説明

溶液中の包接化合物又はそのゲスト分子の相分離促進方法

【課題】 貯留槽内における原料溶液の相分離を促進させる方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 包接化合物のホスト分子を溶媒としゲスト分子を溶質として含む溶液を、該溶液中で包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と低い領域とに分離させる、相分離現象の促進又は迅速化方法において、溶液Lの中に配置された熱交換器2の外表面に包接化合物L1を生成させ、塊状体に成長させる第1工程と、塊状体の一部を熱交換器2の外表面の側から融解させることにより、塊状体の未融解部を外表面から離脱させる第2工程と、第1工程及び第2工程を少なくとも1回繰り返すことにより、包接化合物L1と溶液Lとの密度差にもとづいて未融解部を溶液の中の特定領域に偏在させ、その特定領域における包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度を相対的に高める第3工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包接化合物のホスト分子を溶媒としゲスト分子を溶質として含む溶液を、前記包接化合物の存在比率又は前記ゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と低い領域とに相分離する現象を促進又は迅速化させる技術に関する。
【0002】
なお、次に掲げる用語又は表現の意味又は解釈は、以下のとおりとする。
【0003】
(1)「原料溶液」とは、包接化合物のホスト分子を溶媒としゲスト分子を溶質として含む溶液をいう。包接化合物のホスト分子を溶媒としゲスト分子を溶質として含むとともに包接化合物が分散又は懸濁している溶液も「原料溶液」に該当する。
【0004】
(2)「包接化合物」とは、複数の分子が適当な条件下で組み合わさって結晶ができるとき、一方の分子(ホスト分子)が籠状、トンネル形、層状または網状構造をつくり、その隙間に他の分子(ゲスト分子)が入りこんだ構造の化合物の意味であり、包接水和物を除くこととする狭義の包接化合物のみならず、この包接水和物(特許文献1、2参照)を含む、言わば広義の包接化合物も「包接化合物」に該当する。言うまでもなく、水が凝固してできる氷はこれに該当しない。
【0005】
(3)「熱交換器」とは、熱源又は熱媒体との熱交換を可能にする外表面を備える伝熱物体を意味し、中実であるか否か、断面形状、寸法、材質等は問わない。プレート式や多管式といった型式も問わない。ヒートパイプも「熱交換器」の一種である。本発明の具体的な説明を行う際に、熱輸送媒体が流通する空洞を有する伝熱管を「熱交換器」として本発明の具体的な説明を行う場合があるとしても、それは「熱交換器」をかかる伝熱管に限定する意図ではない。
【0006】
(4)熱交換器の「外表面」とは、熱交換器の熱交換面(伝熱面)及びその熱交換の効果が及ぶ当該熱交換面の近傍領域をいう。
【0007】
(5)「下方」及び「上方」とは、それぞれ、重力が働く方向及びその反対の方向をいう。
【0008】
(6)「塊状体」とは、一つの集合体としての外形を有する物体をいい、周囲のものと視覚的に区別できる外形であれば、その形状に限定はなく、特に明記する場合を除き、内部の構造、強度、硬度、粘性、密度、組成等は問わない。なお、「包接化合物の塊状体」とは、包接化合物が生成を重ねて塊状をなし、塊状体と肉眼で認定できる状態になるに至ったものをいう。
【0009】
(7)「スラリー」とは、液体中に固体粒子が分散又は懸濁した状態又はその状態にある物質をいう。沈降しがちな固体粒子を浮遊状態とするために界面活性剤を添加したり、機械的に攪拌することもあるが、その場合にも「スラリー」という。特に包接化合物又はその塊状体について「スラリー」という場合には、界面物性剤の添加や機械的攪拌の有無に拘らず、包接化合物のホスト分子を溶媒としゲスト分子を溶質として含む溶液の中に当該包接化合物が分散又は懸濁した状態又はその状態にある物質をいうが、分散や懸濁が均質であることまで必要とされない。例えば、包接化合物の塊状体の一部(特に溶液に接している部分)が前記溶液中に分散又は懸濁しているが残部は前記溶液中で塊状体のままである場合には、その分散又は懸濁しているものは「スラリー」であり、包接化合物の塊状体と前記溶液中で並存している状態にあるといえる。
【0010】
(8)「相分離」とは、原料溶液の中で包接化合物の存在比率又はそのゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と低い領域とに分離する現象、即ち固相が多い領域と液相が多い領域とに分離する現象をいう。
【0011】
