説明

溶融アルミ系めっき鋼板及びこれを用いた防爆バンド

【課題】再加熱後も黒変することなく、しかも強度低下を防ぐことが可能な耐黒変性及び溶接性に優れたアルミ系めっき鋼板及びこれを用いた防爆バンドを提供する。
【解決手段】Cが0.2質量%以下、Nが0.007質量%以下、Siが0.1質量%以上0.5質量%以下、Pが0.1質量%以下、Sが0.02質量%以下、Mnが1.05質量%以上2.0質量%以下、Nbが0.01質量%以上0.08質量%以下、solAlが1.0質量%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきを施したアルミ系めっき鋼板からなり、500℃以上700℃以下に再加熱したときの黒変及び強度低下を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐加熱黒変性及び溶接性に優れた溶融アルミ系めっき鋼板及びこれを用いた防爆バンドに関する。
本願は、2005年2月10日に日本に出願された特願2005−034357号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
一般に、CRT(Cathode-ray Tube)では、爆縮による危険を防止するために防爆バンドによる補強が行われている。この防爆バンドは、帯状の鋼板がCRTのパネル側面部に合わせて折り曲げられ、且つ、その端部同士が溶接されて枠状に形成されたものである。また、この防爆バンドの四隅には、それぞれ金属製のブラケットが溶接により取り付けられている。そして、この防爆バンドをCRTの周囲に嵌め込む際には、約500℃〜600℃で加熱膨張させた防爆バンドをCRTの周囲に嵌め込むと同時に急速に冷却させる。すると、この急速冷却によって防爆バンドが収縮し、このとき発生する防爆バンドの張力によってCRTの空気圧による変形が補正される。
【0003】
ところで、防爆バンドでは、上述したCRTの空気圧による変形を補正するのに必要な張力を得ようとする結果、その重量が大きくなってしまうといった問題があった。例えば21インチ用の防爆バンドでは700g以上にもなる。また、防爆バンドの形状によっては、0T曲げ加工を施すタイプもあり、その強度と加工性の両方を満足する鋼板が必要である。さらに、この防爆バンドは、CRTに取り付けた後、室内の温度や湿度などの変化によって錆が発生してしまう問題もある。このような錆の発生は、外観上の問題だけでなくCRTの電子ビームにも悪影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、この防爆バンド用の鋼板には、用途上塗油することはできない。そこで、防爆バンドでは、このような錆の発生を防ぐために、電気亜鉛めっき鋼板や、溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミめっき鋼板、溶融アルミめっき鋼板などが使用されている。
【0004】
このうち、亜鉛系めっき鋼板は、防爆バンドを500℃〜600℃に加熱膨張させる過程で亜鉛の合金化が進み、黒変してしまう問題がある。この黒変の発生は、外観上の問題であるが、その商品価値を大きく低下させることになる。一方、アルミ系めっき鋼板は、例えば高周波加熱のような短時間での高温加熱では全く黒変しないものの、ガス加熱の場合、例えば550℃以上の高温で比較的長い時間、例えば650℃で15秒程度以上加熱されると、上述した黒変の問題が発生してしまう虞がある。
【0005】
なお、本発明に関連する公知文献としては、例えば下記特許文献1〜4がある。すなわち、
特許文献1には、めっき後の加熱中にFe、Alの相互拡散を防止する緻密なAlN層を生成させ、合金化を抑制する耐熱性アルミニウム表面処理鋼板の製造法が記載されている。
特許文献2には、鋼成分としてOを一定量含有し、かつTi,Nb,V,B等を限定してsol-Nを安定的に残存させるような成分系とし、これに溶融アルミめっきを施すことで、合金化による黒変を防止した溶融アルミめっき鋼板が記載されている。
特許文献3には、Ti,P,Ni,Cuを添加することで、高温成形に適し高温成形後に高強度となるアルミめっき鋼板が記載されている。
特許文献4には、めっき後にフリー窒素を残して加熱時にめっき層と鋼板との境界に合金化を抑制するAlNのバリヤー層が形成され、使用温度が550℃近辺と高温であっても、めっき層が黒変色しない高温におけるめっき層光沢保持性に優れた溶融Alめっき鋼板の製造法が記載されている。しかし、SiとMnが低いので、Alが0.02%以下では連続鋳造時の鍋(レードル)交換時などで脱酸が不足することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平2−61544号公報
【特許文献2】特開平9−195021号公報
【特許文献3】特開2003−34844号公報
