説明

溶液濃度測定装置

【課題】 簡易な構造で、かつ測定精度の高い液体燃料濃度センサ等を提供する。
【解決手段】 センサ668を構成する高分子膜665は燃料のアルコール濃度の増大に伴って、膨潤率が増大する性質を有する高分子膜665を用いているため、燃料のアルコール濃度が増大すると、それに伴って複合膜1686中における導電性フィラー1688の数密度が減少する。そのため、複合膜1686中に存在する各導電性フィラー1688間の電気的な接触点の数が減少するので、複合膜1686に電流を流した場合の複合膜1686の電気抵抗値が増大する。したがって、第1の電極端子666および第2の電極端子667を用いて電気抵抗値を測定することによって、複合膜1686の電気抵抗値の変化をモニターすることにより、燃料のアルコール濃度を測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液濃度測定装置およびその装置の燃料電池への利用に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料極および酸化剤極と、これらの間に設けられた電解質から構成され、燃料極には燃料が、酸化剤極には酸化剤が供給されて電気化学反応により発電する。燃料としては、一般的には水素が用いられるが、近年、安価で取り扱いの容易なメタノール等のアルコールを燃料として、燃料極に直接供給する直接型の燃料電池の開発も盛んに行われている。
【0003】
燃料として水素を用いた場合、燃料極での反応は以下の式(1)のようになる。
【0004】
3H → 6H + 6e (1)
【0005】
燃料としてメタノールを用いた場合、燃料極での反応は以下の式(2)のようになる。
【0006】
CHOH + HO → 6H + CO + 6e (2)
【0007】
また、いずれの場合も、酸化剤極での反応は以下の式(3)のようになる。
【0008】
3/2O + 6H + 6e → 3HO (3)
【0009】
特に、直接型の燃料電池では、アルコール水溶液から水素イオンを得ることができるので、改質器等が不要になり、小型化および軽量化を図ることができる。また、液体のアルコール水溶液を燃料とするため、エネルギー密度が非常に高いという特徴がある。
【0010】
しかし、直接型の燃料電池では、発電状況により、燃料中のアルコール濃度が変化してしまう。燃料電池の電力を安定的に保つためには、燃料中のアルコール濃度を適正な範囲に保つ必要がある。そのため、燃料電池システムには、燃料中のアルコール濃度を検出する装置が要求される。
【0011】
たとえば、特許文献1および特許文献2には、電解質膜を挟持したアノードとカソードを含む(特許文献1の図15、特許文献2の図6参照)、燃料電池用のセルを用いて液体中のメタノール濃度を測定するセンサが開示されている。このセルにおいて、アノードとしてはPt−Ru、カソードとしてはPt等の触媒電極が用いられる。このように構成されたセルのアノード−カソード間に定電圧を印加することにより、アノードにおいてメタノールが二酸化炭素に変換され、カソードにおいてプロトンが水素に変換される反応が起こり、アノード−カソード間に電流が流れる。この電極反応によってアノード−カソード間に発生する電流値を測定することにより、液体中のメタノール濃度が測定される。
【0012】
【特許文献1】米国特許6254748号
【特許文献2】米国特許6306285号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記特許文献1および特許文献2に開示された構成のセンサの場合、燃料電池の構成をとっているため、構成が複雑になり、高い電力を消費した。また、カソードにおいて水素ガスが発生するので、この発生した水素ガスを除去する必要があった。さらにまた、アルコール濃度を測定する際に、アルコールを含む溶液のpHなどの外部要因の影響を受けることがあった。
【0014】
本発明の目的は、上記従来技術の有する課題を解決するものであり、簡易な構成で、電力消費が少なく、pHの影響を受けにくい濃度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、所定成分を含む液体に浸漬された際に該液体中の所定成分の濃度に応じて寸法変化する高分子膜と、高分子膜に混合された導電性フィラーと、高分子膜に配設された少なくとも一対の電極端子と、を含むことを特徴とする溶液濃度測定装置が提供される。
【0016】
本発明において、上記高分子膜は、所定成分の濃度に依存して寸法が変化する材料から成り、該所定成分を含む液体に浸漬される。このような高分子膜においては、高分子膜の寸法が大きくなるにつれて、単位体積あたりの導電性フィラーの数(数密度)が減少する。その結果、各導電性フィラー間の距離が拡がるので、電気的接触点の数が減少し、高分子膜に配設された少なくとも一対以上の電極端子間の電流経路の数が減少する。逆に、寸法が小さくなるにつれて、高分子膜中の導電性フィラー間の電気的接触点の数が増加し、電流経路の数が増加する。したがって、該液体中の所定成分の濃度変化を高分子膜の抵抗変化として測定することができる。
【0017】
このように、本発明の溶液濃度測定装置においては、導電性フィラー間の電気的接触数が変化し、これにより電極端子間の電流経路の数が変化する。このため、正確な測定値を安定的に得ることができる。
また、本発明の採用する測定方式は、実施例の項で後述するように、液体のpHの影響を受けにくい。
【0018】
本発明の溶液濃度測定装置によれば、少なくとも一対の電極端子を用いて高分子膜の抵抗値を測定することによって、液体中の所定成分の濃度を検出することができ、測定部を燃料電池の構成にする必要がないので、簡易な構造の溶液濃度測定装置を用いて液体中の所定成分の濃度を検出することができ、発生した水素を除去する必要もない。
【0019】
本発明によれば、上記いずれかの溶液濃度測定装置を備えることを特徴とする燃料電池用燃料容器が提供される。
【0020】
本発明によれば、アルコールを含有する液体燃料を利用する燃料電池システムであって、固体高分子電解質膜、および、該固体高分子電解質膜に配された燃料極および酸化剤極を含む燃料電池本体と、前記液体燃料を収容する容器と、(a)所定成分を含む液体燃料に浸漬された際に該液体中の前記所定成分の濃度に応じて寸法変化する高分子膜、(b)前記高分子膜に混合された導電性フィラー、および(c)前記高分子膜に配設された少なくとも一対の電極端子を含む燃料電池用溶液濃度測定装置を含むことを特徴とする燃料電池システムが提供される。
【0021】
ここで、燃料電池本体は、燃料極に液体燃料を直接供給する直接型のものであっても、また液体燃料を改質して燃料として水素を利用するものであってもいずれでもよい。液体燃料容器は、燃料電池本体の燃料極に設けられた燃料極タンク、燃料極タンクに供給する燃料を収容する燃料タンク、カートリッジ、またはこれらを結ぶ配管を含み、高分子膜が液体燃料を含浸可能であれば、どのような構成とすることもできる。
【0022】
本発明の燃料電池システムによれば、従来の技術と比較して、簡易な構造であり、かつ測定精度の高い溶液濃度測定装置を用いて、少ない電力で液体燃料のアルコール濃度を検出することができる燃料電池システムを実現することができる。
【0023】
