説明

溶融加工処理可能なポリウレアエラストマー

本発明は、末端ラクタム化ジイソシアネート、および一般式 HO−R−OH(ここでRは、1〜20個の炭素原子を含むアルキレン基である)のアルキレンジオールを反応させることによって作製される溶融加工処理可能なポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーに関する。本発明は、連続押し出し成形機製造法を含む、上記ポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーを作製する方法をさらに提供する。本発明はまた、本明細書に記載されるエラストマーから調製され得る製造物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、溶融加工処理可能な(melt processable)ポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマー、ならびにより具体的には、連続様式で調製され得るポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマー(反応押し出し成形機および/または類似の装置において調製され得るエラストマーを含む)に関する。
【0002】
ポリウレアおよび/またはコポリウレアは、逐次重合(step−growth polymerization)を介して、イソシアネートおよび合成樹脂ブレンド成分の反応に代表的には由来するエラストマーである。上記樹脂ブレンド成分は、通常、末端アミン化ポリマー樹脂を含む。コポリウレアエラストマーを調製するためのプロセスは、一般に、プレポリマーを利用し、連続様式で完了できない。これらの欠点に関連して、これら材料を調製するために使用される上記末端アミン化ポリマー樹脂は、いくつかの他の課題の原因となる。アミンは、イソシアネート基と非常に迅速に反応し、上記反応は、制御しがたく、その結果、コポリウレアエラストマーの使用が一般に、反応射出成形(RIM)プロセスに制限される。RIMプロセスにおいてすら、成形物品が作製され得るのに十分な重合反応を遅らせるために、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)のような立体障害のある芳香族アミン鎖伸長剤(chain extender)を使用することが、一般に必要であることが見いだされた。さらに、アミンは、室温においてイソシアネートとの種々の二次的反応に関与し、ポリウレア含有ポリマーにおいて望ましくない架橋およびゲル形成を引き起こすことが公知である。より容易に加工処理できるポリウレアポリマーを提供することが、望ましい。
【0003】
さらに、改善された物理的特性および加工処理性を有するポリマーを提供することは、常に有益である。
【0004】
よって、より高い加工処理融通性および従来調製されてきたコポリウレアポリマーによって示されるものと等価またはより優れた物理的特性を有する製品ポリマーを提供するコポリウレアエラストマーを調製するためのプロセスを提供することが、望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、末端ラクタム化ジイソシアネートおよびアルキレンジオールに由来するポリウレアセグメントを含む、溶融加工処理可能なポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーを提供する。本発明のポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーは、(a)末端ラクタム化ジイソシアネート、および(b)一般式 HO−R−OHのアルキレンジオールであって、ここでRは、1〜20個またはさらには2〜20個の炭素原子を含むアルキレン基である、アルキレンジオールを重合させることによって得られ得る。用語末端ラクタム化ジイソシアネートは、本明細書で使用される場合、ジイソシアネートおよびラクタムモノマーの反応生成物に言及する。いくつかの実施形態において、上記重合は、アルカリ触媒の存在下で起こり、上記エラストマーの調製において使用される末端ラクタム化ジイソシアネートは、5重量%未満の残留ラクタムモノマーを含み得る。
【0006】
本発明はまた、上記エラストマーの構造が、末端ヒドロキシ化化合物に由来する軟質ブロックのセグメントおよび/またはラクタムモノマーに由来する硬質ブロックのセグメントをさらに含むコポリウレアエラストマーを提供する。上記末端ヒドロキシ化化合物はポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンまたはこれらの組み合わせであり得る。コポリエステルウレアエラストマーおよびコポリエーテルウレアエラストマーもまた含まれ、ここで上記軟質セグメントは、アルキレンジオール成分(例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、またはこれらの組み合わせ)に由来する。
【0007】
本発明は、本明細書に記載される溶融加工処理可能なポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーを調製するためのプロセスをさらに提供する。上記プロセスは、(a)末端ラクタム化ジイソシアネートおよび(b)アルキレンジオールを、必要に応じて、アルカリ触媒の存在下で重合させる工程を包含する。上記の重合は、内部混合装置(例えば、押し出し成形機)の中で起こり得る。本発明は、上記のポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーのうちのいずれかが、連続様式および/または部分連続様式で生成されること、ならびにその連続プロセスおよび/または部分連続プロセスを提供する。
【0008】
本発明はまた、本明細書に記載されるエラストマーから調製され得る製造物品に関する。このような物品は、射出成形、圧縮成形および/または押し出し成形によって製造され得る。このような物品は、熱可塑性ポリマーとともに一般に使用される手順および技術を使用して、製造され得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明の種々の特徴および実施形態は、非限定的な例示によって以下に記載される。
【0010】
(ポリウレアおよび/またはコポリウレア)
