながら溝切作業ができるように構成されている。
【0008】
また、溝切作業の方法は、作業者は溝切機の左右のグリップをそれぞれの手で握りその後、搭乗部に跨って左右両方の足を機体前方に向けて投げ出した状態で水田の表面に着き、エンジンの回転を上げると共に車輪が進行方向に回転し機体は進行していく。その時、作業者は左右の足を若干上げて足の底面を地面に滑らせながら走行していくと良好に溝切作業が行なえる。また走行方向の微調節を行なう方法として、曲がりたい方向の足を地面との接触面積及び接触抵抗を上げることによって曲がりたい方向に負荷をかけ、多少の進行方向の調節を行なうことができるようになっている。
【0009】
作業者は溝切作業中に溝の深さ、車輪の空転を確認し、溝の深さが足りないようであれば作業者自身の重心を搭乗部の後方に移動し、溝切部に加わる重量を増して深い溝を形成するようにし、車輪が空転して本機の進行が捗らないようであれば、作業者はその重心を搭乗部の前方に移動して車輪に加わる荷重を増し、本機の進行を滞ることなく行なうことができる。即ち溝切作業の進行状況に応じてその体重の重心を前後に移動することによって良好に溝切作業ができるようになっている。
【0010】
しかしながら、特許文献1の出願人が提案する乗用の溝切機を使用して溝切作業を行なう場合、作業者の体型、体格と体重はそれぞれ異なっているものであって、作業者の身長の違いによって搭乗場所に座ったときの地面に着く足つきの角度又はその方向、そして腕の長さの違いによって楽な作業姿勢を維持できないことや、作業者の体重の違いによって、駆動部と溝切部に加わる荷重バランスが異なり、搭乗場所のズレが発生して良好に溝切作業が行なえないことが実験によって判明したものである。
【0011】
そこで本発明では、機体の進行方向に対して、前方に駆動部、後方に溝切部を設けた構成、又は前方に溝切部、後方に駆動部を設けた構成のどちらか一方の構成で、作業者が跨って又は腰掛けて搭乗する搭乗部と、作業者が機体を保持するための保持部材を設けた乗用の溝切機において、作業者の身長、志向によって搭乗部の座面の高さを上下方向に調節する機構と、進行方向に対して、作業者が搭乗する搭乗部又は搭乗部の一部に備えられた機体を保持する保持部材(グリップ)を前後方向に調節する機構を設けて、前記乗用の溝切機を使用する全ての作業者に合わせてそれぞれを調節できる構成の溝切機を提供して、溝切作業を楽な姿勢で快適に行なってもらうことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は請求項1ないし請求項4に係わる溝切機を提案するものである。
【0013】
即ち、請求項1に係わる溝切機は、機体の進行方向に対して、前方に駆動部、後方に溝切部を設けた構成、又は前方に溝切部、後方に駆動部を設けた構成のどちらか一方の構成で、作業者が搭乗する搭乗部と、作業者が機体を保持するための保持部材を設けた乗用の溝切機であって、作業者の身長、志向によって搭乗部の座面の高さを上下方向に調節する機構と、進行方向に対して搭乗部又は保持部材を前後方向に調節する機構のどちらか一方、若しくはその両方を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2に係わる溝切機は、機体の進行方向に対して、前方に駆動部、後方に溝切部を設けた構成、又は前方に溝切部、後方に駆動部を設けた構成のどちらか一方の構成で、前記駆動部と溝切部の略中間の上方に作業者が跨って又は腰掛けて搭乗する搭乗部と、作業者が機体を保持するための保持部材を搭乗部に設けた乗用の溝切機であって、作業者の身長、志向によって搭乗部の座面の高さを上下方向に調節する機構と、進行方向に対して搭乗部又は保持部材を前後方向に調節する機構のどちらか一方、若しくはその両方を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に係わる溝切機は、請求項1又は請求項2記載の溝切機において、進行方向に対して、搭乗部の後方には駆動部に動力を供給する動力源を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項4に係わる溝切機は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の溝切機において、進行方向に対して前後方向に搭乗部の座面からの位置を任意に移動可能とし、作業者が保持部材に設けられたグリップを保持しやすい場所で固定可能であることを特徴とするものである。
【0017】
溝切機1は、機体の進行方向に対して前方に駆動部2、後方に溝切部3を配置、又は前方に溝切部3、後方に駆動部2を配置したどちらか一方の構成であって、作業者8が搭乗する搭乗部4と、作業者8が機体を保持するための保持部材21を設けた乗用の溝切機1であって、前記搭乗部4は駆動部2と溝切部3の略中間の上方に作業者8が跨って又は腰掛けて搭乗するように構成されていると良く、また保持部材21も搭乗部4に設けられるていると良い。作業者8は自分の身長や体重、または自分の好みの姿勢で搭乗部4の高さを調節できる機構と、進行方向に対して搭乗部4自体又は搭乗部4に設けられた保持部材21を前後方向に調節できる機構のどちらか一方又はその両方の機構が設けられているので、作業者8は自分の好みの搭乗部4の高さと前後方向の位置の調節、そして作業者8が両手で捕まるグリップ22(自転車でいうハンドルの部分)を備える保持部材21の前後方向の調節が可能となる特徴を有するものである。