本発明の燃料電池システムによれば、導電性フィラー間の電気的接触点の数に基づく高分子膜の抵抗値を測定することにより液体燃料の所定成分の濃度を検出するので、pHの影響を受けにくくすることにより、液体燃料のアルコール濃度を精度よく検出することができる燃料電池システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、液体に浸漬される所定成分の濃度検出部と、高分子膜とこれに配設した一対の電極端子とを少なくとも具備する従来の技術より簡易な構造を有し、かつ、高分子膜の電気抵抗特性を利用して液体中の所定成分の濃度を検出するので、pHの影響を受けにくくすることにより、測定精度の高い溶液濃度測定装置などが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下の実施の形態で説明する燃料電池システムの用途は特に限定されないが、たとえば携帯電話、ノート型等の携帯型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、各種カメラ、ナビゲーションシステム、ポータブル音楽再生プレーヤー等の小型電気機器に適切に用いられる。また、以下の実施形態においては、燃料中の所定成分のうち、アルコールの濃度を測定するセンサを用いた形態について説明する。
【0026】
第一の実施の形態
図1は、燃料の所定成分であるアルコール濃度などの変化に伴う、センサ668を構成する高分子膜665と導電性フィラー1688とから構成される複合膜1686内の導電性フィラー1688の粒子の存在状態の変化を模式的に説明するための図である。本実施形態において、複合膜1686に電圧を印加することにより、互いに接触する導電性フィラー1688を通じて電極666と電極667との間に流れる電流の大きさを測定することによって、複合膜1686の電気抵抗値を測定することができる。導電性フィラーは導電性および耐食性を備えたものであればよく、たとえば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどのカーボン系導電性フィラー、金、白金などの貴金属を用いた金属フィラー、TiCなどの金属化合物を用いたフィラー、ステンレスなどの金属に金メッキを施したものなどが用いられる。
【0027】
図1(a)は、燃料のアルコール濃度が低い状態における複合膜1686の状態を示し、図1(b)は、燃料のアルコール濃度が高い状態における複合膜1686の状態を示す。上述したように、高分子膜665は燃料のアルコール濃度の上昇に伴い、膨潤する性質を有している。また、本実施形態においては燃料のアルコール濃度の上昇に伴って、膨潤する性質を有する高分子膜665を用いている。このため、燃料のアルコール濃度が増大すると、高分子膜665を含む複合膜1686が膨潤し、それに伴って複合膜1686の単位体積あたりの導電性フィラー1688の数密度が減少する。そのため、複合膜1686中に存在する各導電性フィラー1688間の距離が大きくなることにより導電性フィラー1688間の電気的接触点の数が減少し、第1の電極端子666と第2の電極端子667との間の電流経路の数が減少する。したがって、複合膜1686に電流を流した場合、複合膜1686の電気抵抗値が増大する。この結果、第1の電極端子666および第2の電極端子667を用いて電気抵抗値を測定することによって、複合膜1686の電気抵抗値の変化をモニターでき、これにより、燃料のアルコール濃度を測定することができる。
【0028】
なお、複合膜1686の製造方法としては、具体的には、たとえば、以下の方法などが挙げられる。
【0029】
高分子溶液内に導電性フィラーを混合分散させてペーストを作製する。このとき、分散助剤などを用いて導電性フィラー1688の混合分散性を向上させてもよい。次に、上記ペーストをガラス板上にキャストし、常温で自然乾燥させることによりキャスト膜を作製する。さらに上記キャスト膜を熱処理することにより導電性フィラー1688と高分子材料の複合材料を得る。ついで、裁断などにより、所望の形状に複合材料を成型することにより複合膜1686を製造することができる。
【0030】
また、熱軟化性のプラスチックスを用いる場合には、プラスチックスに熱を加えて軟化させ、導電性フィラー1688を混合させて混練することにより、導電性フィラー1688をプラスチックスに混合分散させることで複合材料を得る。
【0031】
ここで、複合膜1686内の導電性フィラー1688の含有率は均一でもよいし、組成傾斜を有してもよい。ここで、「組成傾斜を有する」とは、複合膜1686内の導電性フィラー1688の含有率が、たとえば、図1(a)に示す複合膜1686の上側では低く、下側では高くなっていることなどをさす。
【0032】
ここで、高分子膜665の膨潤により、複合膜1686の単位体積あたりの導電性フィラーの数密度は小さくなる。しかし、燃料電池に用いられるアルコール濃度の範囲内においては、複合膜1686の電気抵抗値が無限大に近いほど大きくならないようにする必要がある。その対策として、たとえば、燃料電池に用いられるアルコール濃度の範囲で一定以下の電気抵抗値となるよう、高分子膜665を構成する材料と、導電性フィラー1688を構成する材料および複合膜1686中の導電性フィラー1688の含有率を選択することが好ましい。
【0033】
ここで、高分子膜665に用いられる材料および導電性フィラー1688に用いられる材料により、複合膜1686中の導電性フィラー1688の質量含有率の望ましい範囲は異なる。これは、高分子膜665に用いられる材料によりアルコールによる膨潤率は異なるからである。また、導電性フィラー1688に用いられる材料の単位質量当たりの表面積などの様々な要因によって、複合膜1686中における導電性フィラー1688の電気的接触の容易さに相違があるからである。
【0034】
たとえば、高分子膜665の材料としてナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)を用い、導電性フィラー1688としてカーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどのカーボン系材料を用いる場合には、ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)の樹脂相当部の質量に対して、導電性フィラー1688を2質量%以上30質量%以下含むことが好ましく、5質量%以上15質量%以下含むことがより好ましい。カーボン系材料の質量含有率を前述の数値範囲とすることにより、好適な濃度測定性能を有するセンサ668を得ることができる。また、導電性フィラー1688として金、白金などの金属材料を用いる場合には、ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)の樹脂相当部の質量に対して、導電性フィラー1688を20質量%以上80質量%以下含むことが好ましい。金属材料の質量含有率を前述の数値範囲とすることにより、好適な濃度測定性能を有するセンサ668を得ることができる。
【0035】
図2は、本実施形態におけるセンサ668の構造を詳細に説明するための図である。図2(a)は、センサ668の第1の電極端子666および第2の電極端子667が設けられた面を示す図であり、図2(b)は、図2(a)の側面図である。第1の電極端子666および第2の電極端子667は、燃料中に安定に存在し、導電性を有する材料であればどのような材料により構成することもできる。ここで、第1の電極端子666および第2の電極端子667は、2枚の複合膜1686で挟んで熱圧着する方法、2枚の金属板を複合膜1686の両端に接合し、その金属板に第1の電極端子および第2の電極端子を取り付ける方法、導電性ペーストなどを用いて複合膜1686に貼り付ける方法などにより、複合膜1686に取り付けることができる。導電性ペーストとしては、金や銀等の金属を含むポリマーペーストや、アクリルアミド等ポリマー自体が導電性を有するポリマーペーストを用いることができる。第1の電極端子666および第2の電極端子667は、それぞれ配線710aおよび配線710bを介して、後述の図3に示す信号処理部670に電気的に接続される。
