説明

溶接構造体

【課題】 互いに溶接される一側部材と他側部材との接合強度を高める。
【解決手段】
角筒体12の左ウェブ12Aと補強板16との間、右ウェブ12Bと補強板16との間に、すみ肉溶接部17を形成すると共に、このすみ肉溶接部17と交差する複数の深溶け込み溶接部18を形成する構成とする。これにより、すみ肉溶接部17を複数の深溶け込み溶接部18によって補強することができ、角筒体12と補強板16との接合強度を高めることができる。また、すみ肉溶接部17と各深溶け込み溶接部18とが交差した部位には、深溶け込み溶接部18による滑らかなビード止端部18A,18Bを形成することができるので、角筒体12と補強板16との接合強度を一層高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベルのブーム、アームといった建設機械の構造物等に好適に用いられる溶接構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
また、油圧ショベルの作業装置は、通常、基端側が上部旋回体の旋回フレームに回動可能に取付けられたブームと、該ブームの先端側に回動可能に取付けられたアームと、該アームの先端側に回動可能に取付けられたバケット等の作業具とにより構成され、土砂の掘削作業等を行うものである。
【0004】
そして、上述した油圧ショベルの作業装置に用いられるアームは、左,右のウェブと上,下のフランジとに囲まれた中空な角筒体と、この角筒体の左,右のウェブに軸方向の両端側が固定されブームの先端側に回動可能にピン結合される円筒状のブーム用ボスと、このブーム用ボスの周囲を補強するため角筒体の左,右のウェブに固着された補強板とを備えた溶接構造体として構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−268804号公報
【0006】
ここで、上述した従来技術によるアームは、角筒体を構成する左,右のウェブと補強板との間に、すみ肉溶接部と深溶け込み溶接部とを設ける構成としている。この場合、すみ肉溶接部は、例えばアーク溶接等の手段を用いて補強板の周縁部とウェブとの間の角隅部にすみ肉溶接を施すことにより形成され、深溶け込み溶接部は、例えばレーザ溶接等の手段を用いて補強板とウェブとを板厚方向に溶込ませることにより形成されている。
【0007】
このように、角筒体のウェブと補強板との間にすみ肉溶接部と深溶け込み溶接部とを形成することにより、角筒体と補強板との溶着部が増大するので、角筒体と補強板との接合強度を高めることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来技術では、角筒体のウェブと補強板の端縁部との間に形成されたすみ肉溶接部のビード止端部が、ウェブの表面から大きな段差をもって突出することがある。このように、ビード止端部とウェブの表面との境界部に急激な段差が形成された場合には、この段差部に応力が集中することにより、ビード止端部を起点として角筒体のウェブや補強板に亀裂が生じ易くなり、角筒体と補強板との接合強度が低下してしまうという問題がある。
【0009】
これに対し、グラインダ等を用いてすみ肉溶接部のビード止端部を研削し、当該ビード止端部がウェブ表面に滑らかに連続するように成形することにより、角筒体と補強板との接合強度を高めることができる。しかし、この場合には、ビード止端部を滑らかに研削する作業に多大な時間と労力が必要となり、作業性が低下してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、すみ肉溶接によって接合される一側部材と他側部材との接合強度を高めることができるようにした溶接構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため本発明は、一側部材と該一側部材に接合される他側部材とを有し、前記一側部材と他側部材とをすみ肉溶接によって接合してなる溶接構造体に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記すみ肉溶接部の位置には、当該すみ肉溶接部と交差した状態で、前記一側部材と前記他側部材とに対し板厚方向に溶込ませる複数の深溶け込み溶接部を設けたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記各深溶け込み溶接部は、前記すみ肉溶接部の溶接方向に対して直交する方向に設ける構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記一側部材は、左,右のウェブと上,下のフランジとに囲まれて形成され建設機械のブームに回動可能に取付けられるブーム用ボスが設けられた建設機械用アームの角筒体であり、前記他側部材は、前記ブーム用ボスの周囲を補強するため前記角筒体のウェブに固着された補強板であり、前記角筒体のウェブと前記補強板とをすみ肉溶接によって接合し、前記各深溶け込み溶接部は、前記すみ肉溶接部と交差すると共に、前記ブーム用ボスから前記角筒体に作用する主応力の方向に沿って延びる構成としたことにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、一側部材と他側部材との間を接合するすみ肉溶接部と交差した状態で、一側部材と他側部材との間に複数の深溶け込み溶接部を形成することにより、これら各深溶け込み溶接部によってすみ肉溶接部を補強することができる。また、一側部材と他側部材との溶着部を大きく確保することができるので、一側部材と他側部材との接合強度を高めることができる。
