説明

溶融結晶化分離及び精製方法

分子状酸素の侵入を防ぐ条件下で固液スラリーから固体を分離する方法は、そうでなければ分子状酸素の存在が効率性を低下させ、限られた生成物収率の原因となり、プロセス又は下流の単位操作の安全な運転に潜在的に障害を与える場合において有利である。ここで開示する種々の態様の中で、結晶化及びリスラリー単位操作と組み合わせて固液分離器としてフィルターカラムを用いて混和性の成分の初期供給混合物から生成物成分を回収する方法が開示される。開示するプロセスの幾つかの態様は、結晶化器をフィルターカラムと連続して用い、次に化学反応器を用い、リスラリードラムをフィルターカラムと連続して用い、そして結晶化器及び/又はリスラリードラムの組合せを少なくとも1つのフィルターカラムと連続して用いて、生成物成分を分離及び精製することを含む。これらのカラムは、ここで開示する条件下で運転すると種々のプロセス流中への分子状酸素の望ましくない侵入を制限し、生成物成分の回収率及び運転コストの両方に関するプロセス効率性を更に向上させるので、かかるプロセスにおいてフィルターカラムを用いることは特に魅力的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、例えば溶融結晶化分離及び精製プロセスにおいて固液スラリーから固体を分離する方法に関する。より詳しくは、本発明は、特定の運転条件下においてプロセス中への分子状酸素の侵入を有利に防ぐ分離又は精製方法に関する。したがって、この方法は固液スラリーから固体を分離するための従来の方法よりも効率的であり、且つ少なくとも同程度に安全である。
【背景技術】
【0002】
[0002]固液分離方法は、化学産業、医薬産業、並びに水及び廃棄物処理産業など(しかしながらこれらに限定されない)の種々の産業において重要である。かかる固液分離方法は多様であり、これらとしては真空又は加圧濾過、遠心分離、沈降、及び清浄化など(しかしながらこれらに限定されない)を挙げることができる。多くの化学プロセスにおいて、これらの固液分離方法は、しばしば特定の化学中間体の製造において重要な役割を果たす。例えば、パラキシレン(p−キシレン又はpX)は、精製するとテレフタル酸を製造するために有用な化学中間体となる。結晶化によるパラキシレンの精製は、歴史的には約99.7%のパラキシレン純度レベルを達成するために遠心分離が必要である。
【0003】
[0003]パラキシレン精製プロセスは、通常は、混合C芳香族炭化水素を含む炭化水素供給流からパラキシレンを製造する非常に大きなプロセスの一部である。この大きなプロセスにおいては、含水供給流を通常は蒸留塔内で脱水する。蒸留供給流中に存在する酸素は、通常は塔頂水蒸気と共に塔から排出される。勿論、乾燥した供給流はこの脱水工程にかける必要はない。供給流の脱水(行う場合には)に続いて、乾燥されたC芳香族炭化水素を、種々の単位操作を用いるプロセスにおいて精製する。この精製プロセスによって製造されるパラキシレンが少ない流れは、オルトキシレン(o−キシレン又はoX)、メタキシレン(m−キシレン又はmX)、エチルベンゼン、及び他の成分を含む。このパラキシレンが少ない流れを、通常は(異性化反応器内において)触媒及び水素の存在下で気化及び反応させてキシレン異性体の平衡混合物(即ち、1:2:1の重量比のoX:mX:pX)を得て、これを次に分別セクションに送って、ここでC芳香族炭化水素を分離し、精製プロセスに送って精製パラキシレンを得る。
【0004】
[0004]プロセス中への酸素の導入は、プロセスの異性化部分に悪影響を与えることが分かった。例えば、異性化反応器への供給流中の酸素の存在は、反応器内及び上流の熱交換器内の付着物の原因になる。これによりサイクル長が減少する。サイクルの終了時においては、プロセスを停止して触媒を再生し、熱交換器をデコーキングしなければならない。酸素の存在は、固液分離器を用いる可能性がある他のプロセスにおいては重要ではない可能性がある。しかしながら、混合C芳香族炭化水素供給流からパラキシレンを製造するプロセスにおいては、プロセスの効率的な運転のためには酸素を存在させないか又は最小にすることが重要であることが分かった。
【0005】
[0005]パラキシレンの精製は、通常は、オルト−、メタ−、及びパラ−キシレン異性体、エチルベンゼン、若干の非芳香族炭化水素、及び若干のC9+芳香族炭化水素の混合物を通常は含む、主としてC芳香族炭化水素の供給流を用いて開始する。C芳香族炭化水素の代表的な混合物は、一般に、約22重量%のパラキシレン、約21重量%のオルトキシレン、約47重量%のメタキシレン、及び約10重量%の他の構成成分(殆どはエチルベンゼン)を含む。これらのキシレン異性体を分離する方法としては、低温結晶化、分別蒸留、及び吸着が挙げられる。
【0006】
[0006]蒸留(混合物成分の沸点差に基づく)及び吸着(固体吸着剤への混合物成分の異なる親和性に基づく)の通常の分離技術は一般的な液−液混合物に関してはしばしば好適であるが、結晶化は吸着剤を必要とせず、種々の供給材料組成物に対してより適合性があり、通常は高コストの供給材料の予備処理を必要としない。例えば、C芳香族炭化水素供給流からのパラキシレンの分離においては、結晶化は(吸着プロセスにおいて見られるような)高コストの吸着剤を必要とせず、キシレン異性体及びエチルベンゼンは望ましくなく同等の沸点を有する(蒸留を困難にする)が、劇的に異なる融点を有しているので、結晶化は吸着及び蒸留よりもしばしば好ましい。純粋なパラキシレンは56°F(13℃)において凍結し、純粋なメタキシレンは−54°F(−48℃)において凍結し、純粋なオルトキシレンは−13°F(−25℃)において凍結し、純粋なエチルベンゼンは−139°F(−95℃)において凍結する。パラキシレンはこれらの混合供給流中に低い濃度で存在しているので、結晶化によってこれらの供給流からパラキシレンを有効に回収するためには、一般に低い温度が必要である。
【0007】
[0007]任意の化学プロセスにおけるように、設備及び運転コストによって、満足な生成物及び副生成物を得るために特定の単位操作を用いるかについての決定が定まる。勿論、これらの決定は複雑で、生成物及び副生成物の物理特性によって限定される可能性がある。更に、これらの決定は、例えば汚染物質の導入(又は生成)を防ぐようにプロセスを設計及び運転することが必要な場合には複雑になる可能性がある。結晶化によるパラキシレンの回収及び精製に関する重要な検討事項としては、例えば、低温冷却を得ることに関係する運転コスト、及び固液分離ユニットに関係する設備コストが挙げられる。更に、ここでより詳細に説明するように、酸素はプロセスに対して非効率性を与えるので、酸素はパラキシレン製造プロセスにおいて汚染物質として考えられる。酸素はまた、固液分離及び精製プロセスを用いる他の製造プロセスにおいても汚染物質として考えられる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008]したがって、分離及び精製に関与する単位操作から酸素も除去する効率的な固液分離及び精製方法が求められている。更に、分離及び精製に関与する単位操作中への酸素の導入を更に最小にするか又は完全に回避する効率的な固液分離及び精製方法が求められている。特にパラキシレン製造との関係において、パラキシレンの回収及び精製に関与する単位操作から酸素も除去する、パラキシレンを回収及び精製するための効率的な方法が求められている。更に、パラキシレンの回収及び精製に関与する単位操作中への酸素の導入を最小にするか又は完全に回避する、パラキシレンを回収及び精製するための効率的な方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]上記に示すように、パラキシレン製造プロセスの効率的な運転のためには酸素を存在させなくするか又は最小にすることが重要であることが見出された。分離ユニット(例えば遠心分離器)は、他のC芳香族物質からパラキシレンを分離するのに通常用いられており、現在でも用いられている。しかしながら、遠心分離器を用いることでも酸素の侵入を更に引き起こす可能性がある。例えば、スクリーンボウル遠心分離器は、僅かに正の圧力下で運転する。この条件にもかかわらず、キシレンを精製するために遠心分離器を運転すると、遠心分離器へ供給するパイプと遠心分離器の回転アセンブリとの間のシール部に真空が引かれる。シール部における漏洩の存在は、空気(及びその中の酸素)の遠心分離器への導入を引き起こす。
【0010】
[0010]ここで、本発明による精製(又は分離)方法を用いると、例えばパラキシレン製造プロセスにおける下流の異性化反応器に供給される流れのような種々のプロセス流中への分子状酸素の侵入が制限されることが見出された。したがって、本発明による特定の分離工程(例えばフィルターカラムを用いる)を、パラキシレン製造プロセスにおいて、これらのプロセスによって現在与えられている安全性及び効率性を損なうことなく用いることができることも見出された。分子状酸素を減少させることによって、パラキシレン製造プロセスにおいてこれまでは得ることができなかった種々の利益が与えられる。例えば、この減少によって、異性化反応器及び分離ユニットと異性化反応器との間に配置されている任意の熱交換装置のような分離ユニットの下流の装置の運転が向上する。この減少により、付随して反応器のファウリング及び閉塞並びに反応器内の触媒コーキングの事象の減少が引き起こされる。また、この減少によって、より頻繁でない触媒再生及び反応器の停止時間ももたらされる。更に、この減少によって分離ユニットと異性化反応器との間に配置されている任意の熱交換器のファウリング及び閉塞の事象も同様に回避される。これらの利益は、コスト効率及び向上したパラキシレンプロセス収率において明らかである。
【0011】
[0011]本発明は、一般に、パラキシレン及び分子状酸素を、それと他のキシレン異性体を含むスラリーから、分子状酸素のプロセス中への侵入を防ぐ条件下で分離することを含む方法に関する。好ましくは、パラキシレン及び分子状酸素を、フィルターカラム内において、分子状酸素のプロセス中への侵入を防ぐ条件下でスラリーから分離して、パラキシレンを含むフィルターケーキを形成し、且つパラキシレンが少ない生成物を含む液体生成物成分を含む濾液を形成する。
【0012】
[0012]他の態様においては、本方法は、パラキシレンを、それと他のキシレン異性体を含むスラリーから、分子状酸素の分離プロセス中への侵入を防ぐ条件下で精製してパラキシレンが少ない生成物を形成し、パラキシレンが少ない分離の生成物を異性化することを含む分離方法である。好ましくは、パラキシレンを、フィルターカラム内において、分子状酸素の分離プロセス中への侵入を防ぐ条件下でスラリーから精製して、パラキシレンを含むフィルターケーキ、及びパラキシレンが少ない生成物を含む液体生成物成分を含む濾液を形成する。
【0013】
