溶液処理可能な燐光物質の製造方法
【課題】OLEDにおいて用いられる新規発光物質の提供。
【解決手段】ルミネッセンス可能な物質であって:ポリマーまたはオリゴマー;有機金属基を含み、上記ポリマーまたはオリゴマーが少なくとも部分的に共役し、有機金属基が上記ポリマーまたはオリゴマーと共有結合し、物質中のポリマーまたはオリゴマーおよび有機金属の性質、位置および/または割合が、ルミネッセンスが主にホスホレッセンスであるように選択されることを特徴とする物質。
【解決手段】ルミネッセンス可能な物質であって:ポリマーまたはオリゴマー;有機金属基を含み、上記ポリマーまたはオリゴマーが少なくとも部分的に共役し、有機金属基が上記ポリマーまたはオリゴマーと共有結合し、物質中のポリマーまたはオリゴマーおよび有機金属の性質、位置および/または割合が、ルミネッセンスが主にホスホレッセンスであるように選択されることを特徴とする物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光可能な新規物質;前記新規物質の製造法および前記新規物質の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光共役ポリマーは、情報技術に基づく次世代製品のための発光表示装置において用いられる技術的に新しい、重要な種類の物質である。ポリマー使用における主な関心事は、無機半導体および有機染料材料とは対照的に、フィルム形成物質の溶液処理を用いることによる、低コスト製造の領域にある。この10年間で、高効率物質または効率の高いデバイス構造のいずれかを開発することにより有機発光ダイオード(OLED)の発光効率を向上させるために多くの工夫がなされてきた。
【0003】
OLEDにおいて、電子およびホールは、相対する電極から注入され、組み合わされて2種の励起子;スピン対称三重項およびスピン非対称一重項(3:1の理論比)を形成する。一重項からの放射減衰は速いが(蛍光)、三重項からの放射減衰(燐光)は、スピン保存の要件により形式的には禁止される。
【0004】
まず、OLEDの最大内部量子効率が25%に限定されるという認識により、一重項と三重項の両方を燐光ドーパントに移すことが考えられる。このような蛍光体は理論的には有機物質からの一重項および三重項励起子の両方を受容でき、両方からルミネセンス、特にエレクトロルミネセンスを生じることができる。
【0005】
スピン独立性再結合モデルにより予想される3:1の三重項と一重項の比を問題とする最近の研究にもかかわらず、この考えはそれでもよく当てはまる。最近の研究は、小分子デバイスにおいて生じる三重項励起子の割合は実際75%に近いことを示唆し(Baldo,M.A.;O‘Brien,D.F.;Thompson,M.E.;Forrest,S.R.Phys.Rev.B1999,60,14422)、一方、電気的に励起された共役ポリマーにおいて、50%付近であるとされる(Cao,Y.;Parker,I.D.;Yu,G.;Zhang,C.;Heeger,A.J.Nature 1999,397,414およびWilson,J.S.;Dhoot,A.S.;Seeley,A.J.A.B.;Khan,M.S.;Kohler,A.;Friend,
R.H.Nature 2001,413,828)。ポリマーLEDにおいて三重項励起子が多量に生成するという証拠が磁気および光学的観察により得られている。
【0006】
過去数年において、半導体層中に燐光物質を混ぜることにより組み入れることが多くの人が研究してきた。燐光ドーパントおよび小分子または非共役ポリマーホスト、例えばポリビニルカルバゾールを組み入れた混合物をベースとするOLEDに関して良好な結果が得られている。共役ポリマーは、ホストとしても開示されている。例えば、量子効率1.1%を有するCN−PPP中Eu(dnm)3phenである。[Adv.Mater.
,1999,11,1349]。同様に、Phys.Rev.B2001,63,235206は、2,3,7,812,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)でドープされたポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)を開示している。
【0007】
ポリマーに関して成功しなかった理由の一つは、ポリマーの混合物はポリマーホスト中の三重項ハーベスターゲスト(harvester guest)の濃度に対して敏感であることである。従って、比較的低濃度でも、ゲストは相分離し得、凝集などの形態の変化および光散乱、電気化学的破壊およびルミネセンス消光の問題につながる。凝集は、三重項消光(二分子アニリエイションプロセス)に至り、さらに、励起子移動は主としてポリマー/ゲスト界面で起こり、相または凝集体内部のゲスト分子は達し得ないので、励起子移動の効率を低下させる。
【0008】
上記問題を考慮して、燐光、特にエレクトロホスホレセントポリマーOLEDに関して良好な効率が得られる予想は悲観的である。したがって、この分野では、ポリマーOLEDから最適な一重項発光(蛍光)を達成することに集中してきた。
【0009】
この点に関して、金属錯体を含有する発光ポリマーは当該分野において公知であることに注意すべきである。しかしながら、上記問題に合わせると、これらの物質は主に蛍光物質として作用し、燐光物質としては作用しない。そのような物質の例は、Macromol.Rapid.Commun.18,1009−1016(1997)に記載されている。
【0010】
Macromolecules 2002,35,3506−3513は白金(II)ポリインポリマー[−Pt(PBu3)2C≡CRC≡C−]nを開示している。これらの
物質において、有機金属基はポリマーまたはオリゴマーと結合していないことが分かる。
【0011】
Chem.commun.2002,784−785は、エレクトロホスホレセント発光デバイス用の非結晶性イリジウム錯体を開示している。これらの錯体は、有機金属基が結合しているポリマーまたはオリゴマーは含まない。
【0012】
Advanced Materials 1999,11,No.6,455−459ページは、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)が分岐している一連のPPVを開示している。これらの物質は、主に燐光である発光を生じることができない。
【0013】
WO02/31896は、ポリマー金属錯体を開示している。この文書に明記されているポリマーは共役していない。
【0014】
上記の事項を考慮して、良好な効率を有するポリマーOLEDを提供することが依然として必要とされていると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO02/31896
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Baldo,M.A.;O‘Brien,D.F.;Thompson,M.E.;Forrest,S.R.Phys.Rev.B1999,60,14422
【非特許文献2】Cao,Y.;Parker,I.D.;Yu,G.;Zhang,C.;Heeger,A.J.Nature 1999,397,414
【非特許文献3】Wilson,J.S.;Dhoot,A.S.;Seeley,A.J.A.B.;Khan,M.S.;Kohler,A.;Friend,R.H.Nature 2001,413,828
【非特許文献4】Adv.Mater.,1999,11,1349
【非特許文献5】Phys.Rev.B2001,63,235206
【非特許文献6】Macromol.Rapid.Commun.18,1009−1016(1997)
【非特許文献7】Macromolecules 2002,35,3506−3513
【非特許文献8】Chem.commun.2002,784−785
【非特許文献9】Advanced Materials 1999,11,No.6,455−459ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の目的は、OLEDにおいて用いられる新規発光物質を提供することにより少なくとも部分的にこの要求に取り組むことである。
【0018】
新規発光物質の製造方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0019】
新規発光物質の使用方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明は、ポリマーまたはオリゴマーおよび有機金属を含む発光できる物質であって、前記有機金属が前記ポリマーまたはオリゴマーと共有結合し、ポリマーまたはオリゴマーおよび前記物質中の有機金属の性質、位置および/または割合が、発光が主として燐光であるように選択されることを特徴とする物質を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】Ir(ppy−X)2(acac)錯体の吸収およびPLスペクトルを示す;
【図2】Ir(ppy−X)2(acac)のELスペクトルを示す;
【図3】Ir(ppy−X)2(acac)のI−L−V曲線を示す;
【図4】PF8中における錯体Nの混合物のPLスペクトルを示す。挿入図は、PF中5.0モル%の錯体LおよびNの混合物の三重項シグナルを示す。
【図5】ポリフルオレン中のIr(ppy−X)2(acac)のELスペクトルを示す;
【図6】Ir(ppy−X)2(acac)を組み入れたポリフルオレンのPLスペクトルを示す;
【図7】ポリフルオレンを組み入れたイリジウム錯体のELスペクトルを示す;
【図8】8.5V(下)から0.5Vずつ12.5V(上)まで上昇する運転電圧でのS2のELスペクトルを示す。
【図9】以下に記載するようなスキーム1を示す。
【図10】以下に記載するようなスキーム10を示す。
【図11】以下に記載するようなスキーム3を示す。
【図12】以下に記載するようなスキーム4を示す。
【図13】ビス(2−(4−ブロモ−2−ピリジル)ベンゾ(b)チオフェン)(acac)イリジウムのX線結晶構造を示す。
【図14】ビス(2−(4−ブロモ−2−ピリジル)ベンゾ(b)チオフェン)(acac)イリジウムを含む本発明の物質のフォトルミネッセンススペクトルを示す。
【図15】ビス(2−(4−ブロモ−2−ピリジル)ベンゾ(b)チオフェン)(acac)イリジウムを含む本発明の物質のエレクトロルミネッセンススペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者らは、主として燐光、特にエレクトロホスホレセンスを発することが可能な新規物質を提供することにより、良好な効率を有するポリマーOLEDに対する上記要求に取り組んできた。本発明において、「燐光」とは、三重項エネルギーレベルからの放射減衰による発光を意味する。
【0023】
本発明者らは、以前は無駄にされていた三重項励起子を回収することにより、上記要求に少なくとも部分的に取り組んできた。これは、ポリマーからの一重項励起子の回収を最適化することに集中している現行の支持されている研究とは完全に対立するものである。
【0024】
本発明の物質は、燐光添加物を組み入れたポリマー混合物よりも一般に優れている。これは、凝集および相分離などの形態変化に関する問題が本発明の物質では回避されるためである。本発明の物質の制御された構造は、前記物質中の有機金属の位置および移動性が空間的に制御されていることを意味する。この空間的制御により、ポリマーまたはオリゴマーと有機金属との間の相互作用の制御が可能になる。これは、次に、特に、ポリマーまたはオリゴマーと有機金属間の相乗効果のために、有機金属がポリマーまたはオリゴマーと共役的に結合する場合に、その励起状態における物質のエネルギーレベルのある程度までの操作を可能にする。
【0025】
本発明の物質は、溶液処理されるデバイス(solution-processed devices)において明るい燐光を与える点で有利である。さらに、ポリ(3−アルキルチオフェン)[Macromol.,1993,26,2954.]や、PPV誘導体[Chem.Mater.,1999,11,1302]などの共役されたポリマーの三重項状態を示唆する最近の報告は、ポリマーを分解させ得る一重項酸素の生成を敏感にさせる。
【0026】
さらに、有利には、本発明の物質は通常均質で、溶液処理可能である。
【0027】
前記ポリマーまたはオリゴマーおよび前記物質中の有機金属の性質、位置および/または割合は、発光が主として燐光であるように選択される。好ましくは、70%を超える発光が燐光であり、さらに好ましくは、90%を超える発光が燐光である。最も好ましくは、95〜100%の発光が燐光である。
【0028】
通常、前記有機金属基は、炭素−金属結合を含む。しかしながら、これは本発明において必須ではない。
【0029】
前記ポリマーまたはオリゴマーおよび前記物質中の有機金属の性質、位置および/または割合は、ポリマーまたはオリゴマーと有機金属のエネルギーレベルが互いに有利になるように選択すべきである。これは、その励起状態におけるポリマーまたはオリゴマーから前記有機金属への一重項および三重項の両者の移動を可能にするであろう。理論的には、ポリマーまたはオリゴマーからの一重項および三重項両方の100%移動が達成できる。主として燐光発光が次に起こる。これが起こるためには、一般に、必須ではないが、前記有機金属の一重項および三重項のエネルギーレベルは、対応するポリマーまたはオリゴマーの一重項および三重項エネルギーレベルより低くなければならない(Adachiら、Appl.Phys.Lett.,2001,79,2082)。
【0030】
前記有機金属がポリマーまたはオリゴマーと共役的に結合する場合、これはエネルギーレベルの混成(混合)を導く。高い三重項エネルギーレベル(T1)を有する配位子の低T1レベルを有するポリマーまたはオリゴマーに対する共役は、エネルギーがポリマーまたはオリゴマーから配位子へ移動するのを可能にする中間T1レベルを生じるので、このエネルギーレベルの混成は特に有利である。対照的に、ホストがドーパントよりも低いT1レベルを有するポリマーホストの燐光ドーパントとの混合物については不十分な性能が報告されている[Appl.Phys.Lett.2003,82(7)、1006]。
【0031】
ポリマーまたはオリゴマーから有機金属基への電荷の移動は、有機金属化合物とポリマーの従来技術の混合物に比べて本発明のポリマーにおいて向上され得る。
【0032】
三重項エネルギーレベルの混成は、燐光発光の色を調整するためにも有用である。この混成は、前記ポリマーまたはオリゴマーのT1レベルと前記有機金属基のT1レベルの間である中間エネルギーレベルの形成を含む。特に、ポリマーまたはオリゴマーの性質、ならびにポリマーまたはオリゴマーの共役の長さは、燐光発光の色の調整に使用できる。例えば、フェニルピリジン配位子を含む有機金属の発光をレッドシフトさせるためにポリマーまたはオリゴマー中の1以上のフルオレン繰り返し単位を使用できる。
【0033】
一般に、物質中の共役の程度の増大は、上記物質の三重項エネルギーレベルを低下させ得るといわれている。従って、本発明の物質の共役の程度の調整は、三重項エネルギーレベルを少なくとも部分的に調整する有用な方法であり得る。この点に関して、1つの実施形態では、ポリマーまたはオリゴマーの主鎖が部分的に共役しているのが好ましく、ある程度までポリマーまたはオリゴマーの三重項エネルギーレベルを調整するために実質的または完全に共役しているのがさらに好ましい。
【0034】
ポリマーまたはオリゴマーの共役を増大させるために、ポリマーまたはオリゴマーがアリールまたはヘテロアリール繰り返し単位、例えばフェニレンビニレン基のようなフルオレンまたはフェニル基を含むのが好ましい。したがって、1つの実施形態では、本発明の物質は好ましくはポリフルオレンまたはポリフェニレンを含み、最も好ましくはポリフルオレンホモポリマー/オリゴマーまたはコポリマー/オリゴマーのような高次ポリマー/オリゴマーを含む。
【0035】
1つの実施形態では、ポリマーまたはオリゴマー主鎖は、ホモポリフルオレンまたはホモポリフェニレンでない。
【0036】
別の実施形態では、ポリマーまたはオリゴマー主鎖は、基:
【0037】
【化8】
【0038】
を含み、この基は、*により示されるように主鎖において結合しなければならない。
【0039】
さらに別の実施形態では、ポリマーまたはオリゴマーがホモポリマーまたはホモオリゴマーでないのが好ましい。コポリマーまたはターポリマーまたはオリゴマーがこの実施形態では好ましい。
【0040】
好ましいアリールまたはヘテロアリール繰り返し単位は、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される基を含む。
【0041】
そのエネルギーレベルが有機金属に対して有利であり、その結果、物質が主として燐光、好ましくはエレクトロホスホレセンスを発することが可能になるならば、任意のポリマーまたはオリゴマーを使用できる。この目的のために、1つの実施形態では、本発明者らは、ポリマーまたはオリゴマーが好ましくは導体または半導体であり、さらに好ましくは半導体であることを見いだした。この実施形態では、好ましくは、ポリマーまたはオリゴマーは、前記有機金属の非存在下で、主として蛍光(すなわち一重項発光)、好ましくはエレクトロホスホレセンスを発することが可能である。
【0042】
場合によっては、物質の溶解度を向上させるためにポリマーまたはオリゴマーが可溶化基を含むのが好ましい。好ましい可溶化基は、アルキルおよびアルコキシ基を包含する。この点に関して、物質は溶液処理可能であることが好ましい。
【0043】
通常、有機金属は電荷の捕捉を回避するために中性であり;非常に安定で;好ましくは電導性である。重要なことは、有機金属は室温で主として三重項を発光する物質でなければならないことである。
【0044】
前記有機金属は、前記物質においてポリマーまたはオリゴマーと共有結合する。さらに、前記有機金属が前記ポリマーまたはオリゴマーと共役的に結合するのが好ましい。
【0045】
好ましくは、有機金属は、遷移金属またはランタノイド系を包含する。遷移金属は、好ましくは貴金属、さらに好ましくはイリジウム、ロジウム、レニウム、オスミウムまたは白金である。エネルギー移動のメカニズムは有機金属が貴金属である場合には、ランタノイド系とは異なることに注意する。このメカニズムにおける違いは、物質が主に燐光、好ましくはエレクトロホスホレセンスを発することが可能である限り、本発明において重要ではない。
【0046】
任意の公知の有機金属「蛍光体」またはその誘導体は、本発明において有機金属として使用されるための良好な候補であると言うことができる。この点に関して、白金、イリジウムおよびユーロピウム錯体は本発明においてかなり興味深い。
【0047】
有機金属における配位子の性質は、有機金属のポリマーまたはオリゴマーとの適合性をさらに最適化するために選択することができる。この目的のために、配位子は好適には次のカテゴリーから選択することができる:1)電子輸送物質、2)ホール輸送物質および3)(半)導体物質。配位子の選択において、可能な立体障害を考慮しなければならない。
【0048】
典型的には、これらのカテゴリーの物質は、好ましくは共役し、さらに好ましくは共役二座の配位子を含む。また、配位子は、配位子が金属と配位するために少なくとも1つの窒素原子を含むことが好ましい。
【0049】
好適には、電子輸送物質、ホール輸送物質または(半)導体物質は、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される。
【0050】
典型的には、本発明の物質は1より多くの有機金属を含有する。この場合において、物質中の有機金属の空間的分離はさらに重要になる。空間的分離は、以下にさらに詳細に記載するような製造法またはポリマーまたはオリゴマーの主鎖からぶら下がっている有機金属(the organometallic to be pendant from the backbone)を選択することにより調整することができる。この点に関して、前記物質は次の一般式I:
【0051】
【化9】
【0052】
(式中、MおよびM’はそれぞれ独立してアリールまたはヘテロアリール基を含む)
に示されるような構造を有する。
【0053】
物質の性質をさらに調整することを考慮して、物質における共役を阻害するためにスペーサー基を使用することができる。従って、1つの実施形態では、必要に応じて置換されていてもよいC1〜C10アルキレン基のような非共役スペーサー基が提供される。アルキレン基は、ポリマーまたはオリゴマーと有機金属間の距離を調整し、電荷の捕捉を向上させるために有用である。この点において、アルキル基およびアルキル−エーテル基は好適なスペーサー基である。1つの実施形態では、スペーサー基は好ましくはフェニレン基または−C=C−を含まない。
【0054】
ポリマーまたはオリゴマー主鎖からの有機金属の分離の間隔をある程度調整するためにスペーサー基の長さも使用することができる。従って、スペーサー基は好適にはCH2基の鎖であってもよい。
【0055】
一般式Iの好ましい物質において、MおよびM’は同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ独立して、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される基を含む。
【0056】
一般式Iにおいて、MおよびM’が結合して、ポリマーまたはオリゴマーの主鎖を形成すると理解される。この点に関して、ポリマーまたはオリゴマーは所望によりシード/ブロックまたはランダムポリマーまたはオリゴマーであってよい。
【0057】
一般式Iを有する物質の一例を以下に示す:
【0058】
【化10】
【0059】
一般式Iにおいて、望ましいならば、1以上の追加の、好ましくはアリールまたはヘテロアリール繰り返し単位(一般式Iに示すものとは異なるもの)がポリマーまたはオリゴマーの主鎖に含まれてもよいと理解するべきである。
【0060】
有機金属がポリマーまたはオリゴマー主鎖からぶら下がっていない場合、物質は、以下の一般式IIまたは一般式IIIに示すような構造を有し得る:
【0061】
【化11】
【0062】
一般式IIおよびIIIに示す物質において、物質中の有機金属の空間的間隔は、主に製造法により調整される。
【0063】
一般式IIIにおいて、ポリマー/オリゴマー単位および有機金属単位は、物質が主として燐光、好ましくはエレクトロホスホレセンスを発することが可能であるように所望により結合させることができる。一例を以下に示す:
【0064】
【化12】
【0065】
上記物質における使用に好適な有機金属は次の通りである:
【0066】
【化13】
【0067】
上記式において、Kは金属、好ましくは貴金属、さらに好ましくはイリジウム(Ir)である。
【0068】
本発明に関連して、有機金属は、適切な数の配位子により囲まれた金属と見なすことができる。通常、一般式IIおよびIIIにおいて、有機金属はその配位子の一つによりポリマーまたはオリゴマーの主鎖と結合される。しかしながら、有機金属が2つの配位子によりポリマーまたはオリゴマーの主鎖と結合する好ましい実施形態がある。
【0069】
金属の周りの配位子は、同一であっても、異なっていてもよい。この点に関して、一般式IIおよびIII中に示される物質中の有機金属繰り返し単位は、構造:
【0070】
【化14】
【0071】
(式中、Lは配位子、好ましくは二座の配位子である)を有する。LおよびL1配位子は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。1つの実施形態では、LがL1配位子(または1より多くのL1配位子が存在する場合、少なくともL1配位子の1つ)と同一でないのが好ましい。
【0072】
さらに、配位子L1(互いに同一であっても、異なっていてもよい)が金属の原子価を
満足するために組み入れられる。この点に関して、L1は二座の配位子または一座の配位
子であり、pはそれに応じて選択される。1つの態様では、好ましいL1基はシクロメタ
レート化したβ−ジケトネートを包含する。1つの態様では、LおよびL1は、LがL1よりも高いT1レベルを有するように選択することができる。これにより、L1から発光を得るために、エネルギーはLからL1へ伝達される。例えば、Lはフェニルピリジンであり
、L1は2−(2−ピリジル)−ベンゾ(b)チオフェン(btp)である。
【0073】
上記の繰り返し単位が誘導されるモノマーは、Lと直接結合した2つの反応性末端基を有すると理解される。
【0074】
シクロメタレート化された、イリジウム、ロジウムおよび白金錯体のような貴金属錯体、特に、例えば、白金ポリイン、白金−ポルフィリンおよびイリジウムトリス(フェニルピリジン)、ビス(フェニルイソキノリン)イリジウムアセチルアセトネート白金(II)(2−2’−(4’,5’ベンゾ)チエニル)ピリジネート−N,C3’))アセチルアセトネートなどのキレート錯体が好ましい。
【0075】
本発明の物質におけるポリマー/オリゴマーと有機金属の相対的割合は、物質が主として燐光、好ましくはエレクトロホスホレセンスを発することが可能であるように選択しなければならない。この点に関して、有機金属のレベルが高すぎると、燐光の消光につながる場合がある。逆に、有機金属の割合が低すぎると、ポリマーまたはオリゴマーからのエネルギーの全てを受けとらないことがある。一般的に、有機金属が物質中に0.5〜70質量%の範囲の量で存在するのが好ましく、1〜10質量%の量で存在するのがさらに好ましい。
【0076】
1つの実施形態では、望ましくは本発明の物質は次の4つの式のいずれかに示される式を有さない:
【0077】
【化15】
【0078】
【化16】
【0079】
本発明の物質は、OLEDにおいて、特にマトリックスディスプレイなどの大型表示装置に非常に有用である。さらに、本発明の物質は電気ポンプ型有機レーザーでの使用において有用である。
【0080】
本発明の物質は、周知のSuzuki重合により有利に得ることができる。全体的に、この方法は、ホウ酸、ホウ酸エステル(好ましくはC1〜C6)、ボラン(好ましくはC1〜C6)から選択される少なくとも2つの反応基を有するモノマーをジハロゲン官能基モノマーと重合すること、または、1つの反応性ホウ酸、ホウ酸エステル(好ましくはC1〜C6)、ボラン(好ましくはC1〜C6)基および反応性の1つのハロゲン官能基を、触媒の存在下で反応混合物中で互いに重合することを含む。この方法は、米国特許第5777070号に記載され、その類似法はWO00/53656に記載されている。あるいは、本発明のポリマーは、“Macromolecules”,31,1099−1103(1998)に記載されているようなYamamoto重合により調製することができ、ここにおいて、全てのモノマーは反応性ハロゲン基を有している。これらの文献の内容は本発明の一部として参照される。
【0081】
この点に関して、本発明の第二の態様の第一の実施形態は、本発明の第一の態様で特定される物質を得る方法であって:
(a)ポリマーまたはオリゴマーを形成するためにモノマーを反応させること(ここにおいて、各モノマーは、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される少なくとも2つの反応基を有し、各モノマーはアリールまたはヘテロアリール基を含む);および
(b)末端封止剤(end-capping reagent)を使用して工程(a)において形成されたポ
リマーまたはオリゴマーを停止させること(ここにおいて、上記末端封止剤は、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される1つの反応基を含み、(i)上記で特定された有機金属を含有するか、または(ii)金属錯化剤で処理された場合に金属と錯体を形成できるかのいずれかである);および
(c)末端封止剤が(ii)において特定したとおりである場合、停止させられたポリマーまたはオリゴマーを金属錯化剤で処理する
ことを含む製造方法を提供する。
【0082】
上記工程(b)(ii)において形成されたポリマーまたはオリゴマーの工程(c)における処理は、スキームVIIに示されるものであると考えられる:
【0083】
【化17】
【0084】
(式中、L、M’、m、L’およびrは上記定義の通りである)。
【0085】
本発明の第二の態様の第二の実施形態では、本発明の第一の態様で特定される物質を得る方法であって、
少なくとも一つの第一モノマーを、第一のモノマーとは異なる複数の第二のモノマーと反応させてポリマーまたはオリゴマーを形成することを含み、各モノマーがアリールまたはヘテロアリール基を含み、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される少なくとも2つの反応基を含み、(i)上記において特定された有機金属を含有するか、または(ii)金属錯化剤で処理された場合に金属と錯体を形成できるかのいずれかであり;
(c)第一のモノマーが(ii)において特定したとおりである場合、上記ポリマーまたはオリゴマーを金属錯化剤で処理することを含む製造方法が提供される。
【0086】
第一または第二の実施形態のいずれかにおいて、好適な反応性ハロゲン基は、臭素、塩素およびヨウ素を包含する。好ましい反応性ハロゲン基は臭素である。
【0087】
1つの態様では、XおよびX’の少なくとも1つは、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される反応基であり、最も好ましくは、XおよびX’の少なくとも一つはホウ酸基である。
【0088】
工程(b)(ii)において形成されるポリマーまたはオリゴマーの工程(c)における処理は、スキームVIIIに示される通りであると考えられる:
【0089】
【化18】
【0090】
(式中、L、M’、m、n、L、L1およびrは上記定義の通りである)。
【0091】
上記方法から、概して、有機金属は本発明の物質において末端封止基の一部として、またはモノマー残基の一部として最終的に含まれ得ることは明らかであろう。これらの2種の方法において、有機金属は最初に反応混合物に添加される場合、末端封止剤またはモノマー中に存在し得る。別法として、停止させられたポリマーまたはオリゴマーが形成された後に次の工程において導入することができる。物質中のポリマーまたはオリゴマーおよび有機金属の望ましい性質、位置および割合にしたがって適切な方法を選択することができる。
【0092】
本発明の第二の態様の方法は、一般式I、IIおよびIIIを有するポリマーの製造を可能にする。
【0093】
本発明の第二の態様の実施形態では、配位子は場合によっては反応中に金属から意図せずにはずれることが判明している。従って、これらの方法においてはずれた任意の配位子を金属に戻すさらなる工程を含むことが好ましい。特に、出発有機金属基がアセチルアセトネートのような1以上のジケトンを含む場合、本発明のポリマーは、好ましくは有機金属基の重合に続いて、塩基の存在下で、ジケトンで処理される。
【0094】
驚くべきことに、金属それ自体は、Suzuki反応中にLからはずれない。
【0095】
本発明の第二の態様の第一の実施形態では、末端封止剤は一般式X、XIまたはXIIに示されるような式を有するのが好ましい。
【0096】
【化19】
【0097】
Xが上記で特定したような反応基である場合、Lは金属錯化剤で処理された場合に金属と錯体を形成できる配位子である。
【0098】
式XIにおいてXが反応性ハロゲン基である場合、Xは有機金属の配位子と結合する。この点に関して、Xは有機金属において金属と結合しない。
【0099】
好適な反応性ハロゲン基としては、臭素、塩素およびヨウ素が挙げられる。好ましい反応性ハロゲン基は臭素である。
【0100】
1つの態様では、Xが、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される反応基であるのが好ましく、Xがホウ酸基であるのが最も好ましい。
【0101】
本発明の第二の態様の第二の実施形態では、第一のモノマーが式IV、VまたはVIに示されるような一般式を有するのが好ましい。
【0102】
【化20】
【0103】
式Vにおける有機金属が炭素−金属結合を含む場合;XおよびX’はそれぞれ、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から独立して選択される反応基であり、Lは、金属錯化剤で処理された場合に金属と錯体を形成できる配位子であり;p≧0であり;Mはアリールまたはヘテロアリール基を含む基である。
【0104】
好適な反応性ハロゲン基としては、臭素、塩素およびヨウ素が挙げられる。好ましい反応性ハロゲン基は臭素である。