【0016】
しかも、各深溶け込み溶接部がすみ肉溶接部と交差することにより、すみ肉溶接部の溶接ビードを、一側部材や他側部材と一緒に溶融させることができ、すみ肉溶接部と深溶け込み溶接部とが交差した部位には、深溶け込み溶接部による滑らかなビード止端部を形成することができる。この結果、ビード止端部を起点として一側部材や他側部材に亀裂が生じるのを防止でき、これら一側部材と他側部材との接合強度を一層高めることができる。また、グラインダ等を用いてビード止端部を滑らかに成形する必要がなくなる分、一側部材と他側部材とを接合するときの作業性を高めることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、一側部材と他側部材との間に形成されたすみ肉溶接部に対し、例えばその溶接方向と直交する方向に応力が作用したとしても、この応力をすみ肉溶接部と交差する各深溶け込み溶接部によって確実に受けることができるので、一側部材と他側部材との接合強度を高めることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、角筒体のウェブと補強板との間にすみ肉溶接部と複数の深溶け込み溶接部とを設けることにより、角筒体と補強板との溶着部を大きく確保することができるので、角筒体と補強板との接合強度を高めることができる。しかも、複数の深溶け込み溶接部を、ブーム用ボスから角筒体に作用する主応力の方向に沿って延びるように設けることにより、ブーム用ボスから角筒体に主応力が作用したとしても、この応力を各深溶け込み溶接部によって確実に受けることができる。この結果、深溶け込み溶接部の止端部を起点として角筒体や補強板に亀裂が生じるのを防止でき、角筒体、補強板等からなる建設機械用アーム全体の強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る溶接構造体の実施の形態を、油圧ショベルを構成する部材に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図16を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
まず、図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示し、本実施の形態では油圧ショベルのアームを例に挙げている。
【0021】
図中、1は油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置4とからなり、この作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。
【0022】
ここで、作業装置4は、基端側が上部旋回体3に回動可能に取付けられた後述のブーム21と、該ブーム21の先端側に回動可能に取付けられた後述のアーム11と、該アーム11の先端側に回動可能に取付けられた後述のバケット41と、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7とにより大略構成されている。
【0023】
11は本実施の形態による溶接構造体としてのアームで、該アーム11は、ブーム21の先端側に回動可能に取付けられるものである。そして、アーム11は、図2ないし図5に示すように、後述の角筒体12、ブーム用ボス13、バケット用ボス14、シリンダブラケット15、補強板16等により構成されている。
【0024】
12はアーム11の本体部分を構成する角筒体で、該角筒体12は、後述の補強板16が溶接される一側部材を構成するものである。ここで、角筒体12は、左,右方向で対面する左ウェブ12A,右ウェブ12Bと、これら左,右のウェブ12A,12Bを挟んで上,下方向で対面する上フランジ12C、下フランジ12Dとを溶接することにより、断面四角形の角筒状に形成されている。また、角筒体12の基端部には、平板状の基端側端板12Eが溶接によって固着され、この基端側端板12Eによって角筒体12の基端側が閉塞されている。
【0025】
13は角筒体12の下フランジ12Dと基端側端板12Eとの間の角隅部に設けられたブーム用ボスで、該ブーム用ボス13は、ブーム21の先端側に回動可能にピン結合されるものである(図1参照)。そして、ブーム用ボス13は円筒体からなり、軸方向の両端側が角筒体12の左,右のウェブ12A,12Bに溶接されると共に、外周面が下フランジ12D、基端側端板12Eに溶接されている。
