説明

溶融金属処理用流し込み耐火材

【課題】 溶融金属処理に使用される流し込み耐火材において、過焼結を抑制し、亀裂進展を抑制することが可能で、寿命の判定がしやすい好適な溶融金属処理用流し込み耐火材を開発するにある。
【解決手段】 アルミナセメントを結合材とするムライト質の流し込み材において、75μm以下の微粉が35重量%未満とすることが好ましい。また、ムライト質原料が60重量%以上、90重量%以下とするのがよく、炭化珪素質原料を20重量%以下としたり、アルミナセメントが4重量%以上、9重量%以下としたり、アンダルサイト、カイヤナイトなどシリマナイト系鉱物に代表される膨張性原料を含まなく、ステンレス鋼ファイバーおよび/またはステンレス鋼粒子を外掛けで4重量%を超え7重量%未満添加することも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属処理に使用する流し込み耐火材に関するもので、詳しくは溶融金属撹拌インペラー、溶融金属撹拌ランス用キャスタブルなどの用途を目的に、使用中の高弾性率化を抑制し、大亀裂が発生しにくい溶融金属処理用流し込み耐火材に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融金属処理の代表例として、溶銑脱硫用インペラーがあげられるが、脱硫材と溶銑を効率よく反応させるため、溶銑中に浸漬し撹拌する目的で使用される。構造は、−般に回転軸の先に直交する4枚の撹拌翼が付いている。この撹拌翼は金属製の板状芯金の表面に、芯金保護のための耐火物が施工されている。施工方法としては、流し込み施工が−般的である。
【0003】
脱硫インペラーは、熱サイクルにさらされるとともに、撹拌時のねじれなどの外力が加わり、さらに溶銑による摩耗も生じ得る。特に、高温長時間処理においては、流し込み耐火材の焼結が進行しやすいことと、内部の温度が高くなるため処理後の冷却時に表面と内部の温度差が大きくなり、熱歪による熱応力が増加することが原因で、亀裂が発生しやすくなり、寿命が短いという間題点があった。
【0004】
このため、流し込み耐火材としては、使用温度域(1200〜1450℃)で安定なムライト質や炭化珪素質の原料を配合するとともに、金属ファイバーを数重量%添加したり、膨張性原料を添加することにより、耐熱スポーリング性の改良が−般的に行われてきた。金属ファイバー添加は、破壊靱性の向上を図っている。膨張性原料添加は、焼結による収縮抑制、あるいは微亀裂導入による熱歪緩和を目的としている。
【0005】
溶銑脱硫インペラー用流し込み材において耐用性を上げるには、熱衝撃による亀裂の発生を抑えるか(高強度化)、発生した亀裂の進展を抑制すること(高破壊靱性化)が考えられる。金属ファイバーによる高温化での高強度化は、困難であり(弾性率低下)、亀裂の進展を抑制する。つまり、高靱性化が金属ファイバー添加の有効な効果である。
【0006】
例えば、特開昭62−143880号公報では、耐火物の破壊エネルギーを増大させる目的で、ステンレススチールファイバーを外掛けで2〜4重量%添加した不定形耐火物を開示している。しかしながら、上限4重量%の金属ファイバー添加量では、耐火物の破壊エネルギーが十分向上せず、亀裂の進展抑制効果が十分でない。このため、期待した高寿命は達成できなかった。また、金属ファイバーは高温下で酸化され、引き抜けによる高靱性化の効果(特開2006−21980号公報)を失うこともある。使用条件によっては、金属としての変形能による応力緩和効果のみが期待される情況となる場合もありうる。
【0007】
また、セメント増量により高強度化し、亀裂を発生しにくくすることも試みたが、内在する亀裂が限界寸法まで成長すると、急に亀裂が進展し、芯金に至る大きな割れとなり、交換時期の決定が困難という操業上の間題点が生じた。
【0008】
特許3606352号公報には、膨張性原料(アンダルサイトとカイヤナイト併用)によりマイクロクラックも発生させ過焼結を抑制している。しかしながら、高温長時間使用下で、過焼結抑制効果を発揮できる量の膨張性原料を添加できるのか疑間である。また、欠陥を導入していることでもあり、多量には添加できない。
【特許文献1】特開昭62−143880号公報
【特許文献2】特開2006−21980号公報