本発明は、溶融加工処理可能なポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーを提供する。本発明のエラストマーは、イソシアネートと、ポリアミンおよび/または末端アミン化ポリマー樹脂とを反応させる代表的なプロセスによって調製されない。上記代表的なプロセスは、非常に発熱性であり、制御しにくく、しばしば、溶媒および/またはいくらかの他の発熱制御特徴の存在下で反応が行われる必要がある。これは不十分であり、増大した材料コストおよび低下した能力をもたらす。ポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマー、および理想的には、溶融加工処理可能であるポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーを生成するより効率的な方法が必要である。すなわち、連続して生成され得るポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーが必要である。
【0011】
本発明のエラストマーは、末端ラクタム化ジイソシアネートおよびアルキレンジオールに由来するポリウレアセグメントを含む溶融加工処理可能なポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーを含む。上記末端ラクタム化ジイソシアネートおよびアルキレンジオールは、重合され、本発明のエラストマーを構成する上記ポリウレアセグメントを形成する。
【0012】
本発明における使用に適したアルキレンジオールは、一般式 HO−R−OHのジオール(ここでRは、2〜20個の炭素原子、または2もしくは4〜6もしくは8個の炭素原子を含むアルキレン基である)を含む。
【0013】
本発明はまた、上記エラストマーがポリウレア単位の少なくとも1個のセグメントを含み、(i)軟質ブロックの少なくとも1個のセグメント、(ii)硬質ブロックの少なくとも1個のセグメント、または(iii)これらの組み合わせをさらに含む、溶融加工処理可能なコポリウレアエラストマーを含む。上記軟質ブロックセグメントは、末端ヒドロキシ化化合物に由来し得る。上記硬質ブロックセグメントは、ラクタムモノマーに由来するポリアミドブロックであり得る。
【0014】
上記エラストマー中の上記必要に応じた軟質ブロックセグメントおよび/または硬質ブロックセグメントに対するポリウレアセグメントの重量%は、過度に限定されず、得られるエラストマーの所望の物理的特性を得るために調節され得る。いくつかの実施形態において、上記エラストマー中のポリウレアセグメントの重量%は、10%〜90%、または10%〜60%、または20%〜40%である。
【0015】
上記必要に応じた軟質ブロックは、1種以上の末端ヒドロキシ化化合物に由来する。適切な末端ヒドロキシ化化合物としては、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンまたはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリエーテルポリオールおよび/またはジオール、ポリエステルポリオールおよび/またはジオール、あるいはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、200〜10,000、または400もしくは600〜5,000もしくは2,000の数平均分子量(Mn)を有する。他の実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリエーテルおよび/または一般式 HO−(RO)−Hのポリエステルジオール(ここでRは、ヒドロキシル基であり、これは、上記ヒドロカルビル鎖中にカルボニル基を含み得、ここで上記ヒドロカルビル基は、合計1〜20個の炭素原子、または1もしくは2もしくは4〜8個もしくは6個もしくは4個の炭素原子を含み、nは、3〜70または2もしくは4〜50もしくは40もしくは20の整数である)を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記エラストマーは、ポリエーテル由来軟質ブロックを含む。他の実施形態において、上記エラストマーは、ポリエステル由来軟質ブロックを含む。さらに他の実施形態において、上記エラストマーは、エーテルおよびエステル単位の混合物を含む。このような実施形態において、上記軟質ブロックは、優先的にポリエステルブロックであり得、70%より多く、80%またはさらには90%のポリエステルブロックであり得る。いくつかの実施形態において、上記軟質ブロックは、ポリエーテル基を実質的に含まず、そして/または10%未満、5%またはさらには1%のポリエーテル基を含む。これらパーセント値は、ポリマー全体のうちの上記軟質ブロックに関する。
【0017】
上記必要に応じた硬質ブロックは、1個以上のラクタムモノマーに由来し得る。適切なラクタムモノマーは、過度に限定されない。いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、カプロラクタム、ラウロラクタムまたはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、カプロラクタムである。
【0018】
(末端ラクタム化ジイソシアネート)
上記のように、本発明のエラストマーは、末端ラクタム化ジイソシアネートに由来する。用語末端ラクタム化ジイソシアネートは、本明細書で使用される場合、ジイソシアネートおよびラクタムモノマーの反応生成物に言及する。上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、アルキレンジイソシアネートに由来し得る。いくつかの実施形態において、上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、本明細書に記載されるラクタムモノマーのうちの1個以上で末端化される。いくつかの実施形態において、上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、カプロラクタム、ラウロラクタム、またはこれらの組み合わせで末端化される。明瞭にするために、本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートは、それ自体、ジイソシアネートではなく、むしろ、ジイソシアネートに由来する。本明細書で記載されるように、上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、1個のジイソシアネートおよび2個のラクタムモノマーに由来する。ここで1個のラクタムモノマーは、上記ジイソシアネートの各末端に結合する。例えば、本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートは、一般構造: R−C(O)−N(R)−C(O)−N(H)−R−N(H)−C(O)−N(R)−C(O)−Rを有し得、ここで各R、R、RおよびRは、アルキレン基であり、ここでRとRは結合されて、環式基を形成し、RとRは結合されて、環式基を形成し、そしてここでRは、アルキレン基である。いくつかの実施形態において、一緒になったRとRは、5個の炭素原子を含み、上記環式基の直線状部分を形成し、一緒になったRとRは、5個の炭素原子を含み、上記環式基の直線状部分を形成し、そしてRは、6個の炭素原子を含み、いくつかの実施形態においては、直線状である。
