溶着接合用部材および成形品
【課題】
本発明は、機械的特性、耐熱性などを有し、かつ溶着強度に優れ外観が良好である主としてポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材および成形品を提供する。
【解決手段】
主として(A)ポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材であって、前記(A)ポリアミド樹脂が(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする溶着接合用部材。
本発明は、機械的特性、耐熱性などを有し、かつ溶着強度に優れ外観が良好である主としてポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材および成形品を提供する。
【解決手段】
主として(A)ポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材であって、前記(A)ポリアミド樹脂が(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする溶着接合用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶着接合用部材および成形品に関する。特に、溶着加工において優れた溶着強度および外観を有し、複雑な形状の部品、例えば二輪および四輪自動車のオイルタンク、吸気系部品、およびその集積部品、電装品ケース、その他容器類などの製造に適した溶着接合用部材あるいは成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は、その優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性を有しており、自動車や電気部品材料として広く使用されている。また、ガラス繊維を配合することにより、更に強度が向上するため、ガラス繊維で強化した状態でも広く使用されている。
【0003】
ポリアミド樹脂部材の成形方法としては、射出成形法が広く利用されているが、中空の部品や複雑な形状の部品については、射出成形法のみで製造することは困難であり、2つあるいはそれ以上の部品を分割して成形した後、接合することによって製造されることがある。
【0004】
この様な接合においては、接着剤を用いたり、噛合構造を用いたり、部材を構成する樹脂自身を熱等で流動化させて接合(溶着)する方法が挙げられる。しかし、接着剤を用いる方法は作業が繁雑であり、噛合構造を用いる方法は液体に接触する用途に向かない。一方、溶着法は簡便な方法であるが、近年の部品の大型化や複雑化に伴って、より高い溶着強度が要求されるようになり、溶着部分の強度が不十分であるために使用が制限されるの現状であった。
【0005】
ポリアミド製の溶着接合用部材にはナイロン6樹脂が主に使用されてきたが、ナイロン6では、耐熱性、耐薬品性に劣るため高温で使用することができなかった。一方、ナイロン66樹脂は、耐熱性、耐薬品性に優れているものの、溶着強度が低いなどの問題があった。特許文献1においては、ナイロン66/6の共重合体による溶着接合用部材が提案されているが、それでも溶着強度が不十分であった。また特許文献2においては、ナイロン66/6Iの共重合体による溶着接合部材が提案されており、溶着強度は改善されているが6I成分の共重合により強度、弾性率が低下し、機械物性の面で満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開平8−337718号公報
【特許文献2】特開2002−348371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、機械的特性、耐熱性などを有し、かつ溶着強度に優れ外観が良好である主としてポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材および成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂としてヘキサメチレンセバカミド単位とヘキサメチレンテレフタラミド単位を特定の割合で共重合してなる共重合ポリアミド樹脂を用い、溶着用樹脂部材として、あるいは溶着により接合された接合部を有する成形品とすることにより上記課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)主として(A)ポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材であって、前記(A)ポリアミド樹脂が(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする溶着接合用部材。
(2)前記(A)ポリアミド樹脂の相対粘度が1.9〜3.5であることを特徴とする(1)記載の溶着接合用部材。
(3)前記(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(B)充填材を5〜200重量部含有することを特徴とする(1)または(2)記載の溶着接合用部材。
(4)前記(B)充填材が繊維状充填材であることを特徴とする(3)記載の溶着接合用部材。
(5)前記(B)充填材がガラス繊維であることを特徴とする(3)または(4)記載の溶着接合用部材。
(6)溶着により接合された接合部を有する成形品であって、該接合部を構成する被着材の少なくとも一つが、主として(A)ポリアミド樹脂からなり、該(A)ポリアミド樹脂は(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする成形品。
(7)二段射出成形法、振動溶着法、レーザー溶着法および/または超音波溶着法により溶着された接合部を有することを特徴とする(6)記載の成形品。
(8)接合部を有する被着材の全てが前記(A)ポリアミド樹脂により構成された(6)または(7)記載の成形品。
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機械的特性、耐熱性などを有し、かつ溶着強度に優れ外観が良好である主としてポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材および成形品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
本発明の溶着接合用部材あるいは成形体は主として(A)ポリアミド樹脂からなる。本発明において、主としてとは、後述するように充填材の含有や本発明の目的を損なわない範囲程度に他の成分を含有できることを意味する。
【0012】
