説明

溶融強度および物理特性が強化されたポリプロピレンケーブル被覆組成物

【課題】ケーブル被覆押出工程において最適な性能として要求される溶融強度の増加に加え、低温衝撃性能において必要な改良がされている、ポリプロピレン系組成物を提供する。
【解決手段】1つ以上の電気通信又は送電媒体、又は、前記媒体のうち2つ以上の芯材を含むケーブルであり、各媒体又は芯材は、少なくとも1つの被覆又はシース層で囲まれており、少なくとも1つの被覆又はシース層は、プロピレン系組成物からなり、プロピレン系組成物は、(a)カップリングされた衝撃改質プロピレンコポリマーであって、ポリプロピレン又はランダムコポリマーポリプロピレンが連続相であり、エラストマー相がその中に分散されている、ヘテロ相のプロピレンコポリマーである衝撃改質プロピレンコポリマーを含み、かつ、(b)aが0.5のとき、RSI×MFaが12より大きくなる緩和スペクトル(RSI)およびメルトフロー(MF)を有する、ケーブル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気通信ケーブル類および送電ケーブル類に関する。詳細には、本発明はポリ
プロピレンを主材料とするケーブル被覆類(cable jackets)に関する。
【背景技術】
【0002】
電気通信および送電用途に用いるケーブル類は、一般的に熱可塑性ポリオレフィン組成
物を主材料とする外側の被覆(jacket)またはシース(sheath)を含む。
ポリオレフィン材料の被覆用途はさらに、内側の被覆またはシースを含む。被覆材料は多
くの場合に、紫外線抵抗性、熱酸化安定性、押出の改良、または物理特性改良のため、カ
ーボンブラックまたは他の添加剤を含む。ポリオレフィン被覆材料は、分野別性能目標の
必要および好適な範囲に基づき分類される。
【0003】
望ましい要求としては、柔軟性対剛性の特性、低温曲げおよび低温衝撃性能、摩耗、引
裂およびカットスルー(cut-through)抵抗を含む強靱性、耐環境応力亀裂性(ESCR
)、耐候性(特に屋外日光暴露に対し)、熱酸化安定性、長期耐老化性、熱変形およびク
リープ特性を含む環境適応性が挙げられる。光ファイバーケーブル用途向けには、耐圧壊
性および押出後収縮もまた重要な特性である。
【0004】
要求される物理特性の適正なバランスに加えて、ポリオレフィン被覆組成物向けに重要
な性能は、穴または他の溶融状態の不安定性を発生させることなく、および、被覆工程中
に表面の荒れを生じることなく、商用生産規模のラインスピード条件で押出ができる能力
である。したがって、押出加工工程中の穴、裂け、または溶融状態における他の欠陥を回
避するため、被覆材料は充分な溶融強度を有することを要する。正確に寸法管理されてお
り、傷がなく平滑で、良好な被覆ケーブルの外観もまた重要である。被覆材料の溶融強度
が適当であり、芯材の不完全な部分を覆い、それによって均一な表面の外観を有する完成
品としての被覆を提供することもまた重要である。溶融強度はまた、冷却前の加工工程で
押し出された被覆の溶融サグ(melt sag)を防ぐことにより、良好な寸法管理にも寄与す
る。
【0005】
米国特許第5,718,974号は、特定のポリエチレン組成物から製造されたケーブ
ル被覆を記載する。大部分のポリオレフィン被覆組成物(jacketing compositions)は、
物理特性の範囲に対する溶融時の特性のバランスをとる必要がある。
【0006】
例えば、光ケーブル用途において、一般的なポリエチレン被覆材料は、望ましくないほ
ど高い押出後収縮、および、所望よりも低い剛性および変形抵抗を示す。ポリプロピレン
材料(ホモポリマー類およびコポリマー類)では、剛性は増加し、押出後収縮は減少する
。しかし、一般的なポリオレフィン材料では、「チューブオン(tube−on)」押出
用途の被覆において充分な性能を発揮するために要する溶融強度が不足し、一般的なポリ
プロピレンホモポリマー類およびランダムコポリマー類は、一般的にはケーブル被覆用途
向けの低温衝撃性能が不充分となる。
【0007】
特定のケーブル被覆用途においては、ポリプロピレン類の溶融温度および熱変形性能が
実質的に高いことが有利となる。そのような用途としては、蒸気管類に近接した電気通信
ケーブル類の敷設、および、電流の過負荷状態によりケーブルが過熱するおそれのある電
力ケーブル用途が挙げられる。
【0008】
ポリプロピレン類が有利となる他の用途は、ポリプロピレンを内側被覆に用い、エチレ
ン系ポリマーを外側被覆に用いるケーブル用途である。この用途の有利な点は、ポリプロ
ピレン系の内側被覆がエチレン系の外側被覆よりも比較的高い溶融温度を有することによ
り、後に続く外側被覆の溶融押出の適用の最中に、2つの被覆層が融着する傾向が減少す
ることである。
【0009】
しかし、ポリプロピレン系組成物の溶融強度は低いため、ポリプロピレンが他の特性で
有するこれらの相当に有利な点にも関わらず、ポリプロピレンをこのような用途に利用す
ることは限定されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、特定のケーブル被覆用途においては、1)ケーブル被覆押出工程において
最適な性能として要求される溶融強度の増加に加え、2)低温衝撃性能において必要な改