【0019】
上記末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において有用なジイソシアネートは、過度に限定されない。いくつかの実施形態において、適切なジイソシアネートとしては、4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート);ヘキサメチレンジイソシアネート;3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート;フェニレン−1,4−ジイソシアネート;ナフタレン−1,5−ジイソシアネート;3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート;トルエンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;1,4−シクロヘキシルジイソシアネート;デカン−1,10−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらジイソシアネートのうちの1個以上は、ラクタムモノマーで末端化されて、本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートを提供し得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートとしては、末端カプロラクタム化ヘキサメチレンジイソシアネート、末端カプロラクタム化メチレンジフェニルジイソシアネート、末端カプロラクタム化ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、末端カプロラクタム化トルエンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0021】
上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、当業者が公知の技術および方法によって調製され得る。例えば、末端ラクタム化ジイソシアネートは、ジイソシアネート(上記のジイソシアネートのうちの1種以上を含む)と、ラクタムモノマー(上記のラクタムモノマーのうちの1種以上を含む)との反応によって調製され得る。上記反応は、高温(例えば、85℃)において撹拌しながら行われ得る。上記反応はまた、窒素パージ下で行われ得る。触媒は、上記末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において使用され得る。上記末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において使用されるジイソシアネート 対 ラクタムモノマーのモル比は、過度に制限されず、一般に、使用される上記ジイソシアネートおよびラクタムモノマーに依存する。いくつかの実施形態において、上記末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において使用されるジイソシアネート 対 ラクタムモノマーのモル比は、1:0.5〜1:5または1:1.5〜1:5である。いくつかの実施形態において、上記比は、1モルのジイソシアネートあたり約2モルのラクタムモノマーであり、反応を完了させるために、いくらか過剰のラクタムモノマーが許容される。次いで、得られた末端ラクタム化ジイソシアネートは、本発明のエラストマーを調製するために使用され得る。
【0022】
本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において利用されるラクタムモノマーは、過度に限定されない。いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、カプロラクタム、ラウロラクタムまたはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、カプロラクタムである。
【0023】
いくつかの実施形態において、本発明において使用される上記ジイソシアネートとしては、1個のパラ置換された環ならびに1個のメタおよび/またはオルト置換された環を有するジイソシアネートを含む。いくつかの実施形態において、本発明のジイソシアネート成分は、2個以下の対称元素を含む。いくつかの実施形態において、本発明のジイソシアネート成分は、ジフェニルジイソシアネートを実質的に含まないか、含まない。
【0024】
(アルキレンジオール)
本発明における使用に適切なアルキレンジオールとしては、一般式 HO−R−OH(ここでRは、2〜20個の炭素原子、または2もしくは4〜6もしくは8個の炭素原子を含むアルキレン基である)のジオールを含む。いくつかの実施形態において、Rは、一般式 −(R−O)−R−(O−R−(ここで各Rは、独立して、2または4〜最大6または8または20個までの炭素原子を含むアルキレン基であり、Rは、2または4〜最大6または8または20個までの炭素原子を含むアルキレン基であり、各nは、独立して、0または1または2〜最大8または6または4までの範囲の整数である。いくつかの実施形態において、すべてのRは、同じアルキレン基であり、すべてのnは、同じ値である。いくつかの実施形態において、Rは、アリール基を含み、例えば、Rは、−Ar−または−Ar−R−Ar−であり得、ここでRは、上記で定義されるとおりであり、Arは、アリール基である。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記アルキレンジオールは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、またはこれらの組み合わせを含む。他の実施形態において、上記アルキレンジオールは、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノールAまたはこれらの組み合わせを含む。
【0026】
本発明のアルキレンジオール成分は、2個以上のアルキレンジオールの組み合わせ(例えば、1,6−ヘキサンジオールと1,4−ブタンジオールとの組み合わせ)を含み得る。しかし、他の実施形態において、本発明は、単一のアルキレンジオールを使用し、不純物または市販の材料の成分として存在し得るもの以外のいかなる二級ジオールをも実質的に含まないか、含まない。存在する場合、第2のアルキレンジオールは、上記アルキレンジオール成分のうちの50%より多くのを構成し得るか、または他の実施形態においては、上記アルキレンジオール成分のうちの0〜20重量%、または10〜15重量%を構成し得る。