本発明で用いられる(A)ポリアミド樹脂とは(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位(以下ナイロン610またはN610とも称す)と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位(以下ナイロン6TまたはN6Tとも称す)とから構成される共重合ポリアミド樹脂であり、各成分の構成比は、N610が20〜80重量%、N6Tが80〜20重量%である。好ましい構成比はN610が30〜70重量%、N6Tが70〜30重量%である。N6Tが80重量%より多いと溶着部位の強度が劣る。N6Tが20重量%より少ないと、結晶性が低くなることから、耐熱性に劣り本発明の目的にそぐわない。
【0013】
本発明の溶着接合用部材あるいは成形品を構成する(A)ポリアミド樹脂の相対粘度(98%硫酸法)は、靭性あるいは成形性において充分であれば特に制限されないが、好ましくは1.9〜3.5であり、更に好ましくは2.1〜3.2である。1.9未満では、溶着接合部の耐久性が不充分となる可能性があり、3.5を超えると流動性が優れないために外観に優れた成形品が得られ難くなる。
【0014】
本発明の溶着接合用部材あるいは成形品を構成する(A)ポリアミド樹脂には(B)充填材を好ましく含有することができる。かかる(B)充填材としては有機、無機あるいは繊維状充填材、非繊維状充填材いずれの態様としても用いることができるが、好ましくは繊維状充填材である。繊維状充填材としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げられる。特に好ましくはガラス繊維、炭素繊維である。非繊維状充填材としては、例えばタルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、アスベスト、アルミノシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素などが挙げられ、こられは中空であってもよい。また、これら繊維状および非繊維状充填材はそれぞれ2種類以上用いることも、繊維状充填材と非繊維状充填材を併用することも可能であり、さらにはこれら充填材とともにイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤をポリアミド樹脂への配合時同時に配合し、もしくは予め充填材に処理して配合することは、より優れた機械的特性や外観性を得る意味において好ましい。
【0015】
(B)充填材の含有量は前記(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、好ましくは5〜200重量部である。更に好ましくは15〜160重量部である。5重量部未満では補強効果は充分ではなく、200重量部を超えると溶着強度の低下や外観が充分とならない。
【0016】
本発明の溶着接合用部材は射出成形、押出成形やブロー成形などにより成形することができる。また、本発明の成形品は、溶着により接合された接合部を有する成形品であり、該接合部を構成する被着材の少なくともひとつが、前記(A)ポリアミド樹脂により構成されていると、溶着強度において極めて優れるため非常に好ましい。
【0017】
本発明は、溶着接合法を適用する場合に優れた溶着強度を発現し、また、外観等の特性においても良好である。溶着接合法としては、例えば、振動溶着法、オータビル溶着法、超音波溶着法、レーザー溶着法、熱板溶着法、スピン溶着法、二段射出成形法、二色成形溶着法、高周波溶着法などが挙げられる。好ましくは、二段射出成形法、振動溶着法、レーザー溶着法、オータビル溶着法、超音波溶着法である。
【0018】
前記二段射出成形法には例えば、一次中空成形品を成形した後に、別の金型に装着して二次成形を実施する通常の二色成形法や、また、ダイスライドインジェクションあるいはダイロータリーインジェクションのように一次成形と二次成形を、金型の一部をスライドさせることにより、同一金型内で実施する方法などが挙げられる。
【0019】
レーザー溶着法は、重ね合わせた樹脂成形体にレーザー光を照射し、照射した一方を透過させてもう一方で吸収させ溶融、融着させる工法であり、三次元接合が可能、非接触加工、バリ発生が無いなどの利点を利用して、幅広い分野に広がりつつある工法である。当工法において、レーザー光線透過側成形体に適用する樹脂材料においては、レーザー光線を透過する特徴が必須となり、照射したレーザー光線のエネルギーを100%とした場合、そのレーザー光線透過側成形体の裏側に透過して出てくるエネルギーは、10%以上は必要であることが本発明者らの検討結果から判明した。10%未満のレーザー光線透過率の成形体をレーザー光線透過側成形体に用いた場合、レーザー光線入射表面で溶融、発煙するなどの不具合を生じる可能性が十分に考えられる。
【0020】
また、本発明の溶着接合用部材あるいは成形品を構成する(A)ポリアミド樹脂には本発明の目的を損なわない範囲で、要求される特性に応じて他のポリアミド樹脂や他のポリマー類を含有せしめて構わない。具体的にはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリキシレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。とりわけ好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/12コポリマーなどの例を挙げることができる。
【0021】
また、本発明で用いられる(A)ポリアミド樹脂には、長期耐熱性を向上させるために銅化合物が好ましく用いられる。銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどの銅化合物などが挙げられる。なかでも1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第一銅、ヨウ化第一銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は通常、共重合ポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であることが好ましく、さらに0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。添加量が2重量部よりも多すぎると溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることになり、0.01重量部より少なすぎると長期耐熱性の向上が不充分となる。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリ化合物を添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化リチウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
【0022】
本発明におけるポリアミド樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
