説明

溶融塩電解による金属の製造方法および製造装置

【課題】溶融塩化カルシウムの電解による金属カルシウムの製造等において、低コストで効率よく金属を回収することができる方法を提供する。
【解決手段】陽極3および陰極4を備えた電解槽1に金属塩化物を含む溶融塩を満たして行う溶融塩電解による金属の製造方法であって、陰極4は、溶融合金からなり、析出した金属を溶融合金に溶解させ、この溶融合金を溶出槽6に移送して、この溶出槽6にあらかじめ備えられた溶融塩7と接触させて溶融合金中の金属を溶融塩中に溶出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属塩化物からの金属の回収に関し、特に、溶融塩電解による金属の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、単体の金属チタンは、四塩化チタンを溶融マグネシウムで還元してスポンジチタンを得るクロール法により製造されており、種々の改良の積み重ねにより製造コストの削減が図られてきた。しかしながら、クロール法は、一連の操作を非連続的に繰り返すバッチプロセスであるため、効率化にも限界があった。
【0003】
上記のような状況に対し、溶融塩中にて酸化チタンを金属カルシウムで還元して直接金属チタンを製造するという方法(例えば特許文献1、2参照)や、カルシウム等の金属または合金を含む還元剤を製造し、この還元剤から放出される電子によってチタン化合物を還元して金属チタンを得るEMR法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。これらの方法では、電解反応で副生した酸化カルシウムを塩化カルシウムに溶解させた後、溶融塩電解することにより金属カルシウムを回収・再利用している。しかしながら、電解反応で生成した金属カルシウムは、液体状態のため塩化カルシウムに対する溶解度が高く、容易に溶解・散逸してしまい、収率が低下するという問題を有していた。
【0004】
さらに、金属カルシウムよりも低い融点を持つ複合溶融塩を用い、固体状態で金属カルシウムを陰極に析出させる試みが開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この方法では、複合溶融塩を特別に準備することが必要であり、コストの増大という問題は解決されていない。
【0005】
このように、従来の方法では、金属カルシウム等の活性金属を効率良く回収することが困難であったり、可能であってもコストが高いという問題を有していた。
【0006】
【特許文献1】WO99/064638号
【特許文献2】特開2003−129268号公報
【特許文献3】特開2003−306725号公報
【特許文献4】US3226311号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、例えば金属チタンの酸化物あるいは塩化物を還元するために用いる金属を効率よく回収することができるのはもちろんのこと、安価な方法で実施することができる溶融塩電解による金属の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の溶融塩電解による金属の製造方法は、陽極および陰極を備えた電解槽に金属塩化物を含む溶融塩を満たして行う溶融塩電解による金属の製造方法であって、陰極は、溶融合金からなり、析出した金属を溶融合金に溶解させ、この溶融合金を溶出槽に移送して、この溶出槽にあらかじめ備えられた溶融塩と接触させて上記溶融合金中の金属を溶融塩中に溶出させることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の溶融塩電解による金属の製造装置は、金属塩化物を含む溶融塩を満たして陰極および陽極を浸漬配置した電解槽と、この電解槽で生成された金属を回収する溶出槽とを備え、陰極は、陰極に析出した金属を溶解することのできる溶融合金から構成され、溶融合金は、溶出槽に移送され、この溶出槽にあらかじめ満たされた溶融塩と接触させて溶融合金中の金属を溶融塩中に溶出させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溶融合金からなる陰極表面に析出した金属が、直ちにこの溶融合金中に溶解して合金を形成するので、析出した金属の電解浴への溶解を抑制することができる。したがって、金属を低コストで効率良く回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を用いて以下に説明する。以下、金属が金属カルシウム、金属塩化物が塩化カルシウムである場合を例に説明する。