【0027】
(末端ヒドロキシ化化合物)
上記のように、本発明のエラストマーはまた、末端ヒドロキシ化化合物および/またはその誘導体(これはまた、本明細書においてポリオールといわれ得る)に由来する軟質ブロックの1個以上のセグメントを含み得る。適切な末端ヒドロキシ化化合物は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンまたはこれらの組み合わせを含む。存在する場合、この成分は、上記のアルキレンジオール成分とは異なり、別個の成分として処理される。いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、200〜10,000、または400もしくは600〜5,000もしくは2,000の数平均分子量(Mn)を有する。存在する場合、この成分は、組成物全体のうちの15重量%、10重量%またはさらに5重量%を占め得る。いくつかの実施形態において、上記必要に応じたポリオールは、2000以下、1000、またはさらに650のMnを有するか、または500〜2000、500〜1500、500〜1000またはさらには650〜1000であり得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、繰り返すと、上記のアルキレンジオール成分とは異なる限りにおいて、ポリエーテルポリオールを含む。本発明において有用なポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール、上記ジオールの2種以上のコポリマー、またはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記ポリエーテルポリオールは、ポリエーテルジオールであり、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールを含み得る。これら実施形態のうちのいくつかにおいて、上記必要に応じたポリオール成分は、30%、50%、80%、90%、またはさらに95%のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールであり得る。他の実施形態において、上記必要に応じたポリオール成分は、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールであり、いかなる他のポリオールをも実質的に含まなくてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリエステルポリオールを含む。適切なポリエステルポリオールは、少なくとも1個のジアルキレングリコールおよび少なくとも1個のジカルボン酸、またはそのエステルもしくは無水物に由来し得る。上記ポリエステルポリオールは、一般に、約500〜約10,000、約500〜約5000、または約1000〜約3000、またはさらには約2000の数平均分子量(Mn)を有する実質的に直線状のポリエステルである。適切なポリエステルポリオールとしては、ポリエチレンおよび/またはポリジエチレングリコールアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリテトラメチレングリコールアジペート、ポリヘキシレンアジペート、ならびにテレフタレートおよびその誘導体から生成されるポリオール(例えば、ジメチルテレフタレート)またはジオールおよびトリオールと反応したポリエチレンテレフタレートの消化生成物を含む)が挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリカプロラクトンを実質的に含まないか、含まない。実質的に含まないは、上記末端ヒドロキシ化化合物が、10重量%未満の問題の化合物、または5%未満、1%またはさらには0.5重量%の問題の化合物を含むことを意味する。このような実施形態において、本発明のエラストマーは、ポリエーテルポリオール由来の軟質ブロックを含み、ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリカプロラクトンに由来する軟質ブロックを実質的に含まないか、含まない。
【0031】
いくつかの実施形態において、本発明のエラストマーの軟質セグメントは、末端アミン化化合物(例えば、末端アミン化ポリエーテルポリオール)に由来する単位を実質的に含まないか、含まない。
【0032】
いくつかの実施形態において、本発明のエラストマーは、(i)末端ラクタム化ジイソシアネート成分(末端カプロラクタム化ヘキサメチレンジイソシアネート、末端カプロラクタム化メチレンジフェニルジイソシアネート、末端カプロラクタム化ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、末端カプロラクタム化トルエンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせを含む);および(ii)アルキレンジオール成分(エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、またはこれらの組み合わせを含む)に由来する。
【0033】
いくつかの実施形態において、本発明のエラストマーは、ジアミン鎖伸長剤に由来するいかなる単位をも実質的に含まないか、含まない。このような実施形態において、本発明のエラストマーを作製するためのプロセスは、ジアミン鎖伸長剤または類似の物質を実質的に含まないか、含まず、このような物質は、本発明のエラストマーの調製において使用されない。
【0034】
(ラクタムモノマー)
本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において利用される上記ラクタムモノマーは、過度に限定されない。いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、n−アルカンラクタムであり、ここでnは整数であり、2から最大12まで(12を含む)から選択される。より具体的には、上記n−アルカンラクタムは、2−エタンラクタム(アザシクロプロパン−2−オン)、3−プロパンラクタム(プロピオラクタム)、4−ブタンラクタム(ブチロラクタムまたは2−ピロリドン)、5−ペンタンラクタム(バレロラクタム)、3−メチルバレロラクタム、6−メチルバレロラクタム、6−ヘキサンラクタム(カプロラクタム)、7−ヘプタンラクタム(エナントールラクタム)、8−オクタンラクタム(カプリロラクタム)、9−ノナンラクタム(ペラルゴラクタム)、10−デカンラクタム(カプリノラクタム)、11−ウンデカンラクタムまたは12−ドデカンラクタム(ラウロラクタム)である。