(9)「水和物生成温度」とは、原料溶液を冷却したとき、包接水和物が生成するべき平衡温度をいう。原料溶液のゲスト化合物の濃度により包接化合物が生成する温度が変動する場合であっても、これを「水和物生成温度」という。なお、簡便のため、「水和物生成温度」を「融点」という場合がある。
【0012】
(10)「調和融点」とは、原料溶液の液相から包接水和物が生成する際、原料溶液中のゲスト分子の濃度と包接水和物中のゲスト分子の濃度とが等しく、包接水和物の生成の前後において当該液相の組成が変わらない場合の温度をいう。なお、縦軸を水和物生成温度、横軸を原料溶液の液相のゲスト化合物の濃度とした状態図では極大点が「調和融点」となる。また、調和融点を与える原料溶液中のゲスト分子の濃度を「調和融点濃度」という。調和融点濃度未満の濃度の原料溶液から包接水和物を生成する場合には、包接水和物の生成につれて原料溶液のゲスト分子の濃度が低下し、その濃度に対する水和物生成温度が低下する。
【0013】
(11)包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度が相対的に高い領域を「高濃度領域」という場合があり、前記包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度が相対的に低い領域を「低濃度領域」という場合がある。尤も、「高濃度領域」以外のすべての領域が「低濃度領域」に該当するという意味ではなく、「低濃度領域」以外のすべての領域が「高濃度領域」に該当するという意味でもない。
【背景技術】
【0014】
包接化合物は、その生成時に潜熱として熱エネルギーを蓄積し、融解時にその熱エネルギーを放出する性質を有することから、これを、例えば蓄熱材の主成分又は組成物として利用するための研究開発が行われている(特許文献1及び2)。
【0015】
ここで、容器内の原料溶液中に配置された熱交換器を介した熱媒体との熱交換により、その原料溶液の中に包接化合物を生成させる場合、包接化合物と原料溶液との間に密度差があると、その密度差に起因して包接化合物が原料溶液の中で浮揚又は沈降して上方又は下方に偏在することになり、原料溶液の中で包接化合物の存在比率又はそのゲスト分子の濃度が相対的に高い領域(高濃度領域)と相対的に低い領域(低濃度領域)とに分離する現象、あるいは固相が多い領域と液相が多い領域とに分離する現象、即ち相分離現象が生じる。
【0016】
しかし、前記の特許文献1〜4の例はいずれも、原料溶液を収容している容器(貯留タンクや蓄熱槽)から当該原料溶液を容器外に取り出し、該容器外に設置された熱交換器を介した冷熱又は熱媒体と当該原料溶液との熱交換により包接化合物を生成させ、これをスラリーにして前記容器に戻し、その容器の中で原料溶液と包接化合物のスラリーとを相分離させている。すなわち、容器に収容された原料溶液の中に熱交換器が配置されている構成ではない。
【0017】
また、前記の特許文献1〜4の例の場合のように、包接化合物が原料溶液中でスラリーになり得る性質を有しているときには、包接化合物の原料溶液への分散性が高く又は原料溶液中での包接化合物の凝集性が低く、相分離現象が速やかに起こり難いことが多く、数時間又はそれ以上の時間が経過しないと相分離現象を肉眼視できない場合すらある。このため、成層型の貯留タンクや蓄熱槽を早期に定常稼動させる必要がある局面では、その定常稼動に耐え得るだけの相分離状態を可及的速やかに実現することが求められてくる。
【0018】
尤も、包接化合物が原料溶液の中でスラリーになり得る性質を有していても、包接化合物の種類や包接化合物と原料溶液との組み合わせなどによっては、相分離現象が速やかに起こるものもあるかも知れない。しかし、その場合であっても、相分離現象をさらに促進させる必要性は別途あり得る。例えば、相分離現象を促進させて、原料溶液中の特定領域に高濃度領域を形成し、その特定領域又は高濃度領域から原料溶液又は包接化合物若しくはゲスト分子を取り出すことにより、包接化合物のゲスト分子を回収してこれを蓄熱材組成物としての再利用を企図する場合である。逆の場合もあり得る。即ち、相分離現象を促進させて、原料溶液中の特定領域に低濃度領域を形成し、その特定領域又は低濃度領域から原料溶液又は包接化合物若しくはゲスト分子を取り出すことにより、原料溶液中に包接化合物のゲスト分子を濃縮してこれを蓄熱材組成物としての再利用を企図する場合である。
【0019】
包接化合物のゲスト分子の濃縮技術の一例が、包接水和物を生成する薬剤(当該包接水和物のゲスト分子)の水溶液から不純物を除去するための水溶液再生技術である(特許文献5)。この水溶液再生技術では、不純物を含む原料溶液とその原料溶液中に配置される熱交換器を備える処理槽を用意し、熱交換器に冷却用熱媒体を流すことで熱交換器の周りに包接水和物の結晶を生成させ、その結晶が生成した後に残った水溶液を処理槽外に排出することで不純物を除去し、次いで熱交換器に加熱用熱媒体を流すことで包接水和物の結晶を融解し、不純物が除去された原料溶液、更にはその原料溶液を加熱・濃縮等してゲスト分子の析出物を得ている。
