溶解可能な弁部材を備える弁アセンブリ
【課題】ある特定の期間にわたりカテーテル内に洗浄溶液および/または抗菌溶液を保持し得、その後、医療現場の職員による介入なしにカテーテルの排液を可能にし得る、カテーテルと共に使用可能なデバイスを提供する。
【解決手段】弁アセンブリ10であって、注入端20および排出端22を有し、かつ、流体チャネル18および中央チャンバを画定する、ハウジング11と;チャンバ内のチャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材であって、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される、弁部材とを備える。
【解決手段】弁アセンブリ10であって、注入端20および排出端22を有し、かつ、流体チャネル18および中央チャンバを画定する、ハウジング11と;チャンバ内のチャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材であって、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される、弁部材とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、溶解可能な弁部材を有する弁アセンブリを備える医療装置に関し、より具体的には、尿道カテーテルと共に使用するための溶解可能な弁部材を有する安全弁アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の背景
患者の膀胱から流体を排液するための尿道カテーテルは、当該分野で周知である。代表的には、尿道カテーテルは、尿道を通して膀胱内に挿入されるような寸法の可撓性本体を備える。カテーテルの遠位端は、膀胱内にカテーテルの遠位端を保持するために、ガス注入弁および導管を介して、膀胱内で拡張され得る拡張可能な球状物(bulb)またはバルーンを備える。可撓性本体は、さらに、流体が膀胱から尿回収バッグへと排液することを可能にする、排液管腔を画定する。尿道カテーテルはまた、膀胱を洗浄するために洗浄流体がカテーテルを通して膀胱内へと注入されることを可能にする、サンプリングポートおよび洗浄管腔を備える。検査のためのカテーテルからの尿の抜き取りを容易にすることに加え、サンプリングポートはまた、患者に対する感染の危険性を低下させるために、カテーテル内に抗菌溶液を注入するためにも使用され得る。
【0003】
洗浄流体および/または抗菌溶液がカテーテル内に注入されると、医療現場の職員は、洗浄流体および/または抗菌溶液が、膀胱および/またはカテーテルから直ちに排液されることを防ぐために、ある特定の期間にわたり注入部位の下流でカテーテルをクランプ留めしなければならない。医療現場の職員がクランプを取り除き損ねると、流体が膀胱に後退し、患者に、不快感および潜在的に深刻な害をもたらす。
【0004】
したがって、ある特定の期間にわたりカテーテル内に洗浄溶液および/または抗菌溶液を保持し得、その後、医療現場の職員による介入なしにカテーテルの排液を可能にし得る、カテーテルと共に使用可能なデバイスに対して、医療分野において継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある特定の期間にわたりカテーテル内に洗浄溶液および/または抗菌溶液を保持し得、その後、医療現場の職員による介入なしにカテーテルの排液を可能にし得る、カテーテルと共に使用可能なデバイスを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)弁アセンブリであって、以下:
注入端および排出端を有し、かつ、流体チャネルおよび中央チャンバを画定する、ハウジングと;
該チャンバ内の該チャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材であって、該溶解可能な弁は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される、弁部材と
を備える、弁アセンブリ。
(項目2)前記予め選択した流体が、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択される、項目1に記載の弁アセンブリ。
(項目3)前記溶解可能な弁部材が、流体可溶性ガラスから形成される、項目1〜2のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目4)前記溶解可能な弁部材が、デンプンベースの材料から形成される、項目1〜3のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目5)項目1〜4のいずれかに記載の弁アセンブリであって、前記ハウジングが、注入ハウジング部分と排出ハウジング部分とを備え、該注入ハウジング部分と該排出ハウジング部分とは、互いに固定されて、前記中央チャンバを画定するように構成される、弁アセンブリ。
(項目6)前記ハウジングの前記注入端が、尿道カテーテルの排液管腔を解放可能に係合するように適合される、項目1〜5のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目7)前記ハウジングの前記排出端が、尿回収システムの流体導管を解放可能に係合するように適合される、項目1〜6のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目8)項目1〜7のいずれかに記載の弁アセンブリであって、前記ハウジングが、該弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有する、弁アセンブリ。
(項目9)前記少なくとも1つの通気孔が、注入通気孔および排出通気孔を含む、項目1〜8のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目10)前記溶解可能な弁部材が、薄い溶解可能な材料から形成される、項目1〜9のいずれか1項に記載の弁アセンブリ。
(項目11)前記溶解可能な弁部材が、注入側および排出側を有する実質的に円筒状の本体を備える、項目1〜10のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目12)前記注入側および前記排出側のうちの少なくとも一方が、球面の窪みを画定する、項目1〜11のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目13)前記円筒状の本体が、実質的に矩形の断面を有する、項目1〜12のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目14)前記円筒状の本体が階段状の断面を画定し、該本体の中央部分が、該本体の外側部分よりも狭い幅を有する、項目1〜13のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目15)前記円筒状の本体が、1以上の貫通穴を画定する、項目1〜14のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目16)尿道カテーテルアセンブリであって、以下:
カテーテルであって、患者の膀胱内に配置するための、中央排液管腔を画定する本体を有する、カテーテルと;
