説明

溝路の通水被覆構造

【課題】溝路の側壁の上端面と、支持枠の水平縁の下面との間に隙間が発生せず、これによってコンクリート層のひび割れ発生を防止し得るようにした溝路の通水被覆構造を提供する。
【解決手段】少なくとも一方に水平縁7が連成された立ち上がり縁6からなる左右の支持枠8,8の、その水平縁7の外端を溝路1の側壁4の内側面11aに近接させて配設するとともに、左右の支持枠8,8を連結する梁部材10の左右両端部を溝路1の左右の側壁4,4の上端面に夫々乗載し、溝路1の周囲上部に敷設されるコンクリート層18を、支持枠8の水平縁7上及び該水平縁7の外端が近接する溝路1の側壁4の上端面に亘って連続状に形成するようにした。これにより、コンクリート層18が溝路1の側壁4の上端面に接合され、隙間p(図14参照)が発生することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水溝等の溝路の上部を通水可能に被覆する溝路の通水被覆構造に関する。
【背景技術】
【0002】
U字溝ブロック等の上部が大きく開放された溝路部材を用いて構築される溝路は、従来、その通水性を確保するために、帯板状金属杆を格子状に組み付けたグレーチング蓋からなる通水溝蓋によって上部開口を遮蔽するようにしていた。しかしながら、近年、化粧タイルや化粧ブロックを敷設したカラー舗装路面が多くなり、このようなカラー舗装路面と調和する意匠性に優れた溝蓋が要求されるようになったため、その一形態として内部に化粧タイルや化粧ブロック等の舗装材を充填し得る溝蓋が種々提供されている。
【0003】
このような溝蓋は、箱枠状に形成された蓋本体を備えており、この箱枠状の蓋本体内に化粧タイルや化粧ブロック等の舗装材が充填されるが、その充填に際して、蓋本体内に化粧タイルや化粧ブロックが整然と収まるように、蓋本体内からはみ出す化粧タイルや化粧ブロックの余剰部分を切除しなければならないため、その加工に手間が掛かる上、施工後においても、蓋本体内に充填された舗装材と、溝路の周囲上面に敷設された舗装材との間に、蓋本体と蓋受枠の目地が露出するため、該目地によってカラー舗装路面の意匠的な連続性が分断されてしまうという問題点があった。
【0004】
一方、このような問題点が生じない構成を備えた排水溝構造も提案されている。このものは、図13に示すように、断面略U字形に形成された溝路部材aの両側壁b,b上に載置して溝路jの中央へ向けて延出させた水平縁cと該水平縁cの内側端部に立設した垂直縁dとからなる左右一対の支持枠e,eと、該両支持枠e,eを連結する梁部材fとを備えており、前記両支持枠e,eの垂直縁d,d間に形成される通水部内に通水溝蓋gを配設するようにしている(例えば、特許文献1参照)。かかる構成にあっては、溝路の周囲にコンクリート層mを介して敷設される化粧タイルや化粧ブロック等の舗装材hを、両支持枠e,eの水平縁c,c上で垂直縁d,d際まで連続して敷設することができるため、従来の箱枠状の蓋本体を用いるカラー舗装用の溝蓋のように、蓋本体内からはみ出す化粧タイルや化粧ブロックの余剰部分を切除する必要がなく、また、敷設した舗装材hの、両側壁b,b上に対応する部分に支持枠e,eの目地が露出しないため、カラー舗装路面の意匠的な連続性が損なわれないという利点がある。
【特許文献1】特開2004−169375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、U字溝ブロックからなる溝路部材aを一列状に並べて地中に埋設する施工においては、各溝路部材aの両側壁b,bの上端面を施工設定レベルに完全に一致させることは極めて難しく、両側壁b,bの上端面が施工設定レベルに対して上下に多少ずれる寸法誤差が生じるのは避けられない。このため、上述した特許文献1に開示された構成のように、支持枠e,eの水平縁c,cを溝路部材aの両側壁b,b上に載置する構成にあっては、図14に示すように、側壁bの上端面と水平縁cの下面との間に前記寸法誤差に起因して数mm乃至10mm程度の隙間pが発生することとなるのであるが、該隙間pが狭いため、舗装材hの施工に際して打設されるコンクリートが該隙間pに完全に充填されることはなく、施工完了後も該隙間pが残存した状態となる。そして、このように側壁bの上端面と支持枠eの水平縁cとの間に隙間pが残存している状態にあっては、支持枠e,e上にコンクリート層mを介して敷設された舗装材h上をトラック等の重量の大きなものが通過した場合に、その荷重によって隙間p上のコンクリート層mが沈み込んで該コンクリート層mにひび割れが発生するという問題点があった。