【0023】
本発明のポリアミド樹脂組成物を得る方法としては、特に制限はないが、溶融混練において、たとえば2軸押出機で溶融混練する場合に(A)ポリアミド樹脂と(B)充填材をあらかじめブレンダーを用いてブレンドし、メインフィーダーから供給する方法、メインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂を供給し、(B)充填材を押出機の先端部分のサイドフィーダーから供給する方法や事前に(A)ポリアミド樹脂を溶融混練した後、(B)充填材と溶融混練する方法などが挙げられる。
【0024】
本発明の溶着接合用部材および成形品は、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性が均衡して優れ、加えて溶着接合技術を採用した場合に溶着強度において顕著に優れたものである。この利点を活かして例えば、高度の強度、耐久性が要求される自動車のインテークマニホールドなどの吸気系部品、シリンダーヘッドカバーとインテークマニホールドさらにはエアクリーナーなどを統合した吸気系モジュール部品、ウォーターインレット、ウォーターアウトレットなどの冷却系部品、フューエルインジェクション、フューエルデリバリーパイプなどの燃料系部品、オイルタンクなどの容器類、スイッチなどの電装品ケース類といった中空形状部品用などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0026】
[使用した材料]
ポリアミド樹脂1:セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩700gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩300g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを内容積3リットルのオートクレープ中に仕込み、充分窒素置換した後、撹拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。その後、圧力を18kg/cm2に保ちながら水を反応系外に除去しながら約2時間かけて温度を260℃まで昇温させた。その後、圧力を解放しながら約2時間かけて温度を300℃まで昇温し反応を終えた。その後、撹拌を止めオートクレープ底部から差圧10kg/cm2で反応混合物を取り出し、ηr=2.3のポリマーを得た。
【0027】
ポリアミド樹脂2:セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩500gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩500g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを出発原料とした以外は共重合ナイロン1と同様の方法でポリマーを作成した。得られたポリマーのηrは2.45であった。
【0028】
ポリアミド樹脂3:セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩300gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩700g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを出発原料とした以外は共重合ナイロン1と同様の方法でポリマーを作成した。得られたポリマーのηrは2.35であった。
【0029】
ポリアミド樹脂4:ナイロン6“アミラン”CM1017(東レ社製)
ポリアミド樹脂5:ナイロン66“アミラン”CM3001N(東レ社製)
ポリアミド樹脂6:ナイロン66/6 “アミラン”CM3301(東レ社製)
ポリアミド樹脂7:アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩850gとイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩150g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを内容積3リットルのオートクレープ中に仕込み、充分窒素置換した後、撹拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。その後、圧力を18kg/cm2に保ちながら水を反応系外に除去しながら約2時間かけて温度を260℃まで昇温させた。その後、圧力を解放しながら約2時間かけて温度を300℃まで昇温し反応を終えた。その後、撹拌を止めオートクレープ底部から差圧10kg/cm2で反応混合物を取り出し、ηr=2.5のポリマーを得た。
【0030】
ガラス繊維:T289(日本電気硝子社製)
ワラステナイト:ナイヤード325(NYCO社製)
[融点(Tm)測定]
セイコー電子工業製 ロボットDSC RDC220を用い、窒素雰囲気下、試料を約5mgを採取し、溶融状態まで昇温し、20℃/minの降温速度で30℃まで降温した後、20℃/minの昇温速度で昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度を融点(Tm)とした。
【0031】
[成形方法]
各特性評価用テストピースは東芝機械IS80型射出成形機を用いて成形した。条件はいずれもシリンダー温度:280℃、金型温度:80℃、射出−冷却時間:10−10秒、射出速度:70%、射出圧力:充填下限圧力+0.98MPa(G)とした。特に記載のない測定項目は、成形後20時間以上、常温下デシケータ中にて保管後に実施した。
【0032】
[機械特性]
引張強度 :ASTM D638に準じ測定した。
曲げ弾性率:ASTM D790に準じ測定した。
【0033】
[二段射出成形]
成形機 :日本製鋼所製 J−220EII−2M
樹脂温度 :ナイロン6 290/290/280/270℃
その他のポリアミド樹脂 300/300/290/280℃
なお、一次射出、二次射出とも同樹脂温度で実施
金型温度 :80(可動)/80(固定)℃
一次射出速度:100%
二次射出速度:100%
一次射出圧力:30%
二次射出圧力:18%
一次冷却時間:20秒
二次冷却時間:20秒
一次射出により、図1、図2に示す2つの分割片を得た。金型のスライド構造を利用し、2つの分割片を同金型内で対向させ、次いで、前記条件で2次射出を実施、内容積500cc、一般部肉厚3mm、フランジ厚み5mmの図3に示す中空成形品を得た。該成形品に電動式水ポンプ(株式会社イワキ製)で1.13g/秒の速度の水圧を負荷し、溶着部が破裂する破裂時の圧力を溶着強度とした。
【0034】
[振動溶着強度測定]
溶着強度評価に用いた試験片の形状は図4、図5に示すとおりである。また、図4に示す試験片の溶着面には、幅1.5mm、高さ2.5mmのリブを設けてあり、溶着の際には摩擦によりリブが溶融して接合される。図4、図5に示す形状の試験片を成形し、ブランソン社製2850型振動溶着装置を用いて以下の条件で溶着した。