【0026】
14は角筒体12の先端側に設けられたバケット用ボスで、該バケット用ボス14は、バケット41が回動可能にピン結合されるものである。そして、バケット用ボス14は円筒体からなり、軸方向の両端側が角筒体12の左,右のウェブ12A,12Bに溶接されると共に、外周面が上フランジ12C、下フランジ12Dの先端部に溶接されている。
【0027】
15は角筒体12の基端側に設けられたシリンダブラケットで、該シリンダブラケット15は、左,右方向で対面する一対の板体により構成され、角筒体12の上フランジ12Cと基端側端板12Eとに溶接等の手段を用いて固着されている。そして、シリンダブラケット15には、アームシリンダ6の先端側が回動可能にピン結合されると共に、バケットシリンダ7の基端側が回動可能にピン結合される構成となっている。
【0028】
16はブーム用ボス13の周囲を補強するため角筒体12の左,右のウェブ12A,12Bに溶接された左,右の補強板(一方のみ図示)で、該補強板16は、一側部材としての角筒体12に対して他側部材を構成するものである。
【0029】
ここで、補強板16は、図3及び図4に示すように、ブーム用ボス13の外周縁部を取囲むように円弧状に湾曲した凹湾曲部16Aと、角筒体12の下フランジ12Dから基端側端板12Eに向けて延びる前壁部16Bと、下フランジ12Dに沿って凹湾曲部16Aから前壁部16Bへと延びる一方の側壁部16Cと、基端側端板12Eに沿って凹湾曲部16Aから前壁部16Bへと延びる他方の側壁部16Dとを有する山形状の板体として形成され、ウェブ12Aに溶接によって強固に固着されている。そして、図4及び図5に示すように、角筒体12のウェブ12Aと補強板16との間には、後述のすみ肉溶接部17と、複数の深溶け込み溶接部18とが設けられている。
【0030】
17は一側部材としての角筒体12(ウェブ12A)と他側部材としての補強板16との間に設けられたすみ肉溶接部で、該すみ肉溶接部17は、図4及び図5に示すように、ウェブ12Aの表面と補強板16の端縁部との間に、例えばアーク溶接等の手段を用いてすみ肉溶接を施すことにより形成されている。そして、すみ肉溶接部17は、補強板16の全周に亘って連続する溶接ビード部を形成している。
【0031】
18,18,…はすみ肉溶接部17とは別に角筒体12(一側部材)のウェブ12Aと補強板16(他側部材)との間に設けられた複数の深溶け込み溶接部で、これら各深溶け込み溶接部18は、図4に示すように、補強板16の一方の側壁部16Cから他方の側壁部16Dに亘って設けられたすみ肉溶接部17と交差した状態で、当該すみ肉溶接部17の溶接方向に適度な間隔をもって複数箇所に形成されている。そして、各深溶け込み溶接部18は、すみ肉溶接部17と協働してウェブ12Aの表面に補強板16を強固に固着するものである。
【0032】
ここで、各深溶け込み溶接部18は、図4及び図5に示すように、例えばレーザ溶接等のエネルギ密度が高い深溶け込み溶接を用いて、補強板16の表面からウェブ12Aの板厚の中間部までを板厚方向に溶込ませることにより形成されている。そして、各深溶け込み溶接部18は、補強板16のうち前壁部16Bの近傍部位からウェブ12Aまで直線的に延び、その途中部位がすみ肉溶接部17と交差する構成となっている。
【0033】
この場合、掘削作業時においてアーム11が作動するときには、図3中に矢印Fで示すように、角筒体12に対しブーム用ボス13から放射状に延びる方向に主応力が作用する。これに対し、各深溶け込み溶接部18は、ブーム用ボス13を中心として放射状に広がるように配置され、ブーム用ボス13の周囲に作用する主応力の方向に沿って延びる構成となっている。
【0034】
そして、深溶け込み溶接部18は、図5に示すように、補強板16のうちすみ肉溶接部17の近傍に位置する一方のビード止端部18Aと、ウェブ12Aのうちすみ肉溶接部17の近傍に位置する他方のビード止端部18Bとの間で直線状に延び、補強板16の表面からウェブ12Aの板厚方向の中間部に亘って深く溶け込んでいる。
【0035】
この場合、深溶け込み溶接部18を形成するときの深溶け込み溶接は、エネルギ密度が高いので、補強板16とウェブ12Aとを溶融させるだけでなく、すみ肉溶接部17の溶接ビードをも溶融させることができる。これにより、すみ肉溶接部17と深溶け込み溶接部18とが交差した部位には、補強板16の表面から滑らかに連続するビード止端部18Aと、ウェブ12Aの表面から滑らかに連続するビード止端部18Bとを有する深溶け込み溶接部18を形成することができ、当該深溶け込み溶接部18のビード止端部18A,18Bを起点としてウェブ12A、補強板16等に亀裂が生じるのを防止できる構成となっている。
【0036】
また、深溶け込み溶接部18を形成するときの深溶け込み溶接は、例えばアーク溶接等に比較して溶接速度を大きくできるので、この分、溶接対象である補強板16、ウェブ12Aへの入熱量を低くすることができる。このため、各深溶け込み溶接部18の溶接ビード部(溶接金属)は、急加熱、急冷却されることにより母材(補強板16、ウェブ12A)よりも硬化する構成となっている。