【0012】
図1〜図4は、本発明を実施するための好適な装置構成例を表している。図1は本発明の第1の実施態様を表す模式断面図である。符号1は電解槽であり、その内部には塩化カルシウム(融点780℃)からなる電解浴2が満たされており、図示しない加熱手段によって塩化カルシウムの融点以上に加熱され、溶融状態に保たれている。符号3は陽極である。符号4は、塩化カルシウムより高い密度を有し、塩化カルシウムより低い融点を有し、かつ金属カルシウムに対して溶解度を有する合金からなる陰極である。陰極4は融点が塩化カルシウムより低いので溶融状態となっており、また、密度が塩化カルシウムより高いので電解槽1底部に沈降している。また、符号6は、金属カルシウムを回収するための溶出槽、符号7は、塩化カルシウム浴であり、図示しない加熱手段によって溶融状態となっている。
【0013】
陽極3と陰極4を図示しない直流電源に接続して電解を開始すると、陰極4の表面には、溶融状態の金属カルシウムが析出する。金属カルシウムは、陰極4を構成する溶融合金に対して溶解度を有しているので、析出後、直ちに陰極4に溶け込んで合金を生成する。一方、陽極3には塩素ガス8が発生するが、この塩素ガス8は、別途回収してチタン鉱石の塩素化反応に再利用することができる。あるいは、その他の用途に利用しても良い。
【0014】
所定の時間電解反応を行った後、陰極4は電解槽1から取り出され、符号9に示すように、溶出槽6へ移送される。金属カルシウムは、塩化カルシウム浴7に対しても溶解度を有しているので、陰極4中の金属カルシウムは、溶出槽6を沈降しながら塩化カルシウム浴7に溶出し、金属カルシウムが濃化される。金属カルシウムが濃化された塩化カルシウムは、符号10に示すように、例えば酸化チタンまたは塩化チタンの還元反応工程へ供給して利用することができる。
【0015】
金属カルシウムを塩化カルシウム浴7に対して溶出させた後の陰極4は、符号11に示すように、再び回収されて電解槽1へ供給される。また、酸化チタンまたは塩化チタンの還元工程へ供給された金属カルシウムは、酸化チタンまたは塩化チタンとの反応で塩化カルシウムとなり、符号12に示す経路で再び電解槽1および溶出槽6に戻される。電解槽1および溶出槽6に戻される塩化カルシウムの比率は適宜調整され、両槽の液面を一定のレベルに保つことが出来る。以上の工程を繰り返すことによって、連続的に金属カルシウムを回収することができる。
【0016】
陽極3の材料としては、導電性を有し、かつ電解浴に溶解せず、また高温の塩素ガスに耐えるものであることが要求される。このような材質としてはカーボンが好ましい。また、陽極の構造としては、電解浴2に浸漬配置され、水平方向に延びた形状であることが好ましい。このような構造とすることで、電解槽1の底部に配置した陰極4と対向する面積を広く確保でき、効率良く反応を進行させることができる。さらに、陽極3の電解浴面から露出している部分を導電性セラミックでコーティングしておくことで、陽極3の酸化損耗を抑制することができる。このような導電性セラミックとしては、アルミナペーストが好ましい。
【0017】
陰極4は、電解反応で生成する金属カルシウムに対して溶解度を有する合金で構成することが要求される。このような合金を陰極に使用することで、陰極で生成する金属カルシウムをこの合金に瞬時に取り込むことができるので、金属カルシウムの電解浴2中への溶解を抑制し、効率良く金属カルシウムを回収することができる。
【0018】
陰極4の設置箇所は特に限定されないが、電解槽1の底部に配置することが好ましく、陰極4を電解浴2よりも密度の大きいカルシウム合金で構成することで達成される。塩素ガスは、発生した後に電解浴上方へ浮上するので、陰極4を電解槽底部に配置することで、塩素ガスの発生および滞留箇所への金属カルシウムの拡散が抑制できることから、逆反応を抑制できて好ましい。また、陰極を浴面あるいは浴中に配置する方法に比べて隔壁が不要であり、不純物の混入を回避することもできる。
【0019】
これらの条件を満たす合金としては、Ca−Zn、Ca−Pb、あるいはCa−Sn合金が好適である。さらに、これらの合金は塩化カルシウムより融点が低いので、塩化カルシウムが溶融する温度範囲にあれば、これらの合金も溶融状態に維持することができ、好ましい。
【0020】