【0006】
また、上記のようなひび割れ発生を防止するために、溝路部材aの上部周囲に配設される鉄筋等からなる芯材k(図13参照)を両支持枠e,eの水平縁c,c上まで延出させてその先端部を垂直縁d,dに溶接するとともに、コンクリートを打設して、この芯材入りのコンクリート層mを水平縁c,c上に固着させることによって、コンクリート層mの強度を高めるようにしている。しかしながら、このように鉄筋等からなる芯材kを施工現場において水平縁c,c上まで配筋し、かつその先端部を垂直縁d,dに一本づつ溶接するのは、手間と費用が掛かる上、施工期間も長くなるという問題点があった。
【0007】
本発明は、溝路の側壁の上端面と、支持枠の水平縁の下面との間に隙間が発生せず、これによってコンクリート層のひび割れ発生を防止し得るようにする一方、梁部材と、支持枠の水平縁との接合強度を高めて、トラック等の大きな荷重に耐え得るようにした溝路の通水被覆構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも一方に水平縁が連成された立ち上がり縁からなる左右の支持枠を備え、該両支持枠の立ち上がり縁が溝路の上部で所定間隔を置いて対向配置され、該両立ち上がり縁間に通水部が形成されるとともに、支持枠の水平縁によって残余の溝路の上部が覆われ、かつ両支持枠が該支持枠の長手方向に所定間隔で配設された複数の梁部材によって連結されてなる溝路用通水被覆装置を備えるものであって、前記各梁部材が支持枠の水平縁の上面に当接して配設され、かつ水平縁の外端が溝路の側壁の内側面に近接させて配設されるとともに、各梁部材の左右両端部が溝路の左右の側壁の上端面に夫々乗載されてなり、溝路の周囲上部に敷設されるコンクリート層が、支持枠の水平縁上及び該水平縁の外端が近接する溝路の側壁の上端面に亘って連続状に形成されていることを特徴とする溝路の通水被覆構造である。
【0009】
ここで、両支持枠の立ち上がり縁を溝路の上部の略中央で対向させる場合には、両立ち上がり縁に梁部材を挿し通す挿通口を形成することが好ましい。また、両支持枠の立ち上がり縁を溝路の上部の側部に偏倚した位置で対向させる場合には、少なくとも溝路を構成する一方の側壁上に位置する立ち上がり縁に対向する他方の立ち上がり縁に、梁部材を挿し通す挿通口を形成することが好ましい。さらに、各梁部材は、支持枠の水平縁の上面に当接させた状態で溶接等の接合手段によって、該水平縁の上面に強固に接合することが好ましい。これにより、支持枠の水平縁の上面に当接する各梁部材の当接状態が保持されるとともに、梁部材と支持枠との相互の位置ずれを防止することができる。また、梁部材の両端部から、溝路の側壁外面に沿うようにして固定杆を夫々下方に垂設し、該固定杆に、先端が溝路の外側面に圧接可能な固定螺子を外側方から螺合して、該固定螺子の緊締作用を介して梁部材を溝路の側壁に固定させるようにすることが好ましい。
【0010】
また、前記梁部材が、水平縁を備えてなる支持枠の立ち上がり縁に形成された挿通口に挿通されているとともに、水平縁の外端から上方に立ち上げられた連結縁が梁部材に接合されている構成が提案される。
【0011】
ここで、水平縁の外端から上方に立ち上げられた連結縁は、溶接等の接合手段によって梁部材に強固に接合することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上述したように、少なくとも一方に水平縁が連成された立ち上がり縁からなる左右の支持枠を備え、該両支持枠の立ち上がり縁が溝路の上部で所定間隔を置いて対向配置され、該両立ち上がり縁間に通水部が形成されるとともに、支持枠の水平縁によって残余の溝路の上部が覆われ、かつ両支持枠が該支持枠の長手方向に所定間隔で配設された複数の梁部材によって連結されてなる溝路用通水被覆装置を備