振動数 : 240Hz
加圧力 : 70kgf
振幅 : 1.5mm
溶着代 : 1.5mm
溶着によって得られた中空成形品の形状を図6に示す。得られた中空成形品中に水を充填し、水槽中にて中空成形品に内圧をかけ、溶着部が破裂する破裂時の圧力を溶着強度とした。
【0035】
[超音波溶着強度測定]
超音波溶着強度評価に用いた試験片の形状は図7に示すとおりである。溶着の際には超音波により接触部が溶融して接合される。図7に示す形状の試験片を成形し、ブランソン社製8400Z型超音波溶着装置を用いて以下の条件で溶着した。
加圧力 :100kPa
溶着時間 :0.3秒
溶着によって得られた成形品の形状を図8に示す。得られた成形品のツバを固定し剥離時の力を溶着強さとした。
【0036】
[レーザー溶着性評価]
試験片は図9のレーザー光線透過性評価試験片5の厚さDが3mmと5mmと異なる2種類の成形品からそれぞれ切削加工してなる、幅Wが24mm、長さLが70mm、厚みDは3mmと5mmのレーザー溶着用試験片6を用いた。
【0037】
図10(a)は上記切削加工後の試験片の平面図であり、(b)はその側面図である。レーザー溶着機は、ライスター社のMODULAS Cを用いた。該溶着機は半導体レーザー使用の機器であり、レーザー光の波長は940nmの近赤外線である。最大出力が35W、焦点距離Lが38mm、焦点径Dが0.6mmである。
【0038】
図11はレーザー溶着方法の概略を示す概略図である。レーザー溶着方法は図11に示すように、レーザー光線を透過させる材料を用いたレーザー光線透過側試験片10を上部に、下部にはレーザー光線を吸収させる材料を用いたレーザー光線吸収側試験片11を置き、重ね合わせ、上部よりレーザー光線を照射する。レーザー照射はレーザー溶着軌道9に沿って行い、レーザー溶着条件は出力15〜35W範囲および、レーザー走査速度1〜80mm/secの範囲で最も良好な溶着強度が得られる条件で行った。尚、焦点距離は38mm、焦点径は0.6mm固定で実施した。
【0039】
図12(a)は上記方法でレーザー溶着したレーザー溶着強度測定用試験片12の平面図であり、(b)は同試験片の側面図である。試験片厚みは透過側と吸収側が同じになるようにセットする。レーザー溶着強度測定用試験片12は図10に示したレーザー溶着試験片であるレーザー光線透過側試験片10とレーザー光線吸収側試験片11とが、重ね合わせ長さLを30mmとし、溶着距離Yは20mmとして、重ね合わせて溶着部13で溶着したものである。溶着強度測定には一般的な引張試験器(AG−500B)を用い、該試験片の両端を固定し、溶着部位には引張剪断応力が発生するように引張試験を行った。強度測定時の引張速度は1mm/min、スパンは40mmである。溶着強度は溶着部位が破断したときの応力とした。尚、レーザー光線透過試料へは本発明のポリアミド樹脂を用い、レーザー光線吸収側試料へは透過試料の樹脂組成物100重量部に対し、カーボンブラックを0.4部添加した材料を用いた。
【0040】
実施例1〜3、比較例1〜4
表1に示す各材料の機械物性試験、溶着試験を行い、強度、弾性率、溶着強度の評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例4〜7、比較例5〜8
各材料を表2に示す割合で配合し、日本製鋼所社製二軸押出機TEX−44で溶融混練後ペレット化した。得られたペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥した。ついで、種々の試験片を射出成形し、機械物性試験、溶着試験を行い、強度、弾性率、溶着強度の評価を行った。結果を表2に示す。
【0043】
実施例1〜3と比較例1〜4の比較および実施例4〜7と比較例5〜8の比較により、本発明の溶着接合用部材および成形品においては、機械特性、耐熱性に優れるのみならず、各種溶着接合技術を採用した場合での溶着強度に優れ、実用価値の非常に高いものである。
【0044】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】二段射出成形で使用した溶着強度測定用試験片の形状を示す平面図である。
【図2】二段射出成形で使用した溶着強度測定用試験片の形状を示す平面図である。
【図3】二段射出成形で使用した試験片を溶着することにより得られた中空成形品の形状を示す平面図である。
【図4】振動溶着試験で使用した溶着強度測定用試験片の形状を示す平面図である。
【図5】振動溶着試験で使用した溶着強度測定用試験片の形状を示す平面図である。
【図6】振動用着試験で使用した試験片を溶着することにより得られた中空成形品の形状を示す平面図。
【図7】超音波溶着強度試験で使用した試験片の形状を示す平面図である。
【図8】超音波溶着強度試験の溶着後の成形体の形状を示す平面図である。
【図9】切削前のレーザー溶着用試験片成形体の形状を示す(a)平面図(b)側面図である。
【図10】レーザー溶着用試験片切削品の形状を示す(a)平面図(b)側面図である。
【図11】レーザー溶着方法の概略図である。
【図12】レーザー溶着強度測定用試験片を示す(a)平面図(b)側面図である。
【符号の説明】
【0046】
A 上面図
B 側面図
C 前面図
D 底面図
1 溶着部リブ
2 スプルー
3 ランナー
4 ゲート
5 レーザー光線透過性評価試験片
6 レーザー溶着用試験片
7 レーザー光線照射部
8 レーザー光線
9 レーザー光の軌道
10 レーザー光線透過側試験片
11 レーザー光線吸収側試験片
12 レーザー溶着強度測定用試験片
13 レーザー溶着部
【技術分野】
【0001】
本発明は溶着接合用部材および成形品に関する。特に、溶着加工において優れた溶着強度および外観を有し、複雑な形状の部品、例えば二輪および四輪自動車のオイルタンク、吸気系部品、およびその集積部品、電装品ケース、その他容器類などの製造に適した溶着接合用部材あるいは成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は、その優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性を有しており、自動車や電気部品材料として広く使用されている。また、ガラス繊維を配合することにより、更に強度が向上するため、ガラス繊維で強化した状態でも広く使用されている。
【0003】
ポリアミド樹脂部材の成形方法としては、射出成形法が広く利用されているが、中空の部品や複雑な形状の部品については、射出成形法のみで製造することは困難であり、2つあるいはそれ以上の部品を分割して成形した後、接合することによって製造されることがある。
【0004】