電解浴は、800〜900℃の温度範囲に保持することが好ましい。このような温度範囲に維持することで電解浴とカルシウム合金を溶融状態に維持することができる。
【0021】
電解浴としては、塩化カルシウムに、これ以外の塩化物を加えた溶融塩を適宜複合して用いることもできる。
【0022】
金属がカルシウム、電解浴が塩化カルシウムの場合の他、他の金属に本発明の方法を適用することもできる。その場合は、電解槽で生成する金属と、電解浴に用いる溶融塩の金属は共通とすることが好ましい。
【0023】
溶出槽内の塩化カルシウム浴の温度は、電解槽内の電解浴の温度よりも高温に保つことがこのましい。溶融合金中の金属カルシウムをより効率よく溶出させることができるからである。具体的には、電解槽の温度よりも100〜200℃高温に設定することが好ましい。この範囲を超えて加温すると、蒸発によるロスが生じ、好ましくない。
【0024】
図2は、本発明の他の実施態様における溶出槽の例を表す模式断面図である。符号9は、電解槽から供給される陰極を構成する溶融合金の流れを表している。図に示すように、陰極4を構成する溶融合金は、複数のノズル等を介して供給されることが好ましい。このような構成とすることで、塩化カルシウム浴7と溶融合金の接触面積を増加させることができるので、金属カルシウムをより効率良く塩化カルシウム浴7中に溶出させることができる。
【0025】
図3は、本発明の他の実施態様における溶出槽の例を表す模式断面図である。電解槽から抜き出された溶融合金は、符号9に示す供給管等の手段によって溶出槽6の一端に供給され、溶出槽6を沈降しながら溶出槽6の他端に移動し、符号11に示す抜出管等の手段によって電解槽1へ戻される。一方、酸化チタンまたは塩化チタンの還元工程で副生した塩化カルシウムの一部は、符号12に示す供給管等の手段によって溶出槽6の端部に供給され、溶出槽6上部を溶融合金と逆方向に移動し、溶出槽6の他端から符号10に示す抜出管等の手段によって酸化チタンまたは塩化チタンの還元工程へ供給される。このように、溶融合金と金属塩化物を向流接触させることで溶融合金中の金属カルシウムを効率良く塩化カルシウム浴中に溶出させることができる。
【0026】
図4は、本発明の他の実施態様を表す模式断面図である。符号1は電解槽であり、その内部には塩化カルシウムからなる電解浴2が満たされており、図示しない加熱手段によって塩化カルシウムの融点以上に加熱され、溶融状態に保たれている。符号3は陽極である。符号4は、塩化カルシウムより高い密度を有し、塩化カルシウムより低い融点を有し、かつ金属カルシウムに対して溶解度を有する合金からなる陰極である。陰極4は融点が塩化カルシウムより低いので溶融状態となっており、また、密度が塩化カルシウムより高いので電解槽1底部に沈降している。符号4a〜4cは、上記の溶融合金からなるバイポーラ極である。
【0027】
ここで、バイポーラ極とは、金属塩の電気分解において、陽極および陰極間に設置する中間極であって、電気分解に要する電圧をV[V]とし、バイポーラ極の設置数をn個とした場合に、(n+1)V[V]以上の電圧を陽極および陰極間に印加することによって、陽極および陰極のみならず、陽極、各バイポーラ極、および陰極で区切られる各領域において電気分解を生じさせることができる。図1においては、3個のバイポーラ極が設置されているので、陽極3〜バイポーラ極4a間、バイポーラ極4a〜バイポーラ極4b間、バイポーラ極4b〜バイポーラ極4c間、およびバイポーラ極4c〜陰極4間の4つの領域でそれぞれ金属カルシウムの析出および塩素ガスの生成が起こる。
【0028】
バイポーラ極4a〜4cは、符号5a〜5cに示す皿型のバイポーラ極支持部によって支持されている。バイポーラ極支持部5a〜5cは、図示しない絶縁体からなる固定手段によって電解槽1中に固定されている。また、バイポーラ極支持部5a〜5cのそれぞれには、溶融合金を排出するためのオーバーフロー管5d〜5fが設けられている。バイポーラ極4a〜4cの溶融合金が増加して液面がある高さ以上に達した時、溶融合金を直下のバイポーラ極支持部(または陰極4)に対して排出、沈降させ、バイポーラ極4a〜4cの溶融合金量を一定に保つ。これらオーバーフロー管5d〜5fは、図4に示すように互い違いに設置することが好ましい。このように配置することで、上段から排出された溶融合金が下段に排出されるまでの滞留時間を確保でき、効率良く金属カルシウムを回収できるからである。符号6は、金属カルシウムを回収するための溶出槽、符号7は、塩化カルシウム浴であり、図示しない加熱手段によって溶融状態となっている。