【0036】
図3は、本実施形態に係るセンサを用いた燃料電池システムの構成の一例を示す図である。図3の燃料電池システム660は、燃料電池本体100と、燃料極タンク662と、アルコール濃度測定装置であるセンサ668と、信号処理部670と、制御部672と、供給部である燃料供給調整部674と、液体燃料を輸送する配管124と、異濃度燃料収容部であり、液体燃料を収容する容器である補助タンク676と、警告提示部680とを含む。
【0037】
本実施の形態において、燃料としては、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、または他のアルコール類等の液体燃料を用いることができる。液体燃料は、水溶液とすることができる。また、燃料には酸またはアルカリを加えることもできる。これにより、水素イオンのイオン伝導性を高めることができる。
【0038】
燃料電池本体100は、固体電解質膜114と、固体電解質膜114に配された燃料極102および酸化剤極108とを含む。酸化剤極108に供給される酸化剤としては、通常、空気を用いることができるが、酸素ガスを供給してもよい。燃料電池本体100の詳細な構成については後述する。
【0039】
本実施の形態において、補助タンク676は、燃料極102に供給される燃料よりもアルコール濃度が高い燃料を収容する。
【0040】
アルコール濃度測定装置であるセンサ668は、燃料極タンク662内の燃料のアルコール濃度を検出するのに用いられる。センサ668は、複合膜1686と、複合膜1686に配設され、複合膜1686の電気抵抗値を測定する一対の電極端子である第1の電極端子666と、第2の電極端子667とを含む。ここで、複合膜1686は、燃料中のアルコール濃度に応じて寸法変化する高分子膜665(図1)と導電性を有するフィラーとを混合させた膜である。ここで、導電性フィラーとは、導電性を有するカーボン、金属、金属化合物などの粒子、繊維などであり、抵抗率が10Ω・cm程度以下のものをさす。また、後述するように、導電性フィラー間の電気的接触点の個数の増減によって複合膜1686の電気抵抗値が異なり(電気的接触点の数が多いほど、電気抵抗値は低くなる)、その測定は複合膜1686に電圧を印加した際に導電性フィラー間に流れる電流の大きさを測定することにより行われる。ここで、電圧印加部と電流測定部は、信号処理部670に直列接続されて内蔵される。また、導電性フィラー間に電流を流した際に複合膜1686にかかる電圧の大きさを測定することによっても行われる。
【0041】
第1の電極端子666および第2の電極端子667は、導電性を有し、燃料に対する耐性を有するものであれば、どのような材料により構成することもでき、たとえば、金、銀、白金、アルミニウム、ステンレス、カーボン等により構成することができる。また、第1の電極端子666および第2の電極端子667は、複合膜1686の表面に設けることもできるが、複合膜1686中に設けてもよい。
【0042】
複合膜1686は、燃料極タンク662中の燃料を含浸するように構成され、高分子膜665(図1)は燃料中のアルコール濃度に応じて膨張・収縮する材料により構成される。本実施の形態における燃料電池システム660は、前述したように、高分子膜665の体積の変化による複合膜1686の電気抵抗値の変化に基づき、燃料極タンク662中の燃料のアルコール濃度を検出することができる。
【0043】
高分子膜665は、燃料のアルコール濃度に応じて膨張・収縮する材料により構成されており、膨張後に濃度の変化に応じて可逆的に縮小する材料により構成することができるが、たとえば、燃料電池本体100の固体電解質膜114と同様の材料により構成することができる。ここで、燃料のアルコール濃度に応じて膨張・収縮する材料としては、たとえば、アルコール親和性の高い官能基を有するものが挙げられ、これらの材料はアルコールなどに対して親和性が高いのでアルコールなどの濃度に応じて膨張・収縮する性質を有するものと考えられる。このような材料としては、たとえば、スルホン酸基、スルホアルキル基、スルホンイミド基、リン酸基、ホスフィン酸基、ホスホン酸基等のアルコール濃度に応じて膨潤率が変化するプロトン酸基を含むものなどを用いることができる。
【0044】
このようなスルホン酸基などのプロトン酸基が結合する対象の基体のポリマーとしては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド等の膜を用いることができる。さらに、基体のポリマーとして、芳香族を含むポリマーを用いることもできる。
【0045】
また、スルホン酸基が結合する対象の基体のポリマーとしては、
ポリベンゾイミダゾール誘導体、ポリベンゾオキサゾール誘導体、ポリエチレンイミン架橋体、ポリサイラミン誘導体、ポリジエチルアミノエチルスチレン等のアミン置換ポリスチレン、ポリジエチルアミノエチルメタクリレート等の窒素置換ポリアクリレート等の窒素または水酸基を有する樹脂;
シラノール含有ポリシロキサン、ポリヒドロキシエチルメタクリレートに代表される水酸基含有ポリアクリル樹脂;
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)に代表される水酸基含有ポリスチレン樹脂;
等を用いることもできる。
【0046】
以下、アルコール濃度に応じて膨張・収縮する性質を有する他の高分子膜として、パーフルオロカルボン酸膜などの弱酸性膜、陰イオン交換基として第四級アンモニウム基や各級アミンを導入したフッ素系イオン交換膜やアミノ化されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの陰イオン交換膜等を用いることもできる。
【0047】
また、上記したポリマーに対して、適宜、架橋性の置換基、たとえば、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、シンナモイル基、メチロール基、アジド基、ナフトキノンジアジド基を導入したものを用いることもできる。また、これらの置換基が架橋されたものを用いることもできる。
【0048】
具体的には、高分子膜665として、たとえば、
スルホン化ポリエーテルエーテルケトン;
スルホン化ポリエーテルスルホン;
スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン;
スルホン化ポリスルホン;
スルホン化ポリスルフィド;
スルホン化ポリフェニレン;
スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルホン化ポリベンゾイミダゾール等の芳香族含有高分子;
スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン;
スルホアルキル化ポリエーテルスルホン;
スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン;
スルホアルキル化ポリスルホン;
スルホアルキル化ポリスルフィド;
スルホアルキル化ポリフェニレン;
スルホン酸基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン((登録商標)デュポン社製)、アシプレックス(旭化成社製)等);
カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオン(登録商標)S膜(旭硝子社製)等);
ポリスチレンスルホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、架橋アルキルスルホン酸誘導体、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素含有高分子等の共重合体;
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなアクリルアミド類とn−ブチルメタクリレートのようなアクリレート類とを共重合させて得られる共重合体;
等を用いることができる。また、芳香族ポリエーテルエーテルケトンまたは芳香族ポリエーテルケトンを用いることもできる。
【0049】
第1の電極端子666および第2の電極端子667は、複合膜1686表面または複合膜1686中に互いに離間して設けられる。ここで、高分子膜665は、アルコール濃度に応じて膨張・収縮する材料により構成されるため、アルコール濃度に応じて複合膜1686中における導電性フィラー1688の数密度は変化する。このため、複合膜1686に含まれる導電性フィラー1688の電気的な接触点の数が燃料極タンク662中の燃料のアルコール濃度に応じて変化し、第1の電極端子666と第2の電極端子667との間に複合膜1686を介して電流を流した場合、燃料タンク664中の燃料のアルコール濃度に応じて、第1の電極端子666および第2の電極端子667を用いて測定する複合膜1686の電気抵抗値が変化する。ここで、本実施形態においては、第1の電極端子666と第2の電極端子667との間に複合膜1686を介して流す電流として直流を用いている。また、第1の電極端子666と第2の電極端子667との間に流す電流として交流を用いてもよい。
【0050】
信号処理部670が測定した燃料極タンク662中の燃料のアルコール濃度は制御部672に伝達される。燃料供給調整部674は、補助タンク676から配管124を介して燃料極タンク662に燃料を供給する処理を行う。制御部672は、信号処理部670により測定されたアルコール濃度が適正な範囲にないと判断したとき、燃料極タンク662中の燃料のアルコール濃度が適正な範囲内となるように燃料供給調整部674に指示信号を送る。燃料供給調整部674は、制御部672の制御に基づき、補助タンク676から配管124を介して燃料極タンク662に供給する燃料の供給量を制御する。
【0051】
図11は、燃料供給調整部674の構成を詳細に示す図である。燃料供給調整部674は、燃料供給部465を含む。燃料供給部465は、補助タンク676から配管124を介して燃料タンク664に供給する燃料の供給量を変化させる。燃料供給部465としては、圧電ポンプなどを用いることができる。燃料供給部465として圧電ポンプを用いた場合、制御部672は、圧電ポンプに印加する電圧を変化させることなどにより補助タンク676からの燃料の供給量を制御する。
【0052】
信号処理部670は、第1の電極端子666および第2の電極端子667を用いて測定する複合膜1686の抵抗値に基づき、燃料極タンク662中の燃料のアルコール濃度を測定する。
【0053】
図12に示すように、信号処理部670は、第1の電極端子666と第2の電極端子667との間の抵抗値を測定する抵抗測定部(R/O)682と、抵抗測定部682が測定した抵抗値に基づき、燃料極タンク662中のアルコール濃度を算出する濃度算出部(S/O)684と、第1の電極端子666と第2の電極端子667の間の抵抗値とメタノール濃度との関係を示す参照データを記憶する参照データ記憶部685とを含む。抵抗測定部682としては、たとえば、直流測定においては定電流源と電圧計、定電圧源と電流計などを用いることができる。また、交流測定においては、交流電圧発生器と電流測定器などを用いることができる。第1の電極端子666と第2の電極端子667との間の抵抗値は、直流電流もしくは交流電流を用いて測定することができる。濃度算出部684は、参照データ記憶部685を参照して参照データに基づき測定した抵抗値からメタノール濃度を算出する。
【0054】
具体的には、燃料中のアルコール濃度が一定の基準値より低い場合、制御部672は、警告提示部680に警告を発生させるとともに、燃料供給調整部674に対し、高濃度メタノールを燃料極タンク662へ上述した基準値との差異を補正する量だけ供給するよう指令を出し、その供給がなされた後でもなお燃料のアルコール濃度が一定基準値より低い場合には、さらに高濃度メタノールを供給するよう指令を出し、燃料のアルコール濃度が一定の基準値の範囲内となるようにする。
【0055】
本実施形態に示したような構成とすると、燃料極タンク662中の燃料のアルコール濃度が所定濃度以下となった場合に警告提示部680に警告を発生させるとともに、燃料中への高濃度メタノールの補給が上記した燃料供給量決定方法により自動的になされ、燃料電池の運転を円滑に行うことが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態においては、燃料極タンク662中の燃料のアルコール濃度が所定濃度以下となった場合の燃料供給量決定方法の形態について説明したが、燃料極タンク662中の燃料のアルコール濃度が所定濃度以上となった場合も燃料供給量を調整することができる。その方法としては、たとえば、濃度検知部からの指令によって高濃度メタノールの補給量を減少させる方法や、燃料電池システムに別途、低濃度補助タンクや純水収容部を設置して、信号処理部からの指令によって低濃度メタノールや純水を補給する方法などが挙げられる。
【0057】
また、制御部672は、燃料供給調整部674を制御する処理を繰り返しても燃料極タンク662中の燃料のアルコール濃度が適正な範囲内にならない場合、警告提示部680に警告を発生させる。
【0058】
また、センサ668は、図9に示すように、第一の電極端子666および第二の電極端子667の表面がたとえばテフロン(登録商標)等の疎水性の膜720で覆われた構成としてもよい。このようにすれば、センサ668を燃料極タンク662中に導入した場合でも、第一の電極端子666および第二の電極端子667が燃料極タンク662中の燃料と直接接触することがない。そのため、第一の電極端子666および第二の電極端子667が燃料により腐食等されるのを抑制することができる。これにより、第1の電極端子666および第2の電極端子667を安定に保つことができる。したがって、センサ668の安定性を向上させることができる。
【0059】
図4は、センサ668の他の例を示す図である。図4に示すように、複合膜1686の両端を、第1の電極端子666および第2の電極端子667で挟持する構成としてもよい。ここで、リード線710aは第1の電極端子666と接続され、リード線710bは第2の電極端子667と接続されている。挟持の形態としては、図4に示す複合膜1686の一方の端の3辺を覆うように第1の電極端子666が断面コの字状に接合され、もう一方の端の3辺を覆うように第2の電極端子667が断面コの字状に接合される形態のように、複合膜1686の一部を第1の電極端子666および第2の電極端子667により覆う形態などが挙げられる。こうすることにより、複合膜1686を安定的に固定することができる。したがって、センサ668の安定性を向上させることができる。このとき、第1の電極端子666および第2の電極端子667を絶縁性の支持体に固定してもよい。
【0060】