【0037】
本実施の形態による溶接構造体としてのアーム11は上述の如き構成を有するもので、角筒体12を構成する左,右のウェブ12A,12Bの表面と補強板16の端縁部との間にすみ肉溶接部17を形成すると共に、このすみ肉溶接部17と交差した状態でウェブ12A,12Bと補強板16とを板厚方向に溶込ませる複数の深溶け込み溶接部18を設ける構成としている。
【0038】
これにより、角筒体12のウェブ12Aと補強板16との間に形成したすみ肉溶接部17を、複数の深溶け込み溶接部18によって補強することができ、かつ、各深溶け込み溶接部18を設けた分、ウェブ12Aと補強板16との溶着部を増大することができるので、角筒体12と補強板16との接合強度を高めることができる。
【0039】
また、角筒体12のウェブ12Aと補強板16との接合強度を高めることにより、すみ肉溶接部17の脚長を短くすることができる。この結果、ウェブ12Aと補強板16の端縁部との間にすみ肉溶接を施すときに、その溶接時間を短縮することができ、溶接作業の作業性を高めることができる。また、すみ肉溶接部17の脚長を短くできる分、補強板16の板厚を小さく(薄く)することができるので、アーム11全体の重量を軽減することができる上に、製造コストの軽減にも寄与することができる。
【0040】
しかも、各深溶け込み溶接部18をすみ肉溶接部17と交差させることにより、ウェブ12Aと補強板16とに深溶け込み溶接を施すときに、ウェブ12Aと補強板16とを溶融させるだけでなく、すみ肉溶接部17の溶接ビードをも溶融させることができる。これにより、すみ肉溶接部17と深溶け込み溶接部18とが交差した部位には、深溶け込み溶接部18による滑らかなビード止端部18A,18Bを形成することができ、これらビード止端部18A,18Bを起点としてウェブ12A、補強板16等に亀裂が生じるのを防止することができる。
【0041】
この結果、角筒体12と補強板16との接合強度を高めることができ、アーム11の耐久性を高めることができる。また、グラインダ等を用いてビード止端部18A,18Bを滑らかに成形する必要がなくなる分、角筒体12と補強板16とを接合するときの作業性を高めることができる。
【0042】
また、深溶け込み溶接部18は、すみ肉溶接部17の溶接方向に間隔をもって複数個設けたので、滑らかに連続する深溶け込み溶接部18のビード止端部18A,18Bを複数箇所に形成することができ、角筒体12と補強板16との接合強度を一層高めることができる。
【0043】
さらに、各深溶け込み溶接部18は、アーム11の作動時にブーム用ボス13から角筒体12に作用する主応力の方向(図3中の矢示F方向)に沿って延びるように、ブーム用ボス13を中心として放射状に形成されている。このため、作業装置4の掘削作業等によりアーム11に対して外部から応力が加わる場合に、ブーム用ボス13から角筒体12に対して放射状に主応力が作用したとしても、この主応力の方向と深溶け込み溶接部18の溶接方向とを一致させることができる。これにより、図5に示す深溶け込み溶接部18のビード止端部18A,18Bに作用する応力を緩和することができるので、これらビード止端部18A,18Bを起点として角筒体12、補強板16に亀裂が生じるのを確実に防止することができ、アーム11全体の強度を高めることができる。
【0044】
次に、図6ないし図12は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では、溶接構造体として油圧ショベルのブームを例に挙げている。
【0045】
図中、21は本実施の形態による溶接構造体としてのブームで、該ブーム21は、油圧ショベル1の上部旋回体3に回動可能に取付けられるものである。そして、ブーム21は、図6に示すように、後述の角筒体22、基端側ボス23、補強板26、アーム取付ブラケット29等により構成されている。
【0046】
22はブーム21の本体部分を構成する角筒体で、該角筒体22は、後述の基端側ボス23、補強板26、アーム取付ブラケット29が溶接される一側部材を構成するものである。ここで、角筒体22は、全体として略「く」字状に湾曲した細長い中空構造体として形成されている。そして、角筒体22は、左,右方向で対面する左ウェブ22A,右ウェブ22Bと、これら左,右のウェブ22A,22Bを挟んで上,下方向で対面する上フランジ22C、下フランジ22Dとを溶接することにより、断面四角形の角筒状に形成されている。
【0047】
23は角筒体22の基端側に溶接された基端側ボスで、該基端側ボス23は、一側部材としての角筒体22に対して他側部材を構成するもので、上部旋回体3に回動可能にピン結合されるものである。そして、基端側ボス23は中空な円筒体からなり、基端側ボスの外周側は、後述のすみ肉溶接部24、深溶け込み溶接部25によって角筒体22の上フランジ22C、下フランジ22Dに溶接されるものである。