【特許文献4】特公平5−26864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、その目的は、再加熱後も黒変することなく、しかも強度低下を防ぐことが可能な耐黒変性及び溶接性に優れた溶融アルミ系めっき鋼板及びこれを用いた防爆バンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の参考態様に係る溶融アルミ系めっき鋼板は、その組成が質量比で、Cが0.005質量%以下、Nが0.005質量%以下、Siが0.1質量%以上0.5質量%以下、Pが0.1質量%以下、Sが0.02質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.3質量%以下、solAlが1.0質量%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきが施されることによって、500℃以上700℃以下に再加熱したときに黒変しないことを特徴とする。
また、本発明の参考態様に係る溶融アルミ系めっき鋼板は、上記の溶融アルミ系めっき鋼板において、その組成うち、Cが0.003質量%以下、Nが0.004質量%以下、Pが0.05質量%以上0.08質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.3質量%以下であり、0.2質量%耐力PSが300MPa以上、引張強さTSが400MPa以上であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第1の態様に係る溶融アルミ系めっき鋼板は、その組成が質量比で、Cが0.2質量%以下、Nが0.007質量%以下、Siが0.1質量%以上0.5質量%以下、Pが0.1質量%以下、Sが0.02質量%以下、Mnが1.05質量%以上2.0質量%以下、Nbが0.01質量%以上0.08質量%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきが施されることによって、500℃以上700℃以下に再加熱したときに黒変しないことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第2の態様に係る溶融アルミ系めっき鋼板は、第1の態様に係る溶融アルミ系めっき鋼板において、その組成のうち、Cが0.05質量%以上0.2質量%以下、Siが0.1質量%以上0.3質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.5質量%以下、Nbが0.03質量%以上0.05質量%以下であり、降伏点YPが400MPa以上、引張強さTSが550MPa以上であることを特徴とする。
また、本発明の参考態様に係る溶融アルミ系めっき鋼板は、その組成が質量比で、Cが0.005質量%以下、Nが0.005質量%以下、Siが0.1質量%以上0.5質量%以下、Pが0.1質量%以下、Sが0.02質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.3質量%以下、solAlが1.0質量%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきが施されることによって、500℃以上700℃以下に加熱(再加熱)したときの強度低下が加熱前と比較して10%以下であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の参考態様に係る溶融アルミ系めっき鋼板は、上記の溶融アルミ系めっき鋼板において、その組成のうち、Cが0.003質量%以下、Nが0.004質量%以下、Pが0.05質量%以上0.08質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.3質量%以下であり、0.2質量%耐力PSが300MPa以上、引張強さTSが400MPa以下であることを特徴とする。
また、本発明の第3の態様に係る溶融アルミ系めっき鋼板は、その組成が質量比で、Cが0.2質量%以下、Nが0.007質量%以下、Siが0.1質量%以上0.5質量%以下、Pが0.1質量%以下、Sが0.02質量%以下、Mnが1.05質量%以上2.0質量%以下、Nbが0.01質量%以上0.08質量%以下、solAlが1.0質量%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきが施されることによって、500℃以上700℃以下に加熱(再加熱)したときの強度低下が加熱前と比較して10%以下であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る溶融アルミ系めっき鋼板は、第3の態様に係る溶融アルミ系めっき鋼板において、その組成のうち、Cが0.05質量%以上0.2質量%以下、Siが0.1質量%以上0.3質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.5質量%以下、Nbが0.03質量%以上0.05質量%以下であり、降伏点YPが400MPa以上、引張強さTSが550MPa以上であることを特徴とする。