また、図4におけるセンサ668において、リード線710a、710bを用いる代わりに配線を施した基板(不図示)上に配線を施し、リード線を用いることなく、第1の電極端子666および第2の電極端子667と、信号処理部670などとを電気的に接続する形態でもよい。配線を施すための基板としては、絶縁性を有し、機械的強度、化学的安定性に優れた材料が用いられ、アルミナなどのセラミックス基板やガラス基板などが特に好ましく用いられる。また、複合膜1686の面内に高分子多孔質基材などを導入し、複合膜1686面内での過剰な膨潤あるいは不可逆な膨潤を抑制することにより、センサ668の機械的強度を更に高めることができ、センサ668の測定精度を高めることができる。
【0061】
図5は、センサ668の他の例を示す図である。図5に示すように、第1の電極端子666および第2の電極端子667が配置された基板202上に複合膜1686を設ける構成としてもよい。複合膜1686を基板202上に設ける方法としては、たとえば、複合膜1686を作製した後、適当な大きさに切った後で、基板202上に接合する方法が挙げられる。ここで、基板202上への複合膜1686の接合には、複合膜1686に用いられる導電性フィラーと高分子溶液の混合溶液をあらかじめ基板202表面に塗布し、その後で複合膜1686を基板202に熱圧着するなどの方法を用いることができる。さらに、基板202表面を粗面化した後で混合溶液を塗布することにより、基板202と複合膜1686との密着性を高めることもできる。また、ディップコート法、キャスト法やスピンコート法などを用いて、基板202上に複合膜1686を設けてもよい。こうした方法を用いることにより、サブミクロンオーダーの薄膜を容易に形成することができ、センサ668を小型化することができる。
【0062】
図6は、図5に示すセンサ668の変形例を示す図である。図6(a)は、図5に示すセンサ668に、燃料吸収部1690および燃料が通過する孔1692を有する押さえ板1694が設けられたセンサの図である。図6(b)は、押さえ板1694を上面から見た図である。燃料吸収部1690を構成する材料としては、燃料を吸収しやすく柔軟性のある高分子多孔質体などを用いることができ、具体的には、セルロースやポリウレタンなどを用いることができる。センサ668に燃料吸収部1690および押さえ板1694が設けられ、燃料吸収部1690に柔軟性のある多孔質体の材料が用いられているために複合膜1686の膨潤が維持されつつ、燃料吸収部1690には複合膜1686が押さえ板1694の外側には膨張しない程度に基板202側へ押し付ける力が働くため、複合膜1686の収縮時における複合膜1686と基板202との接着性を強化することができる。したがって、センサ668の衝撃や振動などの外力に対しての耐性を高めることができ、センサ668の測定精度を高めることができる。
【0063】
図7は、センサ668の他の例を示す図である。図7に示すセンサ668は、第1の電極端子666および第2の電極端子667が基板202の表面上に形成され、第一の電極端子666および第二の電極端子667の一部が複合膜1686内に埋設されている点で、図4に示すセンサと異なる。センサ668をこのような構造とすることによって、第一の電極端子666および第二の電極端子667の一部は直接燃料と接触するのではなく、複合膜1686を介して燃料と接触することとなる。そのため、第一の電極端子666および第二の電極端子667のうち複合膜1686内に埋設されている部分について、燃料による腐食等の影響を受けにくくすることができる。これにより、第1の電極端子666および第2の電極端子667のうち複合膜1686内に埋設されている部分を安定に保つことができる。したがって、センサ668の安定性を向上させることができる。また、第1の電極端子666および第2の電極端子667に設けられる配線710aおよび710bがセンサ668の一方の面側に取り付けられていることにより、センサ668の両方の面側に配線が取り付けられている場合と比較して、センサ668の構造をより簡易にすることができる。
【0064】
図8は、センサ668の他の例を示す図である。図8に示すように、第1の電極端子666および第2の電極端子667が、複合膜1686の厚み方向に設けられた構成とすることができる。センサ668をこのような構成にすると、複合膜1686が拘束されているので所定の体積以上には膨張しない。センサ668をこのような構造とすることにより、センサ668自身の抵抗値の増大を抑制することができる。そのため、センサ668を用いて燃料124のアルコール濃度を測定する際に、センサ668を構成する第一の電極端子666および第二の電極端子667に印加する電圧を低くすることができる。したがって、燃料電池システム660を省電力化されたシステムとすることができる。また、第1の電極端子666および第2の電極端子667を構成する材料として、ニッケル多孔質板などの多孔質材料を用いることもできる。こうすることにより、複合膜1686への燃料を含む溶液の拡散を容易に行うことができる。また、図8中上下方向である膜面方向への複合膜1686の膨潤を抑制するためにPTFEなどの多孔質高分子基材を膜面方向に一層以上設ける構成としてもよい。こうすることにより、センサ668の機械的強度をより高めることができる。
【0065】
以上、本実施形態に係るセンサ668について説明した。以下、本実施形態に係るセンサ668を用いた燃料電池システムの例について説明する。
【0066】
図10は、燃料電池システム660の構成の他の例を示す図である。図10に示すように、燃料電池システム660に燃料タンク664を設け、燃料タンク664中にセンサ668を設置してもよい。この場合、燃料タンク664には、燃料極タンク662に供給される燃料が導入される。燃料電池システム660内に燃料タンク664を設け、センサ668を用いて燃料タンク664内のアルコール濃度を測定することによって燃料タンク664内のアルコール濃度を調整することにより、直接発電に用いられる燃料極タンク662内のアルコール濃度の増減の幅を緩和することができる。
【0067】
また、燃料電池システム660は、補助タンク676および燃料供給調整部674を含まない構成としてもよい。この場合、制御部672は、信号処理部670により測定されたアルコール濃度が適正な範囲内でない場合、警告提示部680に警告を発生させる。燃料タンク664中の燃料124を燃料極タンク662に循環させて燃料電池本体100で電気化学反応を起こさせると、通常、燃料中のアルコールの含有量(モル比)は水の含有量(モル比)より低いため、燃料中のアルコールが消費され、燃料タンク664中の燃料のアルコール濃度が徐々に低下していく。このような構成とすると、燃料タンク664中の燃料のアルコール濃度が所定濃度以下となった場合に警告提示部680に警告を発生させることができ、燃料タンク664中の燃料の利用可能終点を検知することができる。
【0068】
また、燃料電池システム660は、温度センサをさらに含んでいてもよい。すなわち、温度センサをさらに含むことにより、センサ668の温度依存性を補償してもよい。温度センサは、燃料タンク664中の燃料の温度を測定する。参照データ記憶部685(図12)は、第1の電極端子666および第2の電極端子667間の抵抗値とメタノール濃度との関係を温度毎に記憶することができる。また、参照データ記憶部685は、温度毎に第1の電極端子666および第2の電極端子667間の抵抗値とメタノール濃度との関係の補正式を記憶することができる。このようにすれば、信号処理部670は、燃料タンク664中の燃料の温度をも考慮して燃料中のメタノール濃度を測定することができ、メタノール濃度をより正確に測定することができる。
【0069】
温度センサとしては、熱電対、金属測温抵抗体、サーミスタ、IC温度センサ、磁気温度センサ、サーモパイル、または焦電型温度センサ等を用いることができる。