【特許文献1】特公昭57−35224号公報
【特許文献2】特許3641362号公報
【特許文献3】特開2000−121266号公報
【特許文献4】特開2002−333165号公報
【特許文献5】特開2002−333168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかし、冷却用熱媒体が流れる熱交換器の周りに包接化合物が生成して厚みを増すにつれて伝熱抵抗が大きくなるため、その冷却用熱媒体による冷却の効果が水溶液に及ばなくなってくる。このことは、特許文献5記載の技術において、熱交換器の周りに包接水和物の結晶を生成させても、結晶にならないまま水溶液中にゲスト分子が残り、相分離を行なうことに限界があることを意味している。それ故、特許文献5記載の技術は、これにより包接化合物のゲスト分子の濃縮が可能になるとはいえ、原料溶液の中で、包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と相対的に低い領域とに相分離する現象を促進するには、未だ効率的なものとはいえない。また、前記の従来技術では、包接化合物とそのゲスト分子を溶質として含む原料溶液との密度差と、包接化合物の濃縮との関係について、全く考慮されておらず、技術的な示唆も見当たらない。
【0021】
本発明は、以上の問題や事情に鑑みてなされたものであり、原料溶液の中で、包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と相対的に低い領域とに相分離する現象を促進又は迅速化若しくは高速化させる技術、加えて、これを効率的に行うことができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するための、本発明の第1の形態に係る相分離の促進又は迅速化方法は、包接化合物のホスト分子を溶媒としゲスト分子を溶質として含む溶液を、前記溶液中で前記包接化合物の存在比率又は前記ゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と低い領域とに分離させる方法であって、前記溶液の中に配置された熱交換器の外表面に前記包接化合物を生成させ、塊状体に成長させる第1工程と、前記塊状体の一部を前記外表面の側から融解させることにより、前記塊状体の未融解部を前記外表面から離脱させる第2工程と、前記第1工程及び前記第2工程を少なくとも1回繰り返すことにより、前記包接化合物と前記溶液との密度差にもとづいて前記未融解部を前記溶液の中の特定領域に偏在させ、その特定領域における前記包接化合物の存在比率又は前記ゲスト分子の濃度を相対的に高める第3工程とを有することを特徴とする。
【0023】
本発明の第2の形態に係る相分離の促進又は迅速化方法は、第1の形態に係る方法において、第2工程の終了後第1工程の開始前又は第1工程の途中に、前記包接化合物の存在比率又は前記ゲスト分子の濃度が相対的に低い領域にある前記溶液を攪拌する攪拌工程を有することを特徴とする。
【0024】
本発明の第3の形態に係る相分離の促進又は迅速化方法は、第1又は第2の形態に係る方法において、前記第1工程が、前記包接化合物の潜熱により熱エネルギーを蓄積する工程であり、前記第2工程が、前記熱交換器により前記塊状体の一部から熱エネルギーを取り出す工程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、包接化合物が原料溶液と異なる密度と原料溶液中でスラリーになり得る性質を有していることを利用して、原料溶液の中に配置された熱交換器の外表面に包接化合物を生成させ塊状体に成長させる工程と、その塊状体の一部を熱交換器の外表面の側から融解させ、その外表面から未融解部を離脱させる工程とを少なくとも1回繰り返すことにより、包接化合物と原料溶液との密度差に従って未融解部を原料溶液の中の特定領域に偏在させ、その特定領域における包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度を相対的に高めることを基本構成とする。
【0026】
熱交換器の外表面に生成した包接化合物をその外表面の側から融解させると、融解した部分は原料溶液に戻り外表面から未融解部が離脱し、未融解部は包接化合物と原料溶液との密度差に従って原料溶液の中で浮揚又は沈降し、原料溶液中の特定領域に集まり偏在することになる。この結果、包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と相対的に低い領域とに分離することになる。