【0105】
1つの態様では、式IV、VおよびVIにおいてXおよびX’の少なくとも一つが、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される反応基であるのが好ましく、XおよびX’の少なくとも一つがホウ酸基であるのが最も好ましい。
【0106】
式IVにおいて、1つの実施形態では、有機金属が炭素−金属結合を含むことが好ましい。
【0107】
式Vにおいて、特にXおよびX’がどちらも反応性ハロゲン基である場合、XおよびX’は好ましくは炭素原子と直接結合する。
【0108】
さらに、式Vにおいて、芳香族基がそれ自体金属と直接結合する場合、XおよびX’は好ましくは芳香族基と直接結合する。この点に関して、芳香族基がアリール単環であるのがさらに好ましい。
【0109】
式Vにおいて、1つの実施形態では、XおよびX’は有機金属中の同じ配位子に結合する。
【0110】
Xおよび/またはX’がフェニル環と結合する式IVおよびVにおいて、好ましくはXおよび/またはX’は有機金属中の金属とパラ位では結合しない。さらに好ましくは、Xおよび/またはX’は有機金属中の金属にメタ位で結合する。
【0111】
好ましくは、Mは、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される基である。
【0112】
好ましくは、直鎖ポリマーを得るために第一モノマーはわずか2つの反応基を有する。しかしながら、2以上の反応基を有することにより、架橋を達成してもよい。
【0113】
本発明の物質の構造をさらに調整するために、モノマーの配列を調整するように反応基の性質を選択することができる。1つの実施形態では、各モノマーは独立して、(a)2つの反応性ハロゲン基;または(b)ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基から独立して選択される2つの反応性ボラン誘導体基のいずれかを含有するように選択できる。他の実施形態において、各モノマーは、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基から独立して選択される1つの反応性ホウ素誘導体基と、1つの反応性ハロゲン基とを含有するように選択できる。
【0114】
上記のように、本発明の物質は、OLEDにおいて有用である。従って、本発明の第三の態様は、基体および上記基体上に支持された本発明の第一の態様の物質を含む構成の光学デバイスを提供する。
【0115】
好ましくは、光学デバイスは、エレクトロルミネッセントデバイスを含む。エレクトロルミネッセントデバイスの好ましい構造は、正の電荷キャリアを注入するための第一の電荷キャリア注入層、負の電荷キャリアを注入するための第二の電荷キャリア注入層、前記電荷キャリア注入層間に位置し、本発明の第一の態様の物質を含む光を生成するための発光層を含む。
【0116】
本発明の第四の態様にしたがって、本発明の第一の態様の発光物質を含む電気ポンプ型有機レーザーも提供される。
【0117】
本発明を添付の図面を参照してさらに詳細に記載する。
【0118】
有機金属中の配位子(L)となる可能性のある電子輸送物質の例を以下に示す:
【0119】
【化21】
【0120】
上記合成経路は、文献に記載されている合成経路から組み立てられている。a)H2O
/EtOH(1:1)中100℃で10分。b)濃H2SO4中Ag2SO4の存在下、20℃で1時間。c)濃HCl中70℃で2時間。d)H2O/EtOH中100℃で3時間
。e)H2O/EtOH中100℃で3時間。
【0121】
有機金属中の配位子(L)となる可能性のあるホール輸送物質の例を以下に示す:
【0122】
【化22】
【0123】
上記反応は、Pd(acetate)/P(tBu)3およびKOtBuの存在下、90℃で18時間、トルエン中で行った。これらの配位子は、ジアリールアミン単位のホール輸送能力をフェニルピリジル単位の結合能力と組み合わせるという思想で設計された。塩基の存在下でのパラジウムカップリングによりトリアリールアミンを合成した。
【0124】
有機金属中の配位系(L)の一部としての半導体物質(例えば、フルオレンまたはフェニレン−ビニレン)の例を以下に示す:
【0125】
【化23】
【0126】
a)0℃でHClをp−ブロモアニリンに添加し、結果として得られる混合物を次いでピリジン中40℃で18時間撹拌した。
b)イソアミルニトレートの存在下で24時間還流。
c)Pd(PPh3)4およびEt4NOHの存在下、THF中で18時間還流。
d)Pd触媒系;P(o−tolyl)3および塩基と組み合わせたPd(acetate)2またはPd2(dba)3;K2CO3またはEt3Nの存在下、CH3CN(またはDMF)中で数時間80℃で加熱。
【0127】
臭素化されたフェニル−ピリジンおよびテニル−ピリジン配位子を合成して、Suzukiカップリングを用いてフルオレン−ボロネートに直接カップリングさせた。配位子に結合したフルオレンを有するモデル化合物もまた合成された。
【0128】
これらのモノマーのいくつかの錯体を以下に示す:
【0129】
【化24】
【0130】
a)反応混合物を2−エトキシエタノール/H2O(10:3)中3〜8時間、110〜
130℃に加熱。
b)反応混合物を2−エトキシエタノール中、アセチルアセトンおよびNa2CO3の存在下、110〜130℃に加熱。
c)そのままの反応混合物(溶媒なし)をAgCF3SO3の存在下で100℃まで加熱。
【0131】
第1節:フェニルピリジン配位子
この節において、フェニルピリジン配位子L、特に、Applied Physics
Letters(1999),75(1)、4−6に開示されているようなフェニルピリジン配位子を含むイリジウム錯体を含む有機金属基に関して本発明を説明する。イリジウムを組み入れたポリフルオレンを3つの異なる経路により試みた。
(1)第一の場合において、フェニルピリジン配位子を以下に記載するように錯体形成前にポリフルオレン中に組み入れた:
【0132】
【化25】
【0133】
500mg(0.78mmol)の2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレン、405.5mg(0.740mmol)の2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよび17.1mg(0.078mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)の3mlトルエン中溶液に、4mg(0.004mmol)Pd(PPh3)4および2.5mlの(3.1mmol)Et4NOHを添加した。結果として得られる混合物を24時間100℃で撹拌し
た。3時間後、5mlのトルエンを添加して、沈殿したオリゴマーを溶解させるか、または混合物の粘度を増大させた。混合物を20℃に冷却した後、混合物をゆっくりと大過剰のMeOH中に移し、ポリマーを白色(若干緑がかった)繊維状固体として沈殿させた。固体をフィルター上に集め、50mlのトルエン中に再溶解させ、その後、シリカのショートカラム上で濾過した。濾液をMeOH中に移し、その結果、ポリマーが灰白色繊維として再沈殿した。溶媒を減圧下で除去した。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.72(br d、2H*12%;CH−N)、8.13(br d、2H*12%,CH−CH−CH−N)、7.5−7.9(br、12H、ArH),2.0−2.3(br、4H、CH2−C)、1.0−1.3(br、12H、CH2)、0.7−0.9(br、10H、CH3+CH2)。GPC:Mp48586、Mn18618、Mw67120、多分散性3.6。
【0134】
次に、次の方法を用いてイリジウムを導入した:200mg(0.159mmolの2−(6−p−ピリジル−フェニル)を含有)および283mg(0.80mmolのイリジウムを含有)の混合物を、5mlのトルエン、3mlのH2Oおよび3mlの2−エト
キシエタノールの溶媒混合物中に移した。結果として得られる透明暗紫色混合物を90℃に加熱すると、数時間後にポリマー生成物が沈殿しはじめる。24時間後、水相はわずかしか着色せず、反応混合物を20℃まで冷却した。10mlのH2Oを混合物に添加する
と、ポリマーがさらに黄色繊維として沈殿した。全混合物を大過剰のMeOHに移し、沈殿したポリマーを次いでフィルター上に集め、水、メタノールおよびアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量:161mg。
【0135】
【化26】
【0136】
第二の方法において、0.05当量の臭素化されたイリジウム化合物を、ポリフルオレンのSuzuki重合において共重合させた。この方法は次の通りである:500mg(0.779mmol)の2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレン、405.5mg(0.740mmol)の2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよび29.5mg(0.0389mmol)の(Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)から出発し
て、ポリマーを合成した。
【0137】
【化27】
【0138】
第三の経路において、フェニルピリジンを含むポリフルオレンを銀塩の存在下で[Ir(PhPy)2μCl]2と反応させた。この方法は次の通りである:180mg(0.143mmolの2−フェニルピリジンと当量)のポリフルオレン、77mg(0.072mmol)の[Ir(2−フェニルピリジン)2μCl]2および37mg(0.143mmol)のAgCF3SO3の5mlトルエン中の懸濁液を100℃で18時間加熱した。結果として得られる混合物をショートシリカカラム上で直接濾過し、トルエンで溶出した。このフラクションから溶媒を除去すると、灰白色ポリマーが得られた。カラムをさらにトルエン:MeOH(90:10)を用いて溶出した。これより、減圧下でこのフラクションから溶媒を除去すると暗緑色ポリマーが得られた。
【実施例】
【0139】
実験
本発明を説明するために、次のフルオレニルセグメントをビスシクロメタレート化イリジウム蛍光物質の配位子の4位に結合させることについて研究を行った。新規蛍光物質のエネルギーレベルが、モノフルオレニル置換基を結合させた後のポリフルオレンと相補的であることが示される。さらに、さらなるフルオレニルセグメントを蛍光物質に段階的に添加することにより、OLEDデバイス構造における発光層としてのその性能が徐々に向上する。蛍光物質に対する重付加を、ポリフルオレニル蛍光物質ハイブリッド系の開発にさらに広げた。
【0140】
実験
一般的情報
全ての反応および操作を、アルゴンまたは窒素雰囲気下で、標準的Schlenk技術またはグローブボックスを用いて通常通りに行った。アセトニトリルおよびジクロロメタンをCaH2から蒸留し、トルエンおよびTHFをNaから蒸留した後、使用した。水、グリセロール、2−エトキシエタノールおよび20%Et4NOHの水溶液を使用前に数時間脱気した。他の試薬および化学物質はすべて試薬等級であり、商業的供給業者から入手したまま使用した。シリカゲル[Merck 9385 Kieselgel 60(230−400ASTM)]を使用してカラムクロマトグラフィーを行った。Merck Kieselgel 60 F254シリカゲルであらかじめコートされた0.25mm厚さのプレート上でTLCを行った。Bruker DPX−250(250MHz)、Bruker DRX−400(400MHz)およびBruker DRX−500(500MHz)デバイスでCDCl3またはC6D6を内部重水素ロックとして使用して、1H NMRスペクトルを記録した。ケミカルシフトはTMSに対するppmであり、次のように示す:s(一重項)、d(二重項)、tr(三重項)、q(四重項)、br(ブロード)、m(多重項)、dd(二重二重項)、dtr(二重三重項)など。内部重水素ロックおよびプロトンデカプリングを用いて、Bruker DPX−250(62.5MHz)およびBruker DRX−400(100MHz)およびBruker DRX−500(121MHz)デバイスで13C NMRスペクトルを記録した。シグナルの多重度をAPT(結合したプロトン試験)実験により決定した。スウォンジ大学の質量分光測定サービスにより質量スペクトルを記録した。電子衝撃(IE)および化学イオン化(CI)低分解能スペクトルをACE条件下、VGモデル12−253で行った。+VG
ZAB−EデバイスでEIおよびCIの精密な質量測定を行った。Buchi 510融点デバイスを用いて融点を測定し、補正していない。
【0141】
A(2−(4−ブロモフェニル)ピリジン)1,2の合成
0℃で、30ml H2O中の16.84g(244mmol)NaNO2の溶液を、20g(116.4mmol)のp−ブロモアニリンの40ml濃HCl中懸濁液にゆっくりと添加した。結果として得られる混合物を5℃未満で1時間撹拌し、続いて注意深く500mlのピリジン中に注いだ。結果として得られる透明褐色反応混合物を40℃で4時間撹拌した。200gのNa2CO3を混合物に添加し、スラリーを18時間40℃で撹拌した。有機層をジクロロメタン中に溶解させ、水で抽出し、MgSO4で乾燥させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(トルエン:MeOH95:5)により精製した。収量:8.4g(33%)、主な副生成物としてかなりの量の7−(p−ブロモフェニル)ピリジンを得た。1H NMR(500MHz、CDCl3):δ=8.68(d、3J=4.3Hz、1H;CH−N)、7.88(d、3J=8.4Hz、2H;CH−CH−Br)、7.75(d、3J=7.5Hz、1H;CH−CH−CH−N)、7.70(d、3J=7.8Hz、1H;CH−CH−CH−CH−N)、7.60(d、3J=8.4Hz、2H;CH−Br)、7.24(br、1H、CH−CH−N)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=156.2(CN)、149.8(CH−N)、138.3(C−CN)、136.8(CH−CH−CH−N)、131.9、128.5(Ar−CH)、123.4(CBr)、122.4(CH−CN)、120.2(CH−CH−N)。精密質量(IE)m/z:233.9920[M+H](計算値233.9918(79Br))。C11H8BrN:計算値C56.44、H3.44、N5.98。測定値C56.24、H3.35、N5.90。
【0142】
B 2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
−78℃で、1.7M(12.5mmol)のtBuLiのヘキサン溶液7.3mlを、2.7g(4.99mmol)の2−ブロモ−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンのTHF溶液にゆっくりと添加した。1時間後、1.2g(6.48mmol)の2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを緑色溶液に−78℃で添加し、その後、反応混合物を室温まで温めた。結果として得られる赤色溶液は室温で18時間撹拌すると無色になった。ジクロロメタン/水で生成物を抽出し、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン中3%CDM)により精製した。収量1.2g(41%)の生成物を無色油状物として得た。1H NMR(500MHz、CDCl3):δ=7.80(d、3J=7.5Hz、1H;ArH)、7.75(s、1H;ArH)、7.70(d、3J=7.5Hz、2H;ArH)、7.48(d、3J=7.5Hz、1H;ArH)、7.46(s、1H、ArH)、1.97(tr、4H、3J=8.3Hz、CH2−CH2−C)、1.39(s、12H、CH3−C(O))、1.05−1.15(mp、20H、CH2)、0.81(t、3J=7.1Hz、6H;CH3−CH2)、0.61(mp、4H;CH2)、0.31(s、9H、CH3−Si)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=150.4(C−C−CH2)、150.1(C−C−CH2)、144.1、141.5、139.6(C)、133.6、131.7、128.9、127.6、119.3、119.0(CH)、83.7(CO)、55.0(C−CH2)、40.0(C−CH2)、31.7、30.0、29.1、29.0(CH2)、24.9(CH3−CO)、23.6(C−CH2−CH2)、22.6(CH3−CH2)、14.0(CH3−CH2)、0.9(CH3−Si)。精密質量(IE)m/z:588.4534(計算値588.4534)、フラクション:475.4(m;[M−(C8H17)]+、363.3(w;[M−(C8H17)2]+、333.3(m;[M−(C8H17+CH3+C6H12BO2)]+)。C38H71BO2Si:計算値C77.52、H10.44。測定値C77.35、H10.33。
【0143】
C 2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
−78℃で、1.6M(7.66mmol)のnBuLiのヘキサン溶液を、4g(7.30mmol)の2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンの50mLジエチルエーテル溶液にゆっくりと添加した。透明黄色溶液が得られるまで結果として得られる乳白色溶液を0℃に冷却し、これを−78℃に再び冷却した。1.49g(8.03mmol)の2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを添加し、結果として得られる混合物は1時間後白濁した。続いて混合物を室温にまで冷却し、18時間攪拌した。混合物を水で急冷した後、有機層をMgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン、Rf:0.5)を用いて粗生成物を精製した。収量:2.2g(51%)。1H NMR(500MHz、CDCl3):δ=7.80(d、3J=7.6Hz、1H;ArH)、7.72(s、1H;ArH)、7.66(d、3J=7.5Hz、1H;ArH)、7.57(d、3J=7.5Hz、1H;ArH)、7.47(s、1H、ArH)、7.45(d、3J=7.5Hz、1H;ArH)、1.97(mp、2H、CH2−CH2−C)、1.91(mp、2H、CH2−CH2−C)、1.39(s、12H、CH3−C(O))、1.02−1.18(mp、20H、CH2)、0.82(t、3J=7.1Hz、6H;CH3−CH2)、0.56(mp、4H;CH2)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ153.3、149.2(C−C−CH2)、142.7、139.7(ArC)、127.9(非常に弱い)(C−B)、133.6、129.6、128.6、126.0、121.2、118.8(CH)、83.5(CO)、55.2(C−CH2)、39.9(C−CH2)、31.5、29.6、28.91、28.88(CH2)、24.6(C−CH3)、23.4(C−CH2−CH2)、22.3(CH2−CH3)、13.8(CH2−CH3)。C35H52BBrO2:計算値C70.59、H8.80;測定値C70.25、H8.47。
【0144】
D 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレンの合成
500mg(1.12mmol)の2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジヘキシルフルオレン、261mg(1.12mmol)の2(4−ブロモフェニル)ピリジン、0.5mg(0.01mmol)のPd(PPh3)4、2mlの20%Et4NOH水溶液の4mlトルエン中における混合物を90℃で18時間撹拌した。透明な褐色−オレンジ色混合物がジクロロメタン中に得られ、水で洗浄し、最後にMgSO4で乾燥させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM)により精製した。収量:255mg(47%)。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.73(d、3J=4.9Hz、1H;CH−N)、8.12(d、3J=8.2Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.80−7.78(mp、4H、ArH)、7.73(d、3J=7.8Hz、1H;CH−CH−CH−N)、7.64(d、3J=7.9、1H;CH−CH−N)、7.62(br、1H;CH−CH−N)、7.36−7.33(mp、3J=1.0Hzおよび7.5Hz、3H;ArH)、7.25(mp、2H、ArH)、2.00−2.04(dd、3J=5.0Hzおよび5.2Hz、4H;CH2−C)、1.05−1.15(mp、12H、CH2)、0.78(t、3J=6.7Hz、6H;CH3)、0.68(mp、4H;CH2)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=156.8(CN)、151.2、150.8(C−C−CH2)、149.5(CH−N)、142.0、140.5、139.1、137.8(ArC)、136.5(CH−CH−CH−N)、127.2、127.0、126.8、126.5、126.0、122.7、121.8、121.1、120.2、119.7、119.5(CH)、54.9(C−CH2)、40.2(C−CH2)、31.2、29.5(CH2)、23.5(C−CH2−CH2)、22.3(CH3−CH2)、13.7(CH3)。精密質量(IE):488.3317[M+H](計算値488.3317)、フラクションm/z:402.3(s、[M−(C6H13)]+):332.2(s、[M−(C6H13)−(C5H11)]+)318.2(s、[M−(C6H13)2]+)。C36H41N:計算値C88.65、H8.47、N2.87;測定値C88.37、H8.40、N3.11。
【0145】
E 2−(6−p−ピリジル−フェニル末端基を一端に含有する9,9−ジ−n−オクチルフルオレンのSuzuki重合
500mg(0.56mmol)の2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−7−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよび13.1mg(0.056mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)の5mlトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの20%(3.1mmol)Et4NOH水溶液を添加した。結果として得られる混合物を110℃で24時間撹拌した。混合物を20℃に冷却した後、混合物をゆっくりと大過剰のMeOHに移し、ポリマーを黄白色固体として沈殿させた。固体をフィルター上に集め、50mlのトルエン中に再溶解させ、続いてシリカのショートカラム上で濾過した。濾液をMeOH中に入れると、灰白色繊維としてポリマーが再沈殿した。溶媒を減圧下で除去した。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.75(br d、2H*12%;CH−N)、8.13(br d、2H*12%、CH−CH−CH−N)、7.5−7.9(br、6H、ArH)、2.0−2.3(br、4H、CH2−C)、1.0−1.3(br、20H、CH2)、0.7−0.9(br、10H、CH3+CH2)。Mw(NMR):5000(12−mer)。
【0146】
F 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
243mg(1.021mmol)の2−(4−ブロモフェニル)ピリジン、600mg(1.021mmol)の2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの10mLのトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの20%(3.1mmol)Et4NOH水溶液を添加した。この二相反応混合物(two-phase reactionmixture)を48時間110℃で撹拌し、その後、ジクロロメタン/水で抽出した。MgSO4を用いて有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン、Rf:0.47)により精製した。550mg(88%)の生成物を灰白色固体として得た。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.73(d、3J=4.9Hz、1H;CH−N)、8.12(d、3J=8.3Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.80−7.78(mp、4H、ArH)、7.73(d、3J=4.5Hz、2H;CH−CH−CH−N)、7.69(d、3J=4.6Hz、2H;CH−CH−N)、7.63(d、3J=8.0Hz、2H;CH−CH−N)、7.25(s、1H;ArH)、2.01(tr、3J=8.2Hz、4H;CH2−C)、1.05−1.15(mp、20H、CH2)、0.78(t、3J=6.6Hz、6H;CH3)、0.70(mp、4H;CH2)、0.32(s、9H;CH3−Si)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=156.8(CN)、151.5、149.9(C−C−CH2)、149.5(CH−N)、142.0、141.1、140.4、139.2、138.9、137.8(ArC)、136.5(CH−CH−CH−N)、131.6、127.4、127.2、127.0、125.7、121.8、121.2、120.1、119.8、118.8(CH)、54.9(C−CH2)、39.9(C−CH2)、31.5、28.9、28.8(CH2)、29.7(C−CH2−CH2−CH2)、23.5(C−CH2−CH2)、22.3(CH3−CH2)、13.8(CH2−CH3)、−1.1(Si−CH3)。精密質量(IE):[M+H]616.4340(計算値616.4338)。C43H57NSi:計算値C83.84、H9.33、N2.27;測定値C83.99、H9.41、N2.33。
【0147】
G 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
1.5mlの1.0MのICIのMeOH溶液を、500mg(0.813mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの5mLジクロロメタン溶液にゆっくりと添加した。結果として得られる暗色溶液を2時間室温で撹拌し、その後、反応混合物を大過剰のNa2S2O3水溶液で急冷した。混合物を水で抽出し、MgSO4を用いて有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:Rf:0.36)を用いて生成物を精製した。450mg(85%)の生成物を高青色蛍光性を示す無色固体物質として得た。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.73(d、3J=4.7Hz、1H;CH−N)、8.12(d、3J=8.5Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.80−7.73(mp、4H、ArH)、7.68(s、2H、ArH)、7.65(d、3J=5.0Hz、2H;CH−CH−N)、7.60(s、2H;ArH)、7.48(d、1H;3J=8.4Hz、ArH)、2.05−1.94(mp、4H;CH2−C)、1.05−1.25(mp、20H;CH2)、0.81(t、3J=6.6Hz、6H;CH3)、0.70(br m、4H;CH2)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=157.0(CN)、153.4、150.9(C−C−CH2)、149.8(CH−N)、142.0、140.4、140.0、139.6、138.2(ArC)、136.8(CH−CH−CH−N)、135.9、132.1(C−CI)127.5、127.3、126.1、122.1、121.5、121.3、120.4、120.1(CH)、92.6(CI)、55.5(C−CH2)、40.2(C−CH2)、31.7、29.9、29.2、29.1(CH2)、23.7(C−CH2−CH2)、22.6(CH3−CH2)、14.1(CH3)。精密質量(IE)m/z:669.2825[M]+(計算値669.2832)フラクション:543.6(m;[M−I]+)。318.4(m;[M−(C8H17)−I]+)。C40H48IN:計算値C71.74、H7.22、N2.09;測定値C72.34、H7.20、N2.12。
【0148】
H 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
400mg(0.60mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレン、362mg(0.60mmol)の2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−9,9−ジヘキシルフルオレンの10mLトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの20%(3.1mmol)Et4NOH水溶液を添加した。この二相反応混合物を48時間110℃で撹拌し、その後、ジクロロメタン/水を用いて抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを用いて粗生成物を精製した。収量450mg(86%)。1H NMR(400MHz、CDCl3):δ=8.74(d、3J=4.9Hz、1H;CH−N)、8.13(d、3J=4.6Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.84−7.77(mp、6H、ArH)、7.74(d、3J=6.0Hz、2H、CH−CH−CH−N)、7.69−7.63(mp、6H;ArH)、7.39−7.30(mp、3H;ArH)、7.27−7.24(mp、1H(CDCl3ピークにより不明瞭;ArH)、2.11−2.02(mp、8H、C−CH2)、1.18−1.09(mp、32H、CH2)、0.81−0.74(mp、20H、CH2−CH3)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=157.1(CN)、151.8、151.4、151.0(C−C−CH2)、149.8(CH−N)、142.2、140.8、140.6、140.42、140.39、140.3、139.9、139.3、138.1(ArC)、136.8(CH−CH−CH−N)、127.5、127.3、126.9、126.8、126.1、126.0、122.1、122.0、121.44、121.38、120.4、120.0、119.8、119.7(CH)、55.3、55.1(C−CH2)、40.4(C−CH2)、31.7、31.5、30.0、29.7、29.18、29.16(CH2)、23.8、23.7(C−CH2−CH2)、22.6、22.5(CH3−CH2)、14.03、13.99(CH3)。精密質量(IE)875.6367[M]+(計算値875.6369)フラクションm/z:762.3(m;[M−(C8H17)]+)、650.4(m;[M−(C8H17)2]+)。C65H81N:計算値C89.09、H9.32、N1.60;測定値C88.60、H9.25、N1.52。
【0149】
J(Iを経由して) 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