該カテーテルの本体の排出端を解放可能に係合するように適合されたハウジングを備える弁アセンブリであって、該ハウジングは、流体チャネルおよびチャンバを画定し、該弁アセンブリは、該チャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材をさらに備え、該溶解可能な弁部材は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される、弁アセンブリと
を備える、尿道カテーテルアセンブリ。
(項目17)前記予め選択した流体が、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択される、項目16に記載の尿道カテーテルアセンブリ。
(項目18)前記溶解可能な弁部材が、流体可溶性ガラスから形成される、項目16〜17のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
(項目19)前記ハウジングが、前記弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有する、項目16〜18のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
(項目20)前記溶解可能な弁部材が、薄い溶解可能な材料から形成される、項目16〜19のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
【0007】
要旨
注入端および排出端を有し、かつ、流体チャネルおよび中央チャンバを確定するハウジングを備える弁アセンブリが提供される。チャンバ内のチャネルを通る流れを遮るように溶解可能な弁部材が位置決めされる。溶解可能な弁は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される。予め選択した流体は、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択される。溶解可能な弁部材は、流体可溶性ガラスまたはデンプンベースの材料から形成され得る。あるいは、他の溶解可能な材料の使用が想定される。ハウジングは、注入ハウジング部分および排出ハウジング部分を備え得、この注入ハウジング部分と排出ハウジング部分とは、互いに固定され、中央チャンバを画定するように構成される。ハウジングの注入端は、医療用デバイスの排液管腔(例えば、尿道カテーテル)を解放可能に係合するように適合される。ハウジングの排出端は、尿回収システムの流体導管を解放可能に係合するように適合される。一実施形態では、ハウジングは、弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有する。少なくとも1つの通気孔は、注入通気孔および排出通気孔を含み得る。
【0008】
一実施形態では、溶解可能な弁部材は、薄い溶解可能な材料から形成される。別の実施形態では、溶解可能な弁部材は、注入側および排出側を有する実質的に円筒状の本体を備える。注入側および排出側のうち少なくとも一方は、球面の窪みを画定し得る。あるいは、円筒状の本体は、実質的に矩形の断面を有し得る。一実施形態では、円筒状の本体は、階段状の断面を画定し、この本体の中央部分は、この本体の外側部分よりも狭い幅を有する。本体は、1以上の貫通穴を画定し得る。
【0009】
尿道カテーテルアセンブリもまた提供され、このアセンブリは、患者の膀胱内に配置するための、中央排液管腔を画定する本体を有するカテーテルを備え、このカテーテルは、排液管腔出口を画定する排出端を有する。弁アセンブリは、カテーテルの本体の排出端を解放可能に係合するように適合されたハウジングを備える。弁アセンブリは、さらに、チャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材を備える。溶解可能な弁部材は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成され得る。予め選択した流体は、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択され得る。溶解可能な弁部材は、流体可溶性ガラスまたはデンプンベースの材料から形成され得る。ハウジングは、弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有し得る。あるいは、溶解可能な弁部材は、薄い溶解可能な材料から形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
溶解可能な弁部材を備える、本開示の弁アセンブリの種々の実施形態は、図面を参照して本明細書中に開示される。
【図1】図1は、本開示の弁アセンブリの一実施形態の側面斜視図である。
【図2】図2は、尿道カテーテルアセンブリに取り付けられた、図1に示す弁アセンブリの側面図である。
【図3】図3は、シリンジアセンブリが尿道カテーテルアセンブリに固定された状態の、図2に示す弁アセンブリおよび尿道カテーテルアセンブリの、側面から見た一部分の断面図である。
【図4】図4は、図3に示される詳細な領域の拡大図である。
【図5】図5は、図1に示す本開示の弁アセンブリの溶解可能な弁部材の位置実施形態の上面斜視図である。
【図6】図6は、図5に示す溶解可能な弁部材の側面断面図である。
【図7】図7は、図1に示す本開示の溶解可能な流体安全弁アセンブリの溶解可能な弁部材の別の実施形態の上面斜視図である。
【図8】図8は、図7に示す溶解可能な弁部材の側面断面図である。
【図9】図9は、図1に示す本開示の溶解可能な流体安全弁アセンブリの溶解可能な弁部材の別の実施形態の上面斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す溶解可能な弁部材の側面断面図である。
【図11】図11は、図1に示す本開示の溶解可能な流体安全弁アセンブリの溶解可能な弁部材の別の実施形態の上面斜視図である。
【図12】図12は、図11に示す溶解可能な弁部材の側面断面図である。
【図13】図13は、溶解可能な弁部材を備える本開示の弁アセンブリの代替的な実施形態の上面図である。
【図14】図14は、図13に示す弁アセンブリの側面から見た一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態の詳細な説明
溶解可能な弁部材を備える本開示の弁アセンブリの実施形態が、ここで、図面(図面において、同様の参照番号は、いくつかの図面の各々において、同一もしくは対応する要素を示す)を参照して詳細に説明される。
【0012】
図1〜4は、一般に10として示される本開示の弁アセンブリの一実施形態を示す。弁アセンブリ10は、注入ハウジング部分12と、排出ハウジング部分14と、溶解可能な弁部材16(図4)とを備えるハウジング11を備える。注入ハウジング部分12は、実質的に管状であり、そして、流体チャネル18を画定する(図3)。注入ハウジング部分12は、排出端22および注入端20を備える。注入端20は、排出端22に向かって集中する注入穴24を画定し、そして、尿道カテーテル50の排出端50aを解放可能に受容するような寸法である。ハウジング部分12の排出端22は、外側の階段状部分26(図4)と内側の環状伸長部28とを画定する。環状伸長部28は、円筒状のチャンバ34を画定する(図4)。
【0013】