えるものであって、前記各梁部材が支持枠の水平縁の上面に当接して配設され、かつ水平縁の外端が溝路の側壁の内側面に近接させて配設されるとともに、各梁部材の左右両端部が溝路の左右の側壁の上端面に夫々乗載されてなり、溝路の周囲上部に敷設されるコンクリート層が、支持枠の水平縁上及び該水平縁の外端が近接する溝路の側壁の上端面に亘って連続状に形成されている溝路の通水被覆構造であるから、溝路の周囲上部に敷設されるコンクリート層を溝路の側壁の上端面に直に固着させることができるため、支持枠の水平縁が溝路の側壁の上端面に載置されることにより生ずる従来の隙間p(図14参照)が発生せず、これによって該隙間p上のコンクリート層が荷重により沈み込むことによるコンクリート層のひび割れ発生を確実に防止することができる。
【0013】
一方、梁部材が、水平縁を備えてなる支持枠の立ち上がり縁に形成された挿通口に挿通されているとともに、水平縁の外端から上方に立ち上げられた連結縁が梁部材に接合されている構成にあっては、支持枠の内端が立ち上がり縁の挿通口に挿通された梁部材によって支持されているので、水平縁に上方から荷重が加わると、挿通口の上部口縁を中心にして水平縁の外端を下方に回転させようとするモーメント力が生じるのであるが、該水平縁の外端から上方に立ち上げられた連結縁が梁部材に接合されていることにより、水平縁の外端の接合強度が高められ、前記モーメント力に抗し得る堅牢性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の第1実施例を、図1〜図4に基づいて説明する。
溝路1は、図2に示すように、底壁3と左右の側壁4,4とによって断面略U字状に形成されたU字溝ブロックからなる複数の溝路部材2を、地盤の所定深さ位置に一列状に埋設して構築されている。
【0015】
本発明にかかる溝路の通水被覆構造は、溝路1の上部開口を通水可能に覆う溝路用通水被覆装置5を備えている。この第1実施例の溝路用通水被覆装置5は、図1に示すように、垂直な立ち上がり縁6に水平縁7が連成された左右一対の支持枠8,8を備えており、該両支持枠8,8は、その立ち上がり縁6,6が溝路1の上部の略中央で所定間隔を置いて対向配置され、該両立ち上がり縁6,6間に通水部9が形成されている。また、両支持枠8,8の水平縁7,7の外端は、溝路1の左右の側壁4,4の内側面11a,11aに近接させて配設されており、これによって通水部9以外の溝路1の上部開口が、左右の側壁4,4際を僅かに除いて両水平縁7,7で覆われている。両支持枠8,8は、鉄鋼又はステンレス鋼からなる板状の金属材を素材にして形成されており、その長さは、図2に示すように、一列状をなす複数の溝路部材2の長手方向に亘る所定の長さとなっている。尚、各支持枠8の立ち上がり縁6と水平縁7は、図1に示すように、一枚の金属板を断面L形に屈曲させて形成してもよいし、図示省略するが、二枚の金属板を溶接によって断面L形となるように接合して形成することも可能である。また、図4に示すように、支持枠8,8の水平縁7,7の外端に、溝路1の側壁4,4の内側面11a,11aに沿って垂下する遮蔽縁14,14を連成してもよい。これにより、水勾配を付けて構築された溝路1上に溝路用通水被覆装置5を水平に配設する場合に、水下に至るに従って溝路1の側壁4,4の上端面と水平縁7,7の外端の下面との間に次第に生じる上下方向の隙間を遮蔽縁14,14によって遮蔽することができる。
【0016】
左右の支持枠8,8は、図2に示すように、該支持枠8,8の長手方向に所定間隔で配設された複数の梁部材10によって連結されている。各梁部材10は強度に優れた金属製の角パイプからなり、その長さは、溝路1を構成する左右の側壁4,4の外側面11b,11bから若干外方に突出する所定の長さとなっている。各梁部材10は、支持枠8,8の水平縁7,7の上面に当接して配設され、該支持枠8,8の立ち上がり縁6,6に形成された挿通口12,12に挿通した状態で、水平縁7,7または水平縁7,7と挿通口12,12の口縁とに溶接によって強固に接合されている。そして、このように左右の支持枠8,8を移動不能に連結した各梁部材10の左右両端部が、溝路1を構成する左右の側壁4,4の上端面に直接乗載されている。