また、本発明の参考態様に係る防爆バンドは、その組成が質量比で、Cが0.005質量%以下、Nが0.005質量%以下、Siが0.1質量%以上0.5質量%以下、Pが0.1質量%以下、Sが0.02質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.3質量%以下、solAlが1.0質量%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきが施された溶融アルミ系めっき鋼板を用いたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の参考態様に係る防爆バンドは、上記の防爆バンドにおいて、その組成のうち、Cが0.003質量%以下、Nが0.004質量%以下、Pが005質量%以上0.08質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.3質量%以下であり、0.2質量%耐力PSが300MPa以上、引張強さTSが400MPa以上である溶融アルミ系めっき鋼板を用いたことを特徴とする。
また、本発明の第5の態様に係る防爆バンドは、その組成が質量比で、Cが0.2質量%以下、Nが0.007質量%以下、Siが0.1質量%以上0.5質量%以下、Pが0.1質量%以下、Sが0.02質量%以下、Mnが1.05質量%以上2.0質量%以下、Nbが0.01質量%以上0.08質量%以下、solAlが1.0質量%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とする溶融アルミ系めっきが施されたアルミ系めっき鋼板を用いたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第6の態様に係る防爆バンドは、上記の防爆バンドにおいて、その組成のうち、Cが0.05以上0.2質量%以下、Siが0.1以上0.3質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.5質量%以下、Nbが0.03質量%以上0.05質量%以下であり、降伏点YPが400MPa以上、引張強さTSが550MPa以上である溶融アルミ系めっき鋼板を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、再加熱後も黒変することなく、しかも強度低下を防ぐ
ことが可能なことから、防爆バンドに用いるのに最適な耐黒変性及び溶接性に優れた溶融
アルミ系めっき鋼板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明を適用した防爆バンドの一構成例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す防爆バンドのブラケットの取り付け部分を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した溶融アルミ系めっき鋼板及びこれを用いた防爆バンドについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、特に断らない限り、%は質量%を示す。
【0018】
先ず、本発明を適用した第1の溶融アルミ系めっき鋼板について説明する。
この第1の溶融アルミ系めっき鋼板は、その組成が質量比で、Cが0.005%以下、Nが0.005%以下、Siが0.1%以上0.5%以下、Pが0.1%以下、Sが0.02%以下、Mnが1.05%以上2.0%以下、solAlが1.0%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきが施されることを特徴とするものである。
【0019】
具体的に、この第1の溶融アルミ系めっき鋼板を構成する各組成元素のうち、鋼成分中のCは、極低炭素(IF:Interstitial Free)鋼とするため、Ti、Nb等に固定されるが、その含有量が高くなると、固定に必要なTi、Nbを多量に添加しなければならず、コストアップの原因となる。また、透磁率等の磁気特性にも悪影響を及ぼすため、その上限を0.005%(その公差の範囲を含む。)とする。一方、製造のし易さの点からはCは0.003%以下であるのが好ましい。
【0020】
鋼成分中のNは、Cと同様にIF鋼とするため、Ti、Nb等に固定されるが、その含有量が高くなると、固定に必要なTi、Nbを多量に添加しなければならず、コストアップの原因となる。また、透磁率等の磁気特性にも悪影響を及ぼすため、その上限を0.005%(その公差の範囲を含む。)とする。一方、製造のし易さの点からはNは0.004%以下であるのが好ましい。
鋼成分中のMnは、再加熱時の耐黒変性と常温および再加熱時の強度を確保するのに有効な元素であり、強度を確保する上で少なくとも1.05%(その公差の範囲を含む。)以上添加する。Mnが1.05%以上で再加熱時の耐黒変性と再加熱時の10%以上の強度低下を抑制できる。一方、2.0%を超えて添加すると、溶接性や溶接部の機械的特性のばらつきが大きくなり加工性が低下するため、その上限を2.0%(その公差の範囲を含む。)とする。なお、製造しやすさの点からはMnは1.3%以下であるのが好ましい。
【0021】