【0070】
また、センサ668を燃料タンク664の壁部に設けた構成としてもよい。
【0071】
次に、図13を参照して図3に示した燃料電池本体100の構成を説明する。燃料電池本体100は、単数または複数の単セル構造101を有する。図13は、単セル構造101を模式的に示した断面図である。各単セル構造101は、燃料極102、酸化剤極108および固体電解質膜114を含む。燃料電池本体100において、単セル構造101の燃料極102には、燃料極側セパレータ120を介して燃料が供給される。また、各単セル構造101の酸化剤極108には、酸化剤極側セパレータ122を介して酸化剤126が供給される。
【0072】
固体電解質膜114は、燃料極102と酸化剤極108を隔てるとともに、両者の間で水素イオンを移動させる役割を有する。このため、固体電解質膜114は、水素イオンの伝導性が高い膜であることが好ましい。また、化学的に安定であって機械的強度が高いことが好ましい。
【0073】
燃料極102および酸化剤極108は、それぞれ、触媒を担持した炭素粒子と固体電解質の微粒子とを含む燃料極側触媒層106および酸化剤極側触媒層112をそれぞれ基体104および基体110上に形成した構成としてもよい。触媒としては、白金や白金とルテニウムの合金等が例示される。燃料極102および酸化剤極108の触媒は同じものを用いても異なるものを用いてもよい。
【0074】
以上のようにして構成された単セル構造101を積み重ねることにより、複数の単セル構造101が直列に接続された燃料電池セルスタックを含む燃料電池本体100を得ることができる。
【0075】
以下、本実施形態に係るセンサ668および燃料電池システム660の効果について説明する。
【0076】
本実施形態におけるセンサ668の複合膜1686を構成する高分子膜665は燃料のアルコール濃度の変化に伴い、膨潤率が変化する性質を有している。また、本実施形態においては燃料のアルコール濃度の増大に伴って、膨潤率が増大する性質を有する高分子膜665を用いている。このため、燃料のアルコール濃度が増大すると、高分子膜665を含む複合膜1686の膨潤率が増大し、それに伴って複合膜1686の単位体積あたりの導電性フィラー1688の数密度が減少する。そのため、複合膜1686中に存在する各導電性フィラー1688間の距離が大きくなることにより、導電性フィラー間の電気的接触点の数が減少し、第1の電極端子666と第2の電極端子667との間の電流経路の数が減少する。したがって、複合膜1686に電流を流した場合の複合膜1686の電気抵抗値が増大する。この結果、第1の電極端子666および第2の電極端子667を用いて電気抵抗値を測定することによって、複合膜1686の電気抵抗値の変化をモニターすることにより、燃料のアルコール濃度を正確に測定することができる。
また、電流経路の数の減少は燃料のpHの影響を受けにくいので、アルコール濃度を測定する際のpH依存性を無視できる程度に軽減することができる。
【0077】
また、燃料電池システム660にセンサ668を用いることにより、燃料電池の構成をとっているセンサに較べて消費電力が小さく、燃料消費の小さい簡素化された燃料電池システム660を実現することができる。さらに、燃料電池システム660に備えられるセンサ668には、複合膜1686の電気抵抗値を測定するために直流電源を用いることができる。このため、燃料電池システム660内に直流・交流変換回路を設けることなく、センサ668を用いて燃料のアルコール濃度を測定することができる。したがって、より小型・軽量化および簡素化された燃料電池システム660を実現することができる。さらにまた、燃料の測定精度の高いセンサ668が備えられるため、燃料濃度の制御性に優れ、補助タンク676などの交換時期の把握が容易な燃料電池システム660を実現することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、高分子膜665および導電性フィラー1688から構成される複合膜1686に、第1の電極端子666および第2の電極端子667を付けただけの簡易な構成で燃料のメタノール濃度を検出することができるセンサ668を用いた燃料電池システム660を実現することができる。
【0079】
第二の実施の形態
図14は、本実施形態における燃料電池システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態において、燃料電池システム660にはカートリッジ678が取り付けられる。
【0080】
カートリッジ678は、燃料タンク664および補助タンク676を含むように構成される。燃料電池システム660の本体側679には、燃料電池本体100、燃料極タンク662、燃料供給調整部674、信号処理部670、制御部672、および警告提示部680が設けられる。第一の実施の形態において説明したのと同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0081】
ここで、燃料供給調整部674は、カートリッジ678が取り付けられたときに、カートリッジ678の補助タンク676に含まれる燃料124を燃料タンク664に供給可能に構成される。カートリッジ678において、燃料タンク664はセンサ668を含む。本体側679において、信号処理部670には、カートリッジ678が取り付けられたときに、センサ668の第1の電極端子666および第2の電極端子667と電気的に接続される端子(不図示)が設けられる。燃料極タンク662は、燃料タンク664から燃料を導入可能に構成される。
【0082】
図15は、カートリッジ678における燃料タンク664と本体側679における燃料極タンク662とを示す模式図である。燃料極タンク662には燃料供給口643が設けられ、燃料タンク664は、燃料極タンク662の燃料供給口643と嵌合する嵌合部647を有する。カートリッジ本体645の側壁には、センサ668の第1の電極端子666および第2の電極端子667とそれぞれ電気的に接続された電極端子666aおよび電極端子667aが設けられる。ここで、燃料電池本体100は、図14に示した構成に加えて、絶縁シート130と、燃料極側集電体132と、酸化剤極側集電体134とをさらに含む。
【0083】
また、燃料電池システム660にカートリッジ678が取り付けられる形態においても、センサ668を、本体側679の燃料極タンク662内に設けてもよい。さらに、燃料電池システム660は、補助タンク676のみを含むカートリッジ678を取り外し可能とした構成としてもよい。また、図示していないが、カートリッジ678にバルブを含めた構成とすることもできる。また、センサ668は、カートリッジ678の壁部に設けることもできる。この場合、カートリッジ678外部に露出したセンサ668部分をシールなどで覆う構成とし、本体側679に取り付け前にシールを取り外すようにすることができる。これにより、カートリッジ678を本体側679に取り付け前にカートリッジ678から液体燃料が漏れだしたりするのを防ぐことができる。
【0084】
また、カートリッジ678の燃料タンク664は燃料供給部材を含んでもよい。この例において、燃料電池本体100には燃料極タンク662が設けられず、燃料タンク664に含まれる燃料は燃料供給部材を介して燃料電池本体100の燃料極102に供給される。燃料供給部材は、燃料を吸収するとともに、吸収した燃料を燃料電池本体100に供給することのできる材料により構成される。燃料供給部材は、たとえばウレタンにより構成することができる。また、燃料供給部材は、シリカ多孔体やアルミナ多孔体などのセラミックス多孔体、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルフィドまたはポリベンズイミダゾール等の多孔質フィルム等により構成することもできる。