【0029】
陽極3と陰極4を図示しない直流電源に接続して電解を開始すると、各バイポーラ極4a〜4cは、上面が陰極、下面が陽極として分極するので、陽極3、バイポーラ極4a、バイポーラ極4b、およびバイポーラ極4cの下面に塩素ガス8が発生するとともに、バイポーラ極4a、バイポーラ極4b、バイポーラ極4c、および陰極4の上面に溶融状態の金属カルシウムが析出する。各バイポーラ極の下面に発生した塩素ガス8は、浴面へ浮上し、陽極3から発生した塩素ガス8と共に回収される。この時、バイポーラ極支持部5a〜5cは、底面が水平でなく端部へ向かって傾斜していると、塩素ガスを滞留させることなく浴面上に排出できるので好ましい。一方、各極に析出した金属カルシウムは、陰極4および各バイポーラ極を構成する溶融合金に対して溶解度を有しているので、析出後、直ちに溶け込んで合金を生成する。
【0030】
上記の反応の進行と共に、各バイポーラ極に金属カルシウムが溶け込むので、各バイポーラ極の溶融合金が増加していく。バイポーラ極4aにおいて、ある一定の液面以上に増加した溶融合金は、オーバーフロー管5dによって直下のバイポーラ極4bに供給される。バイポーラ極4bにおいても同様に、溶け込んだ金属カルシウムおよびバイポーラ極4aからの供給によって溶融合金が増加し、増加した溶融合金はオーバーフロー管5eによって直下のバイポーラ極4cに供給される。同様に、バイポーラ極4cから陰極4に対して、溶融合金の供給が行われる。
【0031】
各バイポーラ極4a〜4cにおいて増加した溶融合金は、析出する金属カルシウムを取り込みながら順次下方へ供給されていくので、下へ行くほど金属カルシウムの含有量が多くなっており、陰極4で含有量は最大となっている。
【0032】
所定の時間電解反応を行った後、陰極4は電解槽1から取り出され、符号9に示すように、溶出槽6へ移送される。金属カルシウムは、塩化カルシウム浴7に対しても溶解度を有しているので、陰極4中の金属カルシウムは、溶出槽6を沈降しながら塩化カルシウム浴7に溶出し、金属カルシウムが濃化される。金属カルシウムが濃化された塩化カルシウムは、符号10に示すように、例えば酸化チタンまたは塩化チタンの還元反応工程へ供給して利用することができる。
【0033】
金属カルシウムを塩化カルシウム浴7に対して溶出させた後の陰極4は、符号11に示すように、再び回収されて電解槽1のバイポーラ極4aの溶融合金として供給される。バイポーラ極4aに溶融合金を供給する際は、図4に示すようにオーバーフロー管5dと互い違いに設置することが好ましい。このように配置することで、供給された溶融合金が次のバイポーラ極4bに排出されるまでの滞留時間を確保でき、効率良く金属カルシウムを回収できるからである。
【0034】
酸化チタンまたは塩化チタンの還元工程へ供給された金属カルシウムは、酸化チタンまたは塩化チタンとの反応で塩化カルシウムとなり、符号12に示す経路で再び電解槽1および溶出槽6に戻される。電解槽1および溶出槽6に戻される塩化カルシウムの比率は適宜調整され、両槽の液面を一定のレベルに保つことが出来る。以上の工程を繰り返すことによって、連続的に金属カルシウムを回収することができる。
【実施例】
【0035】
[実施例1]
図1に示した電解槽および溶出槽に溶融塩化カルシウムを満たし、陽極としてカーボンを、陰極の溶融合金としてCa−Zn合金を用いて溶融塩電解を行った。電解槽および溶出槽としてステンレス製容器を用い、内面を耐火物でライニングして高温の溶融塩化カルシウムに耐えるように構成した。電解槽の温度は700℃、溶出槽の温度は800℃とした。
【0036】
上記条件下で陽極および陰極に4.5Vの電圧を印加し、塩化カルシウムの溶融塩電解を行ったところ、理論通電量から計算される金属カルシウム収量に対して75%の金属カルシウムを溶出槽に回収することができた。
【0037】
[実施例2]
図3に示した溶出槽を用いた以外は実施例1と同じ条件下で塩化カルシウムの溶融塩電解を行ったところ、溶出槽に供給された溶融合金中の金属カルシウムが塩化カルシウム浴に溶出した量は、実施例1と比較して20%改善された。
【0038】
[実施例3]
図4に示したバイポーラ電極を備えた電解槽を用いて、塩化カルシウムを合金の形で回収した。回収されたカルシウム合金を図1に示した溶出槽に移動して合金中の金属カルシウムを塩化カルシウム浴中に放出したところ、実施例2と比較して約2倍の生産性を確保することができた。