300mg(0.448mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレン、320mg(0.544mmol)の2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの10mLトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの20%(3.1mmol)Et4NOH水溶液を添加した。この二相反応混合物を24時間110℃で撹拌し、その後、ジクロロメタン/水を用いて抽出した。有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン、Rf:0.30)を用いて粗生成物を精製した。392mg(88%)の生成物Iを無色固体として得た。これを次いで5mlのジクロロメタン中に溶解させ、5mLのICIのMeOH中1.0M溶液を添加した。結果として得られる暗色溶液を2時間室温で撹拌し、その後、反応混合物を大過剰のNa2S2O3水溶液で急冷した。反応混合物を続いて抽出した(ジクロロメタン/水)。MgSO4で有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン)を用いて精製した。収量355mg(85%)。1H NMR(400MHz、CDCl3):δ=8.74(d、3J=4.6Hz、1H;CH−N)、8.13(d、3J=8.4Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.82−7.78(mp、5H、ArH)、7.75(d、3J=7.9Hz、2H、CH−CH−CH−N)、7.69−7.64(mp、5H;ArH)、7.60(d、2H;ArH)、7.48(d、1H;CH−CH−N)、7.26−7.24(mp、2H(CDCl3ピークにより不明瞭;ArH)、2.17−1.94(mp、8H、C−CH2)、1.24−1.09(mp、40H、CH2)、0.90−0.71(mp、20H、CH2−CH3)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=157.0(CN)、153.4、151.83、151.77、150.9(C−C−CH2)、149.8(CH−N)、142.1、141.1、140.5、140.4、140.3、140.1、139.4、139.3、138.1(ArC)、136.8(CH−CH−CH−N)、135.9、132.1(C−CI)、127.5、127.3、126.24、126.16、126.1、122.1、121.4、121.3、120.4、120.1、120.0(CH、ぴったりオーバーラップすることにより不明瞭となった3CHシグナル)、92.5(CI)、55.5、55.3(C−CH2)、40.4、40.2(C−CH2)、31.77、31.76、29.19、29.17(CH2)、29.99、29.93(C−CH2−CH2−CH2)、23.8、23.7(C−CH2−CH2)、22.60、22.58(CH3−CH2)、14.08、14.05(CH3)。精密質量(IE)[M+H](計算値);フラクションm/z:1058.7(s、[M]+)、944.4(m;[M−(C8H17)]+)。C69H88IN:計算値C=78.30、H=8.38、N=1.32;測定値C=78.02、H=8.31、N=1.35。
【0150】
K 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−[2−(9,9−ジヘキシルフルオレニル))]−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
300mg(0.287mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン、225mg(0.373mmol)の2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの5mLトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの20%(3.1mmol)Et4NOH水溶液を添加した。この二相反応混合物を24時間110℃で撹拌し、その後、ジクロロメタン/水を用いて抽出した。有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ/ジクロロメタン:ヘキサン1:1、Rf:0.24)を用いて粗生成物を精製した。収量190mg(52%)の無色の高青色蛍光固体。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.75(d、3J=4.6Hz、1H;CH−N)、8.14(d、3J=8.4Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.86−7.73(mp、10H、ArH)、7.74−7.62(mp、10H、ArH)、7.40−7.31(mp、3H、ArH)、7.28−7.23(mp、1H(CDCl3ピークにより不明瞭)、ArH)、2.17−2.02(mp、12H、C−CH2)、1.25−1.01(mp、52H、CH2)、0.90−0.64(mp、30H、CH2−CH3)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=157.1(CN)、151.8、151.4、151.0(C−C−CH2)、149.7(CH−N)、142.2、140.8、140.6、140.5、140.47、140.44、140.39、140.30、139.95、139.90(ArC)、136.7(CH−CH−CH−N)、127.4、127.3、126.8、126.1、126.0、122.9、121.44、121.40、120.38、120.0、119.9、119.8、119.7(CH)、55.33、55.31、55.1(C−CH2)、40.3(C−CH2)、31.7、31.4、30.0、29.7、29.2(CH2)、23.9、23.8(C−CH2−CH2)、22.6、22.5(CH3−CH2)、14.01、13.97(CH3)。質量(IE)m/z;1265[M+H]+。C94H121N:計算値C89.25、H9.64、N1.11;測定値C89.25、H9.71、N1.21。
【0151】
[Ir(2−(4−ブロモフェニル)ピリジン)2μ−Cl]23の合成
500mg(1.42mmol Ir)IrCl3・xH2Oおよび1.4g(6.37mmol)の2(4−ブロモフェニル)ピリジンの50ml2−エトキシエタノール溶液および15mlのH2Oの混合物を110℃に18時間加熱した。1時間後に黄色沈殿物が形成しはじめた。混合物を20℃に冷却した後、沈殿物をガラス濾過器上で集め、EtOH:H2O95:5で洗浄し、アセトン中に溶解させ、MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。収量639mg(65%)。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=9.12(d、3J=5.7Hz、4H;CH−N)、7.86(d、3J=4.5Hz、4H;CH−CH−CBr)、7.80(dtr、4J=1.5Hzおよび3J=7.2Hz、4H;CH−CH−Br)、7.38(d、3J=9.4Hz、4H;CH−CH−CH−N)、7.02(dd、3J=1.9Hzおよび9.0Hz、4H;CH−C(C)N)、6.84(dtr、4J=1.7Hzおよび3J=5.6Hz、4H;CH−CH−N)、5.94(d、4J=1.9Hz、4H;CH−C(C)−Ir)。質量(FAB)m/z;1387(w、[M]+)、1352、(w、[M−Cl]+)、659(s、[Ir(A)2]+)。C44H32Br4Cl2Ir2N4:計算値C38.08、H2.03、N4.04;測定値C37.73、H2.10、N4.04。
【0152】
M (Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)4の合成
300mg(0.216mmol)の[Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2μ−Cl]2を30mlの2−エトキシエタノール中に108mg(1.08mmol)のacacHおよび216mg(2.04mmol)のNa2CO3の存在下で溶解させた。結果として得られる黄色懸濁液を110℃で8時間撹拌した。混合物を20℃に冷却した後、10mlのH2Oを添加した。黄色沈殿物をガラスフィルター上で集め、H2O、ヘキサンおよび冷Et2Oで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量190mg(58%)。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.44(d、3J=5.5Hz、2H;CH−N)、7.83(d、3J=8.5Hz、2H,CH−CH−CH−N)、7.78(mp、3J=5.5Hzおよび4J=1.5Hz、2H;CH−CH−N)、7.41(d、3J=8.3Hz、2H;CH−CH−CH−CH−N)、7.19(dtr、3J=6.4Hzおよび4J=1.5Hz、2H;ArH)、7.00(dd、3J=6.3Hzおよび4J=2Hz、2H;ArH)、6.28(d、4J=2Hz、2H;CH−C(C)−Ir)、5.23(s、1H;CH−C=O)、1.79(s、6H;CH3)。13
C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=184.8(CO)、167.5(CN)、148.2(CH−N)、143.8(C−Ir)、137.3、135.4(ArC)、125.1、124.1、121.9、118.7(Ar−CH)、100.5(CH−CO)、28.6(CH3−CO)。精密質量(IE):755.9593(計算値(193Ir)(79Br)を有する[M]+について755.9599;m/z);658.8(s、[M−acac]+)、579.0(m、[M−acac−Br]+、499、(w、[M−acac−(Br)2]+)。C27H21Br2IrN2O2・H2O:計算値C41.82、H2.99、N3.61;測定値C42.02、H2.60、N3.54。
【0153】
[Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレン)2μ−Cl]2の合成
合成経路は[Ir(2−(4−ブロモフェニル)ピリジン)2μ−Cl]2の合成と同様である。収率:66%。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=9.45(d、3J=5.4Hz、4H;CH−N)、7.95(d、3J=7.2Hz、4H;CH−C−C(CH)−N)、7.80(t、3J=7.2Hz、4H;CH−CH−C−C(CH)−N)、7.63(br、4H;CH−CH−CH−N)、7.56(mp、3J=6.7Hz、4H;CH−C−N)、7.26(br mp、20H;ArH)、7.12(s、4H;FIH)、7.10(mp、4H、FIH)、6.89(t、3J=5.4Hz、4H;CH−CH−N)、6.35(s、4H;CH−CIr)、1.7−2.0(br mp、16H;CH2−C)、0.9−1.2(br mp、48H、CH2)、0.78(br mp、24H;CH3)、0.4−0.6(br、16H;CH2)。
【0154】
N (Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレン)2(acac))の合成
合成経路はMの合成と同様である。収率:78%。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.63(d、3J=5.7Hz、2H;CH−N)、7.92(d、3J=7.9Hz、2H;CH−C−C−N)、7.76(tr、3J=7.2Hzおよび4J=1.4Hz、2H;ArH)、7.64(d、3J=6.0Hz、2H;ArH)、7.58(d、3J=5.9Hz、2H;ArH)、7.2−7.3(br mp、3J=8.0Hz、12H;ArH),7.1−7.2(mp、3J=7.1Hz、4H;ArH)、6.59(s、2H、CH−CIr)、1.8−2.0(br、8H;CH2−C)、0.9−1.2(br mp、24H,CH2)、0.77(mp、12H;CH3)、0.4−0.6(br、8H;CH2)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=184.7(CO)、168.5(CN)、150.8、150.6(C−C−CH2)、148.4(CH−N)、144.0(C−Ir)、141.4、140.9、140.4、139.9(ArC)、136.7(CH−CH−CH−N)、126.7、126.6、125.8、124.0、122.7、121.4、121.3、121.1、120.0、119.5、119.3、118.4(CH)、100.4(CH−CO)、54.9(C−CH2)、40.53、40.48(C−CH2)、31.5、29.8(CH2)、28.8(CH3−CO)、23.6(C−CH2−CH2)、22.6(CH3−CH2)、14.0、13.9(CH3)。質量(IE)m/z:1178.3(w、[M−(C6H13)]+、1165.2(s、[M−(acac)]+、1009(m、[M−(C6H13)3]+。C77H87IrN2O2・H2O:計算値C72.10、H6.99、N2.18;測定値C72.40、H6.87、N2.27。
【0155】
O (Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン)2(acac))の合成
合成経路はNの合成と同様で、若干の変更を加える。2−エトキシエタノール中でジクロロブリッジ化ジイリジウム錯体を調製し、水を添加することにより沈殿させた。収率:59%。1H NMR(400MHz、CDCl3):δ=8.65(d、3J=5.1Hz、2H;CH−N)、7.86(d、3J=7.8Hz、2H;CH−C−C−N)、7.75−7.58(mp、24H;ArH)、7.37−7.16(mp、10H;ArH)、6.61(s、2H;CH−CH−N)、5.27(s、1H;CH−CO)、2.03−1.94(mp、16H;C−CH2)、1.85(s、6H、CH3−CO)、1.32−0.91(mp、64H、CH2)、0.88−0.70(mp、40H、CH2−CH3)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=184.7(CO)、168.5(CN)、151.6、151.4、151.00、150.97(C−C−CH2)、148.4(CH−N)、144.1(C−Ir)、141.5、140.8、140.5、140.2、139.6(ArC)、136.7(CH−CH−CH−N)、126.9、126.7、126.0、125.9、124.0、122.9、121.5、121.34、121.29、119.8、119.7、119.4、118.4(CH)、100.8(CH−CO)、55.1、55.0(C−CH2)、40.6、40.5、40.3(C−CH2)、31.78、31.77、31.4、30.2、29.7、29.3、29.2(CH2)、28.8(CH3−CO)、23.7(C−CH2−CH2)、22.58、22.57、22.54(CH3−CH2)、14.06、13.99(CH3)。質量(IE)m/z:2041.4(s、[M]+)、1942.4(m、[M−(acac)]+C135H167IrN2O2:計算値C79.40、H8.24、N1.37;測定値C79.12、H8.13、N1.17。
【0156】
P (Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−[2−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)]))−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン)2(acac))の合成
合成経路はNの合成と同様である。収率:57%。1H NMR(400MHz、CDCl3):δ=8.65(d、3J=5.4Hz、2H;CH−N)、7.94(d、3J=8.3Hz、2H;CH−C−C−N)、7.82−7.78(mp、8H;ArH)、7.75−7.72(t、3J=8.2Hz、4H;ArH)、7.67−7.63(mp、22H;ArH)、7.38−7.31(mp、8H;ArH)、7.21−7.17(mp、4H;ArH)、6.61(s、2H;CH−CH−N)、5.28(s、1H;CH−CO)、2.11−2.02(mp、24H;C−CH2)、1.85(s、6H、CH3−CO)、1.20−1.07(mp、104H、CH2)、0.82−0.67(mp、60H、CH2−CH3)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=184.7(CO)、166.4(CN)、151.7、151.6、151.4、151.0(C−C−CH2)、(CH−N分離されず)、143.3(C−Ir)、140.7、140.4、140.3、139.9(ArC)、(CH−CH−CH−N分離されず)、126.9、126.7、126.1、126.0、125.9、122.8、121.4、119.9、119.8、119.7(CH)、100.8(CH−CO)、55.3、55.12、55.06(C−CH2)、40.5、40.3(C−CH2)、31.7、31.4、30.1、30.0、29.6、29.2、29.1(CH2)、28.7(CH3−CO)、23.9、23.7(C−CH2−CH2)、22.53、22.51(CH3−CH2)、14.0、13.9(CH3)。質量(IE)m/z:2819(m、[M)))+)、2719(w、[M−(acac))))+。C193H247IrN2O2:計算値C82.22、H8.83、N0.88;測定値C81.93、H8.77、N1.10。
【0157】
ppy−pf8−ppy Qの合成:両端に2−(6−p−ピリジル−フェニル)末端基を含有する9,9−ジ−n−オクチルフルオレンのポリ−Suzuki反応
500mg(0.78mmol)の2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレン、405.5mg(0.740mmol)の2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよび17.1mg(0.078mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)の3mlトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの(3.1mmol)のEt4NOHを添加した。結果として得られる混合物を100℃で24時間撹拌した。3時間後、5mlのトルエンを添加して、沈殿したオリゴマーを溶解させるか、または混合物の粘度を増大させた。混合物を20℃に冷却した後、混合物をゆっくりと大過剰のMeOH中に移し、ポリマーを白色(若干緑がかった)繊維状固体として沈殿させた。固体をフィルター上に集め、50mlのトルエン中に再溶解させ、続いてシリカのショートカラム上で濾過した。濾液をMeOH中に移すと、ポリマーが灰白色繊維として沈殿した。減圧下で溶媒を除去した。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.72(br d、2H*12%;CH−N)、8.13(br d、2H*12%、CH−CH−CH−N)、7.9−7.5(br、6H;ArH)、2.3−2.0(br、4H、CH2−C)、1.3−1.0(br、20H、CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH3+CH2)。Mw(NMR):10.000(24−mer)GPC:Mp48586、Mn18618、Mw67120、多分散性3.6。
【0158】
ppy−pf8 Eの合成:一端に2−(6−p−ピリジル−フェニル)末端基を含有する9,9−ジ−n−オクチルフルオレンのSuzuki重合
500mg(0.56mmol)の2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−7−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよび13.1mg(0.056mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)の5mlトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの(3.1mmol)のEt4NOHの水溶液を添加した。結果として得られる混合物を110℃で24時間撹拌した。混合物を20℃に冷却した後、混合物をゆっくりと大過剰のMeOH中に移し、ポリマーを黄白色固体として沈殿させた。固体をフィルター上に集め、50mlのトルエン中に再溶解させ、続いてシリカのショートカラム上で濾過した。濾液をMeOH中に移すと、ポリマーが灰白色繊維として沈殿した。減圧下で溶媒を除去した。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.75(br d、2H*12%;CH−N)、8.13(br d、2H*12%、CH−CH−CH−N)、7.9−7.5(br、6H;ArH)、2.3−2.0(br、4H、CH2−C)、1.3−1.0(br、20H、CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH3+CH2)。Mw(NMR):5000(12−mer)。
【0159】
R1;Qのイリジウム錯体形成を経由した[Ir(acac)(ppy−pf8−ppy)2Ir(acac)]nの合成
200mgのQ(0.159mmolの2−(6−p−ピリジル−フェニル)を含有)および12.5mgのIrCl3〔0.0353mmolのイリジウムを含有〕の混合物を、5mlのトルエンおよび3mlの2−エトキシエタノールの溶媒混合物中に移した。結果として得られる透明褐色混合物を100℃に24時間加熱し、オレンジ色のゲルを得、これをさらに大過剰のMeOH中で沈殿させた。生成物をガラス濾過器上で集め、H2O、MeOHおよびアセトンで洗浄し、最後に溶媒を減圧下で除去した。次に、161mgのこの生成物と20mg(0.2mmol)のアセチルアセトンおよび20mg(0.19mmol)のNa2CO3の5mLの2−エトキシエタノールおよび10mLのトルエンとの懸濁液を90℃に24時間加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、ポリマーを大過剰のMeOH中で沈殿させ、フィルター上で集め、H2O、MeOHおよびアセトンで洗浄した。90℃で4時間加熱して、ポリマーを30mLのトルエン中に再溶解させた。結果として得られる混合物をまずガラスウール上で濾過し、次いでショートシリカカラム上で濾過し、その後、MeOHを使用してポリマーを再沈殿させる。結果として得られるポリマーは最も一般的な溶媒中で非常に低い溶解度を示し;非常に長期間超音波処理した後にのみトルエン、ジクロロメタンおよびベンゼン中に溶解することが判明した。収量:161mg。1H NMR(400MHz、CDCl3):δ=7.9−7.5(br、6H、ArH)、2.3−2.0(br、4H、CH2−C)、1.3−1.0(br、20H、CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH3+CH2)(イリジウム錯体のシグナルは分離されない)。微量分析:C84.58、H10.18、N0.42、Ir(AES)0.65。
【0160】
R2;2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよびN(Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)のポリ−Suzuki反応を経由した[Ir(acac)(ppy−pf8−ppy)2Ir(acac)]nの合成
500mg(0.779mmol)の2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレン、405.5mg(0.740mmol)の2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン、29.5mg(0.0389mmol)のM(Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)および4mg(0.004mmol)の(Pd(PPh3)4)の10mLトルエン溶液を90℃に加熱し、2.5mL(3.1mmol)のEt4NOHの水溶液を添加した。結果として得られる二相混合物を100℃で18時間撹拌し、褐色−オレンジ色ゲルが形成された。ゲルをMeOH中に沈殿させ、MeOHで洗浄した。そのポリマーを30mLのジクロロメタン中に再溶解させ、得られた混合物をガラスウールを使用して濾過し、次にショートシリカカラム上で濾過した。結果として得られるポリマーは、長時間超音波処理した後にトルエンおよびジクロロメタン中に溶け、高粘度をもたらす。1H NMR(400MHz、C6D6):δ=8.2−7.6(br、6H、ArH)、2.6−1.9(br、4H、CH2−C)、1.6−0.7(br、30H、CH2+CH3)、(スペクトルは非常にブロードで、イリジウム錯体のシグナルは分離されない)。GPC:Mp50643、Mn28146、Mw62638、多分散性2.2。微量分析:C84.28、H9.71、N0.37、Ir(AES)2.56。
【0161】
Eのイリジウム錯体形成を経由したS1;[Ir(ppy−pf8)2(acac)]の合成
150mgのE(0.0367mmolの2−(6−p−ピリジル−フェニル)を含有)および5.2mgのIrCl3(0.0147mmolのイリジウムを含有)を、10
mlのトルエンおよび10mlの2−エトキシエタノールの溶媒混合物中に移した。結果として得られる透明黄色−オレンジ色混合物を110℃で24時間加熱し、その後、生成物を大過剰のMeOH中で沈殿させた。生成物をガラス濾過器上で集め、MeOHおよびヘキサンで洗浄し、最後に溶媒を減圧下で除去した。次に、生成物および20mg(0.2mmol)のアセチルアセトンおよび20mg(0.19mmol)のNa2CO3の8mLの2−エトキシエタノールおよび2mLのトルエン中透明溶液を110℃で2時間加熱した。0℃に冷却すると、黄色−オレンジ色沈殿が形成され、これをガラス濾過器上に集められ、H2O及びMeOHで洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。トルエンを溶媒として用いて生成物をショートシリカカラム上で濾過した。収量:100mg。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.65(br、1H*1%;CH−N)、7.9−7.5(br、6H,ArH)、6.62(br、1H*1%;CH−CHN)、5.30(br、0.5H*1%;CH−CO)、2.3−2.0(br、4H;CH2−C)、1.82(br、3H*1%;CH3−CO)、1.3−1.0(br、20H;CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH3+CH2)。微量分析:C83.09、H9.61、N0.39。
【0162】
C2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよびM(Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)を使用した、ポリ−Suzuki反応を経由したS2;[Ir(ppy−pf8)2(acac)]の合成
415mg(0.697mmol)のC、26.4mg(0.0349mmol)のN、2mg(0.008mmol)のPd(acetate)および4mg(0.016mmol)のPCy3の溶液を90℃に加熱し、2.5mL(3.1mmol)のEt4NOH水溶液を添加した。結果として得られる混合物を110℃で20時間撹拌すると、若干粘稠な透明赤色溶液が得られた。有機層を大過剰のMeOH中に滴下し、この結果、オレンジ色ポリマーが沈殿した。これを水、MeOHおよびアセトンで洗浄し、トルエンを溶離剤として使用してショートシリカカラム上で濾過した。結果として得られる溶液を2mlに濃縮し、100mgのNa2CO3、1mLのacacHおよび8mLの2−エトキシエタノールを添加した。反応混合物を2時間110℃で撹拌し、次に室温に冷却した。2mLのMeOHを添加し、これにより生成物がオレンジ色固体として沈殿した。生成物をガラス濾過器上に単離し、H2OおよびMeOHで洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。収量:150mg(55%)。δ=8.7(d、J=4.6Hz、1H*10%;CH−N)、7.9−7.5(br、6H;ArH)、7.4−7.1(br、ArH)、6.6(s、1H*10%;CH−CH−N)、5.3(s、0.5H*10%;CH−CO)、2.3−2.0(br、4H、CH2−C)、1.9(3H*10%;CH3−CO)、1.3−1.0(br、20H,CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH2+CH3)。微量分析:C82.78、H9.44、N0.25。
【0163】
415mg(0.697mmol)のCおよび13.2mg(0.0349mmol)のNを使用する以外はS2と同様にして、S3を合成した。収量230mg(85%)。δ=8.7(d、J=5.0Hz、1H*3%;CH−N)、7.9−7.5(br、6H;ArH)、7.4−7.1(br、ArH)、6.6(s、1H*3%;CH−CH−
N)、5.3(s、0.5H*3%;CH−CO)、2.3−2.0(br、4H、CH2−C)、1.9(3H*3%;CH3−CO)、1.3−1.0(br、20H、CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH3+CH2)。微量分析:C87.10、H10.02、N0.20。
【0164】
LED製造および測定
エレクトロルミネッセントデバイスを以下に記載するようにして製造した。イリジウム−スズ酸化物(ITO)パターン化清浄ガラス基板をCambridge Display Technology Limitedから入手した。ホール注入層、ポリ(3,4−エチレン−ジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS、Bayrtonから水性溶液として入手し、さらに前処理せずに使用)をITO上にスピンコートした(2000rpm、30秒)。PEDOT:PSS層をホットプレート(130℃)上で5分間乾燥させた。次に、ポリビニルカルバゾール(PVK)のホール輸送層を3mg/mLジクロロメタン溶液によりPEDOT:PSS層のトップ層上にスピンコートした。続けて、この層のトップに発光ポリマーをスピンコートした(10−15mg/mLのトルエン溶液による)。次に、デバイスを高真空(1×10-5mbar)堆積ユニットに移し、シャドーマスクを付けた。陰極金属、カルシウムがシャドーマスクを通して有機層上に堆積し、続いてアルミニウムが堆積した。各ピクセルのサイズは4mm×3.2mmである。Aralditeエポキシ樹脂を使用してデバイスを最終的に封止し、スライドガラスで覆った。本デバイス層の典型的な特徴は、ITO(190nm、シート抵抗(10Ω/□)/PEDOT:PSS(50nm)/PVK(45nm)/発光ポリマー(70nm)/Ca(40nm)/Al(200nm))を含む。電極に直流バイアス(0〜25V)をかけることによりデバイスを調べた。エレクトロルミネッセント特性をHewlett−Packard E3631A DC電源、Keithley2000デジタルマルチメーター、Topcon BM−9M輝度計、およびAminco−Bowmanシリーズ2蛍光分光計で測定した。
【0165】
結果および考察
イリジウム(ppy)−フルオレニルハイブリッド系の合成
2−フェニルピリジン(ppy)の4位を、1、2および3の次のフルオレニル置換基を含む一連の9,9−ジアルキルフルオレンセグメントで官能化した(スキーム1)。
【0166】
スキーム1:9,9−ジアルキルフルオレン置換2−フェニルピリン配位子への合成経路