【0035】
いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、カプロラクタム、ラウロラクタムまたはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、カプロラクタムである。
【0036】
(さらなる添加剤)
本発明の組成物は、さらなる有用な添加剤をさらに含み得る。ここでこのような添加剤は、適切な量で利用され得る。これら必要に応じたさらなる添加剤としては、不透明化顔料、着色剤、ミネラルおよび/または不活性充填剤、安定剤(光安定剤を含む)、潤滑剤、UV安定剤(UV吸収剤を含む)、加工処理補助物質、抗酸化剤、抗オゾン化剤(anti−ozonate)、および他の添加剤(所望される場合)が挙げられる。有用なさらなる添加剤としてはまた、ナノ粒子、ナノチューブ、衝撃改変剤、難燃剤、導電性ポリマー、静電気拡散材(static dissipative material)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
適切な不透明化顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、およびチタネートイエロー(titanate yellow)が挙げられる。適切な染色顔料としては、カーボンブラック、イエローオキシド(yellow oxide)、ブラウンオキシド(brown oxide)、ローシェンナおよびバーントシェンナ、またはローアンバーおよびバーントアンバー、酸化クロムグリーン、カドミウム顔料、クロム顔料、および他の混合された金属酸化物、ならびに有機顔料が挙げられる。適切な充填剤としては、珪藻土(superfloss)クレイ、シリカ、タルク、マイカ、珪灰石(wallostonite)、硫酸バリウム、および炭酸カルシウムが挙げられる。所望であれば、安定剤(例えば、抗酸化剤)が使用され得、フェノール系抗酸化剤が挙げられるが、有用な光安定剤としては、有機ホスフェート、および有機スズチオレート(メルカプチド)が挙げられる。適切な潤滑剤としては、金属ステアレート、パラフィン油およびアミドワックスが挙げられる。適切なUV吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシフェノール)ベンゾトリアゾールおよび2−ヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。添加剤はまた、上記TPUポリマーの加水分解安定性を改善するために使用され得る。上記のこれら必要に応じたさらなる添加剤の各々は、本発明の組成物中に存在してもよいし、本発明の組成物から排除されてもよい。
【0038】
存在する場合、これらさらなる添加剤は、上記組成物のうちの0重量%または0.01〜30重量%、15重量%、20重量%、5重量%または2重量%で、本発明の組成物に存在し得る。これら範囲は、上記組成物に存在する各さらなる添加剤に対して、または存在するすべてのさらなる添加剤の合計に対して別個に適用され得る。
【0039】
(プロセス)
本発明の溶融加工処理可能なポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーは、末端ラクタム化ジイソシアネート、およびアルキレンジオールを重合させることによって得られ得、ここでこれら成分は、上記に記載される。この重合は、内部混合装置の中で起こり得る。上記重合は、触媒(例えば、金属含有カプロラクタメート触媒)の存在下で行われ得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、上記重合は、(c)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンまたはこれらの組み合わせを含む成分であって、ここで上記末端ヒドロキシ化化合物は、200〜10,000の数平均分子量(Mn)を有する、成分をさらに含む。上記のように、上記重合におけるこの成分の存在は、本発明のエラストマーにおける軟質ブロックのセグメントを生じる。
【0041】
いくつかの実施形態において、上記重合は、(d)ラクタムモノマーをさらに含み、上記コポリウレアエラストマーにおける1個以上のポリアミド硬質ブロックセグメントを生じる。上記のように、上記重合におけるこの成分の存在は、本発明のエラストマーにおける硬質ブロックのセグメントを生じる。
【0042】
いくつかの実施形態において、成分(c)および(d)の両方が存在するが、他の実施家血合いにおいては、どちらの成分も存在しない。存在する場合、成分(c)および/もしくは(d)は、各々独立して、成分(a)および(b)と同時に反応させられ得るか、または成分(a)および(b)の反応の後に添加され得る(例えば、これら成分は、途中で反応押し出し成形機に中ほどで添加され得るが、成分(a)および(b)は、上記スクリューの前部で添加される。
【0043】
本明細書に記載される反応を行う場合、上記アルキレンジオール(存在する場合には、上記末端ヒドロキシ化化合物と合わせられる)に対する上記末端ラクタム化ジイソシアネートのモル比は、0.75〜1.25、または0.8〜1.2、または0.9〜1.1、またはさらには0.95〜1.05であり得る。さらに他の実施形態において、この比(末端ラクタム化ジイソシアネートのモル 対 アルキレンジオールおよび任意の存在する末端ヒドロキシ化化合物の合計のモルの比)は、約1:1である。
【0044】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記必要とされる重合は、触媒の存在下で行われ得る。適切な触媒としては、アルカリ触媒、ルイス酸触媒、ならびに当業者に公知の他の触媒が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記重合の間に使用される触媒は、アルカリ触媒および/または金属含有カプロラクタメート触媒である。いくつかの実施形態において、上記使用される触媒としては、ナトリウムカプロラクタメート、カリウムカプロラクタメート、マグネシウムカプロラクタメート、またはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記触媒は、ナトリウムカプロラクタメートを含む。いくつかの実施形態において、上記使用される触媒としては、ナトリウムカプロラクタメート(カプロラクタムナトリウムとしても公知)、カリウムカプロラクタメート(カプロラクタムカリウムとしても公知)、マグネシウムカプロラクタメート(カプロラクタムマグネシウムとしても公知)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記触媒は、ナトリウムカプロラクタメートを含む。