【0085】
カートリッジ678がこのような構成を有する場合、制御部672は、信号処理部670により測定された燃料タンク664中のアルコール濃度が適正な範囲内でない場合、警告提示部680に警告を発生させることができる。
【0086】
本実施の形態における燃料電池システム660によれば、簡易な構造で燃料のアルコール濃度を検出することができる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0088】
たとえば、センサ668は、三以上の電極端子を含んでもよく、たとえば四つの電極端子を含んでもよい。センサ668が四つの電極端子を含む場合、一方の一対の電極端子を定電流源接続用とすることができ、他方の一対の電極端子を電圧測定用としてもよい。こうすることにより、電圧測定用の端子にはほとんど電流が流れないため、測定対象物である複合膜1686と電圧測定用の電極端子との接触抵抗の影響が無視できるほどに小さくなり、そのため、より精度よくアルコール濃度を測定することができる。また、一方の一対の電極端子を電圧印加用とすることができ、他方の一対の電極端子を電流測定用としてもよい。
【0089】
また、センサ668は、メタノール等を水素ガスに改質し、燃料として水素を利用する燃料電池システムにおいて、改質前のアルコール濃度を測定するのに用いてもよい。
【0090】
さらに、センサ668は、燃料電池システム660中のアルコール濃度測定に限定されず、種々の溶液中のアルコール濃度を測定するのに用いてもよい。たとえば、アルコール飲料中のアルコール濃度を測定するのに用いてもよい。
【0091】
また、燃料電池システム660についても変形可能である。たとえば、燃料電池システム660は、補助タンクおよび燃料供給部をそれぞれ2つずつ含む構成としてもよい。この場合、燃料電池システム660は、図3に示した補助タンク676にかえて、第1の補助タンクおよび第2の補助タンクを含む。第1の補助タンクおよび第2の補助タンクから供給された第1の燃料成分および第2の燃料成分は、混合部で混合されて燃料として燃料電池本体に供給される。
【0092】
また、燃料電池システム660は、濃度調整部をさらに含んでもよい。濃度調整部は混合部を調整して第1の補助タンクおよび第2の補助タンクからそれぞれ供給される第1の燃料成分および第2の燃料成分の混合率を制御する。濃度調整部は、制御部によって制御される。
【0093】
このように、燃料供給調整部においては、2つの燃料成分の供給量が個別に制御されるので、燃料の濃度を適宜調整することができる。また、2つの燃料成分は、混合部で混合されて燃料電池本体に供給されるので、2つの燃料成分を均一に混合して燃料電池本体に供給することができる。
【0094】
なお、燃料供給調整部は、3つ以上の燃料供給部を含んでもよい。この場合、燃料電池システムも3つ以上の補助タンクを含んでもよい。
【0095】
また、燃料電池システム660は、カートリッジ678は、第1の補助タンクおよび第1の補助タンクとはアルコール濃度の異なる燃料を収容する第2の補助タンクを含む構成としてもよい。なお、第1の補助タンクおよび第2の補助タンクのいずれか一方は、アルコールを含まない水を収容してもよい。さらに、燃料を燃料電池本体100に供給した後、排出される水が第1の補助タンクまたは第2の補助タンクのいずれかに返却されて循環する形態としてもよい。
【0096】
ここで、本体側679に第1のポンプおよび第2のポンプが設けられていてもよい。第1のポンプおよび第2のポンプを駆動させることにより、第1の補助タンクおよび第2の補助タンクから本体側679に燃料を供給することができる。なお、センサ668は、燃料極タンク662内に設けられてもよく、また燃料タンク664と燃料極タンク662とを結ぶ配管中に設けられてもよく、第1のポンプおよび第2のポンプと燃料タンク664とを結ぶ配管中に設けられてもよい。
【0097】
さらに、第1のポンプおよび第2のポンプは、カートリッジ678内に設けられた構成としてもよい。この場合も、第1のポンプおよび第2のポンプは、カートリッジ678が本体側679に取り付けられたときに、制御部672(図14等参照)に電気的に接続されるように構成してもよく、制御部672により制御することができる。
【0098】
なお、本体側679に燃料タンク664が設けられた例を示したが、燃料電池システム660は、燃料タンク664を含まない構成としてもよく、カートリッジ678から供給される燃料が配管を介して燃料極タンク662に直接導入される形態としてもよい。
【0099】
また、上記実施形態においては、センサ668を用いてアルコール濃度を測定する形態について説明したが、たとえば、ホルムアルデヒド、アセトン、ギ酸など、アルコール以外の溶液中の所定成分の濃度をセンサを用いて測定してもよい。
【0100】
また、上記実施形態においては、アルコール濃度が高くなるにつれて膨潤する高分子膜665を有するセンサ668を用いてアルコール濃度を測定する形態について説明したが、ホルムアルデヒド、アセトン、ギ酸などアルコール以外の溶液中の所定成分についても、高分子膜665として例示したものを用いて濃度を測定することができる。たとえば、ギ酸の濃度が高くなるにつれて膨潤するスルホン酸基、スルホアルキル基、スルホンイミド基、リン酸基、ホスフィン酸基、ホスホン酸基等を含有する高分子膜を含有するセンサとすることで、上記成分の測定が可能となる。
【実施例】
【0101】
実施例1
高分子溶液としてナフィオン溶液(登録商標)DE2020(デュポン社製;樹脂含有率20%)を用い、導電性フィラーとしてカーボンブラックをナフィオン溶液(登録商標)DE2020(デュポン社製)の樹脂相当量に対して、11質量%混合分散させたペーストを作製する。次に、上記ペーストをガラス板上にキャストし、常温で自然乾燥させることによりキャスト膜を作製する。さらに上記キャスト膜を温度140℃のもとで熱処理することにより導電性フィラーと高分子材料の複合材料を得ることができる。ついで、複合材料を、幅約9mm、長さ約7mm、厚さ約0.6mmの大きさに裁断して複合膜を作製する。続いて、2枚の複合膜を用いて、2本の白金端子(直径約0.2mm、長さ約20mm)を6mmの間隔で挟み、厚み方向に熱圧着することにより、2本の白金端子を複合膜に取り付けることで、センサを準備する。
【0102】
容器内に濃度が既知のメタノール水溶液を導入し、直流電流を流すことによってセンサの電極端子間の抵抗値を測定した。表1は、メタノール濃度および電気抵抗のデータを示す表であり、図16は、メタノール濃度と電気抵抗値との関係を示す図である。図16に示すように、上記センサを用いることにより、精度よくアルコール濃度を検出することができた。また、上記センサを用いてアルコール濃度を繰り返し測定することができた。
【0103】
【表1】

【0104】
実施例2
実施例1で作製したセンサを用いて、メタノール濃度が5質量%の水溶液を容器内に導入し、pH6.4の水溶液に0.5mol/lの硫酸を滴下して水溶液のpHを変化させた場合のセンサの電極端子間の抵抗値を測定した。表2は、メタノール濃度が5質量%であるときのpHおよび電気抵抗値のデータを示す表であり、この結果によれば、pHを6.4から2.7まで変化させたとしても、電気抵抗値はほとんど変化しないことがわかった。表2に示すように、上記センサを用いることにより、精度よくアルコール濃度を測定できることがわかった。
【0105】