良がされている、ポリプロピレン系組成物が好ましい。これらのポリプロピレン組成物は
、ポリプロピレン固有の他の性能特性が、最も競争力のある性能バランスのために必要と
される被覆用途に好適であろう。例えばこれらの組成物は、一般的なポリプロピレン組成
物および現存するポリエチレン組成物に対して、押出後収縮および変形抵抗特性が相当に
改良されているため、光ファイバーケーブル被覆に好適であろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、1つ以上の電気通信または送電媒体、または、そのような媒体のうち2つ以
上の芯材を含み、各媒体または芯材が、ポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーを
含み、aが約0.5のとき、RSI×MF^aが約12より大きくなる緩和スペクトル(
RSI)およびメルトフロー(MF)有する、少なくとも1つの被覆またはシース層で囲
まれたケーブルである。重要なのは、向上したレオロジー特性(緩和スペクトル指数(R
SI)が高いことにより示される)を有するプロピレンポリマーから得られる前記被覆ま
たはシース層は、有利な押出加工特性を示すことである。さらに、本発明のプロピレン系
ポリマー組成物は、一般的なプロピレンポリマー類またはエチレンポリマー類の組成物と
比較して、溶融強度が相対的に高い。光ファイバーケーブル被覆用途において、本発明は
、低押出後収縮と高剛性/変形抵抗のバランスを好適に調整する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のケーブルは、1つ以上の電気通信または送電媒体(telecommunication or pow
er transmission media)、または、そのような媒体のうち2つ以上の芯材を含むケーブ
ルであり、各媒体または芯材(core)は、ポリプロピレンを含み、および、aが約0.5
のとき、RSI×MF^aが約12より大きくなる緩和スペクトル(RSI)およびメル
トフロー(MF)を有する、少なくとも1つの被覆またはシース層で囲まれている。
【0013】
本明細書中で使用する以下の語句は、以下の意味を有する。「カップリング剤」とは、
ポリマー鎖のCH、CH2またはCH3基の炭素水素結合に、脂肪族または芳香族の両方を
挿入可能なカルベン基またはニトレン基をそれぞれ形成する能力のある、少なくとも2つ
の反応基を含む化合物を意味する。それによって反応基は別個のポリマー鎖をカップリン
グし、長鎖分枝構造を形成することが可能である。助剤化合物もしくは触媒、または熱、
音響エネルギー、放射線もしくは他の化学的活性化エネルギーを用いて、カップリング剤
の活性化を要する場合がある。カップリング剤の例としては、ジアゾアルカン類、ジェミ
ナルに置換された(geminally-substituted)メチレン基類、メタロカルベン類、ホスフ
ァゼンアジド類、スルホニルアジド類、ホルミルアジド類、およびアジド類が挙げられる

【0014】
好適なカップリング剤はポリスルホニルアジド類であり、1,5−ペンタンビス(スルホ
ニルアジド)、1,8−オクタンビス(スルホニルアジド)、1,10−デカンビス(ス
ルホニルアジド)、1,10−オクタデカンビス(スルホニルアジド)、1−オクチル−
2,4,6−ベンゼントリス(スルホニルアジド)、4,4’−ジフェニルエーテルビス
(スルホニルアジド)、1,6−ビス(4’−スルホンアジドフェニル)ヘキサン、2,
7−ナフタレンビス(スルホニルアジド)、1分子当たり平均で塩素原子を1から8つお
よびスルホニルアジド基を2から5つ含む、塩素化脂肪族炭化水素類の混合スルホニルア
ジド類、ならびに、それらの混合物のような化合物を含む。好適なポリ(スルホニルアジ
ド)類としては、オキシビス(4−スルホニルアジドベンゼン)、2,7−ナフタレンビ
ス(スルホニルアジド)、4,4’−ビス(スルホニルアジド)ビフェニル、4,4’−
ジフェニルエーテルビス(スルホニルアジド)、およびビス(4−スルホニルアジドフェ
ニル)メタン、および、それらの混合物が挙げられる。WO99/10424も参照。ス
ルホニルアジド類は、市販されているか、または、アジ化ナトリウムと適切な塩化スルホ
ニルとを反応させることにより便利に製造される。様々な試薬類(亜硝酸、四酸化二窒素
、ニトロソニウムテトラフルオロボラート)でのスルホニルヒドラジン類の酸化もまた用
いられてきた。
【0015】
ビス(スルホニルアジド)を用いる場合は、その量は好適には、プロピレンポリマーの
重量を基準として最低でも約100ppmである。より好適には、その量は最低でも約1
50ppmである。より好適には、その量は最低でも約200ppmである。例えば、主
材料としてのカップリングしていないインパクトポリプロピレンコポリマーと比較して、
押出および衝撃特性の大きな変更が望ましい場合は、最低でも約300ppmまたは約4
50ppmの量がよりさらに好適である。
【0016】
「押出機」は(1)ペレットを押し出す、(2)ワイヤ類またはケーブル類を被覆する
、(3)フィルム類、発泡体類、プロフィール類、またはシート類を形成する、または、
(4)吹き込み成形品類を成形する、装置を含む。