Gomberg−Hey反応5を用いてピリジンをパラブロモアニリンにカップリングすることにより(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)(A)を合成した。Aを2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−9,9−ジヘキシルフルオレンでSuzukiカップリングすることによりモノフルオレニル官能化ppyを得、(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレン)(D)を得た。本発明者らの段階的合成法の重要な構成要素;2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレン(B)を、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンからnBuLiを使用したモノリチウム化を経て2段階で合成し、TMSClで急冷し、続いてtBuLiを使用して第二のリチウム化を行い、これをさらに2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランと反応させて、Bを得た。4−ジフルオレニル官能化ppyをAおよびBのSuzuki生成物から、ICIを使用したTMS基の脱保護(これにより、2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−9,9−ジヘキシルフルオレンを得る)を経由して二段階で合成し、2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン(H)6を得た。Gおよび2−(4,4,5,5テトラメチ
ル−1,3,2−ジオキサボロラン)−9,9−ジヘキシルフルオレンのSuzuki生成物から同じ脱保護/Suzuki反応手順を経て4−トリフルオレニル官能化ppyを得、2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−[2−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)]))−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン(K)を得た。
【0167】
スキーム2:4−フルオレニル官能化ppy配位子の合成
A、2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレンおよび2,7−ジブロモー9,9−ジオクチルフルオレンを構成要素として使用した、Pd(PPh3)4触媒されたポリSuzuki反応を使用し、オリゴフルオレン−ビス−ppyを合成し、ppy−pf8−ppy(Q)を得た(スキーム2)7。Aおよび2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(C)を構成要素として使用した同じカップリング反応からオリゴフルオレン−モノ−ppyを得て、ppy−pf8(E)を得た(スキーム2)。
【0168】
Ir(ppy−X)2(acac)型のビス−シクロメタレート化イリジウム錯体を、Lamanskyら8により最近報告された二段階合成経路にしたがって合成した。第一段階において、IrCl3・nH2Oを過剰のppy含有配位子と反応させて、塩化物架橋化二量体[Ir(ppy−X)2(−μ−Cl)]2を得た(スキーム3)。
【0169】
スキーム3:ビス−CN−シクロメタレート化イリジウム錯体の合成経路
塩化物架橋化イリジウム二量体を次に燐光性モノマーアセチルアセトネート錯体に変換した。(Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)(M)、(Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレン)2(acac))(N)、(Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)−(9,9−ジオクチルフルオレン)2(acac))(O)および(Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−[2−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)]))−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン)2(acac))(P)をすべて適宜合成した(スキーム3)。
【0170】
イリジウム(ppy)−オリゴフルオレニル系の合成を二種の方法で試みた(スキーム4)
スキーム4:Ir(ppy)−オリゴフルオレニル系の合成経路
モデル化合物と同様に、QおよびEの両方を塩化物架橋化イリジウム二量体を経てモノマー含有アセチルアセトネートへの二段階合成経路に付した。塩化物架橋化イリジウム二量体への完全な変換は、反応混合物のゲル化により失敗したので、Qを使用してこれは困難であると思われる。目的生成物;[Ir(acac)(ppy−pf8−ppy)2]n(R1)に関するAES分析により、イリジウム含量はわずか0.65%であることが明らかになった(4%拒否)。さらに、結果として得られるポリマーはかなりの超音波処理後に溶解するだけであった。Eの錯体形成では、ジクロロブリッジ化中間体のネットワーク形成の防止により、ゲル形成が完全に回避された。従って、この二段階反応手順の生成物:[Ir(ppy−pf8)2(acac)](S1)はジクロロメタンおよびトルエン中に容易に溶解する。NMRから、1%のIr(ppy)2(acac)セグメントが存在すると結論づけられた(4%が拒否された)。
【0171】
別法として、2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレンおよび2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンを構成要素として使用して錯体MをポリSuzuki反応に付し、[Ir(acac)(ppy−pf8−ppy)2]n(R2)を得た。さらに、この経路を経て、Rの合成により、反応中にゲル生成が起こり、その製造において溶解性の問題が生じた。しかしながら、この方法はR1法と比較して、Ir(ppy)(acac)セグメントのインビルド(inbuild)を増大させた;この場合において、イリジウム含量は2.6%であった。最も成功したイリジウム(ppy)−オリゴフルオレニル系は、CおよびMを使用したポリSuzuki反応により得られた。結果として得られる[Ir(ppy−pf8)2(acac)](S2)はジクロロメタンおよびトルエン中の溶解度が高く、5%のビス−シクロメタレート化イリジウム錯体を含んでいた。acac−アニオンを錯体に戻すためにその後にacacHと反応させることが必要であった。
【0172】
Ir(ppy−X)2(acac)錯体の光物理的性質
ppyの4−位に対するフルオレニル−置換の影響を調べるために、一連のシクロメタレート化イリジウム錯体の吸収およびフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを記録した(図1)。
【0173】
図1:Ir(ppy−X)2(acac)錯体の吸収およびPLスペクトル
親化合物Lは、260nmで吸収帯を示し、507nmで発光する。モノフルオレニルセグメントがppyの4位にある場合(錯体N)、最大吸収は338nmで観察され、第二の副最大は260nmで観察される。明らかに、錯体Nはイリジウム錯体のπ系ならびにd−オービタルの両方から吸収する。配位子の系を次のフルオレニル単位(錯体OおよびPを経る)に拡張すると、配位子のπ系からの吸収最大がレッドシフトし、遷移金属に由来する吸収強度の相対的減少を伴う。錯体Pは、376nmで最大吸収を示し、これはポリフルオレンの吸収よりも8nmだけ低い。この錯体に関して、遷移金属からの吸収は、260nmでの小さな吸収ピークとして観察されるだけである。比較して;ppyの4−位が臭素により置換されている場合、これは吸収スペクトルに全く影響を及ぼさない。
【0174】
興味深いことに、非置換錯体と比較すると、錯体N(1フルオレニル)のPL−スペクトルがLに関して30nmレッドシフトして552nmになる。これから、この系における三重項波動関数は、Ir(ppy)単位に限定されず、全系にわたって広がると結論づけることができる。第二のフルオレニルセグメント(錯体O)は、9nm(561nmへ)のさらなるレッドシフトを引き起こし、第三の(P)は566nmのPL最大値をもたらす。
【0175】
一般に、フルオレニル鎖の繰り返し単位の波動関数に対する影響は、さらに蛍光体から離れた位置にある場合に徐々に減少するが、少なくとも最初の3つのフルオレニル単位は三重項波動関数に影響を及ぼすことが明らかである(本発明者らの場合においては、合計44nmのレッドシフトを引き起こすことによる)。
【0176】
OLED(有機発光ダイオード)をこれらのモデル化合物から製造することにより、EL特性を調べた。OLEDデバイスは、イリジウム酸化スズとカルシウム電極間にサンドイッチされた基本的3層構造;ITO/PEDOT−PSS/PVK/発光層/Ca/Alからなる。PEDOT−PPSの使用は、ホール注入層として一般的に公知であり、ポリビニルカルバゾール層(PVK)をホール輸送層として添加し、デバイス特性を一般に平坦にすることが判明した。一連のL、N、OおよびPをこの構造においてトルエン溶液からスピンコートした。これらのデバイスのELスペクトルはPLスペクトルとほぼ同じ傾向を示す。このシリーズにおいて、発光最大は、Lについては赤を529nmから、561nm(N)を経て、OおよびPについては567nmにシフトさせる。わずかのレッドシフトは別として、これらの化合物のELスペクトルはすべてそのPLスペクトルと非常に似ている。これらの系のフルオレニル由来の一重項発光は全く観察されなかった。
【0177】
図2:Ir(ppy−X)2(acac)のELスペクトル(挿入図はデバイス構造を
示す)
【0178】
【表1】
【0179】
デバイス特性はフルオレニルセグメントを有する配位子系に拡張すると実質的に向上する(表1および図3)。最大輝度は60(Lについて)から、Nについては43,Oについては400を経て、pについては1400まで増大し、一方量子効率は7.4x10-4から7.3x10-2 9まで2桁向上した。起動(ターンオン)電圧は、フルオレンのパーセンテージが増大すると若干増大した。
【0180】
上記の実験から、フルオレニルセグメントのこのタイプの燐光錯体の配位子系の系への直接的共有結合は、三重項を得るその能力について有用である。この現象は、高次フルオレニル置換蛍光体の向上されたフィルム形成能のみによっては説明されない。本発明者らは、蛍光体の系の増大により、イリジウム(ppy)種がさらに均一に分散した均一なフィルムが得られ、三重項消滅を引き起こすクラスター化が回避されることを示唆する。蛍光体の系の大きさも、電荷補足効率において重要である。
【0181】
図3:Ir(ppy−X)2(acac)のI−L−V曲線
結果から、本発明者らはポリフルオレンマトリックスにおけるこの種の蛍光体を調査した。錯体LおよびNの9,9−ジオクチル−ポリフルオレン(PF8)マトリックス中混合物のPL測定により、ポリフルオレンからの一重項発光が両蛍光体により著しく消光されるが、両系からの三重項発光(室温、好気性条件下)は非常に低いことが明らかになった(図4)。ポリマーのS1からT1への励起子Foster輸送は、効率がよいように思われるが、蛍光体上の励起子の主な消光は別のメカニズム(三重項消滅や、燐光体からポリマーへ戻る三重項のデクスター移動)によると考えられる。
【0182】
図4:PF8中の錯体Nの混合物のPLスペクトル。挿入図;PF8中5.0モル%の錯体LおよびNの三重項シグナル
PF8中のLのELスペクトルは、ドープされていないPF8と際だった類似性を示すが、発光最大は516nmから533nmにシフトした(PF8の516nmの発光最大は凝集効果によるエキシマ形成により引き起こされることに注意)(図5)。このデバイスは、ポリマーの一重項励起状態(414nmで最大)ならびに遷移金属錯体上の三重項励起子(553nm)の両方から発光すると思われる。PF8中の錯体Nの混合物は、ほぼ単一の三重項発光を示した。559nmでの最大発光は明らかに蛍光体から生じ(552nmがニートな錯体について観察された;図2)、一方、443nmでの一重項ピークは非常に小さい。本発明者らはこの錯体LとNの違いはT1レベルにおける差によるとみなす。
【0183】
発光スペクトルから、LのT1レベルは、約2.4eVであり、錯体Nは2.2eVであると推定した。これをPF8のT1レベル(最近約2.30eV10であると計算されている。)と比較すると、蛍光体上に補足された三重項のL部分の場合、ポリマーのT1レベルまで増大し(デクスター移動)、非放射的に崩壊すると予想できる。従って、三重項発光は、このプロセスにより阻害される。錯体Nの場合、予測されるポリマーのT1レベルは蛍光体のそれよりも高いので、このようなプロセスは可能性が低い。
【0184】
図5:ポリフルオレンにおけるIr(ppy−X)2(acac)のELスペクトル
【0185】
【表2】
【0186】
Lの混合物と比較して、PF8における錯体Nの向上された三重項と一重項の比は、デバイス効率において有意な変化を引き起こさない(5.6x10-2vs7.6x10-2、表2)。
【0187】
ポリフルオレニル官能化蛍光体
フルオレニル置換蛍光体の概念は、ポリフルオレンの主鎖におけるビスシクロメタレート化イリジウム蛍光体の使用によりさらに一段階と見なされた。これらのハイブリッド系(R1、R2、S1、およびS2)のPLスペクトルを図6に示す。
【0188】
図6:Ir(ppy−X)2(acac)を組み入れたポリフルオレンのPLスペクトル
すべての系は、分子のポリフルオレン部分から生じる一重項発光(422nmおよび450nmで最大)を示す。R1およびR2において、三重項発光は観察されなかった。これは、NMRスペクトルとあわせると、合成中のゲル化の問題のために、これらの系においてIr(ppy−X)2(acac)蛍光体をポリマー鎖中に適切に導入できないことが強く示唆される。この点に関して、これらの物質において、各分子中で1つの蛍光体しか構築できず(スキーム4)、その結果より良好に規定され、適用可能な(解決可能な)系が得られるので、系S1およびS2は有望であった。S1およびS2はどちらも596nmで三重項PL発光を示した。
【0189】
図7に示す新規ハイブリッド系のELスペクトルも、RとS生成物間の著しい違いを示す。
【0190】
図7:ポリフルオレンを組み入れたイリジウム錯体のELスペクトル
R1およびR2のスペクトルは非常にブロードであり、凝集により引き起こされる多くの一重項および一重項励起子発光を示す(これらの化合物の低い溶解度は、通常のポリフルオレンと比較して凝集を増大させる)。R1は三重項発光を全く示さないが、〜604nmのショルダーは、システムR2から製造されるデバイスからのある程度の三重項発光を示す。システムS1を含有するデバイスは、1:3の比で一重項と三重項を発光することが判明し、S2は1:23の一重項と三重項の比であった。この結果、S1システムについてピンク色発光(CIE座標X=0.42、Y=0.34)、S2システムについては白色がかったオレンジ色の発光(X=0.47、Y=0.43)が生じた。
【0191】
図8:駆動電圧を上昇させると、S2のELスペクトルは8.5V(下)から0.5Vの段階を経て12.5V(上)まで上昇する。
【0192】
一重項と三重項の比は、駆動電圧が増大すると増大することが判明した(図8)。これは、さらに高い駆動電圧での三重項−三重項消光における増大により説明される。増大した駆動電圧での励起子形成において観察される増大は、ポリマーLEDにおいてよく知られた現象である。
【0193】
【表3】
【0194】
ハイブリッドシステムのELデバイス特性を表3にまとめる。ELスペクトルから観察されるように、Rサンプルは、それぞれ量子効率2.6x10-2および7.1x10-2で、低輝度(R1については10cd/m2、R2については60cd/m2)での一重項−および一重項励起子発光に由来する黄色がかった緑色の発光を生じる。よりよく規定されたSサンプルは、主に三重項状態から発光し、若干一重項励起状態から発光する。S1は最大輝度42cd/m2で、量子効率3.6x10-2でピンク色発光を生じた(CIE−X 0.42、CIE−Y 0.34)。S2およびS3はどちらも、量子効率7.9x10-2で白色がかったオレンジ色発光を生じた。S3の比較的長いポリフルオレン置換基(S2について10であるのに対して30フルオレニル単位)は、最大輝度を163から304cd/m2に増大させる。
【0195】
結論
溶液処理デバイスにおいて明るい燐光を得るために一連のポリフルオレニル蛍光体複合材料を研究した。小分子Ir(ppy)2(acac)の配位子にフルオレン置換基を付加すると、フルオレン中の混合物の溶液から容易にスピンコートされる物質が得られ、さらに重要なことには、ニートな物質として得られる。フルオレニル置換基は、EL発光輝度および量子効率において重大な改良をもたらすことが判明した。置換基の有利な効果は、混合物中のポリフルオレンに対する蛍光体のT1−エネルギーレベルの向上された相補性において観察された。ポリフルオレニル−蛍光錯体から調製されるOLEDは、明るい三重項発光デバイスを生じることが報告された。
【0196】
新規蛍光体は、ビスシクロメタレート化イリジウム−2−フェニルピリジネート錯体(Ir(ppy)2)三重項発光体、およびポリフルオレン、有効な一重項発光ポリマーのハイブリッド化合物である。このシリーズは、ppy配位子の4−位にフルオレニル置換基を有するIr(ppy)2(acac)錯体からなる。このシリーズおいて、非置換錯体Ir(ppy)2(acac)(L)から、モノフルオレニル置換錯体[Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレン)2(acac)](N)およびジフルオレニル[Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン)2(acac)](O)を経て、トリフルオレニル[Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−[2−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)]))−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン]2(acac)](P)へ、主要なレッドシフトがこれらの錯体のPLスペクトルにおいて522nmから552nmを経て561から566nmまで観察された。ポリフルオレニル置換錯体[Ir(ppy−pf8)2(acac)](S2)も566nmでPL三重項発光を455nmでの小さな一重項発光とともに示した。30nmのLに関する錯体Nのレッドシフトは、ポリフルオレンに対して蛍光体のT1エネルギーレベルを補完するのに十分であることが判明した;このポリマー中のNの混合物のELスペクトルは、559nmで主に三重項発光を示し、錯体L(λmax535nm)を含有する混合物は、441nmで実質的に一重項発光を示す。フルオレニルセグメントでppy配位子を段階的に伸張すると、EL輝度が増大し(Lについて60からPについて1400cd/m2)、EL量子効率が増大した(7.4x10-4から7.3x10-2)。黄色がかったオレンジ色EL発光がS2から観察され(推定フルオレニル長さ;10単位)、7Vの駆動電圧で三重項と一重項の比は23:1であり、量子効率は7.9x10-2であり、最大輝度は163cd/m2であった。ポリフルオレン置換基の長さを30(S3)に増大させると、三重項と一重項の比が7:1(6Vにおいて)である白色がかったオレンジ色発光が得られた、量子効率は7.9x10-2、最大輝度は304cd/m2であった。
【0197】
第2節:ピリジル−ベンゾチオフェン配位子
この節においてフェニルピリジン配位子Lを含む有機金属基を参照して、本発明を説明する。特に、J.Am.Chem.Soc.,2001,123,4304は、以下に示す赤色発光有機金属基を開示している:
【0198】
【化28】
【0199】
上記錯体のモノマー種を製造するための臭素を含む配位子の合成を以下に示す:
【0200】
【化29】
【0201】
合成の第一段階は、ベンゾ(b)チオフェンのリチウム化であり、これは、nBuLiの使用により2位で選択的に行うことができる。リチウム付加物を次にその場で2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランと反応させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中60%CH2Cl2、Rf0.5)により精製した。所望の化合物を81%収率で単離した。第二段階は、Suzukiカップリングを含み、これは、2−(4’,4’,5’,5’−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン)ベンゾ(b)チオフェンを2,5−ジブロモピリジンにゆっくり添加するためのシリンジポンプを使用して高度の選択性で良好な収率を達成した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中50%CH2Cl2)により精製し、ベンゾ(b)チオフェン(Rf0.68)、生成物(Rf0.35)および2,5−ビス(4’,4’,5’,5’−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン)ベンゾ(b)チオフェン(Rf0.22)の分離が可能になった。生成物フラクションは幾分未反応の2.5−ジブロモピリジンを含有し、これを昇華(sublimation)により除去した。数回の昇華後、純粋な生成物を60%の収率で得た。反応は驚くほどに選択的であり、ほとんど5−ピリジル結合生成物を生じなかった。これはピリジル窒素がパラジウム触媒に配位し、かくして酸化付加反応について2−ブロモ置換基が活性化されるためである。反応の副生成物は低収率で得られる;ベンゾ(b)チオフェンは出発物質の脱ホウ素化により形成される。これは特に水中で容易な反応であり、チオフェンを過剰のブロモピリジンにゆっくり添加することにより阻害できる。他の副生成物は、ビス−2,5−(ベンゾ(b)チオフェン)ピリジンであり、これは低収率で単離され(<10%)、この生成物もチオフェンを過剰のブロモピリジンにゆっくり添加することにより阻害できる。結論として、反応は非常に選択的であり、収率は良好であり、反応の別の態様として、スケールアップが容易であり、1〜10mmolの範囲のスケールでよく作用する。新規化合物は、完全に特徴づけられ、元素分析は計算値とよく一致し、計算と一致した同位元素分布のEI質量スペクトルにおける分子イオンピークを示す。1H NMRスペクトルにおいて、8.68ppmでのピークはピリジン環上のNとBrの間のプロトンに帰属される。最もデシールド(deshield)されたプロトンであるので、それは最も低いフィールドにある。他のピリジルおよびベンジルプロトンによる、さらに高いフィールドにおける3つの他のピークの組が存在する。13C{1H}NMRスペクトルは配位子中の炭素のそれぞれによる13のピークを示す。
【0202】
新規配位子を三塩化イリジウム(III)と反応させて、塩化物架橋二量体を得た。二量体の塩化物架橋は、2,4−ペンタンジオンとの反応により開裂され、以下に示すような所望のアセチルアセトネート錯体が得られる:
【0203】
【化30】
【0204】
2当量の配位子と三塩化イリジウム(III)を2−エトキシエタノール中で20時間還流することにより、塩化物架橋二量錯体が63%の収率で単離できた。錯体は非常に不溶性であり、NMRキャラクタライゼーションを妨害するが、質量分析には十分な可溶性であった。MALDIは、分子イオンについてのピークを示し、またモノマー種についてもピークを示し、これはおそらく塩化物架橋の開裂による分光法の条件下で形成されるのであろう。塩化物架橋は、2,4−ペンタンジオンまたはacacとの反応によっても開裂できる。二量体化合物、acacおよび塩基を2−エトキシエタノール中で20時間還流し、L2Ir(arac)を優れた収率で赤色結晶として得た。錯体は二量体よりもずっと可溶性であり、クロロホルム、塩化メチレンおよびトルエン中に溶解した。1H NMR分光分析は、芳香族プロトンの非常にはっきりしたピークを示し;それぞれはフリーな配位子より高いフィールドでよく分解されたカップリングを有する別個のシグナルを示す。これは、芳香族プロトンをデシールドすると予想される金属キレート化について予想される通りである。C、Nキレート化は、金属に配位するチオフェン炭素のプロトンシグナルが存在しないこと、およびイリジウムに配位し、カップリングする炭素についての13C{1H}NMRにおける二重項によっても確認される。acac配位子のメチレンおよびメチルプロトンにより、1H NMRにおいて、5.33および1.84ppmで一重項が観察される。元素分析は計算値とよく一致し、質量分析は待ち状態である。錯体のCH2Cl2溶液をヘキサンと積層し、溶媒をゆっくりと混合すると、X線分析に適した結晶が成長した。X線結晶構造のボールおよびスティックモデルを図13に示し、選択された結合長さ(オングストローム)および角度を以下の表に示す。
【0205】
【表4】
【0206】
錯体は、P2(1)/nスペース基(z=8)において結晶する。単位格子中の他の対称関連分子は明確にするために無視した。錯体は、2炭素原子間が最大角度(92.1(8)°)であり、同じ配位子上のCとN間が最小角度(78.9(8)°)である若干ねじれた八面体対称性を有する。配位子は、2個のN原子が互いにトランスに配列し、C原子がシスに配列するように結合する。結合長さは、そのようなIr(III)錯体について予想される範囲内である[J.Am.Chem.Soc.,2001,123,4304,Can.J.Chem.,1998,76,1571,J.Phys.Chem.B,2000,104,9118]。
【0207】
2−ブロモ−7−(4’,4’,5’,5’−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン)−9,9−ジオクチルフルオレンを標準的手順を用いて以下に示すようにして合成した(例えば、Can.J.Chem.,1998,76,1571参照)。
【0208】
【化31】
【0209】
新規ポリマー/オリゴマーをフルオレンモノマー間のSuzukiカップリング反応により合成し、以下に示すように鎖をイリジウム錯体との反応により伸張した:
【0210】
【化32】
【0211】
重合/オリゴマー化反応は、フルオレンモノマーの互いおよびイリジウム錯体とのカップリングを含む。反応は、Pd(OAc)2とPCy3配位子および塩基としてNEt4OHにより触媒された。ポリマー/オリゴマーを過剰のacacと反応させて、完全に錯体形成させ、メタノールからの沈殿により精製した。これをよく洗浄して、未反応モノマーを除去し、シリカを通して溶液を濾過することにより、パラジウム残留物を除去した。溶媒残留物をベンゼン溶液からの凍結乾燥により、ポリマー/オリゴマーから除去した。様々な比のフルオレンモノマーとイリジウムを用いて数回重合/オリゴマー化反応を行い、鎖長nは5〜20単位の範囲であった。
【0212】
スライドガラス上にスピンコートされたポリマー/オリゴマーの薄膜のPLスペクトルを図14に示す。
【0213】
ポリマー/オリゴマーについて様々なキャラクタライゼーション技術を使用し、これによりポリフルオレン鎖における繰り返し単位の数について若干異なる値が得られた。1H NMRは、芳香族プロトンについて7.90−7.55ppm、アルキル鎖について2.30−2.00、1.20−1.00ppmおよび0.90−0.70ppmでポリフルオレン鎖の広がったピークを示した。鎖長(n)を計算するために、8.86、8.48、6.86および6.44ppmでの2−(ベンゾ(b)チオフェニル)ピリジル配位子による広がったピークを、acacによる5.40および1.85ppmでのピークと共に使用した。これにより、反応化学量論とよく一致した値が得られる。出発イリジウム錯体についてのピークが観察されず、このことはポリマー中に完全に組み入れられたことを示唆することに注意。13C{1H}NMRは、ポリフルオレン鎖中の炭素原子のシグナルを示す。
【0214】
単一層デバイスにおける発光層としてポリマー/オリゴマーを使用した。PEDOT/PSS層をITOでコートされたスライド上にスピンコートすることによりLEDを製造した。ポリマー/オリゴマーを次いでスピンコートし、最後にカルシウムとアルミニウムの層をデバイスの最上層上に真空堆積させた。デバイスは6V付近で明るい赤色発光を生じた。エレクトロルミネッセンススペクトルを図15に示す。
【0215】
ポリマー/オリゴマーはエレクトロルミネッセンススペクトルを示し、これはフォトルミネッセンスと異なり、この場合においては650nm付近でのイリジウム錯体からの三重項発光が優勢である。どちらの場合においても420nm付近で小さな発光があり、これはポリフルオレンが発光すると考えられる場合である。上記合成に加えて、そのような赤色発光有機金属器は、本発明のポリマー/オリゴマーについて第1節において記載されたのと同じ方法でポリマー中に組み入れられ、有機金属錯体は、第1節において記載されたフェニルピリジン配位子を含む。
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1 本発明者らは、Lamanskyらにより見いだされたように、小分子においてドープされた場合にこれらのタイプの錯体についてさらに高い効率が得られることを承知している。
1 Monkman,A.P.;Burrows,H.D.;Hartwell,L.J.;Horsbutgh,L.E.;Hamblett,I.;Navaratnam,S.Phys.Rev.Lett.2001,86,1358
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光可能な新規物質;前記新規物質の製造法および前記新規物質の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光共役ポリマーは、情報技術に基づく次世代製品のための発光表示装置において用いられる技術的に新しい、重要な種類の物質である。ポリマー使用における主な関心事は、無機半導体および有機染料材料とは対照的に、フィルム形成物質の溶液処理を用いることによる、低コスト製造の領域にある。この10年間で、高効率物質または効率の高いデバイス構造のいずれかを開発することにより有機発光ダイオード(OLED)の発光効率を向上させるために多くの工夫がなされてきた。
【0003】
OLEDにおいて、電子およびホールは、相対する電極から注入され、組み合わされて2種の励起子;スピン対称三重項およびスピン非対称一重項(3:1の理論比)を形成する。一重項からの放射減衰は速いが(蛍光)、三重項からの放射減衰(燐光)は、スピン保存の要件により形式的には禁止される。
【0004】
まず、OLEDの最大内部量子効率が25%に限定されるという認識により、一重項と三重項の両方を燐光ドーパントに移すことが考えられる。このような蛍光体は理論的には有機物質からの一重項および三重項励起子の両方を受容でき、両方からルミネセンス、特にエレクトロルミネセンスを生じることができる。
【0005】
スピン独立性再結合モデルにより予想される3:1の三重項と一重項の比を問題とする最近の研究にもかかわらず、この考えはそれでもよく当てはまる。最近の研究は、小分子デバイスにおいて生じる三重項励起子の割合は実際75%に近いことを示唆し(Baldo,M.A.;O‘Brien,D.F.;Thompson,M.E.;Forrest,S.R.Phys.Rev.B1999,60,14422)、一方、電気的に励起された共役ポリマーにおいて、50%付近であるとされる(Cao,Y.;Parker,I.D.;Yu,G.;Zhang,C.;Heeger,A.J.Nature 1999,397,414およびWilson,J.S.;Dhoot,A.S.;Seeley,A.J.A.B.;Khan,M.S.;Kohler,A.;Friend,
R.H.Nature 2001,413,828)。ポリマーLEDにおいて三重項励起子が多量に生成するという証拠が磁気および光学的観察により得られている。
【0006】
過去数年において、半導体層中に燐光物質を混ぜることにより組み入れることが多くの人が研究してきた。燐光ドーパントおよび小分子または非共役ポリマーホスト、例えばポリビニルカルバゾールを組み入れた混合物をベースとするOLEDに関して良好な結果が得られている。共役ポリマーは、ホストとしても開示されている。例えば、量子効率1.1%を有するCN−PPP中Eu(dnm)3phenである。[Adv.Mater.