排出ハウジング部分14は、注入ハウジング部分12の流体チャネル18と流体連絡する流体チャネル18aを画定する。排出ハウジング部分14の注入端30は、注入ハウジング部分12の環状伸長部28を受容するような寸法の内側の階段状部分32を有する。内側の階段状部分32は、内側の階段状部分32が肩部32aを画定するように、環状伸長部28の幅よりも大きな幅を有する。肩部32aと環状伸長部28とは、一緒になって、円筒状チャンバ34を画定する。チャンバ34は、以下にさらに詳細に考察されるように、溶解可能な弁部材16を受容するような寸法である。ハウジング部分12の排出端22は、溶解可能な弁部材16がチャンバ34内に保持されるように、超音波溶接、接着剤、ねじ山などにより、排出ハウジング部分14の注入端30に固定される。
【0014】
注入ハウジング部分12および排出ハウジング部分14は、透明(clear)すなわち光透過性(transparent)の材料(例えば、ポリカーボネートを含む光透過性ポリマー材料)から形成され得る。市販される1つのこのような材料は、LEXAN(登録商標)である。光透過性材料は、弁アセンブリ10が適切に機能していること、すなわち、弁部材16が特定の期間で溶解されること、および、流体が弁アセンブリ10を通って流れること、を医療現場の職員が視覚的に確認することを可能にする。弁部材は、弁部材の可視化を改善するために、対照をなす(contrasting)色を含み得ることが想定される。
【0015】
注入ハウジング部分12および排出ハウジング部分14の各々はまた、通気孔を備える。より具体的には、上側の通気孔38は、注入ハウジング部分12上に支持され、そして、下側の通気孔40は、ハウジング部分14上に支持される。通気孔38および40は、カテーテル50および弁アセンブリ10内からの空気が、流体チャネル18および18aから除かれることを可能にする。ハウジング部分14の排出端42は、尿回収システム(図示せず)の回収チューブ(図示せず)を摩擦により係合するような寸法の、薄い壁状の伸長部42a(図4)を備える。
【0016】
図5および6は、本開示の溶解可能な弁部材16の一実施形態を示す。弁部材16は、注入側62および排出側64を有する本体60を有する。各側は、内向きに階段状になった構成を備える。より具体的には、注入側62は、一連の環状の段62a、62bおよび62cと、中央のブラインドボア(blind bore)62dとを備え、そして、排出側64は、一連の環状の段64a、64b、64cと、中央のブラインドボア64dとを備える。段は、本体60の中心軸に向かって本体60の幅が減るように構成される。一実施形態では、弁本体60は、水溶性ガラスのような溶解可能な材料から形成される。あるいは、デンプンベースの材料を含む他の溶解可能な材料の構築物が、弁部材16を構築するために使用され得る。本体60厚みおよび構成ならびに特定の構築用材料は、弁部材16が溶解する所望の速度を提供するように選択されるべきである。
【0017】
ここで図2および3を参照すると、弁アセンブリ10は、尿道カテーテル50と共に使用するために特に適合されている。尿道カテーテル50は、図2および3において一部を切り取って示される、細長の可撓性本体70を備える。本体70の遠位端(図示せず)は、尿道を通して膀胱内へと挿入されるような寸法である。本体70の遠位端は、本体70の遠位端を膀胱内に保持するために、拡張可能な部材またはバルーン(図示せず)を備える。
【0018】
カテーテルアセンブリ50は、中央排液管腔72(図3)、弁付きのサンプリングポート74、バルーン供給ポート76、および洗浄管腔78を画定する本体を備える。バルーン供給ポート76は、バルーンに加圧ガスを供給するためのアクセスポート(図示せず)を提供する。洗浄管腔78は、本体70の遠位端(図示せず)と連絡して、洗浄流体を膀胱(図示せず)に供給する。サンプリングポート74は、シリンジアセンブリ82(図3)のシリンジ継手を解放可能に係合するためのコネクタ80(図2)を備える弁付きのポートを含む。シリンジアセンブリ82は、カテーテルアセンブリ50の中央排液管腔72内に流体を注入するため、または、中央排液管腔72から流体を引き抜くために使用され得る。
【0019】
弁アセンブリ10の注入ハウジング部分12の注入端20が、カテーテルアセンブリ50に解放可能に係合され、そして、カテーテルアセンブリ50の遠位端が患者の膀胱内に挿入されると、洗浄管腔78を通して膀胱内へと溶液(例えば、生理食塩水)を注入することにより、洗浄溶液が膀胱内に注入され得る。抗菌溶液(例えば、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」))もまた、カテーテルを洗浄するか(flush)またはせき止める(lock)ために、供給ポート76を通してカテーテルアセンブリ50の中央排液管腔72内へと注入され得る。洗浄流体および/または抗菌溶液がカテーテルアセンブリ50内に注入されると、流体が中央排液管腔72を流れ、弁アセンブリ10の注入ハウジング部分12のチャネル18に入る。弁アセンブリ10の溶解可能な弁部材16は、注入ハウジング部分12のチャネル18と、排出ハウジング部分14のチャネル18aとの間に配置され、所定の期間が経過するまで、流体が排液管腔72を出ることを防止または妨害する。弁アセンブリ10の溶解可能な弁部材16は、医療現場の職員が、機械的なクランプ留めデバイスを必要とすることなくカテーテルアセンブリ50をせき止め、そして、洗浄することを可能にし、医療現場の職員の介入なしに排液が復旧されることを確実にする。
【0020】
上述のように、弁部材16は、血液、尿、生理食塩水またはEDTAのような抗菌溶液への曝露後に、経時的に溶解するように設計され得る、流体可溶性ガラス、あるいは、デンプンベースの材料から構築され得る。使用される可溶性ガラスは、任意の1以上のガラス改変性の非毒性材料(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム)と一緒に主要なガラス形態として五酸化リンを含み得る。あるいは、他の溶解可能な材料が、弁部材を形成するために使用され得る。さらに、溶解可能な材料(例えば、ガラス)に薬物または抗菌物質が含浸され得、この薬物または抗菌物質は、弁部材が溶解するときにカテーテルまたは他の医療用デバイス内に放出される。上記の材料は、特定の期間(例えば、数秒、数分および数時間)にわたって溶解するように加工され得る。流体の温度、弁の表面積、形状寸法、ならびに、可溶性ガラスおよびデンプンベースの材料の両方の弁部材についての材料の溶解速度の組合せが、弁部材が溶解し、カテーテルからの流体の流れが復旧される、無限数の時間範囲が確立されることを可能にする。
【0021】
図7〜12は、溶解可能な弁部材16の代替的な実施形態を示す。図7および8では、弁部材116は、実質的に球面の窪み162aを画定する注入側162と、実質的に球面の窪み164aを画定する排出側164とを備える、実質的に円筒状の本体118を有する。窪み162aおよび164aは、バリア166により隔てられる。図9および10では、弁部材216は、凹んだ注入側262と、凹んだ排出側264と、バリア部材266とを有する、矩形の断面を持つ実質的に円筒状の本体218を備える。図11および12では、弁部材316は、凹んだ注入側362と凹んだ排出側364とバリア部材366とを有する、矩形の断面を持つ実質的に円筒状の本体318と、複数の貫通穴368とを備える。弁部材316は、弁部材316の貫通穴368を通して、遅くなった流速を提供する。弁部材316が溶解すると、弁部材を横切る流速は増す。
【0022】
種々の弁部材の構成が、記載される利点を達成するために使用され得ることが想定される。2〜3の代表的な実施形態のみが本明細書中に記載される。例えば、弁部材は、円筒状である必要はなく、むしろ、種々の異なる構成(例えば、四角形、三角形、矩形など)をとり得る。