【0018】
また、前記溝切機1の駆動部2に動力を供給する動力源は、作業者8が搭乗する搭乗部4の後方に設けたことも特徴とし、動力源がエンジン11であった場合にエンジン11から排出される排気ガスを作業者8が吸引することなく作業できるものである。
【0019】
なお、搭乗部4に設けられた保持部材21は、搭乗部4の座面20からの位置を進行方向に対して前後方向に移動可能であって、作業者8がグリップ22を握りやすい位置で固定可能であることも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、異なる作業者が溝切作業を行なおうとする場合、各作業者の異なる体型、体格、体重に応じて、作業者が搭乗する搭乗部に跨る又は腰掛ける座面の高さと、搭乗部の進行方向に対する前後方向の若干の調節と、溝切機を作業者が保持する保持部材(グリップ)の位置を、作業者の腕の長さ、又は作業者の志向によって前後方向に移動して固定できるので作業者の希望する姿勢、即ち楽な姿勢で乗用の溝切機に搭乗することができるので、快適な溝切作業を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1には本発明の実施の形態に係わる作業者が搭乗した状態を示す溝切機の側面図、図2には本発明の一の実施の形態に係わる溝切機の高さの設定が異なる状態を示す背面図2図、そして図3には本発明の二の実施の形態を示す側面図である。
【0022】
図1は本発明の実施の形態の溝切機1に作業者8が搭乗した状態を示すものであって、進行方向23に対して前方に駆動部2をそして後方に溝切部3を配置しており、前記駆動部2と溝切部3の略中間上方に作業者が跨って又は腰掛けて搭乗する搭乗部4を設けている。
【0023】
駆動部2と溝切部3はフレームA5によって繋がれ、搭乗部4はフレームC10を介してフレームB6と連結されていて、フレームA5とフレームB6が結合しているものである。
【0024】
駆動部2はギアボックス13で片持ちされている1輪の車輪14が設けられ、その車輪14にはそれが作業時に空転しないように滑り止め15が複数備えられている。車輪14の動力源はエンジン11であって、エンジン11からフレームA5の一部の内部に備えられら動力伝達軸12を経由してギアボックス13で変角減速して軸心9を回転させ車輪14に動力を伝達するようになっている。エンジン11は進行方向23に対して車輪14の後方で、溝切部3の略上方、そして作業者8が跨る又は腰掛ける搭乗部4の若干後方に備えられていて、作業者8が搭乗部4に搭乗した場合に干渉しない位置となっている。
【0025】
溝切部3は、切り分け頂点16を頂点として進行方向23に対し後方に向けて三角形状に広がる左右両面の溝切板7と、溝切部3が耕作されていない固い土の層である耕盤まで入り込むのを防止する底板18からなっており、切り分け頂点16はその位置を固定されていても、溝切板7の後方はフレームA5と溝切部3の取り付け方によって若干左右に振れる構成であると良い。なお切り分け頂点16は地表に近く一般に耕作に利用され柔らかく主に稲の根が張る土層である作土を切り分け、そして溝切板7によって押し広げられてV型の溝を形成するものである。
【0026】
搭乗部4は作業者8が跨る又は腰掛けて搭乗する座面20と、作業者8が溝切機1を保持する部分となる保持部材21と、座面20の底面には搭乗部4をフレームB6と固定するためのフレームC10が設けてある。保持部材21には作業者8が座面20に跨る又は腰掛けたときに自然につかまれる位置にグリップ22を備えていて、グリップ22には動力源となるエンジン11の回転の調節若しくはエンジン11の回転と動力の伝達の有無を調節する回転調節装置26が備えられている。
【0027】
搭乗部4の作業者8が跨って又は腰掛ける座面20の範囲は、作業者8の重心が車輪14の中心の軸心9から溝切板7の後端まで移動できる範囲であればよく、作業者8は溝切作業の進行状況に応じ、溝の深さが足りなければ作業者8は座面20の後方にその重心を移動して、溝切部3に加わる重量を増し、また車輪14が空転して溝切機1が進行方向23に効率よく進行しないようであれば、作業者8は座面20の前方方向にその重心を移動して、車輪14に加わる重量を増すなどして、溝を形成しようとする土の状態即ち作業状態に応じて作業者8は作業中にその重心を進行方向23に対して前後方向に移動できるようになっている。
【0028】