【0048】
24は一側部材としての角筒体22と他側部材としての基端側ボス23との間に設けられたすみ肉溶接部で、該すみ肉溶接部24は、図7及び図8に示すように、角筒体22を構成する上フランジ22Cの端縁部と基端側ボス23の外周面との間と、下フランジ22Dの端縁部と基端側ボス23の外周面との間とにそれぞれ形成されている。そして、すみ肉溶接部24は、基端側ボス23の軸方向に沿って直線的に連続する溶接ビード部を形成している。
【0049】
25,25,…はすみ肉溶接部24と交差した状態で角筒体22の上フランジ22Cと基端側ボス23との間、及び角筒体22の下フランジ22Dと基端側ボス23との間に設けられた複数の深溶け込み溶接部で、これら各深溶け込み溶接部25は、すみ肉溶接部24の溶接方向に適度な間隔をもって複数個設けられている。そして、各深溶け込み溶接部25は、すみ肉溶接部24と協働して上,下のフランジ22C,22Dと基端側ボス23とを強固に固着するものである。
【0050】
ここで、各深溶け込み溶接部25は、図7及び図8に示すように、上,下のフランジ22C,22Dと基端側ボス23とを板厚方向に溶込ませることにより形成されている。そして、各深溶け込み溶接部25は、上フランジ22Cから基端側ボス23までの間、及び下フランジ22Dから基端側ボス23までの間を直線的に延び、その途中部位がすみ肉溶接部24と交差している。
【0051】
これにより、すみ肉溶接部24と深溶け込み溶接部25とが交差した部位には、深溶け込み溶接部25による滑らかなビード止端部25A,25Bが形成され、これらビード止端部25A,25Bを起点として角筒体22の上,下のフランジ22C,22D、基端側ボス23等に亀裂が生じるのを防止できる構成となっている。
【0052】
また、図7に示すように、各深溶け込み溶接部25は、すみ肉溶接部24の溶接方向に対して直交する方向に延びて形成されている。このため、例えば角筒体22に引張り荷重等が作用することにより、すみ肉溶接部24に対してその溶接方向と直交する方向に応力が作用したとしても、この応力をすみ肉溶接部24と交差する各深溶け込み溶接部25によって確実に受けることができる構成となっている。
【0053】
26,26は角筒体22の基端側に位置して左,右のウェブ22A,22Bに溶接された左,右の補強板で、該各補強板26は、基端側ボス23の周囲を補強し、一側部材としての角筒体22に対して他側部材を構成するものである。
【0054】
ここで、補強板26は、図9及び図10に示すように、角筒体22の上,下のフランジ22C,22D間で略V字状に湾曲した凹湾曲部26Aを有する平板からなり、角筒体22の左,右のウェブ22A,22Bに溶接によって強固に固着されている。そして、左,右のウェブ22A,22Bと補強板26の凹湾曲部26Aとの間には、後述のすみ肉溶接部27と深溶け込み溶接部28とが設けられている。
【0055】
27は一側部材としての角筒体22と他側部材としての補強板26との間に設けられたすみ肉溶接部で、該すみ肉溶接部27は、角筒体22を構成する左,右のウェブ22A,22Bの表面と、補強板26の凹湾曲部26Aの端縁部との間に形成されている。そして、すみ肉溶接部27は、凹湾曲部26Aの湾曲形状に沿って連続する溶接ビード部を形成している。
【0056】
28,28,…はすみ肉溶接部27と交差した状態で角筒体22の左ウェブ22Aと補強板26との間、及び角筒体22の右ウェブ22Bと基端側ボス23との間に設けられた複数の深溶け込み溶接部で、これら各深溶け込み溶接部28は、補強板26の凹湾曲部26Aに沿って設けられたすみ肉溶接部27の溶接方向に適度な間隔をもって複数個設けられている。
【0057】
ここで、各深溶け込み溶接部28は、図9及び図10に示すように、補強板26のうち凹湾曲部26Aの近傍部位と角筒体22の左ウェブ22Aとの間、及び補強板26のうち凹湾曲部26Aの近傍部位と角筒体22の右ウェブ22Bとの間を直線的に延び、その途中部位がすみ肉溶接部27と交差している。
【0058】
これにより、すみ肉溶接部27と深溶け込み溶接部28とが交差した部位には、深溶け込み溶接部28による滑らかなビード止端部28A,28Bが形成されされ、これらビード止端部28A,28Bを起点として角筒体22の左,右のウェブ22A,22B、補強板26等に亀裂が生じるのを防止できる構成となっている。
【0059】
また、各深溶け込み溶接部28は、すみ肉溶接部27の溶接方向に対して直交する方向に延びて形成され、すみ肉溶接部27に対してその溶接方向と直交する方向に応力が作用したとしても、この応力を各深溶け込み溶接部28によって確実に受けることができる構成となっている。
【0060】
29,29は角筒体22の先端側に溶接された左,右のアーム取付ブラケットで、これら左,右のアーム取付ブラケット29は、一側部材としての角筒体22に対して他側部材を構成するもので、アーム11が回動可能にピン結合されるものである。ここで、各アーム取付ブラケット29は、図11及び図12に示すように、全体として略三角形状をなす平板からなり、その基端側に略V字状に湾曲した凹湾曲部29Aが設けられると共に先端側にはピン挿通孔29Bが設けられている。