【0023】
図13および14は、一般に400として示される本開示の弁アセンブリの代替的な実施形態を示す。弁アセンブリ400は、注入ハウジング部分412と、排出ハウジング部分414と、弁部材416とを備える。注入ハウジング部分412は通気孔438を備え、そして、排出ハウジング部分は通気孔440を備える。注入ハウジング部分412は、カテーテルの排液チューブ(図示せず)に解放可能に接続されるように適合された注入導管420を備える。排出ハウジング部分414は、尿回収デバイスに解放可能に接続されるように適合された排出導管422を備える。注入ハウジング部分412および排出ハウジング部分414は、弁部材416によって分割される弁チャンバ430を画定する。一実施形態では、弁部材416は、薄膜のデンプンベースの溶解可能な材料から形成される。あるいは、他の公知の溶解可能な材料が使用され得る。
【0024】
使用の際、弁アセンブリ400は、上記されるような弁アセンブリ10と同様の様式で機能する。より具体的には、流体(例えば、尿、血液、EDTAなど)が注入導管420を通って弁チャンバ430内に流れると、流体が弁部材416とかみ合い(engage)、弁部材416を特定の速度で溶解させる。弁部材416が溶解すると、流体は、弁部材416を通り、そして、排出導管422を通って流れることが可能となる。
【0025】
本明細書中に開示される実施形態に対して種々の改変がなされ得ることが理解される。例えば、弁アセンブリおよび/または弁部材は、本明細書中に示されない種々の構成(例えば、矩形、四角形、楕円形など)をとり得る。さらに、弁アセンブリは、尿道カテーテル以外の医療用デバイス(例えば、血液回収デバイス、静脈内投与セットおよび腹部排液チューブが挙げられる)に関連して使用され得る。また、1以上の溶解可能な弁部材が一緒に使用され得ることも想定される。例えば、流れを復旧させるまでに残る時間を医療現場の職員がより容易に決定することを可能にするために、3つの「5分で」溶解可能な弁部材が一緒に使用され得る。したがって、上記の説明は、限定的なものとしてみなされるべきではなく、単なる実施形態の例示としてみなされるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で他の改変に想到する。
【符号の説明】
【0026】
10、400:弁アセンブリ
11:ハウジング
12、412:注入ハウジング部分
14、414:排出ハウジング部分
16、116、216、316、416:溶解可能な弁部材
18:流体チャネル
20:注入ハウジングの注入端
22:注入ハウジングの排出端
30:排出ハウジングの注入端
34、430:チャンバ
38、438:注入(上側)通気孔
40、440:排出(下側)通気孔
42:排出ハウジングの排出端
50:カテーテル
60:弁部材の本体
70:カテーテルの本体
72:中央排液管腔
368:貫通穴
422:排出導管
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、溶解可能な弁部材を有する弁アセンブリを備える医療装置に関し、より具体的には、尿道カテーテルと共に使用するための溶解可能な弁部材を有する安全弁アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の背景
患者の膀胱から流体を排液するための尿道カテーテルは、当該分野で周知である。代表的には、尿道カテーテルは、尿道を通して膀胱内に挿入されるような寸法の可撓性本体を備える。カテーテルの遠位端は、膀胱内にカテーテルの遠位端を保持するために、ガス注入弁および導管を介して、膀胱内で拡張され得る拡張可能な球状物(bulb)またはバルーンを備える。可撓性本体は、さらに、流体が膀胱から尿回収バッグへと排液することを可能にする、排液管腔を画定する。尿道カテーテルはまた、膀胱を洗浄するために洗浄流体がカテーテルを通して膀胱内へと注入されることを可能にする、サンプリングポートおよび洗浄管腔を備える。検査のためのカテーテルからの尿の抜き取りを容易にすることに加え、サンプリングポートはまた、患者に対する感染の危険性を低下させるために、カテーテル内に抗菌溶液を注入するためにも使用され得る。
【0003】
洗浄流体および/または抗菌溶液がカテーテル内に注入されると、医療現場の職員は、洗浄流体および/または抗菌溶液が、膀胱および/またはカテーテルから直ちに排液されることを防ぐために、ある特定の期間にわたり注入部位の下流でカテーテルをクランプ留めしなければならない。医療現場の職員がクランプを取り除き損ねると、流体が膀胱に後退し、患者に、不快感および潜在的に深刻な害をもたらす。
【0004】
したがって、ある特定の期間にわたりカテーテル内に洗浄溶液および/または抗菌溶液を保持し得、その後、医療現場の職員による介入なしにカテーテルの排液を可能にし得る、カテーテルと共に使用可能なデバイスに対して、医療分野において継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある特定の期間にわたりカテーテル内に洗浄溶液および/または抗菌溶液を保持し得、その後、医療現場の職員による介入なしにカテーテルの排液を可能にし得る、カテーテルと共に使用可能なデバイスを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)弁アセンブリであって、以下:
注入端および排出端を有し、かつ、流体チャネルおよび中央チャンバを画定する、ハウジングと;
該チャンバ内の該チャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材であって、該溶解可能な弁は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される、弁部材と
を備える、弁アセンブリ。
(項目2)前記予め選択した流体が、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択される、項目1に記載の弁アセンブリ。
(項目3)前記溶解可能な弁部材が、流体可溶性ガラスから形成される、項目1〜2のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目4)前記溶解可能な弁部材が、デンプンベースの材料から形成される、項目1〜3のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目5)項目1〜4のいずれかに記載の弁アセンブリであって、前記ハウジングが、注入ハウジング部分と排出ハウジング部分とを備え、該注入ハウジング部分と該排出ハウジング部分とは、互いに固定されて、前記中央チャンバを画定するように構成される、弁アセンブリ。
(項目6)前記ハウジングの前記注入端が、尿道カテーテルの排液管腔を解放可能に係合するように適合される、項目1〜5のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目7)前記ハウジングの前記排出端が、尿回収システムの流体導管を解放可能に係合するように適合される、項目1〜6のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目8)項目1〜7のいずれかに記載の弁アセンブリであって、前記ハウジングが、該弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有する、弁アセンブリ。