[0013]ここで特定する条件下で運転するフィルターカラムによって濾液の分子状酸素含量が最小になって、これにより望ましくない触媒コーキング、及び異性化ユニットにおけるファウリング及び閉塞の抑止が促進されることが見出された。例えば、下記により詳細に記載するように、少なくとも雰囲気圧力、好ましくは雰囲気圧力より高い圧力(例えば約2psig〜約30psig)において運転するフィルターカラムによって、濾液の分子状酸素含量が最小になる。非常に好ましい運転においては、フィルターカラムを、雰囲気圧力よりも少なくとも約0.5psi高く(即ち少なくとも約0.5psig)、更により好ましくは雰囲気圧力よりも少なくとも約1.5psi高く、更により好ましくは雰囲気圧力よりも少なくとも約3psi高く、更により好ましくは雰囲気圧力よりも少なくとも約5psi高く、更により好ましくは雰囲気圧力よりも少なくとも約10psi高く、更により好ましくは雰囲気圧力よりも少なくとも約15psi高い昇圧において運転する。フィルターカラムを運転するための非常に好ましい圧力範囲は、雰囲気圧力よりも約1.5psi〜約3psi高い圧力(即ち約1.5psig〜約3psig)である。雰囲気圧力よりも高い圧力が、最小又はゼロの分子状酸素の侵入を確保するために必要な条件であるが、雰囲気圧力よりもはるかに高い圧力は、プロセスの運転費用を、プロセスの経済的な利益が損なわれる可能性があるレベルに不必要に上昇させる。更に、分離を行うために用いる容器は、運転可能な圧力に対する上限(殆どの場合にはこれに接近することはないが、それでも好適である)を有効に設定する上限圧力定格を有している。したがって、ここで示す知見によって可能になる多くの利益を享受するためには、圧力の密な観察を維持しなければならない。
【0014】
[0014]パラキシレン製造プロセスに対する分子状酸素の損傷効果を更に防ぐために、分離ユニット(例えばフィルターカラム)への供給流は実質的に分子状酸素を含まないものでなければならない。本明細書において用いる場合には、流れは、それが、濾液(具体的には濾液の液体第2成分)に移ると下流の単位操作(例えば、異性化ユニット、或いは異性化ユニットと分離ユニットとの間に配置されている熱交換器)の性能に悪影響を与える量の分子状酸素(例えば、液体流中の溶解O、気体流中の気体状O)を含まないならば、分子状酸素を実質的に含まない。例えば、フィルターカラム供給流のそれぞれは、好ましくは流れの全重量を基準として約5重量ppm以下(より好ましくは約2ppm以下、更により好ましくは約1ppm以下)の分子状酸素を含み、個々の流れは分子状酸素を全く含まないものにすることができる。したがって、フィルターカラム濾液の液体第2成分の分子状酸素濃度は、供給流のものよりも小さく、好ましくはフィルターカラム濾液の全重量を基準として約2重量ppm以下(より好ましくは約0.7重量ppm以下、更により好ましくは約0.4重量ppm以下)である。
【0015】
[0015]ここに示す処理条件にしたがってフィルターカラムを用いると、生成物成分の回収率及び運転コストの両方に関するプロセス効率が更に向上する。例えば、パラキシレンを精製及び回収するためにフィルターカラムを用いる結晶化/リスラリープロセスにおいては、結晶化冷却負荷及び異性化再循環に関する運転コストを同時に減少させながら収率を増加させることができる。
【0016】
[0016]ここでは方法の更なる態様も開示する。例えば、1つのかかる態様においては、スラリー供給流から固体生成物を精製する方法は、スラリー及び置換流体をフィルターカラムに供給することを含む。スラリーは生成物成分固体及び液体第2成分を含み、スラリー及び置換流体の両方とも分子状酸素を実質的に含まない。フィルターカラムは、スラリーの生成物成分固体及び液体第2成分を少なくとも部分的に分離して、濾液(液体第2成分、及び置換流体の少なくとも一部を含む)及びフィルターケーキ(生成物成分固体を含む)を形成して、濾液の分子状酸素濃度がスラリーの分子状酸素濃度以下となるようにする。好ましくは、濾液の分子状酸素濃度は、約2重量ppm以下、より好ましくは0.7重量ppm以下、更により好ましくは約0.4重量ppm以下である。好ましくは、置換流体は、分子状酸素を実質的に含まず、これらとしては気体及び/又は液体が挙げられ、それらはいずれも生成物成分結晶と非反応性であり、例えば窒素(最も好ましい)、二酸化炭素、水素、メタン、エタン、天然ガス、ヘリウム、キセノン、アルゴン、ネオン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。場合によって用いるプロセス工程は、フィルターカラムへフラッシュ流体を供給すること(ここで、フラッシュ流体も分子状酸素を実質的に含まない)及び/又は下流の化学反応器において濾液の液体第2成分の少なくとも一部を液相生成物成分に転化させることを含む。
【0017】
[0017]他の態様においては、生成物を結晶化する方法は、まず、液体第2成分、及び液体第2成分のものよりも高い融点を有する液体生成物成分を含む液体供給流を結晶化させることを含む。液体生成物成分の少なくとも一部を結晶化するのに十分な温度において運転する結晶化器内で液体供給流を結晶化して、生成物成分結晶及び液体第2成分を含むスラリー流出流を形成する。次に、フィルターカラム内においてスラリー流出流の生成物成分結晶及び液体第2成分を少なくとも部分的に分離して、液体第2成分を含む濾液、及び生成物成分結晶を含むフィルターケーキを形成する。次に、濾液中の液体第2成分の少なくとも一部を液体生成物成分に転化させる。
【0018】
[0018]更に他の態様においては、少なくとも部分的に結晶化した生成物をリスラリーするプロセスは、液体生成物成分中に存在する生成物成分結晶及び液体第2成分(液体生成物及び液体第2成分はスラリー供給流中に存在し、生成物成分結晶は液体第2成分のものよりも高い融点を有する)を(好ましくはフィルターカラム内において)少なくとも部分的に分離して、濾液(液体第2成分を含む)及び富化生成物流(生成物成分結晶を含む)を形成することを含むリスラリー段階プロセスを含む。富化生成物流、及びリスラリー希釈液(液体生成物成分及び液体第2成分を含む)の両方を、生成物成分結晶を含むリスラリードラムに供給(混合)する。次に、リスラリードラム内において、生成物成分結晶を液体生成物及び液体第2成分と、生成物成分結晶及び液体第2成分の両方を含むリスラリー流出流を形成するのに十分な時間平衡化する。
【0019】
[0019]他の態様においては、結晶化生成物を製造する方法は、2以上の結晶化段階プロセスを連続して行うことを含み、それぞれの結晶化段階プロセスは、まず、液体第2成分、及び液体第2成分のものよりも高い融点を有する液体生成物成分を含む液体供給流を結晶化することを含む。液体生成物成分の少なくとも一部を結晶化するのに十分な温度において運転する結晶化器内において液体供給流を結晶化させて、生成物成分結晶及び液体第2成分を含むスラリー流出流を形成する。次に、スラリー流出流の生成物成分結晶及び液体第2成分を、フィルターカラム、洗浄カラム、又は遠心分離器(しかしながら少なくとも1つのフィルターカラムを用いる)内で少なくとも部分的に分離して、液体生成物成分及び液体第2成分を含む濾液、並びに生成物成分結晶を含む富化生成物流を形成する。第1の結晶化段階以外のそれぞれの結晶化段階に関する液体供給流には、前段で上流の結晶化段階からの濾液が含まれる。
【0020】
[0020]更に他の態様においては、遠心分離器濾液から固体生成物を回収する方法は、まず遠心分離器内で液体及び分散固体を含むスラリー供給流を少なくとも部分的に分離して、少なくとも高固形分の濾液及び遠心分離器ケーキを形成することを含む。高固形分の濾液は液体及び分散固体を含み、高固形分の濾液中の分散固体の重量濃度は高固形分の濾液の全重量を基準として約5重量%〜約50重量%であり、遠心分離器ケーキは液体及び分散固体を含み、遠心分離器ケーキ中の分散固体の重量濃度は遠心分離器ケーキの全重量を基準として50重量%より大きい。次に、高固形分の濾液中の分散固体及び液体を、フィルターカラム内において少なくとも部分的に分離して、液体を含むフィルターカラム濾液及び分散固体を含むフィルターカラムケーキを形成する(ここで、フィルターカラムケーキはフィルターカラム濾液のものよりも大きい分散固体の重量濃度を有する)。
【0021】
[0021]任意の上記記載の態様を用いて、オルトキシレン、メタキシレン、及び/又はエチルベンゼンを含むC芳香族炭化水素の混合物からパラキシレン(固体形態に結晶化することができる)を分離及び精製することができる。上記の概要から明らかなように、開示する方法は単にキシレン異性体からのパラキシレンの精製に限定されず、分子状酸素が望ましくないプロセス汚染物質と考えられる任意の固液分離プロセスに適用することもできる。
【0022】
[0022]本発明の更なる特徴は、図面、実施例、及び特許請求の範囲と合わせて以下の詳細な記載を検討することによって当業者に明らかになる。
[0023]本発明のより完全な理解のためには、以下の詳細な記載及び添付の図面を参照しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】[0024]図1は、2つのリスラリー段階及びフィルターカラムを用いて固体(結晶)生成物成分を回収する結晶化/リスラリープロセスを示すプロセスフロー図である。
【図2】[0025]図2は、任意の数のリスラリー段階及びフィルターカラムを用いて固体(結晶)生成物成分を回収する結晶化/リスラリープロセスを示すプロセスフロー図である。
【図3】[0026]図3は、固体(結晶)生成物成分を回収するための結晶化器及びフィルターカラムの直列配列を示すプロセスフロー図である。
【図4】[0027]図4は、遠心分離器濾液から固体(結晶)生成物成分を回収するための遠心分離器及びフィルターカラムの直列配列を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0028]開示するプロセスは種々の形態の態様が可能であるが、開示は例示することを意図するものであり、本発明をここに記載され示されている特定の態様に限定することは意図しないという理解の下で、本発明の特定の態様を図面において示し、以下に記載する。
【0025】
[0029]ここで、分子状酸素(O)の存在がプロセス効率、安全性、及び/又は生成物収率に悪影響を与える可能性があるプロセス中への分子状酸素の侵入を望ましく防ぐ条件下で固液スラリーから固体を分離することができる方法を一般的に開示する。したがって、本発明方法の代表的な一般的態様においては、パラキシレン及び分子状酸素を、これと他のキシレン異性体を含むスラリーから、プロセス中への分子状酸素の侵入を防ぐ条件下において分離する。好ましくは、パラキシレン及び分子状酸素を、フィルターカラム内において、プロセス中への分子状酸素の侵入を防ぐ条件下でスラリーから分離して、パラキシレンを含むフィルターケーキを形成し、且つパラキシレンが少ない生成物を含む液体生成物成分を含む濾液を形成する。