【0061】
そして、アーム取付ブラケット29は、角筒体22の先端側に溶接によって強固に固着され、角筒体22の左ウェブ22Aとアーム取付ブラケット29との間、及び角筒体22の右ウェブ22Bとアーム取付ブラケット29との間には、後述のすみ肉溶接部30と深溶け込み溶接部31とが設けられている。
【0062】
30は一側部材としての角筒体22と他側部材としてのアーム取付ブラケット29との間に設けられたすみ肉溶接部で、該すみ肉溶接部30は、角筒体22を構成する左,右のウェブ22A,22Bの表面と、アーム取付ブラケット29の凹湾曲部29Aの端縁部との間に形成され、当該凹湾曲部29Aの湾曲形状に沿って連続する溶接ビード部を形成している。
【0063】
31,31,…はすみ肉溶接部30と交差した状態で角筒体22の左ウェブ22Aとアーム取付ブラケット29との間、及び角筒体22の右ウェブ22Bとアーム取付ブラケット29との間に設けられた複数の深溶け込み溶接部で、これら各深溶け込み溶接部31は、アーム取付ブラケット29の凹湾曲部29Aに沿って設けられたすみ肉溶接部30の溶接方向に適度な間隔をもって複数個設けられている。
【0064】
ここで、各深溶け込み溶接部31は、アーム取付ブラケット29のうち凹湾曲部29Aの近傍部位と角筒体22の左ウェブ22Aとの間、及びアーム取付ブラケット29のうち凹湾曲部29Aの近傍部位と角筒体22の右ウェブ22Bとの間を直線的に延び、その途中部位がすみ肉溶接部30と交差している。
【0065】
これにより、すみ肉溶接部30と深溶け込み溶接部31とが交差した部位には、深溶け込み溶接部31による滑らかなビード止端部31A,31Bが形成され、これらビード止端部31A,31Bを起点として角筒体22の左,右のウェブ22A,22B、アーム取付ブラケット29等に亀裂が生じるのを防止できる構成となっている。
【0066】
また、各深溶け込み溶接部31は、すみ肉溶接部30の溶接方向に対して直交する方向に延びて形成され、すみ肉溶接部30に対してその溶接方向と直交する方向に応力が作用したとしても、この応力を各深溶け込み溶接部31によって確実に受けることができる構成となっている。
【0067】
本実施の形態による溶接構造体としてのブーム21は上述の如き構成を有するもので、角筒体22を構成する上,下のフランジ22C,22Dと基端側ボス23との間にすみ肉溶接部24を形成すると共に、該すみ肉溶接部24と交差する深溶け込み溶接部25を形成している。これにより、すみ肉溶接部24と深溶け込み溶接部25とが交差した部位に、深溶け込み溶接部25による滑らかなビード止端部25A,25Bを形成することができ、角筒体22と基端側ボス23との接合強度を高めることができる。
【0068】
また、角筒体22を構成する左,右のウェブ22A,22Bと補強板26との間に、すみ肉溶接部27と深溶け込み溶接部28とを形成することにより、すみ肉溶接部27と深溶け込み溶接部28とが交差した部位に滑らかなビード止端部28A,28Bを形成することができ、角筒体22と補強板26との接合強度を高めることができる。
【0069】
さらに、角筒体22を構成する左,右のウェブ22A,22Bとアーム取付ブラケット29との間に、すみ肉溶接部30と深溶け込み溶接部31とを形成することにより、すみ肉溶接部30と深溶け込み溶接部31とが交差した部位に滑らかなビード止端部31A,31Bを形成することができ、角筒体22とアーム取付ブラケット29との接合強度を高めることができる。
【0070】
次に、図13及び図14は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態では、溶接構造体として油圧ショベルのバケットを例に挙げている。
【0071】
図中、41は本実施の形態による溶接構造体としてのバケットで、該バケット41は、アーム11の先端側に回動可能に取付けられ土砂等を掘削するものである。そして、バケット41は、後述の底板42、左側板44、右側板45、左サイドエッジ46、右サイドエッジ47、カッティングエッジ48、底板補強板50、側板補強板53等により構成されている。
【0072】
42はバケット41の底板で、該底板42は、鋼板等に折曲加工を施すことにより、上,下方向の途中部位が円弧状に湾曲した板体として形成されている。そして、底板42の上端側には、左,右の取付ブラケット43,43が固着して設けられ、該各取付ブラケット43が、アーム11の先端側に回動可能にピン結合される構成となっている。ここで、底板42は、後述の底板補強板50が溶接される一側部材を構成するものである。
【0073】
44は底板42の左端部に固着された左側板、45は底板42の右端部に固着された右側板で、これら左,右の側板44,45は、後述の側板補強板53が溶接される一側部材を構成するものである。ここで、左,右の側板44,45は、略三角形状をなす平板からなり、底板42を挟んで左,右方向で対面することにより、当該底板42との間に土砂等の収容空間を形成するものである。