(項目9)前記少なくとも1つの通気孔が、注入通気孔および排出通気孔を含む、項目1〜8のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目10)前記溶解可能な弁部材が、薄い溶解可能な材料から形成される、項目1〜9のいずれか1項に記載の弁アセンブリ。
(項目11)前記溶解可能な弁部材が、注入側および排出側を有する実質的に円筒状の本体を備える、項目1〜10のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目12)前記注入側および前記排出側のうちの少なくとも一方が、球面の窪みを画定する、項目1〜11のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目13)前記円筒状の本体が、実質的に矩形の断面を有する、項目1〜12のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目14)前記円筒状の本体が階段状の断面を画定し、該本体の中央部分が、該本体の外側部分よりも狭い幅を有する、項目1〜13のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目15)前記円筒状の本体が、1以上の貫通穴を画定する、項目1〜14のいずれかに記載の弁アセンブリ。
(項目16)尿道カテーテルアセンブリであって、以下:
カテーテルであって、患者の膀胱内に配置するための、中央排液管腔を画定する本体を有する、カテーテルと;
該カテーテルの本体の排出端を解放可能に係合するように適合されたハウジングを備える弁アセンブリであって、該ハウジングは、流体チャネルおよびチャンバを画定し、該弁アセンブリは、該チャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材をさらに備え、該溶解可能な弁部材は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される、弁アセンブリと
を備える、尿道カテーテルアセンブリ。
(項目17)前記予め選択した流体が、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択される、項目16に記載の尿道カテーテルアセンブリ。
(項目18)前記溶解可能な弁部材が、流体可溶性ガラスから形成される、項目16〜17のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
(項目19)前記ハウジングが、前記弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有する、項目16〜18のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
(項目20)前記溶解可能な弁部材が、薄い溶解可能な材料から形成される、項目16〜19のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
【0007】
要旨
注入端および排出端を有し、かつ、流体チャネルおよび中央チャンバを確定するハウジングを備える弁アセンブリが提供される。チャンバ内のチャネルを通る流れを遮るように溶解可能な弁部材が位置決めされる。溶解可能な弁は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される。予め選択した流体は、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択される。溶解可能な弁部材は、流体可溶性ガラスまたはデンプンベースの材料から形成され得る。あるいは、他の溶解可能な材料の使用が想定される。ハウジングは、注入ハウジング部分および排出ハウジング部分を備え得、この注入ハウジング部分と排出ハウジング部分とは、互いに固定され、中央チャンバを画定するように構成される。ハウジングの注入端は、医療用デバイスの排液管腔(例えば、尿道カテーテル)を解放可能に係合するように適合される。ハウジングの排出端は、尿回収システムの流体導管を解放可能に係合するように適合される。一実施形態では、ハウジングは、弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有する。少なくとも1つの通気孔は、注入通気孔および排出通気孔を含み得る。
【0008】
一実施形態では、溶解可能な弁部材は、薄い溶解可能な材料から形成される。別の実施形態では、溶解可能な弁部材は、注入側および排出側を有する実質的に円筒状の本体を備える。注入側および排出側のうち少なくとも一方は、球面の窪みを画定し得る。あるいは、円筒状の本体は、実質的に矩形の断面を有し得る。一実施形態では、円筒状の本体は、階段状の断面を画定し、この本体の中央部分は、この本体の外側部分よりも狭い幅を有する。本体は、1以上の貫通穴を画定し得る。
【0009】
尿道カテーテルアセンブリもまた提供され、このアセンブリは、患者の膀胱内に配置するための、中央排液管腔を画定する本体を有するカテーテルを備え、このカテーテルは、排液管腔出口を画定する排出端を有する。弁アセンブリは、カテーテルの本体の排出端を解放可能に係合するように適合されたハウジングを備える。弁アセンブリは、さらに、チャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材を備える。溶解可能な弁部材は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成され得る。予め選択した流体は、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択され得る。溶解可能な弁部材は、流体可溶性ガラスまたはデンプンベースの材料から形成され得る。ハウジングは、弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有し得る。あるいは、溶解可能な弁部材は、薄い溶解可能な材料から形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
溶解可能な弁部材を備える、本開示の弁アセンブリの種々の実施形態は、図面を参照して本明細書中に開示される。
【図1】図1は、本開示の弁アセンブリの一実施形態の側面斜視図である。
【図2】図2は、尿道カテーテルアセンブリに取り付けられた、図1に示す弁アセンブリの側面図である。
【図3】図3は、シリンジアセンブリが尿道カテーテルアセンブリに固定された状態の、図2に示す弁アセンブリおよび尿道カテーテルアセンブリの、側面から見た一部分の断面図である。
【図4】図4は、図3に示される詳細な領域の拡大図である。
【図5】図5は、図1に示す本開示の弁アセンブリの溶解可能な弁部材の位置実施形態の上面斜視図である。
【図6】図6は、図5に示す溶解可能な弁部材の側面断面図である。
【図7】図7は、図1に示す本開示の溶解可能な流体安全弁アセンブリの溶解可能な弁部材の別の実施形態の上面斜視図である。
【図8】図8は、図7に示す溶解可能な弁部材の側面断面図である。
【図9】図9は、図1に示す本開示の溶解可能な流体安全弁アセンブリの溶解可能な弁部材の別の実施形態の上面斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す溶解可能な弁部材の側面断面図である。
【図11】図11は、図1に示す本開示の溶解可能な流体安全弁アセンブリの溶解可能な弁部材の別の実施形態の上面斜視図である。