【0017】
「衝撃改質」ポリプロピレンポリマー類は、ポリプロピレンポリマーをエラストマー成
分と反応器内ブレンドすることによって、または、エラストマー成分をプロピレンポリマ
ー中にコンパウンドすることによって、エラストマー成分(「衝撃改質剤」)を混合する
。前者の方法では、プロピレンポリマーおよびエラストマー成分は、同一製造プロセスの
1つ以上の反応器内で製造される。適切なエラストマー材料の例は、EPRゴム類または
エチレン−プロピレンフレキシマー類である。好適には、衝撃改質剤はエチレンとプロピ
レン、または4−メチル−1−ペンテン、ヘキセンおよびオクテンのような他の高級α−
オレフィン類とのコポリマーである。必要に応じて、衝撃改質剤は少なくとも1つのジエ
ンを含んでもよい。
【0018】
好適な衝撃改質ポリプロピレン類は、ポリプロピレンの総重量を基準として最低でも5
重量パーセントのエラストマー性衝撃改質剤成分を有する。より好適には、エラストマー
性衝撃改質剤成分は最低でも約9重量パーセントである。最も好適には、衝撃改質剤含有
率は、最低でも約13重量パーセントである。
【0019】
インパクトプロピレンコポリマーの連続相がホモポリマープロピレンポリマーであり、
エラストマー相がエチレンから誘導されるモノマー単位を含むコポリマーまたはターポリ
マーを含んで成る場合は、インパクトプロピレンコポリマーは、プロピレン相の総重量を
基準として、好適には最低でも約5重量パーセント、より好適には最低でも約7重量パー
セント、最も好適には最低でも約9重量パーセントの、エチレンモノマーから誘導される
−CH2CH2−単位を含有する。好適には、このようなインパクトプロピレンコポリマー
は、プロピレン相の総重量を基準として、約30重量パーセントより低い、より好適には
約25重量パーセントより低い、最も好適には約20重量パーセントより低い、エチレン
モノマーから誘導された−CH2CH2−単位を含む。
【0020】
「衝撃特性」とは、本発明の属する技術分野内の方法のいずれかで測定された、衝撃強
度のような特性をさす。衝撃特性の例としては、(a)ASTM D256に従い測定さ
れたアイゾット衝撃エネルギー、(b)ASTM D3763−93に従い測定されたM
TSピーク衝撃エネルギー(ダート衝撃)、および、(c)ASTM D3763に従い
測定されたMTS総衝撃エネルギーが挙げられる。低温衝撃特性(すなわち、−20℃以
下の温度における特性)に関しては、延性‐脆性遷移温度(「DBTT」)が重要な特性
である。DBTTは、延性が支配的な破壊モードから脆性が支配的な破壊モードへと、物
体が遷移する温度を規定する。
【0021】
「インパクトプロピレンコポリマー類」とは、ポリプロピレンまたはランダムコポリマ
ーポリプロピレン類が連続相であり、エラストマー相がその中に分散されている、ヘテロ
相のプロピレンコポリマー類を指す。エラストマー相はまた結晶性領域を含んでもよく、
前記結晶性領域はエラストマー相の一部とみなされる。インパクトプロピレンコポリマー
類は、連続相中にエラストマー相を反応によって組み込むことにより製造される、衝撃改
質プロピレンポリマー類の一部である。インパクトプロピレンコポリマー類は二段または
多段式プロセスで生成され、前記プロセスは必要に応じ、そこで少なくとも2つのプロセ
ス段階が行われる単一の反応器、または、複数の反応器を含む。E. P. Moore, Jr.のPoly
propylene Handbook, Hanser Publishers, 1996, page 220-221、および米国特許第3,
893,989号および第4,113,802号を参照。
【0022】
必要に応じて、インパクトプロピレンコポリマー類は、耐衝撃特性をさらに強化するた
めに衝撃改質剤を含んでいてもよい。
【0023】
「レオロジー特性」とは、本発明の属する技術分野における方法のいずれかにより測定
される、弾性率および粘性モジュラス(viscous modulus)、緩和スペクトルまたは緩和
時間の分布、ならびに溶融強度または溶融張力のような溶融状態の特性をさす。変形抵抗
は、一般的にはセカントまたは曲げモジュラス特性に相関があり、これらはそれぞれAS
TM D638またはASTM D790に従い測定される。
【0024】
「収縮特性」とは、ケーブル被覆類のような物品の特性であり、押出加工工程の後の寸
法安定性の存在、または寸法安定性の無さをさす。ワイヤおよびケーブル用途においては
、収縮は一般的にはケーブルの軸に平行、すなわち縦方向に、ケーブル被覆またはシース
の既定の長さの経時変化として測定される。収縮は、一般的には、高温に調節された環境
中における既定の状態調節期間を経て、続いて軸方向の変化を測定することにより評価す
る。測定は、ケーブル芯材上またはケーブル芯材無しのどちらの被覆またはシースで行っ
てもよい。
【0025】
前述のように、本発明のケーブルは、1つ以上の電気通信または送電媒体、または、そ
のような媒体のうち2つ以上の芯材を含み、各媒体または芯材は、ポリプロピレンを含み
、および、aが約0.5のとき、RSI×MF^aが約12より大きくなる緩和スペクト
ル(RSI)およびメルトフロー(MF)を有する、少なくとも1つの被覆またはシース