【0026】
[0030]他の代表的な一般的態様においては、本方法は、パラキシレンを、これと他のキシレン異性体を含むスラリーから、分離プロセス中への分子状酸素の侵入を防ぐ条件下において精製してパラキシレンが少ない生成物を形成し、パラキシレンが減少した分離の生成物を異性化することを含む分離方法である。好ましくは、パラキシレンを、フィルターカラム内において、分離プロセス中への分子状酸素の侵入を防ぐ条件下でスラリーから精製して、パラキシレンを含むフィルターケーキ、及びパラキシレンが少ない生成物を含む液体生成物成分を含む濾液を形成する。
【0027】
[0031]これらの代表的な一般的態様によれば、濾液は置換流体を更に含む可能性がある。好ましくは、フィルターケーキ及び濾液置換流体の少なくとも1つは、プロセスに導入された分子状酸素の少なくとも一部を含む。ここで用いる「プロセスに導入された分子状酸素の少なくとも一部」とは、プロセスに導入された分子状酸素の少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約45%、より好ましくは少なくとも約50%を意味する。更に、フィルターケーキ及び濾液置換流体の少なくとも1つは、好ましくはプロセスに導入された分子状酸素の実質的に全部を含む。ここで用いる「プロセスに導入された分子状酸素の実質的に全部」とは、プロセスに導入された分子状酸素の少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%を意味する。
【0028】
[0032]種々の他の態様の中で、フィルターカラムを用いて、分子状酸素がプロセス流に侵入しないことを確保するように規定された条件下で、例えば溶融結晶化精製プロセスにおける固液スラリーから固体を分離することを含む方法をここで開示する。このプロセスは、下記に一般的に記載する幾つかの単位操作を用いる。1つのかかる態様は、フィルターカラム濾液中への分子状酸素の侵入を制限するようにフィルターカラムを運転することを含む。本発明の他の態様は、結晶化/リスラリープロセスと組み合わせてフィルターカラムを用いることを含み、特定の態様は、結晶化器とフィルターカラム、或いはリスラリードラムとびフィルターカラムを含む部分的組合せに関する。更なる態様は、直列配列の複数の結晶化器と組合せて複数のフィルターカラムを用いることを含む。他の態様は、遠心分離器と組み合わせてフィルターカラムを用いて、遠心分離器を通過して遠心分離器濾液中に導入される残留固体を回収することを含む。試験及びシミュレーションのデータは、本発明によるフィルターカラムを用いるプロセスは、分子状酸素のプロセス中への侵入を制限し、プロセス効率を更に向上させるのに有効であることを示す。
【0029】
[0033]本発明の1つの好ましい態様は、プロセスフロー流(例えば固体生成物の精製に関与する単位操作から排出される1以上の流れ)の中への分子状酸素の侵入を減少させるか又は防ぐ処理条件下においてスラリーから固体生成物を精製する方法を含む。この態様の例として、この方法には、まず、分離する成分、置換流体、及び場合によってはフラッシュ流体を含む固液スラリーをフィルターカラムに供給する(これらの3つのフロー流の全ては分子状酸素を実質的に含まない)ことを含ませることができる。
【0030】
[0034]固液スラリー供給流は、フィルターカラムによって分離/回収された生成物成分固体、及びスラリー供給流から除去された液体第2成分を含む。開示する精製方法は、液体第2成分と共にスラリー中に分散している生成物成分固体を分離するのに好適である。結晶化及び/又はリスラリー工程と関連して精製プロセスを行う場合には、分離する2つの成分は融点差を有し、生成物成分固体は、液相生成物成分の結晶化によって上流の結晶化/リスラリー工程において形成された生成物成分結晶であってよい。好ましい態様においては、開示する方法(下記に記載するものを含む)を用いて、他の炭化水素からパラキシレンを分離及び精製し、生成物成分(液体又は固体/結晶形態のいずれか)はしたがって好ましくはパラキシレンを含む。同様に、液体第2成分は、好ましくはオルトキシレン、メタキシレン、及び/又はエチルベンゼンを含む。本明細書においては、液体第2成分は単数の「成分」で示すが、開示する方法を用いて特定の生成物成分から分離することができる単一の化合物又は複数の化合物の集合体のいずれかを指すことができる。
【0031】
[0035]フィルターカラムは、懸濁液を濃縮するための固液分離装置である。好適なフィルターカラムの例は、米国特許出願公開2005/0056599及び2007/0225539(ここに、これらの開示事項は参照として本明細書中に包含される)において開示されている。好適なフィルターカラムは、特定の外径を有し、中空シリンダー内で軸方向に伸長する1以上のチューブを含む中空シリンダーを含む。それぞれのチューブの壁部は、チューブの内部と中空シリンダーの内部との間の唯一の直接接続を形成する少なくとも1つのフィルターを含む。フィルターカラムは、フィルターカラムの第1の端部中に懸濁液を送ることによって固液懸濁液(例えば母液中に懸濁している固体生成物成分)中の液体から固体を分離する。置換流体(例えば懸濁液と非混和性の気体又は液体)によってフィルターカラムの第2の端部に背圧を加えて、フィルターを通して懸濁液の一部をチューブの内部中に送ってフィルターカラムチューブから濾液(例えば母液)として排出し、それによって中空シリンダー中及びチューブの周囲に固体の濃縮懸濁液(例えば床)を形成する。例えば少量の懸濁液(例えば母液)及び/又は置換流体を含む濃縮生成物ケーキの形態の固体の濃縮懸濁液を、生成物オーバーフローシュートによってフィルターカラムの第2の端部から排出する。
【0032】
[0036]場合によっては、フラッシュ流体を生成物シュートに供給して、生成物シュートから障害物を除去する。好ましくは、フラッシュ流体を用いる場合には、生成物シュートは、例えばフラッシュ流体が再循環懸濁液(母液)及び/又は液体生成物成分を含む場合にはリスラリー区域貯留槽も含む。フィルターカラムのこのリスラリーの態様においては、リスラリー区域貯留槽は別のリスラリードラムの機能を果たす(下記参照)。リスラリードラムと同様に、液体第2成分及び非結晶化液体生成物成分の一部を含む液体中に分散されている生成物成分結晶を有するスラリー流出流が、リスラリーフィルターカラムの第1の端部の出口を通してリスラリーフィルターカラムから排出される。リスラリー区域貯留槽を備えたフィルターカラムは、小型であり、プロセス装置の部品数を減少し、更にユニットを床上に(即ち、そのフィルターケーキを移送するために重力に頼っており、架上設置しなければならない遠心分離器と対比して)配置することができるので、これを用いることは好ましい構成である。ここで用いる「フィルターカラム」という用語は、上記に記載の一般的な態様、並びにリスラリー区域貯留槽及びフラッシュ流体を更に含む態様の両方を指す。
【0033】
[0037]一般に、置換流体としては、それぞれが好ましくは生成物成分に対して不活性、非混和性、及び/又は不溶である気体及び/又は液体を挙げることができる(例えば、生成物成分固体/結晶は置換流体中に不溶で、液体生成物/第2成分は置換流体と非混和性である)。生成物成分がパラキシレンを含む場合には、置換流体は分子状酸素(例えば、液体置換流体中の溶解O、気体置換流体中の気体状O)を実質的に含まない。生成物成分がパラキシレンを含む場合には、置換流体は、好ましくは、窒素、二酸化炭素、水素、メタン、エタン、天然ガス、1種類以上の希ガス(例えば、ヘリウム、キセノン、アルゴン、ネオン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される気体である。窒素が特に好ましい置換流体である。窒素ガスは、供給流中に存在する酸素を除去し、濾液が供給流中のものよりも少ない酸素を含むことを望ましく確保するのに有効である。窒素ガスを再循環する限りにおいては、この再循環流中に存在する酸素は再循環窒素ガスを再使用する前に除去することができるが、この手順に関係する更なるコストがかかる。
【0034】
[0038]スラリー供給流、置換流体、及び(場合によっては)フラッシュ流体がフィルターカラム中に導入されたら、フィルターカラム内において、スラリーの生成物成分固体及び液体第2成分を分離して濾液及びフィルターケーキを形成する。濾液は液体第2成分及び置換流体を含み、これは低い残留量の生成物成分(例えば、元々はスラリー供給流中の液体生成物成分、及び/又はフィルターカラムフィルターを通って通過することができる微細生成物成分固体)を更に含む可能性がある。フィルターケーキは、主として生成物成分固体から構成されるが、一般にはフィルターを通して濾液中に通過しない液体第2成分の残留部分も含む。パラキシレン精製プロセスにおいては、フィルターケーキは一般に約15重量%〜約20重量%のケーキ湿分を有し、これはフィルターケーキが約80重量%〜約85重量%の固体パラキシレン結晶、及び約15重量%〜約20重量%の液体形態の混合C炭化水素を含むことを意味する。
【0035】
[0039]このようにしてフィルターカラムを運転することによって、プロセスフロー流(例えばフィルターカラム濾液)中に分子状酸素が存在しない(又は導入されることを防ぐ)ことに関連するプロセスの有利性を与えることができることが見出された。ここで開示するプロセス条件にしたがって運転されるフィルターカラムによって、濾液の分子状酸素含量が最小になり、異性化ユニット(反応器)内の望ましくないコーキング及び閉塞の防止が促進されることが見出された。他の固液分離器(例えば幾つかの遠心分離器)とは異なり、ここに示すプロセス条件にしたがって運転されるフィルターカラムによって、濾液の分子状酸素濃度がスラリー供給流の分子状酸素濃度以下となるのが確保される。したがって、濾液の分子状酸素含量を最小にするためには、フィルターカラムを少なくとも雰囲気圧力、好ましくは雰囲気圧力よりも高い圧力(例えば約2psig〜約30psig)の圧力において運転しなければならない。非常に好ましい運転においては、フィルターカラムを、雰囲気圧力よりも少なくとも約0.5psi高く(即ち少なくとも約0.5psig)、更により好ましくは雰囲気圧力よりも少なくとも約1.5psi高く、更により好ましくは雰囲気圧力よりも少なくとも約3psi高く、更により好ましくは雰囲気圧力よりも少なくとも約5psi高く、更により好ましくは雰囲気圧力よりも少なくとも約10psi高く、更により好ましくは雰囲気圧力よりも少なくとも約15psi高い昇圧において運転する。フィルターカラムを運転するのに非常に好ましい圧力範囲は、雰囲気圧力よりも約1.5psi〜約3psi高い値(即ち約0.5psig〜約3psig)である。雰囲気圧力よりも高い圧力が分子状酸素の侵入を無くすことを確保するために必要な条件であるが、雰囲気圧力よりもはるかに高い圧力は、プロセスの運転費用を、プロセスの経済的な利益が損なわれる可能性があるレベルに不必要に上昇させる。更に、分離を行うために用いる容器は、運転可能な圧力に対する上限(殆どの場合にはこれに接近することはないが、それでも好適である)を有効に設定する上限圧力定格を有している。したがって、ここで示す知見によって可能になる多くの利益を享受するためには圧力の密な観察を維持しなければならない。