【特許文献3】特許3606352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、溶融金属処理に使用される流し込み耐火材において、過焼結を抑制し、亀裂進展を抑制することが可能で、寿命の判定がしやすい好適な溶融金属処理用流し込み耐火材を開発するのが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、アルミナセメントを結合材とするムライト質の流し込み材において、75μm以下の微粉が35重量%未満であることを特徴とする溶融金属処理用流し込み耐火材を提供するにある。
【0011】
また、ムライト質原料が60重量%以上、90重量%以下としたことを特徴とする溶融金属処理用流し込み耐火材を提供するにある。
【0012】
また、炭化珪素質原料を20重量%以下としたことを特徴とする溶融金属処理用流し込み耐火材を提供するにある。
【0013】
さらに、アルミナセメントが4重量%以上、9重量%以下としたことを特徴とする溶融金属処理用流し込み耐火材を提供するにある。
【0014】
さらにまた、アンダルサイト、カイヤナイトなどシリマナイト系鉱物に代表される膨張性原料を含まないことを特徴とする溶融金属処理用流し込み耐火材を提供するにある。
【0015】
またさらに、ステンレス鋼ファイバーおよび/またはステンレス鋼粒子を外掛けで4重量%を超え7重量%未満添加したことを特徴とする溶融金属処理用流し込み耐火材を提供するにある。
【0016】
またさらに、ステンレス鋼ファイバーおよび/またはステンレス鋼粒子がA1を2重量%以上、12重量%以下含有することを特徴とする溶融金属処理用流し込み耐火材を提供するにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の溶融金属処理用流し込み耐火材は、アルミナセメントを結合材とするムライト質の流し込み材において、75μm以下の微粉が35重量%未満であることによって、稼働中の過焼結による高弾性率化に起因する熱応力の増加を抑止することができ、流し込み材料の大亀裂の発生を防止できる。
【0018】
また、ムライト質原料が60重量%以上、90重量%以下としたことによって、稼働中の容積安定性が図れ、鉱物相変化などによる構造的歪の発生を抑制することにより、亀裂を発生しにくくすることができる。
【0019】
また、炭化珪素質原料を20重量%以下としたことによって、稼働中の容積安定性を図り、鉱物相変化などによる構造的歪の発生を抑制することにより、亀裂を発生しにくくすることができるとともに、インペラー等の構造体の強度も保持できる。
【0020】
さらに、アルミナセメントが4重量%以上、9重量%以下としたことによって、低融点組成の生成量を限定することにより、焼結促進を抑制し、かつインペラー等の構造体としての強度を保つことができる。
【0021】
さらにまた、アンダルサイト、カイヤナイトなどシリマナイト系鉱物に代表される膨張性原料を含まないことによって、稼働中の欠陥生成を少なくし、微粉(75μm以下)の量およびアルミナセメント量を限定したことによる強度低下を補い、剥離損耗を適度に抑制することができる。
【0022】
またさらに、ステンレス鋼ファイバーおよび/またはステンレス鋼粒子を外掛けで4重量%を超え7重量%未満添加したことによって、稼働中の熱負荷による劣化(酸化)を抑制し、高温化で架橋効果あるいは熱歪緩和効果により、耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0023】
またさらに、ステンレス鋼ファイバーおよび/またはステンレス鋼粒子がA1を2重量%以上、12重量%以下含有することによって、Alの酸化物の皮膜を形成させ、稼働中の熱負荷による劣化(酸化)をさらに抑制し、高温化で架橋効果あるいは熱歪緩和効果を増大し、耐熱衝撃性を格段に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の溶融金属処理用流し込み耐火材は、アルミナセメントを結合材とするムライト質の流し込み材において、75μm以下の微粉が35重量%未満であることを特徴としている。
【0025】
発明者らは、まず溶銑脱硫用インペラーの損傷状況を観察し、その原因および問題点を考察した。その結果、インペラーは、溶銑中に長時間浸漬し撹拌に使用されるが、使用後の解体調査から明らかとなった焼結範囲から、内部も100mm程度までは、表面に近い温度に加熱されていると推定された。処理後溶銑中より引き上げられると、表面が冷却され、内部の方が温度が高くなり、表面に働く引張り応力により表面から亀裂が発生する。