層で囲まれている。
【0026】
ポリマーの反応および使用するレオメータの機構および配置に基づいて、緩和モジュラ
スG(t)または動的モジュラスG’( )およびG’’( )は、時間tまたは周波数
の関数としてそれぞれ決定可能である(Dealy et al, Melt Rheology and Its Role in P
lastics Processing, Van Nostrand Reinhold, 1990, 269から297頁を参照)。動的およ
び貯蔵モジュラスの間の数学的関係性は、フーリエ変換積分関係であるが、しかし、周知
の緩和スペクトルを用いて1つのセットのデータを他から算出することもまた可能である
(Wasserman, J. Rheology, Vol.39, 1995, 601から625頁を参照)。従来の機構モデルを
用い、それぞれが特徴時な強度または「重み」および緩和時間を伴う、一連の緩和または
「モード」から成る離散緩和スペクトルを決定可能である。そのようなスペクトルを用い
、モジュラスを式
【0027】
【数1】

(式中、Nはモードの数であり、giおよびiはそれぞれのモードの重みおよび時間であ
る)のように再表現することが可能である(Ferry, Viscoelastic Properties of Polyme
rs, John Wiley & Sons, 1980, 224から263頁を参照)。ポリマーの緩和スペクトルは、
IRIS(商標)Developmentから市販のIRIS(商標)レオロジーソフト
ウェアのようなソフトウェアを用い決定してもよい。緩和スペクトル中のモードの分布を
算出したならば、MnおよびMwに相似している第1および第2のモーメントの分布、分
子量分布の第1および第2のモーメントは、下記のように算出される。
【0028】
【数2】

【0029】
RSIはgII/gIとして決定される。さらに、nRSIは、米国特許第5,998
,558号に記載のように、RSIから
nRSI=RSI×MFR^a
に基づいて算出される(式中、MFRはASTM D−1238の手順230℃および2
.16kg重量を用い測定されたポリプロピレンのメルトフローレートであり、aは約0
.5である)。nRSIは1.0のMFRに正規化された有効なRSIであり、メルトフ
ローレートが異なるポリマー性材料のレオロジーデータの比較を可能とする。RSIおよ
びnRSIは、ポリマーの分子量分布、分子量のようなパラメータ類、ならびに、長鎖分
枝および架橋のような特性類に敏感である。nRSIの値が高いほど、緩和時間分布が広
い。
【0030】
本発明に有用なプロピレンポリマー類は、チーグラー・ナッタ触媒、幾何拘束触媒、メ
タロセン触媒、または、他の任意の適切な触媒系を用いて製造可能である。
【0031】
好適には、本発明のプロピレンポリマー類はカップリングされ、前記カップリングはい
くつかの方法によって達成可能である。カップリングは、特定の触媒、共反応剤(co-rea
ctive agent)類、および当業者に公知の他の手段によって、ポリプロピレン重合プロセ
スの最中に実行可能である。かわりに、カップリングを重合後段階で実行することが可能
である。適切な重合後段階としては、カップリング剤を用いてポリマーを押出機中でカッ
プリングすること、または、プロピレンポリマーをEビーム法により処理することが挙げ
られる。
【0032】
メルトフローレートは、カップリングしていないプロピレンポリマーをカップリングす
る主材料として選択する際に考慮する重要な特性である。それは、加工に充分なメルトフ
ローレートを有するカップリング済みポリマーを得るために重要である。
【0033】
その上、カップリング済みポリマーを、ホモポリマープロピレンポリマー類、ランダム
プロピレンコポリマー類および他のインパクトプロピレンポリマー類のような他のプロピ
レンポリマー類、または他のポリオレフィン類と混合し、熱可塑性オレフィン類(TPO
類)または熱可塑性エラストマー類(TPE類)を製造してもよい。必要に応じて、他の
プロピレンポリマー類またはポリオレフィン類を、カップリング剤でカップリングしても
よい。
【0034】
ポリマーの緩和時間が長くなる作用におけるカップリングの効果を、緩和スペクトル指
数(RSI)を用いて定量化可能である。RSIは、緩和時間分布または緩和スペクトル
の広さを示す。
【0035】
本発明の1つの実施態様においては、ポリプロピレン樹脂は、絶対RSI値が最低でも
約12となるよう、充分にカップリングされている。より好適には、最低でも約15のR
SIが好ましい。よりさらに好適には、RSIは最低でも約18であり、場合により、R
SIは最も好適には最低でも約20である。
【0036】
本発明の好適な実施態様においては、カップリング剤を加えて、好適にはRSIがカッ
プリングされていない同等のプロピレンポリマーの最低でも約1.3倍である、カップリ
ングされたポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーを製造する。より好適には、R
SIは最低でも約1.5倍である。同等のカップリングされていないプロピレンポリマー
は、カップリング済みのプロピレンポリマーの製造に用いた主原料としてのポリマーであ