【0036】
[0040]ここで分離工程運転圧力(又は上述のパラグラフで記載したフィルターカラム圧力)とは、分離ユニットの種々の部分(内部、供給流入口、及び出口)を運転することができる複数の圧力の最も低いものを指す。例えば、分離ユニットがフィルターカラムである場合には、カラムは等圧でなく、その実際の運転は圧力勾配に基づくと理解される。圧力は、通常は勾配を示すためにカラム内において3箇所で測定する。スラリー供給流の圧力は、3つの中で最も高い圧力である。3つの圧力の2番目に高いものは、置換流体の入口圧力である。3つの圧力の最も低いものは、置換流体及び濾液がカラムから排出される位置における圧力である。カラム内の全ての位置における圧力は、これらの圧力の最高値と最低値との間である。したがって、置換流体及び濾液がカラムから排出される位置における圧力が大気(雰囲気)圧よりも高い限りは、カラム内のその他の全ての位置の圧力は大気(雰囲気)圧よりも高いと考えることができる。更に、カラム(分離ユニット)内の圧力が大気(雰囲気)圧よりも高い限りは、分子状酸素の侵入を防ぐことができる。
【0037】
[0041]一般に、分離ユニットから排出される生成物が少ない(例えばパラキシレンが少ない)流れの中に存在する分子状酸素の量は、供給流によってユニットに導入され、置換流体によってユニット内で除去される酸素の量に関係する。フィルターカラムへの供給流は、分子状酸素を実質的に含まないものでなければならない。ここで開示するプロセス条件にしたがうと、フィルターカラムは雰囲気圧よりも高い圧力において運転され、可動部品を有しない。本明細書において用いる場合には、流れは、濾液(具体的にはその液体第2成分)に移った際に下流の単位操作(例えば異性化ユニット、又は異性化ユニットと分離ユニットとの間に配置されている熱交換器)の性能に悪影響を与える量の分子状酸素(例えば、液体流中の溶解O、気体流中の気体状O)を含まないならば、分子状酸素を実質的に含まない。例えば、フィルターカラム供給流のそれぞれは、好ましくは流れの全重量を基準として約5重量ppm以下(より好ましくは約2ppm以下、更により好ましくは約1ppm以下)の分子状酸素を含み、個々の流れは分子状酸素を全く含まないものにすることができる。このように運転すると、フィルターカラムによって、分子状酸素が雰囲気空気から単位操作に侵入してその中を流れるプロセス流中に混入することが阻止される。したがって、フィルターカラム濾液の分子状酸素濃度は、好ましくは、フィルターカラム濾液の全重量を基準として約2重量ppm以下(より好ましくは約0.7重量ppm以下、更により好ましくは約0.4重量ppm以下)である。
【0038】
[0042]上述したように、分子状酸素の低いレベルは、濾液(具体的にはその液体第2成分)を化学反応器に供給して、例えばオルトキシレン、メタキシレン、及びエチルベンゼンをパラキシレンに転化させる接触異性化ユニット(下記により詳細に説明する)内において液体第2成分を転化させて生成物成分を製造する際に特に有益である。異性化ユニット供給流中の分子状酸素は、接触反応器及び/又は反応器のプレヒーターのコーキング及び閉塞を引き起こす汚染物質である。例えば、W. T. Koetsier及びJ. van Leenen, "Oxygen Induced Fouling in a Xylene Isomerization Reactor Bed", Catalyst Deactivation, 1987 (G. Delmon及びG. F. Froment編)を参照。
【0039】
[0043]図1は、結晶化段階105、次に第1のリスラリー段階125及び第2のリスラリー段階145を、少なくとも1つのフィルターカラムと関連させて用いて、液体多成分供給流から固体(結晶)生成物成分(この固体生成物成分はその後に溶融させて、実質的に純粋な液体生成物成分を形成することができる)を回収する結晶化/リスラリープロセス100を示す。結晶化段階105は、結晶化器110及び分離ユニット120を含む。結晶化段階105の後に、リスラリードラム130及び分離ユニット140を含む第1のリスラリー段階125が配される。第1のリスラリー段階125の後に、リスラリードラム150及び分離ユニット160を含む第2(又は「生成物」若しくは「最終」)リスラリー段階145が配される。
【0040】
[0044]同様に、結晶化/リスラリープロセス100は、結晶化器110(第1の分離/リスラリー段階に供給する)がまず配され、分離ユニット160(最終分離/リスラリー段階からの生成物流出流を精製する)が続く直列の1以上の分離/リスラリー段階として考えることができる。これは、図1において2つの分離/リスラリー段階115及び135によって示されるが、一般的な結晶化/リスラリープロセス100は、単一の分離/リスラリー段階のみ、又は2より多い分離/リスラリー段階を有することができる。分離/リスラリー段階115は分離ユニット120及びリスラリードラム130を含み、その後に直列に、分離ユニット140及びリスラリードラム150を含む分離/リスラリー段階135が配される。
【0041】
[0045]結晶化容器(結晶化器)によって、少なくとも2種類の混和性成分を有する上流の液体供給流を冷却して液体供給成分の1つを回収する。溶融結晶化精製プロセスの好適な例が、米国特許3,177,265(ここに、その開示事項は参照として本明細書中に包含する)において開示されている。液体供給流は、供給流から分離される液体生成物成分、及び望ましくは液体生成物成分と共には回収されない液体第2成分を含み、結晶化器の入口に供給する。液体生成物成分は、液体第2成分の融点よりも高い融点を有する。結晶化器によって、液体供給流を、液体生成物成分の少なくとも一部を結晶化させるのに十分な温度に冷却する。特定の液体供給流に関しては、供給系の共晶温度によって温度が制限される可能性がある。したがって、結晶化器は、好ましくは、生成物及び第2成分の混合物によって規定される共晶温度より高い温度で運転して、生成物成分と一緒に第2成分が共結晶化するのを回避する。結晶化器は、好ましくは、液体供給流中の液体生成物成分の相当部分を結晶化させるのに十分な容量/滞留時間を有する。スラリー(即ち固液懸濁液)流出流が、出口を通って結晶化器から排出される。スラリー流出流は、主として液体第2成分を含む液体中に分散している実質的に純粋な生成物成分結晶を有するが、結晶化していない液体生成物成分の一部も含む可能性がある。
【0042】
[0046]リスラリードラムによって、上流の生成物成分結晶のフィルターケーキを、更なる(液体)生成物成分を含む通常はより温かい希釈液流と平衡化して、下流の処理のために好適なスラリーを与える。好適なリスラリードラムが、米国特許6,565,653(ここに、その開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されている。生成物成分結晶の固体ケーキ、並びに及び液体生成物及び第2成分の両方を含む液体希釈液を、好適なリスラリードラムの入口に供給する。固体ケーキ及び液体希釈液は、リスラリードラムに別々に(即ち、2つの異なる供給ラインを通して)加えることができ、或いはリスラリードラムの上流で混合して、単一の供給ラインを通してそれに加えることができる。リスラリードラムは生成物成分結晶を含む貯留槽であり、貯留槽内で生成物成分結晶を液体生成物成分と平衡化するのに十分な容積/滞留時間を有する。リスラリードラムの内容物は、好ましくは平衡化させながら攪拌する。スラリー(即ち固液懸濁液)流出流を、出口を通してリスラリードラムから排出する。スラリー流出流は、液体第2成分及び結晶化していない液体生成物成分の一部を含む液体中に分散している生成物成分結晶を有する。
【0043】
[0047]一般に、個々の分離ユニットは、フィルターカラム、洗浄カラム、又は遠心分離器(ここで記載する)、或いは当該技術において公知の任意の他のタイプの固液分離器であってよい。本発明による幾つかの態様においては、分離ユニットの少なくとも1つはフィルターカラムであり、好ましくはフィルターカラムを少なくとも1つの非生成物(又は非最終)リスラリー段階において用いる。例えば、図1に示す態様においては、分離ユニット120、140、及び160の少なくとも1つはフィルターカラムであり、好ましくはフィルターカラムを分離ユニット120及び140のいずれか又は両方として用いる。これに対して、分離ユニット160は好ましくは非フィルターカラム、例えば洗浄カラム又は遠心分離器である。
【0044】
[0048]フィルターカラムは、それらが与える種々のプロセス効率に基づいて好ましい上流(即ち非生成物段階)分離ユニットである。例えば、遠心分離器と比べて、フィルターカラムは回転部品を有さず(したがって構造及びメンテナンスが簡単になる)、これらはプロセス流体に対して与える機械的エネルギーがより小さく(例えば遠心分離器ケーキにおける生成物結晶の溶融による冷却コスト及び生成物損失が減少する)、これらは濾液内のより低い固体含量に基づいて遠心分離器よりもより高い回収率を有する。更に、フィルターカラムは、置換流体の量を変化させることによってフィルターケーキの湿分を容易に調節することができ、これらを用いて、遠心分離器をフィルターカラムに置き換えることによって、より空間的に小さなプロセスを形成し、及び/又は既存のプロセスの容量を増加させることができる。また、ここで開示する特定の運転条件下においては、フィルターカラムによって酸素のプロセス流中への侵入が排除される。洗浄カラムと比べると、洗浄カラムは一般に、回転部品を有するか、或いは洗浄カラムの単位容量あたりの比較的低い処理量という代償の下に回転部品を除いているかのいずれかであるので、回転部品が存在しないことも有利である。更に、フィルターカラムは、同等の条件においてより高い処理量を有し、洗浄カラムよりも幅広い温度範囲にわたって運転される。
【0045】
[0049]一方で、非フィルターカラムは、プロセスの生成物段階における分離ユニットとして用いるのに好ましい。通常は、洗浄カラム及び遠心分離器はフィルターカラムと比べてより高い純度の生成物流を与え、したがって生成物流は下流の貯蔵又は使用の前により少ない更なる処理しか必要としない。フィルターカラムによって、一般に分離ユニットに導入される生成物成分結晶のより大きなフラクションがその生成物流中に回収されるが、フィルターカラムによって、通常は液体第2成分のより大きな部分もその生成物流中に回収される。