【0026】
−方、鉄鋼高生産時には、脱硫処理も稼働時間を確保し、かつ計画通り処理する必要があり、インペラーの寿命判定は重要となる。予想外の停止は避けなくてはならず、寿命が良くても突然の大亀裂による停止、特に芯金溶損は大きな問題となる。インペラーの損耗形態としては、少しづつ剥離し、徐々に小さくなり、撹拌能力がなくなったところで交換することが望ましい。高強度品では寿命は良いが、−見健全な状態から突然に大亀裂が発生するのは許容できない。
【0027】
この結果を受けて発明者らは、流し込み材を焼結しにくくするとともに、適度な強度とし、酸化しにくい金属ファイバーおよび/または金属粒子を添加し、亀裂の進展を抑制して、流し込み耐火材が徐々に剥離損耗する手段を検討し、本発明に至った。
【0028】
脱硫処理後の冷却時の亀裂の発生は、耐火材の過焼結による高弾性率化により助長される。流し込み耐火材の焼結は、流し込み材中の微粉が多いと促進されることから、微粉量を少なくすることが有効である。発明者らは、インペラーの使用実績から突然大きな亀裂が発生する場合を調べた結果、図1のように75μm以下の微粉量が35重量%以上の材質に発生することを見い出した。75μm以下の微粉量を35重量%未満にすることにより、大亀裂を発生するような過焼結を抑制できると考えた。
【0029】
また、熱膨張収縮以外にも、使用温度域での鉱物相の変化などによる容積変化が大きいと、インペラーの歪が大きく亀裂を発生しやすい。原料としては、脱硫処理温度域で安定した鉱物であることが望ましい。故に、原料としては、融点が1850℃のムライト質を主体とし、難焼結性の炭化珪素も場合によって添加することが有効である。ムライト質原料は、発明者らの経験から、少なくとも60重量%以上配合しないと効果的ではなく、90重量%を越すと結合力が不足する。炭化珪素質原料の配合によって異なるが、ムライト質原料は65〜85重量%がより好ましい。炭化珪素原料は、難焼結性であり、20重量%を超えると強度が不足する。
【0030】
さらに、これまで実機使用してきたインペラー材の実績を整理し、アルミナセメントの添加量が10重量%の場合、高強度化により高寿命を達成できたが、芯金露出に至る大亀裂が発生していることが分った。アルミナセメントは、低融点組成を形成することから、微粉中でも焼結促進効果が大きいので、稼働中の高弾性率化を抑制するため、ある程度の量にする必要がある。少なくとも10重量%未満、かつインペラーの構造体としての強度を保つのに必要な4重量%以上とすべきである。好ましくは、6重量%以上8重量%以下がより望ましい。
【0031】
また、微粉量が同じ程度であれぱ、図1のように膨張性原料の少ない材質の方が剥離損耗が少なく高寿命であることが判った。過焼結を微粉量の適正化で抑制できるのであれば、膨張性原料は添加しない方が良い。
【0032】
また、金属ファイバーの劣化(酸化)によっても、亀裂が発生しやすくなり、かつ亀裂が進展しやすくなる。使用後インペラーの稼働面近傍には、金属光沢のスチールファイバーは存在しない。酸化しにくいステンレスファイバーを使用することが好ましい。また、特に使用温度が高い場合は、耐酸化性に優れるA1を含有したステンレスファイバーを使用することが望ましい。
【0033】
金属ファイバーの添加量と材質(ステンレスファイバー0.5t×25mm、スチールワイヤーφ0.5×25mm)の耐熱衝撃性に及ぼす影響を溶銑浸漬試験で調べた。ここでいう溶銑浸漬試験は40×40×160mmの試験片を溶銑に浸漬した後に十分空冷する操作を2回繰り返して、外観および切断面(長手方向)の亀裂の発生状況から耐熱衝撃性を評価する方法である。ステンレスファイバーの方が、図2のようにスチールワイヤーより耐熱衝撃性が優れていた。さらに、溶銑浸漬試験前に1400℃×3hr大気焼成して、稼働中の焼結進行を想定した溶銑浸漬試験の結果、図3のようにステンレスファイバーより、A1を含有したステンレスファイバーの方が優れた耐熱衝撃性を示した。
【0034】
ファイバー添加量については、図4のように4重量%では亀裂が多く発生したが、5重量%と6重量%では、亀裂の発生は少なく同程度であった。7重量%添加は混練が困難であった。これらの結果から、金属ファイバーは、ステンレス製で4重量%を超えて7重量%未満が適正と考えられる。