【表2】

【0106】
実施例3
高分子溶液としてナフィオン溶液(登録商標)DE2020(デュポン社製;樹脂含有率20%)を用い、導電性フィラーとしてカーボンブラックをナフィオン溶液(登録商標)DE2020(デュポン社製)の樹脂相当量に対して、13質量%混合分散させたペーストを作製する。次に、上記ペーストをガラス板上にキャストし、常温で自然乾燥させることによりキャスト膜を作製する。さらに上記キャスト膜を温度140℃のもとで熱処理することにより導電性フィラーと高分子材料の複合材料を得ることができる。ついで、複合材料を、幅約3.5mm、長さ約15mm、厚さ約0.2mmの大きさに裁断して複合膜を作製する。続いて、2本の白金端子(幅約3.5mm、長さ2.5mm、厚さ0.1mm)によって複合膜を押さえ、2本の白金端子を10mm間隔で複合膜に取り付けることで、センサを準備する。
【0107】
容器内に濃度が既知のアセトン水溶液を導入し、直流電流を流すことによってセンサの電極端子間の抵抗値を測定した。表3は、アセトン濃度および電気抵抗のデータを示す表であり、図17は、アセトン濃度と電気抵抗値との関係を示す図である。表3および図17に示すように、上記センサを用いることにより、精度よくアセトン濃度を検出することができた。
【0108】
【表3】

【0109】
実施例4
実施例3で作製したセンサを用いて、容器内に濃度が既知のギ酸水溶液を導入し、直流電流を流すことによってセンサの電極端子間の抵抗値を測定した。表4は、ギ酸濃度および電気抵抗のデータを示す表であり、図18は、ギ酸濃度と電気抵抗値との関係を示す図である。表4および図18に示すように、上記センサを用いることにより、精度よくギ酸濃度を検出することができた。
【0110】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】実施の形態に係るセンサを詳細に示す図である。
【図2】実施の形態に係るセンサの他の例を示す図である。
【図3】実施の形態に係る燃料電池システムの構成の一例を示す図である。
【図4】センサのまた他の例を示す図である。
【図5】センサのまた他の例を示す図である。
【図6】センサのまた他の例を示す図である。
【図7】センサのまた他の例を示す図である。
【図8】センサのまた他の例を示す図である。
【図9】センサの他の例を示す図である。
【図10】実施の形態に係る燃料電池システムの構成の他の例を示す図である。
【図11】図3に示した燃料供給処理部の構成を詳細に示す図である。
【図12】図3に示した信号処理部の構成を詳細に示す図である。
【図13】実施の形態に係る燃料電池本体の単セル構造を模式的に示した断面図である。
【図14】実施の形態に係る燃料電池システムの構成の一例を示す図である。
【図15】図14に示したカートリッジにおける燃料タンクと本体側における燃料極タンクとを示す模式図である。
【図16】実施例に係るメタノール濃度と電気抵抗値との関係を示す図である。
【図17】実施例に係るアセトン濃度と電気抵抗値との関係を示す図である。
【図18】実施例に係るギ酸と電気抵抗値との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
100 燃料電池本体
101 単セル構造
102 燃料極
104 基体
106 燃料極側触媒層
108 酸化剤極
110 基体
112 酸化剤極側触媒層
114 固体電解質膜
120 燃料極側セパレータ
122 酸化剤極側セパレータ
124 配管
126 酸化剤
130 絶縁シート
132 燃料極側集電体
134 酸化剤極側集電体
202 基板
465 燃料供給部
643 燃料供給口
645 カートリッジ本体
647 嵌合部
660 燃料電池システム
662 燃料極タンク
664 燃料タンク
665 高分子膜
666 第1の電極端子
667 第2の電極端子
668 センサ
670 信号処理部
672 制御部
674 燃料供給調整部
676 補助タンク
678 カートリッジ
679 本体側
680 警告提示部
682 抵抗測定部
684 濃度算出部
685 参照データ記憶部
720 膜
851 燃料タンク
1686 複合膜
1688 導電性フィラー
1690 燃料吸収部
1692 孔
1694 押さえ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定成分を含む液体に浸漬された際に該液体中の前記所定成分の濃度に応じて寸法変化する高分子膜と、
前記高分子膜に混合された導電性フィラーと、
前記高分子膜に配設された少なくとも一対の電極端子と、
を含むことを特徴とする溶液濃度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の溶液濃度測定装置において、
前記高分子膜が、スルホン酸基を含有することを特徴とする溶液濃度測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の溶液濃度測定装置において、
前記導電性フィラーが、カーボンを主成分とする導電性フィラーであることを特徴とする溶液濃度測定装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の溶液濃度測定装置において、
前記導電性フィラーが、カーボンブラックであることを特徴とする溶液濃度測定装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の溶液濃度測定装置において、
前記導電性フィラーが、金属フィラーであることを特徴とする溶液濃度測定装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の溶液濃度測定装置において、
前記導電性フィラーが、金属化合物を用いたフィラーであることを特徴とする溶液濃度測定装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかに記載の溶液濃度測定装置において、
前記所定成分がアルコールであることを特徴とする溶液濃度測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかに記載の溶液濃度測定装置を備えることを特徴とする燃料電池用燃料容器。
【請求項9】
アルコールを含有する液体燃料を利用する燃料電池システムであって、
固体高分子電解質膜、および、該固体高分子電解質膜に配された燃料極および酸化剤極を含む燃料電池本体と、
前記液体燃料を収容する容器と、
(a)所定成分を含む液体燃料に浸漬された際に該液体中の前記所定成分の濃度に応じて寸法変化する高分子膜、
(b)前記高分子膜に混合された導電性フィラー、および
(c)前記高分子膜に配設された少なくとも一対の電極端子を含む燃料電池用溶液濃度測定装置
を含むことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項10】
請求項9に記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池用溶液濃度測定装置を用いて測定された前記所定成分の濃度を検出する信号処理部をさらに含むことを特徴とする燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−47065(P2006−47065A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227235(P2004−227235)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】