【0027】
ここで、未融解部は、包接化合物の塊状体の一部であるので、包接化合物のスラリーと異なり、溶媒への分散性がなく、溶媒の中での凝集性もないので、スラリーよりも迅速に、包接化合物と原料溶液との密度差に従って上方に浮揚又は下方に沈降する。
【0028】
それ故、本発明によれば、原料溶液の中で、包接化合物の生成と融解を少なくとも1回繰り返すことにより、高濃度領域と低濃度領域とに相分離する相分離現象を促進させることができる。
【0029】
しかも、包接化合物の生成と融解を繰り返すたびに未融解部が特定領域に集まり、当該特定領域に形成される高濃度領域における包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度は漸増し、当該特定領域又は高濃度領域以外の領域(低濃度領域を含む)の原料溶液における包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度は平均して漸減することになるが、熱交換器の外表面に原料溶液への伝熱を妨げ伝熱抵抗となる包接化合物が存在しない又は殆ど存在しない状態になるので、原料溶液が熱交換器と直接接触して熱交換器による熱交換の効果(熱伝達性)は高いまま維持され、故にゲスト分子の濃度が低い原料溶液からも引き続き包接化合物が生成する。尤も、ゲスト分子の濃度が低下した分だけ包接化合物の生成量は漸減するが、熱伝達性が低下しないことから包接化合物をより多く生成させることができる、換言すれば、原料溶液の中に残存するゲスト分子の量をより少なくすることができる。
【0030】
それ故、本発明によれば、原料溶液の中で、包接化合物の生成と融解を複数回繰り返すことにより、原料溶液から包接化合物又はゲスト分子を上方又は下方の特定領域に累積的に偏在させることができ、包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と相対的に低い領域とに速やかに、しかも効率的に、またゲスト分子の濃度の高低差がより明確になるように分離させることができる、という基本的な効果を得る。
【0031】
また、本発明の各形態が奏する個別的な作用効果は以下のとおりである。
【0032】
本発明の第1の形態によれば、原料溶液の中で、高濃度領域と低濃度領域とに相分離する現象を促進又は迅速化させる方法を実現できる。特に、原料溶液の中で、包接化合物の生成と融解を複数回繰り返すことにより、相分離を速やかに且つ効率的に行うことができる。なお、包接化合物の生成と融解の繰返し回数を多くすることにより、ゲスト分子の濃度の高低差をより明確にすることができる。
【0033】
この第1の形態において、第1の工程で包接化合物の潜熱により熱エネルギーを蓄積し、第2の工程で熱交換器により熱エネルギーを取り出すという蓄熱・放熱の過程でゲスト分子の相分離現象の促進又は迅速化を実現することができる。このことは、原料溶液を収容する容器(貯留タンクや蓄熱槽)の中に、当該原料溶液の中に没するように熱交換器を配置すれば、この熱交換器により包接化合物の生成と融解を行うことにより、当該容器の中で包接化合物の存在比率又はゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と低い領域とに相分離する相分離現象を促進又は迅速化させることができるということをも意味している。
【0034】
包接化合物を熱交換器の外表面の側から融解させると、融解した部分は原料溶液に戻る。このとき、熱交換器外表面に近い原料溶液におけるゲスト分子の濃度が相対的に高くなり、熱交換器の外表面から原料溶液に向かって濃度勾配が生じる。このような濃度勾配は熱交換器の外表面における包接水和物の生成を阻害する。他方、熱交換器の外表面に生成し外表面を覆う包接化合物は伝熱抵抗になるので、熱交換器の外表面に包接化合物を生成して、塊状体にまで成長させようとしても、その成長には限界がある。
【0035】
そこで、本発明の第2の形態によれば、第2工程の終了後第1工程の開始前までに、低濃度領域で攪拌されるので、その低濃度領域にある原料溶液が均一化される。また、本発明の第2の形態によれば、第1工程の途中において、未融解部が低濃度領域で攪拌されるので、その低濃度領域にある原料溶液が均一化される。そして、これらの攪拌により、熱交換器の外表面(当該外表面に包接水和物が生成している場合には、原料溶液と接する当該包接水和物の表面)から原料溶液への伝熱性が改善される。
【0036】
これらの結果、低濃度領域における原料溶液からも包接化合物を生成させることができるようになり、原料溶液全体から効率的に包接水和物を塊状体に成長させることができるようになる。それ故、原料溶液からより多くの包接化合物を生成させ、塊状体にまで成長させ、未融解部として原料溶液の中の特定領域に偏在させることができるようになり、延いては、原料溶液の中で、高濃度領域と低濃度領域とに相分離する相分離現象をより効率的に促進させることができる。