,1999,11,1349]。同様に、Phys.Rev.B2001,63,235206は、2,3,7,812,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)でドープされたポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)を開示している。
【0007】
ポリマーに関して成功しなかった理由の一つは、ポリマーの混合物はポリマーホスト中の三重項ハーベスターゲスト(harvester guest)の濃度に対して敏感であることである。従って、比較的低濃度でも、ゲストは相分離し得、凝集などの形態の変化および光散乱、電気化学的破壊およびルミネセンス消光の問題につながる。凝集は、三重項消光(二分子アニリエイションプロセス)に至り、さらに、励起子移動は主としてポリマー/ゲスト界面で起こり、相または凝集体内部のゲスト分子は達し得ないので、励起子移動の効率を低下させる。
【0008】
上記問題を考慮して、燐光、特にエレクトロホスホレセントポリマーOLEDに関して良好な効率が得られる予想は悲観的である。したがって、この分野では、ポリマーOLEDから最適な一重項発光(蛍光)を達成することに集中してきた。
【0009】
この点に関して、金属錯体を含有する発光ポリマーは当該分野において公知であることに注意すべきである。しかしながら、上記問題に合わせると、これらの物質は主に蛍光物質として作用し、燐光物質としては作用しない。そのような物質の例は、Macromol.Rapid.Commun.18,1009−1016(1997)に記載されている。
【0010】
Macromolecules 2002,35,3506−3513は白金(II)ポリインポリマー[−Pt(PBu3)2C≡CRC≡C−]nを開示している。これらの
物質において、有機金属基はポリマーまたはオリゴマーと結合していないことが分かる。
【0011】
Chem.commun.2002,784−785は、エレクトロホスホレセント発光デバイス用の非結晶性イリジウム錯体を開示している。これらの錯体は、有機金属基が結合しているポリマーまたはオリゴマーは含まない。
【0012】
Advanced Materials 1999,11,No.6,455−459ページは、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)が分岐している一連のPPVを開示している。これらの物質は、主に燐光である発光を生じることができない。
【0013】
WO02/31896は、ポリマー金属錯体を開示している。この文書に明記されているポリマーは共役していない。
【0014】
上記の事項を考慮して、良好な効率を有するポリマーOLEDを提供することが依然として必要とされていると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO02/31896
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Baldo,M.A.;O‘Brien,D.F.;Thompson,M.E.;Forrest,S.R.Phys.Rev.B1999,60,14422
【非特許文献2】Cao,Y.;Parker,I.D.;Yu,G.;Zhang,C.;Heeger,A.J.Nature 1999,397,414
【非特許文献3】Wilson,J.S.;Dhoot,A.S.;Seeley,A.J.A.B.;Khan,M.S.;Kohler,A.;Friend,R.H.Nature 2001,413,828
【非特許文献4】Adv.Mater.,1999,11,1349
【非特許文献5】Phys.Rev.B2001,63,235206
【非特許文献6】Macromol.Rapid.Commun.18,1009−1016(1997)
【非特許文献7】Macromolecules 2002,35,3506−3513
【非特許文献8】Chem.commun.2002,784−785
【非特許文献9】Advanced Materials 1999,11,No.6,455−459ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の目的は、OLEDにおいて用いられる新規発光物質を提供することにより少なくとも部分的にこの要求に取り組むことである。
【0018】
新規発光物質の製造方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0019】
新規発光物質の使用方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明は、ポリマーまたはオリゴマーおよび有機金属を含む発光できる物質であって、前記有機金属が前記ポリマーまたはオリゴマーと共有結合し、ポリマーまたはオリゴマーおよび前記物質中の有機金属の性質、位置および/または割合が、発光が主として燐光であるように選択されることを特徴とする物質を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】Ir(ppy−X)2(acac)錯体の吸収およびPLスペクトルを示す;
【図2】Ir(ppy−X)2(acac)のELスペクトルを示す;
【図3】Ir(ppy−X)2(acac)のI−L−V曲線を示す;
【図4】PF8中における錯体Nの混合物のPLスペクトルを示す。挿入図は、PF中5.0モル%の錯体LおよびNの混合物の三重項シグナルを示す。
【図5】ポリフルオレン中のIr(ppy−X)2(acac)のELスペクトルを示す;
【図6】Ir(ppy−X)2(acac)を組み入れたポリフルオレンのPLスペクトルを示す;
【図7】ポリフルオレンを組み入れたイリジウム錯体のELスペクトルを示す;
【図8】8.5V(下)から0.5Vずつ12.5V(上)まで上昇する運転電圧でのS2のELスペクトルを示す。
【図9】以下に記載するようなスキーム1を示す。
【図10】以下に記載するようなスキーム10を示す。
【図11】以下に記載するようなスキーム3を示す。
【図12】以下に記載するようなスキーム4を示す。
【図13】ビス(2−(4−ブロモ−2−ピリジル)ベンゾ(b)チオフェン)(acac)イリジウムのX線結晶構造を示す。
【図14】ビス(2−(4−ブロモ−2−ピリジル)ベンゾ(b)チオフェン)(acac)イリジウムを含む本発明の物質のフォトルミネッセンススペクトルを示す。
【図15】ビス(2−(4−ブロモ−2−ピリジル)ベンゾ(b)チオフェン)(acac)イリジウムを含む本発明の物質のエレクトロルミネッセンススペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者らは、主として燐光、特にエレクトロホスホレセンスを発することが可能な新規物質を提供することにより、良好な効率を有するポリマーOLEDに対する上記要求に取り組んできた。本発明において、「燐光」とは、三重項エネルギーレベルからの放射減衰による発光を意味する。
【0023】
本発明者らは、以前は無駄にされていた三重項励起子を回収することにより、上記要求に少なくとも部分的に取り組んできた。これは、ポリマーからの一重項励起子の回収を最適化することに集中している現行の支持されている研究とは完全に対立するものである。
【0024】
本発明の物質は、燐光添加物を組み入れたポリマー混合物よりも一般に優れている。これは、凝集および相分離などの形態変化に関する問題が本発明の物質では回避されるためである。本発明の物質の制御された構造は、前記物質中の有機金属の位置および移動性が空間的に制御されていることを意味する。この空間的制御により、ポリマーまたはオリゴマーと有機金属との間の相互作用の制御が可能になる。これは、次に、特に、ポリマーまたはオリゴマーと有機金属間の相乗効果のために、有機金属がポリマーまたはオリゴマーと共役的に結合する場合に、その励起状態における物質のエネルギーレベルのある程度までの操作を可能にする。
【0025】
本発明の物質は、溶液処理されるデバイス(solution-processed devices)において明るい燐光を与える点で有利である。さらに、ポリ(3−アルキルチオフェン)[Macromol.,1993,26,2954.]や、PPV誘導体[Chem.Mater.,1999,11,1302]などの共役されたポリマーの三重項状態を示唆する最近の報告は、ポリマーを分解させ得る一重項酸素の生成を敏感にさせる。
【0026】
さらに、有利には、本発明の物質は通常均質で、溶液処理可能である。
【0027】
前記ポリマーまたはオリゴマーおよび前記物質中の有機金属の性質、位置および/または割合は、発光が主として燐光であるように選択される。好ましくは、70%を超える発光が燐光であり、さらに好ましくは、90%を超える発光が燐光である。最も好ましくは、95〜100%の発光が燐光である。
【0028】
通常、前記有機金属基は、炭素−金属結合を含む。しかしながら、これは本発明において必須ではない。
【0029】
前記ポリマーまたはオリゴマーおよび前記物質中の有機金属の性質、位置および/または割合は、ポリマーまたはオリゴマーと有機金属のエネルギーレベルが互いに有利になるように選択すべきである。これは、その励起状態におけるポリマーまたはオリゴマーから前記有機金属への一重項および三重項の両者の移動を可能にするであろう。理論的には、ポリマーまたはオリゴマーからの一重項および三重項両方の100%移動が達成できる。主として燐光発光が次に起こる。これが起こるためには、一般に、必須ではないが、前記有機金属の一重項および三重項のエネルギーレベルは、対応するポリマーまたはオリゴマーの一重項および三重項エネルギーレベルより低くなければならない(Adachiら、Appl.Phys.Lett.,2001,79,2082)。
【0030】
前記有機金属がポリマーまたはオリゴマーと共役的に結合する場合、これはエネルギーレベルの混成(混合)を導く。高い三重項エネルギーレベル(T1)を有する配位子の低T1レベルを有するポリマーまたはオリゴマーに対する共役は、エネルギーがポリマーまたはオリゴマーから配位子へ移動するのを可能にする中間T1レベルを生じるので、このエネルギーレベルの混成は特に有利である。対照的に、ホストがドーパントよりも低いT1レベルを有するポリマーホストの燐光ドーパントとの混合物については不十分な性能が報告されている[Appl.Phys.Lett.2003,82(7)、1006]。
【0031】
ポリマーまたはオリゴマーから有機金属基への電荷の移動は、有機金属化合物とポリマーの従来技術の混合物に比べて本発明のポリマーにおいて向上され得る。
【0032】
三重項エネルギーレベルの混成は、燐光発光の色を調整するためにも有用である。この混成は、前記ポリマーまたはオリゴマーのT1レベルと前記有機金属基のT1レベルの間である中間エネルギーレベルの形成を含む。特に、ポリマーまたはオリゴマーの性質、ならびにポリマーまたはオリゴマーの共役の長さは、燐光発光の色の調整に使用できる。例えば、フェニルピリジン配位子を含む有機金属の発光をレッドシフトさせるためにポリマーまたはオリゴマー中の1以上のフルオレン繰り返し単位を使用できる。
【0033】
一般に、物質中の共役の程度の増大は、上記物質の三重項エネルギーレベルを低下させ得るといわれている。従って、本発明の物質の共役の程度の調整は、三重項エネルギーレベルを少なくとも部分的に調整する有用な方法であり得る。この点に関して、1つの実施形態では、ポリマーまたはオリゴマーの主鎖が部分的に共役しているのが好ましく、ある程度までポリマーまたはオリゴマーの三重項エネルギーレベルを調整するために実質的または完全に共役しているのがさらに好ましい。
【0034】
ポリマーまたはオリゴマーの共役を増大させるために、ポリマーまたはオリゴマーがアリールまたはヘテロアリール繰り返し単位、例えばフェニレンビニレン基のようなフルオレンまたはフェニル基を含むのが好ましい。したがって、1つの実施形態では、本発明の物質は好ましくはポリフルオレンまたはポリフェニレンを含み、最も好ましくはポリフルオレンホモポリマー/オリゴマーまたはコポリマー/オリゴマーのような高次ポリマー/オリゴマーを含む。
【0035】
1つの実施形態では、ポリマーまたはオリゴマー主鎖は、ホモポリフルオレンまたはホモポリフェニレンでない。
【0036】
別の実施形態では、ポリマーまたはオリゴマー主鎖は、基:
【0037】
【化8】
【0038】
を含み、この基は、*により示されるように主鎖において結合しなければならない。
【0039】
さらに別の実施形態では、ポリマーまたはオリゴマーがホモポリマーまたはホモオリゴマーでないのが好ましい。コポリマーまたはターポリマーまたはオリゴマーがこの実施形態では好ましい。
【0040】
好ましいアリールまたはヘテロアリール繰り返し単位は、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される基を含む。
【0041】
そのエネルギーレベルが有機金属に対して有利であり、その結果、物質が主として燐光、好ましくはエレクトロホスホレセンスを発することが可能になるならば、任意のポリマーまたはオリゴマーを使用できる。この目的のために、1つの実施形態では、本発明者らは、ポリマーまたはオリゴマーが好ましくは導体または半導体であり、さらに好ましくは半導体であることを見いだした。この実施形態では、好ましくは、ポリマーまたはオリゴマーは、前記有機金属の非存在下で、主として蛍光(すなわち一重項発光)、好ましくはエレクトロホスホレセンスを発することが可能である。
【0042】
場合によっては、物質の溶解度を向上させるためにポリマーまたはオリゴマーが可溶化基を含むのが好ましい。好ましい可溶化基は、アルキルおよびアルコキシ基を包含する。この点に関して、物質は溶液処理可能であることが好ましい。
【0043】
通常、有機金属は電荷の捕捉を回避するために中性であり;非常に安定で;好ましくは電導性である。重要なことは、有機金属は室温で主として三重項を発光する物質でなければならないことである。
【0044】
前記有機金属は、前記物質においてポリマーまたはオリゴマーと共有結合する。さらに、前記有機金属が前記ポリマーまたはオリゴマーと共役的に結合するのが好ましい。
【0045】
好ましくは、有機金属は、遷移金属またはランタノイド系を包含する。遷移金属は、好ましくは貴金属、さらに好ましくはイリジウム、ロジウム、レニウム、オスミウムまたは白金である。エネルギー移動のメカニズムは有機金属が貴金属である場合には、ランタノイド系とは異なることに注意する。このメカニズムにおける違いは、物質が主に燐光、好ましくはエレクトロホスホレセンスを発することが可能である限り、本発明において重要ではない。
【0046】
任意の公知の有機金属「蛍光体」またはその誘導体は、本発明において有機金属として使用されるための良好な候補であると言うことができる。この点に関して、白金、イリジウムおよびユーロピウム錯体は本発明においてかなり興味深い。
【0047】
有機金属における配位子の性質は、有機金属のポリマーまたはオリゴマーとの適合性をさらに最適化するために選択することができる。この目的のために、配位子は好適には次のカテゴリーから選択することができる:1)電子輸送物質、2)ホール輸送物質および3)(半)導体物質。配位子の選択において、可能な立体障害を考慮しなければならない。
【0048】
典型的には、これらのカテゴリーの物質は、好ましくは共役し、さらに好ましくは共役二座の配位子を含む。また、配位子は、配位子が金属と配位するために少なくとも1つの窒素原子を含むことが好ましい。
【0049】
好適には、電子輸送物質、ホール輸送物質または(半)導体物質は、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される。
【0050】
典型的には、本発明の物質は1より多くの有機金属を含有する。この場合において、物質中の有機金属の空間的分離はさらに重要になる。空間的分離は、以下にさらに詳細に記載するような製造法またはポリマーまたはオリゴマーの主鎖からぶら下がっている有機金属(the organometallic to be pendant from the backbone)を選択することにより調整することができる。この点に関して、前記物質は次の一般式I:
【0051】
【化9】
【0052】
(式中、MおよびM’はそれぞれ独立してアリールまたはヘテロアリール基を含む)
に示されるような構造を有する。
【0053】
物質の性質をさらに調整することを考慮して、物質における共役を阻害するためにスペーサー基を使用することができる。従って、1つの実施形態では、必要に応じて置換されていてもよいC1〜C10アルキレン基のような非共役スペーサー基が提供される。アルキレン基は、ポリマーまたはオリゴマーと有機金属間の距離を調整し、電荷の捕捉を向上させるために有用である。この点において、アルキル基およびアルキル−エーテル基は好適なスペーサー基である。1つの実施形態では、スペーサー基は好ましくはフェニレン基または−C=C−を含まない。
【0054】
ポリマーまたはオリゴマー主鎖からの有機金属の分離の間隔をある程度調整するためにスペーサー基の長さも使用することができる。従って、スペーサー基は好適にはCH2基の鎖であってもよい。
【0055】
一般式Iの好ましい物質において、MおよびM’は同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ独立して、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される基を含む。
【0056】
一般式Iにおいて、MおよびM’が結合して、ポリマーまたはオリゴマーの主鎖を形成すると理解される。この点に関して、ポリマーまたはオリゴマーは所望によりシード/ブロックまたはランダムポリマーまたはオリゴマーであってよい。
【0057】
一般式Iを有する物質の一例を以下に示す:
【0058】
【化10】
【0059】
一般式Iにおいて、望ましいならば、1以上の追加の、好ましくはアリールまたはヘテロアリール繰り返し単位(一般式Iに示すものとは異なるもの)がポリマーまたはオリゴマーの主鎖に含まれてもよいと理解するべきである。
【0060】
有機金属がポリマーまたはオリゴマー主鎖からぶら下がっていない場合、物質は、以下の一般式IIまたは一般式IIIに示すような構造を有し得る:
【0061】
【化11】
【0062】
一般式IIおよびIIIに示す物質において、物質中の有機金属の空間的間隔は、主に製造法により調整される。
【0063】
一般式IIIにおいて、ポリマー/オリゴマー単位および有機金属単位は、物質が主として燐光、好ましくはエレクトロホスホレセンスを発することが可能であるように所望により結合させることができる。一例を以下に示す:
【0064】
【化12】
【0065】
上記物質における使用に好適な有機金属は次の通りである:
【0066】
【化13】
【0067】
上記式において、Kは金属、好ましくは貴金属、さらに好ましくはイリジウム(Ir)である。
【0068】
本発明に関連して、有機金属は、適切な数の配位子により囲まれた金属と見なすことができる。通常、一般式IIおよびIIIにおいて、有機金属はその配位子の一つによりポリマーまたはオリゴマーの主鎖と結合される。しかしながら、有機金属が2つの配位子によりポリマーまたはオリゴマーの主鎖と結合する好ましい実施形態がある。
【0069】
金属の周りの配位子は、同一であっても、異なっていてもよい。この点に関して、一般式IIおよびIII中に示される物質中の有機金属繰り返し単位は、構造:
【0070】
【化14】
【0071】
(式中、Lは配位子、好ましくは二座の配位子である)を有する。LおよびL1配位子は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。1つの実施形態では、LがL1配位子(または1より多くのL1配位子が存在する場合、少なくともL1配位子の1つ)と同一でないのが好ましい。
【0072】
さらに、配位子L1(互いに同一であっても、異なっていてもよい)が金属の原子価を
満足するために組み入れられる。この点に関して、L1は二座の配位子または一座の配位
子であり、pはそれに応じて選択される。1つの態様では、好ましいL1基はシクロメタ
レート化したβ−ジケトネートを包含する。1つの態様では、LおよびL1は、LがL1よりも高いT1レベルを有するように選択することができる。これにより、L1から発光を得るために、エネルギーはLからL1へ伝達される。例えば、Lはフェニルピリジンであり
、L1は2−(2−ピリジル)−ベンゾ(b)チオフェン(btp)である。
【0073】
上記の繰り返し単位が誘導されるモノマーは、Lと直接結合した2つの反応性末端基を有すると理解される。
【0074】
シクロメタレート化された、イリジウム、ロジウムおよび白金錯体のような貴金属錯体、特に、例えば、白金ポリイン、白金−ポルフィリンおよびイリジウムトリス(フェニルピリジン)、ビス(フェニルイソキノリン)イリジウムアセチルアセトネート白金(II)(2−2’−(4’,5’ベンゾ)チエニル)ピリジネート−N,C3’))アセチルアセトネートなどのキレート錯体が好ましい。
【0075】
本発明の物質におけるポリマー/オリゴマーと有機金属の相対的割合は、物質が主として燐光、好ましくはエレクトロホスホレセンスを発することが可能であるように選択しなければならない。この点に関して、有機金属のレベルが高すぎると、燐光の消光につながる場合がある。逆に、有機金属の割合が低すぎると、ポリマーまたはオリゴマーからのエネルギーの全てを受けとらないことがある。一般的に、有機金属が物質中に0.5〜70質量%の範囲の量で存在するのが好ましく、1〜10質量%の量で存在するのがさらに好ましい。
【0076】
1つの実施形態では、望ましくは本発明の物質は次の4つの式のいずれかに示される式を有さない:
【0077】
【化15】
【0078】
【化16】
【0079】
本発明の物質は、OLEDにおいて、特にマトリックスディスプレイなどの大型表示装置に非常に有用である。さらに、本発明の物質は電気ポンプ型有機レーザーでの使用において有用である。
【0080】
本発明の物質は、周知のSuzuki重合により有利に得ることができる。全体的に、この方法は、ホウ酸、ホウ酸エステル(好ましくはC1〜C6)、ボラン(好ましくはC1〜C6)から選択される少なくとも2つの反応基を有するモノマーをジハロゲン官能基モノマーと重合すること、または、1つの反応性ホウ酸、ホウ酸エステル(好ましくはC1〜C6)、ボラン(好ましくはC1〜C6)基および反応性の1つのハロゲン官能基を、触媒の存在下で反応混合物中で互いに重合することを含む。この方法は、米国特許第5777070号に記載され、その類似法はWO00/53656に記載されている。あるいは、本発明のポリマーは、“Macromolecules”,31,1099−1103(1998)に記載されているようなYamamoto重合により調製することができ、ここにおいて、全てのモノマーは反応性ハロゲン基を有している。これらの文献の内容は本発明の一部として参照される。
【0081】
この点に関して、本発明の第二の態様の第一の実施形態は、本発明の第一の態様で特定される物質を得る方法であって:
(a)ポリマーまたはオリゴマーを形成するためにモノマーを反応させること(ここにおいて、各モノマーは、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される少なくとも2つの反応基を有し、各モノマーはアリールまたはヘテロアリール基を含む);および
(b)末端封止剤(end-capping reagent)を使用して工程(a)において形成されたポ
リマーまたはオリゴマーを停止させること(ここにおいて、上記末端封止剤は、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される1つの反応基を含み、(i)上記で特定された有機金属を含有するか、または(ii)金属錯化剤で処理された場合に金属と錯体を形成できるかのいずれかである);および
(c)末端封止剤が(ii)において特定したとおりである場合、停止させられたポリマーまたはオリゴマーを金属錯化剤で処理する
ことを含む製造方法を提供する。
【0082】
上記工程(b)(ii)において形成されたポリマーまたはオリゴマーの工程(c)における処理は、スキームVIIに示されるものであると考えられる:
【0083】
【化17】
【0084】
(式中、L、M’、m、L’およびrは上記定義の通りである)。
【0085】
本発明の第二の態様の第二の実施形態では、本発明の第一の態様で特定される物質を得る方法であって、
少なくとも一つの第一モノマーを、第一のモノマーとは異なる複数の第二のモノマーと反応させてポリマーまたはオリゴマーを形成することを含み、各モノマーがアリールまたはヘテロアリール基を含み、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される少なくとも2つの反応基を含み、(i)上記において特定された有機金属を含有するか、または(ii)金属錯化剤で処理された場合に金属と錯体を形成できるかのいずれかであり;
(c)第一のモノマーが(ii)において特定したとおりである場合、上記ポリマーまたはオリゴマーを金属錯化剤で処理することを含む製造方法が提供される。
【0086】
第一または第二の実施形態のいずれかにおいて、好適な反応性ハロゲン基は、臭素、塩素およびヨウ素を包含する。好ましい反応性ハロゲン基は臭素である。
【0087】
1つの態様では、XおよびX’の少なくとも1つは、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される反応基であり、最も好ましくは、XおよびX’の少なくとも一つはホウ酸基である。
【0088】
工程(b)(ii)において形成されるポリマーまたはオリゴマーの工程(c)における処理は、スキームVIIIに示される通りであると考えられる:
【0089】
【化18】
【0090】
(式中、L、M’、m、n、L、L1およびrは上記定義の通りである)。
【0091】
上記方法から、概して、有機金属は本発明の物質において末端封止基の一部として、またはモノマー残基の一部として最終的に含まれ得ることは明らかであろう。これらの2種の方法において、有機金属は最初に反応混合物に添加される場合、末端封止剤またはモノマー中に存在し得る。別法として、停止させられたポリマーまたはオリゴマーが形成された後に次の工程において導入することができる。物質中のポリマーまたはオリゴマーおよび有機金属の望ましい性質、位置および割合にしたがって適切な方法を選択することができる。
【0092】
本発明の第二の態様の方法は、一般式I、IIおよびIIIを有するポリマーの製造を可能にする。
【0093】
本発明の第二の態様の実施形態では、配位子は場合によっては反応中に金属から意図せずにはずれることが判明している。従って、これらの方法においてはずれた任意の配位子を金属に戻すさらなる工程を含むことが好ましい。特に、出発有機金属基がアセチルアセトネートのような1以上のジケトンを含む場合、本発明のポリマーは、好ましくは有機金属基の重合に続いて、塩基の存在下で、ジケトンで処理される。
【0094】
驚くべきことに、金属それ自体は、Suzuki反応中にLからはずれない。
【0095】
本発明の第二の態様の第一の実施形態では、末端封止剤は一般式X、XIまたはXIIに示されるような式を有するのが好ましい。
【0096】
【化19】
【0097】
Xが上記で特定したような反応基である場合、Lは金属錯化剤で処理された場合に金属と錯体を形成できる配位子である。
【0098】
式XIにおいてXが反応性ハロゲン基である場合、Xは有機金属の配位子と結合する。この点に関して、Xは有機金属において金属と結合しない。
【0099】
好適な反応性ハロゲン基としては、臭素、塩素およびヨウ素が挙げられる。好ましい反応性ハロゲン基は臭素である。
【0100】
1つの態様では、Xが、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される反応基であるのが好ましく、Xがホウ酸基であるのが最も好ましい。
【0101】
本発明の第二の態様の第二の実施形態では、第一のモノマーが式IV、VまたはVIに示されるような一般式を有するのが好ましい。
【0102】
【化20】
【0103】
式Vにおける有機金属が炭素−金属結合を含む場合;XおよびX’はそれぞれ、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から独立して選択される反応基であり、Lは、金属錯化剤で処理された場合に金属と錯体を形成できる配位子であり;p≧0であり;Mはアリールまたはヘテロアリール基を含む基である。
【0104】
好適な反応性ハロゲン基としては、臭素、塩素およびヨウ素が挙げられる。好ましい反応性ハロゲン基は臭素である。
【0105】
1つの態様では、式IV、VおよびVIにおいてXおよびX’の少なくとも一つが、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される反応基であるのが好ましく、XおよびX’の少なくとも一つがホウ酸基であるのが最も好ましい。
【0106】
式IVにおいて、1つの実施形態では、有機金属が炭素−金属結合を含むことが好ましい。
【0107】
式Vにおいて、特にXおよびX’がどちらも反応性ハロゲン基である場合、XおよびX’は好ましくは炭素原子と直接結合する。
【0108】
さらに、式Vにおいて、芳香族基がそれ自体金属と直接結合する場合、XおよびX’は好ましくは芳香族基と直接結合する。この点に関して、芳香族基がアリール単環であるのがさらに好ましい。
【0109】
式Vにおいて、1つの実施形態では、XおよびX’は有機金属中の同じ配位子に結合する。
【0110】
Xおよび/またはX’がフェニル環と結合する式IVおよびVにおいて、好ましくはXおよび/またはX’は有機金属中の金属とパラ位では結合しない。さらに好ましくは、Xおよび/またはX’は有機金属中の金属にメタ位で結合する。
【0111】
好ましくは、Mは、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される基である。
【0112】
好ましくは、直鎖ポリマーを得るために第一モノマーはわずか2つの反応基を有する。しかしながら、2以上の反応基を有することにより、架橋を達成してもよい。
【0113】
本発明の物質の構造をさらに調整するために、モノマーの配列を調整するように反応基の性質を選択することができる。1つの実施形態では、各モノマーは独立して、(a)2つの反応性ハロゲン基;または(b)ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基から独立して選択される2つの反応性ボラン誘導体基のいずれかを含有するように選択できる。他の実施形態において、各モノマーは、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基から独立して選択される1つの反応性ホウ素誘導体基と、1つの反応性ハロゲン基とを含有するように選択できる。
【0114】
上記のように、本発明の物質は、OLEDにおいて有用である。従って、本発明の第三の態様は、基体および上記基体上に支持された本発明の第一の態様の物質を含む構成の光学デバイスを提供する。
【0115】
好ましくは、光学デバイスは、エレクトロルミネッセントデバイスを含む。エレクトロルミネッセントデバイスの好ましい構造は、正の電荷キャリアを注入するための第一の電荷キャリア注入層、負の電荷キャリアを注入するための第二の電荷キャリア注入層、前記電荷キャリア注入層間に位置し、本発明の第一の態様の物質を含む光を生成するための発光層を含む。
【0116】
本発明の第四の態様にしたがって、本発明の第一の態様の発光物質を含む電気ポンプ型有機レーザーも提供される。
【0117】
本発明を添付の図面を参照してさらに詳細に記載する。
【0118】
有機金属中の配位子(L)となる可能性のある電子輸送物質の例を以下に示す:
【0119】
【化21】
【0120】
上記合成経路は、文献に記載されている合成経路から組み立てられている。a)H2O
/EtOH(1:1)中100℃で10分。b)濃H2SO4中Ag2SO4の存在下、20℃で1時間。c)濃HCl中70℃で2時間。d)H2O/EtOH中100℃で3時間
。e)H2O/EtOH中100℃で3時間。
【0121】
有機金属中の配位子(L)となる可能性のあるホール輸送物質の例を以下に示す:
【0122】
【化22】
【0123】
上記反応は、Pd(acetate)/P(tBu)3およびKOtBuの存在下、90℃で18時間、トルエン中で行った。これらの配位子は、ジアリールアミン単位のホール輸送能力をフェニルピリジル単位の結合能力と組み合わせるという思想で設計された。塩基の存在下でのパラジウムカップリングによりトリアリールアミンを合成した。
【0124】
有機金属中の配位系(L)の一部としての半導体物質(例えば、フルオレンまたはフェニレン−ビニレン)の例を以下に示す:
【0125】
【化23】
【0126】
a)0℃でHClをp−ブロモアニリンに添加し、結果として得られる混合物を次いでピリジン中40℃で18時間撹拌した。
b)イソアミルニトレートの存在下で24時間還流。
c)Pd(PPh3)4およびEt4NOHの存在下、THF中で18時間還流。
d)Pd触媒系;P(o−tolyl)3および塩基と組み合わせたPd(acetate)2またはPd2(dba)3;K2CO3またはEt3Nの存在下、CH3CN(またはDMF)中で数時間80℃で加熱。
【0127】
臭素化されたフェニル−ピリジンおよびテニル−ピリジン配位子を合成して、Suzukiカップリングを用いてフルオレン−ボロネートに直接カップリングさせた。配位子に結合したフルオレンを有するモデル化合物もまた合成された。
【0128】
これらのモノマーのいくつかの錯体を以下に示す:
【0129】
【化24】
【0130】
a)反応混合物を2−エトキシエタノール/H2O(10:3)中3〜8時間、110〜
130℃に加熱。
b)反応混合物を2−エトキシエタノール中、アセチルアセトンおよびNa2CO3の存在下、110〜130℃に加熱。
c)そのままの反応混合物(溶媒なし)をAgCF3SO3の存在下で100℃まで加熱。
【0131】
第1節:フェニルピリジン配位子
この節において、フェニルピリジン配位子L、特に、Applied Physics