この様な接合においては、接着剤を用いたり、噛合構造を用いたり、部材を構成する樹脂自身を熱等で流動化させて接合(溶着)する方法が挙げられる。しかし、接着剤を用いる方法は作業が繁雑であり、噛合構造を用いる方法は液体に接触する用途に向かない。一方、溶着法は簡便な方法であるが、近年の部品の大型化や複雑化に伴って、より高い溶着強度が要求されるようになり、溶着部分の強度が不十分であるために使用が制限されるの現状であった。
【0005】
ポリアミド製の溶着接合用部材にはナイロン6樹脂が主に使用されてきたが、ナイロン6では、耐熱性、耐薬品性に劣るため高温で使用することができなかった。一方、ナイロン66樹脂は、耐熱性、耐薬品性に優れているものの、溶着強度が低いなどの問題があった。特許文献1においては、ナイロン66/6の共重合体による溶着接合用部材が提案されているが、それでも溶着強度が不十分であった。また特許文献2においては、ナイロン66/6Iの共重合体による溶着接合部材が提案されており、溶着強度は改善されているが6I成分の共重合により強度、弾性率が低下し、機械物性の面で満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開平8−337718号公報
【特許文献2】特開2002−348371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、機械的特性、耐熱性などを有し、かつ溶着強度に優れ外観が良好である主としてポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材および成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂としてヘキサメチレンセバカミド単位とヘキサメチレンテレフタラミド単位を特定の割合で共重合してなる共重合ポリアミド樹脂を用い、溶着用樹脂部材として、あるいは溶着により接合された接合部を有する成形品とすることにより上記課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)主として(A)ポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材であって、前記(A)ポリアミド樹脂が(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする溶着接合用部材。
(2)前記(A)ポリアミド樹脂の相対粘度が1.9〜3.5であることを特徴とする(1)記載の溶着接合用部材。
(3)前記(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(B)充填材を5〜200重量部含有することを特徴とする(1)または(2)記載の溶着接合用部材。
(4)前記(B)充填材が繊維状充填材であることを特徴とする(3)記載の溶着接合用部材。
(5)前記(B)充填材がガラス繊維であることを特徴とする(3)または(4)記載の溶着接合用部材。
(6)溶着により接合された接合部を有する成形品であって、該接合部を構成する被着材の少なくとも一つが、主として(A)ポリアミド樹脂からなり、該(A)ポリアミド樹脂は(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする成形品。
(7)二段射出成形法、振動溶着法、レーザー溶着法および/または超音波溶着法により溶着された接合部を有することを特徴とする(6)記載の成形品。
(8)接合部を有する被着材の全てが前記(A)ポリアミド樹脂により構成された(6)または(7)記載の成形品。
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機械的特性、耐熱性などを有し、かつ溶着強度に優れ外観が良好である主としてポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材および成形品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
本発明の溶着接合用部材あるいは成形体は主として(A)ポリアミド樹脂からなる。本発明において、主としてとは、後述するように充填材の含有や本発明の目的を損なわない範囲程度に他の成分を含有できることを意味する。
【0012】
本発明で用いられる(A)ポリアミド樹脂とは(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位(以下ナイロン610またはN610とも称す)と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位(以下ナイロン6TまたはN6Tとも称す)とから構成される共重合ポリアミド樹脂であり、各成分の構成比は、N610が20〜80重量%、N6Tが80〜20重量%である。好ましい構成比はN610が30〜70重量%、N6Tが70〜30重量%である。N6Tが80重量%より多いと溶着部位の強度が劣る。N6Tが20重量%より少ないと、結晶性が低くなることから、耐熱性に劣り本発明の目的にそぐわない。
【0013】
本発明の溶着接合用部材あるいは成形品を構成する(A)ポリアミド樹脂の相対粘度(98%硫酸法)は、靭性あるいは成形性において充分であれば特に制限されないが、好ましくは1.9〜3.5であり、更に好ましくは2.1〜3.2である。1.9未満では、溶着接合部の耐久性が不充分となる可能性があり、3.5を超えると流動性が優れないために外観に優れた成形品が得られ難くなる。
【0014】
本発明の溶着接合用部材あるいは成形品を構成する(A)ポリアミド樹脂には(B)充填材を好ましく含有することができる。かかる(B)充填材としては有機、無機あるいは繊維状充填材、非繊維状充填材いずれの態様としても用いることができるが、好ましくは繊維状充填材である。繊維状充填材としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げられる。特に好ましくはガラス繊維、炭素繊維である。非繊維状充填材としては、例えばタルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、アスベスト、アルミノシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素などが挙げられ、こられは中空であってもよい。また、これら繊維状および非繊維状充填材はそれぞれ2種類以上用いることも、繊維状充填材と非繊維状充填材を併用することも可能であり、さらにはこれら充填材とともにイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤をポリアミド樹脂への配合時同時に配合し、もしくは予め充填材に処理して配合することは、より優れた機械的特性や外観性を得る意味において好ましい。
【0015】
(B)充填材の含有量は前記(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、好ましくは5〜200重量部である。更に好ましくは15〜160重量部である。5重量部未満では補強効果は充分ではなく、200重量部を超えると溶着強度の低下や外観が充分とならない。