又溝切機1は、搭乗部4の進行方向23に対して平行な左右対称となる中央の線と、車輪14、そして溝切部3の切り分け頂点16が進行方向23に対して一直線また、上下方向に対しても一直線上に設けて配置され、車輪14と溝切部3に対して垂直方向に作業者8の重量が加わるので、溝切作業時においても地面に対して略垂直で作業を行なうことができるものである。
【実施例1】
【0029】
図2に示す溝切機1は搭乗部4の高さを変更できるように構成した状態を示す溝切機1の背面図である。搭乗部4の座面20の底部に設けられたL型形状をしたフレームC10は、一辺を座面20の底面と固定し、他辺は縦方向に長さがあり、複数の孔が設けられている。また、フレームA5に接合されたフレームB6においても、フレームC10の孔と結合する位置の縦方向に複数の孔が設けられていて、フレームC10の孔とフレームB6の孔とは互いに重ね合わせて、上下方向に搭乗部4ずらしても孔の重なる範囲で高さの調節が可能となっている。この図2でのフレームC10とフレームB6との結合は固定ネジA17とナット24の締め付けで固定している。
【0030】
図2の左に示す図は搭乗部4の高さを最低位置に設定した図を表し、右の図は搭乗部4の高さを最高位置にした場合を示した図である。
【0031】
なお、フレームC10とフレームB6を固定ネジA17で固定し、搭乗部4に作業者8が搭乗できるようにした場合においては、搭乗部4の座面20の中央と車輪14と溝切部3の切り分け頂点16が縦方向に一直線上になるよう構成されている。
【実施例2】
【0032】
図3に示す溝切機1は、搭乗部4のグリップ22を備える保持部材21は、座面20から分離できる構造になっている。そして、保持部材21の一部を座面20の底部に差込、固定ネジB19で固定できるようになっている。図3では固定ネジB19を2個使用して保持部材21を座面20の底面に固定しているが、固定ネジB19の数は複数の4個であったり、また作業性を考慮すると固定ネジB19が1本であると作業性が向上できるので良い。
【0033】
実施例1では作業者8が搭乗する搭乗部4の高さを上下に調節できる構成と、実施例2では、作業者8が搭乗部4の座面20に搭乗した時の保持部材21の位置を進行方向に向かって前後方向に調節できる構成を提案している。そこで本発明の形態では、作業者8が搭乗する搭乗部4の高さ調節機構、又は作業者8が溝切機1を保持するための保持部材21を前後方向に移動できる機構のどちらか一方又はその両方の機構を備えているものである。
【0034】
なお、図2に示す搭乗部4は、フレームC10とフレームB6の縦方向に複数設けられた孔を上下方向にずらし、それぞれの孔があった場所で固定ネジA17で固定して搭乗部4の高さ調節を行なっているが、フレームC10とフレームB6のどちらか一方若しくはその両方に進行方向23に対して前後方向にいくつかの孔を設け、搭乗部4全体が進行方向に対して若干前後方向にずれて装着できるようにすると良い(図示せず)。
【0035】
作業者8は、搭乗部4の保持部材21の上端に設けられているグリップ22の両側をそれぞれの手で握り、その後座面20に跨るか又は腰掛けてみて、自分の作業姿勢に搭乗部4の高さ又はグリップ22の前後方向の位置があっているかどうか確認する。
【0036】
搭乗部4の高さが作業者8の志向と異なる場合は、固定ネジA17を緩め、フレームB6と搭乗部4のフレームC10を分離して上下にずらし、点在する孔を合わせ搭乗部4の高さを作業者8の希望する位置にして、固定ネジA17でフレームB6とフレームC10を再度結合させる。
【0037】
また、作業者8が搭乗部4に搭乗して保持部材21に設けられているグリップ22を握ったとき、作業者8の志向と異なる場合は、固定ネジB19を緩め、座面20の底面から保持部材21を抜き差し又は分離し、作業者8のグリップ22を持ちやすい位置に前後方向に移動して、再度固定ネジB19で座面20の底部から保持部材21が前後に動かないように固定するものである。
【0038】
作業者8は、それぞれの位置が決定したら、グリップ22に設けられた回転調節装置26を操作してエンジン11の動力を動力伝達軸12を経由してギアボックス13に伝え、車輪14を回転させ、進行方向23に向かって溝切作業を行なう。
【0039】
本溝切機1を使用して溝を形成する場合、作業者8は搭乗部4に搭乗して、両方の足を進行方向23の前方に向けて投げ出し、本機が進行するのと同時に両方の足の裏を地面に若干つけ、足の裏を滑らせながらバランスをとり進行していくが、作業者8の身長、体格、体重の違いとそれぞれの志向によって座面20の高さの調節をしなくては作業しづらい体勢になってしまう。また、静止位置では握りやすかったグリップ22も圃場の固さの具合又は作業者8の体重によって、静止位置とは異なった場所に作業者8の重心を持っていく必要性が発生して、その位置を固定する必要がある。
【0040】
溝切作業開始によって、静止位置では良好であった姿勢位置も変化を余儀なくされるので、作業者8は作業時にあった座面20の高さの位置と、作業者8の重心がかなりずれ、座面20自体を進行方向に対して前後方向に移動した方が良いと判断した場合は、固定ネジA17を緩めそして高さと座面の前後方向の位置を調節し、また固定ネジA17によってその位置を固定し、また保持部材21も作業中に作業者8の重心が比較的中心にあると思える場所で楽にグリップ22を作業者8が保持できる位置で保持部材21の座面20との距離を再度調節するものである。