【0074】
そして、左側板44のうち底板42とは反対側となる開口側には、左サイドエッジ46が上,下方向に延びて設けられ、右側板45の開口側には、右サイドエッジ47が上,下方向に延びて設けられている。
【0075】
48は底板42の下端側に設けられたカッティングエッジで、該カッティングエッジ48は、例えば底板42により厚肉な板体からなり、底板42の下端部、左,右のサイドエッジ46,47の下端部等に溶接等によって固着され、左,右方向に延びている。そして、カッティングエッジ48には、複数の掘削爪49が左,右方向に並んで取付けられている。
【0076】
50,50,…は底板42の外側面に溶接された複数の底板補強板で、該各底板補強板50は、一側部材としての底板42に対して他側部材を構成するものである。ここで、底板補強板50は、底板42の湾曲形状に対応して湾曲した長方形の平板からなり、底板42に溶接によって固着されている。
【0077】
51は一側部材としての底板42と他側部材としての底板補強板50との間に設けられたすみ肉溶接部で、該すみ肉溶接部51は、底板42の外側面と底板補強板50の端縁部との間に形成され、当該底板補強板50の外周縁に沿って連続する溶接ビード部を形成している。
【0078】
52,52,…はすみ肉溶接部51と交差した状態で底板42と底板補強板50との間に設けられた複数の深溶け込み溶接部で、これら各深溶け込み溶接部52は、すみ肉溶接部51の溶接方向に適度な間隔をもって複数個設けられている。そして、各深溶け込み溶接部52は、底板補強板50の周縁部から底板42へと直線的に延び、その途中部位がすみ肉溶接部51に対し、その溶接方向と直交する方向に交差している。
【0079】
53は左,右の左側板44,45の外側面に溶接された側板補強板で、該側板補強板53は、一側部材としての左,右の側板44,45に対して他側部材を構成するものである。ここで、側板補強板53は、略長方形状をなす平板からなり、左,右の側板44,45の上,下方向の中間部位から下端側に亘る範囲に溶接によって固着されている。
【0080】
54は一側部材としての左,右の側板44,45と他側部材としての側板補強板53との間に設けられたすみ肉溶接部で、該すみ肉溶接部54は、左側板44の外側面と側板補強板53の端縁部との間に形成されると共に、右側板45の外側面と側板補強板53の端縁部との間に形成されている。
【0081】
55,55,…はすみ肉溶接部54と交差した状態で左,右の側板44,45と側板補強板53との間に設けられた複数の深溶け込み溶接部で、これら各深溶け込み溶接部55は、すみ肉溶接部54の溶接方向に適度な間隔をもって複数個設けられている。そして、各深溶け込み溶接部55は、すみ肉溶接部54に対し、その溶接方向と直交する方向に交差している。
【0082】
本実施の形態による溶接構造体としてのバケット41は上述の如き構成を有するもので、底板42と底板補強板50との間にすみ肉溶接部51を形成すると共に、該すみ肉溶接部51と交差する深溶け込み溶接部52を形成することにより、底板42と底板補強板50との接合強度を高めることができる。また、左,右の側板44,45と側板補強板53との間にすみ肉溶接部54を形成すると共に、該すみ肉溶接部54と交差する深溶け込み溶接部55を形成することにより、左,右の側板44,45と側板補強板53との接合強度を高めることができる。
【0083】
なお、上述した第1の実施の形態では、角筒体12の左ウェブ12Aと補強板16とに対し、すみ肉溶接部17と交差すると共に、ブーム用ボス13から角筒体12に作用する主応力の方向に沿って延びる複数の深溶け込み溶接部18を設けた場合を例示している。
【0084】
しかし、本発明はこれに限らず、例えば図15に示す変形例のように、すみ肉溶接部17の溶接方向に対して直交する方向に延びる複数の深溶け込み溶接部61を設ける構成としてもよい。
【0085】
また、上述した第2の実施の形態では、ブーム21を構成する角筒体22と基端側ボス23との間に、すみ肉溶接部24と複数の深溶け込み溶接部25とを設け、各深溶け込み溶接部25を、すみ肉溶接部24の溶接方向と直交する方向に延びる構成とした場合を例示している。
【0086】
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図16に示す他の変形例のように、すみ肉溶接部24の溶接方向に対して傾斜した方向に延びる複数の深溶け込み溶接部62を設ける構成としてもよい。この場合には、すみ肉溶接部24の溶接方向に対して傾斜させた分、各深溶け込み溶接部62の溶接長さを大きくすることができるので、角筒体22と基端側ボス23との溶着部を一層大きく確保することができ、両者の接合強度を高めることができる。
【0087】