【0035】
次に、形状であるが、ステンレスファイバーとスチールファイバーの低クロスヘッド速度の曲げ試験では、図5、図6のように乾燥後試料はファイバーの引き抜け効果が確認されたが、1300℃の熱処理後ではファイバーの引き抜けはほとんど生じていない。図5のスチールファイバーおよびステンレスファイバー添加耐火材の乾燥後は、両者とも、変位が増加するに従い荷重が増加していき、最大荷重点(亀裂発生)を過ぎるとファイバーが引き抜けながら徐々に荷重が減少している。それに対し、1300℃×3hr熱処理後の場合は、両者とも、最大荷重点以降の荷重の減少が乾燥後に比べ急になっており、特にスチールファイバー添加では著しく、ファイバー引き抜け効果がほとんど認められない。
【0036】
このことから稼働中(熱処理後)は、金属による架橋効果か歪緩和効果による高靱性化しか期待できないと推定された。そこで、ファイバー形状でなくとも、粒子状のステンレス鋼でも歪緩和効果があると考えられ、例えばステンレス鋼のカットワイヤーの添加も、耐熱衝撃性向上に効果があることが容易に推定される。また、図6に破壊エネルギー指数で比較し示したが、乾燥後ではスチールファイバー添加がステンレスファイバー添加より優れているが、熱処理後は逆にステンレスファイバーの方が優れていることが分かる。
【0037】
このように、アルミナセメントを結合材とするムライト質流し込み材において、75μm以下の微粉が35重量%未満にすることにより、稼働中の過焼結による高弾性率化に起因する熱応力の増加を抑止することができ、流し込み材料の大亀裂の発生を防止できる。
【0038】
また、高融点鉱物のムライト質原料を60重量%以上90重量%以下とし、稼働中の容積安定性が図れ、鉱物相変化などによる構造的歪の発生を抑制することにより、亀裂を発生しにくくすることができる。
【0039】
また、難焼結性の炭化珪素質原料を20重量%以下とし、稼働中の容積安定性を図り、鉱物相変化などによる構造的歪の発生を抑制することにより、亀裂を発生しにくくすることができるとともに、インペラー等の構造体の強度も保持できる。
【0040】
請求項4の流し込み耐火材は、アルミナセメントを4重量%以上9重量%以下とし、低融点組成の生成量を限定することにより、焼結促進を抑制し、かつインペラー等の構造体としての強度を保つことができる。
【0041】
さらにまた、アンダルサイト、カイヤナイトなどシリマナイト系鉱物に代表される膨張性原料を添加しないことにより、稼働中の欠陥生成を少なくし、微粉(75μm以下)の量およびアルミナセメント量を限定したことによる強度低下を補い、剥離損耗を適度に抑制することができる。
【0042】
またさらに、ステンレス鋼ファイバーおよび/またはステンレス鋼粒子を外掛けで4重量%を超え7重量%未満添加したことにより、稼働中の熱負荷による劣化(酸化)を抑制し、高温化で架橋効果あるいは熱歪緩和効果により、耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0043】
表1.実施例と比較例の比較表
【表1】

【0044】
さらに、ステンレス鋼ファイバーおよび/またはステンレス鋼粒子にA1を2重量%以上12重量%以下含有させることにより、Alの酸化物の皮膜を形成させ、稼働中の熱負荷による劣化(酸化)をさらに抑制し、高温化で架橋効果あるいは熱歪緩和効果を増大し、耐熱衝撃性を格段に向上させることができる。
【実施例】
【0045】
表1に示すように微粉(75μm以下)29重量%、ムライト質原料68重量%、アルミナセメント10重量%、ステンレスファイバー6重量%(外掛け)とした実施例1の流し込み耐火材で作製したインペラーで、溶銑脱硫処理を実施した。その結果、平均253chの高寿命で突然発生する大亀裂も生じず良好な結果を得た。
【0046】
表1に示すように、微粉(75μm以下)40重量%、ムライト質原料43重量%、アルミナセメント10重量%、膨張性原料20重量%、スチールファイバー6重量%(外掛け)他とした高強度低弾性率を狙った比較例1の流し込み耐火材で作製したインペラーで、溶銑脱硫処理を実施した。その結果、平均231chの寿命で、操業中突然大亀裂が発生して停止するケースが多数発生し、大きな問題となった。寿命のバラツキも大きく、粗鋼生産効率が低下した。
【0047】