【0046】
[0050]洗浄カラム(又は水圧洗浄カラム)は、懸濁液を濃縮するための固液分離装置である。好適な洗浄カラムの例が、米国特許4,734,102及び4,735,781(ここに、これらの開示事項は参照として本明細書中に包含する)において開示されている。洗浄カラムは、特定の外径を有し、中空シリンダー内で軸方向に伸長する1以上のチューブを含む中空シリンダーを含む。それぞれのチューブの壁部は、チューブの内部と中空シリンダーの内部との間の唯一の直接接続を形成する少なくとも1つのフィルターを含む。洗浄カラムにより、懸濁液を洗浄カラムの第1の端部中に、そして洗浄液を洗浄カラムの第2の端部中に懸濁液に対して対向流で送ることによって、固液懸濁液(例えば母液中に懸濁している固体生成物成分)中の液体から固体が分離され、これにより中空シリンダー内でチューブの周囲に床が形成される。懸濁液からの濾液(例えば母液)は、フィルターチューブのフィルターを通してチューブの内部中に排出され、次に洗浄カラムから(例えば洗浄カラムの第1の端部から)排出される。生成物成分固体の濃縮懸濁液が、洗浄カラムの第2の端部から排出される。洗浄カラムの第2の端部において導入される洗浄液によって固体の濃縮懸濁液がリスラリーされ、これによって回収された固体の一部を溶解することができる。溶融結晶化プロセスから誘導される懸濁液を分離/精製するために洗浄カラムを用いる場合には、洗浄液は懸濁液からの溶融結晶生成物を含む。
【0047】
[0051]固液分離器として用いるのに好適な遠心分離器は特に限定されず、例えば濾過遠心分離器、及び特にスクリーンボウル、ソリッドボウル、及び/又はプッシャー遠心分離器のような当該技術において一般的に知られているものが挙げられる。好適な遠心分離器は、一般に、分離する固液懸濁液(例えば、母液中に懸濁している固体生成物成分)のための入口、濃縮された固体懸濁液(例えば生成物フィルターケーキ)のための第1の出口、及び入口懸濁液から濾過された液体(例えば母液)のための第2の出口を含む。幾つかの態様(例えばスクリーンボウル遠心分離器を用いる場合)においては、遠心分離器は入口懸濁液から濾過した液体のための第3の出口を含み、第2及び第3の出口流は、それぞれの中に含まれる固体(例えば残留する回収されなかった生成物成分)の相対量において異なる。かかる態様においては、第2の出口流は低固形分の濾液流であってよく、第3の出口流は高固形分の濾液流であってよい。
【0048】
[0052]図1に示す態様においては、生成物成分の精製及び回収プロセスは、結晶化器110へ液体供給流204を供給することによって開始する。上記に記載のように、供給流204は液体生成物成分及び液体第2成分を含み、液体生成物成分は液体第2成分のものよりも高い融点を有する。供給流204は一般に液体生成物第2成分の間の任意の所望の分布を有していてよいが、パラキシレンの精製のために好ましい供給流204は、約10重量%〜約30重量%(より好ましくは約15重量%〜約25重量%)のパラキシレンを含む。結晶化器110は、液体供給流204から液体生成物成分の少なくとも一部を結晶化して、生成物成分結晶及び液体第2成分の両方を含むスラリー流出流208を形成するのに十分な温度において運転する。例えば、供給流204が約22重量%〜約23重量%のパラキシレンを含む場合には、雰囲気圧力において好適な結晶化温度は、約−89°F(−67℃)であるか、或いは約−91°F(−68℃)の2元共晶温度よりも約2°F(1.1℃)温かい温度である。結晶化温度は、一般に供給流204に再循環される流れの中に存在するパラキシレンの量によって変化する。連続パラキシレン精製プロセスにおいては、結晶化器110内の滞留時間は、好ましくは供給流204中の液体生成物成分の相当部分、例えば供給流204中の液体生成物成分の少なくとも約50重量%(より好ましくは少なくとも約70重量%)を結晶化させるのに十分なものである。
【0049】
[0053]スラリー流出流208は次に、好ましい態様においてはフィルターカラムであるが、洗浄カラム又は遠心分離器であってもよい分離ユニット120に供給する。フィルターカラム120によって、スラリー流出流208の生成物成分結晶及び液体第2成分を少なくとも部分的に分離して、フィルターケーキ212及び濾液216を形成する。フィルターケーキ212は、主として生成物成分結晶の固体ケーキである。好ましくは、スラリー流出流208からの生成物成分結晶の実質的に全部がフィルターケーキ212中に回収され、フィルターケーキ212は濾液216のものよりも大きい生成物成分の重量濃度(即ち液体と固体の合計)を有する。フィルターケーキ212はまた、一般に液体第2成分及び液体生成物成分の両方を含む少量の液体も含む。具体的には、フィルターケーキ212は、好ましくは、任意の液体を含むフィルターケーキの全重量を基準として約50重量%〜約99重量%(より好ましくは約75重量%〜約88重量%)の生成物成分結晶を含む。濾液216は主として液体第2成分の液体流であり、好ましくはスラリー流出流208からの液体第2成分の実質的に全部が濾液216中に回収される。しかしながら、濾液216は少量の液体生成物成分及び/又は生成物成分結晶を含んでいてもよい。一般に、濾液216は廃棄流として廃棄するか、或いは好ましくは更なる処理のために再循環することができる。フィルターカラム120は、好ましくは液体生成物及び第2成分をスラリー流出流208から置換して濾液216を形成する駆動力を与える更なる置換流体供給流(図示せず)を含む。
【0050】
[0054]次に、フィルターケーキ212及びリスラリー希釈液240を、流れ220によって第1のリスラリードラム130に供給する。リスラリー希釈液240は、液体生成物成分及び液体第2成分の両方を含む液体流である。図1に示すように、フィルターケーキ212及びリスラリー希釈液240は、第1のリスラリードラム130の上流で混合して、その後に単一の流れ220によってそれに供給する。しかしながら、他の態様(図示せず)においては、フィルターケーキ212及びリスラリー希釈液240を、2つの別々の流れとして第1のリスラリードラム130に供給することができる。
【0051】
[0055]更なる態様(図示せず)においては、上流の分離ユニット120は遠心分離器であってよい。この場合には、第1のリスラリードラム130に供給する遠心分離器流出流は、フィルターケーキ212(即ち、主として生成物成分結晶の固体ケーキであり、少量の液体第2成分及び液体生成物成分を有する)と同様である。
【0052】
[0056]リスラリードラム130は、生成物成分結晶、液体生成物成分、及び液体第2成分を含む固液スラリーを含む貯留槽である。リスラリードラム130において、生成物成分結晶を、液体生成物及び第2成分と、リスラリー流出流224を形成するのに十分な時間平衡化する。平衡化によって、リスラリー流出流がフィルターケーキ212の温度と比べて加温される。連続プロセスにおいては、平衡化のための十分な滞留時間を与えるように、リスラリードラム130の容量、並びにフィルターケーキ212及びリスラリー希釈液240の供給速度を選択することができる。
【0053】
[0057]次に、リスラリー流出流224を、分離ユニット120と同じように運転する分離ユニット140に供給する。分離ユニット140は、フィルターカラム、洗浄カラム、又は遠心分離器であってよい。好ましくは、分離ユニット140はフィルターカラムである。フィルターカラム120と同じようにフィルターカラム140を運転して、フィルターケーキ212と同様の内容物を有するフィルターケーキ228、並びに液体生成物成分及び液体第2成分の両方を含む濾液232を形成する。濾液232は廃棄流として廃棄することができるが、好ましくは更なる処理のために再循環する。図1に示すように、濾液232の一部236をリスラリー希釈液240としてリスラリードラム130に再循環し(この場合には、濾液232は少なくとも若干の液体生成物成分を含む)、濾液232の一部244を液体供給流204への添加流として結晶化器110へ再循環する。リスラリー希釈液240は、リスラリードラム130中の固液スラリーの得られる温度が所望の値に調節されるように入熱が選択されるという条件で希釈液ヒーター242を用いて加熱することができる。
【0054】
[0058]次に、フィルターケーキ228及びリスラリー希釈液272を、流れ248によって第2のリスラリードラム150に供給する。第1のリスラリードラム130と同じように第2のリスラリードラム150を運転して、生成物成分結晶、液体生成物成分、及び液体第2成分を含むリスラリー流出流252を形成する。
【0055】
[0059]図1に示されている態様においては、次にリスラリー流出流252を最終分離ユニット160に供給する。最終分離ユニット160は、好ましくはフィルターカラム以外の固液分離器、例えば洗浄カラム又は遠心分離器である。分離ユニット160は、第1の産出流として濾液268(他の上流の濾液216及び232と同様)を含む。濾液268は液体生成物成分及び液体第2成分の両方を含む液体流であるが、少量の生成物成分結晶を含んでいてもよい。濾液268は廃棄流として廃棄することができるが、好ましくは更なる処理のために再循環する。図1に示すように、濾液268の一部をリスラリー希釈液272として第2のリスラリードラム150に再循環し、濾液268の一部276をリスラリー希釈液240への添加流として第1のリスラリードラム130に再循環する。リスラリー希釈液272は、リスラリードラム150中の固液スラリーの得られる温度が所望の値に調節されるように入熱が選択されるという条件で希釈液ヒーター274を用いて加熱することができる。分離ユニット160はまた生成物流256も含む。生成物流256は、主として生成物成分結晶を若干の液体生成物成分(例えば、分離ユニット160が遠心分離器である場合に形成される洗浄されたフィルターケーキ)と共に含んでいてよく、或いは生成物成分結晶及び液体生成物成分の両方(例えば分離ユニット160が洗浄カラムである場合に形成される洗浄されたスラリー産出流)の相当割合を含んでいてよい。好ましくは、ヒーター170を用いて生成物流256中の全ての残留生成物成分結晶を溶融させる。好ましくは、溶融した生成物流256の一部を洗浄液260として分離ユニット160に再循環し、一部を精製された液体生成物成分流である最終生成物流264として排出する。好ましくは、洗浄液260及び/又は最終生成物流264は、液体生成物成分を、少なくとも約99.5重量%(好ましくは少なくとも約99.7重量%、より好ましくは少なくとも約99.8重量%、例えば約99.9重量%)の重量濃度で含む。
【0056】