【0016】
本発明の溶着接合用部材は射出成形、押出成形やブロー成形などにより成形することができる。また、本発明の成形品は、溶着により接合された接合部を有する成形品であり、該接合部を構成する被着材の少なくともひとつが、前記(A)ポリアミド樹脂により構成されていると、溶着強度において極めて優れるため非常に好ましい。
【0017】
本発明は、溶着接合法を適用する場合に優れた溶着強度を発現し、また、外観等の特性においても良好である。溶着接合法としては、例えば、振動溶着法、オータビル溶着法、超音波溶着法、レーザー溶着法、熱板溶着法、スピン溶着法、二段射出成形法、二色成形溶着法、高周波溶着法などが挙げられる。好ましくは、二段射出成形法、振動溶着法、レーザー溶着法、オータビル溶着法、超音波溶着法である。
【0018】
前記二段射出成形法には例えば、一次中空成形品を成形した後に、別の金型に装着して二次成形を実施する通常の二色成形法や、また、ダイスライドインジェクションあるいはダイロータリーインジェクションのように一次成形と二次成形を、金型の一部をスライドさせることにより、同一金型内で実施する方法などが挙げられる。
【0019】
レーザー溶着法は、重ね合わせた樹脂成形体にレーザー光を照射し、照射した一方を透過させてもう一方で吸収させ溶融、融着させる工法であり、三次元接合が可能、非接触加工、バリ発生が無いなどの利点を利用して、幅広い分野に広がりつつある工法である。当工法において、レーザー光線透過側成形体に適用する樹脂材料においては、レーザー光線を透過する特徴が必須となり、照射したレーザー光線のエネルギーを100%とした場合、そのレーザー光線透過側成形体の裏側に透過して出てくるエネルギーは、10%以上は必要であることが本発明者らの検討結果から判明した。10%未満のレーザー光線透過率の成形体をレーザー光線透過側成形体に用いた場合、レーザー光線入射表面で溶融、発煙するなどの不具合を生じる可能性が十分に考えられる。
【0020】
また、本発明の溶着接合用部材あるいは成形品を構成する(A)ポリアミド樹脂には本発明の目的を損なわない範囲で、要求される特性に応じて他のポリアミド樹脂や他のポリマー類を含有せしめて構わない。具体的にはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリキシレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。とりわけ好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/12コポリマーなどの例を挙げることができる。
【0021】
また、本発明で用いられる(A)ポリアミド樹脂には、長期耐熱性を向上させるために銅化合物が好ましく用いられる。銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどの銅化合物などが挙げられる。なかでも1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第一銅、ヨウ化第一銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は通常、共重合ポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であることが好ましく、さらに0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。添加量が2重量部よりも多すぎると溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることになり、0.01重量部より少なすぎると長期耐熱性の向上が不充分となる。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリ化合物を添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化リチウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
【0022】
本発明におけるポリアミド樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
【0023】
本発明のポリアミド樹脂組成物を得る方法としては、特に制限はないが、溶融混練において、たとえば2軸押出機で溶融混練する場合に(A)ポリアミド樹脂と(B)充填材をあらかじめブレンダーを用いてブレンドし、メインフィーダーから供給する方法、メインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂を供給し、(B)充填材を押出機の先端部分のサイドフィーダーから供給する方法や事前に(A)ポリアミド樹脂を溶融混練した後、(B)充填材と溶融混練する方法などが挙げられる。
【0024】
本発明の溶着接合用部材および成形品は、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性が均衡して優れ、加えて溶着接合技術を採用した場合に溶着強度において顕著に優れたものである。この利点を活かして例えば、高度の強度、耐久性が要求される自動車のインテークマニホールドなどの吸気系部品、シリンダーヘッドカバーとインテークマニホールドさらにはエアクリーナーなどを統合した吸気系モジュール部品、ウォーターインレット、ウォーターアウトレットなどの冷却系部品、フューエルインジェクション、フューエルデリバリーパイプなどの燃料系部品、オイルタンクなどの容器類、スイッチなどの電装品ケース類といった中空形状部品用などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0026】
[使用した材料]
ポリアミド樹脂1:セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩700gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩300g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを内容積3リットルのオートクレープ中に仕込み、充分窒素置換した後、撹拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。その後、圧力を18kg/cm2に保ちながら水を反応系外に除去しながら約2時間かけて温度を260℃まで昇温させた。その後、圧力を解放しながら約2時間かけて温度を300℃まで昇温し反応を終えた。その後、撹拌を止めオートクレープ底部から差圧10kg/cm2で反応混合物を取り出し、ηr=2.3のポリマーを得た。
【0027】