鋼成分中のSiは、再加熱時の耐黒変性を確保するのに有効な元素であるが、その含有量が高くなると、めっきの濡れ性が悪くなり、不めっきの原因となるため、その上限を0.5%(その公差の範囲を含む。)とする。すなわち、鋼成分のMn,Siは、その含有量を高めると、Al−Si合金化を抑制するAlN(アルミナイトライド)と同様の効果を発揮する。一方、Siの含有量の下限は0.1%とする。Si含有量がこの値未満であると、耐黒変性が得られないためである。更にSiが0.1%以上で、再加熱時の10%以上の強度低下を抑制できる。
MnやSiはメッキ前の加熱中およびメッキ中に、鉄に固溶した形態と酸化物の形態で鋼板の表面近傍に濃化して存在する。MnやSiは結晶粒内と結晶粒界に存在する。
【0022】
亜鉛メッキの場合には、酸化物を生成しやすいSiやMnが多く含まれると、メッキの前に鋼板表面に酸化膜を形成して、メッキ性を阻害することが知られている。これは、ZnよりもMnとSiの方が酸素との親和力が強い為に一端生成したMnやSiの酸化物を容易に還元できない為である。
しかし、アルミメッキの場合には、Alの方がSiやMnに比べて酸素との親和力が強い為にSiやMnの酸化物を還元することが出来る。したがって、MnやSiが多く含まれても、メッキ前の加熱中に生成した酸化物は還元されてメッキ性を阻害することが無いばかりでなく、メッキ後に界面に濃化した固溶Mnや固溶Siの形態で存在することになる。しかし、Siは酸化性がMnより強いので、酸化物が過剰に出来るとメッキ性を阻害する量の酸化物が界面に生成するので、前述したようにその上限がある。
【0023】
これらの界面に濃化して存在するMnやSiは、メッキ後に再加熱した際にFeが鋼板からメッキ中に拡散するのを阻害する。このことにより本特許で示した温度と時間の範囲で再加熱中に黒変が発生するのを防止する。しかし、この再加熱の際に、界面に存在しているMnやSiが界面から移動するとFeの拡散を阻害する効果が弱くなり本発明の時間と温度内でも黒変が発生することになる。SiやMnが自由に動かない為には、結晶粒内に固溶しているSiやMnが結晶粒界に移動しないように、再加熱前に既に結晶粒界にMnやSiが充分な量存在している必要がある。
【0024】
更に、固溶強化型元素である、MnやSiが鋼板中に多く含まれると、高温再加熱した場合に、強度の低下を10%以下に抑えられることを発明者は見出した。もしも、再加熱時にMnやSiが鋼中を自由に動くと強度の低下が生じると考えられる。SiやMnが自由に動かない為には、結晶粒内に固溶しているSiやMnが結晶粒界に移動しないように、既に結晶粒界にMnやSiが充分な量存在している必要がある。この為にはMnとSiの濃度は高い方が良く、その下限濃度が存在する。
したがって、再加熱時の黒変と強度の低下を併せて防止する為には、結晶粒内に固溶しているSiやMnが結晶粒界に移動しないように、既に結晶粒界にMnやSiが充分な量存在している必要があると考えられる。この為に、再加熱時の黒変と強度の低下を併せて防止する為に必要なMnとSi量の下限値はほぼ同様な量であることを発明者は見出した。
【0025】
この下限値は、Siは0.1%以上、Mnは1.05%以上であり、再加熱時に、鋼板の界面や内部にある固溶元素が動いても、界面拡散や強度の低下に影響を及ぼさない程度に充分な量である。
鋼成分中のPは、強度を確保するのに有効な元素であるが、その含有量が高くなると、鋼板の靱性を低下させると共に溶接性も劣化させるため、その上限を0.1%(その公差の範囲を含む。)とする。一方、Pの含有量の下限は0.01%であるのが好ましい。P含有量がこの値未満であると、十分な強度が得られないためである。
【0026】
鋼成分中のSは、不純物として不可避的に含有される元素であり、熱延字の割れや疵の原因となる。また、溶接性を低下させたり、磁気特性も低下させたりするので、極力低減する必要があるが、その上限を0.02%(その公差の範囲を含む。)とすることで、そのような問題を抑えることができる。
鋼成分中のsol(固溶)Alは、溶鋼の脱酸剤として添加されるものであり、その上限を1.0%(その公差の範囲を含む。)とする。一方、sol.Alの含有量の下限は0.005%であることが好ましい。Sol.Al含有量がこの値未満であると、十分な脱酸効果が得られないためである。
なお、ここで言う上限又は下限値とは、測定値の平均値で定義されるものであり、「その公差の範囲を含む」とは、分析値に誤差がある場合に、上記平均値で定義した上限又は下限値に公差の値をそれぞれ加算又は減算し、これらの値を新たな上限又は下限値にすることである。
【0027】
アルミ系めっきは、めっき界面でAl−Fe合金層が厚く成長しやすく、成長した合金層が加工時のめっき剥離を引き起こす原因となる。このため、Alを主体とする溶融アルミめっき浴中にSiを質量比で6%以上12%以下程度添加することで、この合金層の成長を抑えると共に、上記鋼成分中のSiと同様に耐黒変性を確保できる。
【0028】
以上のような組成からなる第1の溶融アルミ系めっき鋼板は、例えば250秒〜450秒間、500℃以上700℃以下に再加熱したときに黒変せず、しかも500℃以上700℃以下に再加熱したときの強度低下を10%以下に抑えることができる。また、500℃以上700℃以下で、上記の時間より短く加熱した場合には、黒変しない。但し、900秒以上加熱すると、黒変する可能性がある。さらに、この第1の溶融アルミ系めっき鋼板では、前記鋼成分中の組成を、Cが0.003%以下、Nが0.004%以下、Pが0.05%以上0.08%以下、Mnが1.05%以上1.3%以下の範囲とすることで、0.2%耐力PSを300MPa以上とし、引張強さTSを400MPa以上とすることができる。