【0037】
本発明の第3の形態においては、記第1工程が、前記包接化合物の潜熱により熱エネルギーを蓄積する工程であり、前記第2工程が、前記熱交換器により前記塊状体の一部から熱エネルギーを取り出す工程となる。これらの工程は、それぞれ、包接水和物を潜熱蓄熱材とする蓄熱方法における蓄熱工程及び放熱工程又は包接水和物を潜熱蓄熱材とする蓄熱装置の蓄熱運転及び放熱運転に対応している。それ故、この第3の形態によれば、包接水和物を潜熱蓄熱材とする既存又は公知の蓄熱方法や蓄熱装置(特に所謂内融式蓄熱装置)を転用することにより、本発明の第1又は第2の形態に係る原料溶液中の包接化合物又はそのゲスト分子の相分離促進方法を容易に実現することができる。これは、使用済みの包接化合物のゲスト分子を回収又は濃縮による再利用を企図する場合において特に有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面にもとづき本発明の実施の形態について説明する。本実施形態では、包接化合物の具体例を包接水和物として説明するが、当該具体例が包接水和物であるからといって、本発明から包接水和物以外の包接化合物が除外されることではなく、包接水和物以外の包接化合物でも本発明を実施できる。また、包接水和物は原料溶液に比べて密度が大きく、未融解の包接化合物の塊状体(未融解部)が原料溶液中を沈降する場合について説明するが、密度が小さい場合は未融解部が原料溶液中を浮上する挙動を示す点で異なるだけであり、基本的な構成は同様になる。
【0039】
図1は、包接水和物を生成、融解して蓄熱、放熱する装置の概要説明図である。この図において、符号1は原料溶液Lが貯留されている貯留槽、符号2は貯留槽1内に配設された熱交換器(伝熱管)である。
【0040】
熱交換器2は貯留槽1内で水平方向に蛇行し高さ方向に複数段をなしていて、該熱交換器2内を熱媒体が流通している。この熱交換器2は、水平方向の蛇行によらずとも、上下方向に蛇行していてもよい。前記原料溶液Lは、そのゲスト分子の濃度が調和融点を与える濃度(調和融点濃度)であっても、それ未満あるいはそれより高い濃度であってもよい。
【0041】
図1に示した装置は、蓄熱装置に喩えれば所謂内融式蓄熱装置と実質的に同じである。そしてこの装置において、熱エネルギーを蓄積するための蓄熱工程と蓄積された熱エネルギーを放出する又は取り出すための放熱工程とを実行することにより、換言すれば、蓄熱工程を実現するための蓄熱運転と放熱工程を実現するための放熱運転を行うことにより、包接水和物の存在比率又は前記ゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と低い領域とに分離させる。
【0042】
<蓄熱工程(蓄熱運転)>
熱交換器(伝熱管)2に、包接水和物生成温度より低温の熱媒体が流通され、熱交換器2の外表面で原料溶液Lが熱交換して冷却され包接水和物L1が生成される。包接水和物L1は、図1に見られるように、熱交換器2の外表面に付着し堆積して、該熱交換器2の周囲に包接水和物L1の塊状体が形成される。
【0043】
<放熱工程(放熱運転)>
熱交換器2に、包接水和物の融解温度より高温の熱媒体が流通され熱交換器2の外表面で包接水和物L1と熱交換して、熱媒体が冷却されて冷熱エネルギーが取出される。包接水和物L1は熱交換器2の外表面に接している部分から融解し、その融解によりできる原料溶液Lは、その包接水和物L1の融解温度よりも高温で低密度なので貯留槽1の上方に移動し、貯留槽1の上方に偏在する。他方、未融解のまま残る包接水和物L1の塊状体(未融解部)は熱交換器2の表面から離脱し、包接水和物L1と原料溶液Lとの密度差に応じて、従って重力により下方に沈降する。
【0044】
この未融解部は、包接水和物の塊状体の一部であるので、包接水和物のスラリーと異なり、溶媒への分散性は比較的小さく、溶媒の中での凝集性も比較的小さいので、スラリーよりも迅速に、包接水和物と原料溶液との密度差に従って下方に沈降してゆく。その過程で未融解部の一部は原料溶液に分散又は懸濁してスラリーとなり、比較的遅い速度で沈降してゆく。こうして未融解部は、塊状体、スラリーといった形態で貯留槽1の下方の領域に偏在することになる。また、貯留槽1の下方の領域に偏在するに至った未融解部が融解すると、上方の原料溶液Lと拡散混合するに足るだけの長時間が経過しない限り又は上方の領域と下方の領域との間で強制的な攪拌を行わない限り、当初の原料溶液Lのゲスト分子濃度より高い濃度の原料溶液となり滞留する。
【0045】