Letters(1999),75(1)、4−6に開示されているようなフェニルピリジン配位子を含むイリジウム錯体を含む有機金属基に関して本発明を説明する。イリジウムを組み入れたポリフルオレンを3つの異なる経路により試みた。
(1)第一の場合において、フェニルピリジン配位子を以下に記載するように錯体形成前にポリフルオレン中に組み入れた:
【0132】
【化25】
【0133】
500mg(0.78mmol)の2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレン、405.5mg(0.740mmol)の2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよび17.1mg(0.078mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)の3mlトルエン中溶液に、4mg(0.004mmol)Pd(PPh3)4および2.5mlの(3.1mmol)Et4NOHを添加した。結果として得られる混合物を24時間100℃で撹拌し
た。3時間後、5mlのトルエンを添加して、沈殿したオリゴマーを溶解させるか、または混合物の粘度を増大させた。混合物を20℃に冷却した後、混合物をゆっくりと大過剰のMeOH中に移し、ポリマーを白色(若干緑がかった)繊維状固体として沈殿させた。固体をフィルター上に集め、50mlのトルエン中に再溶解させ、その後、シリカのショートカラム上で濾過した。濾液をMeOH中に移し、その結果、ポリマーが灰白色繊維として再沈殿した。溶媒を減圧下で除去した。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.72(br d、2H*12%;CH−N)、8.13(br d、2H*12%,CH−CH−CH−N)、7.5−7.9(br、12H、ArH),2.0−2.3(br、4H、CH2−C)、1.0−1.3(br、12H、CH2)、0.7−0.9(br、10H、CH3+CH2)。GPC:Mp48586、Mn18618、Mw67120、多分散性3.6。
【0134】
次に、次の方法を用いてイリジウムを導入した:200mg(0.159mmolの2−(6−p−ピリジル−フェニル)を含有)および283mg(0.80mmolのイリジウムを含有)の混合物を、5mlのトルエン、3mlのH2Oおよび3mlの2−エト
キシエタノールの溶媒混合物中に移した。結果として得られる透明暗紫色混合物を90℃に加熱すると、数時間後にポリマー生成物が沈殿しはじめる。24時間後、水相はわずかしか着色せず、反応混合物を20℃まで冷却した。10mlのH2Oを混合物に添加する
と、ポリマーがさらに黄色繊維として沈殿した。全混合物を大過剰のMeOHに移し、沈殿したポリマーを次いでフィルター上に集め、水、メタノールおよびアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量:161mg。
【0135】
【化26】
【0136】
第二の方法において、0.05当量の臭素化されたイリジウム化合物を、ポリフルオレンのSuzuki重合において共重合させた。この方法は次の通りである:500mg(0.779mmol)の2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレン、405.5mg(0.740mmol)の2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよび29.5mg(0.0389mmol)の(Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)から出発し
て、ポリマーを合成した。
【0137】
【化27】
【0138】
第三の経路において、フェニルピリジンを含むポリフルオレンを銀塩の存在下で[Ir(PhPy)2μCl]2と反応させた。この方法は次の通りである:180mg(0.143mmolの2−フェニルピリジンと当量)のポリフルオレン、77mg(0.072mmol)の[Ir(2−フェニルピリジン)2μCl]2および37mg(0.143mmol)のAgCF3SO3の5mlトルエン中の懸濁液を100℃で18時間加熱した。結果として得られる混合物をショートシリカカラム上で直接濾過し、トルエンで溶出した。このフラクションから溶媒を除去すると、灰白色ポリマーが得られた。カラムをさらにトルエン:MeOH(90:10)を用いて溶出した。これより、減圧下でこのフラクションから溶媒を除去すると暗緑色ポリマーが得られた。
【実施例】
【0139】
実験
本発明を説明するために、次のフルオレニルセグメントをビスシクロメタレート化イリジウム蛍光物質の配位子の4位に結合させることについて研究を行った。新規蛍光物質のエネルギーレベルが、モノフルオレニル置換基を結合させた後のポリフルオレンと相補的であることが示される。さらに、さらなるフルオレニルセグメントを蛍光物質に段階的に添加することにより、OLEDデバイス構造における発光層としてのその性能が徐々に向上する。蛍光物質に対する重付加を、ポリフルオレニル蛍光物質ハイブリッド系の開発にさらに広げた。
【0140】
実験
一般的情報
全ての反応および操作を、アルゴンまたは窒素雰囲気下で、標準的Schlenk技術またはグローブボックスを用いて通常通りに行った。アセトニトリルおよびジクロロメタンをCaH2から蒸留し、トルエンおよびTHFをNaから蒸留した後、使用した。水、グリセロール、2−エトキシエタノールおよび20%Et4NOHの水溶液を使用前に数時間脱気した。他の試薬および化学物質はすべて試薬等級であり、商業的供給業者から入手したまま使用した。シリカゲル[Merck 9385 Kieselgel 60(230−400ASTM)]を使用してカラムクロマトグラフィーを行った。Merck Kieselgel 60 F254シリカゲルであらかじめコートされた0.25mm厚さのプレート上でTLCを行った。Bruker DPX−250(250MHz)、Bruker DRX−400(400MHz)およびBruker DRX−500(500MHz)デバイスでCDCl3またはC6D6を内部重水素ロックとして使用して、1H NMRスペクトルを記録した。ケミカルシフトはTMSに対するppmであり、次のように示す:s(一重項)、d(二重項)、tr(三重項)、q(四重項)、br(ブロード)、m(多重項)、dd(二重二重項)、dtr(二重三重項)など。内部重水素ロックおよびプロトンデカプリングを用いて、Bruker DPX−250(62.5MHz)およびBruker DRX−400(100MHz)およびBruker DRX−500(121MHz)デバイスで13C NMRスペクトルを記録した。シグナルの多重度をAPT(結合したプロトン試験)実験により決定した。スウォンジ大学の質量分光測定サービスにより質量スペクトルを記録した。電子衝撃(IE)および化学イオン化(CI)低分解能スペクトルをACE条件下、VGモデル12−253で行った。+VG
ZAB−EデバイスでEIおよびCIの精密な質量測定を行った。Buchi 510融点デバイスを用いて融点を測定し、補正していない。
【0141】
A(2−(4−ブロモフェニル)ピリジン)1,2の合成
0℃で、30ml H2O中の16.84g(244mmol)NaNO2の溶液を、20g(116.4mmol)のp−ブロモアニリンの40ml濃HCl中懸濁液にゆっくりと添加した。結果として得られる混合物を5℃未満で1時間撹拌し、続いて注意深く500mlのピリジン中に注いだ。結果として得られる透明褐色反応混合物を40℃で4時間撹拌した。200gのNa2CO3を混合物に添加し、スラリーを18時間40℃で撹拌した。有機層をジクロロメタン中に溶解させ、水で抽出し、MgSO4で乾燥させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(トルエン:MeOH95:5)により精製した。収量:8.4g(33%)、主な副生成物としてかなりの量の7−(p−ブロモフェニル)ピリジンを得た。1H NMR(500MHz、CDCl3):δ=8.68(d、3J=4.3Hz、1H;CH−N)、7.88(d、3J=8.4Hz、2H;CH−CH−Br)、7.75(d、3J=7.5Hz、1H;CH−CH−CH−N)、7.70(d、3J=7.8Hz、1H;CH−CH−CH−CH−N)、7.60(d、3J=8.4Hz、2H;CH−Br)、7.24(br、1H、CH−CH−N)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=156.2(CN)、149.8(CH−N)、138.3(C−CN)、136.8(CH−CH−CH−N)、131.9、128.5(Ar−CH)、123.4(CBr)、122.4(CH−CN)、120.2(CH−CH−N)。精密質量(IE)m/z:233.9920[M+H](計算値233.9918(79Br))。C11H8BrN:計算値C56.44、H3.44、N5.98。測定値C56.24、H3.35、N5.90。
【0142】
B 2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
−78℃で、1.7M(12.5mmol)のtBuLiのヘキサン溶液7.3mlを、2.7g(4.99mmol)の2−ブロモ−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンのTHF溶液にゆっくりと添加した。1時間後、1.2g(6.48mmol)の2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを緑色溶液に−78℃で添加し、その後、反応混合物を室温まで温めた。結果として得られる赤色溶液は室温で18時間撹拌すると無色になった。ジクロロメタン/水で生成物を抽出し、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン中3%CDM)により精製した。収量1.2g(41%)の生成物を無色油状物として得た。1H NMR(500MHz、CDCl3):δ=7.80(d、3J=7.5Hz、1H;ArH)、7.75(s、1H;ArH)、7.70(d、3J=7.5Hz、2H;ArH)、7.48(d、3J=7.5Hz、1H;ArH)、7.46(s、1H、ArH)、1.97(tr、4H、3J=8.3Hz、CH2−CH2−C)、1.39(s、12H、CH3−C(O))、1.05−1.15(mp、20H、CH2)、0.81(t、3J=7.1Hz、6H;CH3−CH2)、0.61(mp、4H;CH2)、0.31(s、9H、CH3−Si)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=150.4(C−C−CH2)、150.1(C−C−CH2)、144.1、141.5、139.6(C)、133.6、131.7、128.9、127.6、119.3、119.0(CH)、83.7(CO)、55.0(C−CH2)、40.0(C−CH2)、31.7、30.0、29.1、29.0(CH2)、24.9(CH3−CO)、23.6(C−CH2−CH2)、22.6(CH3−CH2)、14.0(CH3−CH2)、0.9(CH3−Si)。精密質量(IE)m/z:588.4534(計算値588.4534)、フラクション:475.4(m;[M−(C8H17)]+、363.3(w;[M−(C8H17)2]+、333.3(m;[M−(C8H17+CH3+C6H12BO2)]+)。C38H71BO2Si:計算値C77.52、H10.44。測定値C77.35、H10.33。
【0143】
C 2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
−78℃で、1.6M(7.66mmol)のnBuLiのヘキサン溶液を、4g(7.30mmol)の2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンの50mLジエチルエーテル溶液にゆっくりと添加した。透明黄色溶液が得られるまで結果として得られる乳白色溶液を0℃に冷却し、これを−78℃に再び冷却した。1.49g(8.03mmol)の2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを添加し、結果として得られる混合物は1時間後白濁した。続いて混合物を室温にまで冷却し、18時間攪拌した。混合物を水で急冷した後、有機層をMgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン、Rf:0.5)を用いて粗生成物を精製した。収量:2.2g(51%)。1H NMR(500MHz、CDCl3):δ=7.80(d、3J=7.6Hz、1H;ArH)、7.72(s、1H;ArH)、7.66(d、3J=7.5Hz、1H;ArH)、7.57(d、3J=7.5Hz、1H;ArH)、7.47(s、1H、ArH)、7.45(d、3J=7.5Hz、1H;ArH)、1.97(mp、2H、CH2−CH2−C)、1.91(mp、2H、CH2−CH2−C)、1.39(s、12H、CH3−C(O))、1.02−1.18(mp、20H、CH2)、0.82(t、3J=7.1Hz、6H;CH3−CH2)、0.56(mp、4H;CH2)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ153.3、149.2(C−C−CH2)、142.7、139.7(ArC)、127.9(非常に弱い)(C−B)、133.6、129.6、128.6、126.0、121.2、118.8(CH)、83.5(CO)、55.2(C−CH2)、39.9(C−CH2)、31.5、29.6、28.91、28.88(CH2)、24.6(C−CH3)、23.4(C−CH2−CH2)、22.3(CH2−CH3)、13.8(CH2−CH3)。C35H52BBrO2:計算値C70.59、H8.80;測定値C70.25、H8.47。
【0144】
D 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレンの合成
500mg(1.12mmol)の2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジヘキシルフルオレン、261mg(1.12mmol)の2(4−ブロモフェニル)ピリジン、0.5mg(0.01mmol)のPd(PPh3)4、2mlの20%Et4NOH水溶液の4mlトルエン中における混合物を90℃で18時間撹拌した。透明な褐色−オレンジ色混合物がジクロロメタン中に得られ、水で洗浄し、最後にMgSO4で乾燥させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM)により精製した。収量:255mg(47%)。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.73(d、3J=4.9Hz、1H;CH−N)、8.12(d、3J=8.2Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.80−7.78(mp、4H、ArH)、7.73(d、3J=7.8Hz、1H;CH−CH−CH−N)、7.64(d、3J=7.9、1H;CH−CH−N)、7.62(br、1H;CH−CH−N)、7.36−7.33(mp、3J=1.0Hzおよび7.5Hz、3H;ArH)、7.25(mp、2H、ArH)、2.00−2.04(dd、3J=5.0Hzおよび5.2Hz、4H;CH2−C)、1.05−1.15(mp、12H、CH2)、0.78(t、3J=6.7Hz、6H;CH3)、0.68(mp、4H;CH2)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=156.8(CN)、151.2、150.8(C−C−CH2)、149.5(CH−N)、142.0、140.5、139.1、137.8(ArC)、136.5(CH−CH−CH−N)、127.2、127.0、126.8、126.5、126.0、122.7、121.8、121.1、120.2、119.7、119.5(CH)、54.9(C−CH2)、40.2(C−CH2)、31.2、29.5(CH2)、23.5(C−CH2−CH2)、22.3(CH3−CH2)、13.7(CH3)。精密質量(IE):488.3317[M+H](計算値488.3317)、フラクションm/z:402.3(s、[M−(C6H13)]+):332.2(s、[M−(C6H13)−(C5H11)]+)318.2(s、[M−(C6H13)2]+)。C36H41N:計算値C88.65、H8.47、N2.87;測定値C88.37、H8.40、N3.11。
【0145】
E 2−(6−p−ピリジル−フェニル末端基を一端に含有する9,9−ジ−n−オクチルフルオレンのSuzuki重合
500mg(0.56mmol)の2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−7−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよび13.1mg(0.056mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)の5mlトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの20%(3.1mmol)Et4NOH水溶液を添加した。結果として得られる混合物を110℃で24時間撹拌した。混合物を20℃に冷却した後、混合物をゆっくりと大過剰のMeOHに移し、ポリマーを黄白色固体として沈殿させた。固体をフィルター上に集め、50mlのトルエン中に再溶解させ、続いてシリカのショートカラム上で濾過した。濾液をMeOH中に入れると、灰白色繊維としてポリマーが再沈殿した。溶媒を減圧下で除去した。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.75(br d、2H*12%;CH−N)、8.13(br d、2H*12%、CH−CH−CH−N)、7.5−7.9(br、6H、ArH)、2.0−2.3(br、4H、CH2−C)、1.0−1.3(br、20H、CH2)、0.7−0.9(br、10H、CH3+CH2)。Mw(NMR):5000(12−mer)。
【0146】
F 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
243mg(1.021mmol)の2−(4−ブロモフェニル)ピリジン、600mg(1.021mmol)の2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの10mLのトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの20%(3.1mmol)Et4NOH水溶液を添加した。この二相反応混合物(two-phase reactionmixture)を48時間110℃で撹拌し、その後、ジクロロメタン/水で抽出した。MgSO4を用いて有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン、Rf:0.47)により精製した。550mg(88%)の生成物を灰白色固体として得た。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.73(d、3J=4.9Hz、1H;CH−N)、8.12(d、3J=8.3Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.80−7.78(mp、4H、ArH)、7.73(d、3J=4.5Hz、2H;CH−CH−CH−N)、7.69(d、3J=4.6Hz、2H;CH−CH−N)、7.63(d、3J=8.0Hz、2H;CH−CH−N)、7.25(s、1H;ArH)、2.01(tr、3J=8.2Hz、4H;CH2−C)、1.05−1.15(mp、20H、CH2)、0.78(t、3J=6.6Hz、6H;CH3)、0.70(mp、4H;CH2)、0.32(s、9H;CH3−Si)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=156.8(CN)、151.5、149.9(C−C−CH2)、149.5(CH−N)、142.0、141.1、140.4、139.2、138.9、137.8(ArC)、136.5(CH−CH−CH−N)、131.6、127.4、127.2、127.0、125.7、121.8、121.2、120.1、119.8、118.8(CH)、54.9(C−CH2)、39.9(C−CH2)、31.5、28.9、28.8(CH2)、29.7(C−CH2−CH2−CH2)、23.5(C−CH2−CH2)、22.3(CH3−CH2)、13.8(CH2−CH3)、−1.1(Si−CH3)。精密質量(IE):[M+H]616.4340(計算値616.4338)。C43H57NSi:計算値C83.84、H9.33、N2.27;測定値C83.99、H9.41、N2.33。
【0147】
G 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
1.5mlの1.0MのICIのMeOH溶液を、500mg(0.813mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの5mLジクロロメタン溶液にゆっくりと添加した。結果として得られる暗色溶液を2時間室温で撹拌し、その後、反応混合物を大過剰のNa2S2O3水溶液で急冷した。混合物を水で抽出し、MgSO4を用いて有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:Rf:0.36)を用いて生成物を精製した。450mg(85%)の生成物を高青色蛍光性を示す無色固体物質として得た。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.73(d、3J=4.7Hz、1H;CH−N)、8.12(d、3J=8.5Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.80−7.73(mp、4H、ArH)、7.68(s、2H、ArH)、7.65(d、3J=5.0Hz、2H;CH−CH−N)、7.60(s、2H;ArH)、7.48(d、1H;3J=8.4Hz、ArH)、2.05−1.94(mp、4H;CH2−C)、1.05−1.25(mp、20H;CH2)、0.81(t、3J=6.6Hz、6H;CH3)、0.70(br m、4H;CH2)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=157.0(CN)、153.4、150.9(C−C−CH2)、149.8(CH−N)、142.0、140.4、140.0、139.6、138.2(ArC)、136.8(CH−CH−CH−N)、135.9、132.1(C−CI)127.5、127.3、126.1、122.1、121.5、121.3、120.4、120.1(CH)、92.6(CI)、55.5(C−CH2)、40.2(C−CH2)、31.7、29.9、29.2、29.1(CH2)、23.7(C−CH2−CH2)、22.6(CH3−CH2)、14.1(CH3)。精密質量(IE)m/z:669.2825[M]+(計算値669.2832)フラクション:543.6(m;[M−I]+)。318.4(m;[M−(C8H17)−I]+)。C40H48IN:計算値C71.74、H7.22、N2.09;測定値C72.34、H7.20、N2.12。
【0148】
H 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
400mg(0.60mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレン、362mg(0.60mmol)の2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−9,9−ジヘキシルフルオレンの10mLトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの20%(3.1mmol)Et4NOH水溶液を添加した。この二相反応混合物を48時間110℃で撹拌し、その後、ジクロロメタン/水を用いて抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを用いて粗生成物を精製した。収量450mg(86%)。1H NMR(400MHz、CDCl3):δ=8.74(d、3J=4.9Hz、1H;CH−N)、8.13(d、3J=4.6Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.84−7.77(mp、6H、ArH)、7.74(d、3J=6.0Hz、2H、CH−CH−CH−N)、7.69−7.63(mp、6H;ArH)、7.39−7.30(mp、3H;ArH)、7.27−7.24(mp、1H(CDCl3ピークにより不明瞭;ArH)、2.11−2.02(mp、8H、C−CH2)、1.18−1.09(mp、32H、CH2)、0.81−0.74(mp、20H、CH2−CH3)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=157.1(CN)、151.8、151.4、151.0(C−C−CH2)、149.8(CH−N)、142.2、140.8、140.6、140.42、140.39、140.3、139.9、139.3、138.1(ArC)、136.8(CH−CH−CH−N)、127.5、127.3、126.9、126.8、126.1、126.0、122.1、122.0、121.44、121.38、120.4、120.0、119.8、119.7(CH)、55.3、55.1(C−CH2)、40.4(C−CH2)、31.7、31.5、30.0、29.7、29.18、29.16(CH2)、23.8、23.7(C−CH2−CH2)、22.6、22.5(CH3−CH2)、14.03、13.99(CH3)。精密質量(IE)875.6367[M]+(計算値875.6369)フラクションm/z:762.3(m;[M−(C8H17)]+)、650.4(m;[M−(C8H17)2]+)。C65H81N:計算値C89.09、H9.32、N1.60;測定値C88.60、H9.25、N1.52。
【0149】
J(Iを経由して) 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
300mg(0.448mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレン、320mg(0.544mmol)の2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの10mLトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの20%(3.1mmol)Et4NOH水溶液を添加した。この二相反応混合物を24時間110℃で撹拌し、その後、ジクロロメタン/水を用いて抽出した。有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン、Rf:0.30)を用いて粗生成物を精製した。392mg(88%)の生成物Iを無色固体として得た。これを次いで5mlのジクロロメタン中に溶解させ、5mLのICIのMeOH中1.0M溶液を添加した。結果として得られる暗色溶液を2時間室温で撹拌し、その後、反応混合物を大過剰のNa2S2O3水溶液で急冷した。反応混合物を続いて抽出した(ジクロロメタン/水)。MgSO4で有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン)を用いて精製した。収量355mg(85%)。1H NMR(400MHz、CDCl3):δ=8.74(d、3J=4.6Hz、1H;CH−N)、8.13(d、3J=8.4Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.82−7.78(mp、5H、ArH)、7.75(d、3J=7.9Hz、2H、CH−CH−CH−N)、7.69−7.64(mp、5H;ArH)、7.60(d、2H;ArH)、7.48(d、1H;CH−CH−N)、7.26−7.24(mp、2H(CDCl3ピークにより不明瞭;ArH)、2.17−1.94(mp、8H、C−CH2)、1.24−1.09(mp、40H、CH2)、0.90−0.71(mp、20H、CH2−CH3)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=157.0(CN)、153.4、151.83、151.77、150.9(C−C−CH2)、149.8(CH−N)、142.1、141.1、140.5、140.4、140.3、140.1、139.4、139.3、138.1(ArC)、136.8(CH−CH−CH−N)、135.9、132.1(C−CI)、127.5、127.3、126.24、126.16、126.1、122.1、121.4、121.3、120.4、120.1、120.0(CH、ぴったりオーバーラップすることにより不明瞭となった3CHシグナル)、92.5(CI)、55.5、55.3(C−CH2)、40.4、40.2(C−CH2)、31.77、31.76、29.19、29.17(CH2)、29.99、29.93(C−CH2−CH2−CH2)、23.8、23.7(C−CH2−CH2)、22.60、22.58(CH3−CH2)、14.08、14.05(CH3)。精密質量(IE)[M+H](計算値);フラクションm/z:1058.7(s、[M]+)、944.4(m;[M−(C8H17)]+)。C69H88IN:計算値C=78.30、H=8.38、N=1.32;測定値C=78.02、H=8.31、N=1.35。
【0150】
K 2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−[2−(9,9−ジヘキシルフルオレニル))]−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
300mg(0.287mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン、225mg(0.373mmol)の2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレンの5mLトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの20%(3.1mmol)Et4NOH水溶液を添加した。この二相反応混合物を24時間110℃で撹拌し、その後、ジクロロメタン/水を用いて抽出した。有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ/ジクロロメタン:ヘキサン1:1、Rf:0.24)を用いて粗生成物を精製した。収量190mg(52%)の無色の高青色蛍光固体。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.75(d、3J=4.6Hz、1H;CH−N)、8.14(d、3J=8.4Hz、2H;CH−C−C(CH)−N)、7.86−7.73(mp、10H、ArH)、7.74−7.62(mp、10H、ArH)、7.40−7.31(mp、3H、ArH)、7.28−7.23(mp、1H(CDCl3ピークにより不明瞭)、ArH)、2.17−2.02(mp、12H、C−CH2)、1.25−1.01(mp、52H、CH2)、0.90−0.64(mp、30H、CH2−CH3)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=157.1(CN)、151.8、151.4、151.0(C−C−CH2)、149.7(CH−N)、142.2、140.8、140.6、140.5、140.47、140.44、140.39、140.30、139.95、139.90(ArC)、136.7(CH−CH−CH−N)、127.4、127.3、126.8、126.1、126.0、122.9、121.44、121.40、120.38、120.0、119.9、119.8、119.7(CH)、55.33、55.31、55.1(C−CH2)、40.3(C−CH2)、31.7、31.4、30.0、29.7、29.2(CH2)、23.9、23.8(C−CH2−CH2)、22.6、22.5(CH3−CH2)、14.01、13.97(CH3)。質量(IE)m/z;1265[M+H]+。C94H121N:計算値C89.25、H9.64、N1.11;測定値C89.25、H9.71、N1.21。
【0151】
[Ir(2−(4−ブロモフェニル)ピリジン)2μ−Cl]23の合成
500mg(1.42mmol Ir)IrCl3・xH2Oおよび1.4g(6.37mmol)の2(4−ブロモフェニル)ピリジンの50ml2−エトキシエタノール溶液および15mlのH2Oの混合物を110℃に18時間加熱した。1時間後に黄色沈殿物が形成しはじめた。混合物を20℃に冷却した後、沈殿物をガラス濾過器上で集め、EtOH:H2O95:5で洗浄し、アセトン中に溶解させ、MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。収量639mg(65%)。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=9.12(d、3J=5.7Hz、4H;CH−N)、7.86(d、3J=4.5Hz、4H;CH−CH−CBr)、7.80(dtr、4J=1.5Hzおよび3J=7.2Hz、4H;CH−CH−Br)、7.38(d、3J=9.4Hz、4H;CH−CH−CH−N)、7.02(dd、3J=1.9Hzおよび9.0Hz、4H;CH−C(C)N)、6.84(dtr、4J=1.7Hzおよび3J=5.6Hz、4H;CH−CH−N)、5.94(d、4J=1.9Hz、4H;CH−C(C)−Ir)。質量(FAB)m/z;1387(w、[M]+)、1352、(w、[M−Cl]+)、659(s、[Ir(A)2]+)。C44H32Br4Cl2Ir2N4:計算値C38.08、H2.03、N4.04;測定値C37.73、H2.10、N4.04。