【0029】
次に、本発明を適用した第2の溶融アルミ系めっき鋼板について説明する。
この第2の溶融アルミ系めっき鋼板は、その組成が質量比で、Cが0.2%以下、Nが0.007%以下、Siが0.1%以上0.5%以下、Pが0.1%以下、Sが0.02%以下、Mnが1.05%以上2.0%以下、Nbが0.01%以上0.08%以下、solAlが1.0%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきが施されることを特徴とするものである。
【0030】
具体的に、この第2の溶融アルミ系めっき鋼板を構成する各組成元素のうち、鋼成分中のCは、強度を確保するのに有効な元素であるが、その含有量が高くなると、加工性及び溶接性が悪くなるため、その上限を0.2%(その公差の範囲を含む。)とする。
鋼成分中のNは、不可避的に含有される元素であり、その含有量が高くなると、Ti、Nbを多量に添加しなければならず、コストアップの原因となる。また、透磁率等の磁気特性にも悪影響を及ぼすため、その上限を0.007%(その公差の範囲を含む。)とする。
【0031】
鋼成分中のMnは、再加熱時の耐黒変性と常温および再加熱後の強度を確保するのに有効な元素であり、強度を確保する上で少なくとも1.05%(その公差の範囲を含む。)以上添加する。一方、2.0%を超えて添加すると、溶接性や溶接部の機械的特性のばらつきが大きくなり加工性が低下するため、その上限を2.0%(その公差の範囲を含む。)とする。
鋼成分中のSiは、再加熱時の耐黒変性を確保するのに有効な元素であるが、その含有量が高くなると、めっきの濡れ性が悪くなり、不めっきの原因となるため、その上限を0.5%(その公差の範囲を含む。)とする。すなわち、鋼成分のMn,Siは、その含有量を高めると、Al−Si合金化を抑制するAlN(アルミナイトライド)と同様の効果を発揮する。一方、Siの下限は0.1%とする。Siの量がこの値を下回ると、再加熱時に合金化が進んで黒変が発生するためである。
【0032】
鋼成分中のPは、強度を確保するのに有効な元素であるが、その含有量が高くなると、鋼板の靱性を低下させると共に溶接性も劣化させるため、その上限を0.1%(その公差の範囲を含む。)とする。一方、Pの下限は0.01%であることが好ましい。Pの量がこの値を下回ると、十分な強度が得られないためである。
鋼成分中のSは、不純物として不可避的に含有される元素であり、熱延時の割れや疵の原因となる。また、溶接性を低下させたり、磁気特性も低下させたりするので、極力低減する必要があるが、その上限を0.02%(その公差の範囲を含む。)とすることで、そのような問題を抑えることができる。
鋼成分中のNbは、炭窒化物を形成し、強度向上に寄与する元素であり、その強度向上を図る上で、少なくとも0.01%(その公差の範囲を含む。)以上添加する。一方、0.08%を超えて添加しても、その強度向上の効果が飽和するため、その上限を0.08%(その公差の範囲を含む。)とする。
鋼成分中のsol.Alは、溶鋼の脱酸剤として添加されるものであり、その上限を1.0%(その公差の範囲を含む。)とする。一方、sol(固溶)Alの下限は0.005%であることが好ましい。sol(固溶)Alの量がこの値を下回ると、十分な脱酸効果が得られないためである。
なお、ここで言う上限又は下限値とは、測定値の平均値で定義されるものであり、「その公差の範囲を含む」とは、分析値に誤差がある場合に、上記平均値で定義した上限又は下限値に公差の値をそれぞれ加算又は減算し、これらの値を新たな上限又は下限値にすることである。
【0033】
アルミ系めっきは、めっき界面でAl−Fe合金層が厚く成長しやすく、成長した合金層が加工時のめっき剥離を引き起こす原因となる。このため、Alを主体とする溶融アルミめっき浴中にSiを質量比で6%以上12%以下程度添加することで、この合金層の成長を抑えると共に、上記鋼成分中のSiと同様に耐黒変性を確保している。
【0034】
以上のような組成からなる第2の溶融アルミ系めっき鋼板は、例えば250秒〜450秒間、500℃以上700℃以下に再加熱したときに黒変せず、しかも例えば10秒〜30秒間、500℃以上700℃以下に再加熱したときの強度低下を10%以下に抑えることができる。但し、900秒以上加熱した場合には黒変する可能性がある。さらに、この第2の溶融アルミ系めっき鋼板では、前記鋼成分中の組成を、Cが0.05%以上0.2%以下、Siが0.1%以上0.3%以下、Mnが1.05%以上1.5%以下、Nbが0.03%以上0.05%以下の範囲とすることで、降伏点YPを400MPa以上とし、引張強さTSが550MPa以上とすることができる。
【0035】