る。
【0037】
より好適な実施態様においては、衝撃改質ポリプロピレン系ポリマーをカップリングす
ることで、ポリマーの溶融強度が増加する。一般的には、同等のカップリングされていな
い衝撃改質プロピレン系ポリマーを含むケーブル被覆のこれらの特性と比較すると、得ら
れるケーブル被覆の衝撃特性もまた強化されている。好適には、カップリングされた衝撃
改質プロピレンポリマー樹脂は、溶融強度が最低でも約8センチニュートンであり、より
好適には溶融強度が最低でも約15cNであり、最も好適には溶融強度が最低でも約30
cNである。
【0038】
あるいはまた、本発明は以下の式で特徴づけることが可能である。
【0039】
Y ≧ 1.25
(式中、Y=同等のカップリングされていないポリプロピレンの溶融強度と比較した、カ
ップリングされたプロピレン樹脂の溶融強度の比率)。この態様においては、好適にはY
は最低でも約1.5であり、より好適にはYは最低でも約2であり、最も好適にはYは最
低でも約5である。
【0040】
衝撃改質は、インパクトプロピレンコポリマー類を使用することにより、または、カッ
プリングが実行される前もしくは後のどちらかに様々なエラストマー物質をプロピレンポ
リマーに溶融混合することにより、達成可能である。カップリングされた衝撃改質プロピ
レンポリマーの組み合わせ、例えば、エラストマー成分との組み合わせもまた使用可能で
ある。
【0041】
プロピレン系ポリマー組成物は、好適には耐衝撃性が改質され、ほとんどのケーブル被
覆用途で必要な低温衝撃特性が得られる。好適には、プロピレンポリマー組成物のDBT
Tは−5℃より低く、より好適には−10℃より低く、さらにより好適には−15℃より
低く、最も好適には−20℃より低い。
【0042】
さらに、組成物から製造され、そしてASTM D256に従い試験された物品は、好
適には最低でも0.7ft・lb/インチ、より好適には最低でも1.5ft・lb/イ
ンチ、最も好適には最低でも2.0ft・lb/インチのアイゾット衝撃強度を示す。さ
らに、プロピレン系ポリマー組成物は、好適には2パーセントセカントモジュラスが、A
STM D638に従い測定した場合に、最低でも90,000ポンド/平方インチ(p
si)であり、より好適には最低でも100,000psiであり、さらにより好適には
最低でも110,000psiであり、最も好適には最低でも120,000psiであ
る。さらに、本発明のプロピレン系ポリマー組成物より製造される被覆が示す、縦軸に沿
って測定した押出後収縮は、好適には約2.7パーセントより低い、より好適には約2.
5パーセントより低い、さらにより好適には約2.3パーセントより低い、および、最も
好適には約2.0パーセントより低い。
【0043】
本発明を含むカップリングされたプロピレンポリマー類の衝撃特性は、一般的には同等
の従来のプロピレンポリマー類に対比すると強化されている。その上、本発明のカップリ
ングされたプロピレン樹脂類から形成されたケーブル被覆類は、カップリングされていな
い同一のプロピレンポリマー類から形成された同等のケーブル被覆類の高モジュラスおよ
び耐変形特性、例えば曲げまたはセカントモジュラスを、有利に維持する。
【0044】
被覆および/またはシース層は、発泡しても非発泡でもよい。1つの特定の好適な実施
態様においては、ケーブルは、内側被覆またはシース層、および外側被覆またはシース層
を含んで構成される。好適には、内側被覆またはシース層は、発泡されている。また好適
には、内側被覆またはシース層はプロピレン系ポリマーを含んで構成され、外側被覆また
はシース層はエチレン系ポリマーを含んで構成される。
【0045】
プロピレンポリマー組成物はまた、非ハロゲン性またはハロゲン性難燃添加剤を含むこ
とも可能である。適切な非ハロゲン性難燃添加剤類としては、金属水和物類、赤リン、シ
リカ、アルミナ、酸化チタン類、タルク、クレイ、有機改質クレイ、硼酸亜鉛、三酸化ア
ンチモン、珪灰石、マイカ、シリコン樹脂類、リン酸エステル類、ヒンダードアミン安定
剤類、アンモニウムオクタモリブデート、膨張性化合物類、および、発泡性グラファイト
が挙げられる。適切なハロゲン化難燃添加剤類としては、デカブロモジフェニルオキシド
、デカブロモジフェニルエタン、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)、および
、1,4:7,10−ジメタノジベンゾ(a,e)シクロオクテン,1,2,3,4,7
,8,9,10,13,13,14,14−ドデカクロロ−1,4,4a,5,6,7,
10,10a,11,12,12a−ドデカヒドロ−)が挙げられる。
【0046】
本発明のプロピレンポリマー組成物類はまた、炭酸カルシウムのようなフィラー類を含
有することも可能である。さらに、核剤類を利用してもよい。これらの核剤類は、樹脂類
が結晶化する速度を増加させ、物理特性を強化することが可能である。しかし、場合によ
っては、カップリングしたインパクトプロピレンコポリマー中に核剤が存在すると、カッ
プリングされたインパクトプロピレンコポリマーから製造されるケーブル被覆の耐衝撃性
と強靱性のバランスが崩れることがある。旭電化工業株式会社から入手可能なNa−11