【図12】図12は、図11に示す溶解可能な弁部材の側面断面図である。
【図13】図13は、溶解可能な弁部材を備える本開示の弁アセンブリの代替的な実施形態の上面図である。
【図14】図14は、図13に示す弁アセンブリの側面から見た一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態の詳細な説明
溶解可能な弁部材を備える本開示の弁アセンブリの実施形態が、ここで、図面(図面において、同様の参照番号は、いくつかの図面の各々において、同一もしくは対応する要素を示す)を参照して詳細に説明される。
【0012】
図1〜4は、一般に10として示される本開示の弁アセンブリの一実施形態を示す。弁アセンブリ10は、注入ハウジング部分12と、排出ハウジング部分14と、溶解可能な弁部材16(図4)とを備えるハウジング11を備える。注入ハウジング部分12は、実質的に管状であり、そして、流体チャネル18を画定する(図3)。注入ハウジング部分12は、排出端22および注入端20を備える。注入端20は、排出端22に向かって集中する注入穴24を画定し、そして、尿道カテーテル50の排出端50aを解放可能に受容するような寸法である。ハウジング部分12の排出端22は、外側の階段状部分26(図4)と内側の環状伸長部28とを画定する。環状伸長部28は、円筒状のチャンバ34を画定する(図4)。
【0013】
排出ハウジング部分14は、注入ハウジング部分12の流体チャネル18と流体連絡する流体チャネル18aを画定する。排出ハウジング部分14の注入端30は、注入ハウジング部分12の環状伸長部28を受容するような寸法の内側の階段状部分32を有する。内側の階段状部分32は、内側の階段状部分32が肩部32aを画定するように、環状伸長部28の幅よりも大きな幅を有する。肩部32aと環状伸長部28とは、一緒になって、円筒状チャンバ34を画定する。チャンバ34は、以下にさらに詳細に考察されるように、溶解可能な弁部材16を受容するような寸法である。ハウジング部分12の排出端22は、溶解可能な弁部材16がチャンバ34内に保持されるように、超音波溶接、接着剤、ねじ山などにより、排出ハウジング部分14の注入端30に固定される。
【0014】
注入ハウジング部分12および排出ハウジング部分14は、透明(clear)すなわち光透過性(transparent)の材料(例えば、ポリカーボネートを含む光透過性ポリマー材料)から形成され得る。市販される1つのこのような材料は、LEXAN(登録商標)である。光透過性材料は、弁アセンブリ10が適切に機能していること、すなわち、弁部材16が特定の期間で溶解されること、および、流体が弁アセンブリ10を通って流れること、を医療現場の職員が視覚的に確認することを可能にする。弁部材は、弁部材の可視化を改善するために、対照をなす(contrasting)色を含み得ることが想定される。
【0015】
注入ハウジング部分12および排出ハウジング部分14の各々はまた、通気孔を備える。より具体的には、上側の通気孔38は、注入ハウジング部分12上に支持され、そして、下側の通気孔40は、ハウジング部分14上に支持される。通気孔38および40は、カテーテル50および弁アセンブリ10内からの空気が、流体チャネル18および18aから除かれることを可能にする。ハウジング部分14の排出端42は、尿回収システム(図示せず)の回収チューブ(図示せず)を摩擦により係合するような寸法の、薄い壁状の伸長部42a(図4)を備える。
【0016】
図5および6は、本開示の溶解可能な弁部材16の一実施形態を示す。弁部材16は、注入側62および排出側64を有する本体60を有する。各側は、内向きに階段状になった構成を備える。より具体的には、注入側62は、一連の環状の段62a、62bおよび62cと、中央のブラインドボア(blind bore)62dとを備え、そして、排出側64は、一連の環状の段64a、64b、64cと、中央のブラインドボア64dとを備える。段は、本体60の中心軸に向かって本体60の幅が減るように構成される。一実施形態では、弁本体60は、水溶性ガラスのような溶解可能な材料から形成される。あるいは、デンプンベースの材料を含む他の溶解可能な材料の構築物が、弁部材16を構築するために使用され得る。本体60厚みおよび構成ならびに特定の構築用材料は、弁部材16が溶解する所望の速度を提供するように選択されるべきである。
【0017】
ここで図2および3を参照すると、弁アセンブリ10は、尿道カテーテル50と共に使用するために特に適合されている。尿道カテーテル50は、図2および3において一部を切り取って示される、細長の可撓性本体70を備える。本体70の遠位端(図示せず)は、尿道を通して膀胱内へと挿入されるような寸法である。本体70の遠位端は、本体70の遠位端を膀胱内に保持するために、拡張可能な部材またはバルーン(図示せず)を備える。
【0018】
カテーテルアセンブリ50は、中央排液管腔72(図3)、弁付きのサンプリングポート74、バルーン供給ポート76、および洗浄管腔78を画定する本体を備える。バルーン供給ポート76は、バルーンに加圧ガスを供給するためのアクセスポート(図示せず)を提供する。洗浄管腔78は、本体70の遠位端(図示せず)と連絡して、洗浄流体を膀胱(図示せず)に供給する。サンプリングポート74は、シリンジアセンブリ82(図3)のシリンジ継手を解放可能に係合するためのコネクタ80(図2)を備える弁付きのポートを含む。シリンジアセンブリ82は、カテーテルアセンブリ50の中央排液管腔72内に流体を注入するため、または、中央排液管腔72から流体を引き抜くために使用され得る。
【0019】
弁アセンブリ10の注入ハウジング部分12の注入端20が、カテーテルアセンブリ50に解放可能に係合され、そして、カテーテルアセンブリ50の遠位端が患者の膀胱内に挿入されると、洗浄管腔78を通して膀胱内へと溶液(例えば、生理食塩水)を注入することにより、洗浄溶液が膀胱内に注入され得る。抗菌溶液(例えば、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」))もまた、カテーテルを洗浄するか(flush)またはせき止める(lock)ために、供給ポート76を通してカテーテルアセンブリ50の中央排液管腔72内へと注入され得る。洗浄流体および/または抗菌溶液がカテーテルアセンブリ50内に注入されると、流体が中央排液管腔72を流れ、弁アセンブリ10の注入ハウジング部分12のチャネル18に入る。弁アセンブリ10の溶解可能な弁部材16は、注入ハウジング部分12のチャネル18と、排出ハウジング部分14のチャネル18aとの間に配置され、所定の期間が経過するまで、流体が排液管腔72を出ることを防止または妨害する。弁アセンブリ10の溶解可能な弁部材16は、医療現場の職員が、機械的なクランプ留めデバイスを必要とすることなくカテーテルアセンブリ50をせき止め、そして、洗浄することを可能にし、医療現場の職員の介入なしに排液が復旧されることを確実にする。
【0020】
上述のように、弁部材16は、血液、尿、生理食塩水またはEDTAのような抗菌溶液への曝露後に、経時的に溶解するように設計され得る、流体可溶性ガラス、あるいは、デンプンベースの材料から構築され得る。使用される可溶性ガラスは、任意の1以上のガラス改変性の非毒性材料(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム)と一緒に主要なガラス形態として五酸化リンを含み得る。あるいは、他の溶解可能な材料が、弁部材を形成するために使用され得る。さらに、溶解可能な材料(例えば、ガラス)に薬物または抗菌物質が含浸され得、この薬物または抗菌物質は、弁部材が溶解するときにカテーテルまたは他の医療用デバイス内に放出される。上記の材料は、特定の期間(例えば、数秒、数分および数時間)にわたって溶解するように加工され得る。流体の温度、弁の表面積、形状寸法、ならびに、可溶性ガラスおよびデンプンベースの材料の両方の弁部材についての材料の溶解速度の組合せが、弁部材が溶解し、カテーテルからの流体の流れが復旧される、無限数の時間範囲が確立されることを可能にする。