かくして、図2のように貯留槽1の上方には低濃度領域が、下方には高濃度領域が形成される。
【0046】
<蓄熱工程と放熱工程の繰返し>
原料溶液Lの中に配置された熱交換器2の外表面に包接水和物L1を生成させ塊状体に成長させる工程(蓄熱工程)と、その塊状体の一部を熱交換器2の外表面の側から融解させ、その外表面から未融解部を離脱させる工程(放熱工程)とを少なくとも1回繰り返すと、包接水和物L1と原料溶液Lとの密度差に起因して未融解部を原料溶液の中の特定領域に偏在させることとなり、その特定領域における包接水和物の存在比率が相対的に高まり、また未融解部が融解して現れるゲスト分子の濃度が相対的に高まる。その結果、包接水和物の存在比率又はゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と相対的に低い領域とに相分離することになる。
【0047】
ここで、未融解部は、包接水和物の塊状体の一部であるので、包接水和物のスラリーと異なり、溶媒への分散性は比較的小さく、溶媒の中での凝集性も比較的小さいので、スラリーよりも迅速に、包接水和物と原料溶液との密度差に従って下方に沈降する。その過程で未融解部の一部は原料溶液に分散又は懸濁してスラリーとなり、比較的遅い速度で沈降してゆく。こうして未融解部は、塊状体、スラリーといった形態で貯留槽1の下方の領域に偏在することになる。また、貯留槽1の下方の領域に偏在するに至った未融解部が融解すると、例えば上方の原料溶液Lと拡散混合するに足るだけの長時間が経過しない限り又は上方の領域と下方の領域との間で強制的な攪拌を行わない限り、当初の原料溶液Lのゲスト分子濃度より高い濃度の原料溶液となり滞留する。更に、下方の領域に滞留するに至った未融解部分、スラリー及び原料溶液は、蓄熱工程と放熱工程の繰返しの過程で、例えば上方の領域と下方の領域との間で強制的な攪拌を行わない限り、あたかも当該下方の領域に閉じ込められた状態になる。
【0048】
かくして、貯留槽1の上方には低濃度領域が、下方には高濃度領域が形成される。
【0049】
それ故、本発明によれば、原料溶液の中で、包接水和物の生成と融解を少なくとも1回繰り返すことにより、包接水和物の存在比率又はゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と低い領域とに分離する相分離現象を促進させることができる。
【0050】
また、包接水和物の生成と融解を繰り返すと、その繰返しのたびに熱交換器の外表面に付着していた包接水和物が融解するとともに、未融解部が熱交換器の外表面から離脱して行く。すると、未融解部が包接水和物と原料溶液との密度差に起因して原料溶液中の特定領域(包接水和物の方が原料溶液よりも密度が高い場合には、下方の領域)に集まり、包接水和物の存在比率又はゲスト分子の濃度が漸増し、当該特定領域に高濃度領域が形成され、それと同時に、その他の領域の原料溶液における包接水和物の存在比率又はゲスト分子の濃度は漸減する。この結果、熱交換器の外表面の周囲は低濃度領域となり、包接水和物が生成しにくい環境となる。
【0051】
ところが、熱交換器の外表面に付着していた包接水和物が融解するとともに、未融解部が熱交換器の外表面から離脱して行くと、その熱交換器の外表面は原料溶液への熱伝熱を妨げる包接水和物が存在しない又は殆ど存在しない状態になるので、熱交換器による熱交換の効果は高いまま維持され、故に低濃度領域の環境下であっても引き続き包接水和物の生成が起こる。勿論、包接水和物の存在比率又はゲスト分子の濃度が漸減すると、熱交換器の外表面に生成する包接水和物の量も漸減するが、熱交換器の外表面の熱伝達性が低下しない分だけより多くの包接水和物が生成し、塊状体となる。
【0052】
かくして、包接水和物の生成と融解を繰り返すことにより、熱交換器の外表面の周囲は低濃度領域となり、包接水和物が生成しにくい環境になっても、原料溶液中の特定領域に高濃度領域が形成され、同時に当該特定領域以外に低濃度領域が形成され、これが繰り返される。
【0053】
それ故、本発明によれば、原料溶液の中で、包接水和物の生成と融解を複数回繰り返しても、原料溶液から包接水和物又はそのゲスト分子を下方の領域に累積的に偏在させることができ、包接水和物の存在比率又はそのゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と相対的に低い領域とに速やかに、しかも効率的に、またゲスト分子の濃度の高低差がより明確になるように分離させることができる。
【0054】