は、有用な核剤の例である。加えて、組成物は、酸化防止剤類、安定剤類、発泡剤類、カ
ーボンブラック、顔料類、加工助剤類、過酸化物類、硬化促進剤類、ならびに、組成物中
に存在する可能性のあるフィラーを処理するための表面活性剤類のような、他の添加剤類
を含んでもよい。
【0047】
ポリエチレン、一般的なプロピレン系ポリマー(カテゴリーI)、および、カップリン
グされたプロピレン系ポリマー(カテゴリーII)を主材料とする組成物の、主要な被覆
特性要求の比較を、以下の表1に示す。第3のカテゴリー(カテゴリーIII)は、追加
のエラストマー成分を含む、カップリングされたプロピレン系ポリマー組成物を含む。カ
テゴリーIII組成物類は、プロピレン系ポリマーをカップリングした後の組成物へ、追
加のエラストマーを添加する効果を説明する。
【0048】
列挙された種々の材料の選択枝について、各主要特性カテゴリー内の性能を、不適格(
−−、−)から、適格だが好適ではない(0)、有利(+、++)、および非常に有利(
+++、++++)まで、定性的に評価づける。このマトリックスは、特定の被覆用途向
けに高溶融強度ポリプロピレン組成物が提供する総合的な利点を示す。
【0049】
【表1】

【実施例】
【0050】
以下は、本発明を説明する非制限的な実施例である。
【0051】
比較実施例1〜5および実施例6〜12
以下のプロピレンポリマー類を、実施例中の組成物の製造に用いた。(a)C105−
02インパクトプロピレンコポリマー、(b)D111.00インパクトプロピレンコポ
リマー、(c)C104−01インパクトプロピレンコポリマー、(d)C107−04
インパクトプロピレンコポリマー、(e)6D20ランダムプロピレンコポリマー。また
、以下の被覆組成物を実施例中で評価した。(a)DGDD−6059被覆コンパウンド
、および、(b)DBDA−6318被覆コンパウンド。各プロピレンポリマーおよび被
覆コンパウンドはThe Dow Chemical Companyから入手可能であ
る。
【0052】
C105−02は、ハイインパクトプロピレンコポリマーであり、メルトフローレート
が1.5g/10分であり、エチレン含有量が16重量パーセントである。D111.0
0は、ミディアムインパクトプロピレンコポリマーであり、メルトフローレートが0.8
g/10分であり、エチレン含有量が9重量パーセントである。C104−01は、ミデ
ィアムインパクトプロピレンコポリマーであり、メルトフローレートが1.1g/10分
であり、エチレン含有量が9重量パーセントである。C107−04は、ミディアムイン
パクトプロピレンコポリマーであり、メルトフローレートが4.0g/10分であり、エ
チレン含有量が9重量パーセントである。6D20はランダムプロピレンコポリマーであ
り、メルトフローレートが1.8g/10分である。比較実施例1〜5は、C105−0
2、D111.00、C104−01、C107−04、および6D20をそれぞれ用い
て製造した。
【0053】
実施例中の組成物の1つ以上は、4,4’−オキシ−ビス−(スルホニルアジド)ベン
ゼン(「DPO−BSA」)をカップリング剤として用いて製造した。実施例中の組成物
のいくつかはまた、Irganox1010(商標)テトラキス[メチレン(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナマート)]メタン、Irgafos
168(商標)トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、および
、FX5911X(商標)加工助剤も含む。Irganox1010およびIrgafo
s168はCiba Specialty Chemicals Inc.より入手可能
である。FX−5911Xは、HFP/VDF/TFEポリマーであり、3M Corp
orationの全額出資子会社であるDyneon LLCから入手可能である。
【0054】
以下に記載のように、カップリング剤はまた、Affinity EG−8200(商
標)ポリエチレンまたはProfax6501ポリプロピレンのマスターバッチとして製
造された。Affinity EG−8200(商標)ポリエチレンは、メルトインデッ
クスが5.0g/10分および密度が0.87g/立方センチメートルのエチレン/オク
テンコポリマーであり、The Dow Chemical Companyより入手可
能である。Profax6501は、メルトフローレートが4g/10分のプロピレンホ
モポリマーであり、Montell USA,Incから入手可能である。
【0055】
DPO−BSAマスターバッチ1は、Affinity EG−8200(商標)ポリ
エチレンから製造され、5重量パーセントの濃度を有する。DPO−BSAマスターバッ
チ2は、組成物に5重量パーセントのマスターバッチが添加された場合に、マスターバッ
チが200ppmの量のDPO−BSAを与えるよう、Profax6501から製造さ
れた。DPO−BSAマスターバッチ3は、組成物に0.9重量パーセントのマスターバ
ッチが添加された場合に、マスターバッチが180ppmの量のDPO−BSAを与える
よう、Profax6501から製造された。DPO−BSAマスターバッチ4は、組成