【0017】
また、立ち上がり縁6,6間に形成された通水部9には、金属製通水被覆部材13が配設されている。該金属製通水被覆部材13は、鉄鋼製、ステンレス鋼製または鋳鉄製のグレーチング蓋からなり、通水部9に露出する前記各梁部材10の上面に着脱可能に乗載されている。尚、この金属製通水被覆部材13は、グレーチング蓋以外に、例えば多数の小孔を穿設した天板部を備えた断面伏コ字形の蓋体を用いてもよい。また、該蓋体を多数の小孔が穿設された天板部のみの帯板状とし、左右の立ち上がり縁6,6の内側面上端に溶接によって接合して横架させてもよく、さらに、この天板部のみからなる蓋体と左右の立ち上がり縁6,6とを一体形成することも可能である。また、グレーチング状に形成した金属製通水被覆部材13を、左右の立ち上がり縁6,6間に配置した状態で溶接によって両立ち上がり縁6,6に一体的に接合してもよい。また、通水部9は、支持枠8,8の立ち上がり縁6,6を近接させて対向配置することによって、図示したものに比して狭幅に形成することにより、金属製通水被覆部材13を用いない構成とすることも可能である。
【0018】
前記各梁部材10の両端部には、溶接によって接合した固定杆16が、溝路1の側壁4,4の外側面11b,11bに沿うようにして夫々下方に垂設されており、各固定杆16には先端が溝路1の側壁4,4の外側面11b,11bに圧接可能な固定螺子17が夫々外側方から螺合されている。そして、各固定螺子17を締め付け方向に螺回操作して、各固定螺子17の先端部を側壁4,4の外側面11b,11bに圧接させることにより、その緊締作用を介して、各梁部材10を溝路1の側壁4,4に固定するようにしている。
【0019】
そして、このような固定状態において、溝路1の周囲上部に敷設されるコンクリート層18が、図3に示すように、左右の支持枠8,8の水平縁7,7上及び該水平縁7,7が近接する溝路1の側壁4,4の上端面上に亘って連続状に形成されている。尚、コンクリート層18は化粧タイル19とともに溝路1の周囲上部に敷設される舗装材20を構成するものであり、化粧タイル19はコンクリートの打設後にその表層面に配設することにより、固結したコンクリート層18上に貼着されるようにしている。
【0020】
ここで、施工に際しては、溝路用通水被覆装置5を溝路1の側壁4,4上に載置した後、各固定螺子17の螺回操作による緊締作用を介して、各梁部材10を溝路1の側壁4,4に固定する。そして、この固定状態において、固結後にコンクリート層18となるコンクリートを、溝路1の周囲から溝路1の側壁4,4の上端面及び支持枠8,8の水平縁7,7上に亘って所定厚さで打設する。これにより、溝路1の側壁4,4の上端面にコンクリートが直に打設され、固結後のコンクリート層18が溝路1の側壁4,4の上端面に直に固着されることとなる。尚、各梁部材10を溝路1の側壁4,4に固定した後、水平縁7,7の外端と溝路1の側壁4,4の内側面11a,11aとの間に生じる間隙15,15を、ブチルゴムテープや固練りコンクリート等を用いて遮蔽することにより、該間隙15,15からのコンクリートの落下を防止することができる。
【0021】
かかる構成にあって、溝路1の周囲上部に敷設されるコンクリート層18を溝路1の側壁4,4の上端面に直に固着させることができるため、支持枠8,8の水平縁7,7が溝路1の側壁4,4の上端面に載置されることにより生ずる従来の隙間p(図14参照)が発生せず、これによって該隙間p上のコンクリート層18が荷重により沈み込むことによるコンクリート層18のひび割れ発生を確実に防止することができる。
【0022】
また、この第1実施例では、左右の支持枠8,8を、立ち上がり縁6,6に水平縁7,7が夫々連成されたものとし、両支持枠8,8の立ち上がり縁6,6を溝路1の上部の略中央で対向させることにより、該両立ち上がり縁6,6間に形成される通水部9を溝路1の上部の略中央に位置させるようにしたので、溝路1の上部の略中央に該溝路1の開口幅より狭い通水部9を形成することができる。
【0023】