上記第1及び第2の溶融アルミ系めっき鋼板は、例えば図1に示すようなCRT(Cathode-ray Tube)10の防爆バンド1に用いて最適なものである。具体的に、この防爆バンド1は、CRT10の周囲に嵌め込まれたバンド本体1aと、このバンド本体1aに設けられたブラケット2とを備えている。このうち、バンド本体1aは、上記溶融アルミ系めっき鋼板を所定の長さで帯状に切断し加工したものを、CRT10のパネル側面形状に合わせて折り曲げて、その長手方向の端部同士を溶接部3で溶接することによって、全体として枠状に形成したものである。一方、ブラケット2は、CRT10を受像機のキャビネットに取り付けるために、例えば略L字状に折り曲げられた金属部材であり、バンド本体1aの四隅の対角位置にある各溶接部3に、それぞれスポット溶接により取り付けられている。
【0036】
スポット溶接は、防爆バンドの形状に加工する際に図1あるいは図2に示す溶接を行う。この時点では、鋼板はメッキしたままの状態なので、黒変というメッキ表面の変化は生じていない。また、メッキ層中に存在して、溶接性に関係しそうな合金層の厚みは、鋼板の成分に関わらず、メッキ中のSi濃度の影響が大きく、前述したように、メッキ浴中のSiが6%以上12%以下では合金層の成長が抑制出来ることから、この範囲では溶接性に及ぼすメッキ層の影響は非常に小さい。発明者らはAlを主体としたメッキ鋼板の場合には、むしろ、鋼板中のC,S,Pという元素が影響を及ぼすことを見出した。これらの元素は、スポット溶接時に鋼板の表面がメッキ層とともに溶融する際に、溶融界面に集積するか、溶融界面の強度を低下する可能性が有る。
発明者らはAlを主体としたメッキ鋼板の場合には、C≦0.2%もしくは、P≦0.1%、S≦0.02%であれば溶接性は問題ないことを突き止めた。
【0037】
以上のような構造を有する防爆バンド1は、例えば10秒〜30秒間、約500℃以上600℃以下で加熱し膨張させたバンド本体1aをCRT10の周囲に嵌め込むと同時に急速に冷却させる。すると、このバンド本体1aが収縮し、CRT10の周囲に焼き嵌めされる。そして、このとき発生するバンド本体1aの張力によってCRT10の空気圧による変形が補正される。
【0038】
上述したように、この防爆バンド1は、再加熱後もバンド本体1aが黒変することなく、しかも溶接部3の強度低下を防ぐことが可能な耐黒変性及び溶接性に優れた上記溶融アルミ系めっき鋼板を用いている。したがって、上記溶融アルミ系めっき鋼板からなる防爆バンド1は、再加熱後も光沢を維持し且つ防錆性にも優れている。さらに、この防爆バンド1は、従来のものよりも軽量であり且つ優れた加工性と十分な強度を有しているため、CRT10を受像機のキャビネットに安定して取り付けることができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとするが、以下の実施例は本発明の技術範囲を限定するものではない。
先ず、第1の溶融アルミ系めっき鋼板の参考例及び比較例として、表1に示す各鋼成分の異なった鋼を鋳造し、再加熱後、熱延、酸洗、冷間圧延、焼鈍を行い、鋼板を得た。そして、各鋼板に対して無酸化炉(NOF:Non Oxygen Furnace)−還元炉(RF:Reduction Furnace)方式(NOF板温≧600℃、RF板温≧800℃)の溶融めっきラインでアルミめっき浴中の品種(Si濃度9%〜11%、めっき浴温度640℃〜670℃)を変えて溶融めっきを施した。還元炉中の露点は0℃〜−40℃の範囲に調整した。そして、調質圧延を行い、最終的に板厚1.7mmの各サンプル1〜17を作製した。なお、表1中において、サンプル3のCRは、冷延材を示し、サンプル4のGIは、溶融亜鉛めっきを示し、サンプル5のGLは、ガルバリウム(Al55%−Zn)を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
以上に作製された表1に示す各サンプルの常温での機械特性、加熱後の機械特性、耐食性、黒変性、溶接性、加工性についての評価を行った。その評価結果を表2に示す。尚、表2と表4で、PSとTSの単位はMPa,Elの単位は%である。
【0042】
【表2】

【0043】
なお、機械特性については、各サンプルに対して常温の場合の引張り試験と、550℃で30秒加熱した場合の引張り試験(サンプル2〜6,10,17を除く)を行い、その0.2%耐力PS(MPa)、引張強さTS(MPa)、伸び(%)を測定した。なお、本引張り試験は、JISZ2241の金属材料引張試験に従い、各サンプルごとにJIS5号の試験片を作製して、引張方向を幅方向(C)として行った。また、耐食性については、各サンプル(サンプル10,17を除く)に対して塩水噴霧試験(SST)を行い、その72時間後の赤錆発生率と白錆発生率を測定した。黒変性については、各サンプル(サンプル3,10,17を除く)をラボ加熱炉(炉温700℃)で加熱し、板温(加熱時間)が、500℃(250秒)、550℃(280秒)、600℃(360秒)、650℃(450秒)となった時点で外観から評価した。なお、表2中の黒変性評価のうち、○は変色なし、□は表面積の10%以下が灰色変色、△は表面積の50%以下が灰黒色変色、×は表面積の50%を超えて黒色変色である。また、溶接性については、各サンプル(サンプル10,17を除く)に対してピールテストを行った。