物中に2重量パーセントのマスターバッチが添加された場合に、マスターバッチが200
ppmのDPO−BSAを与えるよう、Profax6501から製造された。
【0056】
実施例6、7および9においては、例中の組成物を11−バレル Wemer&Pfl
eiderer ZSK40 2軸スクリュー押出機を通じ、供給速度が250lbs/
時間、スクリュー速度が300rpm、および、目標温度プロファイルが180/190
/200/200/210/220/230/240/230/240/240℃(供給
口からダイまで)で、押し出した。実施例8においては、混合物を、9−バレルWeme
r&Pfleiderer ZSK92mm 2軸スクリュー押出機を通じ、供給速度が
2900lbs/時間、スクリュー速度が400rpm、および、目標温度プロファイル
が25/25/25/200/200/240/240/240℃(供給口からダイまで
)で、押し出した。
【0057】
実施例10においては、混合物を、0.8メルトフローレートのインパクトコポリマー
を加工する一般的な条件で押し出した。実施例11においては、混合物を、1.2メルト
フローレートのインパクトコポリマーを加工する一般的な条件で押し出した。実施例12
においては、混合物を、9−バレルCentury ZSK40 2軸スクリュー押出機
を通じ、供給速度が130lbs/時間、スクリュー速度が220rpm、および、目標
温度プロファイルが80/80/200/220/230/240/240/240℃(
供給口からダイまで)で、押し出した。
【0058】
DPO−BSAのマスターバッチを用いる実施例の場合は、マスターバッチをプロピレ
ンポリマーおよび他の添加剤類と同時に、押出機の供給ホッパに投入した。
【0059】
以下の表2において、記号「(d)」は、DPO−BSAがマスターバッチ経由ではな
く直接添加されたことを表示する。マスターバッチを用いる場合は、対応する欄に「Y」
と表記する。
【0060】
【表2】

Ex.=実施例
【0061】
表3および4は、比較実施例1および2、ならびに実施例6、7および9のノッチ入り
アイゾット値を示す。各ノッチ入りアイゾットは、セクション8:プラスチック類199
7に記載の、ASTM方法D−256に従い測定した。エッジ−ゲートを付した試験片(
edge-gated plaque)を射出成形した。必要な試験サンプルに、ポリマー射出流れ方向と
平行および垂直に切り込みを入れた。ノッチを入れた後、サンプルをポリマー射出流れ方
向とそれぞれ垂直および平行のノッチの方向に試験した。延性破壊は、示される値の後に
「(b)」と表示する。
【0062】
【表3】

Comp.Ex.=比較実施例 Ex.=実施例
【0063】
【表4】

Comp.Ex.=比較実施例 Ex.=実施例
【0064】
比較実施例1〜5および実施例6〜12のメルトフローレート(MFR)を、230℃
で2.16kgの重量を用いて、ASTM D−1238の方法に従い測定した。
【0065】
レオロジー測定は、TA Instrumentsから市販の速度制御ワイゼンベルグ
レオゴニオメーターを用い、動的振動せん断(DOS)実験によって行った。標準的なD
OS実験は、窒素雰囲気下で200または230℃において、パラレルプレートモードに
て行った。サンプルの大きさは、厚みが約1100から1500ミクロンの範囲であり、
直径が4センチメートルであった。DOS周波数スイープ実験は、2パーセントの歪み振
幅で0.1から100秒-1の周波数の範囲を対象とした。TA Instruments
レオメータの制御ソフトウェアが、トルク反応を各周波数の動的モジュラスおよび動的粘
度データに変換した。市販のソフトウェアパッケージIRIS(商標)を用い、離散緩和
スペクトルを各サンプルの動的モジュラスデータに適応させ、次に、RSI値を前述のよ
うに算出した。
【0066】
全てのサンプルの溶融強度は、導入角が約45度の、直径2.1mmの20:1ダイに
適応させた、細管レオメータを用いて測定した。サンプルを190度で10分間恒温とし
た後、ピストンを速度1インチ/分で動かした。標準試験温度は190℃である。サンプ
ルは、ダイの100mm下方に設置された1セットの加速ロールに加速度2.4mm/秒
2で単軸で引き取られる。引張力はニップロールの巻き取り速度の関数として記録される
。試験中に得られた最大引張力を溶融強度とする。ポリマー溶融体がドローレゾナンスを
示す場合には、ドローレゾナンス発生時の引張力を溶融張力とした。
【0067】
【表5】

Ex.=実施例
【0068】
比較実施例13および14、ならびに実施例15
比較実施例13を、DGDD−6059被覆組成物を用いて製造した。DGDD−60
59は、密度が0.921グラム/立方センチメートルのエチレン/ブテンコポリマーを
主原料として、約2.5重量パーセントのカーボンブラックと混合し製造された、密度が
0.932グラム/立方センチメートルの組成物である。
【0069】
比較実施例14は、DGDA−6318被覆組成物を用いて製造した。DGDA−63
18は、(1)約90重量パーセントの、密度が0.945グラム/立方センチメートル
のエチレン/ヘキセンコポリマー、および、(2)約10重量パーセントの、密度が0.