図5は第2実施例を示し、この第2実施例は、前記第1実施例における両支持枠8,8の立ち上がり縁6,6を溝路1の上部の側部に偏倚した位置で対向させることにより、該両立ち上がり縁6,6間に形成される通水部9を溝路1の上部の側部に位置させるようにしたものである。ここで、一方の支持枠8(図中右側)の水平縁7を広幅とし、該広幅の水平縁7の外端が、一方の側壁4(図中右側)の内側面11aに近接させて配設されており、これによって通水部9以外の溝路1の上部開口が、一方の側壁4(図中右側)際を僅かに除いて水平縁7で覆われている。また、他方の支持枠8(図中左側)は立ち上がり縁6のみからなり、該立ち上がり縁6が他方の側壁4(図中左側)の外端上に配設されている。該立ち上がり縁6には下縁が開放されたコ字形の挿通口12が形成されており、該挿通口12に挿通された梁部材10が該挿通口12の口縁に溶接によって強固に接合されている。そして、各梁部材10の左右両端部が、溝路1を構成する左右の側壁4,4の上端面に直接乗載されている。その他の構成は前記第1実施例と同じであり、同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
かかる構成にあっても、図6に示すように、溝路1の周囲上部に敷設されるコンクリート層18を、溝路1の一方の側壁4(図中右側)の上端面に直に固着させることができるため、支持枠8の水平縁7が溝路1の側壁4の上端面に載置されることにより生ずる従来の隙間p(図14参照)が発生せず、これによって該隙間p上のコンクリート層18が荷重により沈み込むことによるコンクリート層18のひび割れ発生を確実に防止することができる。
【0025】
また、この第2実施例では、通水部9を溝路1の上部の最も側部に偏倚した位置に形成することができる。これにより、溝路1が側溝である場合、或いは溝路1の外端側に壁や塀等の立ち上がり部21がある場合に、道路側に敷設される舗装材20を支持枠8の広幅の水平縁7上に連続状に敷設するだけでよいため、道路の外端側における舗装材20の敷設作業を不要とすることができ、施工が容易となる利点がある。
【0026】
図7は、第3実施例を示し、この第3実施例は、前記第1実施例における両支持枠8,8の外端に、上方に立ち上がる連結縁22,22を連成し、該連結縁22,22を梁部材10に接合したものである。ここで、連結縁22,22には梁部材10を挿通し得るコ字形の切欠溝23,23が形成されており、該切欠溝23,23内に梁部材10を挿通した状態で、梁部材10と切欠溝23,23とを溶接によって強固に接合するようにしている。その他の構成は前記第1実施例と同じであり、同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0027】
かかる構成にあっては、支持枠8,8の内端が立ち上がり縁6,6の挿通口12,12に挿通された梁部材10によって支持されているので、水平縁7,7に上方から荷重が加わると、挿通口12,12の上部口縁を中心にして水平縁7,7の外端を下方に回転させようとするモーメント力が生じるのであるが、該水平縁7,7の外端から上方に立ち上げられた連結縁22,22が梁部材10に接合されていることにより、水平縁7,7の外端の接合強度が高められ、前記モーメント力に抗し得る堅牢性を得ることができる。
【0028】
尚、本発明は上述した各実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、梁部材10を金属製の角パイプに代えて、図8,図9に示すように、所定の厚みを有する縦向きの金属製帯板杆によって構成することもでき、この場合には角パイプに比してさらに高い強度を得ることができる。また、図10に示すように、左右の支持枠8,8の立ち上がり縁6,6を、図1に示したものに比して高くするようにしてもよい。これにより、水平縁7,7上に厚いコンクリート層18を形成する施工に対応し得るものとなる。また、この場合、金属製帯板杆からなる梁部材10に、通水部9内で上方に突出する突出部24を一体形成することにより、該突出部24の上縁でグレーチング蓋等からなる金属製通水被覆部材13を支持することができる。また、図11に示すように、金属製帯板杆からなる梁部材10に、下方に突出する突出部25を一体形成し、該突出部25の下縁を水平縁7,7の上面に当接させた状態で、突出部25と水平縁7,7とを溶接によって強固に接合するようにしてもよい。