なお、本ピールテストでは、各サンプルごとに30mm×150mmの試験片を一対作製し、これら試験片をスポット溶接(ナゲット径5mm)した後に、万力とペンチとで引き剥がし、そのナゲット部における破断状況を目視によって観察した。なお、表2中のピールテスト評価のうち、○はナゲット外破断、×はナゲット内破断である。また、加工性については、各サンプル(サンプル10,17を除く)に対して0T曲げ試験(板状の試験片を180度の角度になるまで折り曲げる試験)を行った。なお、本曲げ試験では、各サンプルごとに30mm×150mmの試験片を作製し、折り曲げ試験機で試験片を挟まずに折り曲げ、その0T曲げ部における割れの有無を目視によって観察した。なお、表2中の0T曲げ評価のうち、○は割れの発生なし又は微細な割れ(試験片の長さの1/9以下)であり、△は小さな割れ(試験片の長さの1/2以下)であり、×は大きな割れが発生又は破断かそれに近いものである。
【0044】
表2からわかるように、サンプル3〜6ように、Cが0.005%を超えるものは、時効しやすく、0T曲げ試験でも割れの発生が見られた。また、サンプル2〜5,7のように、Mnが1.05%未満となるものは、TS≧400MPaとなり、強度不足となった。また、サンプル6のように、Mnが2.0%を超えるものは、TS≧600MPaとなり、強度が高く過ぎ、加工性が劣化する。さらに合金コストも高くなる。また、サンプル10のように、Siが0.5%を超えるものは、めっきの濡れ性が悪くなり、不めっきとなった。また、サンプル14のように、Sが0.02%を超えるものは、ピールテストでピール内破断が発生し、溶接部の強度低下が見られた。また、サンプル16のように、Pが0.1%を超えるものは、ピールテストでピール内破断が見られ、溶接部の強度低下が見られた。なお、サンプル17のように、Nが0.005%を超えるものは、製造コストが嵩むため製造しなかった。したがって、C,Si,Mn等の成分値は記述していない。
【0045】
以上のことから、第1の溶融アルミ系めっき鋼板は、再加熱後も黒変することなく、しかも溶接部の強度低下を防ぐことが可能なことから、耐黒変性、溶接性及び加工性に優れていることが明らかとなった。
【0046】
次に、第2の溶融アルミ系めっき鋼板の実施例及び比較例として、表3に示す各鋼成分の異なった鋼を鋳造し、再加熱後、熱延、酸洗、冷間圧延、焼鈍を行い、鋼板を得た。そして、各鋼板に対してNOF−RF方式(NOF板温≧600℃、RF板温≧800℃)の溶融めっきラインで浴中の品種(Si濃度9%〜11%、めっき浴温度640℃〜670℃)を変えて溶融めっきを施した。還元炉中の露点は0℃〜−40℃の範囲に調整した。そして、調質圧延を行い、最終的に板厚1.7mmの各サンプル1〜18を作製した。なお、表3中において、サンプル3のCRは、冷延材を示し、サンプル4のGIは、溶融亜鉛めっきを示し、サンプル5のGLは、ガルバリウム(Al55%−Zn)を示す。
【0047】
【表3】

【0048】
以上のように作製された表3に示す各サンプルの常温での機械特性、加熱後の機械特性、耐食性、黒変性、溶接性についての評価を行った。その評価結果を表4に示す。なお、表4の単位は表2と同じである。
【0049】
【表4】

【0050】
なお、機械特性については、各サンプルに対して常温の場合の引張り試験と、550℃で30秒加熱した場合の引張り試験(サンプル2〜7,9,17を除く)を行い、その降伏点YP(MPa)、引張強さTS(MPa)、伸び(%)を測定した。なお、本引張り試験は、JISZ2241の金属材料引張試験に従い、各サンプルごとにJIS5号の試験片を作製して、引張方向を幅方向(C)として行った。また、耐食性については、各サンプル(サンプル9,17を除く)に対して塩水噴霧試験(SST)を行い、その72時間後の赤錆発生率と白錆発生率を測定した。黒変性については、各サンプル(サンプル3,9,17を除く)をラボ加熱炉(炉温700℃)で加熱し、板温(加熱時間)が、500℃(250秒)、550℃(280秒)、600℃(360秒)、650℃(450秒)となった時点で外観から評価した。なお、表4中の黒変性評価のうち、○は変色なし、□は表面積の10%以下が灰色変色、△は表面積の50以下が灰黒色変色、×は表面積の50%を超えて黒色変色である。また、溶接性については、各サンプル(サンプル9,16,17を除く)に対してピールテストを行った。なお、本ピールテストでは、各サンプルごとに30mm×150mmの試験片を一対作製し、これら試験片をスポット溶接(ナゲット径5mm)した後に、万力とペンチとで引き剥がし、そのナゲット部における破断状況を目視によって観察した。なお、表4中のピールテスト評価のうち、○はナゲット外での破断、×はナゲット内での破断である。
【0051】
表4からわかるように、サンプル19のように、Cが0.2%を超えるものは、適正な溶接条件の設定が難しく、ピールテストでナゲット内破断が発生し、溶接部の強度低下が見られた。また、サンプル2〜5,7のように、Mnが1.05%未満となるものは、TS≧550となり、強度不足となった。また、サンプル6のように、Mnが2.0%を超えるものは、製造コストが嵩むため製造しなかった。また、サンプル9のように、Siが0.5%を超えるものは、めっきの濡れ性が悪くなり、不めっきとなった。また、サンプル13のように、Sが0.02%を超えるものは、ピールテストでピール内破断が発生し、溶接部の強度低下が見られた。また、サンプル15のように、Pが0.1%を超えるものは、ピールテストでピール内破断が見られ、溶接部の強度低下が見られた。また、サンプル16のように、Nが0.007%を超えるものは、製造コストが嵩むため製造しなかった。また、サンプル17のように、Nbが0.01%未満となるものは、NbCの析出強化効果が不十分で強度不足となった。