【0045】
触媒が使用される場合、本発明のエラストマーを作製するためのプロセスは、触媒不活性化因子の添加をさらに含み得る。このような添加の後、上記プロセスは、次いで、任意の残留触媒および/または触媒不活性化因子を得られた材料から除去するための1つ以上の工程を含み得る。従来の触媒不活性化因子、ならびにこのような材料を添加および除去するための方法は、本発明の材料およびプロセスと適合する。
【0046】
上記の重合は、内部混合装置(連続加工処理内部混合装置が挙げられる)の中で行われ得る。例としては、反応押し出し成形機および類似の装置が挙げられる。本発明のプロセスにおいて使用される装置は、バッチ装置、連続装置、またはこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、本発明のプロセスは、少なくとも部分的に連続しており、他の実施形態において、上記プロセスは、完全に連続している。上記プロセスはまた、上記の材料を生成するために、1個以上の押し出し成形機(直列または並列のいずれかにおいて)の使用を含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明の材料は、1個以上のツインスクリュー押し出し成形機において調製される。適切なツインスクリュー押し出し成形機は、同時回転ツインスクリュー押し出し成形機ならびに一連のこのような押し出し成形機を含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明のプロセス(ここで、ラクタムモノマーが反応成分として存在する)は、いかなる残留ラクタムモノマーをも、得られたエラストマーから除去する工程をさらに包含する。さらに、上記プロセスは、存在し得るいかなる揮発性成分(それが、ラクタムモノマー、溶媒または類似の一時的な成分、または上記反応および/もしくはその後の加工処理の間に上記組成物に存在するいくつかの他の材料であろうとなかろうと)をも除去する工程を包含し得る。このような工程は、薄層フィルムエバポレーション、流下薄膜エバポレーション、塗布フィルムエバポレーション、またはこれらの組み合わせを使用して、除去を達成し得る。さらに、任意の実質的に類似の加工処理装置および工程は、上記除去工程のために使用され得る。
【0049】
上記のように、本発明のエラストマーは、1種以上の性能付加剤(performance additive)を含み得る。これら添加剤は、存在する場合、上記重合の前、間および/または後に添加され得、上記エラストマーおよび1種以上の上記性能付加剤を含む組成物を生じる。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明のエラストマーは、上記末端ラクタム化ジイソシアネートおよび上記アルキレンジオールを加熱内部ミキサーの中に供給することによって調製され得る。上記材料は、別個の成分として供給され得る。上記必要に応じた触媒は、存在する場合、別個の成分として添加されてもよいし、上記末端ラクタム化ジイソシアネートおよび/または上記アルキレンジオールと予め混合されてもよい。上記必要に応じた成分(例えば、上記末端ヒドロキシ化化合物および/または上記ラクタムモノマー)はまた、別個の成分として存在してもよいし、上記末端ラクタム化ジイソシアネートおよび/または上記アルキレンジオールと予め混合されてもよく、また、互いに混合されてもよい。いくつかの実施形態において、これらさらなる成分は、上記末端ラクタム化ジイソシアネートおよび上記アルキレンジオールと同じ時点で上記内部ミキサーに添加されるが、他の実施形態において、それらは、上記ミキサーにおいて異なる点で添加される。任意のさらなる添加剤が存在するべき場合、それらは、上記内部ミキサーに沿った任意の点で添加されてもよいし、第2の内部ミキサーまたはさらにはバッチミキサー中で、重合が完了した後に上記エラストマーの中へ、ブレンドされてもよい。減圧は、上記内部ミキサーの出口付近に適用されて、揮発性成分を除去し得、上記の他の工程は、同様に含まれ得る。上記第2の内部ミキサーを出た、得られたエラストマーは、水浴を介して送られ得、そして/またはサイズ縮小デバイス(例えば、ストランドカッターまたは水中ペレタイザー)を通過させられ得る。
【0051】
上記の材料のうちのいくつかは、最終調合物中で相互作用し得、その結果、上記最終調合物の成分は、最初に添加されるものとは異なり得ることが公知である。例えば、金属イオン(例えば、界面活性剤の金属イオン)は、他の分子の他の酸性部位またはアニオン性部位に移動し得る。それによって形成された生成物(その意図された使用において本発明の組成物を使用する際に形成される生成物を含む)は、容易な記載が可能ではない可能性がある。にもかかわらず、すべてのこのような改変および反応生成物は、本発明の範囲内に含まれる;本発明は、上記の成分を混合することによって調製される組成物を包含する。
【実施例】
【0052】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。実施例は、特に有利な実施形態を示す。実施例は、本発明を例示するために提供されるが、本発明を限定するとは解釈されない。
【0053】
(実施例1)
コポリウレアエラストマーを、内部混合装置において、321.19mmolの末端ラクタム化ジイソシアネート(それ自体は、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびカプロラクタムモノマーから調製される)と、321.19mmolの1,6−ヘキサンジオールとを、ナトリウムカプロラクタメート触媒(6.42mmol)の存在下で反応させることによって、調製する。上記反応を、95〜110℃において行う。数分後、上記反応は完了し、得られた材料を、分析のためにサンプリングする。
【0054】
(実施例2)
コポリウレアエラストマーを、実施例1において記載される手順を使用して、240.81mmolの末端カプロラクタム化ヘキサメチレンジイソシアネートと、240.81mmolの1,4−ブタンジオールとを、ナトリウムカプロラクタメート触媒(4.82mmol)の存在下で反応させて調製する。圧縮成形小板(plaque)を、分析のために、得られたエラストマーから作製する。
【0055】
(実施例3)
コポリウレアエラストマーを、実施例1に記載される手順を使用して、194.53mmolの末端カプロラクタム化4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)と、194.53mmolの1,6−ヘキサンジオールとを、ナトリウムカプロラクタメート触媒(3.89mmol)の存在下で反応させて調製する。圧縮成形小板を、分析のために、得られたエラストマーから作製する。