これにより、立ち上がり縁6,6が高いものと低いものの二種類の支持枠8,8を形成する必要がなく、立ち上がり縁6,6を高く形成した一種類の支持枠8,8のみによって、コンクリート層18を厚く形成する施工と、薄く形成する施工の何れにも対応し得るものとなる。さらに、図12に示すように、金属製帯板杆からなる梁部材10に、通水部9内で上方に突出する突出部24と、下方に突出する突出部25とを一体形成するようにしてもよい。これにより、梁部材10の剛性が高くなり、上方からの荷重による梁部材10の湾曲を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施例にかかる溝路用通水被覆装置5を備えた溝路の通水被覆構造の縦断面図である。
【図2】同上の溝路用通水被覆装置5の外観斜視図である。
【図3】同上の溝路の通水被覆構造の施工状態を示す縦断面図である。
【図4】水平縁7,7の外端に遮蔽縁14,14が連成された溝路用通水被覆装置5を備えた溝路の通水被覆構造の縦断面図である。
【図5】第2実施例にかかる溝路用通水被覆装置5を備えた溝路の通水被覆構造の縦断面図である。
【図6】同上の溝路の通水被覆構造の施工状態を示す縦断面図である。
【図7】第3実施例にかかる溝路用通水被覆装置5を備えた溝路の通水被覆構造の縦断面図である。
【図8】金属製帯板杆からなる梁部材10を備えた溝路用通水被覆装置5の平面図である。
【図9】同上の溝路用通水被覆装置5の端部の側面図である。
【図10】立ち上がり縁6,6が高い溝路用通水被覆装置5を備えた溝路の通水被覆構造の縦断面図である。
【図11】金属製帯板杆からなる梁部材10に、下方に突出する突出部25が一体形成された溝路用通水被覆装置5を備えた溝路の通水被覆構造の縦断面図である。
【図12】金属製帯板杆からなる梁部材10に、上方に突出する突出部24と下方に突出する突出部25とが一体形成された溝路用通水被覆装置5を備えた溝路の通水被覆構造の縦断面図である。
【図13】従来の排水溝構造を示す縦断面図である。
【図14】従来構成の問題点を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0030】
1 溝路
4 側壁
5 溝路用通水被覆装置
6 立ち上がり縁
7 水平縁
8 支持枠
9 通水部
10 梁部材
11a 内側面
12 挿通口
18 コンクリート層
22 連結縁
p 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方に水平縁が連成された立ち上がり縁からなる左右の支持枠を備え、該両支持枠の立ち上がり縁が溝路の上部で所定間隔を置いて対向配置され、該両立ち上がり縁間に通水部が形成されるとともに、支持枠の水平縁によって残余の溝路の上部が覆われ、かつ両支持枠が該支持枠の長手方向に所定間隔で配設された複数の梁部材によって連結されてなる溝路用通水被覆装置を備えるものであって、
前記各梁部材が支持枠の水平縁の上面に当接して配設され、かつ水平縁の外端が溝路の側壁の内側面に近接させて配設されるとともに、各梁部材の左右両端部が溝路の左右の側壁の上端面に夫々乗載されてなり、溝路の周囲上部に敷設されるコンクリート層が、支持枠の水平縁上及び該水平縁の外端が近接する溝路の側壁の上端面に亘って連続状に形成されていることを特徴とする溝路の通水被覆構造。
【請求項2】
梁部材が、水平縁を備えてなる支持枠の立ち上がり縁に形成された挿通口に挿通されているとともに、水平縁の外端から上方に立ち上げられた連結縁が梁部材に接合されていることを特徴とする請求項1記載の溝路の通水被覆構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−190248(P2008−190248A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26956(P2007−26956)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(592094243)カネソウ株式会社 (73)
【Fターム(参考)】