表1に示すように、微粉(75μm以下)40重量%、ムライト質原料63重量%、スチールファイバー6重量%(外掛け)、アルミナセメント10重量%他とした比較例2の高強度流し込み耐火材で作製したインペラーで、溶銑脱硫処理を実施した。その結果、平均265chの高寿命ではあったが、操業中突然大亀裂が発生し停止するケースが発生し、交換時期が予測できず、操業上大きな問題となった。寿命のバラツキも大きく、粗鋼生産効率がやや低下した。
【0048】
表1に示すように、微粉(75μm以下)28重量%、ムライト質原料58重量%、アルミナセメント8重量%、スチールファイバー6重量%(外掛け)他として、焼結を抑制し、かつ膨張性原料により弾性率を低減した比較例3の剥離損耗型の流し込み耐火材で作製したインペラーで、溶銑脱硫処理を実施した。その結果、平均216chの寿命ではあったが、操業中に発生する突然大亀裂は防止できた。寿命のバラツキも多少小さくなり粗鋼生産効率への影響は少なくなった。しかし、剥離損耗速度が大きく、寿命は満足できるレベルではなかった。膨張性原料添加量が多いため、欠陥導入が大きくなり強度低下したためと推定された。
【0049】
本発明によって、稼働中の焼結による高弾性率化が抑制され、稼働中のファイバーの劣化による靭性低下を低減できたことによって、稼働中の熱応力による突然の大亀裂発生を防ぐことができたため、安定した操業ができる剥離損耗型インペラーを提供できるようになった。前述のように、ここで例示した溶銑予備処理用インペラー材だけでなく、溶銑予備処理用撹拌ランスのような各種の溶融金属処理用の流し込み不定形耐火物の高靱性化についても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例の膨張性骨材の微粉料の亀裂発生説明用図、
【図2】同上の溶銑浸漬試験による耐衝撃性に及ぼすファイバー材質の影響説明用写真、
【図3】同上の1400℃×3hr熱処理後の溶銑浸漬試験による耐衝撃性に及ぼすファイバー材質の影響説明用写真、
【図4】同上の溶銑浸漬試験による耐衝撃性に及ぼすファイバー材質の影響説明用写真、
【図5】同上の低クロスヘッド速度曲げ負荷時の乾燥後と熱処理後の荷重一変異曲線の比較図、
【図6】同上の乾燥後と熱処理後の破壊エネルギー指数の比較図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナセメントを結合材とするムライト質の流し込み材において、75μm以下の微粉が35重量%未満であることを特徴とする溶融金属処理用流し込み耐火材。
【請求項2】
ムライト質原料が60重量%以上、90重量%以下としたことを特徴とする請求項1に記載の溶融金属処理用流し込み耐火材。
【請求項3】
炭化珪素質原料を20重量%以下としたことを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属処理用流し込み耐火材。
【請求項4】
アルミナセメントが4重量%以上、9重量%以下としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の溶融金属処理用流し込み耐火材。
【請求項5】
アンダルサイト、カイヤナイトなどシリマナイト系鉱物に代表される膨張性原料を含まないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の溶融金属処理用流し込み耐火材。
【請求項6】
ステンレス鋼ファイバーおよび/またはステンレス鋼粒子を外掛けで4重量%を超え7重量%未満添加したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の溶融金属処理用流し込み耐火材。
【請求項7】
ステンレス鋼ファイバーおよび/またはステンレス鋼粒子がA1を2重量%以上、12重量%以下含有することを特徴とする請求項6に記載の溶融金属処理用流し込み耐火材。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−91204(P2009−91204A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264196(P2007−264196)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000199821)JFE炉材株式会社 (42)
【Fターム(参考)】