ポリアミド樹脂2:セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩500gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩500g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを出発原料とした以外は共重合ナイロン1と同様の方法でポリマーを作成した。得られたポリマーのηrは2.45であった。
【0028】
ポリアミド樹脂3:セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩300gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩700g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを出発原料とした以外は共重合ナイロン1と同様の方法でポリマーを作成した。得られたポリマーのηrは2.35であった。
【0029】
ポリアミド樹脂4:ナイロン6“アミラン”CM1017(東レ社製)
ポリアミド樹脂5:ナイロン66“アミラン”CM3001N(東レ社製)
ポリアミド樹脂6:ナイロン66/6 “アミラン”CM3301(東レ社製)
ポリアミド樹脂7:アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩850gとイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩150g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを内容積3リットルのオートクレープ中に仕込み、充分窒素置換した後、撹拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。その後、圧力を18kg/cm2に保ちながら水を反応系外に除去しながら約2時間かけて温度を260℃まで昇温させた。その後、圧力を解放しながら約2時間かけて温度を300℃まで昇温し反応を終えた。その後、撹拌を止めオートクレープ底部から差圧10kg/cm2で反応混合物を取り出し、ηr=2.5のポリマーを得た。
【0030】
ガラス繊維:T289(日本電気硝子社製)
ワラステナイト:ナイヤード325(NYCO社製)
[融点(Tm)測定]
セイコー電子工業製 ロボットDSC RDC220を用い、窒素雰囲気下、試料を約5mgを採取し、溶融状態まで昇温し、20℃/minの降温速度で30℃まで降温した後、20℃/minの昇温速度で昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度を融点(Tm)とした。
【0031】
[成形方法]
各特性評価用テストピースは東芝機械IS80型射出成形機を用いて成形した。条件はいずれもシリンダー温度:280℃、金型温度:80℃、射出−冷却時間:10−10秒、射出速度:70%、射出圧力:充填下限圧力+0.98MPa(G)とした。特に記載のない測定項目は、成形後20時間以上、常温下デシケータ中にて保管後に実施した。
【0032】
[機械特性]
引張強度 :ASTM D638に準じ測定した。
曲げ弾性率:ASTM D790に準じ測定した。
【0033】
[二段射出成形]
成形機 :日本製鋼所製 J−220EII−2M
樹脂温度 :ナイロン6 290/290/280/270℃
その他のポリアミド樹脂 300/300/290/280℃
なお、一次射出、二次射出とも同樹脂温度で実施
金型温度 :80(可動)/80(固定)℃
一次射出速度:100%
二次射出速度:100%
一次射出圧力:30%
二次射出圧力:18%
一次冷却時間:20秒
二次冷却時間:20秒
一次射出により、図1、図2に示す2つの分割片を得た。金型のスライド構造を利用し、2つの分割片を同金型内で対向させ、次いで、前記条件で2次射出を実施、内容積500cc、一般部肉厚3mm、フランジ厚み5mmの図3に示す中空成形品を得た。該成形品に電動式水ポンプ(株式会社イワキ製)で1.13g/秒の速度の水圧を負荷し、溶着部が破裂する破裂時の圧力を溶着強度とした。
【0034】
[振動溶着強度測定]
溶着強度評価に用いた試験片の形状は図4、図5に示すとおりである。また、図4に示す試験片の溶着面には、幅1.5mm、高さ2.5mmのリブを設けてあり、溶着の際には摩擦によりリブが溶融して接合される。図4、図5に示す形状の試験片を成形し、ブランソン社製2850型振動溶着装置を用いて以下の条件で溶着した。
振動数 : 240Hz
加圧力 : 70kgf
振幅 : 1.5mm
溶着代 : 1.5mm
溶着によって得られた中空成形品の形状を図6に示す。得られた中空成形品中に水を充填し、水槽中にて中空成形品に内圧をかけ、溶着部が破裂する破裂時の圧力を溶着強度とした。
【0035】
[超音波溶着強度測定]
超音波溶着強度評価に用いた試験片の形状は図7に示すとおりである。溶着の際には超音波により接触部が溶融して接合される。図7に示す形状の試験片を成形し、ブランソン社製8400Z型超音波溶着装置を用いて以下の条件で溶着した。
加圧力 :100kPa
溶着時間 :0.3秒
溶着によって得られた成形品の形状を図8に示す。得られた成形品のツバを固定し剥離時の力を溶着強さとした。
【0036】
[レーザー溶着性評価]
試験片は図9のレーザー光線透過性評価試験片5の厚さDが3mmと5mmと異なる2種類の成形品からそれぞれ切削加工してなる、幅Wが24mm、長さLが70mm、厚みDは3mmと5mmのレーザー溶着用試験片6を用いた。
【0037】
図10(a)は上記切削加工後の試験片の平面図であり、(b)はその側面図である。レーザー溶着機は、ライスター社のMODULAS Cを用いた。該溶着機は半導体レーザー使用の機器であり、レーザー光の波長は940nmの近赤外線である。最大出力が35W、焦点距離Lが38mm、焦点径Dが0.6mmである。
【0038】
図11はレーザー溶着方法の概略を示す概略図である。レーザー溶着方法は図11に示すように、レーザー光線を透過させる材料を用いたレーザー光線透過側試験片10を上部に、下部にはレーザー光線を吸収させる材料を用いたレーザー光線吸収側試験片11を置き、重ね合わせ、上部よりレーザー光線を照射する。レーザー照射はレーザー溶着軌道9に沿って行い、レーザー溶着条件は出力15〜35W範囲および、レーザー走査速度1〜80mm/secの範囲で最も良好な溶着強度が得られる条件で行った。尚、焦点距離は38mm、焦点径は0.6mm固定で実施した。
【0039】