なお、上記のとおり、熱交換器の外表面に付着していた包接水和物が融解するとともに、未融解部が熱交換器の外表面から離脱して行くと、熱交換器による熱交換の効果は高いまま維持され、故に低濃度領域の環境下であっても引き続き包接水和物の生成が起こる。このことは、本発明によれば、ゲスト分子の濃度が低い原料溶液からも当該ゲスト分子を速やかに、効率的に分離することができることを意味している。このような本発明の効果は、使用済みの原料溶液から包接化合物のゲスト分子を回収又は濃縮してこれを蓄熱材組成物としての再利用を企図する場合に特に有益である。
【0055】
また、熱交換器2の外表面において融解する包接水和物の量に比べて、その融解の結果当該外表面から離脱して下方に沈降する未融解部における包接水和物の量の方が多いのが普通である。特に、熱交換器が伝熱管の場合には、包接水和物の塊状体は重力の影響を受けて、伝熱管の上方にある包接水和物の塊状体の限られた部分(伝熱管の直上又はその近傍の部分)のみが融解し易くなり、従ってより多くの未融解部が下方に沈降し易くなる。このような場合、特に熱交換器が伝熱管である場合には、包接水和物の存在比率又はゲスト分子の濃度の高低差がより明確になり易くなり、低濃度領域と高濃度領域の形成も効率的且つ迅速に起こり易くなるので、蓄熱工程と放熱工程とを繰り返すと否とに拘らず、本発明の実施形態として好ましい。
【0056】
図3は、包接水和物のゲスト分子として臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)の調和融点濃度未満である30wt%の水溶液を原料溶液として、図1に示した装置により、包接水和物の生成と融解を複数回繰り返した後における貯留槽1内の原料溶液中のTBAB濃度の高さ方向の分布を示したものである。ここで横軸は、原料溶液中のTBAB濃度、縦軸は、貯留槽1内の原料溶液の液面高さを1とした高さ比を示している。
【0057】
図3によると、TBABの包接水和物の密度は原料溶液より大きいが、下部にTBAB濃度の高い領域、上部にTBAB濃度の低い領域として相分離していることが分かる。
【0058】
本実施形態では、種々の観点から、例えば、以下のごとく、さらに改善を加えることができる。
【0059】
(i)放熱工程の効率向上
図2は、図1に示した装置の変形例の概要説明図である。この図に示した装置では、貯留槽1の下部に包接水和物の存在比率が高い領域が形成されている。つまり、図2装置において包接水和物と熱エネルギーを取り出す熱交換器の外表面が接触し効率的に熱交換できる領域を特定できる長所がある。包接水和物を熱交換器の外表面側から融解させると、融解した部分は原料溶液に戻る。この原料溶液の温度は包接水和物の融解温度よりも高温となっているため、交換する熱量を多くとることができ、原料溶液と熱交換器外表面が接触しているよりも、包接水和物と熱交換器外表面が接触している方が効率的に熱エネルギーを取り出すことができる。
【0060】
図2に示した熱交換器は、水平方向に蛇行し高さ方向に連続して複数段を構成している伝熱管であるが、貯留槽1の上部、即ち包接水和物の存在比率が低い領域と、下部、即ち包接水和物の存在比率が高い領域とに別々に熱交換器を設けて、放熱工程では、主に包接水和物の存在比率が高い領域に設けられた熱交換器により熱エネルギーを取り出すようにすれば効率的に、そして包接水和物の存在比率が高い領域に熱エネルギーを取り出すための熱交換器を密に設けるようにすればより効率的に、熱エネルギーを取り出すことができる。
【0061】
(ii)相分離の更なる促進
図4は、図1に示した装置の別の変形例の概要説明図である。この図に示した装置は、図2に示した装置に循環手段を設けたものにも相当する。この循環手段は、貯留槽1の上方の領域と下方の領域とを接続する循環用配管と、その循環用配管に取り付けられたポンプ3により構成される。
【0062】
この循環手段により、包接水和物の存在比率又はゲスト分子の濃度が低い領域Bからこの領域Bの原料溶液のうち10%程度を抜出し、ポンプ3によって包接水和物の存在比率又はゲスト分子の濃度が高い領域Aへ、低濃度領域Bと高濃度領域Aとが混合しないように低流速で流入させる。これにより、低濃度領域Bから高濃度領域Aに流入したゲスト分子濃度が低い原料溶液の一部からも包接水和物の塊状体を生成することができ、包接水和物の存在比率を高め、ゲスト分子濃度を高めることができるので、包接水和物の存在比率の高い領域と低い領域との相分離をより促進することができる。
【0063】
(iii)低濃度領域における攪拌
包接水和物を熱交換器の外表面の側から融解させると、融解した部分は原料溶液に戻る。このとき、熱交換器外表面に近い原料溶液におけるゲスト分子の濃度が相対的に高くなり、熱交換器の外表面から遠い原料溶液に向かって濃度勾配が生じる。他方、包接水和物の熱伝導性は原料溶液に比べて低く、熱交換器の外表面の熱伝達性はその外表面に包接水和物が生成しこれを覆うにつれて低下するので、熱交換器の外表面に生成した包接水和物を塊状体にまで成長させようとしても、その成長には限界が生じてくる。それ故、効率的に包接水和物を塊状体にまで成長させ、未融解部として原料溶液の中の特定領域に偏在させるためには、包接水和物の存在比率又はゲスト分子の濃度が低い領域にある原料溶液におけるゲスト分子の濃度勾配を解消させ、均一化させ、熱交換器における熱交換を促進するのが好ましい。