921グラム/立方センチメートルのエチレン/ブテンコポリマーを主原料の樹脂として
、2.5重量パーセントのカーボンブラックと混合して製造した、密度が0.954グラ
ム/立方センチメートルの組成物である。
【0070】
実施例15は、メルトフローレートが1.0g/10分の、カップリングされた衝撃改
質プロピレンポリマーから製造した。列中の高溶融強度衝撃改質プロピレンポリマー組成
物は、DGDD−6059およびDGDA−6318組成物中に存在する量と同等量のカ
ーボンブラックを含む。
【0071】
表6は、一般的なLLDPE(比較実施例13)、低収縮性HDPE(比較実施例14
)、および、カップリングされた衝撃改質プロピレンポリマー(実施例15)の性能デー
タを示す。
【0072】
押出後収縮は、14ゲージ(0.064インチ)のワイヤ金属導体上の、0.124イ
ンチ外径の試験片をもとにした。試験片は24時間室温にてエージングし、導体から分離
した。100℃で24時間エージングした後の収縮を測定した。
【0073】
【表6】

Comp.Ex.=比較実施例 Ex.=実施例
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、押出機から排出された溶融チューブを伸張してネックイン(neck in)させ、ケーブルの芯材上に固く密接する被覆を得る「チューブオン」または「スリービング(sleeving)」プロセスを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の電気通信または送電媒体、または、そのような媒体のうち2つ以上の芯材を
含むケーブルであり、各媒体または芯材は、ポリプロピレンを含み、およびaが約0.5
のとき、RSI×MF^aが約12より大きくなる緩和スペクトル(RSI)およびメル
トフロー(MF)を有する、少なくとも1つの被覆またはシース層で囲まれている、ケー
ブル。
【請求項2】
前記ポリプロピレンがカップリングされている、請求項1のケーブル。
【請求項3】
前記カップリングされたポリプロピレンが以下の式で特徴づけられる、請求項2のケー
ブル。
Y ≧ 1.25
(式中、Y=カップリングされたプロピレン樹脂の溶融強度と同等のカップリングされ
ていないポリプロピレンの溶融強度の比率)
【請求項4】
前記ポリプロピレンが衝撃改質プロピレンコポリマーである、請求項1のケーブル。
【請求項5】
前記衝撃改質プロピレンコポリマーが、連続相とエラストマー相を含み、ここで前記エ
ラストマー相は、前記衝撃改質プロピレンコポリマーの最低でも約9重量パーセントの量
存在する、請求項4のケーブル。
【請求項6】
前記ポリプロピレンが発泡プロピレン系ポリマーである、請求項1のケーブル。
【請求項7】
前記ケーブルが、内側被覆またはシース層、および外側被覆またはシース層を有し、こ
こで前記内側層は請求項1で特徴づけられる前記被覆またはシース層であり、前記外側層
はエチレンポリマーを含む、前記請求項のいずれかのケーブル。
【請求項8】
1つ以上の電気通信または送電媒体、または、そのような媒体のうち2つ以上の芯材を
含むケーブルであり、各媒体または芯材は、カップリングされた衝撃改質ポリプロピレン
を含む少なくとも1つの被覆またはシース層で囲まれており、
前記カップリングされた衝撃改質ポリプロピレンは、以下の式で特徴づけられ、
Y ≧ 1.25
(式中、Y=カップリングされたプロピレン樹脂の溶融強度と同等のカップリングされ
ていないポリプロピレンの溶融強度の比率)、
連続相とエラストマー相を含み、ここで前記エラストマー相は、前記衝撃改質プロピレ
ンコポリマーの最低でも約9重量パーセントの量存在し、ならびに、aが約0.5のとき
、RSI×MF^aが約12より大きくなる緩和スペクトル(RSI)およびメルトフロ
ー(MF)を有する、ケーブル。
【請求項9】
1つ以上の電気通信または送電媒体、または、そのような媒体のうち2つ以上の芯材を
含むケーブルであり、各媒体または芯材は、ポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマ
ーを含み、および、約8センチニュートンより大きい溶融強度を有する、少なくとも1つ
の被覆またはシース層で囲まれているケーブル。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−248541(P2012−248541A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−166188(P2012−166188)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【分割の表示】特願2004−536498(P2004−536498)の分割
【原出願日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【出願人】(591123001)ユニオン カーバイド ケミカルズ アンド プラスティックス テクノロジー エルエルシー (85)
【Fターム(参考)】