[0060]開示するプロセスの収率は、結晶化段階分離ユニットからの濾液を、液体第2成分の少なくとも一部を液体生成物成分(これは、次に結晶化段階105に再循環することができる)に転化させることができる化学反応器に再循環することによって増加させることができる。例えば、開示するプロセスを用いてパラキシレンを分離及び精製する場合には、好ましくは分離ユニット120からの濾液216を異性化ユニット180(即ち化学反応器)に再循環して、液体第2成分(即ち、オルトキシレン、メタキシレン、及び/又はエチルベンゼン)を液体生成物成分(即ちパラキシレン)に転化させ、それによってプロセス100全体の潜在収率を増加させる。異性化ユニット180は、一般にオルトキシレン、メタキシレン、及び/又はエチルベンゼンをパラキシレンに接触転化させるための反応器、並びにC芳香族炭化水素生成物流をより重質及びより軽質の成分から分離するための蒸留ユニットの両方を含む。異性化及び蒸留の詳細は、例えば米国特許5,284,992(ここに、その開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されているように当該技術において公知である。
【0057】
[0061]図1に示すように、パラキシレンが減少した(即ちパラキシレンが少ない)濾液216(例えば約15重量%以下のパラキシレンを含む)、及び水素供給流280を異性化ユニット180に供給する。「パラキシレンが減少した」、「パラキシレンが少ない」という形容詞、及びその変形は、単位操作を説明するのに関連して用いる場合には、その単位操作に供給する流れの中に含まれるものよりも少ないパラキシレンを含む単位操作から排出される流れを指す。異性化ユニット180内での接触反応によって、注入されるオルトキシレン、メタキシレン、及び/又はエチルベンゼンがパラキシレンに転化し、また、より重質及びより軽質の炭化水素成分も生成する。異性化ユニット180の蒸留部分において反応生成物を分離して、軽質炭化水素廃棄流288(例えばC〜C脂肪族及び芳香族炭化水素を含む)、重質炭化水素流290(例えばC並びにそれより高級の脂肪族及び芳香族炭化水素を含む)、並びに異性化体284を形成する。異性化体流284は、一般に次のC芳香族炭化水素の混合物:約20重量%〜約25重量%(例えば約22重量%)のパラキシレン;約15重量%〜約30重量%のオルトキシレン;約40重量%〜約55重量%のメタキシレン;及び約5重量%〜約15重量%のエチルベンゼン;を含む。図1に示すように、異性化体流284及び混合キシレン供給流292を混合して、結晶化段階供給流296を形成する。次に、結晶化段階供給流296及び濾液232の再循環部分244を混合して、結晶化器110への液体供給流204を形成する。
【0058】
[0062]図1に示すフィルターカラムを用いる結晶化/リスラリープロセスの記載されている態様は、結晶化段階、及びそれに連続して続く2つのリスラリー段階を含むが、開示するプロセスはこれに限定されない。図2は、結晶化段階305、並びにそれに連続して続く任意の数nの中間リスラリー段階325及び最終リスラリー段階345を含む、フィルターカラムを用いる一般的な結晶化/リスラリープロセスを示す。ゼロを含む任意の数の中間リスラリー段階325が可能であり(即ち、n≧0(ここでn=0は単一のリスラリープロセスを示す))、精製/分離段階の最小数は2(結晶化段階305の後に最終リスラリー段階345)である。リスラリー段階の数を増加させることの1つの利益は、所定の生成物純度をよりエネルギー効率よく得ることができるか、或いは同等のエネルギー投入量でより高い生成物純度を得ることができることである。リスラリー段階の数における潜在的な相違の他には、図1及び2において同じように付番されている単位操作及び流れは同様の機能を有しており、これ以上詳しくは記載しない。
【0059】
[0063]例えば、結晶化段階305において、図2の結晶化器310は図1の上記記載の結晶化器110と機能が同様であり、供給流404及びスラリー流出流408を有する。次に、スラリー流出流408を分離ユニット320(好ましくはフィルターカラム)に供給して、スラリー流出流408の生成物成分結晶及び液体第2成分を少なくとも部分的に分離してフィルターケーキ412及び濾液416を形成する。
【0060】
[0064]図2に示すように、それぞれのリスラリー段階325に関するリスラリー供給流は、前段で上流の精製又はリスラリー段階からの富化生成物流を含む。これは、以下のようにn=3のプロセスを考え、3つのリスラリー段階の中央(即ちリスラリー段階325)における種々のプロセス流を考えることによって容易に想到することができる。この中央のリスラリー段階325において、リスラリードラム330への供給流420は、上流のフィルターケーキ428からの添加流を含む。この中央のリスラリー段階325において、次にリスラリー流出流424を分離ユニット340(好ましくはフィルターカラム)に供給して、下流のフィルターケーキ428及び濾液432を形成する。より一般的に考えると、n番目のリスラリー段階325におけるリスラリードラム330への供給流420は、上流のフィルターケーキ(即ち、n=1であり、富化生成物流が結晶化段階305の産出流である場合にはフィルターケーキ412、或いはn≧2であり、富化生成物流が(n−1)番目のリスラリー段階325の産出流である場合には上流のフィルターケーキ428)からの添加流を含む。n番目のリスラリー段階325内において、次にリスラリー流出流424を分離ユニット340(好ましくはフィルターカラム)に供給して、フィルターケーキ428及び濾液432を形成する。好ましくは、それぞれのリスラリー段階に関するリスラリー希釈液は、同じリスラリー段階及びその後の下流のリスラリー段階の少なくとも1つからのリスラリー段階濾液の再循環された部分を含む。n=3であるプロセスを再び想到し、3つのリスラリー段階の中央(即ちリスラリー段階325)における種々のプロセス流を考えると、中央のリスラリー段階325において、濾液432の一部436をリスラリー希釈液440(例えばリスラリーヒーター442によって加熱する)としてリスラリードラム330に再循環する。濾液432の一部444を、第1のリスラリー段階325のリスラリードラム330に上流で再循環する。図2の例においてより一般的に考えると、n番目のリスラリー段階325において、濾液423の一部436をリスラリー希釈液440(例えばリスラリーヒーター442によって加熱する)としてリスラリードラム330に再循環し、濾液432の一部444を、結晶化器310(即ちn=1の場合)、又は(n−1)番目のリスラリー段階325のリスラリードラム330に(即ちn≧2の場合には流れ476によって)に上流で再循環する。
【0061】
[0065]最終リスラリー段階345においては、前段の中間リスラリー段階325からのフィルターケーキ428及びリスラリー希釈液472を、流れ448によってリスラリードラム350に供給する。次に、リスラリードラム350からのリスラリー流出流452を分離ユニット360(好ましくは洗浄カラム又は遠心分離器)に供給して、生成物流456及び濾液448を形成する。好ましくは、濾液468の一部をリスラリー希釈液472(例えばリスラリーヒーター474によって加熱する)としてリスラリードラム350に再循環し、濾液468の一部476をリスラリー希釈液440への添加流として前段の中間リスラリー段階325に上流で再循環する。好ましくは、ヒーター370を用いて生成物流456中の残留生成物成分結晶を溶融する。好ましくは、溶融生成物流456の一部を洗浄液460として分離ユニット360に再循環し、一部を精製された液体生成物成分流である最終生成物流464として排出する。
【0062】
[0066]図3は、多段階結晶化プロセス500を含む本発明の更なる態様を示す。このプロセス500は、連続配列の少なくとも2つの結晶化段階、例えば、液体多成分供給流から固体(結晶)生成物成分を回収するため(例えばオルトキシレン、メタキシレン、及び/又はエチルベンゼンからパラキシレンを分離及び精製するため)のフィルターカラムに関連する第1の結晶化段階505及びそれに続く第2の結晶化段階525を含む。第1の結晶化段階505は結晶化器510及び分離ユニット520を含む。同様に、第2の結晶化段階525は結晶化器530及び分離ユニット540を含む。分離ユニット520及び540の少なくとも1つはフィルターカラムである。他のものはフィルターカラムであってよく、或いは洗浄カラム又は遠心分離器のようなフィルターカラム以外のものであってもよい。
【0063】
[0067]図1の態様と同様に、生成物成分の精製及び回収プロセスは、液体供給流604を結晶化器510に供給することによって開始する。液体供給流604は液体生成物成分及び液体第2成分を含み、液体生成物成分は液体第2成分のものよりも高い融点を有する。結晶化器110と同様に、結晶化器510は、液体供給流604から液体生成物成分の少なくとも一部を結晶化して、生成物成分結晶及び液体第2成分の両方を含むスラリー流出流608を形成するのに十分な温度において運転する。
【0064】
[0068]次に、スラリー流出流608をフィルターカラム520に供給し、スラリー流出流608の生成物成分結晶及び液体第2成分を少なくとも部分的に分離してフィルターケーキ612及び濾液616を形成する。フィルターケーキ612は、主として生成物成分結晶の固体ケーキである。好ましくは、スラリー流出流608からの生成物成分結晶の実質的に全部がフィルターケーキ612中に回収され、フィルターケーキ612は濾液616のものよりも大きい生成物成分(即ち液体及び固体を含む)の重量濃度を有する。フィルターケーキ612は、プロセス500から生成物流として排出するか、又は所望の場合には更に精製することができる。濾液616は主として液体第2成分の液体流であり、好ましくはスラリー流出流608からの液体第2成分の実質的に全部が濾液616中に回収される。しかしながら、濾液616は液体生成物成分及び/又は生成物成分結晶を含んでいてもよい。
【0065】
[0069]第2の結晶化段階525(及び任意の他のその後の結晶化段階)において、液体供給流は、前段で上流の結晶化段階からの濾液を含む。したがって、示すように、濾液616を結晶化器530に供給してスラリー流出流620を形成し、これをフィルターカラム540内でフィルターケーキ624及び濾液628に分離する。
【0066】
[0070]連続配列の結晶化器(又は上記に記載の結晶化/リスラリーの態様)において遠心分離器に代えてフィルターカラムを用いることの利益は、フィルターカラムによって遠心分離器よりも相当に少ないエネルギー(熱)が濾液に加えられることである。具体的には、分離中の遠心分離器の機械的作用によって生成物成分結晶に熱エネルギーが与えられて結晶の一部が溶融し、これにより遠心分離器フィルターケーキ中の生成物成分結晶の回収収率が減少する。これに対して、フィルターカラムの通常の運転中においては、熱は僅か乃至全く生成せず、これにより溶融損失が妨げられ、生成物成分結晶の回収収率が向上する。更に、上記で詳細に説明したように、パラキシレン製造プロセスにおいてここで開示する条件下で運転する特定の分離工程(例えばフィルターカラムを用いる)によって、分子状酸素の種々のプロセス流中への侵入が望ましく制限される。