【0021】
図7〜12は、溶解可能な弁部材16の代替的な実施形態を示す。図7および8では、弁部材116は、実質的に球面の窪み162aを画定する注入側162と、実質的に球面の窪み164aを画定する排出側164とを備える、実質的に円筒状の本体118を有する。窪み162aおよび164aは、バリア166により隔てられる。図9および10では、弁部材216は、凹んだ注入側262と、凹んだ排出側264と、バリア部材266とを有する、矩形の断面を持つ実質的に円筒状の本体218を備える。図11および12では、弁部材316は、凹んだ注入側362と凹んだ排出側364とバリア部材366とを有する、矩形の断面を持つ実質的に円筒状の本体318と、複数の貫通穴368とを備える。弁部材316は、弁部材316の貫通穴368を通して、遅くなった流速を提供する。弁部材316が溶解すると、弁部材を横切る流速は増す。
【0022】
種々の弁部材の構成が、記載される利点を達成するために使用され得ることが想定される。2〜3の代表的な実施形態のみが本明細書中に記載される。例えば、弁部材は、円筒状である必要はなく、むしろ、種々の異なる構成(例えば、四角形、三角形、矩形など)をとり得る。
【0023】
図13および14は、一般に400として示される本開示の弁アセンブリの代替的な実施形態を示す。弁アセンブリ400は、注入ハウジング部分412と、排出ハウジング部分414と、弁部材416とを備える。注入ハウジング部分412は通気孔438を備え、そして、排出ハウジング部分は通気孔440を備える。注入ハウジング部分412は、カテーテルの排液チューブ(図示せず)に解放可能に接続されるように適合された注入導管420を備える。排出ハウジング部分414は、尿回収デバイスに解放可能に接続されるように適合された排出導管422を備える。注入ハウジング部分412および排出ハウジング部分414は、弁部材416によって分割される弁チャンバ430を画定する。一実施形態では、弁部材416は、薄膜のデンプンベースの溶解可能な材料から形成される。あるいは、他の公知の溶解可能な材料が使用され得る。
【0024】
使用の際、弁アセンブリ400は、上記されるような弁アセンブリ10と同様の様式で機能する。より具体的には、流体(例えば、尿、血液、EDTAなど)が注入導管420を通って弁チャンバ430内に流れると、流体が弁部材416とかみ合い(engage)、弁部材416を特定の速度で溶解させる。弁部材416が溶解すると、流体は、弁部材416を通り、そして、排出導管422を通って流れることが可能となる。
【0025】
本明細書中に開示される実施形態に対して種々の改変がなされ得ることが理解される。例えば、弁アセンブリおよび/または弁部材は、本明細書中に示されない種々の構成(例えば、矩形、四角形、楕円形など)をとり得る。さらに、弁アセンブリは、尿道カテーテル以外の医療用デバイス(例えば、血液回収デバイス、静脈内投与セットおよび腹部排液チューブが挙げられる)に関連して使用され得る。また、1以上の溶解可能な弁部材が一緒に使用され得ることも想定される。例えば、流れを復旧させるまでに残る時間を医療現場の職員がより容易に決定することを可能にするために、3つの「5分で」溶解可能な弁部材が一緒に使用され得る。したがって、上記の説明は、限定的なものとしてみなされるべきではなく、単なる実施形態の例示としてみなされるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で他の改変に想到する。
【符号の説明】
【0026】
10、400:弁アセンブリ
11:ハウジング
12、412:注入ハウジング部分
14、414:排出ハウジング部分
16、116、216、316、416:溶解可能な弁部材
18:流体チャネル
20:注入ハウジングの注入端
22:注入ハウジングの排出端
30:排出ハウジングの注入端
34、430:チャンバ
38、438:注入(上側)通気孔
40、440:排出(下側)通気孔
42:排出ハウジングの排出端
50:カテーテル
60:弁部材の本体
70:カテーテルの本体
72:中央排液管腔
368:貫通穴
422:排出導管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁アセンブリであって、以下:
注入端および排出端を有し、かつ、流体チャネルおよび中央チャンバを画定する、ハウジングと;
該チャンバ内の該チャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材であって、該溶解可能な弁は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される、弁部材と
を備える、弁アセンブリ。
【請求項2】
前記予め選択した流体が、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択される、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項3】
前記溶解可能な弁部材が、流体可溶性ガラスから形成される、請求項1〜2のいずれかに記載の弁アセンブリ。
【請求項4】
前記溶解可能な弁部材が、デンプンベースの材料から形成される、請求項1〜3のいずれかに記載の弁アセンブリ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の弁アセンブリであって、前記ハウジングが、注入ハウジング部分と排出ハウジング部分とを備え、該注入ハウジング部分と該排出ハウジング部分とは、互いに固定されて、前記中央チャンバを画定するように構成される、弁アセンブリ。
【請求項6】
前記ハウジングの前記注入端が、尿道カテーテルの排液管腔を解放可能に係合するように適合される、請求項1〜5のいずれかに記載の弁アセンブリ。
【請求項7】
前記ハウジングの前記排出端が、尿回収システムの流体導管を解放可能に係合するように適合される、請求項1〜6のいずれかに記載の弁アセンブリ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の弁アセンブリであって、前記ハウジングが、該弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有する、弁アセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの通気孔が、注入通気孔および排出通気孔を含む、請求項8に記載の弁アセンブリ。
【請求項10】
前記溶解可能な弁部材が、薄い溶解可能な材料から形成される、請求項1、2および5〜9のいずれか1項に記載の弁アセンブリ。
【請求項11】
前記溶解可能な弁部材が、注入側および排出側を有する実質的に円筒状の本体を備える、請求項1〜10のいずれかに記載の弁アセンブリ。
【請求項12】
前記注入側および前記排出側のうちの少なくとも一方が、球面の窪みを画定する、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項13】