【産業上の利用可能性】
【0039】
金属チタンの酸化物あるいは塩化物を還元するために用いる金属を高効率で、かつ安価な方法で回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施態様の溶融塩電解による金属の製造方法における電解槽および溶出槽を示す模式断面図である。
【図2】本発明の実施態様の溶融塩電解による金属の製造方法における他の溶出槽の例を示す模式断面図である。
【図3】本発明の実施態様の溶融塩電解による金属の製造方法における他の溶出槽の例を示す模式断面図である。
【図4】本発明の他の実施態様における溶融塩電解による金属の製造方法を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 電解槽
2 電解浴
3 陽極
4 陰極(溶融合金陰極)
4a〜4c 溶融合金(バイポーラ極)
5a〜5b バイポーラ極支持部
5d〜5f オーバーフロー管
6 溶出槽
7 塩化カルシウム浴
8 塩素ガス
9 溶融合金供給経路
10 金属カルシウム供給経路
11 溶融合金供給経路
12 塩化カルシウム供給経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極および陰極を備えた電解槽に金属塩化物を含む溶融塩を満たして行う溶融塩電解による金属の製造方法であって、
上記陰極は、溶融合金からなり、析出した上記金属を上記溶融合金に溶解させ、この溶融合金を溶出槽に移送して、この溶出槽にあらかじめ備えられた溶融塩と接触させて上記溶融合金中の上記金属を上記溶融塩中に溶出させることを特徴とする溶融塩電解による金属の製造方法。
【請求項2】
前記陰極を前記電解槽底部に設けることを特徴とする請求項1に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
【請求項3】
前記溶出槽の温度を前記電解槽よりも高温に保持することを特徴とする請求項1または2に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
【請求項4】
前記陽極と前記陰極との間に、前記溶融合金からなるバイポーラ極を少なくとも一つ設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
【請求項5】
前記金属が溶融塩との混合物または溶融物として回収されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
【請求項6】
前記金属は、金属カルシウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
【請求項7】
前記溶融合金は、金属カルシウムと、スズ、亜鉛、または鉛との合金であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
【請求項8】
前記溶融塩は、塩化カルシウムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
【請求項9】
金属塩化物を含む溶融塩を満たして陰極および陽極を浸漬配置した電解槽と、この電解槽で生成された金属を回収する溶出槽とを備えた溶融塩電解による金属の製造装置であって、
上記陰極は、陰極に析出した上記金属を溶解することのできる溶融合金から構成され、
上記溶融合金は、上記溶出槽に移送され、この溶出槽にあらかじめ満たされた溶融塩と接触させて上記溶融合金中の金属を溶融塩中に溶出させることを特徴とする溶融塩電解による金属の製造装置。
【請求項10】
前記陰極を前記電解槽底部に設けたことを特徴とする請求項9に記載の溶融塩電解による金属の製造装置。
【請求項11】
前記陽極と前記陰極との間に、前記溶融合金からなるバイポーラ極が少なくとも一つ設けられたことを特徴とする請求項9または10に記載の溶融塩電解による金属の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−45669(P2006−45669A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186673(P2005−186673)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(390007227)東邦チタニウム株式会社 (191)
【Fターム(参考)】