【0056】
(実施例4)
コポリウレアエラストマーを、実施例1に記載される手順を使用して、355.81mmolの末端カプロラクタム化ヘキサメチレンジイソシアネートと、335.85mmolの1,6−ヘキサンジオールおよび20.00mmolの、1000のMnを有するポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールの混合物とを、ナトリウムカプロラクタメート触媒(7.12mmol)の存在下で反応させて調製する。圧縮成形手板を、分析のために、得られたエラストマーから作製する。
【0057】
(実施例5)
実施例1のコポリウレアエラストマーを、実施例1に概説されるものに対応する条件を使用して、パイロットスケールの反応押し出し成形機において調製する。得られた材料は、以下の特性を有する:
【0058】
【表1】

上記に言及される文書の各々は、本明細書に参考として援用される。実施例または他の明示的に示されている箇所を除いて、材料、反応条件、分子量、炭素原子数などの量を特定するこの説明におけるすべての数量は、語句「約」によって修飾されると理解されるべきである。別段示されなければ、すべての%値、ppm値および部の値は、重量ベースである。別段示されなければ、本明細書で言及される各化学物質または組成物は、商業的グレードの材料であると解釈されるべきである。上記材料は、異性体、副生成物、誘導体および他のこのような物質を含み得、これらは、上記商業的グレードに存在すると通常は理解される。本明細書に示される上限および下限の、量、範囲、および比の限定は、独立して組み合わされ得ることが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素についての上記範囲および量は、他の要素のうちのいずれかについての範囲または量と一緒に使用され得る。本明細書で使用される場合、表現「〜から本質的になる」とは、考慮中の組成物の基本的および新規な特徴に本質的に影響を及ぼさない物質の包含を許容する。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に含まない」は、組成物が、上記材料の10%未満、5%、1%、0.1%またはさらに0.01重量%を含むことを意味する。上記用語はまた、記載される材料がいずれも、意図的に存在しないが、不純物および/または副生成物として他の材料におけるその存在に起因して、少量または微量で存在し得ることを意味し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端ラクタム化ジイソシアネートおよびアルキレンジオールに由来するポリウレアセグメントを含む、溶融加工処理可能なポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマー。
【請求項2】
前記エラストマーは、
(a)末端ラクタム化ジイソシアネート;および
(b)一般式 HO−R−OHのアルキレンジオールであって、ここでRは、1〜20個の炭素原子を含むアルキレン基である、アルキレンジオール;
を、必要に応じて、触媒の存在下で重合させる工程によって得られ、
ここで該エラストマーの調製において使用される該末端ラクタム化ジイソシアネートは、5重量%未満の残留ラクタムモノマーを含む、
請求項1に記載のエラストマー。
【請求項3】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ラクタムモノマー、およびいかなるジフェニル含有ジイソシアネートをも実質的に含まないジイソシアネートに由来し、ここで該ジフェニル含有ジイソシアネートの両方のフェニル環は、パラ置換されているのみである、請求項1に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項4】
前記エラストマーは、以下のうちの少なくとも1つ:
(c)前記成分(b)のアルキレンジオールとは異なるポリオールを含む成分に由来する軟質ブロックのうちの1個以上のセグメント;および
(d)ラクタムモノマーに由来する硬質ブロックのうちの1個以上のセグメント
をさらに含む、請求項1に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項5】
前記ポリオールは、組成物全体のうちの15重量%以下を構成し;そして
存在する場合、成分(b)のアルキレンジオールおよび成分(c)のポリオールの合わせた量に対する前記成分(a)の末端ラクタム化ジイソシアネートのモル比は、0.75〜1.25である、
請求項4に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項6】
前記ポリオールは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンまたはこれらの組み合わせを含み、該ポリオール化合物は、200〜10,000の数平均分子量(Mn)を有する、請求項4に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項7】
前記エラストマーの調製において使用されるポリオールは、ポリエーテルポリオールを含む、請求項4に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項8】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、カプロラクタムで末端化されたアルキレンジイソシアネート、ラウロラクタムで末端化されたアルキレンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせを含む、請求項2に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項9】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート;3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート;ナフタレン−1,5−ジイソシアネート;ビフェニル−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネート;トルエンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;1,4−シクロヘキシルジイソシアネート;デカン−1,10−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;またはこれらの組み合わせに由来する、請求項2に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項10】