図12(a)は上記方法でレーザー溶着したレーザー溶着強度測定用試験片12の平面図であり、(b)は同試験片の側面図である。試験片厚みは透過側と吸収側が同じになるようにセットする。レーザー溶着強度測定用試験片12は図10に示したレーザー溶着試験片であるレーザー光線透過側試験片10とレーザー光線吸収側試験片11とが、重ね合わせ長さLを30mmとし、溶着距離Yは20mmとして、重ね合わせて溶着部13で溶着したものである。溶着強度測定には一般的な引張試験器(AG−500B)を用い、該試験片の両端を固定し、溶着部位には引張剪断応力が発生するように引張試験を行った。強度測定時の引張速度は1mm/min、スパンは40mmである。溶着強度は溶着部位が破断したときの応力とした。尚、レーザー光線透過試料へは本発明のポリアミド樹脂を用い、レーザー光線吸収側試料へは透過試料の樹脂組成物100重量部に対し、カーボンブラックを0.4部添加した材料を用いた。
【0040】
実施例1〜3、比較例1〜4
表1に示す各材料の機械物性試験、溶着試験を行い、強度、弾性率、溶着強度の評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例4〜7、比較例5〜8
各材料を表2に示す割合で配合し、日本製鋼所社製二軸押出機TEX−44で溶融混練後ペレット化した。得られたペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥した。ついで、種々の試験片を射出成形し、機械物性試験、溶着試験を行い、強度、弾性率、溶着強度の評価を行った。結果を表2に示す。
【0043】
実施例1〜3と比較例1〜4の比較および実施例4〜7と比較例5〜8の比較により、本発明の溶着接合用部材および成形品においては、機械特性、耐熱性に優れるのみならず、各種溶着接合技術を採用した場合での溶着強度に優れ、実用価値の非常に高いものである。
【0044】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】二段射出成形で使用した溶着強度測定用試験片の形状を示す平面図である。
【図2】二段射出成形で使用した溶着強度測定用試験片の形状を示す平面図である。
【図3】二段射出成形で使用した試験片を溶着することにより得られた中空成形品の形状を示す平面図である。
【図4】振動溶着試験で使用した溶着強度測定用試験片の形状を示す平面図である。
【図5】振動溶着試験で使用した溶着強度測定用試験片の形状を示す平面図である。
【図6】振動用着試験で使用した試験片を溶着することにより得られた中空成形品の形状を示す平面図。
【図7】超音波溶着強度試験で使用した試験片の形状を示す平面図である。
【図8】超音波溶着強度試験の溶着後の成形体の形状を示す平面図である。
【図9】切削前のレーザー溶着用試験片成形体の形状を示す(a)平面図(b)側面図である。
【図10】レーザー溶着用試験片切削品の形状を示す(a)平面図(b)側面図である。
【図11】レーザー溶着方法の概略図である。
【図12】レーザー溶着強度測定用試験片を示す(a)平面図(b)側面図である。
【符号の説明】
【0046】
A 上面図
B 側面図
C 前面図
D 底面図
1 溶着部リブ
2 スプルー
3 ランナー
4 ゲート
5 レーザー光線透過性評価試験片
6 レーザー溶着用試験片
7 レーザー光線照射部
8 レーザー光線
9 レーザー光の軌道
10 レーザー光線透過側試験片
11 レーザー光線吸収側試験片
12 レーザー溶着強度測定用試験片
13 レーザー溶着部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として(A)ポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材であって、前記(A)ポリアミド樹脂が(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする溶着接合用部材。
【請求項2】
前記(A)ポリアミド樹脂の相対粘度が1.9〜3.5であることを特徴とする請求項1記載の溶着接合用部材
【請求項3】
前記(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(B)充填材を5〜200重量部含有することを特徴とする請求項1または2記載の溶着接合用部材。
【請求項4】
前記(B)充填材が繊維状充填材であることを特徴とする請求項3記載の溶着接合用部材。
【請求項5】
前記(B)充填材がガラス繊維であることを特徴とする請求項3または4記載の溶着接合用部材。
【請求項6】
溶着により接合された接合部を有する成形品であって、該接合部を構成する被着材の少なくとも一つが、主として(A)ポリアミド樹脂からなり、該(A)ポリアミド樹脂は(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする成形品。
【請求項7】
二段射出成形法、振動溶着法、レーザー溶着法および/または超音波溶着法により溶着された接合部を有することを特徴とする請求項6記載の成形品。
【請求項8】
接合部を有する被着材の全てが前記(A)ポリアミド樹脂により構成された請求項6または7記載の成形品。
【請求項1】
主として(A)ポリアミド樹脂からなる溶着接合用部材であって、前記(A)ポリアミド樹脂が(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする溶着接合用部材。
【請求項2】
前記(A)ポリアミド樹脂の相対粘度が1.9〜3.5であることを特徴とする請求項1記載の溶着接合用部材
【請求項3】
前記(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(B)充填材を5〜200重量部含有することを特徴とする請求項1または2記載の溶着接合用部材。
【請求項4】
前記(B)充填材が繊維状充填材であることを特徴とする請求項3記載の溶着接合用部材。
【請求項5】
前記(B)充填材がガラス繊維であることを特徴とする請求項3または4記載の溶着接合用部材。
【請求項6】
溶着により接合された接合部を有する成形品であって、該接合部を構成する被着材の少なくとも一つが、主として(A)ポリアミド樹脂からなり、該(A)ポリアミド樹脂は(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする成形品。
【請求項7】
二段射出成形法、振動溶着法、レーザー溶着法および/または超音波溶着法により溶着された接合部を有することを特徴とする請求項6記載の成形品。
【請求項8】
接合部を有する被着材の全てが前記(A)ポリアミド樹脂により構成された請求項6または7記載の成形品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−204683(P2007−204683A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27557(P2006−27557)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】
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