【0052】
以上のことから、本発明の第2の溶融アルミ系めっき鋼板は、再加熱後も黒変することなく、しかも溶接部の強度低下を防ぐことが可能なことから、耐黒変性及び溶接性に優れていることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
なお、本発明を適用した溶融アルミ系めっき鋼板は、上述した防爆バンドに適用したものに必ずしも限定されるものではなく、例えば自動車の排気管や家庭用熱器具、燃料電池パネル等の耐熱性及び耐食性が要求されるものに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…防爆バンド、1a…バンド本体、2…ブラケット、3…溶接部、10…CRT。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成が質量比で、Cが0.2質量%以下、Nが0.007質量%以下、Siが0.1質量%以上0.5質量%以下、Pが0.1質量%以下、Sが0.02質量%以下、Mnが1.05質量%以上2.0質量%以下、Nbが0.01質量%以上0.08質量%以下、solAlが1.0質量%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきが施されることによって、500℃以上700℃以下に再加熱したときに黒変しないことを特徴とする溶融アルミ系めっき鋼板。
【請求項2】
前記組成のうち、Cが0.05質量%以上0.2質量%以下、Siが0.1質量%以上0.3質量%以下、Mnが1.05以上1.5質量%以下、Nbが0.03質量%以上0.05質量%以下であり、降伏点YPが400MPa以上、引張強さTSが550MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶融アルミ系めっき鋼板。
【請求項3】
組成が質量比で、Cが0.2質量%以下、Nが0.007質量%以下、Siが0.1質量%以上0.5質量%以下、Pが0.1質量%以下、Sが0.02質量%以下、Mnが1.05質量%以上2.0質量%以下、Nbが0.01質量%以上0.08質量%以下、solAlが1.0質量%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきが施されることによって、めっき後に500℃以上700℃以下に加熱(再加熱)したときの強度低下が加熱前と比較して10%以下であることを特徴とする溶融アルミ系めっき鋼板。
【請求項4】
前記組成のうち、Cが0.05質量%以上0.2質量%以下、Siが0.1質量%以上0.1質量%以上0.3質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.5質量%以下、Nbが0.03質量%以上0.05質量%以下であり、降伏点YPが400MPa以上、引張強さTSが550MPa以上であることを特徴とする請求項3に記載の溶融アルミ系めっき鋼板。
【請求項5】
組成が質量比で、Cが0.2質量%以下、Nが0.007質量%以下、Siが0.1質量%以上0.5質量%以下、Pが0.1質量%以下、Sが0.02質量%以下、Mnが1.05質量%以上2.0質量%以下、Nbが0.01質量%以上0.08質量%以下、solAlが1.0質量%以下、残部がFe及び不可避的不純物である鋼板に、Alを主体とするアルミ系めっきが施された溶融アルミ系めっき鋼板を用いた防爆バンド。
【請求項6】
前記組成のうち、Cが0.05質量%以上0.2質量%以下、Siが0.1以上0.3質量%以下、Mnが1.05質量%以上1.5質量%以下、Nbが0.03質量%以上0.05質量%以下であり、降伏点YPが400MPa以上、引張強さTSが550MPa以上である溶融アルミ系めっき鋼板を用いたことを特徴とする請求項5に記載の防爆バンド。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−82521(P2012−82521A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239492(P2011−239492)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【分割の表示】特願2007−502646(P2007−502646)の分割
【原出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【特許番号】特許第4897108号(P4897108)
【特許公報発行日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】