【0067】
[0071]図4は、多段階固液分離プロセス700を含む本発明の更なる態様を示す。このプロセス700は、遠心分離器710、及びそれに連続して続くフィルターカラム720の配列を含む。この更なる態様においては、フィルターカラム720によって、そうでなければ遠心分離器濾液流中に損失する可能性がある固体の回収率を上昇させることができる。
【0068】
[0072]図4においては、液体及び分散固体を含むスラリー供給流804を遠心分離器710(例えばスクリーンボウル遠心分離器)に供給する。遠心分離器710によって、スラリー供給流804の成分を少なくとも部分的に分離して、次の3つの産出流:液体、及び50重量%より多い分散固体を含む遠心分離器ケーキ808、約5重量%以下の分散固体を含む低固形分濾液812、並びに液体、及び約5重量%〜約50重量%(例えば少なくとも約10重量%)の分散固体を含む高固形分濾液816;を形成する。高固形分濾液816は次にフィルターカラム720に供給して、分散固体を含むフィルターカラムケーキ820、及び液体を含むフィルターカラム濾液824を形成する。フィルターカラムケーキ820は、フィルターカラム濾液824のものよりも大きい分散固体の重量濃度を有する。
【0069】
[0073]一般に、遠心分離器ケーキ808及びフィルターカラムケーキ820は、生成物流として排出して、更なる処理(例えば精製、溶融、貯蔵)のために送ることができる。低固形分濾液812及びフィルターカラム濾液824は、廃棄流として廃棄するか、又は更に処理することができる。例えば、パラキシレンを分離及び精製するためのプロセス(即ち、分散固体はパラキシレン結晶であり、液体は液体パラキシレンを含むC炭化水素の混合物である)に図4の態様を適用する場合には、パラキシレンが比較的少ない濾液812及び824を異性化ユニットに送って更なるパラキシレンを生成させ、次に(例えば上記に示すような)分離/精製プロセスに再循環することができる。
【0070】
[0074]このプロセスを行うのに必要な好適な処理装置及び制御機構と当業者に理解されているものが、開示するプロセス(及びその種々の態様)に包含される。かかる処理装置としては、適当な配管、バルブ、単位操作装置(例えば、適当な入口及び出口を有する反応容器、熱交換器、分離ユニット等)、関連するプロセス制御装置、及び品質制御装置が挙げられるが、これらに限定されない。更に、当業者であれば、ここで記載する主単位操作、例えば図1においては以下のもの:分離ユニット120、140、及び160;ヒーター170,242、及び274;並びにリスラリードラム130及び150;を、平行して同様の装置を用いて実施することができることを容易に理解する。他の処理装置は、特に好ましい場合にここに示す。
【実施例】
【0071】
[0075]本発明を例示するために以下の実施例を与えるが、これらはその範囲を限定することを意図しない。
実施例1:
[0076]異なる固液分離器のスラリー供給流及び濾液液体第2成分出口流について試験を行い、分離器プロセス流の分子状酸素含量に対する分離器の影響を評価した。酸素の測定は、20.9%の酸素含量を有する空気を用いて較正したORBISPHEREモデル2611E酸素分析器(Hach Ultra, Geneva, Switzerlandから入手できる)を用いて行った。全ての試験において、酸素測定の前に試料を25℃に加温し、封入試料システム(即ち、雰囲気酸素から完全に離隔している)を用いた。
【0072】
[0077]置換流体として窒素を用い、パラキシレン精製プロセスにおける第1段階分離ユニット(即ち、図1における分離ユニット120と同様)として運転するフィルターカラムを試験した。約1日間にわたってフィルターカラムのスラリー供給流及び濾液を分子状酸素含量に関して分析した。試験時間にわたって、データ(表1に要約する)は、フィルターカラム中への酸素の侵入がなかったことを示す。このデータは、フィルターカラムによって供給流中に存在していた酸素の一部が除去されたので、フィルターカラム濾液の液体第2成分は供給流よりも低い酸素レベルを有していたことを示す。具体的には、供給流は約1.5重量ppmの酸素を含んでおり、一方、濾液の液体第2成分は約0.4ppm未満の酸素を含んでいた。濾液の液体第2成分の比較的低い酸素含量により、濾液の液体第2成分は更なるパラキシレン製造のための異性化ユニットへ再循環するのに特に好適である。フィルターカラムの圧力測定値をpsigの単位で記録し、それによって大気/雰囲気圧を記録する必要性が除かれた。
【0073】
【表1】

【0074】
[0078]比較として、パラキシレン精製プロセスにおいて第1段階分離ユニット(即ち、図1における分離ユニット120と同様)として運転する従来の遠心分離器も試験した。2つの遠心分離器のスラリー化供給流及び濾液を、分子状酸素含量に関して分析した。従来の高速遠心分離器は、定常状態の運転、並びにそれらをメンテナンス及び補修のために大気に周期的に開放する際の両方において、プロセス中への酸素の侵入を許す。フィルターカラムに対して、データ(表2に要約する)は、従来の遠心分離器によって酸素が導入されることを示す。具体的には、酸素含量は、遠心分離器供給流中の0.15ppmから遠心分離器濾液中の約0.7ppm超(例えば約0.8ppm〜約1.5ppm)に増加した。濾液の酸素含量はフィルターカラムのものと比べて増加しているので、遠心分離器濾液を、酸素含量を減少させるための更なる処理工程を行わないでパラキシレン製造のための異性化ユニットへ供給すると、異性化ユニット及びそのプレヒーターの大きなコーキング及び/又は閉塞を引き起こすであろう。
【0075】
【表2】

【0076】
実施例2:
[0079]パラキシレンを精製するための結晶化/二重リスラリープロセス(即ち図1に示すもの)をシミュレートして、遠心分離器に変えてフィルターカラム分離ユニットを用いることに関してプロセス効率を比較した。表3は、分離ユニット120及び140が両方ともフィルターカラムであり、分離ユニット160が洗浄カラムである図1のプロセスに関する物質収支の情報を示す。表4は、分離ユニット120、140、及び160が全て遠心分離器である図1のプロセスに関する物質収支の情報を示す。表3及び4においては、「流れ番号」とは図1において名付けられた流れを指す。「組成」の値は、流れの中に存在する任意の固相及び/又は液相からの所定の成分の割合を含む。「他のCの組成」の値は、オルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼン、及び任意の他の残留脂肪族及び芳香族炭化水素を含む。それぞれのプロセスにより、概してそれぞれの段階の出口において増加したパラキシレン純度(例えばフィルターカラムプロセスにおける流れ264中の99.9重量%以下のパラキシレン純度)の生成物流が製造され、メタキシレン、オルトキシレン、及びエチルベンゼンが比較的多い濾液流216が製造される。
【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
[0080]表3及び4に列記する値は、物質収支の原理に基づいて最終生成物流264中に製造される100ポンド/時のパラキシレンを基準に計算した。種々の固液分離ユニット120、140、及び160への供給流の分割は、それぞれの分離ユニットに関するフィルターカラムケーキ及び濾液に移動する固体の所定の重量分率に基づいて決定することができ、且つ決定した。結晶化器110並びにリスラリードラム130及び150における固体の形成(即ち、パラキシレンの結晶化による)は、熱平衡の前提に基づく。
【0080】
[0081]表5は、フィルターカラムプロセス(表3)と遠心分離器プロセス(表4)との間の広範囲のプロセス特性の比較を示す。プロセス効率パラメーターとして、「純度」は最終生成物流264中のパラキシレンの濃度を指し、「回収率」は結晶化段階供給流296中のパラキシレンの量に対する最終生成物流264中のパラキシレンの量を指し、「収率」は混合キシレン供給流292中の炭化水素の量に対する最終生成物流264中のパラキシレンの量を指す。「異性化ユニット供給量」は、最終生成物流264中に製造されるパラキシレンの単位あたりの、濾液216によって異性化ユニット180に供給される炭化水素の全量を指す。「結晶化器負荷」は、結晶化ユニットを運転するための冷却負荷を示す。「異性化ユニット供給量」及び「結晶化器負荷」はいずれも無次元の値であり、遠心分離器の場合に関して計算される供給量/負荷によって標準化される。結晶化器110に供給される組成物に関する2元共晶温度も表5に示す。
【0081】
【表5】

【0082】
[0082]表5のデータは、ここで開示するプロセス条件にしたがうパラキシレン精製プロセスにおいてフィルター及び洗浄カラムを用いることのプロセス有利性を、従来の遠心分離器固液分離技術を用いる同様のプロセスと比較して示す。一般に、ここで開示する条件(例えばフィルターカラムプロセス)の下で運転するフィルターカラムプロセスはより効率的であり、より高いパラキシレン最終生成物純度、回収率、及び収率が得られる。また、フィルターカラムプロセスによって、異性化ユニット180に与える負荷が大きく減少する。濾液216のパラキシレン濃度は、遠心分離器プロセスに関しては0.4重量%のパラキシレンだけ高く、これは、より大きな割合のパラキシレンが回収されず、遠心分離器プロセス内で無駄に再循環される(即ち、フィルターカラムプロセスと比べて約8.6%多いパラキシレンが再循環される)ことを意味する。この損失は、例えば結晶化器110において結晶化した固体パラキシレンの一部を溶融させる可能性がある遠心分離器内で生成する機械熱によって引き起こされる可能性があり、このためにパラキシレンの一部がフィルターケーキ212中に回収される代わりに濾液216に移動する。ここで開示する条件下でフィルターカラムを用いた場合の異性化ユニット180への再循環材料の減少した流速(即ち3.4%の減少率)によって、異性化ユニット180に関する運転コストが減少する。フィルターカラムプロセスはまた、よりエネルギー効率が良く、より低い結晶化器冷却負荷を有する(即ち2.7%の減少率)。これらの効率は、フィルターカラムが遠心分離器と比べて一般により湿潤状態の生成物ケーキを生成するという事実に伴う非効率性よりも重要である。
【0083】