【0152】
M (Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)4の合成
300mg(0.216mmol)の[Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2μ−Cl]2を30mlの2−エトキシエタノール中に108mg(1.08mmol)のacacHおよび216mg(2.04mmol)のNa2CO3の存在下で溶解させた。結果として得られる黄色懸濁液を110℃で8時間撹拌した。混合物を20℃に冷却した後、10mlのH2Oを添加した。黄色沈殿物をガラスフィルター上で集め、H2O、ヘキサンおよび冷Et2Oで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量190mg(58%)。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.44(d、3J=5.5Hz、2H;CH−N)、7.83(d、3J=8.5Hz、2H,CH−CH−CH−N)、7.78(mp、3J=5.5Hzおよび4J=1.5Hz、2H;CH−CH−N)、7.41(d、3J=8.3Hz、2H;CH−CH−CH−CH−N)、7.19(dtr、3J=6.4Hzおよび4J=1.5Hz、2H;ArH)、7.00(dd、3J=6.3Hzおよび4J=2Hz、2H;ArH)、6.28(d、4J=2Hz、2H;CH−C(C)−Ir)、5.23(s、1H;CH−C=O)、1.79(s、6H;CH3)。13
C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=184.8(CO)、167.5(CN)、148.2(CH−N)、143.8(C−Ir)、137.3、135.4(ArC)、125.1、124.1、121.9、118.7(Ar−CH)、100.5(CH−CO)、28.6(CH3−CO)。精密質量(IE):755.9593(計算値(193Ir)(79Br)を有する[M]+について755.9599;m/z);658.8(s、[M−acac]+)、579.0(m、[M−acac−Br]+、499、(w、[M−acac−(Br)2]+)。C27H21Br2IrN2O2・H2O:計算値C41.82、H2.99、N3.61;測定値C42.02、H2.60、N3.54。
【0153】
[Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレン)2μ−Cl]2の合成
合成経路は[Ir(2−(4−ブロモフェニル)ピリジン)2μ−Cl]2の合成と同様である。収率:66%。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=9.45(d、3J=5.4Hz、4H;CH−N)、7.95(d、3J=7.2Hz、4H;CH−C−C(CH)−N)、7.80(t、3J=7.2Hz、4H;CH−CH−C−C(CH)−N)、7.63(br、4H;CH−CH−CH−N)、7.56(mp、3J=6.7Hz、4H;CH−C−N)、7.26(br mp、20H;ArH)、7.12(s、4H;FIH)、7.10(mp、4H、FIH)、6.89(t、3J=5.4Hz、4H;CH−CH−N)、6.35(s、4H;CH−CIr)、1.7−2.0(br mp、16H;CH2−C)、0.9−1.2(br mp、48H、CH2)、0.78(br mp、24H;CH3)、0.4−0.6(br、16H;CH2)。
【0154】
N (Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレン)2(acac))の合成
合成経路はMの合成と同様である。収率:78%。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.63(d、3J=5.7Hz、2H;CH−N)、7.92(d、3J=7.9Hz、2H;CH−C−C−N)、7.76(tr、3J=7.2Hzおよび4J=1.4Hz、2H;ArH)、7.64(d、3J=6.0Hz、2H;ArH)、7.58(d、3J=5.9Hz、2H;ArH)、7.2−7.3(br mp、3J=8.0Hz、12H;ArH),7.1−7.2(mp、3J=7.1Hz、4H;ArH)、6.59(s、2H、CH−CIr)、1.8−2.0(br、8H;CH2−C)、0.9−1.2(br mp、24H,CH2)、0.77(mp、12H;CH3)、0.4−0.6(br、8H;CH2)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=184.7(CO)、168.5(CN)、150.8、150.6(C−C−CH2)、148.4(CH−N)、144.0(C−Ir)、141.4、140.9、140.4、139.9(ArC)、136.7(CH−CH−CH−N)、126.7、126.6、125.8、124.0、122.7、121.4、121.3、121.1、120.0、119.5、119.3、118.4(CH)、100.4(CH−CO)、54.9(C−CH2)、40.53、40.48(C−CH2)、31.5、29.8(CH2)、28.8(CH3−CO)、23.6(C−CH2−CH2)、22.6(CH3−CH2)、14.0、13.9(CH3)。質量(IE)m/z:1178.3(w、[M−(C6H13)]+、1165.2(s、[M−(acac)]+、1009(m、[M−(C6H13)3]+。C77H87IrN2O2・H2O:計算値C72.10、H6.99、N2.18;測定値C72.40、H6.87、N2.27。
【0155】
O (Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン)2(acac))の合成
合成経路はNの合成と同様で、若干の変更を加える。2−エトキシエタノール中でジクロロブリッジ化ジイリジウム錯体を調製し、水を添加することにより沈殿させた。収率:59%。1H NMR(400MHz、CDCl3):δ=8.65(d、3J=5.1Hz、2H;CH−N)、7.86(d、3J=7.8Hz、2H;CH−C−C−N)、7.75−7.58(mp、24H;ArH)、7.37−7.16(mp、10H;ArH)、6.61(s、2H;CH−CH−N)、5.27(s、1H;CH−CO)、2.03−1.94(mp、16H;C−CH2)、1.85(s、6H、CH3−CO)、1.32−0.91(mp、64H、CH2)、0.88−0.70(mp、40H、CH2−CH3)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=184.7(CO)、168.5(CN)、151.6、151.4、151.00、150.97(C−C−CH2)、148.4(CH−N)、144.1(C−Ir)、141.5、140.8、140.5、140.2、139.6(ArC)、136.7(CH−CH−CH−N)、126.9、126.7、126.0、125.9、124.0、122.9、121.5、121.34、121.29、119.8、119.7、119.4、118.4(CH)、100.8(CH−CO)、55.1、55.0(C−CH2)、40.6、40.5、40.3(C−CH2)、31.78、31.77、31.4、30.2、29.7、29.3、29.2(CH2)、28.8(CH3−CO)、23.7(C−CH2−CH2)、22.58、22.57、22.54(CH3−CH2)、14.06、13.99(CH3)。質量(IE)m/z:2041.4(s、[M]+)、1942.4(m、[M−(acac)]+C135H167IrN2O2:計算値C79.40、H8.24、N1.37;測定値C79.12、H8.13、N1.17。
【0156】
P (Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−[2−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)]))−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン)2(acac))の合成
合成経路はNの合成と同様である。収率:57%。1H NMR(400MHz、CDCl3):δ=8.65(d、3J=5.4Hz、2H;CH−N)、7.94(d、3J=8.3Hz、2H;CH−C−C−N)、7.82−7.78(mp、8H;ArH)、7.75−7.72(t、3J=8.2Hz、4H;ArH)、7.67−7.63(mp、22H;ArH)、7.38−7.31(mp、8H;ArH)、7.21−7.17(mp、4H;ArH)、6.61(s、2H;CH−CH−N)、5.28(s、1H;CH−CO)、2.11−2.02(mp、24H;C−CH2)、1.85(s、6H、CH3−CO)、1.20−1.07(mp、104H、CH2)、0.82−0.67(mp、60H、CH2−CH3)。13C{1H}NMR(500MHz、CDCl3):δ=184.7(CO)、166.4(CN)、151.7、151.6、151.4、151.0(C−C−CH2)、(CH−N分離されず)、143.3(C−Ir)、140.7、140.4、140.3、139.9(ArC)、(CH−CH−CH−N分離されず)、126.9、126.7、126.1、126.0、125.9、122.8、121.4、119.9、119.8、119.7(CH)、100.8(CH−CO)、55.3、55.12、55.06(C−CH2)、40.5、40.3(C−CH2)、31.7、31.4、30.1、30.0、29.6、29.2、29.1(CH2)、28.7(CH3−CO)、23.9、23.7(C−CH2−CH2)、22.53、22.51(CH3−CH2)、14.0、13.9(CH3)。質量(IE)m/z:2819(m、[M)))+)、2719(w、[M−(acac))))+。C193H247IrN2O2:計算値C82.22、H8.83、N0.88;測定値C81.93、H8.77、N1.10。
【0157】
ppy−pf8−ppy Qの合成:両端に2−(6−p−ピリジル−フェニル)末端基を含有する9,9−ジ−n−オクチルフルオレンのポリ−Suzuki反応
500mg(0.78mmol)の2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレン、405.5mg(0.740mmol)の2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよび17.1mg(0.078mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)の3mlトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの(3.1mmol)のEt4NOHを添加した。結果として得られる混合物を100℃で24時間撹拌した。3時間後、5mlのトルエンを添加して、沈殿したオリゴマーを溶解させるか、または混合物の粘度を増大させた。混合物を20℃に冷却した後、混合物をゆっくりと大過剰のMeOH中に移し、ポリマーを白色(若干緑がかった)繊維状固体として沈殿させた。固体をフィルター上に集め、50mlのトルエン中に再溶解させ、続いてシリカのショートカラム上で濾過した。濾液をMeOH中に移すと、ポリマーが灰白色繊維として沈殿した。減圧下で溶媒を除去した。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.72(br d、2H*12%;CH−N)、8.13(br d、2H*12%、CH−CH−CH−N)、7.9−7.5(br、6H;ArH)、2.3−2.0(br、4H、CH2−C)、1.3−1.0(br、20H、CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH3+CH2)。Mw(NMR):10.000(24−mer)GPC:Mp48586、Mn18618、Mw67120、多分散性3.6。
【0158】
ppy−pf8 Eの合成:一端に2−(6−p−ピリジル−フェニル)末端基を含有する9,9−ジ−n−オクチルフルオレンのSuzuki重合
500mg(0.56mmol)の2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−7−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよび13.1mg(0.056mmol)の2−(6−p−ピリジル−フェニル)の5mlトルエン溶液に、4mg(0.004mmol)のPd(PPh3)4および2.5mlの(3.1mmol)のEt4NOHの水溶液を添加した。結果として得られる混合物を110℃で24時間撹拌した。混合物を20℃に冷却した後、混合物をゆっくりと大過剰のMeOH中に移し、ポリマーを黄白色固体として沈殿させた。固体をフィルター上に集め、50mlのトルエン中に再溶解させ、続いてシリカのショートカラム上で濾過した。濾液をMeOH中に移すと、ポリマーが灰白色繊維として沈殿した。減圧下で溶媒を除去した。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.75(br d、2H*12%;CH−N)、8.13(br d、2H*12%、CH−CH−CH−N)、7.9−7.5(br、6H;ArH)、2.3−2.0(br、4H、CH2−C)、1.3−1.0(br、20H、CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH3+CH2)。Mw(NMR):5000(12−mer)。
【0159】
R1;Qのイリジウム錯体形成を経由した[Ir(acac)(ppy−pf8−ppy)2Ir(acac)]nの合成
200mgのQ(0.159mmolの2−(6−p−ピリジル−フェニル)を含有)および12.5mgのIrCl3〔0.0353mmolのイリジウムを含有〕の混合物を、5mlのトルエンおよび3mlの2−エトキシエタノールの溶媒混合物中に移した。結果として得られる透明褐色混合物を100℃に24時間加熱し、オレンジ色のゲルを得、これをさらに大過剰のMeOH中で沈殿させた。生成物をガラス濾過器上で集め、H2O、MeOHおよびアセトンで洗浄し、最後に溶媒を減圧下で除去した。次に、161mgのこの生成物と20mg(0.2mmol)のアセチルアセトンおよび20mg(0.19mmol)のNa2CO3の5mLの2−エトキシエタノールおよび10mLのトルエンとの懸濁液を90℃に24時間加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、ポリマーを大過剰のMeOH中で沈殿させ、フィルター上で集め、H2O、MeOHおよびアセトンで洗浄した。90℃で4時間加熱して、ポリマーを30mLのトルエン中に再溶解させた。結果として得られる混合物をまずガラスウール上で濾過し、次いでショートシリカカラム上で濾過し、その後、MeOHを使用してポリマーを再沈殿させる。結果として得られるポリマーは最も一般的な溶媒中で非常に低い溶解度を示し;非常に長期間超音波処理した後にのみトルエン、ジクロロメタンおよびベンゼン中に溶解することが判明した。収量:161mg。1H NMR(400MHz、CDCl3):δ=7.9−7.5(br、6H、ArH)、2.3−2.0(br、4H、CH2−C)、1.3−1.0(br、20H、CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH3+CH2)(イリジウム錯体のシグナルは分離されない)。微量分析:C84.58、H10.18、N0.42、Ir(AES)0.65。
【0160】
R2;2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよびN(Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)のポリ−Suzuki反応を経由した[Ir(acac)(ppy−pf8−ppy)2Ir(acac)]nの合成
500mg(0.779mmol)の2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレン、405.5mg(0.740mmol)の2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン、29.5mg(0.0389mmol)のM(Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)および4mg(0.004mmol)の(Pd(PPh3)4)の10mLトルエン溶液を90℃に加熱し、2.5mL(3.1mmol)のEt4NOHの水溶液を添加した。結果として得られる二相混合物を100℃で18時間撹拌し、褐色−オレンジ色ゲルが形成された。ゲルをMeOH中に沈殿させ、MeOHで洗浄した。そのポリマーを30mLのジクロロメタン中に再溶解させ、得られた混合物をガラスウールを使用して濾過し、次にショートシリカカラム上で濾過した。結果として得られるポリマーは、長時間超音波処理した後にトルエンおよびジクロロメタン中に溶け、高粘度をもたらす。1H NMR(400MHz、C6D6):δ=8.2−7.6(br、6H、ArH)、2.6−1.9(br、4H、CH2−C)、1.6−0.7(br、30H、CH2+CH3)、(スペクトルは非常にブロードで、イリジウム錯体のシグナルは分離されない)。GPC:Mp50643、Mn28146、Mw62638、多分散性2.2。微量分析:C84.28、H9.71、N0.37、Ir(AES)2.56。
【0161】
Eのイリジウム錯体形成を経由したS1;[Ir(ppy−pf8)2(acac)]の合成
150mgのE(0.0367mmolの2−(6−p−ピリジル−フェニル)を含有)および5.2mgのIrCl3(0.0147mmolのイリジウムを含有)を、10
mlのトルエンおよび10mlの2−エトキシエタノールの溶媒混合物中に移した。結果として得られる透明黄色−オレンジ色混合物を110℃で24時間加熱し、その後、生成物を大過剰のMeOH中で沈殿させた。生成物をガラス濾過器上で集め、MeOHおよびヘキサンで洗浄し、最後に溶媒を減圧下で除去した。次に、生成物および20mg(0.2mmol)のアセチルアセトンおよび20mg(0.19mmol)のNa2CO3の8mLの2−エトキシエタノールおよび2mLのトルエン中透明溶液を110℃で2時間加熱した。0℃に冷却すると、黄色−オレンジ色沈殿が形成され、これをガラス濾過器上に集められ、H2O及びMeOHで洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。トルエンを溶媒として用いて生成物をショートシリカカラム上で濾過した。収量:100mg。1H NMR(250MHz、CDCl3):δ=8.65(br、1H*1%;CH−N)、7.9−7.5(br、6H,ArH)、6.62(br、1H*1%;CH−CHN)、5.30(br、0.5H*1%;CH−CO)、2.3−2.0(br、4H;CH2−C)、1.82(br、3H*1%;CH3−CO)、1.3−1.0(br、20H;CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH3+CH2)。微量分析:C83.09、H9.61、N0.39。
【0162】
C2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンおよびM(Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)を使用した、ポリ−Suzuki反応を経由したS2;[Ir(ppy−pf8)2(acac)]の合成
415mg(0.697mmol)のC、26.4mg(0.0349mmol)のN、2mg(0.008mmol)のPd(acetate)および4mg(0.016mmol)のPCy3の溶液を90℃に加熱し、2.5mL(3.1mmol)のEt4NOH水溶液を添加した。結果として得られる混合物を110℃で20時間撹拌すると、若干粘稠な透明赤色溶液が得られた。有機層を大過剰のMeOH中に滴下し、この結果、オレンジ色ポリマーが沈殿した。これを水、MeOHおよびアセトンで洗浄し、トルエンを溶離剤として使用してショートシリカカラム上で濾過した。結果として得られる溶液を2mlに濃縮し、100mgのNa2CO3、1mLのacacHおよび8mLの2−エトキシエタノールを添加した。反応混合物を2時間110℃で撹拌し、次に室温に冷却した。2mLのMeOHを添加し、これにより生成物がオレンジ色固体として沈殿した。生成物をガラス濾過器上に単離し、H2OおよびMeOHで洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。収量:150mg(55%)。δ=8.7(d、J=4.6Hz、1H*10%;CH−N)、7.9−7.5(br、6H;ArH)、7.4−7.1(br、ArH)、6.6(s、1H*10%;CH−CH−N)、5.3(s、0.5H*10%;CH−CO)、2.3−2.0(br、4H、CH2−C)、1.9(3H*10%;CH3−CO)、1.3−1.0(br、20H,CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH2+CH3)。微量分析:C82.78、H9.44、N0.25。
【0163】
415mg(0.697mmol)のCおよび13.2mg(0.0349mmol)のNを使用する以外はS2と同様にして、S3を合成した。収量230mg(85%)。δ=8.7(d、J=5.0Hz、1H*3%;CH−N)、7.9−7.5(br、6H;ArH)、7.4−7.1(br、ArH)、6.6(s、1H*3%;CH−CH−
N)、5.3(s、0.5H*3%;CH−CO)、2.3−2.0(br、4H、CH2−C)、1.9(3H*3%;CH3−CO)、1.3−1.0(br、20H、CH2)、0.9−0.7(br、10H、CH3+CH2)。微量分析:C87.10、H10.02、N0.20。
【0164】
LED製造および測定
エレクトロルミネッセントデバイスを以下に記載するようにして製造した。イリジウム−スズ酸化物(ITO)パターン化清浄ガラス基板をCambridge Display Technology Limitedから入手した。ホール注入層、ポリ(3,4−エチレン−ジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS、Bayrtonから水性溶液として入手し、さらに前処理せずに使用)をITO上にスピンコートした(2000rpm、30秒)。PEDOT:PSS層をホットプレート(130℃)上で5分間乾燥させた。次に、ポリビニルカルバゾール(PVK)のホール輸送層を3mg/mLジクロロメタン溶液によりPEDOT:PSS層のトップ層上にスピンコートした。続けて、この層のトップに発光ポリマーをスピンコートした(10−15mg/mLのトルエン溶液による)。次に、デバイスを高真空(1×10-5mbar)堆積ユニットに移し、シャドーマスクを付けた。陰極金属、カルシウムがシャドーマスクを通して有機層上に堆積し、続いてアルミニウムが堆積した。各ピクセルのサイズは4mm×3.2mmである。Aralditeエポキシ樹脂を使用してデバイスを最終的に封止し、スライドガラスで覆った。本デバイス層の典型的な特徴は、ITO(190nm、シート抵抗(10Ω/□)/PEDOT:PSS(50nm)/PVK(45nm)/発光ポリマー(70nm)/Ca(40nm)/Al(200nm))を含む。電極に直流バイアス(0〜25V)をかけることによりデバイスを調べた。エレクトロルミネッセント特性をHewlett−Packard E3631A DC電源、Keithley2000デジタルマルチメーター、Topcon BM−9M輝度計、およびAminco−Bowmanシリーズ2蛍光分光計で測定した。
【0165】
結果および考察
イリジウム(ppy)−フルオレニルハイブリッド系の合成
2−フェニルピリジン(ppy)の4位を、1、2および3の次のフルオレニル置換基を含む一連の9,9−ジアルキルフルオレンセグメントで官能化した(スキーム1)。
【0166】
スキーム1:9,9−ジアルキルフルオレン置換2−フェニルピリン配位子への合成経路
Gomberg−Hey反応5を用いてピリジンをパラブロモアニリンにカップリングすることにより(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)(A)を合成した。Aを2−(4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−9,9−ジヘキシルフルオレンでSuzukiカップリングすることによりモノフルオレニル官能化ppyを得、(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレン)(D)を得た。本発明者らの段階的合成法の重要な構成要素;2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−トリメチルシリル−9,9−ジオクチルフルオレン(B)を、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンからnBuLiを使用したモノリチウム化を経て2段階で合成し、TMSClで急冷し、続いてtBuLiを使用して第二のリチウム化を行い、これをさらに2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランと反応させて、Bを得た。4−ジフルオレニル官能化ppyをAおよびBのSuzuki生成物から、ICIを使用したTMS基の脱保護(これにより、2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−9,9−ジヘキシルフルオレンを得る)を経由して二段階で合成し、2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン(H)6を得た。Gおよび2−(4,4,5,5テトラメチ
ル−1,3,2−ジオキサボロラン)−9,9−ジヘキシルフルオレンのSuzuki生成物から同じ脱保護/Suzuki反応手順を経て4−トリフルオレニル官能化ppyを得、2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−[2−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)]))−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン(K)を得た。
【0167】
スキーム2:4−フルオレニル官能化ppy配位子の合成
A、2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレンおよび2,7−ジブロモー9,9−ジオクチルフルオレンを構成要素として使用した、Pd(PPh3)4触媒されたポリSuzuki反応を使用し、オリゴフルオレン−ビス−ppyを合成し、ppy−pf8−ppy(Q)を得た(スキーム2)7。Aおよび2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−7−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(C)を構成要素として使用した同じカップリング反応からオリゴフルオレン−モノ−ppyを得て、ppy−pf8(E)を得た(スキーム2)。
【0168】
Ir(ppy−X)2(acac)型のビス−シクロメタレート化イリジウム錯体を、Lamanskyら8により最近報告された二段階合成経路にしたがって合成した。第一段階において、IrCl3・nH2Oを過剰のppy含有配位子と反応させて、塩化物架橋化二量体[Ir(ppy−X)2(−μ−Cl)]2を得た(スキーム3)。
【0169】
スキーム3:ビス−CN−シクロメタレート化イリジウム錯体の合成経路
塩化物架橋化イリジウム二量体を次に燐光性モノマーアセチルアセトネート錯体に変換した。(Ir(2(4−ブロモフェニル)ピリジン)2acac)(M)、(Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレン)2(acac))(N)、(Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)−(9,9−ジオクチルフルオレン)2(acac))(O)および(Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−[2−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)]))−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン)2(acac))(P)をすべて適宜合成した(スキーム3)。
【0170】
イリジウム(ppy)−オリゴフルオレニル系の合成を二種の方法で試みた(スキーム4)
スキーム4:Ir(ppy)−オリゴフルオレニル系の合成経路
モデル化合物と同様に、QおよびEの両方を塩化物架橋化イリジウム二量体を経てモノマー含有アセチルアセトネートへの二段階合成経路に付した。塩化物架橋化イリジウム二量体への完全な変換は、反応混合物のゲル化により失敗したので、Qを使用してこれは困難であると思われる。目的生成物;[Ir(acac)(ppy−pf8−ppy)2]n(R1)に関するAES分析により、イリジウム含量はわずか0.65%であることが明らかになった(4%拒否)。さらに、結果として得られるポリマーはかなりの超音波処理後に溶解するだけであった。Eの錯体形成では、ジクロロブリッジ化中間体のネットワーク形成の防止により、ゲル形成が完全に回避された。従って、この二段階反応手順の生成物:[Ir(ppy−pf8)2(acac)](S1)はジクロロメタンおよびトルエン中に容易に溶解する。NMRから、1%のIr(ppy)2(acac)セグメントが存在すると結論づけられた(4%が拒否された)。
【0171】
別法として、2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロネート)−9,9−ジオクチルフルオレンおよび2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンを構成要素として使用して錯体MをポリSuzuki反応に付し、[Ir(acac)(ppy−pf8−ppy)2]n(R2)を得た。さらに、この経路を経て、Rの合成により、反応中にゲル生成が起こり、その製造において溶解性の問題が生じた。しかしながら、この方法はR1法と比較して、Ir(ppy)(acac)セグメントのインビルド(inbuild)を増大させた;この場合において、イリジウム含量は2.6%であった。最も成功したイリジウム(ppy)−オリゴフルオレニル系は、CおよびMを使用したポリSuzuki反応により得られた。結果として得られる[Ir(ppy−pf8)2(acac)](S2)はジクロロメタンおよびトルエン中の溶解度が高く、5%のビス−シクロメタレート化イリジウム錯体を含んでいた。acac−アニオンを錯体に戻すためにその後にacacHと反応させることが必要であった。
【0172】
Ir(ppy−X)2(acac)錯体の光物理的性質
ppyの4−位に対するフルオレニル−置換の影響を調べるために、一連のシクロメタレート化イリジウム錯体の吸収およびフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを記録した(図1)。
【0173】
図1:Ir(ppy−X)2(acac)錯体の吸収およびPLスペクトル
親化合物Lは、260nmで吸収帯を示し、507nmで発光する。モノフルオレニルセグメントがppyの4位にある場合(錯体N)、最大吸収は338nmで観察され、第二の副最大は260nmで観察される。明らかに、錯体Nはイリジウム錯体のπ系ならびにd−オービタルの両方から吸収する。配位子の系を次のフルオレニル単位(錯体OおよびPを経る)に拡張すると、配位子のπ系からの吸収最大がレッドシフトし、遷移金属に由来する吸収強度の相対的減少を伴う。錯体Pは、376nmで最大吸収を示し、これはポリフルオレンの吸収よりも8nmだけ低い。この錯体に関して、遷移金属からの吸収は、260nmでの小さな吸収ピークとして観察されるだけである。比較して;ppyの4−位が臭素により置換されている場合、これは吸収スペクトルに全く影響を及ぼさない。
【0174】
興味深いことに、非置換錯体と比較すると、錯体N(1フルオレニル)のPL−スペクトルがLに関して30nmレッドシフトして552nmになる。これから、この系における三重項波動関数は、Ir(ppy)単位に限定されず、全系にわたって広がると結論づけることができる。第二のフルオレニルセグメント(錯体O)は、9nm(561nmへ)のさらなるレッドシフトを引き起こし、第三の(P)は566nmのPL最大値をもたらす。
【0175】
一般に、フルオレニル鎖の繰り返し単位の波動関数に対する影響は、さらに蛍光体から離れた位置にある場合に徐々に減少するが、少なくとも最初の3つのフルオレニル単位は三重項波動関数に影響を及ぼすことが明らかである(本発明者らの場合においては、合計44nmのレッドシフトを引き起こすことによる)。
【0176】
OLED(有機発光ダイオード)をこれらのモデル化合物から製造することにより、EL特性を調べた。OLEDデバイスは、イリジウム酸化スズとカルシウム電極間にサンドイッチされた基本的3層構造;ITO/PEDOT−PSS/PVK/発光層/Ca/Alからなる。PEDOT−PPSの使用は、ホール注入層として一般的に公知であり、ポリビニルカルバゾール層(PVK)をホール輸送層として添加し、デバイス特性を一般に平坦にすることが判明した。一連のL、N、OおよびPをこの構造においてトルエン溶液からスピンコートした。これらのデバイスのELスペクトルはPLスペクトルとほぼ同じ傾向を示す。このシリーズにおいて、発光最大は、Lについては赤を529nmから、561nm(N)を経て、OおよびPについては567nmにシフトさせる。わずかのレッドシフトは別として、これらの化合物のELスペクトルはすべてそのPLスペクトルと非常に似ている。これらの系のフルオレニル由来の一重項発光は全く観察されなかった。