【0041】
作業者8が異なる場合、圃場を移動し圃場の固さと耕盤の深さが異なる場合に、作業者8は搭乗する搭乗部4の座面20の前後及び高さの位置、また溝切機1を作業者8が保持するための保持部材21と座面20からの距離をそれぞれ作業者8の志向や溝の深さと進行する速度に合わせて作業のやりやすい位置に移動できるので、溝切作業を快適に行なうことを可能としたものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
従来から水田における溝切作業は、水田の潅水・落水を計画的に行なうことができることから、稲の根の成長を促し倒伏しない丈夫で多収な稲を作ることが周知されている。しかしながら、溝切作業は高温多湿時期におこなう重労働であって、低コスト・低労力を追求する現在の農法では取り入れ難い作業となっている。
【0043】
そこで、本発明では乗用式であっても軽量で簡単に持ち運びができ、作業者の体重を利用して深い溝を容易に作成できる溝切機にさらに作業者の体格、体型に合わせて作業者の搭乗する座面の高さ調節と、溝切機本体を保持し、作業者の体重と溝切を行なう圃場の固さに応じて作業者が保持するグリップを前後方向に移動できるようにしているので、作業者にあった溝切作業の操作位置の提供が可能となり、作業者は楽に溝切作業を行なうことが出来るので労力の軽減を促進し、よって溝切作業の普及を行うことができるものである。
【0044】
溝切作業の普及は稲の根の成長を促し倒伏のない丈夫で多収の稲の生産につながることから、米全体の食味及び品質の向上を促し、日本の農業の基礎体力をあげる働きもあると考える。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係わる作業者が搭乗した状態を示す溝切機の側面図である。
【図2】本発明の一の実施の形態に係わる溝切機の高さの設定が異なる状態を示す背面図2図である。
【図3】本発明の二の実施の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 溝切機
2 駆動部
3 溝切部
4 搭乗部
5 フレームA
6 フレームB
7 溝切板
8 作業者
9 軸心
10 フレームC
11 エンジン
12 動力伝達軸
13 ギアボックス
14 車輪
15 滑り止め
16 切り分け頂点
17 固定ネジA
18 底板
19 固定ネジB
20 座面
21 保持部材
22 グリップ
23 進行方向
24 ナット
26 回転調節装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の進行方向に対して、前方に駆動部、後方に溝切部を設けた構成、又は前方に溝切部、後方に駆動部を設けた構成のどちらか一方の構成で、作業者が搭乗する搭乗部と、作業者が機体を保持するための保持部材を設けた乗用の溝切機であって、作業者の身長、志向によって搭乗部の座面の高さを上下方向に調節する機構と、進行方向に対して搭乗部又は保持部材を前後方向に調節する機構のどちらか一方、若しくはその両方を設けたことを特徴とする溝切機。
【請求項2】
機体の進行方向に対して、前方に駆動部、後方に溝切部を設けた構成、又は前方に溝切部、後方に駆動部を設けた構成のどちらか一方の構成で、前記駆動部と溝切部の略中間の上方に作業者が跨って又は腰掛けて搭乗する搭乗部と、作業者が機体を保持するための保持部材を搭乗部に設けた乗用の溝切機であって、作業者の身長、志向によって搭乗部の座面の高さを上下方向に調節する機構と、進行方向に対して搭乗部又は保持部材を前後方向に調節する機構のどちらか一方、若しくはその両方を設けたことを特徴とする溝切機。
【請求項3】
進行方向に対して、搭乗部の後方には駆動部に動力を供給する動力源を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の溝切機。
【請求項4】
搭乗部に備えた保持部材は、進行方向に対して前後方向に搭乗部の座面からの位置を任意に移動可能とし、作業者が保持部材に設けられたグリップを保持しやすい場所で固定可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の溝切機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−97285(P2006−97285A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283059(P2004−283059)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000001465)金子農機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】