[0083]特定の運転要求及び雰囲気に適合させるために変化する他の修正及び変更は当業者に明らかであるので、本発明は、開示の目的で選択されている例に限定されるとはみなされず、本発明の真の精神及び範囲からの離脱を構成しない全ての変更及び修正をカバーする。
【0084】
[0084]したがって、本発明の範囲内の修正は当業者には明らかであるので、上記の記載は理解を鮮明にするためにのみ与えるものであり、それから不必要な限定を理解すべきではない。
【0085】
[0085]明細書全体にわたって、組成物、方法、又は装置を、成分、工程、又は材料を含むものとして記載する場合には、組成物、方法、又は装置は、他に記載しない限りにおいて、示されている成分又は材料の任意の組合せを含み、これらから実質的に構成し、或いはこれらから構成することもできると考えられる。上記の開示を考慮して当業者によって理解されるように、複数の成分の組み合わせは均一及び/又は不均一の混合物を含むと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラキシレン及び分子状酸素を、これと他のキシレン異性体を含むスラリーから、分子状酸素のプロセス中への侵入を防ぐ条件下で分離することを含む方法。
【請求項2】
条件の1つが、雰囲気圧力よりも約0.5psi〜約30psi高い分離工程運転圧力である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パラキシレン及び分子状酸素を、フィルターカラム内において、分子状酸素のプロセス中への侵入を防ぐ条件下でスラリーから分離して、パラキシレンを含むフィルターケーキを形成し、且つパラキシレンが少ない生成物を含む液体第2成分を含む濾液を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
条件の1つが、雰囲気圧力よりも約0.5psi〜約30psi高いフィルターカラム運転圧力である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
スラリーが、スラリーの全重量を基準として約5重量ppm以下の分子状酸素を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
濾液の液体第2成分が実質的に分子状酸素を含まない、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
濾液が置換流体を更に含み、フィルターケーキ及び濾液置換流体の少なくとも1つがプロセスに導入された分子状酸素の少なくとも一部を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
フィルターケーキ及び濾液置換流体の少なくとも1つがプロセスに導入された分子状酸素の実質的に全部を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
パラキシレンを、それと他のキシレン異性体を含むスラリーから、分子状酸素の分離プロセス中への侵入を防ぐ条件下で精製して、パラキシレンが少ない生成物を形成し、パラキシレンが少ない分離の生成物を異性化することを含む分離方法。
【請求項10】
(a)生成物成分固体及び液体第2成分を含み、分子状酸素(O)を実質的に含まないスラリーをフィルターカラムに供給し;
(b)分子状酸素を実質的に含まない置換流体をフィルターカラムに供給し;
(c)フィルターカラム内でスラリーの生成物成分固体及び液体第2成分を少なくとも部分的に分離して、
(i)液体第2成分、及び置換流体の少なくとも一部を含む濾液;及び
(ii)生成物成分固体を含むフィルターケーキ;
を形成する;
ことを含み、
濾液及びスラリーがそれぞれ分子状酸素の濃度を有しており、濾液の分子状酸素濃度がスラリーの分子状酸素濃度以下である、スラリー供給流から固体生成物を精製する方法。
【請求項11】
生成物成分固体がパラキシレン結晶を含み、液体第2成分が、オルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(a)液体第2成分、及び液体第2成分のものよりも高い融点を有する液体生成物成分を含む液体供給流を、液体生成物成分の少なくとも一部を結晶化させるのに十分な温度において運転する結晶化器内で結晶化して、生成物成分結晶及び液体第2成分を含むスラリー流出流を形成し;
(b)フィルターカラム内でスラリー流出流の生成物成分結晶及び液体第2成分を少なくとも部分的に分離して、
(i)液体第2成分を含む濾液;及び
(ii)生成物成分結晶を含むフィルターケーキ;
を形成し;そして
(c)化学反応器内で、濾液の液体第2成分の少なくとも一部を液体生成物成分に転化させる;
ことを含む、生成物の結晶化方法。
【請求項13】
工程(a)が、液体生成物成分及び液体第2成分を含む再循環流を液体供給流と混合することを更に含み、そして
液体供給流が再循環流のものよりも低い液体生成物成分の重量濃度を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)フィルターカラム内において、液体生成物成分中に存在する生成物成分結晶、及び液体第2成分(ここで、液体生成物成分及び液体第2成分はスラリー供給流中に存在し、生成物成分結晶は液体第2成分のものよりも高い融点を有する)を少なくとも部分的に分離して、
(i)液体第2成分を含む濾液;及び
(ii)生成物成分結晶を含む富化生成物流;
を形成し;
(b)リスラリードラム内において、富化生成物流、並びに液体生成物成分及び液体第2成分を含むリスラリー希釈液を混合し;そして
(c)リスラリードラム内において、生成物成分結晶を、液体生成物及び液体第2成分と、生成物成分結晶及び液体第2成分を含むリスラリー流出流を形成するのに十分な時間平衡化する;
ことを含むリスラリー段階プロセスを含む、結晶化生成物を少なくとも部分的にリスラリーする方法。
【請求項15】
リスラリー段階プロセスが、
(d)濾液の液体第2成分の少なくとも一部を生成物成分に転化させる;
ことを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(a)が、
液体第2成分及び液体生成物成分を含む液体供給流を、液体生成物成分の少なくとも一部を結晶化させるのに十分な温度において運転する結晶化器内において結晶化して、工程(a)のスラリー供給流を形成する;
ことを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
(a)フィルターカラム、洗浄カラム、及び遠心分離器からなる群から選択される分離ユニット内において、前段で上流のリスラリー段階からのリスラリー流出流中に存在する生成物成分結晶及び液体第2成分を少なくとも部分的に分離して、
(i)液体第2成分を含む更なる濾液;及び
(ii)生成物成分結晶及び液体生成物成分の少なくとも1つを含む更なる富化生成物流;
を形成し;
(b)更なるリスラリードラム内において、更なる富化生成物流、並びに液体生成物成分及び液体第2成分を含む更なるリスラリー希釈液を混合し;そして
(c)更なるリスラリードラム内において、生成物成分結晶を、液体生成物成分及び液体第2成分と、生成物成分結晶及び液体第2成分を含む更なるリスラリー流出流を形成するのに十分な時間平衡化する;
ことを含む、リスラリー段階プロセスと連続して且つその後に行う少なくとも1つの更なるリスラリー段階プロセスを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
最終の更なるリスラリー段階プロセスが、
(d)洗浄カラム及び遠心分離器からなる群から選択される最終分離ユニット内において、生成物成分結晶、及び最終の更なるリスラリー流出流中に存在する液体第2成分を少なくとも部分的に分離して、
(i)液体第2成分を含む最終リスラリー段階濾液;及び
(ii)生成物成分結晶及び液体生成物成分の少なくとも1つを含む最終リスラリー段階富化生成物流;
を形成し;
(e)最終リスラリー段階富化生成物流中に存在する生成物成分結晶を溶融させて精製液体生成物成分流を形成し;そして
(f)精製液体生成物成分流の一部を最終分離ユニットに洗浄液として再循環する;
ことを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
2以上の結晶化段階プロセスを連続して行うことを含み;
(a)それぞれの結晶化段階プロセスが、
(i)液体生成物成分の少なくとも一部を結晶化させるのに十分な温度において運転する結晶化器内において、液体第2成分、及び液体第2成分のものよりも高い融点を有する液体生成物成分を含む液体供給流を結晶化させて、生成物成分結晶及び液体第2成分を含むスラリー流出流を形成し;そして
(ii)フィルターカラム、洗浄カラム、及び遠心分離器からなる群から選択される分離ユニット内において、スラリー流出流の生成物成分結晶及び液体第2成分を少なくとも部分的に分離して、(A)液体生成物成分及び液体第2成分を含む濾液、及び(B)生成物成分結晶を含む富化生成物流を形成する;
ことを含み;
(b)第1の結晶化段階以外のそれぞれの結晶化段階に関する液体供給流が、前段で上流の結晶化段階からの濾液を含み;そして
(c)少なくとも1つの結晶化段階における分離ユニットがフィルターカラムである;
結晶化生成物の製造方法。
【請求項20】
(a)遠心分離器内において、液体及び分散固体を含むスラリー供給流を少なくとも部分的に分離して、少なくとも
(i)高固形分濾液の全重量を基準として約5重量%〜約50重量%の分散固体を含む、液体及び分散固体を含む高固形分濾液;及び
(ii)遠心分離ケーキの全重量を基準として50重量%より多い分散固体を含む、液体及び分散固体を含む遠心分離ケーキ;
を形成し;そして
(b)フィルターカラム内において、高固形分濾液中の分散固体及び液体を少なくとも部分的に分離して、
(i)液体を含むフィルターカラム濾液;及び
(ii)分散固体を含み、フィルターカラム濾液のものよりも大きい分散固体の重量濃度を有するフィルターカラムケーキ;
を形成する;
ことを含む、遠心分離器濾液から固体生成物を回収する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−530600(P2011−530600A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523024(P2011−523024)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/050821
【国際公開番号】WO2010/019342
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(503259381)ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド (84)
【Fターム(参考)】