【0177】
図2:Ir(ppy−X)2(acac)のELスペクトル(挿入図はデバイス構造を
示す)
【0178】
【表1】
【0179】
デバイス特性はフルオレニルセグメントを有する配位子系に拡張すると実質的に向上する(表1および図3)。最大輝度は60(Lについて)から、Nについては43,Oについては400を経て、pについては1400まで増大し、一方量子効率は7.4x10-4から7.3x10-2 9まで2桁向上した。起動(ターンオン)電圧は、フルオレンのパーセンテージが増大すると若干増大した。
【0180】
上記の実験から、フルオレニルセグメントのこのタイプの燐光錯体の配位子系の系への直接的共有結合は、三重項を得るその能力について有用である。この現象は、高次フルオレニル置換蛍光体の向上されたフィルム形成能のみによっては説明されない。本発明者らは、蛍光体の系の増大により、イリジウム(ppy)種がさらに均一に分散した均一なフィルムが得られ、三重項消滅を引き起こすクラスター化が回避されることを示唆する。蛍光体の系の大きさも、電荷補足効率において重要である。
【0181】
図3:Ir(ppy−X)2(acac)のI−L−V曲線
結果から、本発明者らはポリフルオレンマトリックスにおけるこの種の蛍光体を調査した。錯体LおよびNの9,9−ジオクチル−ポリフルオレン(PF8)マトリックス中混合物のPL測定により、ポリフルオレンからの一重項発光が両蛍光体により著しく消光されるが、両系からの三重項発光(室温、好気性条件下)は非常に低いことが明らかになった(図4)。ポリマーのS1からT1への励起子Foster輸送は、効率がよいように思われるが、蛍光体上の励起子の主な消光は別のメカニズム(三重項消滅や、燐光体からポリマーへ戻る三重項のデクスター移動)によると考えられる。
【0182】
図4:PF8中の錯体Nの混合物のPLスペクトル。挿入図;PF8中5.0モル%の錯体LおよびNの三重項シグナル
PF8中のLのELスペクトルは、ドープされていないPF8と際だった類似性を示すが、発光最大は516nmから533nmにシフトした(PF8の516nmの発光最大は凝集効果によるエキシマ形成により引き起こされることに注意)(図5)。このデバイスは、ポリマーの一重項励起状態(414nmで最大)ならびに遷移金属錯体上の三重項励起子(553nm)の両方から発光すると思われる。PF8中の錯体Nの混合物は、ほぼ単一の三重項発光を示した。559nmでの最大発光は明らかに蛍光体から生じ(552nmがニートな錯体について観察された;図2)、一方、443nmでの一重項ピークは非常に小さい。本発明者らはこの錯体LとNの違いはT1レベルにおける差によるとみなす。
【0183】
発光スペクトルから、LのT1レベルは、約2.4eVであり、錯体Nは2.2eVであると推定した。これをPF8のT1レベル(最近約2.30eV10であると計算されている。)と比較すると、蛍光体上に補足された三重項のL部分の場合、ポリマーのT1レベルまで増大し(デクスター移動)、非放射的に崩壊すると予想できる。従って、三重項発光は、このプロセスにより阻害される。錯体Nの場合、予測されるポリマーのT1レベルは蛍光体のそれよりも高いので、このようなプロセスは可能性が低い。
【0184】
図5:ポリフルオレンにおけるIr(ppy−X)2(acac)のELスペクトル
【0185】
【表2】
【0186】
Lの混合物と比較して、PF8における錯体Nの向上された三重項と一重項の比は、デバイス効率において有意な変化を引き起こさない(5.6x10-2vs7.6x10-2、表2)。
【0187】
ポリフルオレニル官能化蛍光体
フルオレニル置換蛍光体の概念は、ポリフルオレンの主鎖におけるビスシクロメタレート化イリジウム蛍光体の使用によりさらに一段階と見なされた。これらのハイブリッド系(R1、R2、S1、およびS2)のPLスペクトルを図6に示す。
【0188】
図6:Ir(ppy−X)2(acac)を組み入れたポリフルオレンのPLスペクトル
すべての系は、分子のポリフルオレン部分から生じる一重項発光(422nmおよび450nmで最大)を示す。R1およびR2において、三重項発光は観察されなかった。これは、NMRスペクトルとあわせると、合成中のゲル化の問題のために、これらの系においてIr(ppy−X)2(acac)蛍光体をポリマー鎖中に適切に導入できないことが強く示唆される。この点に関して、これらの物質において、各分子中で1つの蛍光体しか構築できず(スキーム4)、その結果より良好に規定され、適用可能な(解決可能な)系が得られるので、系S1およびS2は有望であった。S1およびS2はどちらも596nmで三重項PL発光を示した。
【0189】
図7に示す新規ハイブリッド系のELスペクトルも、RとS生成物間の著しい違いを示す。
【0190】
図7:ポリフルオレンを組み入れたイリジウム錯体のELスペクトル
R1およびR2のスペクトルは非常にブロードであり、凝集により引き起こされる多くの一重項および一重項励起子発光を示す(これらの化合物の低い溶解度は、通常のポリフルオレンと比較して凝集を増大させる)。R1は三重項発光を全く示さないが、〜604nmのショルダーは、システムR2から製造されるデバイスからのある程度の三重項発光を示す。システムS1を含有するデバイスは、1:3の比で一重項と三重項を発光することが判明し、S2は1:23の一重項と三重項の比であった。この結果、S1システムについてピンク色発光(CIE座標X=0.42、Y=0.34)、S2システムについては白色がかったオレンジ色の発光(X=0.47、Y=0.43)が生じた。
【0191】
図8:駆動電圧を上昇させると、S2のELスペクトルは8.5V(下)から0.5Vの段階を経て12.5V(上)まで上昇する。
【0192】
一重項と三重項の比は、駆動電圧が増大すると増大することが判明した(図8)。これは、さらに高い駆動電圧での三重項−三重項消光における増大により説明される。増大した駆動電圧での励起子形成において観察される増大は、ポリマーLEDにおいてよく知られた現象である。
【0193】
【表3】
【0194】
ハイブリッドシステムのELデバイス特性を表3にまとめる。ELスペクトルから観察されるように、Rサンプルは、それぞれ量子効率2.6x10-2および7.1x10-2で、低輝度(R1については10cd/m2、R2については60cd/m2)での一重項−および一重項励起子発光に由来する黄色がかった緑色の発光を生じる。よりよく規定されたSサンプルは、主に三重項状態から発光し、若干一重項励起状態から発光する。S1は最大輝度42cd/m2で、量子効率3.6x10-2でピンク色発光を生じた(CIE−X 0.42、CIE−Y 0.34)。S2およびS3はどちらも、量子効率7.9x10-2で白色がかったオレンジ色発光を生じた。S3の比較的長いポリフルオレン置換基(S2について10であるのに対して30フルオレニル単位)は、最大輝度を163から304cd/m2に増大させる。
【0195】
結論
溶液処理デバイスにおいて明るい燐光を得るために一連のポリフルオレニル蛍光体複合材料を研究した。小分子Ir(ppy)2(acac)の配位子にフルオレン置換基を付加すると、フルオレン中の混合物の溶液から容易にスピンコートされる物質が得られ、さらに重要なことには、ニートな物質として得られる。フルオレニル置換基は、EL発光輝度および量子効率において重大な改良をもたらすことが判明した。置換基の有利な効果は、混合物中のポリフルオレンに対する蛍光体のT1−エネルギーレベルの向上された相補性において観察された。ポリフルオレニル−蛍光錯体から調製されるOLEDは、明るい三重項発光デバイスを生じることが報告された。
【0196】
新規蛍光体は、ビスシクロメタレート化イリジウム−2−フェニルピリジネート錯体(Ir(ppy)2)三重項発光体、およびポリフルオレン、有効な一重項発光ポリマーのハイブリッド化合物である。このシリーズは、ppy配位子の4−位にフルオレニル置換基を有するIr(ppy)2(acac)錯体からなる。このシリーズおいて、非置換錯体Ir(ppy)2(acac)(L)から、モノフルオレニル置換錯体[Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−9,9−ジヘキシルフルオレン)2(acac)](N)およびジフルオレニル[Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン)2(acac)](O)を経て、トリフルオレニル[Ir(2−(6−p−ピリジル−フェニル)−7−(2−(7−[2−(9,9−ジヘキシルフルオレニル)]))−9,9−ジオクチルフルオレニル)−9,9−ジオクチルフルオレン]2(acac)](P)へ、主要なレッドシフトがこれらの錯体のPLスペクトルにおいて522nmから552nmを経て561から566nmまで観察された。ポリフルオレニル置換錯体[Ir(ppy−pf8)2(acac)](S2)も566nmでPL三重項発光を455nmでの小さな一重項発光とともに示した。30nmのLに関する錯体Nのレッドシフトは、ポリフルオレンに対して蛍光体のT1エネルギーレベルを補完するのに十分であることが判明した;このポリマー中のNの混合物のELスペクトルは、559nmで主に三重項発光を示し、錯体L(λmax535nm)を含有する混合物は、441nmで実質的に一重項発光を示す。フルオレニルセグメントでppy配位子を段階的に伸張すると、EL輝度が増大し(Lについて60からPについて1400cd/m2)、EL量子効率が増大した(7.4x10-4から7.3x10-2)。黄色がかったオレンジ色EL発光がS2から観察され(推定フルオレニル長さ;10単位)、7Vの駆動電圧で三重項と一重項の比は23:1であり、量子効率は7.9x10-2であり、最大輝度は163cd/m2であった。ポリフルオレン置換基の長さを30(S3)に増大させると、三重項と一重項の比が7:1(6Vにおいて)である白色がかったオレンジ色発光が得られた、量子効率は7.9x10-2、最大輝度は304cd/m2であった。
【0197】
第2節:ピリジル−ベンゾチオフェン配位子
この節においてフェニルピリジン配位子Lを含む有機金属基を参照して、本発明を説明する。特に、J.Am.Chem.Soc.,2001,123,4304は、以下に示す赤色発光有機金属基を開示している:
【0198】
【化28】
【0199】
上記錯体のモノマー種を製造するための臭素を含む配位子の合成を以下に示す:
【0200】
【化29】
【0201】
合成の第一段階は、ベンゾ(b)チオフェンのリチウム化であり、これは、nBuLiの使用により2位で選択的に行うことができる。リチウム付加物を次にその場で2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランと反応させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中60%CH2Cl2、Rf0.5)により精製した。所望の化合物を81%収率で単離した。第二段階は、Suzukiカップリングを含み、これは、2−(4’,4’,5’,5’−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン)ベンゾ(b)チオフェンを2,5−ジブロモピリジンにゆっくり添加するためのシリンジポンプを使用して高度の選択性で良好な収率を達成した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中50%CH2Cl2)により精製し、ベンゾ(b)チオフェン(Rf0.68)、生成物(Rf0.35)および2,5−ビス(4’,4’,5’,5’−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン)ベンゾ(b)チオフェン(Rf0.22)の分離が可能になった。生成物フラクションは幾分未反応の2.5−ジブロモピリジンを含有し、これを昇華(sublimation)により除去した。数回の昇華後、純粋な生成物を60%の収率で得た。反応は驚くほどに選択的であり、ほとんど5−ピリジル結合生成物を生じなかった。これはピリジル窒素がパラジウム触媒に配位し、かくして酸化付加反応について2−ブロモ置換基が活性化されるためである。反応の副生成物は低収率で得られる;ベンゾ(b)チオフェンは出発物質の脱ホウ素化により形成される。これは特に水中で容易な反応であり、チオフェンを過剰のブロモピリジンにゆっくり添加することにより阻害できる。他の副生成物は、ビス−2,5−(ベンゾ(b)チオフェン)ピリジンであり、これは低収率で単離され(<10%)、この生成物もチオフェンを過剰のブロモピリジンにゆっくり添加することにより阻害できる。結論として、反応は非常に選択的であり、収率は良好であり、反応の別の態様として、スケールアップが容易であり、1〜10mmolの範囲のスケールでよく作用する。新規化合物は、完全に特徴づけられ、元素分析は計算値とよく一致し、計算と一致した同位元素分布のEI質量スペクトルにおける分子イオンピークを示す。1H NMRスペクトルにおいて、8.68ppmでのピークはピリジン環上のNとBrの間のプロトンに帰属される。最もデシールド(deshield)されたプロトンであるので、それは最も低いフィールドにある。他のピリジルおよびベンジルプロトンによる、さらに高いフィールドにおける3つの他のピークの組が存在する。13C{1H}NMRスペクトルは配位子中の炭素のそれぞれによる13のピークを示す。
【0202】
新規配位子を三塩化イリジウム(III)と反応させて、塩化物架橋二量体を得た。二量体の塩化物架橋は、2,4−ペンタンジオンとの反応により開裂され、以下に示すような所望のアセチルアセトネート錯体が得られる:
【0203】
【化30】
【0204】
2当量の配位子と三塩化イリジウム(III)を2−エトキシエタノール中で20時間還流することにより、塩化物架橋二量錯体が63%の収率で単離できた。錯体は非常に不溶性であり、NMRキャラクタライゼーションを妨害するが、質量分析には十分な可溶性であった。MALDIは、分子イオンについてのピークを示し、またモノマー種についてもピークを示し、これはおそらく塩化物架橋の開裂による分光法の条件下で形成されるのであろう。塩化物架橋は、2,4−ペンタンジオンまたはacacとの反応によっても開裂できる。二量体化合物、acacおよび塩基を2−エトキシエタノール中で20時間還流し、L2Ir(arac)を優れた収率で赤色結晶として得た。錯体は二量体よりもずっと可溶性であり、クロロホルム、塩化メチレンおよびトルエン中に溶解した。1H NMR分光分析は、芳香族プロトンの非常にはっきりしたピークを示し;それぞれはフリーな配位子より高いフィールドでよく分解されたカップリングを有する別個のシグナルを示す。これは、芳香族プロトンをデシールドすると予想される金属キレート化について予想される通りである。C、Nキレート化は、金属に配位するチオフェン炭素のプロトンシグナルが存在しないこと、およびイリジウムに配位し、カップリングする炭素についての13C{1H}NMRにおける二重項によっても確認される。acac配位子のメチレンおよびメチルプロトンにより、1H NMRにおいて、5.33および1.84ppmで一重項が観察される。元素分析は計算値とよく一致し、質量分析は待ち状態である。錯体のCH2Cl2溶液をヘキサンと積層し、溶媒をゆっくりと混合すると、X線分析に適した結晶が成長した。X線結晶構造のボールおよびスティックモデルを図13に示し、選択された結合長さ(オングストローム)および角度を以下の表に示す。
【0205】
【表4】
【0206】
錯体は、P2(1)/nスペース基(z=8)において結晶する。単位格子中の他の対称関連分子は明確にするために無視した。錯体は、2炭素原子間が最大角度(92.1(8)°)であり、同じ配位子上のCとN間が最小角度(78.9(8)°)である若干ねじれた八面体対称性を有する。配位子は、2個のN原子が互いにトランスに配列し、C原子がシスに配列するように結合する。結合長さは、そのようなIr(III)錯体について予想される範囲内である[J.Am.Chem.Soc.,2001,123,4304,Can.J.Chem.,1998,76,1571,J.Phys.Chem.B,2000,104,9118]。
【0207】
2−ブロモ−7−(4’,4’,5’,5’−テトラメチル−1’,3’,2’−ジオキサボロラン)−9,9−ジオクチルフルオレンを標準的手順を用いて以下に示すようにして合成した(例えば、Can.J.Chem.,1998,76,1571参照)。
【0208】
【化31】
【0209】
新規ポリマー/オリゴマーをフルオレンモノマー間のSuzukiカップリング反応により合成し、以下に示すように鎖をイリジウム錯体との反応により伸張した:
【0210】
【化32】
【0211】
重合/オリゴマー化反応は、フルオレンモノマーの互いおよびイリジウム錯体とのカップリングを含む。反応は、Pd(OAc)2とPCy3配位子および塩基としてNEt4OHにより触媒された。ポリマー/オリゴマーを過剰のacacと反応させて、完全に錯体形成させ、メタノールからの沈殿により精製した。これをよく洗浄して、未反応モノマーを除去し、シリカを通して溶液を濾過することにより、パラジウム残留物を除去した。溶媒残留物をベンゼン溶液からの凍結乾燥により、ポリマー/オリゴマーから除去した。様々な比のフルオレンモノマーとイリジウムを用いて数回重合/オリゴマー化反応を行い、鎖長nは5〜20単位の範囲であった。
【0212】
スライドガラス上にスピンコートされたポリマー/オリゴマーの薄膜のPLスペクトルを図14に示す。
【0213】
ポリマー/オリゴマーについて様々なキャラクタライゼーション技術を使用し、これによりポリフルオレン鎖における繰り返し単位の数について若干異なる値が得られた。1H NMRは、芳香族プロトンについて7.90−7.55ppm、アルキル鎖について2.30−2.00、1.20−1.00ppmおよび0.90−0.70ppmでポリフルオレン鎖の広がったピークを示した。鎖長(n)を計算するために、8.86、8.48、6.86および6.44ppmでの2−(ベンゾ(b)チオフェニル)ピリジル配位子による広がったピークを、acacによる5.40および1.85ppmでのピークと共に使用した。これにより、反応化学量論とよく一致した値が得られる。出発イリジウム錯体についてのピークが観察されず、このことはポリマー中に完全に組み入れられたことを示唆することに注意。13C{1H}NMRは、ポリフルオレン鎖中の炭素原子のシグナルを示す。
【0214】
単一層デバイスにおける発光層としてポリマー/オリゴマーを使用した。PEDOT/PSS層をITOでコートされたスライド上にスピンコートすることによりLEDを製造した。ポリマー/オリゴマーを次いでスピンコートし、最後にカルシウムとアルミニウムの層をデバイスの最上層上に真空堆積させた。デバイスは6V付近で明るい赤色発光を生じた。エレクトロルミネッセンススペクトルを図15に示す。
【0215】
ポリマー/オリゴマーはエレクトロルミネッセンススペクトルを示し、これはフォトルミネッセンスと異なり、この場合においては650nm付近でのイリジウム錯体からの三重項発光が優勢である。どちらの場合においても420nm付近で小さな発光があり、これはポリフルオレンが発光すると考えられる場合である。上記合成に加えて、そのような赤色発光有機金属器は、本発明のポリマー/オリゴマーについて第1節において記載されたのと同じ方法でポリマー中に組み入れられ、有機金属錯体は、第1節において記載されたフェニルピリジン配位子を含む。
1 J.Chem.Soc.1964,2175
1 Inorg.Chem.1984,23,4249
1 Sprouseら、J.Am.Chem.Soc.1984,106,6647
1 M.E.Thomsonら、J.Am.Chem.Soc.2001,123,4304
1 Abramovitch,R.A.;Saha,J.G.J.Chem.Soc.1964,2175
1 a)Henze,O.;Lehmann,U.;Schluter,A.D.Synthesis−Stuttgart1999,4,683,b)
Hensel,V.;Schluter,A.D.Chem.Eur.J.1999,5,421
1 a)The Dow Chemical Company(Inbasekaran,M.;Wu,W.;Woo,E.P.)US5,777,070(1997)
b)Cambridge Display Technology Limited(Towns,C.;O’Dell,R.)WO00/53656(2000)
1 Lamansky,S.;Djurovich,P.;Murphy,D.;Abdel−Razzaq,F.;Kwong,R.;Tsyba,I.;Brotz,M.;Mui,B.;Mui,B.;Bau,R.;Thompson,M.E.J.Inorg.Chem.2001,40,1704
1 本発明者らは、Lamanskyらにより見いだされたように、小分子においてドープされた場合にこれらのタイプの錯体についてさらに高い効率が得られることを承知している。
1 Monkman,A.P.;Burrows,H.D.;Hartwell,L.J.;Horsbutgh,L.E.;Hamblett,I.;Navaratnam,S.Phys.Rev.Lett.2001,86,1358
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光可能な物質の製造方法であり、
前記物質がポリマーまたはオリゴマー;および有機金属基を含有し、前記ポリマーまたはオリゴマーは少なくとも部分的に共役し、前記有機金属基は前記ポリマーまたはオリゴマーと共有結合し、前記ポリマーまたはオリゴマーと前記有機金属基の性質、位置および/または割合が、発光が主として燐光になるように選択される物質の製造方法において、前記製造方法は少なくとも一つの第一のモノマーを、第一のモノマーとは異なる複数の第二のモノマーと反応させるためにスズキ(SUZUKI)重合を用い、
前記各モノマーがアリールまたはヘテロアリール基を含み、かつ、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される少なくとも2つの反応基を有し、
前記少なくとも一つの第一のモノマーは以下の一般式IVまたは一般式V:
【化1】
【化2】
(式中、一般式V中における有機金属は炭素−金属結合を含む;XおよびX’はそれぞれ、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から独立して選択される反応基;p≧0;Mはアリールまたはヘテロアリール基を含む基である)
で表される発光可能な物質の製造方法。
【請求項2】
複数の第一のモノマーが複数の第二のモノマーと反応する請求項1に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項3】
前記複数の第一のモノマーが前記発光可能な物質が有機金属を1〜10質量%含有するように選ばれる請求項2に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項4】
前記一般式IV及び一般式Vで表わされる第一のモノマーの一般式IV及び一般式V中のX及びX’の少なくとも一つがホウ酸基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項5】
前記ポリマーまたはオリゴマーが直鎖状である請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項6】
前記第二のモノマーが、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される基を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項7】
前記一般式IV又は一般式Vにおける有機金属が遷移金属を含有する請求項1〜6のい
ずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項8】
前記一般式IV又は一般式Vにおける有機金属が貴金属を含有する請求項7記載の発光
可能な物質の製造方法。
【請求項9】
前記発光可能な物質が一般式III
【化3】
を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項10】
前記少なくとも一つの第一のモノマーが前記一般式Vを有し、前記一般式V中の有機金属が適切な数の配位子に囲まれており、前記一般式V中のXとX’が前記有機金属中の同じ配位子に結合している請求項9に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項11】
前記少なくとも一つの第一のモノマーが前記一般式IVを有し、前記有機金属が炭素―金属結合を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項12】
前記発光可能な物質が一般式I
【化4】
(式中 m≧2、n≧1、P≧0であり、MとM’はそれぞれ独立してアリール又はヘテロアリール基を含む)
を有する請求項1〜8、または請求項11のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の発光可能な物質の製造方法において、
MとM’はそれぞれ独立して、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される基を含有する発光可能な物質の製造方法。
【請求項14】
前記有機金属が前記発光可能な物質中の前記ポリマー又はオリゴマーと共役的に結合している前記請求項のいずれかに記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項15】
前記一般式I中のスペーサーが非共役なスペーサー基である請求項12又は請求項13に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法により発光可能な物質を製造することを含む光学デバイスの製造方法。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法により製造された発光可能な物質を溶液処理によって基体上に担持させる請求項16に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項18】
前記光学デバイスがエレクトロルミネッセントデバイスを含む請求項16又は請求項17に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項19】
前記エレクトロルミネッセントデバイスが:
正の電荷担体を注入するための第一の電荷担体注入層;
負の電荷担体を注入するための第二の電荷担体注入層;
前記両電荷担体注入層間に位置し、光を発生するための発光層で、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法により製造された発光可能な物質を含む請求項18に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項1】
発光可能な物質の製造方法であり、
前記物質がポリマーまたはオリゴマー;および有機金属基を含有し、前記ポリマーまたはオリゴマーは少なくとも部分的に共役し、前記有機金属基は前記ポリマーまたはオリゴマーと共有結合し、前記ポリマーまたはオリゴマーと前記有機金属基の性質、位置および/または割合が、発光が主として燐光になるように選択される物質の製造方法において、前記製造方法は少なくとも一つの第一のモノマーを、第一のモノマーとは異なる複数の第二のモノマーと反応させるためにスズキ(SUZUKI)重合を用い、
前記各モノマーがアリールまたはヘテロアリール基を含み、かつ、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から選択される少なくとも2つの反応基を有し、
前記少なくとも一つの第一のモノマーは以下の一般式IVまたは一般式V:
【化1】
【化2】
(式中、一般式V中における有機金属は炭素−金属結合を含む;XおよびX’はそれぞれ、ハロゲン基、ホウ酸基、ホウ酸エステル基およびボラン基からなる群から独立して選択される反応基;p≧0;Mはアリールまたはヘテロアリール基を含む基である)
で表される発光可能な物質の製造方法。
【請求項2】
複数の第一のモノマーが複数の第二のモノマーと反応する請求項1に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項3】
前記複数の第一のモノマーが前記発光可能な物質が有機金属を1〜10質量%含有するように選ばれる請求項2に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項4】
前記一般式IV及び一般式Vで表わされる第一のモノマーの一般式IV及び一般式V中のX及びX’の少なくとも一つがホウ酸基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項5】
前記ポリマーまたはオリゴマーが直鎖状である請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項6】
前記第二のモノマーが、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される基を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項7】
前記一般式IV又は一般式Vにおける有機金属が遷移金属を含有する請求項1〜6のい
ずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項8】
前記一般式IV又は一般式Vにおける有機金属が貴金属を含有する請求項7記載の発光
可能な物質の製造方法。
【請求項9】
前記発光可能な物質が一般式III
【化3】
を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項10】
前記少なくとも一つの第一のモノマーが前記一般式Vを有し、前記一般式V中の有機金属が適切な数の配位子に囲まれており、前記一般式V中のXとX’が前記有機金属中の同じ配位子に結合している請求項9に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項11】
前記少なくとも一つの第一のモノマーが前記一般式IVを有し、前記有機金属が炭素―金属結合を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項12】
前記発光可能な物質が一般式I
【化4】
(式中 m≧2、n≧1、P≧0であり、MとM’はそれぞれ独立してアリール又はヘテロアリール基を含む)
を有する請求項1〜8、または請求項11のいずれか1項に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の発光可能な物質の製造方法において、
MとM’はそれぞれ独立して、2,7−結合9,9−二置換フルオレン、p−結合ジアルキルフェニレン、p−結合二置換フェニレン、フェニレンビニレン、2,5−結合ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合二置換ベンゾチアジアゾール、2,5−結合置換または非置換チオフェンまたはトリアリールアミンからなる群から選択される基を含有する発光可能な物質の製造方法。
【請求項14】
前記有機金属が前記発光可能な物質中の前記ポリマー又はオリゴマーと共役的に結合している前記請求項のいずれかに記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項15】
前記一般式I中のスペーサーが非共役なスペーサー基である請求項12又は請求項13に記載の発光可能な物質の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法により発光可能な物質を製造することを含む光学デバイスの製造方法。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法により製造された発光可能な物質を溶液処理によって基体上に担持させる請求項16に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項18】
前記光学デバイスがエレクトロルミネッセントデバイスを含む請求項16又は請求項17に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項19】
前記エレクトロルミネッセントデバイスが:
正の電荷担体を注入するための第一の電荷担体注入層;
負の電荷担体を注入するための第二の電荷担体注入層;
前記両電荷担体注入層間に位置し、光を発生するための発光層で、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法により製造された発光可能な物質を含む請求項18に記載の光学デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−229431(P2012−229431A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−152133(P2012−152133)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2003−587896(P2003−587896)の分割
【原出願日】平成15年4月24日(2003.4.24)
【出願人】(503372842)ケンブリッジ エンタープライズ リミティド (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2003−587896(P2003−587896)の分割
【原出願日】平成15年4月24日(2003.4.24)
【出願人】(503372842)ケンブリッジ エンタープライズ リミティド (32)
【Fターム(参考)】
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