前記アルキレンジオールは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノールA、またはこれらの組み合わせを含む、請求項2に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項11】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、末端カプロラクタム化ヘキサメチレンジイソシアネート、末端カプロラクタム化メチレンジフェニルジイソシアネート、末端カプロラクタム化ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、末端カプロラクタム化トルエンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせを含み;そして
前記アルキレンジオールは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、またはこれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項12】
請求項1に記載のポリウレアエラストマーを含み、以下の1種以上の性能付加剤をさらに含む、組成物であって、
ここで該性能付加剤は、不透明化顔料、着色剤、ミネラル充填剤および/または不活性充填剤、安定剤(光安定剤を含む)、潤滑剤、UV安定剤、加工処理補助物質、抗酸化剤、抗オゾン化剤、ナノ粒子、ナノチューブ、衝撃改変剤、難燃剤、導電性ポリマー、静電気拡散材、およびこれらの組み合わせを含む、組成物。
【請求項13】
前記必要に応じた触媒が存在し、該触媒は、金属含有カプロラクタメート触媒を含む、請求項2に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項14】
溶融加工処理可能なポリウレアおよび/またはコポリウレアエラストマーを調製するためのプロセスであって、該プロセスは、
I.(a)末端ラクタム化ジイソシアネートおよび(b)アルキレンジオールを、必要に応じて、触媒の存在下で重合させる工程、
を包含し、ここで該アルキレンジオールは、一般式 HO−R−OHのアルキレンジオールであり、ここでRは2〜20個の炭素原子を含むアルキレン基であり;
該重合は、内部混合装置の中で起こる、
プロセス。
【請求項15】
前記エラストマーの調製において使用される前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、5重量%未満の残留ラクタムモノマーを含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ラクタムモノマー、およびいかなるジフェニル含有ジイソシアネートをも実質的に含まないジイソシアネートに由来し、ここで該ジフェニル含有ジイソシアネートの両方のフェニル環は、パラ置換されているのみである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記重合は、以下のうちの少なくとも1種:
(c)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンまたはこれらの組み合わせを含む、前記成分(a)のアルキレンジオールとは異なるポリオールであって、ここで該ポリオール化合物は、200〜10,000の数平均分子量(Mn)を有するポリオール;および
(d)前記コポリウレアエラストマーにおいて1個以上のポリアミド硬質ブロックセグメントを生じるラクタムモノマー、
をさらに含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項18】
前記必要に応じた触媒が存在し、触媒不活性化因子は、得られたポリマーに必要に応じて添加され;該触媒は、金属含有カプロラクタメート触媒を含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項19】
1種以上の性能付加剤は、前記重合の間および/または後に添加され、前記エラストマーおよび該1種以上の性能付加剤を含む組成物を生じ;
ここで該性能付加剤は、不透明化顔料、着色剤、ミネラル充填剤および/または不活性充填剤、安定剤(光安定剤を含む)、潤滑剤、UV安定剤、加工処理補助物質、抗酸化剤、抗オゾン化剤、ナノ粒子、ナノチューブ、衝撃改変剤、難燃剤、導電性ポリマー、静電気拡散材、およびこれらの組み合わせを含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項20】
前記内部混合装置は、1個以上の押し出し成形機を含み;そして
前記プロセスは、必要に応じて、いかなる残留ラクタムモノマーをも得られたエラストマー組成物から除去する工程をさらに包含する、
請求項12に記載のプロセス。
【請求項21】
前記内部混合装置は、1個以上のツインスクリュー押し出し成形機を含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
末端ラクタム化ジイソシアネートおよびアルキレンジオールに由来するポリウレアセグメントを含む溶融加工処理可能なポリウレアエラストマーを含む、成形ポリマー物品。
【請求項23】
前記ポリウレアエラストマーは、
(a)末端ラクタム化ジイソシアネート;および
(b)一般式 HO−R−OHのアルキレンジオールであって、ここでRは、1〜20個の炭素原子を含むアルキレン基である、アルキレンジオール;
を、必要に応じて、触媒の存在下で重合させる工程によって得られ;
ここで該エラストマーの調製において使用される該末端ラクタム化ジイソシアネートは、5重量%未満の残留ラクタムモノマーを含む、請求項22に記載の成形ポリマー物品。
【請求項24】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ラクタムモノマー、およびいかなるジフェニル含有ジイソシアネートをも実質的に含まないジイソシアネートに由来し、ここで該ジフェニル含有ジイソシアネートの両方のフェニル環は、パラ置換されているのみである、請求項22〜23のいずれかに記載の成形ポリマー物品。

【公表番号】特表2013−521374(P2013−521374A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556111(P2012−556111)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/026023
【国際公開番号】WO2011/109213
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)
【Fターム(参考)】