また、上述した第1の実施の形態では、アーム11を構成する角筒体12の左,右のウェブ12A,12Bと補強板16との接合部に、すみ肉溶接部17と深溶け込み溶接部18とを形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば角筒体12の左,右のウェブ12A,12Bと上フランジ12Cとの接合部、左,右のウェブ12A,12Bと下フランジ12Dとの接合部等に、すみ肉溶接部と深溶け込み溶接部とを形成する構成としてもよい。
【0088】
さらに、本発明に係る溶接構造体は、上述した第1の実施の形態によるアーム11、第2の実施の形態によるブーム21、第3の実施の形態によるバケット41に限らず、溶接によって接合される一側部材と他側部材とを備えた溶接構造体に広く適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1の実施の形態による溶接構造体としてのアームを備えた油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中のアームを単体で示す正面図である。
【図3】アームと補強板とを分解した状態で示す分解斜視図である。
【図4】図2中の角筒体、補強板、すみ肉溶接部、深溶け込み溶接部等を拡大して示す正面図である。
【図5】ウェブ、補強板、すみ肉溶接部、深溶け込み溶接部を図4中の矢示V−V方向からみた断面図である。
【図6】第2の実施の形態による溶接構造体としてのブームを単体で示す正面図である。
【図7】角筒体、基端側ボス、すみ肉溶接部、深溶け込み溶接部を図6中の矢示VII−VII方向から拡大してみた平面図である。
【図8】角筒体、基端側ボス、すみ肉溶接部、深溶け込み溶接部を図7中の矢示VIII−VIII方向からみた断面図である。
【図9】図6中の角筒体、基端側ボス、補強板、すみ肉溶接部、深溶け込み溶接部を拡大して示す正面図である。
【図10】角筒体、補強板、すみ肉溶接部、深溶け込み溶接部を図9中の矢示X−X方向からみた断面図である。
【図11】図6中の角筒体、アーム取付ブラケット、すみ肉溶接部、深溶け込み溶接部を拡大して示す正面図である。
【図12】角筒体、アーム取付ブラケット、すみ肉溶接部、深溶け込み溶接部を図11中の矢示XII−XII方向からみた断面図である。
【図13】第3の実施の形態による溶接構造体としてのバケットを単体で示す正面図である。
【図14】バケットを図13中の矢示XIV−XIV方向からみた左側面図である。
【図15】アームのウェブと補強板との間に形成したすみ肉溶接部に対し、各深溶け込み溶接部を直交して交差させた変形例を示す図4と同様な正面図である。
【図16】ブームの角筒体と基端側ボスとの間に形成したすみ肉溶接部に対し、各深溶け込み溶接部を傾斜して交差させた変形例を示す図7と同様な平面図である。
【符号の説明】
【0090】
1 油圧ショベル
4 作業装置
11 アーム(溶接構造体)
12,22 角筒体(一側部材)
12A 左ウェブ
12B 右ウェブ
12C 上フランジ
12D 下フランジ
13 ブーム用ボス
16,26 補強板(他側部材)
17,24,27,30,51,54 すみ肉溶接部
18,25,28,31,52,55,61,62 深溶け込み溶接部
21 ブーム(溶接構造体)
23 基端側ボス(他側部材)
29 アーム取付ブラケット(他側部材)
41 バケット(溶接構造体)
42 底板(一側部材)
44 左側板(一側部材)
45 右側板(一側部材)
50 底板補強板(他側部材)
53 側板補強板(他側部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側部材と該一側部材に接合される他側部材とを有し、前記一側部材と他側部材とをすみ肉溶接によって接合してなる溶接構造体において、
前記すみ肉溶接部の位置には、当該すみ肉溶接部と交差した状態で、前記一側部材と前記他側部材とに対し板厚方向に溶込ませる複数の深溶け込み溶接部を設ける構成としたことを特徴とする溶接構造体。
【請求項2】
前記各深溶け込み溶接部は、前記すみ肉溶接部の溶接方向に対して直交する方向に設ける構成としてなる請求項1に記載の溶接構造体。
【請求項3】
前記一側部材は、左,右のウェブと上,下のフランジとに囲まれて形成され建設機械のブームに回動可能に取付けられるブーム用ボスが設けられた建設機械用アームの角筒体であり、
前記他側部材は、前記ブーム用ボスの周囲を補強するため前記角筒体のウェブに固着された補強板であり、
前記角筒体のウェブと前記補強板とをすみ肉溶接によって接合し、
前記各深溶け込み溶接部は、前記すみ肉溶接部と交差すると共に、前記ブーム用ボスから前記角筒体に作用する主応力の方向に沿って延びる構成としてなる請求項1に記載の溶接構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−50807(P2008−50807A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226884(P2006−226884)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】