前記円筒状の本体が、実質的に矩形の断面を有する、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項14】
前記円筒状の本体が階段状の断面を画定し、該本体の中央部分が、該本体の外側部分よりも狭い幅を有する、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項15】
前記円筒状の本体が、1以上の貫通穴を画定する、請求項13に記載の弁アセンブリ。
【請求項16】
尿道カテーテルアセンブリであって、以下:
カテーテルであって、患者の膀胱内に配置するための、中央排液管腔を画定する本体を有する、カテーテルと;
該カテーテルの本体の排出端を解放可能に係合するように適合されたハウジングを備える弁アセンブリであって、該ハウジングは、流体チャネルおよびチャンバを画定し、該弁アセンブリは、該チャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材をさらに備え、該溶解可能な弁部材は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される、弁アセンブリと
を備える、尿道カテーテルアセンブリ。
【請求項17】
前記予め選択した流体が、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択される、請求項16に記載の尿道カテーテルアセンブリ。
【請求項18】
前記溶解可能な弁部材が、流体可溶性ガラスから形成される、請求項16〜17のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
【請求項19】
前記ハウジングが、前記弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有する、請求項16〜18のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
【請求項20】
前記溶解可能な弁部材が、薄い溶解可能な材料から形成される、請求項16〜19のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
【請求項1】
弁アセンブリであって、以下:
注入端および排出端を有し、かつ、流体チャネルおよび中央チャンバを画定する、ハウジングと;
該チャンバ内の該チャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材であって、該溶解可能な弁は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される、弁部材と
を備える、弁アセンブリ。
【請求項2】
前記予め選択した流体が、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択される、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項3】
前記溶解可能な弁部材が、流体可溶性ガラスから形成される、請求項1〜2のいずれかに記載の弁アセンブリ。
【請求項4】
前記溶解可能な弁部材が、デンプンベースの材料から形成される、請求項1〜3のいずれかに記載の弁アセンブリ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の弁アセンブリであって、前記ハウジングが、注入ハウジング部分と排出ハウジング部分とを備え、該注入ハウジング部分と該排出ハウジング部分とは、互いに固定されて、前記中央チャンバを画定するように構成される、弁アセンブリ。
【請求項6】
前記ハウジングの前記注入端が、尿道カテーテルの排液管腔を解放可能に係合するように適合される、請求項1〜5のいずれかに記載の弁アセンブリ。
【請求項7】
前記ハウジングの前記排出端が、尿回収システムの流体導管を解放可能に係合するように適合される、請求項1〜6のいずれかに記載の弁アセンブリ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の弁アセンブリであって、前記ハウジングが、該弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有する、弁アセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの通気孔が、注入通気孔および排出通気孔を含む、請求項8に記載の弁アセンブリ。
【請求項10】
前記溶解可能な弁部材が、薄い溶解可能な材料から形成される、請求項1、2および5〜9のいずれか1項に記載の弁アセンブリ。
【請求項11】
前記溶解可能な弁部材が、注入側および排出側を有する実質的に円筒状の本体を備える、請求項1〜10のいずれかに記載の弁アセンブリ。
【請求項12】
前記注入側および前記排出側のうちの少なくとも一方が、球面の窪みを画定する、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項13】
前記円筒状の本体が、実質的に矩形の断面を有する、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項14】
前記円筒状の本体が階段状の断面を画定し、該本体の中央部分が、該本体の外側部分よりも狭い幅を有する、請求項11に記載の弁アセンブリ。
【請求項15】
前記円筒状の本体が、1以上の貫通穴を画定する、請求項13に記載の弁アセンブリ。
【請求項16】
尿道カテーテルアセンブリであって、以下:
カテーテルであって、患者の膀胱内に配置するための、中央排液管腔を画定する本体を有する、カテーテルと;
該カテーテルの本体の排出端を解放可能に係合するように適合されたハウジングを備える弁アセンブリであって、該ハウジングは、流体チャネルおよびチャンバを画定し、該弁アセンブリは、該チャネルを通る流れを遮るように配置された溶解可能な弁部材をさらに備え、該溶解可能な弁部材は、予め選択した流体と接触した際に、予め決定した速度で溶解可能な材料から形成される、弁アセンブリと
を備える、尿道カテーテルアセンブリ。
【請求項17】
前記予め選択した流体が、血液、尿、生理食塩水および抗菌溶液からなる群より選択される、請求項16に記載の尿道カテーテルアセンブリ。
【請求項18】
前記溶解可能な弁部材が、流体可溶性ガラスから形成される、請求項16〜17のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
【請求項19】
前記ハウジングが、前記弁アセンブリ内からの空気を排気するように構成された少なくとも1つの通気孔を有する、請求項16〜18のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
【請求項20】
前記溶解可能な弁部材が、薄い溶解可能な材料から形成される、請求項16〜19のいずれかに記載の尿道カテーテルアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−12251(P2010−12251A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150516(P2009−150516)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
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