【0064】
しかして図5及び図6は、いずれも、図1に示した装置の更に別の変形例の概要説明図である。これらの各図に示した装置は、図2に示した装置に、貯留槽1の低濃度領域Bに攪拌するための循環手段を設けたものにも相当する。図5に示した循環手段は、低濃度領域Bの上方の領域と下方の領域とを接続する循環用配管と、その循環用配管に取り付けられたポンプ4により構成される。また、図6に示す循環手段は、低濃度領域Bにある原料溶液を攪拌する回転翼5を備える攪拌装置である。
【0065】
特に図5においては、包接水和物の少ない領域Bの原料溶液を、ポンプ4により、低濃度領域Bの上方の領域から抜き出し、低濃度領域Bの下方の領域へ、領域Aの内容物と領域Bの内容物とが混合しないように流入させ、これにより低濃度領域Bの原料溶液を攪拌する。これにより、低濃度領域Bにおいて、熱交換器2の外表面または外表面近傍に包接水和物が存在して熱伝達が低下することを防ぎ、熱交換器2の外表面と原料溶液の熱交換を促進し、包接水和物の生成を促進することができる。
【0066】
なお、図5に示す攪拌手段を設ける際には、原料溶液の吸込部及び吐出部の少なくとも一方を一つ又は複数個設けてもよい。
【0067】
図5及び図6に示した攪拌手段による低濃度領域Bにおける原料溶液の攪拌により、熱交換器2の外表面から遠い原料溶液に向かって生じていた濃度勾配が解消され、低濃度領域Bにある原料溶液が均一化される。そのため、原料溶液への熱伝達性が維持され、包接水和物の生成と塊状体の成長が円滑に進められる。
【0068】
なお、このような攪拌は、放熱工程の終了後蓄熱工程の開始前までに行うのが好ましい。包接水和物の生成開始前までに、熱交換器2の外表面から遠い原料溶液に向かって生じていた濃度勾配が解消され、低濃度領域Bにある原料溶液が均一化されるからである。
【0069】
また、蓄熱工程の途中において低濃度領域Bを攪拌してもよい。これにより低濃度領域Bにある原料溶液が均一化され、同時に熱交換器2の外表面から原料溶液への伝熱性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係る装置の概要説明図であり、蓄熱状態を示す。
【図2】図1に示した装置の放熱状態を示す。
【図3】原料溶液の相分離の様子を高さ方向に関して示す図である。
【図4】図1に示した装置の変形例を示す図である。
【図5】図1に示した装置の他の変形例を示す図である。
【図6】図1に示した装置のさらに他の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 貯留槽
2 熱交換器
3 ポンプ
4 ポンプ
5 回転翼
A 特定領域又は高濃度領域
B 低濃度領域
L 原料溶液
L1 包接化合物(包接水和物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包接化合物のホスト分子を溶媒としゲスト分子を溶質として含む溶液を、前記溶液中で前記包接化合物の存在比率又は前記ゲスト分子の濃度が相対的に高い領域と低い領域とに分離させる、相分離現象の促進又は迅速化方法において、
前記溶液の中に配置された熱交換器の外表面に前記包接化合物を生成させ、塊状体に成長させる第1工程と、
前記塊状体の一部を前記外表面の側から融解させることにより、前記塊状体の未融解部を前記外表面から離脱させる第2工程と、
前記第1工程及び前記第2工程を少なくとも1回繰り返すことにより、前記包接化合物と前記溶液との密度差にもとづいて前記未融解部を前記溶液の中の特定領域に偏在させ、その特定領域における前記包接化合物の存在比率又は前記ゲスト分子の濃度を相対的に高める第3工程とを有することを特徴とする溶液中の包接化合物又はそのゲスト分子の相分離促進方法。
【請求項2】
第2工程の終了後第1工程の開始前又は第1工程の途中に、前記包接化合物の存在比率又は前記ゲスト分子の濃度が相対的に低い領域にある溶液を攪拌する攪拌工程を有することとする請求項1に記載の溶液中の包接化合物又はそのゲスト分子の相分離促進方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−230988(P2008−230988A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69822(P2007−69822)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】